JINKI EXTEND Re:VISION
【じんき えくすてんど り・びじょん】
ジャンル
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美少女&メカニックADV
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対応機種
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Windows XP(SP3~)/Vista/7
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発売元・開発元
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戯画
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発売日
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初回限定版:2010年11月26日 通常版:2010年12月3日
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定価
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8,800円(税別)
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レーティング
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アダルトゲーム
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判定
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なし
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ポイント
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驚愕(?)のエロゲー化 原作未見者お断り 戦闘シーンは紙芝居 今となってはまともに完結させただけでも評価出来る
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戯画作品
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少年ガンガンシリーズ
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概要
巨大ロボット漫画『ジンキ』シリーズを原作としたアダルトゲーム。
シリーズ4作目『ジンキ・エクステンド リレイション』の単行本1巻帯に本作のゲーム化が報じられていたが「まさかのアダルトゲームだった!」と度肝を抜かれたファンは多かった。
システム面はオーソドックスなアドベンチャー形式を取っており、選択肢によってフラグが構築されていく。
評価点
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長らく未完だった『エクステンド』東京編に一つの決着をつけた事。
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詳細は後述するが、本作の元となっている『エクステンド(シリーズ第2作)』の東京編は作者の雑誌移籍の影響で結末が不明瞭な状態だった。
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そのため、本作の終盤はゲームオリジナルストーリーで進行しており、結末も独自のものとなった。各ヒロインごとのエンディングも用意されている。
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原作者自ら原画とキャラクターデザインを担当しているため、イベントスチルやキャラ立ち絵などCGのレベルが高く、原作の雰囲気も損ねていない。
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ただし塗りは淡いグラデーションを多用したよくあるエロゲー塗りであり、原作での陰影をくっきりと分けたアニメ塗りに大して違和感があるという声もある。
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後にイベントスチルは原作者が出した同人誌にて、塗りを原作とほぼ同様のものに変えて再録している(後述)。
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原作ネタの再現や小ネタの回収など細やかなファンサービス。
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ヒロイン・黄坂ルイと敵キャラであるカリス・ノウマンとの会話など。
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この二人は原作1巻では関係性が不明瞭であり、後に因縁が明らかになったことを踏まえた会話が新たに描かれている。
問題点
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シナリオの質が高いとは言えない。
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基本的に話の流れがほぼ原作コミックそのまま。一応細かな違いはあるが、大して変わらない。
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一部では原作で多分にぼかされていたヒロインの過去が、ほぼ悪い方向で確定したシーンもあり、原作ファンからも好き嫌いが分かれる部分がある。
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本作オリジナルの主人公の存在意義。
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元々、原作で別キャラが担当していた箇所に本作の主人公を強引にねじ込んだせいか、主人公のキャラにブレがある。
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例えば、あるシーンでは熱血漢のような性格だが、別のシーンでは冷静な性格のように見えるなど描写が一貫していない。
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さらにいうと、台詞すらも原作で別キャラが言っていた台詞そのままである事も多い。早い話、いなくても問題のない箇所が多い。
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一応、終盤では独自の活躍もするにはする。
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他にも、設定があまりにチートすぎるとして不評にもなっている。
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戦闘シーンすらも紙芝居。
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ただ巨大ロボットの立ち絵が表示されて、それがちょこまかと動く程度。攻撃は選択肢で決めるという簡素な物。
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立ち絵に関しても「のっぺりとしている」という声があり、不評。
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原作は巨大ロボットのアクションシーンに定評があり、派手なアクションを期待した者もいる。
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本作でも一応、巨大ロボットアクションのCGは多数用意されている。
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キャラゲーとはいえ、原作未読のユーザーに対する配慮が足りない。
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前述の通り、本作は東京編を原作とした物であるが原作『無印』に対しては劇中でキャラが語るのみである。
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専門用語が頻繁に出てくるが、それに対する説明が足りず置いてけぼりを喰らったユーザーも多い。
総評
元々、戯画はバルドチーム以外が制作した作品は大抵クオリティに大きなバラつきがあるとして賛否があり、本作もそれ程良い出来とは言えなかった。
原作ファン以外には勧めづらい出来であり、原作ファンからも「お気に入りの子がレイプされている」「小ネタが豊富で嬉しい」と賛否両論である。
そういった内容である事を納得した上でなら原作ファンは手を出してみてもいいかもしれない。
備考
ここでは『ジンキ』シリーズの予備知識を記述する。
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原作漫画の沿革。
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『ジンキ』(通称「無印」「ベネズエラ編」)は2000年に月刊ガンガンWINGにて約1年間連載。
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その後エニックス御家騒動の影響で月刊コミックブレイドに移籍して第2作『ジンキ・エクステンド』(東京編とミッシングリンク編の2部構成)を2006年まで連載。
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本作の原作となったのは、この『エクステンド』東京編である。
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2011年6月から完全版全3巻が刊行。
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2008年に月刊コミック電撃大王にて第3作『JINKI -真説-』(ベネズエラ編・ミッシングリンク編の完結編)を連載。
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同年には時系列を整理し一つのタイトルに纏めた完全版コミックス全5巻が刊行。
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2009年から2012年にかけて月刊ドラゴンエイジ誌上にてシリーズ第4作『ジンキ・エクステンド リレイション』(東京編の続編)が連載。
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2016年から秋田書店の月刊チャンピオンREDにて第5作『人狼機ウィンヴルガ』を連載開始。
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作中の巨大ロボットは今まで通り「人機」と呼ばれているが、世界観は一旦リセットされており前シリーズとの繋がりは一部用語が共通する程度で現時点では不明瞭となっている。
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2022年には雑誌の規制が厳しくなった影響で同社の月刊ヤングチャンピオン烈へ移籍し『人狼機ウィンヴルガ 叛逆篇』として再開。こちらは前シリーズの直接の続編となっており、徐々に繋がっていく構成となっている。
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作者の趣味かエログロ表現などの描写が多く、シリーズが進む度に過激化している。
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特にレイプ描写は最たるもので、冗談交じりだが本作の合言葉として「レイプ!」なんてものがあるほど。
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4作目となる『リレイション』は連載中断による打ち切りEDかつレイプ描写ありの救われない終わり方となり物議を醸した。ここで「付いていけなくなった」と語る元読者は多い。
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さらに作者が出した同人誌によってバッドエンドを迎えた事が確定してしまっている。
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『ウィンヴルガ』は今まで以上にレイプ描写に力が入っており、敵の目的も村を襲って女性達への陵辱、奴隷化させて人身売買、極め付けに金属棒をあそこにぶっ挿す(通称「鉄串」)と前作までがマシ(というより完全に凌辱系エロゲーそのもの)に見える程となった。これには流石に作者も「ひどい話です」と念を押してはいるが。
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そんな作風もあり、ゲーム化発表当時からエロゲー化したのは自然な流れと見た原作ファンも多かった。とはいえ元々はそういう要素が薄かった事やロボットバトルを重視するファンもおり、古参読者からは賛否両論となっている。
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また、「凌辱描写に力を入れるせいでキャラ描写やストーリーが薄い」という指摘も多く存在している。
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以上のように原作は連載雑誌を転々としている流浪の漫画である。
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こうなった事には作者の綱島志朗氏の都合が大きいのだが詳細を書くと長くなるので省略。詳しく知りたい人はWikipediaなどを参照。
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作品内容が(アダルト化も含めて)変わるのはまま在る事だが…うん。
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2005年にTVアニメ化されている。
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『無印』と『エクステンド』を折半した内容なのだが、連載中だった事を考えても中途半端な結末になってしまっており評価は低い。
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他にもOPアニメが『機動戦士ガンダム』そのまま、アニメ化の際にコミックスの帯に付けられたやけに挑発的なキャッチコピー「すべてのロボットアニメは道を譲れ!」など、悪い方向でも有名。
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一応原作では未だ実現していない『無印』と『エクステンド』の主人公の共演を先に成し遂げ、物語も完結させた(当然本作より前)評価点があるにはある。
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もっとも、アニメ及び本ゲームの評価点は「原作のグダグダが深刻化した事でストーリーの一部分が再評価された」という笑えない事情も否定できないのだが…。
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2020年3月27日にエロゲー『ジンキ・リザレクション』が発売された。
またエロゲー?
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本作の続編ではなく、2011年に発売された完全版コミックスの2年後の世界を舞台としている(つまり本作とはパラレル関係)。また、主人公も原作同様のキャラとなる。
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『リレイション』以降は色々と問題がある為「いっそこれで良い」とも言われているが、「『リレイション』以降の展開もパラレルにしてしまうのか」と不安視する意見も見られている。
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概ね評価としては18禁シーンを中心に評価は高めだが、システム面で酷評される事となり、KOTYエロゲー2020で次点入りとなった。
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何と一般向け移植が決まり、エンターグラムからPS4とSwitchで2021年2月25日に発売された。
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同日に体験版も配信されたので気になる方はやってみるといいだろう。ただしシステム面は多少遊びやすくなったものの、高評価の18禁シーンは当然カットされている。
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意外と売れたのか、2023年にはリアルタイムストラテジーとしてPC用18禁版『JINKI -Unlimited-』とPS4/Switch用全年齢板『JINKI -Infinity-』が発売予定。
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当初は12月23日に3バージョン同時発売の予定だったが、重大な不具合が見つかったことで『Unlimited』は1月27日に、『Infinity』は3月23日に発売延期となった。
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その後『Unlimited』は予定通りに発売されたが、『Infinity』は4月27日に再延期された。
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だが不具合はそれでも直されておらず、結果的に『Unlimited』は2023年KOTYinエロゲー板で大賞を受賞する形で汚名を残したまま、2023年3月31日をもって戯画は全ての事業を停止して解散。ブランド晩節を汚すことで幕を下ろした。
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後に『人狼機ウィンヴルガ 叛逆篇』にて、アニメのワンシーン及びゲームシリーズのヒロインたちがカメオ出演し話題を呼んだ。当作の中では、派生作品は一種の平行世界の扱いらしい。
余談
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初回版特典は本作のサウンドトラックが、予約特典は『BALDR SKY』の戦闘システムを流用したミニゲームディスクが付いていた。
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これの影響なのか、後の作品『BALDRSKY ZERO』では、原画とキャラクターデザインを原作者である綱島氏が担当することとなった。
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綱島氏は『スーパーロボット大戦 ORIGINAL GENERATION2』のアニメ化作品である『スーパーロボット大戦OG ジ・インスペクター』のED原画を担当している(クレジットでは誤植により『綱島志郎』となっている)。
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『ジンキ』の『スパロボ』参戦フラグと見るファンも多いが、綱島氏はTwitter(リンク切れ)での質問において「僕がウロウロしたせいで(参戦は)難しいかも…」と述べている。
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本作の立ち絵などの資料や原画などは、原作者が直接出した同人誌(18禁)にて多数収録されている。原作漫画シリーズの資料集としても価値はある。
最終更新:2024年08月25日 23:10