ブルーシード 奇稲田秘録伝
【ぶるーしーど くしなだひろくでん】
ジャンル
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RPG
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対応機種
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セガサターン
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発売元
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セガ・エンタープライゼス
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開発元
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セガCS R&D シムス
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発売日
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1995年6月23日
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定価
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5,800円(税別)
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プレイ人数
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1人
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レーティング
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セガ審査:18歳以上推奨
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判定
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なし
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ポイント
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アニメ版を基にゲーム化 カードバトル形式のRPG
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概要
漫画『BLUE SEED』のTVアニメ版を原作とするゲーム。
ゲームオリジナルキャラである楠木香澄(くすのき かすみ)を中心とした、オリジナルのストーリーが描かれる。
日本各地が舞台となっており、現実に存在する地域の数々が登場する。
ジャンルは一応RPGであり、当時のセガサターンの数少ないRPGソフトの一つ。
戦闘はカードバトル形式で、RPGではお馴染みの経験値によるレベルアップやアイテムの売買といったシステムはなく、ADV寄りの作りになっている。
ストーリー
神話の時代から人間をおびやかし続けてきた異形の怪物たちを、総称して荒神という。
ここ百数十年の間、荒神はおとなしく眠りについていたが、15年前、藤宮紅葉の誕生を機に長い眠りから目覚め、復活した。
その紅葉こそが、みずからの死によって荒神を封印できる人柱少女であった。
さて我が国には、荒神に対する特殊期間として『国土管理室』がある。
正式名称を『総理府国土保安特別対策委員会国土管理室』といい、荒神に対して超法規的権限が認められている。
国土管理室は紅葉を保護するが、紅葉は自分もいっしょに戦うため国土管理室に入隊し、荒神退治の手伝いをすることになる。
そんなある日、国土管理室に一本の電話が入る。静岡県登呂遺跡に荒神が出現したという。
ただちに遺跡へと出動する紅葉たち。しかし、紅葉たちの前に立ちはだかった荒神の身体には、どす黒い勾玉が怪しく輝いていた。
本来、青かオレンジ色であるはずの荒神の勾玉がなぜ……!?
さらに紅葉たちは、遺跡の最深部で謎の少女を救出する。少女は、ただただ意味不明の言葉をつぶやくばかりであった。
「憎い……私を捨てた……父…母が…憎い……」と。v
新たな荒神の出現。謎の少女の発見。国土管理室は改めて荒神の再調査を開始した。
しかし、超法規的権限を持つ国土管理室に、とつぜん政府の圧力がかかり始める。
この一連の動きはただの偶然なのだろうか? いったい、この日本に何が起ころうとしているのだろうか?~
ゲームシステム
全般
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アイテム
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日本各地では色々なアイテムを入手できる。
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各地の店でアイテムを購入できる他、特定の人から貰えたり、特定の地点を調べると入手できたりする。
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各地の店でアイテムを買うことはできるが、それはイベントという形で済まされ、システム的に所持金をやり繰りするようなことはない。
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アイテムは「回復アイテム、装備品、勾玉、パンツ」の四種類。
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回復アイテムはマップ移動中にいつでも使えるが、なまものは話が進むと腐って食べられなくなってしまう。
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装備品は各キャラに一つまで装備でき、そのキャラの能力値を変化させる。
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勾玉はダンジョン内で入手できる特殊なアイテム。勾玉を一定数集めると、国土管理室にて、集めた勾玉の数に応じた装備品が入手できる。勾玉はダンジョンの特定地点に落ちている他、特定のボスを倒すと入手できる。
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パンツはダンジョンと国土管理室を除く、日本の各地域ごとに1個ずつ隠されている。パンツを一定枚数集めると、国土管理室のパンツ刑事から「協力攻撃」を教えてもらえる。
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ちなみになぜパンツなのかというのを原作にノータッチな人に説明すると、原作であるアニメ版でヒロインの紅葉が頻繁にパンチラしてたからである。
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特殊能力
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ダンジョン移動中に使用できる能力。各キャラはそれぞれ何らかの特殊能力を持っている。
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藤宮 紅葉 / 楠木 香澄
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近くにいる敵の特徴を探り出す。敵の特徴は3枚の所持カードで表示される。カードの大きさが大きいほど、強い敵であることを示す。また同時に、敵がいる大体の方向も分かる。
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草薙 護 / 松平 梓 / 竹内 涼子
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敵シンボルを攻撃して、一定時間その敵の動きを止める。動きを止めた敵は接触しても戦闘にならず、すり抜けられる。
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国木田 大哲
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つまらないダジャレで、その場の空気をなごませる。攻略上は何の役にも立たない。ダジャレの内容はパーティのメンバー構成によって異なり、複数パターンの中からランダムで決定される。
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八重樫 良樹
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画面内の壁に隠された扉がある場合、その位置にロックオンマークを出現させる。
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沢口 小梅
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山咲 桜
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式神を呼び出して歩かせる。奥の方のマップがどうなっているかを調べたり、地上の罠を発見するのに役立つ。
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その他
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サウンド・ムービーテスト
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ゲームのBGMや戦闘中の敵味方のアニメーションを鑑賞できるモード。
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バトルシミュレーター
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任意の敵と戦闘できるモード。本編で一度戦った敵のみ選択可能。
戦闘システム
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敵シンボルに接触したり、イベントで敵と戦う時は戦闘画面に切り替わる。敵味方ともにカードを使って戦闘を行う。
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キャラの能力
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能力値
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LIFE … 体力
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STR … 攻撃力
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DEF … 防御力
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AGL … 素早さ。各ターンの行動順と、1ターンに使用できるカードの枚数に影響。
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カード
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各キャラはそれぞれ十数枚のカードを持っている。持っているカードの種類はキャラによって違う。
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戦闘の流れ
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ターン制。「カード選択」と「そのターン内での敵味方の行動」を交互に繰り返す。
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敵味方ともに、最初にカードが5枚ずつ配られる。また、ターン毎に一定枚数ずつカードが追加されていく。
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プレイヤー側の最初の5枚のカードは、戦闘前に任意で予約(固定)しておくこともできる。
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そのキャラの素早さの値と同数までのカードをそのターンで使用できる。1枚も使わなくてもターン開始できる。
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敗北しても、戦闘の最初からコンティニュー可能。
+
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カードの種類
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カードの種類
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攻撃
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相手を攻撃してダメージを与える。
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2枚以上同時に出すと、ダメージが2倍、4倍、6倍… と増えていく。
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防御
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能力アップ
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攻撃力アップ(攻撃力+2)、防御力アップ(防御力+2)、素早さアップ(素早さ+1)。
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能力ダウン
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攻撃力ダウン、防御力ダウン、素早さダウン。それぞれ、相手が使用した能力アップカードの効果を1枚無効にする。
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全体攻撃
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敵専用カード。味方全員を攻撃できる。攻撃カードと併用可能。
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隠しカード
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各キャラはステータス画面で確認できるカードの他に、数枚の隠しカードを持っている。隠しカードは、戦闘中に一定の条件を満たすと配られる。一度配られた隠しカードは、その戦闘中に再度配られることはない。
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隠しカードはいずれも強力な効果を持っている。
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一部のボスも隠しカードを持っており、一定条件で使用してくる。
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協力攻撃
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同一ターン内に、特定の味方同士が特定のカードを使用すると発動できる強力な攻撃。アニメーションも専用のものが流れる。
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前述のパンツ刑事に教えてもらった協力攻撃のみ発動可能となる。
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アニメーション
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戦闘中の各行動時や敵撃破時には、その敵味方のアニメーションが流れる。
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キャラの成長
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話が進むにつれて、各キャラの所持カードが追加されることがある。また各地のサブイベントなどで新たな装備品を入手できる。
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一般的なRPGと異なり、キャラの素の能力値は成長することがない。ただし装備や戦闘中のカードによる能力強化は可能であり、ゲームを進めるにつれてこれらの強化手段が充実していくことが、実質的なステータスアップとなる。
評価点
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ストーリー
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最初から最後まで飽きさせない展開でしっかりまとまっており、1クール分(13話程度)の外伝アニメのような感覚で楽しめる。
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原作を知らなくても十分に楽しめる内容となっている。
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日本各地を訪れる観光的な楽しさ
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日光の華厳の滝、熊本の阿蘇山、富士山などの名所も登場する。
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東京は東京で上野動物園に行けたり「新宿の目」の辺りが登場したりする。
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各地で拾えるパンツに描かれている動物も、その地域に関連した動物だったりすることもある。
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地域によってBGMやグラフィックも異なるものが用意されている。
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各地の一般人との会話も凝っている。
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方言で喋るのはもちろん、その地方に関連したことを喋ったり、他愛ない世間話をしたりと人間味が感じられ、日本各地のいろんな人々から話を聞くのも面白い。
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各地の名産品も回復アイテムとして入手できる。
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ほとんどの回復アイテムは一品物であり再入手はできないので、各地の名産品を食する際は、貴重な食べ物に感謝していただくことになるだろう。
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コレクションしておきたいと思ってずっと使わずにいるとそのうち腐ってしまうので、「食べるのが勿体なく感じるけど食べずに腐らせてしまう方が勿体ない」というジレンマが悩ましく面白い。
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やろうと思えば、日本各地のいろんな食べ物を腐らせたまま捨てずに所持し続ける、なんてことも可能ではあり、それもまた一興。
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戦闘
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思考性が高くやり応え十分で、とても良く出来ている。
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簡単すぎず、難しすぎずの絶妙なゲームバランス。
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敵の所持カードや行動パターンなどの特徴を把握すれば楽に戦えるようになる。それらは紅葉や香澄の特殊能力で戦闘前にある程度把握できたり、ボス戦前イベントの会話でボスの特徴が示唆されたりする。
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攻撃力アップカードを沢山使って攻撃力を高め、同時に3~4枚もの攻撃カードを使って敵に大火力の攻撃を叩き込むのは快感。
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各キャラの性能は、そのキャラの性格・設定などの個性がよく反映されている。
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草薙や小梅は体力と攻撃性能が高い代わりに防御力は低いアタッカータイプ、松平や八重樫といった本来戦闘要員でないキャラは妨害系の行動が得意、式神使いの桜は万能に活躍できる など。
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草薙は人間離れした能力を持つ設定通りに、他のキャラとは一線を画する高い体力・攻撃力・素早さを誇る。
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紅葉は基本的な戦闘力は低いが、荒神を封印する力を持つ設定通り、敵を一時的に無力化する「封印カード」という強力な隠しカードを唯一扱うことができる。
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カードの効果発動時などの各種効果音が気持ち良い。
賛否両論点
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パンツゲー
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上述の通り原作再現といえばその通りなのだが、当然ながら人を選ぶ。
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紅葉が戦闘に参加する時は、何度も何度も、嫌でもパンツを見ることになる。
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それ以外のパンツ要素はゲーム進行上強制ではないので、関わらずにゲームを進めることは一応可能。
問題点
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マップのロードが長い
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マップ切り替えの度に大抵10秒前後も待たされる。短い時は4秒ほど、長い時は15秒ほど。
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戦闘中のアニメーションが飛ばせない
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2~4秒程度で終わるのでそれ自体は我慢できないレベルではないのだが、何度も見たことのあるアニメーションでも毎回見させられるのはさすがにダルく、戦闘のテンポを損ねている。
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雑魚敵と戦う意義が薄い
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敵を倒してもキャラが成長したりお金が入手できたりするようなことはなく、ただの障害でしかない。
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特定の仲間の特殊能力を利用すれば、敵シンボルとほとんど接触せずに快適に進行することはできる。
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戦う意義が薄いどころか、終盤の雑魚には全体攻撃であっという間にこちらを壊滅させる様な敵も…当然戦っても消耗するだけでありボスだけを相手にするのが正解。
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期間限定の装備品や勾玉を取り逃すと後々苦労することになる。
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協力攻撃に必要なカードは、パンツ刑事に話しかけた時にしか確認できず、プレイヤーが自分でメモしておかないと忘れてしまいやすい。
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痒いところに手が届かないバトルシミュレーター
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バトルシミュレーターではアイテムの装備ができず、最初に配られるカード5枚の編成もできない。
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パーティメンバーの構成は本編と同様、場面(戦う敵)ごとに完全固定であり、自由な編成を楽しめないのが惜しいところ。
総評
ロードの長さとパンツ推しに目を瞑れば十分遊べる良作。
原作を知らなくても楽しめないということはない。特に戦闘好きにはお勧め。
最終更新:2023年12月05日 17:56