GRIS

【ぐり】

ジャンル アクションパズル
対応機種 Windows (Steam/Microsoft Store)
Mac (Steam)
Nintendo Switch
プレイステーション4
プレイステーション5
Xbox One
Xbox Series X/S
発売元 Devolver Digital
開発元 Nomada Studio
発売日 【Win(Steam)/Mac/Switch】2018年12月13日
【PS4】2019年12月12日
【Win(MS Store)】2020年1月23日
【PS5】2022年12月13日
【One/XSX】2022年12月14日
定価 【Steam】1,700円(税込)
【Switch/PS4/PS5】1,780円(税込)
【MS Store】2,000円(税込)
プレイ人数 1人
セーブデータ 1個
レーティング CERO:A(全年齢対象)
判定 良作
ポイント 色鮮やかな世界で遊べるアート作品


概要

スペインのNomada Studioで生まれたゲーム。
歌声を失った少女を操作して、横スクロールアクションの要領で幻想的な世界を闊歩する内容。


特徴

  • GRIS
    • 本作の主人公の少女。不思議なマントをまとっており、滑空したりブロックに変身したりできる。
    • ゲーム序盤で歌声を失う。歌おうとするとかすれた声が出てくる。
    • ゲーム中にダメージを受けたり死ぬことがない。
  • GRISがとれるアクション
    • 最初はジャンプしかできないが、ゲームが進むにつれて出来ることが増えていく。
    • Bボタンでジャンプ。最初は1段しか出せないが、ゲームが進むと2段ジャンプを出せるようになる。また2段目のジャンプ時Bを長押しすると滑空できる。
      • 宙を舞う赤い蝶を踏み台にして2段目のジャンプを出すと、高く飛び上がることが出来る。蝶には、瓦礫を壊すことで出現するタイプ、水中にいてこちらが近づくと付いてくるタイプがある。
    • 終盤の一部には黄色い蝶の群れも登場する。黄色い蝶は飛び上がった直後、一定箇所をしばらく照らしてくれる。
    • Yボタン長押しで立方体のブロックに変身する。
      • 突風に吹かれても吹き飛ばされなくなるほか、高い所から固化しつつ落下することで、もろくなった物体を踏み潰して壊したり、重りの仕掛けを作動させることができる。
    • 水中でBボタンを押すと、キリモミしながら水中をダッシュする。
    • Aボタンで歌う。ゲーム終盤で歌うと周囲の植物を活性化させ、追いあがった植物を新たな足場として使える一幕がある。アクションが解放されていない場合は使えないが、歌おうとする挙動が見れる。
  • 舞台となる世界
    • 水彩画のような不思議な世界が舞台。
    • ゲーム開始時の世界はモノクロで殺風景。少女も力なく歩くことしかできない。しかしゲームを進めて、巨大な女性の像の手のひらにたどり着くたびに世界が次第に色づいていく。
  • その他
    • ゲーム中、テキストは殆ど出てくることはなく、シンプルなイラストやアイコンによって操作方法が示されるシステム。
    • 具体的なシナリオは存在せず、抽象的なアニメーションによる描写に留められている。

仕掛け

  • 光の粒
    • 先に進むために集める必要があるアイテムで、GRIS本人が近づくと身にまとわせることが出来る。
    • 一定数まとわせてから特定のチェックポイントにたどり着くことで、星座のような道が空中に架けられて先に進めるようになったり、GRISが新しい能力を身につけたりする。
    • 水中にいると重力が作用せず、浮力で押し上げられる。
    • ゲーム中盤ですばやく泳ぐ能力を身につけると、水中のひとところで静止することができる。
    • 本作では当たり前のように空中に固定された水球もあり、高所へ上るためのカギとなることも。

評価点

  • 美しいステージ
    • 本作の最大の特徴。GRISが旅する世界が迷ってしまうレベルで広いのだが、どこに迷い込んでもひとつの絵として成立している。
      • 赤・青・黄色といった水彩絵の具を水でぼやかしたりして、背景の幻想的な雲や霧、星雲の様子を表現している。
      • 建物は細かく緻密な鉛筆線で描きこまれている。表面の凹凸だけでなく、もろくなってヒビが入っている様まで描きこまれている。
    • 現実に存在しえない造形物から、どこか哀愁漂う廃墟まで、置いてあるものの属性も幅広い。
    • 最序盤はモノクロ世界だが、赤、緑、青、黄…と色づいていく。
      • 赤、緑、青、黄の色もそれぞれ岩、植物、水、光にまつわる象徴的な背景が追加されていくので、ステージの景色がワンパターンではない。最初こそ砂漠や廃墟しかない物悲しげなマップだが、緑が追加されることで木々といった生命が、青が追加されることでややさしげな雨が写りこむようになり、最後にはきれいな満点の夜空を拝めるようになる。
    • 透明な物体が足場になっていることもある。降り注ぐ雨が足場の形を教えてくれるパターン、光が当たっている間だけ渡ることが出来る透明な橋など、視覚効果だけでなくゲームとしても機能しているオブジェクトがある。
  • 絵の動きがなめらか
    • 移動したり形を変える足場が一部で登場するが、その作画が非常に滑らかである。
    • GRISのモーションにも全くカクツキが存在しない。
    • 羽織っているマントもよく描きこまれている。固化アクションの際はマントが石のようになり、2段目のジャンプの際は翼に変化するが、いずれも硬い感じ、ふわふわとした感じが伝わってくる。
  • 適度に頭を使えるパズル性
    • 序盤こそただただ空中に浮いた足場を跳んで移動するだけのゲームで、操作方法が非常に簡潔。ゲームの進捗と共に次第にできることが追加されていくためゲームライト層にもとっつきやすい。
    • 逆に中盤以降はきちんとパズルのように頭を使わないと先に進めないゲームとなる。しかし何度もリトライ・試行錯誤できるゲームバランスなので、ゲーム攻略のテンポもあまりそこなわれない。
    • ゲーム中は、主人公の行く手を阻む存在も登場するが、今までの固定観念から逸脱したアイデアでそんな存在を逆手に取ることで道が開けるケースがある。
      • 序盤までは、周期的に変化する足場を見極めてジャンプするような一幕が多く、中場は水の浮力にいかに抗ったり活用したりして先に進む一幕が現れる。
      • 突風で足場から落としてくる鳥のような怪物が出てくるが、その突風を使って滑空しないと、遠い足場に着地して先に進めない。
      • 大きな衝撃ではじめて作動する重り型のしかけを作動させるため、どこまで高く上るか、一考できる場面がある。
    • 一定周期で周囲の空間が凍結し、少女をかたどった氷像ができる区画があり、この氷像をどんなポーズにするか、どこに置くかを考えなくてはならない。
  • 演出のメリハリ
    • 一種の佳境に入ったところで短めのBGMを流すようなスタイル。普段は雨や風、鳥の鳴き声といったSEが流される。またGRISが踏んだ床の状況に応じて様々な足音が使い分けられる。
      • SEはGRISが聞こえている音に準拠して作られているようであり、雨の音が聞こえるようなところで水没すると、水没したときの音がメインで聞こえるようになる。
    • 本作は一貫して探索するようなゲームはなく、要所要所で敵キャラが出てくる。難易度が理不尽に高いという事もなくチェイスアクションを楽しめる。

賛否両論点

  • 世界を自由に動き回れるわけではない
    • 行動できる範囲こそ広いが、基本は一本道で一定区画進むごとに引き返せなくなるマップ設計。次に何をしていいのか分からなくなるといった事態の回避には繋がっているが、やらなくてはならないことをゲームから指定されている感覚にもなる。
    • 一応、クリア後はチャプターセレクトが解放される。ただしアクションはその時点で使えるものしか使えない。
  • 少女が非常に小さく表示される区画がある
    • カメラがかなり「引き」の状態となり、マップの非常に広い範囲が映し出されることがある。
    • 美しい背景を堪能するためのギミックとしては機能しているが、少女GRISが非常に小さく表示されるため、見失いやすい。

問題点

  • 終盤のマップで迷う
    • 世界に「黄」の色を取り戻したあたりから難易度が上がる。近づくことで色づき実体化する足場があったり、重力が上下反転する空間が登場するようになり迷いやすい。
  • マップの広さに対して移動速度が高くない
    • 中盤から水中はすばやく泳げるようになるのだが、陸上ではあまりすばやく移動出来ない。
    • ゲームオーバーにこそならないが、足場を踏み外したりするといちいち昇り直さなくてはならない。
  • ムービーをスキップできない
    • 周回プレイや形見の回収のためにチャプターセレクトしてやり直した際でも、その度に各種ムービーを見せられるため、テンポが悪くなる。

総評

巨大なアート背景とするアクションパズル性が特徴。
その巨大な背景の美しさをそのまま楽しむこともできるが、アクション要素もおざなりにはなっておらず、ゲーム進捗に応じて出来ることが増える楽しみ、先に進むための試行錯誤感も備えた作品である。


余談

  • 本作はNomada Studioのデビュー作だが、発売から僅か1週間で開発費を回収している(参照)。
  • 本作のレーティングはCERO:A(全年齢対象)なのだが、2019年1月8日にFacebookにて本作の広告が性的なものを想起させる表現を含むという理由で、掲載を拒否されたことが大きな話題となった。
    • 全年齢向けの本作が性的表現で引っ掛かるというだけでも不可解だが、その該当シーンが巨大な女性の彫像が崩れ落ちるシーンだとされ、これが大きな物議を醸した。
      • その後、Facebook公式から拒否の理由は広告に含まれていたInstagramページへのリンク先にある男性の裸体を含む画像だと声明が出された。詳細はこの記事を参照。
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最終更新:2023年09月18日 12:11