ディジャブ 悪夢は本当にやって来た
【でぃじゃぶ あくむはほんとうにやってきた】
ジャンル
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アドベンチャー
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対応機種
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ファミリーコンピュータ
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メディア
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3Mbit+64kRAMROMカートリッジ
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発売・開発元
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ケムコ(コトブキシステム)
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原語版開発元
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ICOM Simulations
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発売日
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1988年11月22日
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定価
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9,800円
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判定
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なし
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ポイント
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ケムコ印の即死ADV 3部作中唯一のシリアス派
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ケムコアドベンチャーシリーズ
ディジャブ/シャドウゲイト/悪魔の招待状
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概要
海外のパソコン用推理ADVゲームのFC移植作にして、ケムコ・アドベンチャーシリーズ三部作の第1弾。
オリジナル版はMacintosh向けに開発されたアドベンチャーゲームシリーズ「MacVenture」の一作『Deja Vu: A Nightmare Comes True』。
ポイント&クリック式のADVとしては最初期の一つ。
後続のローカライズシリーズ二作品と比べコメディ要素は薄く、終始シリアスなシナリオが展開される。
物語
主人公は自分の顔も名前も、それまで何をしていたのかも、一切の記憶を失っていた。
どこかのトイレの個室でただ1人目覚めて途方に暮れる中、彼はある殺人事件の濡れ衣を着せられようとしていた。
追跡の手を逃れ、自らの潔白を証明すべく、主人公は奔走していく―。
特徴
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行動と目的語を選ぶ事でコマンドを実行していく。目的語は画面右に表示されるメニュー内だけでなく、グラフィックウィンドウ内をカーソルで直接指定する事もできる。
※画像は「あける→コート」を実行したところ。右にコートの中身が表示されている。
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画面右下に、目的語として使用できる「セルフ」というコマンドがある。これは自分自身を意味し、アイテム使用や「調べる」コマンドなどを自分に対して実行する時に使う。
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拳銃や危なそうな薬をセルフに使うとゲームオーバーになる。また市街地で発砲、タクシーのただ乗りなど不用意な行動を取ると警察に捕まり、同じくゲームオーバーとなる。
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死亡するとやけに生々しい姿のドクロが現れ、「あなたはえいえんにつちのしたでねむるハメになってしまった」「あなたのはんだんはまちがっていたのだ!」などと表示される。ちなみにこのドクロは死神や赤い髑髏と違って特にキャラクター設定はなく、英語版のNESやゲームボーイカラー版では墓石に差し替えられている。なお墓石には主人公の本名が刻まれているが、本名自体は最序盤で判明するためネタバレとしての影響はさほど大きくない。
このドクロの下に書かれている「REST IN PEACE(=安らかに眠れ)」は英語圏では「R.I.P.」と略されることが多く、リメイク版の墓石でもその略称が刻まれている。
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アイテム周りの仕様は、他のFCのADVと比べるとやや異質。
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やたらたくさんのアイテムがあるが、その内ゲームクリアに必要なものは限られていて、大半はダミー。また、アイテム単体だけでなく、「さいふ」や「バッグ」といった入れ物自体もアイテムとして手に入る。
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不要なアイテムは特定の場所で捨てられる(クリアに必要なものは捨てられない、または再度入手可能)。安心して画面中を調べまくって欲しい。また一部の紙のアイテムは燃やして灰にするという手段でも捨てられる。
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最終的に無実を証明するためには、一旦入手した上で捨てなければならないアイテムも存在する。主に主人公を陥れるために用意されたものなので、放置しておくとこちらに不利な証拠となってしまう。
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「調べる」コマンドを使って自分で調べないと詳細のわからないアイテム名が多い(「カギ1」「カギ2」など)。
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ゲーム中に複数回、タクシーで別の街へ移動する場面があり、手持ちのコイン(25セント硬貨という設定)を使って利用することになる。
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コインは主にスタート地点の近くにあるスロットマシンで稼ぐ。コインが足りないのにタクシーに乗ってしまうと上記の通りゲームオーバー。
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元が洋ゲーだけあって、グラフィックは濃ゆい。
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特に、ゲーム開始直後に判明する主人公の顔が怖い。タイトル画面で銃を構えているイケメン風とは画風が違いすぎる。
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原作ではハードボイルド調で描かれており、ファミコンで無理に再現しようとした結果ホラー調になってしまったのかもしれない。
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GBC版の『ディジャブI&II』では全面的にグラフィックが描き直されており、幾分か改善されている。なお、原作に近いのはファミコン版の方のグラフィックである。
評価点
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主人公が記憶喪失というミステリアスな設定から始まる、ハードボイルドな世界観。
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原作にはなかったBGMも新たに導入され、シリアスな雰囲気を高めている。
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ちょっとした事で即死(ゲームオーバー)するゲームだが、コンティニューがその場復活方式なのでペナルティは実質無し。また、行動の自由度が高いわりに、詰みシーンは現状見つかっていない。
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ゲームオーバーになる際の理由も、「必要もなく他人を撃ち殺して逮捕される」などといった明らかに本筋と外れた行動である事が多く、理不尽さは少ない。殺人の濡れ衣を晴らそうとしているのだから当然の流れだろう。
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ワニやピストルを持った強盗に遭遇した場合、対処を誤ると殺されてしまうが、対処できない状況(ワニに対してはピストルを持っていない、既に3回叩いた後の強盗に対しては20ドルさつを持っていない)では出現しないようになっている模様。
問題点
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シリーズ共通の問題だが、操作性がイマイチ。
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原作がパソコンゲームであるとはいえ、マウス前提の操作性をそのままコンシューマーに持ってきてしまっているため、カーソルの移動速度の遅さも相まってイライラさせられやすい。もう少し移動速度が速ければ良いのだが。
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シリーズ3作品の中ではもっともメッセージスピードが遅い。一般的なADVと比較した場合でも、タイプライターをイメージしたテキスト表示演出のせいで余分な時間がかかっている形である。
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実は、スタートボタンまたはセレクトボタンを押すと表示スピード変更画面が出る。「はやい」に設定すれば改善されるだろう。
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物語の導入としては面白いシチュエーション設定だが、ゲームとしては「まず何をすればいいのかわからない」という状況に陥りやすく、ダミーアイテム等のギミックも多いため難易度は高め。
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移動で発生する強盗との遭遇がランダム。
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金を払うか「たたく」で撃退しないと殺されてゲームオーバーになるマイナスイベントで、前者はクリアに必須なタクシーの利用ができなくなる場合があり、後者は回数制限があり一定回数を超えると確実に反撃されて死亡する。そのため攻略サイトなどを参照して進めていても運が悪いと回避できず何度も遭遇することになり、最初からやり直す羽目になる事もある。
総評
古き良き「面倒くさいが面白い」ADVゲームの典型例。いや、「面白いが面倒くさい」と言うべきか。
記憶喪失の主人公が自分の置かれた状況を理解し、濡れ衣を晴らす証拠を集めて反撃に転じていくというストーリーは、FCにおける「推理といえば殺人トリックと犯人探し」が主体のADVシーンでは貴重な存在である。
しかし本作のシナリオはこの通りシリアス路線で『シャドウゲイト』のように笑いが生じるようなタイプでは無く、大量に存在するダミーアイテム絡みのお遊びも少ない。
正統派故の地味さにも耐えられる、コマンド総当りゲーに飽き足らなくなったADV好きの人ならお勧めできるソフトであるといえよう。
余談
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1941年12月8日にアメリカ合衆国のシカゴで起きた実際の事件を元に作成されたシナリオであり、内容の危険性のためシカゴ当局からは販売数を抑制するよう要請された――というのがケムコによる
法螺話
宣伝文句であるが、「実話を元にした」という部分がひとり歩きしたのかモデルになった事件が実在すると見なされることがある。しかし英語版のNES・原典のパソコン版ともにそのような記述は見受けられず、海外サイト等でも特に触れられている様子はない。真偽については各自判断されたし。
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海外版では流血グラフィックやアルコール飲料の削除など一部の表現が変更されている。
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セルフコマンドは、後に発売される同メーカー発のADV2作にも実装されている。
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しかし、2作目で「おもしろ自殺コマンド」としての立ち位置を確立してしまった結果、ホラーテイストの3作目すらお笑い路線を踏襲するという異様な事態になった。
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後のシリーズ作品にも本作にまつわる小ネタが盛り込まれている。
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『シャドウゲイト』でフルートを吹くと本作のメインテーマの一節が流れる。
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『悪魔の招待状』では本作の主人公の墓が存在する。しかも墓石を叩くとゾンビ化した彼が登場する。本当に土の下で眠る羽目になっての登場という中々にブラックなジョークである。
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続編である『Deja Vu II: Lost in Las Vegas』も移植の予定があり、ゲーム雑誌などで告知されていたものの、発売中止になってしまった。後の1999年にGBCで『ディジャブI&II』というカップリングのリメイク作品が発売された。
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2作目の舞台は本作の2週間後。大物マフィアに消えた大金を追うように命令された主人公(本作と同一人物)が、何とかしてマフィアの勢力圏から逃れようとするというストーリーである。裏社会が本格的に絡んできたことで世界観もよりシビアに。
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ただし、ゲームオーバーに至る描写については上記2作で導入されたギャグテイストが幾分か反映されている。例えば拳銃をセルフで使用した場合、本作および『I』では今後を悲観しての自殺と描写されている一方、『II』では興味本位でロシアンルーレットを行った結果"当たって"しまったという描写になっている。
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少しでも判断を間違えば永遠に土の下で眠るハメになる点は変わらないが、時間の概念が追加されている為、難易度は更に上昇している。
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発売時期を考えると当時に於いては大容量の3M+64KRAMを使用している。
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FC作品にしては定価が高めだが、通常の箱パッケージとは異なる特殊な大きめのブックサイズのパッケージで販売されたためらしい。
最終更新:2023年01月14日 21:22