スーパー五目・将棋 -定跡研究篇-

【すーぱーごもくしょうぎじょうせきけんきゅうへん】

ジャンル 五目/将棋
対応機種 スーパーファミコン
発売元 日本物産 (ニチブツ)
開発元 メトロ
発売日 1994年11月18日
定価 9,500円
周辺機器 スーパーファミコンマウス対応
判定 なし
ポイント 初心者お断り
定跡対局
指定局面の先駆け


概要

SFCで将棋ゲームが続けて発売され盛り上がりを見せる中、ニチブツからも将棋ゲームが発売。『クレイジー・クライマー』で有名なだけあってパッケージの時点で色々とカオスである。
五目並べや将棋の定跡、指定局面などの付加価値を打ち出してきている。

本作の特徴

  • 本作は将棋と五目が遊べる他にも色々なモードも充実。ゲーム案内はダルマのキャラクターが務めて、対局中に定跡手を指すと出てくる。
    • 勝ったり負けたりした際はダルマの一枚絵が出て来る。

3つのモード

フリー対局

  • 3人の対局相手
    • すずきひろし 8きゅう
    • もりばなおこ 5だん
    • いじゅういんうたまろめいじん
  • プレーヤーの腕前に応じて3種類の強さに対応してくれる。年齢、趣味、通称が出るが、顔グラも用意されており勝敗に応じて表情も変えたりする。歩で桂を取ったり、と金を作ったりする際は格言を語り掛けて来る。
  • 駒落ちについては「定跡対局」を経由してくれば、飛、角、2枚落ちの上手下手を持てる。ただし相手を打ち負かした際の顔は見れない。
  • 五目の相手も務めるが、プロフィールは全く変わらない。

「定跡対局」(将棋のみ)

  • 30近くにも渡る定跡
    • 矢倉崩しや穴熊などの定跡が用意されており再生する事が出来る。*1
  • 定跡でも3人の対局相手
    • 何故か棋譜閲覧なのに3人の対局相手を選べるのだが、それは更にその続きから対局可能という事である。勝っても特に何もないとはいえ指定局面という概念は一応ある。
    • 更に、駒落ちとして角落ち、飛車落ち、二枚落ちも用意されており、こちらは定跡は無いもののハンデを付けて3人と対局できる。

将棋ずもう

  • 春場所~冬場所を繰り返しながら、序の口から横綱まで昇段していくモードである。オートセーブに対応。
    • 序の口、序二段、三段目、幕下、十両、前頭二枚目、前頭一枚目、小結、関脇、大関、横綱。そして優勝すると、金のダルマが登場する。
    • しかしながら問題点もあり、後述させて頂く。

五目も遊べる

  • 本作は将棋の他に五目並べで遊ぶ事が出来る。
    • こちらの方は定跡対局はないものの強いCPUが猛威を振るう。

評価点

  • オープニング
    • 画面奥からSUPERの文字がやってきてSFCの性能を実感させてくれる。そして、一休さんがお師匠さんと対局して最後に鐘を鳴らすのだが、一枚絵ではなくアニメーションである。拡大縮小だけでは終わらずドット絵も素晴らしい。滑らかな動作で通路を曲がる際もブレーキを意識したり細かい。
  • 定跡対局
    • 本作ではオマケみたいな位置付けで利便性も良いとは言えないのだが、「指定局面からの開始」というプロ棋士監修のSFC将棋にすらなかった独自の要素を樹立。
    • 当時のコンピューターは序盤中盤は弱いためそこでリードして終盤で押し切るのがセオリーだが、定跡対局ではそれらが封じられており形勢が互角のまま終盤になるので苦戦は必至。
      • 勝勢と言っても相手の猛攻を紙一重でかわしての勝利であり、その終盤で緩手を指したらCPUが咎めに来るようになっている。
  • 文章
    • フォントも漢字が使われていたり、3人の対局相手は顔グラがあらゆる表情を見せるなどそちらも丁寧に作り込まれている。
  • 豊富な一枚絵
    • 作中でも、将棋では竹おどし、五目は虎などの一枚絵も用意、相撲も力士の取り組み姿が見事に表現されている。
    • 一枚絵だけではなく、メニューの枠は竹など徹底的に和風テイストに拘っている。
  • 五目並べ
    • CPUは非常に強い。連珠はCPUの得意とする分野であり多くのプレーヤーを打ち負かして来たと言える。
    • 対局中にリーチがかかった際は、提灯、雪だるま、たこ焼き、鯱などが動きを交えて示すので見た目も良く分かり易い。

賛否両論点

  • 初心者お断り
    • 弱いとされるすずきひろし10さいからしてレーティング200・14級はある。パックマン戦法も効かないのでSFC将棋としては強め。
    • 五目の方はAIは強いので尚更勝てないだろう、ハンデも付けようがないので勝てない人はどうしても勝てない。
    • 将棋も連珠も入門用としては手を出してはいけない。

問題点

将棋ずもう

  • 各場所で7回戦。それを10場所以上するので、順当に行っても100局くらいはかかるので流石に多すぎると言える。
    • 相撲の一枚絵も用意されているのだが、対戦相手に力士のキャラが登場するという事はなく、CPUとの対局のみ。
  • 昇段するごとに、思考パターンが変わる、プレイヤーの後手頻度が上がるなど厳しさを増していく。
    • 思考パターンは3種類。おそらくフリー対局の相手3人のパターンを使い回ししているものと思われる。
    • 昇段しても駒落ちや指定対局は行われない。3人の勝ちパターンを見つければ、それを繰り返すだけの作業でしかない。
  • 五目の方でも用意されているが、そちらは各場所で16局させられるので200局にのぼる事になる。
    • ただ、対局時間は五目のほうが圧倒的に短いのでクリアまでにかかる時間も短い。
    • こちらも勝ちパターンを見つけたらあとは作業である。
  • 最初からを選ぶとそれまでのセーブデータが簡単に消えてしまう。

駒落ち

  • 2枚落ちの上手下手で幅広いプレーヤーに対応しているのだが、定跡対局を経由してこないとならないので分かり辛い。それに、駒落ちの場合は先手後手ではなく下手上手である。
  • 定跡は駒落ちの方は搭載されておらず、2枚落ちの下手でやってみたところ初手▲7六歩に△3四歩としたところ、▲5八金とする。これは平手なら普通の手であるが2枚落ちでは▲1一角成が成立してしまう。これでは上手は務まるものではない。
  • 定跡も駒落ちに関しては看板倒れと言えよう。

定跡優先

  • ダルマを活躍させたいのか、定跡の形に無理矢理持っていこうとするきらいがある。相手が強くなるほど顕著。
    • このせいで思考パターンに穴ができる。相手を名人、プレイヤー後手で▲7六歩△3四歩▲2六歩△8四歩とすると、定跡の千鳥銀をしようとして▲6八銀を指すことがある。これで角を取っておけばかなり有利になる。

その他

  • 文章
    • 漢字が使われているのは良いが、漢字と平仮名のサイズのバランスがおかしくて見づらい。
    • 3人の対局相手のプロフィールには漢字が使われておらず、平仮名で構成されているのは残念なところである。

総評

相撲が足を引っ張っているのは残念であるが、将棋ゲームに定跡対局や五目並べ更に和風尽くしのグラフィックなど非常に贅沢な仕上がりとなっている。
しかも、指定局面を先駆けており将棋連盟監修の作品とは違った価値観を押し出してきていると言える。

余談

  • 2年後の1996年12月に発売された『ニチブツコレクション2』に、『麻雀繁盛記』とともに収録されている。見た目は全く変わっていないが思考パターンが改良されており、前述のようなポカをしなくなっている。

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SFC 1994年 将棋
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最終更新:2021年05月25日 05:36

*1 定跡とはお互いに最善手を指していったものとされており色々な種類がある。片方が一方的に優勢という事はなく、形勢不明という事も多く、どっちを持っても難しいとされる。