東方幻想麻雀

【とうほうげんそうまーじゃん】

ジャンル テーブル/パーティ
対応機種 Nintendo Switch
メディア ダウンロード専売
発売元 メディアスケープ
開発元 D.N.A.Softwares
あまた
発売日 2020年1月30日
定価 3,500円
プレイ人数 オフライン:1人
オンライン・ローカル通信:1~4人
レーティング CERO:B(12歳以上対象)
判定 なし
ポイント 能力ありで遊べる麻雀
一風変わったルール
初期は多数のバグがあった
東方Project・二次創作リンク


概要

いわゆる同人作品をコンシューマハードで販売するメディアスケープ株式会社の「Play,Doujin!」の作品の一つ。
『「東方Project」』をテーマにした二次創作の一つであり、東方Projectに登場するキャラクターが独自の能力を用いて対戦する麻雀ゲームである。
開発元であるD.N.A.Softwaresが2009年にPCで販売した『東方幻想麻雀』(本作とは同じタイトルであるが別作品)がシリーズの始まりであり、本作は同シリーズの第6作に相当する。
元々、2019年秋にリリース予定であったが、その後、年内、2020年1月と延期して発売に漕ぎ着けた。
二次創作であるため、『東方Project』の制作者であるZUN氏が直接関わっているわけではないが、ゲーム内で流れる曲「キュアリアス上海古牌」はZUN氏によるものであり、2020年12月24日には有料DLCによる追加キャラクターとしてZUN氏が 実写 で参戦した*1
発売時は『紅魔郷』から『天空璋』までのキャラが登場していたが、DLCによって『虹龍洞』までのキャラが追加された。

特徴

本作は麻雀ゲームであるため、麻雀用語をある程度知っている前提で解説を行う。

  • 『東方Project』作品群の本編(『東方紅魔郷』から『東方天空璋』まで)や一部のスピンオフ作品のキャラクターの100キャラ以上が選択可能。
    • その後アップデートで『鬼形獣』『酔蝶華』『虹龍洞』のキャラも追加されている(後者については有料DLC)。
  • キャラクターごとに能力があり、キャラクター毎に決められたタイミングで能力を使うことで有利に対局を進めることができる。
    • 能力なしの対局も可能。その場合は卓の特徴のみで対局が可能である。
    • 能力は対局の進行で貯まっていくゲージが満タンになることで利用可能。
      • ゲージはキャラによっては満タンになっても更に貯めることでストックしていくことができる。何回分ストック出来るかはキャラクターによって異なる。
        中には1回能力を使うのに2ストック分能力ゲージを使う必要がある者や、ストック数を全て消費するが、ストック数に応じて能力が強化される者もいる。
      • 能力ゲージは配牌時、ツモ時、失点時に貯まっていき、東場より南場の方が貯まる量が多い。貯まりやすさもキャラによって異なり、キャラによっては配牌時にストック1本分貯まるような場合も。
    • 能力は「自身のツモ時」「第1ツモ時」「和了時」のいずれかキャラ毎に決められたタイミングで利用できる。
    • 能力を発動するとカットインが入り、対局中1回目の場合は能力の説明も表示されるため、能力については全員に発動が分かるようになっているとともに、説明も確認出来るようになっている。
      • なお、対局中に+ボタンを押すと全員の能力の説明を確認することは可能。
    • 継続系の能力の場合はプレイヤーの前に発動した能力に応じた効果が表示されるため、能力発動中かどうかが分かるようになっている。
  • 卓毎に決められた特徴がある。
    • いわゆるインフレ卓から、デフレ卓まで多種多様。青天井ルール*2や割れ目、導火線ルール*3など他の(ゲームとしての)麻雀ではほぼ見られないルールも選べる。
    • なお、選択ルールとしては、キャラクター能力の有無(通常卓は能力なし固定)、打牌時間のみであり、食いタンの可否、赤ドラの有無、初期点数などは卓毎に決められており任意に選択できない。
+ 卓の一覧

特記がない場合、赤ドラは数牌の5に1枚ずつ、食いタンはありである。

  • 博麗神社
    • 通常のドラに加えて常に中がドラになる。そのため、中をポンできればそれだけで4翻以上が確定する。
    • 役牌構成要因の中がドラなので、その使い方が重要となってくる。
  • 博麗神社裏庭
    • 通常のドラに加えて常にピンズの数牌に1枚ずつ(ピンズの5についてはそのまま)赤ドラが追加され一本場以降本場の数だけ赤ドラの枚数が増える。
      • 連荘すればするほどピンズの赤ドラが増える。なお、本場の数だけ増えていくのはどれかのピンズに1枚ずつ、という意味合いなので全種1枚ずつ増えていくほどのインフレではない。
  • 霧雨魔法店
    • 通常のドラに加え全ての数牌に1枚ずつ赤ドラが追加されるという超インフレルール。
    • さすがにインフレ過ぎるためか食いタンは認められていない。
    • 必然的に赤ドラが多くなりがちなので、赤ドラ生成系の能力が元々赤ドラの牌にヒットして不発、ということもそれなりに起きる。
  • 大図書館
    • 赤ドラがない代わりにドラ表示牌が最初から2枚となる卓。また、能力ゲージが溜まりやすいので能力戦が起きやすい。
      • 当然、リーチして和了すれば裏ドラも2種類となるため、リーチ後の運次第ではクズ手が化けることもある。
    • 能力が使いやすいということもあってか人気卓の一つである。
    • 余談だが、旧作ではドラ表示牌が3枚であったため、これでもややマイルドになった方である。
  • 紅魔館
    • ツモ時の点数が2倍となる。そのため、ロンよりもツモによる和了が驚異となってくる卓である。
      • もっとも、個人単位でみれば振り込む方が損になることが多いため、常に突っ張る方が良いというわけではない。
    • 必然的にツモ強化系の能力が輝く傾向にあるため、キャラによってはかなり強い。
  • 紅魔館地下室
    • 次のツモ牌となる山牌が自身の前にある場合収支共に2倍になるいわゆる導火線ルールの卓。
      • 割れ目の変種であり、ツモ牌の残り数によって割れ目の位置が変わると考えると分かりやすい。
      • 難しいことを考えずとも捨て牌の前あたりにゲージのようなものが表示されており、それが自分の前で光っていれば自分が割れ目になると考えれば良い。
    • 当然、この割れ目をどう使うかが重要となる。収入はもちろんだが支出も2倍になってしまうので攻めと降りをしっかり見極めることが求められる。
    • なお、能力で割れ目を作るキャラの場合重複させると4倍ではなく3倍の収支となる。バッチリ決まれば強いが外すと一気にピンチに。
  • 白玉楼
    • 赤ドラなしで能力ゲージが溜まる速度が非常に遅い。
      • 能力が使えるのはキャラにもよるが数局に一度や下手すればほんとに1回しか使えないこともあるため能力の使いどころが重要になる。
    • そして、この卓は初期点数が15,000点しかないため、親の跳満に振り込むと即終了してしまうので注意。
  • 永遠亭
    • 赤ドラ・裏ドラ・カンドラなし、ダブロン・トリロンなし、一発なし、0点を下回っても続行(-50,000点を下回るとコールドゲーム)、数え役満、流し満貫なしのいわゆる競技ルール。
    • 能力は通常通り溜まる。赤ドラ作成系の能力は効果があるがドラ操作系の能力は無意味(ただし強引にドラ表示牌を開く能力は有効)なので注意。
      • 能力なしにすればいわゆる競技ルールとして楽しめる。
  • 天界の石舞台
    • 青天井ルール。そのため、この卓においては持ち点が非常に多く設定されている。
    • 青天井なので、翻が増えれば純粋に点数が倍々に増えていく。ドラを増やす能力がそのまま輝きやすい。
  • 灼熱地獄
    • 青天井ルールに加え、能力が溜まりやすく、字牌に1枚ずつ赤ドラが発生する。
      • インフレ傾向の青天井。とんでもない点数が出やすいので即死しない限りは逆転が生じることもままある。
  • 妖怪の山
    • 赤ドラと食いタンなしのデフレルール。競技ルールほどではないがランダム要素が減ったといえるか。
    • 能力なしにすれば通常卓と同じような遊び方も出来る。
  • 守矢神社
    • 自風牌がドラになる。元々ドラであればダブドラになるためかなり強い。
    • 博麗神社と異なり自分にとってドラでない風牌が他の誰かのドラ牌ということなので不要牌になりがちだが捨てにくいというジレンマになりやすい。
  • 地霊殿
    • 赤ドラなし、ロンによる和了の点数が2倍になるのに加え、トップが親番の時はトップの手牌が常時公開される、という危険な卓。
      • ロンによる和了2倍は紅魔館の対照といえるが、トップの手牌公開のルールがかなり厄介。当然、トップがロン和了できる可能性はほぼなく逆にトップの捨てそうな牌で待つといった作戦がとりやすい。
    • なお、ダブロンやトリロンもあるのでそんな状況になると悲惨である。
  • 命蓮寺
    • 最下位は点数の収入が2倍となる。また、副底を除く符数が2倍となる卓。前者は初心者向けのルールかと思いきや後者は初心者が疑問符を浮かべそうなルール。
      • 詳しい符数のルールは割愛するが、ヤオ九牌を暗カンすれば64符となるため、通常では生じない2翻120符以上の満貫が見られることもある。
    • 最下位の点数が2倍になるため、負けていても逆転が狙いやすく、中途半端に相手を最下位にするとリスクが高まるということでもある。
  • 無縁塚
    • 食いタンなし、赤ドラなし、リーチ棒は0点扱い。そして、点数計算の際に収入は無視して支出のみが計算される。
      • 支出のみが計算されるということは例えば親が満貫をツモると4,000点ずつ他のプレイヤーの点数を減らす計算のみが行われるということである。
    • 一度減った点数は増えないため、失点をいかに防ぐかが重要である。自分より高い点数の人がいる限りその人から点数を奪わない限り絶対に勝てない。
      • ただし、逆に言うと失点しないことが何より重要なので、他のメンツで奪い合いをしてくれた結果1度も和了してないのに1位を取れる可能性もある。
  • 夢の世界
    • トップと2位の点数差が5,000点以上ある時、トップ以外の手牌に2枚の風牌が積み込まれるようになる。
      • 説明文としては上記の通りだが、積み込まれるのは(自風牌の)風牌のようである。そのため、トップ以外は手作りがしやすくなり鳴き手も作りやすい。
      • 基本的にトップ以外は自風牌を2枚持っていることが確定なので客風牌の処理をどうするかはトップはもちろんのこと他のプレイヤーもよく考える必要がある。ドラならばなおのこと。
  • 能舞台
    • 永遠亭のルールからドラ絡みと一発のルールを戻したルール。Mリーグのルールといえば分かる人には分かるか。
    • 永遠亭ほどではないが、堅実な手が求められるのは変わらない。
  • 魔界
    • 能力ゲージが非常に溜まりやすい。ただし能力を使うごとに1,000点を供託する(リーチ棒のような扱い)。赤ドラなし。
      • 能力ゲージの溜まりやすさは全卓中トップ。第一ツモ時に利用可能な能力が毎局使えるくらいには早い。
    • 能力は使いやすいが使用する度に1,000点ずつ吸われていくので和了できないとそれだけじり貧になっていくということでもある。
      • 和了時に使う能力は性質上ノーリスクで使える。
    • なお、能力なしの場合は通常卓と同じ感覚で遊べる。
      • 言ってしまえば赤ドラなしの通常卓である。
  • 香霖堂
    • 8,000点未満の和了では点数が移動しない。リーチ、ダブルリーチ、役牌の翻数が2倍になる。
      • ダブルリーチ、連風牌なら4翻ということである。
      • 点数移動なしの場合であっても和了はできる。親なら連荘も可能。また、積み棒込みの点数でいいため、7,700点の1本場8,000点ならば点数移動が発生する。
    • リーチや役牌の翻数が2倍になるため、これらの役が重要となってくる。面前でリーチを目指すか、役牌を絡めた手を作るかの判断力が問われるところだろう。
  • 人間の里
    • 三人麻雀専用。字牌が存在せず、代わりにマンズの2~8が存在する。チーが可能。
    • 一風変わった三人麻雀が楽しめる卓。チーも可能であるという特性上かなり早い手作りが出来る。
    • 字牌が存在しないため字牌が絡む役は一切完成できない。また、唯一三人麻雀で三色同順が完成させられる卓である。
  • 隙間の向こう側
    • ドラ表示牌2枚、そして割れ目ルールというインフレ卓。
      • 紅魔館地下室と異なり、こちらは割れ目は局ごとに決まり固定。割れ目の時は慎重かつ大胆に打つことが求められる。
    • そして、もう一つの特徴はインフレ気味の卓であるにもかかわらず配給原点が25,000点という点。半荘戦も可能であるが、割れ目の親の跳満で一発KOということも普通にある。
  • 畜生界(Ver.1.10で追加)
    • 通常牌に加え花牌4枚が加わる。花牌は手牌に含まれる場合には強制的に抜きドラとして処理される。
      • 花牌がドラ表示牌の場合は抜きドラが+1飜となる。
    • 赤ドラはなし。
  • 虹龍洞(有料DLCで追加)
    • 連荘なし&飛びなし。
    • 赤ドラが各5牌に2枚ずつの計6枚(三人麻雀の場合4枚)で、積み棒が1本あたり1500点(三人麻雀の場合2000点)になる。
  • 月虹市場(有料DLCで追加)
    • 連荘なし&飛びなしで青天井ルール。
    • 1位が和了した場合は次の局では全ての牌に1枚ずつ赤牌が生成される(計34枚)。
  • 四人麻雀と三人麻雀がどちらも遊べる。四人麻雀は東風または半荘戦、三人麻雀は半荘戦固定である。
    • 三人麻雀については、北は抜きドラとしては扱われず、全員の固定役牌として扱われる。
    • オンラインやローカル通信で他のプレイヤーと対局可能。プレイヤーが足りない場合はCPUを入れることも可能。
    • 他のプレイヤーと対局する場合は、対局室にパスワードを設定し、フレンドのみで対局することも可能。
  • なお、本作のキャラにはボイスは一切設定されておらず、役読み上げについては汎用のボイスである。

評価点

バリエーション豊富なルール

  • 本作に登場する卓は20種類以上であり、卓ごとに異なったルールが楽しめる。
    • 全ての数牌に1枚ずつの赤ドラが入る、ドラ表示牌が常に2枚になる、といったインフレルールから、赤ドラなし、裏ドラなしといった競技ルールに近いルールまで多岐にわたる。
    • 上述の通り、青天井や割れ目、導火線など他の麻雀ゲームではほぼ見られないものも楽しめる。
  • そして、通常卓以外では能力を使った対局も可能。キャラ毎に異なる能力があるため、使うキャラを変えれば遊び方も大きく変わることになる。

原作をモチーフにした能力設定

  • 107名+αのキャラクターが1つずつ固有の能力を持っている。
    • ルーミアの「自分の手牌と河を隠す能力」やチルノの「誰かを凍らせて一定時間ツモ切りさせる能力(ただし、原作でおバカと呼ばれているためか、自分自身が凍ってしまうこともある)」などある程度原作を踏まえた能力が設定されている者もいる。
      • こいしの「自身の捨て牌に対して副露できなくする能力」やレミリアの「赤ドラを生成する能力」などイカサマ麻雀でもあまり見受けられないような能力も多い。
    • イカサマ麻雀でありがちな発動すればそれだけで勝負が決まるといった極端な性能の能力はあまりない。
      • 更に、強力な能力は能力ゲージが溜まりにくい、ストックができない、逆にマイルドな能力は能力ゲージが溜まりやすいため比較的使いやすいといった形でバランス調整がされている。
      • ただ、能力が卓にバッチリ刺さるといったケースはあるため、全てのキャラをどの卓でも使えるといった状態にはなっていない。この点は問題点で詳述する。

洗練されたアレンジのBGM

  • BGMは卓ごとに設定されている。原曲を活かし、質の高いアレンジがされている。
    • BGMだけを聞くことが出来るサウンドテストのような機能が無いのが残念なところである。
    • 当初は対局BGMを選択する機能もなかったが、これはバージョンアップにより追加された。

賛否両論点

キャラクターにボイスがついていない

  • キャラクターが売りのゲームとして、ボイスがつくことを望む意見も多いが、本作ではキャラクターには一切声がない。
  • ただ、『東方Project』については、原作にキャラクターボイスがなく、公式でどのような声をイメージしているか、などのアクションもない。東方シリーズの二次創作ゲームでボイスがついている作品も少なくないが、これはあくまで二次創作として各作品ごとにキャラクターボイスを設定しているだけである。
    • このような経緯から、ボイス不要派も多い。それに加え、本作ではストーリーモードやキャラ雑談などに重きを置いた要素がないため、ボイスがあってもリーチ、ロンなどの発声に限られ、そのためだけに107名+α分のボイスを用意することは難しいと思われる。

対局以外の遊びがない

  • ストーリーモードや称号といった要素は過去にはあったが、本作ではあくまで対局のみでありそれらの要素は一切ない。
  • もっとも、過去作ではプレイに応じてキャラを解放することが出来るというものもあり、それと比べれば最初から全てのキャラ、卓が使えるのでストイックに対局がしたいだけなら面倒な要素がないのは好評価だろう。
  • 本作固有の問題点というわけではないが、Nintendo Switch Onlineに加入しておらず、ローカル対戦できるフレンドがいない場合はCPUと対局するしかないので注意。

問題点

麻雀に関する説明がない

  • 麻雀ゲームであるにもかかわらず、説明書には操作と画面の説明しかなく、麻雀の説明がない。よって、東方原作は好きだが、麻雀は分からない、というプレイヤーへの配慮は一切されていない。
    • チュートリアルや練習機能もない。基本的に麻雀を知っている人向けに作られている。

キャラクターの能力の性能差が大きい

  • キャラ数が多いこともあって、キャラクターの能力の性能差は歴然としている。
    • 評価点記載のとおり、ある程度バランス調整はされているのだが、それを勘案してもやはり強すぎる能力、リスクとリターンが釣り合っていないような能力、そもそも使いどころがない能力など様々である。
      • 『紺珠伝』以降のキャラになると能力のネタ切れなのか、使い勝手が悪かったり、よく考えて使わないとリスクが高い能力が多かったりしている。
        + 能力の差についての詳細 強すぎる能力
      • 天子や永琳、聖、文の能力が挙げられる。
        • 天子は「第1ツモ時に最大三枚までの牌を次の牌と交換(例えば萬子の3を指定すると萬子の4と交換する)できる」というものであり、当初のバージョンではその牌が山牌に残っていないということもなければ確実に成功するとんでもない高性能であった。
          • 配牌次第ではダブルリーチはおろか、天和、地和も狙えるぶっ壊れ性能であった。
          • ゲージの貯まりやすさはそれほどでもないため、毎局使うのは難しいが、後述する聖ほどではないため、ある程度気軽に使える。
          • 賢くないCPUだとそれ程脅威にならないが、プレイヤーが使うと損することは基本的にない強力な能力。
          • アップデートで失敗の可能性ができた上、刻子を狙った場合は失敗しやすいということで弱体化されたものの、利用した結果損するということは基本的にないため未だに最強クラスの能力であることは変わりない。
      • 永琳は「特定の種類の数牌に偏ってツモる」ものであり、6巡の間萬子、筒子、索子のいずれか1種類に偏ってツモる効果であり、染め手がかなり作りやすい。
        • 手牌が特定の数牌に偏っており、バッチリ能力でその種類をツモってくれば能力発動中に聴牌してリーチ一発ツモすら狙える。
        • そうでなくても、6巡の間は基本的には能力で決まった種類の数牌をツモってくるため染め手はかなり作りやすい。
        • ゲージストックは不可能だが、ゲージそのものは貯まりやすい部類。順当に手が完成していくため、CPUが使っても普通に強い。
        • 同じような能力で「風牌をツモりやすい」フランもいるが、こちらは効果は4巡、山牌に風牌があっても普通に失敗することもある、ゲージが貯まりにくい、他の風牌積み込み能力と重複するなど効果的な利用が難しいため単純な脅威度でいえばそれほどでもない。
          • バッチリと刺されば字一色や四喜和が出てくる脅威こそあるが、流石に手牌に余程恵まれていなければ精々混一色+役牌止まりだろう。
      • 聖は「自分の手牌の内一枚といずれかのプレイヤーの捨て牌を任意で一枚交換できる」という強力な能力。
        • 交換して即ツモ上がりということは流石にできないが、一向聴から聴牌に持って行くという意味ではかなり強い。
        • 聖に限らないが、捨て牌と交換出来る能力は交換した牌を相手が捨てたことに出来る、つまりフリテンにすることが出来る効果も持っているため、当たり牌と思われる牌を河にねじ込んでフリテンにしてしまうという使い方もできる。
        • ゲージが非常に貯まりづらいため、ゲージが貯まりやすい一部の卓を除くと一局で1回使えるかどうかの切り札ではあるが上手く決めればかなり強い能力である。
      • 文は「能力利用後に再度自分がツモすることができる能力」であり、牌を捨てた直後に再度自身がツモることができる能力。
        • 単に再度自身の番にすることができる能力であり、それ程強くなさそうだが、「能力直後に捨てた牌を鳴くことができない(ロンは可能)」、3ストックまでチャージ可能、ゲージが貯まりやすいという条件なのでかなり強い。
        • ドラや役牌など鳴かれると困る牌を捨てるためだけにも使え、それに加えてツモ回数が増えるため手が進みやすくなる。
        • 使って損する場面もほとんどなく、気軽に使えるため初心者向けであるが、なかなか強い。
      • 特に天子や聖のような牌交換系の能力持ちは複数居るが、「いつでも使えるが交換先の牌は選べない」(咲夜)、「第1ツモ時にしか使えず何が交換されるかも選べない」(小悪魔)や、「自身の任意の捨て牌とのみ交換出来る」(燐)、「任意の捨て牌を選んで交換できるが、手牌からはランダムで交換される」(リリカ)など事実上下位互換になっているものばかりである。
        • 代わりにゲージが貯まりやすい、ストック可能などバランスは考えられているのだろうが、「強力だが使える回数が少ない」と「それ程でもないが使える回数が多い」のバランスが整っているとまでは言い難い。
      • 発動機会が滅多にない能力

        • 筆頭は幽香の「カンドラがモロ乗りする」もの。山牌にカンドラ表示牌となる牌がない場合を除けば失敗しないため、ほぼ確実に4飜増やせるが、カン自体がそうそうできず、能力のためだけにカンした結果役無しとなるリスクもある。
          • 二本までストック可能、ゲージもそこそこ貯まりやすいものの、発動条件が難しいため、特に四人麻雀だと1回も使える機会が無く終局することも多い。
          • カンした結果手牌がバレてしまう上、ドラが乗った暁には警戒必至なので結局上がれるかどうかも難しい。
        • 青娥の「フリテン判定を受けない」能力も発動が難しい。そもそも、普通にやっていればフリテンを避けようとすると思われる*4ため、敢えて引っかけに行くような作戦をとらない限りあまり使えない。
          • 逆に能力を使ってリーチをすれば自身の捨て牌に上がり牌がある……と情報を与えるようなものであるため、引っかけに行くならブラフで使うことも重要である。
          • 単にフリテンを解消したいだけならそもそも牌交換系の能力で代用可能。

        使いどころが見出しにくい能力

        • あうんの「次のツモで自身の孤立牌と同種の牌をツモる」能力は例えば萬子の4が孤立牌(1枚しか持っておらず、2,3,5,6の萬子など順子を構成するための牌もない状態)であれば、いずれかの萬子をツモってくる能力である。
          • 孤立牌をフォローするような牌を持ってくるとは限らないため、上記の例で萬子の1や7,8,9といったように更に孤立牌が増えてしまうような牌を持ってきてしまう事もある。せめて、「孤立牌と同じ牌をツモる」能力であればと悔やまれる。
          • 失敗こそあるが、指定した牌をツモってこれるはたてや直前のツモ牌と同じ牌をツモれる響子などの方が使い勝手がかなり良い。
        • 紫の「残りツモ牌を8枚減らす」能力も使い道がほぼない。
          • PC版では残り山牌が8枚以下の状態で使うと即座に流局させることができたため、ツモ時に利用して海底をつけたり、リーチを掛けられた際に流局させることもできたが、本作では残り山牌が8枚より多くないと使えない。
            • あと少しで流し満貫が成立しそうな場面や、少しでも相手のツモ回数を減らしたい場面などでは使えなくはないが使い勝手は確実に悪くなった。
        • そんな中で最も不遇といえるのが舞の「積み棒を増やす」能力である。点数移動時に300点(三人麻雀なら1,000点)増える……それだけ。
          • 自分が上がれば300点貰える点数が増えるのは確かだが、誰が上がっても効果は出てしまう。5本場になれば二飜縛りといったルールもなく、八連荘*5も当然ないため、使い道はほぼ皆無である。
            • そもそも点数を増やす系の能力であればドラを生成するなど明らかに強力なライバルがたくさんあるため、たった300点増やすだけ、しかも相手が恩恵を受けることすらある能力など無能力同然である。
            • 舞の相方といえる里乃の「積み棒の点数を3倍(三人麻雀では2倍)にする」能力もかなり地味である。ただ、里乃の方は上がり時に利用する能力なので、少なくとも自分が損することはない
  • 相性や卓によっては刺さる、というキャラクターもいなくもないが、まともに使える能力は半分程度と言って良い。勝とうと思うなら使うキャラクターを選ばなければならず、キャラクターは好きだが能力が弱くて不満に感じるユーザーも少なくない。
  • 卓の性質等によって能力ありでも実質無能力となってしまうキャラもいる。
    • 例えば、裏ドラを高確率で乗せるてゐは裏ドラがめくれない永遠亭では無能力である。
    • 三人麻雀ではチーした牌を手牌に戻す豊姫は事実上無能力となる。唯一人間の里のみ能力が活用できる。

麻雀ルールとしての誤りがある

  • 通常、麻雀において認められない送りカンが認められている。
    • 送りカンとはリーチ後に待ち牌は変わらないものの牌構成が変わってしまうカンのことであり、発覚時にはチョンボとなる。しかしながら本作ではこのような送りカンが認められている。
    • 当初不具合だと思われていたが、Ver.1.02の配信の際に仕様と発表されている。なおこの送りカンについては処理が複雑なのか、本作と同様にチョンボ扱いしない麻雀ゲームもしばしば見られる。
  • また、残り牌が3枚以下でのリーチ*6、喰い替え*7も認められている。こちらは一応現実にも認められるルールもあるが、一般的なルールでは認められないことが多いため注意。

選択時に能力に関する説明がない

  • キャラクター選択画面でキャラクターの能力を確認することができない。
    • 能力は、初回使用時と、対局中にポーズして、ルール確認をするときのみ表示される。
  • 公式サイトには、一部のキャラクターのみ能力の紹介がある。
    • 能力の説明は簡素であるため、バグなのか仕様なのかも分からない現象が多い。
  • つまり、多くのキャラは試しに使って初めて能力が分かる。
    • 過去作の能力を踏襲している者が多いためPC版経験者にとってはまだ良いかもしれないが、それでも細かい仕様変更があるので経験者でも注意が必要なケースも。

バグが多い

  • 初期の頃よりは減ったが、Ver.1.04でも進行不能になるバグが存在している。
    • 例えば以下のような重大なバグがあった。
      • 永琳の「特定の種類の数牌をツモる」能力では、6巡の間、マンズ・ピンズ・ソーズのいずれか1種類をツモる効果だが、選ばれた数牌が山に存在しないとフリーズする。三麻でマンズが選ばれたときに多い。
      • 燐の「捨て牌と手牌を交換する」能力をCPUが使うと、なぜかフリーズすることがある。
  • バグとは言えないが、対戦キャラクターの組み合わせによって弱体化してしまう能力がある。
    • 積み込み系能力(発動した次の局の配牌を操作する系の能力)で、操作の内容が被ると効果を発揮しなくなってしまう。リリーの「次の局で白を仕込む」能力では、リリーが複数人いて能力を同時に発動した場合に白の取り合いになってしまう。
  • 説明と違う能力のキャラクターも存在する。
    • 上述の通り、永林は5巡と書いてあるが6巡である。
    • 修正済みだが、燐の能力は「捨て牌を交換した際にツモ和了ができない」という仕様だが、発売当時はツモ和了が出来たためかなり強力だった。

CPUの思考ルーチン(AI)が単純

  • メインは対人戦であるためか、AIの作り込みはされていない。
  • テンパイ即リー、役牌即ポン、他家がリーチしてもオリないなど、とにかく攻めてくる傾向にある。
    • 愚形で1巡目でリーチしたり、突っ張って一発振り込みしたりと、駆け引きにおいては初心者そのものである。
  • 各キャラクターの能力に対する個別のAIはほぼ設定されていない。
    • 唯一、ナズーリンの「ダマテンでツモ率上昇」など、ダマテンに関する能力を発動したときのみ、リーチをしないAIになっている。
    • スターサファイアの「リーチ者の待ち牌が分かる能力」を使っても、CPUはリーチ者に振り込みをする。
    • ルーミアやミスティアの目くらまし能力は、対人戦では大いに効果ありだが、CPU戦では全く意味がない。CPUはすべてお見通しかのようにポンしてくる。
  • ほとんどのキャラクターが、能力ゲージを即消費する。
    • スターサファイアの「リーチ者の待ち牌が分かる能力」は3スタックできるが、CPUは「誰かがリーチをしている」という条件だけで能力を使うため、スタックが溜まっていると無闇に連続して能力を使う。その上、上述の通り振り込みすらするのでもはやギャグの領域。
    • 一部のキャラクターは能力をすぐに使わない。一見使うタイミングを考えているように見えるが、単に毎順○○%の確率で発動、という乱数を使っているらしく、結果としてタイミングを逸していると思われることも。
      • 例として風牌をツモりやすくなるフランがある程度風牌が捨てられた中盤に能力を使うなど。
  • 一応、バージョンアップで多少は改善された……らしい。

対戦ゲームとしての細かな機能不足

  • 以下のような機能は一般的な対戦ゲームでは見られるが、本作にはない。なお、BGMを変更する機能と点数を差分表示に切り替える機能はバージョンアップにより追加されている。
    • ルールや卓の設定を記憶する機能
    • キャラクターの能力を表示する機能
    • ランダムセレクト機能
    • BGMを変更する機能
    • 点数を差分表示に切り替える機能
    • 対人戦におけるレーティング機能

オンライン対戦の敷居の高さ

  • 卓のルールやキャラの能力をしっかり把握しておき、それなりのキャラクターを選ばないと勝つことは難しい。
  • レーティング機能がないため、熟練者と初心者の棲み分けもできていない。
  • 2020年5月時点で、休日の夜の時間帯はオンライン対戦が10~20卓ほど、昼間は0卓とかなり過疎状態になっている。
    • 上述の通り、Nintendo Switch Onlineに加入していないとオンライン対戦ができないのも要因の一つかもしれない。

旧作キャラの未登場

  • ファンからは旧作と呼ばれる『東方靈異伝』~『東方怪綺談』のキャラクターは一切プレイアブル化されていない。
  • 過去にD.N.A.Softwaresが直接リリースした東方幻想麻雀シリーズでは旧作の幽香や岡崎夢見、神綺といった旧作キャラクターが登場していたため、未登場を残念に思うファンも少なくない。

総評

いわゆる能力系の麻雀ゲームであるが、個性豊かな能力、卓があるため、いろんな気分で対局を楽しむことが出来る。
能力なしのガチ対局がしたい場合は能力なしに出来るため安心である。

ただ、対戦以外のコンテンツがないため、対戦以外に楽しみを求めるファンにとっては残念である。
対戦についてもバグが多い、能力バランスが悪い、機能不足など、改善すべき点が多数ある。
Switchでプレイできることを除けば、PC版の劣化ゲーになってしまっているといえる。

余談

  • 2024年に、Switch版と同じくメディアスケープを発売元としたSteam版のリリースが予定されている。その際には、アドベンチャーモードなども実装予定とのことである。
最終更新:2023年12月09日 11:10

*1 ちなみにPC版においてもZUN氏が実写で参戦していた作品がある。

*2 満貫などの点数制限を無効化し、純粋に飜数と符数で点数を計算するルール。ただし、ゲームの都合上4億点を超える場合は4億点として計算される。

*3 割れ目は山牌を開いた位置のプレイヤー(東家のプレイヤーの前で山牌を開いた場合は東家のプレイヤー)は点数計算時の収支が2倍となるルール、導火線は割れ目と同じようなものだが、現在の山牌の位置によって割れ目の効果を受けるプレイヤーが変わっていくルール

*4 当然といえば当然だが、本作では聴牌時に待ち牌が表示されるため敢えてフリテンで待つケースは少ないだろう

*5 ローカル役の一つで8回連続で同一プレイヤーが和了する、8本場で和了する場合に役満とするルール。後者のルールであれば積み棒を増やせばそれだけ八連荘が近づくことになる

*6 次の自分のツモが来ない状況、三麻では2枚以下

*7 既に手元に順子や刻子が揃っているのに、相手の捨て牌でチーやポンを鳴いてそれを崩し、直後に余りを捨てる行為。例えば手牌に123が揃っているのに、相手が捨てた4でチーをして直後に1を捨てることを指す。