ネビュラスレイ
【ねびゅらすれい】
ジャンル
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縦スクロールシューティング
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対応機種
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アーケード(NB-1)
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販売・開発元
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ナムコ
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稼動開始日
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1994年3月22日
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プレイ人数
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1人~2人
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配信
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アーケード アーカイブス 【Switch】2025年5月15日/1,500円 【PS4】2025年5月15日/1,500円
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判定
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ゲームバランスが不安定
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ポイント
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見た目の良さとラジオ番宣に惹かれたプレイヤーを待ち受ける超絶難度 当時の格ゲーブームと他社STGに埋もれてしまった作品
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概要
3DCGでレンダリングされた立体的な陰影を持ち、擬似3Dの演出を持つ美しいグラフィックの縦スクロールSTG。英字表記は『NEBULASRAY』。
ストーリー
A.U.001 アウストラル7星系は統合連邦国家となった。
連邦各国は武力を撤廃し、統合政府は連邦共同の防衛軍「統合軍」を設置、平和は60年間続いた…
A.U.060 「惑星サンドヴァン」で紛争が勃発。
政府は統合軍を派遣し鎮圧するが、軍部はこれを期に武力による連邦の絶対平定を唱える。
A.U.061 「ロスト・マリナーク事変」。統合軍はクーデターを起こし、抵抗する連邦政府の拠点「惑星マリナーク」を破壊。
連邦国は統合軍に対抗するために「抵抗軍」を組織する。
A.U.067 統合軍は抵抗軍撃滅のために「制圧軍」を組織。
そして今、「惑星エヴァグレネス」上空で最後の戦闘が開始される…
(OPデモより)
ゲームシステム
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操作は8方向レバー+2ボタン。それぞれショットボタンとフォース・アタック(ボンバー)ボタンのオーソドックスな方式。
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アイテムはスピードアップ・メインショット・サブショット・ボンバー回復、得点アイテムの5つ。
この内スピードアップ、メインショット、サブショットの3つは取得時に無敵時間が発生する。
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スピードアップ(青S)は文字通り自機のスピードが上がる。最大5段階まで。ミスすると初期状態に戻される。
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メインショットは通常ショットであるウィンド(黄緑W)とグロウ(黄色G)の二種類。
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ウィンドはいわゆるワイドショットであり最大強化段階で10Way。広がり具合は控えめで、画面下端から撃った場合、上端の3/4程度の幅をカバーする程度。グロウは高威力前方集中型ショット。
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サブショットは入手すると一定時間、強力なショットが同時に発射される。誘導だったり火力があったりと効果は様々。
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フォーム・レーザー(赤H):2本のホーミングレーザーを発射。高速だが誘導性能は高くない。
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フォトン・トーピドー(水色F):直進する4連装のエネルギー弾を発射。広範囲だが威力は低め。
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ライトニング・バースト(橙L):高威力の円形エネルギー弾を発射。射程が短いため敵に接近する必要がある。
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フォース・ディフレクター(青D):敵弾を防ぐバリアを展開。敵機との接触とレーザー攻撃は防げない。
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ボンバーは全体弾消し効果があるものの、無敵時間は一切ないため使用の際には注意が必要。
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全6ステージ+αの1周エンド構成。制限時間内にラスボスを撃破できるとエンディング後にチャレンジングステージが開始される。
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内容は難易度が上昇した1面を突破するというもの。開始前に残機とボンバーが没収されてコンティニュー及び途中参加は不可。被弾するとその時点で終了となる。
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ちなみにラスボス戦で時間切れになるとバッドエンドとなり、チャレンジングステージへ進めなくなる。
評価点
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グラフィックは94年製のゲームとしてはなかなか評価が高い。
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当時はプリレンダリング表現がまだ珍しかったこともあってか、全面的に押し出した見た目のインパクトは相当なものだった。前年の93年にはリッジレーサーを出すなど、グラフィックに定評のあったナムコの技術力の高さが窺える。
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UGSFシリーズ等でSF作品を得意とするナムコ製作だけあって、世界観が非常に作り込まれている。
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敵艦隊戦から始まり、各惑星や暗礁空域での戦闘、そして敵本拠地へのワープによる強襲…とステージ内容はバリエーション豊か。宇宙戦争モノが好きな方には堪らないものがあるだろう。
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OPデモやゲーム中にはほぼ出て来ないが、サントラのブックレットにて敵の名前が公開されている。ドイツ語で命名されており非常にカッコイイ。
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3面のアステロイドエリアに登場する宇宙生物アステロイドワームや、砂漠の惑星が舞台となる4面の道中で砂の中から突然現れる大型のサンドワームなど、世界観に即した敵も出てくる点は見所の一つと言えよう。
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ゲーム内の随所で味方側からの英語の無線音声による演出が入る。ボイスの音質はノイズ混じりであまりよいとは言えないが、それが無線音声らしい雰囲気を醸し出しており、世界観を盛り上げてくれる。
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BGMは起伏に富んでおりドラマチック。ステージ毎に色合いが異なり、ステージ演出とマッチした激しい展開を描いている。
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1面の『Exeo』は開始早々に繰り広げられる艦隊戦を派手に演出するステージ1に相応しい曲。5面の『Stream Drive』~『Enemies-Space-Fortress Entrance』は前半がワープ空間内の戦闘、後半は敵本拠地表面に突入する際に曲調が勇ましい物に変わる点などがポイント。この他にも冒頭から大気圏突入する2面や暗礁空域で戦う3面など、ステージシチュエーションに合った曲は評価点と言える。
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作曲担当は福澤正洋氏と石川隆之氏の2人によるもの。
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ちなみに本作のクレジット音には音程が毎回ランダムで変わるという風変わりな要素がある。
問題点
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敵弾の速度が非常に早く、かつ敵の耐久が高いという難点を抱えている。
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敵の弾速はステージ毎に上昇していく。最終的には並のSTG自機と等速の弾を敵が撃って来るようになる。
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このような難点を抱えながら、自機の当たり判定は別に小さいわけではないので、弾幕STGによくある敵弾発射に反応してわずかな回避行動をとるだけでは避けきれない。当たり判定の大きさから、連弾の隙間を避けるのに失敗しやすいのも泣き所。
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更に飛行している敵は撃沈すると、爆煙を上げながら画面下部に落ちていくのだが、敵が弾を発射した瞬間に撃沈すると、敵の残骸に隠れて弾が飛来してくる。
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耐久のある敵はウィンド最大パワーアップで撃破までに大体1秒かかる。
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たかが1秒だが、敵は画面に出現してから1.5秒ほどで上記高速弾を撃ってくる。敵が2体出てきた場合は敵弾を撃たれるのを防ぐ方法はない。そのため、本作を攻略するなら『
ショットは範囲が狭くとも火力の高いグロウほぼ一択
』と言う事になってしまう。
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また、上記のように当り判定が小さいわけではないので、右舷の敵を先に殲滅していると左舷の敵が撃った高速弾を避けるのは非常に困難。予め回避行動をとっておく必要がある。勿論、画面内に出現したら即撃ってくる敵もいる。
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ミスからの復活が非常に困難。
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ミスしたら最低速からのスタート、復活時の無敵なし、補償アイテムはショット二個にスピード一個と立て直しが厳しい。上記にもあるよう、敵弾が早くザコですら耐久が高いのが困難さに拍車をかけている。
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更にアイテムの動きがかなり嫌らしく、画面下方に降りてこない。初期段階の自機のスピードはかなり遅く、復活時の足枷になってしまう。
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サブショットの性能に大分差がある。
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フォーム・レーザーは弾速こそ早いが威力があまり高くないので全般的な使い勝手は今一つ。
フォトン・トーピドーは範囲が広め、かつ敵に近付き撃ち込む事で連射が出来る事から、それなりの火力が出るためフォーム・レーザーよりかは使える。
フォース・ディフレクターは敵の接触やレーザーは防げないものの、それ以外の敵弾が防げるのは精神的にも楽になる。よって道中はフォース・ディフレクターかフォトン・トーピドーの二択となるだろう。
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ライトニング・バーストは道中では非常に使いづらいので、実質ボス戦用とも言える。
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主な使い方として、ボス戦手前までサブショットアイテムを泳がせておいてから取得→ボス戦が始まり『当たり判定が発生した際に至近距離まで接近して連射して撃ち込む』事で、まともに戦うと厄介なボスを瞬殺出来てしまうほど強い。
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苦労して全ステージをクリアした先には、熾烈な難易度のチャレンジングステージが待ち受ける。
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道中、ボス共にただでさえ速い敵弾速度は更に加速。彩京弾を彷彿とさせる、瞬きすら許されないほどの凄まじい豪速球で飛んでくる。
雑魚耐久値こそ変わらないが、元から硬いので何の問題も無い。緻密なパターンを構築しなければクリアは不可能といっていい。
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その上一機やられたら即終了の一発勝負。あくまでもサービスステージなので残機は無い物として扱われる。
更にボンバーも没収されるだけでなくボムアイテムも出現しないため、決めボムで楽をする事ができず、完全にプレイヤーの実力が問われる。
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どうにかクリアしたとしても特に何か演出がある訳でもなく、そのままホワイトアウトして終了と味気ない。上記の通り、あくまでもサービスステージだから仕方ないのだろうが…
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敵はニュータイプ、自分はオールドタイプ
とは良く言ったものだ。
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宇宙背景の場面での左右スクロール表現が独特で独自の浮遊感を味わえる反面、人によっては酔う。
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「移動した方向へ背景がぐるんぐるん回る」といった方がしっくりくる表現。ゲームを開始した1面がいきなり全面宇宙背景のため苦手な人にはかなり厳しい。5面前半のワープ空間も似たような背景かつ、色合いが目に優しくない物なのでキツい。
総評
グラフィックやBGMにかなり力が入っており、光る部分も確かに存在する作品であったが異様なほどの難易度の高さが客集めの足かせとなってしまった。
更に当時は対戦型格闘ゲームの全盛期であったことに加え、ほぼ同時期に『レイフォース』という怪物縦STGが登場した事により、瞬く間に市場から姿を消す事になった。
せめてもっと遊びやすいゲームバランスになっていれば佳作になっていた可能性もあっただけに、色々と惜しい作品であったとも言えよう。
2年後に登場した『ゼビウス3D/G』も『レイストーム』に話題を持っていかれるという、タイトー製STGにまたしても完敗するという構図が出来てしまい、結果1998年稼働の『てんこもりシューティング』を最後にナムコのアーケード向け2DSTGから撤退することなってしまった。
余談
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稼動開始前後、ナムコ一社提供のラジオ番組「ラジオはアメリカン」の番組中に3代目パーソナリティー・大原のりえ氏による「ここでお知らせです。ナムコの新作シューティングゲーム『ネビュラスレイ』、全国のアミューズメントスペースで…」という感じでお知らせ(宣伝)が流れた。
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同番組では「CM」ではなく「番組内」でゲームを宣伝する事は珍しい部類に入る。もちろん本作のCMもあったが。
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後付と言う形ではあるが、本作がUGSFシリーズに組み込まれる予定があったと言う話がバンナムの夛湖氏(『エースコンバット7』のDLCディレクターであり、現在のUGSF設定担当。)によって語られた。
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開発が進んでいたが、結局お蔵入りとなったUGSF物のRTS「NewSpaceOrder」で接続される手筈だったとの事。
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UGSF年表では本作は2340-2400年代の出来事らしい。
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そもそも、その接続先であった「NewSpaceOrder」がお蔵入りとなってしまった他、様々な事情が絡んで正式に組み込めないと言う現状があり、本作以外のナムコSF作品もUGSF世界に組み込まれる予定の物がいくつかあった模様。
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だが、2025年3月28日にUGSFの公式年表に更新が入り、本作がUGSFシリーズの作品として加わっている。年表では『スターブレード』と『ディグダグ』の間の出来事となっており、2361年~2367年が本作の年代として記されている。
移植
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本作品は長い間家庭用に移植されていなかったが、2025年5月15日よりPS4/Switch用『アーケードアーカイブス』で配信された。「こだわり設定」にて1P側コントローラーで2P側機体を使用する事が可能。
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どちらも価格が1500円となっているが、これは本作の基板が32bitCPUの基板であることから開発期間が長くかかり、工数も増えたことによるコスト上昇が理由とのこと。
最終更新:2025年05月17日 07:55