シャドーコリドー 影の回廊

【しゃどーこりどー かげのかいろう】

ジャンル アクションホラー
対応機種 Windows(Steam)
Nintendo Switch
プレイステーション4
開発・発売元 城間一樹/Regista
発売日 【Steam】2019年3月10日
【Switch】2019年8月8日
【PS4】2019年12月25日
レーティング CERO:C
価格(税込) 【Steam】820円
【Switch/PS4】1,980円
プレイ人数 1人
判定 良作
ポイント またの名を影廊
和を基調とした能面ホラー
プレイする度に姿を変える回廊を探索


概要

  • 城間一樹氏により制作された和風3Dアクションホラーゲーム。
  • 第13回ふりーむ!ゲームコンテストのホラー部門で金賞に輝いたフリー版「影廊 -Shadow Corridor-」から大幅に進化したゲームシステム。
    • 本来であればそのままの名称で発売する予定だったが、前述の名称が他社の商標権に抵触するために名前を変えている。*1
  • プレイする度に姿を変える和風の回廊を探索し、能面を掛けた徘徊者から逃げながら勾玉を集めてゴールへ向かう和風3Dホラー
    • 回廊を探索せずにゼルダシリーズを想起させるギミック満載のダンジョンの最奥を目指したり、迫りくる強大な敵から逃げ続けると言った一味違ったステージも存在する。

ストーリー

ある夏の夕暮れ時、主人公は路地の入口でふと足を止めた。
幼いころの夏の日を思い出し、心の奥にしまっていた冒険心をくすぐられた主人公は
さびれた路地へと足を踏み入れ、いつの間にか見知らぬ世界に迷い込む。

薄暗い回廊に響く鈴の音、不気味な能面を着けた徘徊者。
そして、徘徊者を使役する謎の少女…

この世界に隠された儚くも悲しい秘密など知る由もなく
主人公は出口を求め、歩みを進める…

システム

ゲームの進行

  • 概要欄にある通り、基本的には回廊を探索して勾玉を集めてゴールへ向かってステージクリアを目指す。
  • 回廊には能面を掛けた徘徊者が存在し、捕まらないように探索する必要がある。
    • 捕まったら即死するのでアイテムや地形を利用してうまく逃げ切る必要がある。

主人公

  • 路地から影廊の世界に迷い込んだ男性。
  • 視点はFPS(一人称)。
  • ステータスは体力100とスタミナの二種類。
    • 体力は蟲に攻撃されたり落下すると減少する。0になると死亡。特定のアイテムで回復可能。
    • スタミナは走るときに減少する。走っていなければ時間で回復する。
  • 移動は通常時の歩き、しゃがみ歩き、走りの三種類。
    • しゃがみ歩きは遅いが天井の低い箇所を通れたり、一部の徘徊者の近くで歩いても気づかれない。
    • 走りはスタミナを消費して高速移動する。足音が大きいので近くに徘徊者が居ると気づかれてしまう。

回廊

  • プレイする度にランダムで地形が変わる。
    • このゲームは地形が固定な25エリアを5×5の正方形の形状になるように並び替えており、厳密には並び替えの順序とランダムアイテムの配置が変化する。
  • 一部の部屋には勾玉が存在する。
    • ぽっと置いてあるもの、鍵を使って開く扉のある部屋にあるもの、レバーを複数操作してようやく取れるものなど入手の方法は様々。
  • アイテムが入った箪笥、灯すことで周囲が明るくなる燭台、部屋を区切る襖、徘徊者から隠れられる行李、行く手を塞ぐ瓦礫、レバーで操作する水門など様々なステージオブジェクトが存在する。
    • 襖や扉は主人公だけでなく徘徊者も開閉、破壊するのでただ閉めておけば安全という訳でもない。
    • ただし、追跡されているときに閉めれば徘徊者は襖を破壊しようとし、少しだけ足止め可能。
    • 一方、徘徊者は水門を操作できないのでうまくやれば水門で区切られた部屋に徘徊者を閉じ込めるといった芸当も可能。
  • ステージ中に存在する蟲は特定のアクションを起こすと主人公にダメージを与える。
  • ステージ中の一部のエリアは水場となっており、特定アイテムが無い場合は移動速度が低下する。
  • 入ると徘徊者が出てくる、通称罠部屋も存在する。
    • ほとんどの場合勾玉が存在し、入って勾玉を取るか入らずに徘徊者を増やさないかの駆け引きも生じる。

以下、一部の回廊ステージの特徴を抜粋。

  • ヒグラシの回廊
    • プレイヤーが最初に挑戦することになる回廊ステージ。
    • 水場や罠部屋が無かったり、アイテムを使用しなくても明るいヒグラシが鳴くエリアが存在するなど、ステージ構成は最も易しい。
  • 深淵
    • 燭台がほとんど存在しない暗闇のステージ。
    • レバーを操作して入手する勾玉や罠部屋の出現など、勾玉の入手にも一苦労するようになる。
    • 暗闇の中でどこに居るか分からない忍び寄る徘徊者をやりすごす時間は恐怖そのもの。
  • 霊魂の淵叢
    • 3層構造の立体マップ。上または下の階を迂回しないと先に進めないエリアが多く、マップ構造の複雑さは本作中屈指。
    • このステージに登場する警鐘の徘徊者は プレイヤーを見つけると鐘を鳴らして周囲の徘徊者を集める という凶悪な性能を持つ。状況によっては見つかった段階で詰みが確定する場合も。
    • 難易度挑戦者では 勾玉を5つ集めると憎悪を振りまく影がマップ内に強制出現する。 隠れてやり過ごすなど不可能であり、憎悪出現時点でゴールがわからない場合はこれまた詰む可能性あり。
    • 他にも 触れるとダメージ+コンパスが一定時間使用不可になる「彷徨う魂」 、近くにいても 灯の明滅や心音が一切ない徘徊型の泣き声の主 等、これでもかと言わんばかりの鬼設定。このステージが安定してクリアできれば初心者は卒業していると言えるだろう。
  • 聖域
    • 上記の霊魂の淵叢で特定の条件を満たすことでプレイ可能になる隠しステージ。
    • 勾玉を入手するとステージが浸水する仕掛けや、こちらの位置を透視してどこまでも追いかけてくる千里眼の徘徊者等、これまでとは一味違った難易度のステージとなっている。
    • 実際にはステージの難易度自体は霊魂の淵叢の方がはるかに高いため、淵叢が普通にクリアできる人ならヒグラシや深淵並みの難易度に落ち着く。
  • 外縁
    • ゲーム本編クリア後にプレイ可能なおまけステージ。コンソール版では最初から収録されているが、 Steam版は有料DLCで購入が必要。
    • 複雑で暗いマップ、レバーを使った豊富なギミックと本編の回廊ステージの特徴を詰め込んだ構成となっている。
    • 難易度挑戦者では これまでに遭遇してきた全ての徘徊者が登場する という、とんでもないものになっている。あちこちから鈴の音や走る音や泣き声が同時に聞こえ、気がついたら水状態の警鐘の徘徊者が足元にいるということが普通に起こる。
    • ステージの暗さも深淵の比ではなく、 灯りを消すと文字通り何も見えないエリアがほとんど。 光石を置くなどで方向を把握しておかないと迷子になること必至である。
    • 上記の特性からプレイヤーのアイテムの使い方や徘徊者への対応力が問われるステージとなっており、このステージを極めれば影廊マスター(?)になれる・・・かもしれない。

徘徊者

  • 能面を顔に掛けた、このゲームの敵。
  • 回廊を徘徊して主人公を探しており、主人公を見つけると追いかけてくる。こちらを目視できる距離は徘徊者ごとに微妙に異なっているが、ライトを付けたままにしているとかなり遠方からも発見される。
  • 徘徊者は一部を除き特徴的な音を出しており、その音で徘徊者の接近を知ることが可能。
    • アイテムや燭台の光の明滅や主人公の心音など徘徊者の接近を知る手段は他にも存在する。
  • 徘徊者に捕まると基本的に即死。

以下、登場する徘徊者の特徴を抜粋。

  • 神楽鈴の徘徊者
    • シャンシャンと鈴を鳴らしながら回廊を徘徊するこのゲームの顔。
    • 特に面倒な能力も持っておらず、追いかける速さも普通。 爆竹やプレイヤーの走る音を聞きつけるとその場所へやってくる という性質があるため、鈴の音が聞こえている時に走るとかえってピンチになる場合も。
  • 走り廻る徘徊者
    • 複数の手がある異形の巨体でドタドタと回廊を走り廻る徘徊者。
    • 襖や扉を一瞬で破壊するので、回避アイテムや行李(カゴ)が無い時に見つかった場合に逃げ切るのは極めて難しい。 こちらの走る音が聞こえない という特徴があるため、近くで走っても気づかれることはない。
  • 忍び寄る徘徊者
    • 巨大な蜘蛛のような姿の徘徊者。
    • 一切音を出さずに回廊を徘徊するので灯りの明滅と心音によってでしか接近を認知できず、目視しない限りは具体的な位置が分からないまま探索するハメになる。 神楽鈴の徘徊者同様、爆竹とプレイヤーの走る音に反応する。 それに加えて 視界が全方位にある ため、後ろを通り抜けようとすると普通に見つかってしまうなど、なかなかに厄介な相手。
  • 泣き声の主
    • 蹲って泣いている女性の徘徊者。他の徘徊者と違い、基本的にその場から動かない。音に非常に敏感で 近くを歩くだけで立ち上がって警戒状態になる。 この状態でさらに歩くか走るかすると、 相手の視界に直接入ってなくとも即発見される。 ステージによっては徘徊するタイプのものもおり、その場合は至近距離にいても 灯りの明滅、心音が一切発生しない ため、忍び寄る徘徊者かそれ以上に危険な存在となる。
  • 警鐘の徘徊者
    • 液状と人型の2つの形態を持つ老人の姿をした徘徊者。液状の時に 爆竹かプレイヤーに触れると人型に変化する。
    • 人型の状態で姿を見られると名前の通り 手に持った鐘を鳴らしまくり、周辺の徘徊者へプレイヤーの位置を知らせる。
    • 液状の時は移動速度が異様に速い上に暗いマップではほぼ視認ができず、 気がついたら目の前で人型になっている という、ホラーゲーに恥じない状況が発生することもしばしば。
      • 一応人型への変形時に極小音量だが水の流れる音がするため、運良く聞けたらすぐにその場から逃げるのが吉。
    • 対処の難しい徘徊者の一人であり、初心者プレイヤーの大きな壁となる。
  • 千里眼の徘徊者
    • 巨大な頭部に能面と目が張り付いた妖怪のような姿をした徘徊者。
    • *2を歌いながら徘徊しており、歌が聞こえる位置にいると こちらの居場所を透視され、どこに逃げても延々と追いかけてくる。
    • 部屋や行李に隠れても歌が聞こえている限りは必ず見つけられてしまうため、やり過ごすには歌が聞こえなくなる位置までひたすら逃げる必要がある。
    • 警鐘の徘徊者同様、対処の難しい徘徊者の一人。
  • 憎悪を振りまく影
    • 特定ステージにのみイベント的に出現する。恐ろしい叫び声を上げながらプレイヤーをどこまでも追いかける恐怖の存在。
    • いかにも怨霊といった感じの外見や、耳をつんざくような叫び声等、 初めてこの敵に遭遇した時のプレイヤーの精神的ダメージは計り知れない。
    • さらに視界に入れてしまうとこちらの体力が高速で減っていくという、 本当の意味での精神的ダメージが実装されている。
    • 基本的に隠れてやり過ごすことができず、倒すこともできないという本作の敵の中では一位二位を争う程の危険な存在である。

アイテム

  • ボタンを押して使用するアイテムと、持っているだけで効果があるパッシブアイテムが存在する。

以下、一部のアイテムの特徴を抜粋。

  • ライター
    • 一部を除くステージで初期から持っている光源。
    • 付けている間は主人公の周囲を照らし、時間制限も存在しない。
    • 徘徊者が近くにいるときはライターの炎が点滅し始めるため、徘徊者の探知機としても使える。特に忍び寄る徘徊者に関してはこの方法以外で接近を判断できない。
    • 種類によるが徘徊者に近すぎると逆に見つかるため、点滅し始めたらなるべく早く消すのが良い。
  • 懐中電灯
    • ステージ内に設置されているアイテム。ライターに比べると光源が強いが、付けている間は電池がどんどん減っていき、電池がなくなるとアイテム欄から消滅して使用できなくなる。
    • 徘徊者がこちらを向いている状態で付けるとかなり遠距離からでも発見されるため注意が必要。
  • 爆竹
    • 前方に投げて一定時間爆音が鳴り響く。
    • 蟲を追い払う効果と、音を聞いた徘徊者を近寄せる効果がある。
    • 徘徊者を一か所に集めて逃げるのに使ったり、鍵のかかった部屋の内部に投げ入れれば通りかかった徘徊者が鍵扉を破壊してくれる。
    • さらに重要な要素として、 爆竹が鳴っている間はプレイヤーの走る音が完全にかき消される ため、徘徊者がこちらを向いてない状態であれば真後ろを走り抜けても気付かれない(忍び寄る徘徊者には見つかる。)
    • 以上のように回避にも勾玉集めにも使えるので爆竹を制する者が影廊を制す*3と言えるほど重要度の高いアイテムである。
  • 古いカメラ
    • 徘徊者の前で使用するとフラッシュを焚き、徘徊者を一時的に足止めする。
    • 使ったときに徘徊者が近いほど足止め時間が延びる。
    • 一旦使用すると数十秒ほどインターバルが発生するため、連続で使うことはできない。
      • ある難易度のあるステージでは上3つの特性を理解していないと、場合によってクリア難度が跳ね上がる。
    • 爆竹同様に虫系の敵を追い払う効果がある。
  • ひかり石
    • 設置するとあたりを青白い光で照らし出す。光源はやや頼りないが目印として使えるため、回廊内で迷わないように探索するためには必須のアイテム。一度置いても後から回収が可能な上、徘徊者はこの石の光には一切反応しない。

以下、一部のパッシブアイテムの特徴を抜粋。

  • 赤色の葉っぱ
    • 時間経過で主人公の体力が回復するようになる。
  • トカゲの尻尾
    • 体力が50よりも多い状態で徘徊者に捕まったとき、このアイテムのロストと体力の50減少と引き換えにどこかにワープする。
  • 厚手の長靴
    • 一部の蟲のダメージを無効化する。
    • 水場でも移動速度が低下しなくなる。

難易度

ほぼ全てのステージで難易度は初心者、挑戦者、修羅の3段階存在する。

  • 初心者
    • 回廊型ステージの場合、ゴールに必要な勾玉が3個のみ(挑戦者以上だと5個必要。)
    • 非回廊型ステージの場合、ダンジョンの途中が大幅にカットされるなどして低難易度化する。
    • 回廊系のステージでは徘徊者の数が少なく設定されている。
    • 徘徊者に見つかった時の追跡速度が遅く、追いかけて来る距離もかなり短い。
    • 憎悪を振りまく影の追跡速度がかなり遅く、こちらの体力を削るペースも緩い。
    • Switch/PS4版はミニマップが存在する。
  • 挑戦者
    • このゲームの標準的な難易度で、手応えのある「本来の影廊」が体験できる。
    • 回廊マップは全てランダム配置になり、ミニマップも表示されない。
    • 徘徊者の追跡速度が初心者よりも早く、追跡距離も長い。
    • 憎悪を振りまく影の追跡速度及び体力を削るペースが初心者から大幅に上昇。
    • 各ステージで「特別な勾玉」が入手できる。なお、PS4及びSwitch版では初心者でも「特別な勾玉」が入手可能。
  • 修羅
    • 回廊型ステージの場合、挑戦者には居なかった徘徊者が追加されておりコンティニューも不可能になる。
    • 非回廊型ステージの場合、ダンジョンの進行順序の変更がなされるなどして高難易度化する。
    • 虫系の敵や彷徨う魂から受けるダメージが2倍になる(落下ダメージなど、一部は除く。)

達成の証

  • 本作のやり込み要素の1つ。条件を満たすことで解放される。
  • 解放された項目をONにすれば、スタート時にそれらの効果を使用できる。
  • 一部の達成の証は使用した場合、ステージクリアしても、クリアとしてカウントされず、タイムも記録更新はされない。

以下、一部の達成の証の条件と特徴を抜粋。

  • コンパス強化
    • 勾玉を通算で30個集めることで解放される。
    • コンパスに青紫の針が現れ、特別な勾玉がある場所を指し示すようになる。
  • おたすけセット
    • 通算で44回死亡すると解放される。
    • 懐中電灯、爆竹2個、古いカメラ1個を所持した状態でスタートできる。
  • 懐中電灯バッテリー強化
    • ヒグラシの回廊を挑戦者以上で30分以内にクリアすると解放される。
    • 懐中電灯の持続時間が長くなる。
  • ひかり石光量強化
    • 深淵を挑戦者以上で30分以内にクリアすると解放される。
    • ひかり石の光量が上昇する。
  • 屈み歩行速度強化
    • 霊魂の淵叢を挑戦者以上で30分以内にクリアすると解放される。
    • 屈んだ状態での移動速度が上昇する。
  • スタミナ回復速度強化
    • 聖域を挑戦者以上で30分以内にクリアすると解放される。
    • スタミナの回復速度が上昇する。
  • 天狐の面
    • 修羅で全てのステージをクリアすることで解放される。
    • 天狐の面を装備した状態でスタートする。
    • 体力やスタミナの回復速度が大きく上昇し、入手した勾玉を射出して、扉の破壊や徘徊者の撃破が可能となる。
    • 強力な効果の為、ONにした状態でステージクリアしても、クリア判定にならず、記録は更新されない。
  • セピアモード
    • 聖域をクリアすると解放される。
    • セピア色の昭和風な画面になる。
  • ロッカーモード
    • こけしを10体集めると解放される。
    • 行李がロッカーに変化する。
  • 無限アイテム
    • こけしを100個集めると解放される。
    • 取得しているアイテムを無制限に使用することができる。
    • 強力な効果の為、ONにした状態でステージクリアしても、クリア判定にならず、記録は更新されない。
  • パーティーモード
    • アーカイブ[雑誌記者の記録][八尾の狐の昔話][その他]を全て集めると解放される。
    • 徘徊者や一部の登場人物がパーティー仕様の衣装になり、勾玉の代わりにケーキが配置される。
  • こけし探知
    • 外縁を挑戦者以上でクリアすると解放される。
    • ステージ内にある未取得のこけしの場所を音で探知できるようになる。

評価点

  • 雰囲気が良い
    • ホラーの観点で見れば暗い部屋の灯りや遠くから聞こえる鈴の音や近づく足音など、目と耳からダイレクトに怖さが伝わりジャパニーズホラーを体現したゲームと言って良い。
    • ホラー以外の観点で見ても窓の格子から差し込む夕日とヒグラシの鳴き声、ほわっと明かりが広がり周囲を照らす彼岸花など粋な表現が随所に見られる。
  • グラフィックが美麗
    • 個人製作の作品ではあるがUnreal Engine 4で開発しただけあってグラフィックは美しい。
  • 攻略のやり応えは十分
    • ランダム生成のマップ、暗い回廊、徘徊者から基本的に逃げ続けなくてはいけないゲーム性により攻略時の緊張感や怖さは十分感じられ、難易度もやり応えがある難しさ。
    • 逆に言うとライト層には全体的に厳しいバランスとなっており、特に挑戦者での攻略はこの手のゲームに慣れていないプレイヤーにはかなり難しく感じられる可能性がある。
  • やりこみ要素も存在する
    • 各ステージにはこけしや本作の物語の真実が垣間見えるテキストが隠されており、それらを全て見つけるやりこみも存在する。
    • 各ステージの最速クリア時間が記録されるのでタイムアタックが可能。
    • ゲームクリア後は一定時間内に勾玉を多く集める勾玉チャレンジや徘徊者の数などを自由に設定可能なカスタムゲームも解禁される。
      • 前者は個数の限界に挑戦し、後者は徘徊者を限界まで増やして自分のクリア限界に挑戦したり、神楽鈴30体と戯れるなどのネタプレイで遊ぶことが可能。
  • 非回廊型ステージでの難易度の調整が絶妙。
    • 例えば骸流しの渓谷では全ての難易度で進行ルートが全く異なり、大食らいでは修羅専用高難易度エリアが存在する。
    • これによって同じステージでも目新しさが感じられ、攻略に新鮮味が感じられる。
    • ただし、進行がほぼ変わらないステージや覚えゲーになったステージもあるのが玉に瑕。
  • Switch/PS4版は難易度初心者にミニマップが存在するのでゲームに慣れていないプレイヤーがより遊びやすくなった。
  • 対応言語がインディーゲームにしては多い。
    • 日本語、英語、韓国語、ロシア語、中国語簡体字に対応している。
  • エンディング曲のdawnの評価も高い。
  • お買い得価格。
    • Steam版は1000円以下で購入可能で非常に安い。
    • 一方、Steam版のDLCは約500円と割高だが、本体と合わせて1500円を切るので十分安い。
  • アイテムの使い方でテクニックが見せられる。
    • ステージ内で入手できるアイテムは基本的には有限であり、限られたアイテムをいかに効率よく運用できるかでプレイヤーの腕を見せることができる。特に爆竹で徘徊者を誘導するのは本作における基本中の基本テクであり、これが状況に合わせて的確に行えるかどうかが初心者と熟練者を分つ壁となっている。

賛否両論点

  • 難易度が高い。
    • 一般的なホラゲーと異なり覚えてパターン化することが難しいゲームなので、実力を上げるか豪運を持たないとクリアまでの道のりは遠い。
      • ただ、パターン化に関してはエリアごとの構造を把握することである程度はスムーズに動くことができるため、完全にパターン化不可能なゲーム性というわけでもない(もっとも、マップなしでエリアの詳細がわかるようになるにはそれこそ相当なやり込みが必要なのは言うまでもないが)。
      • 慣れればコンパスやミニマップ無しでゴールに辿り着くことも可能なゲームなので、制限プレイややり込みが好きな人にはうってつけと言えるだろう。
    • 神楽鈴以外の徘徊者は揃いも揃って厄介者揃いなので、慣れていないうちは死にまくる。
    • 非回廊型のステージは初見殺しのギミックが比較的多いので、初プレイでは死にゲー並みに死にまくる。
    • 難易度初心者は徘徊者の追跡速度が大幅に低下するが、小部屋で見つかって逃げ場がない場合やパニックで身動きが取れない初心プレイヤーの存在も考えると難易度が著しく下がったとも言えない。
      • もっとも、あまりに簡単にしすぎると死に対する恐怖感が薄れてしまうので、これは仕方のない調整と言える。
    • 裏を返せば評価点で述べた通りやり応えのある難易度が担保されているので、難しいゲームが好きな人にはハマる。
    • なお、実際のところは、行李に隠れれば千里眼の徘徊者と憎悪を振りまく影以外の敵は回避できるため、「蝋燭や心音で徘徊者の反応が無くなるまで隠れ続け、安全と分かっている時だけ動く」ことを徹底すれば、時間は掛かるもののクリアすることはそれほど難しくはない。そもそも千里眼の徘徊者が追加された理由が、行李に隠れ続ければ安全であるというセオリーを無くすためである。
  • 憎悪を振りまく影が非常にうるさい。
    • 叫び声を上げながら主人公に接近する敵だが、これが本当にやかましい。
    • 一方、声のデカさのおかげでこいつの接近に気付かないという事態にはまずならない。
  • ボイスはあるがフルボイスではない
    • 会話場面では最初のセリフだけ言って、後は何も言わないパターンが多い。ストーリーが魅力的なだけにここは残念な部分である。
  • 後半のステージになるほどパッシブアイテムが厚手の長靴一辺倒になる。
    • システム欄にある説明を見ると一見使いどころが限られるアイテムに見えるが、以下を踏まえると非常に有用なアイテムである。
      • 触れる度に2ダメージを与える竜蟲は回廊の要所要所に存在し、こいつを踏まないと進めない場合が多いが厚手の長靴はダメージを無効化できる。
      • 半開きの箪笥には有用なアイテムが入っており開けると大蜘蛛が出てきて主人公に20ダメージを与えるが、厚手の長靴はダメージを無効化できる。
      • 一部のステージでは回廊の最下層がほぼ水場である。
      • 一部のステージではフロア全体が水場になる
    • 蟲のダメージは修羅だと2倍になって無視できなくなるので、水場が無いステージでもこれが履かれることが多い。
    • 水場があるステージだとこれがないと移動が遅く、徘徊者からも逃げにくくなるのでこれが履かれることが多い。
    • ただ、他のパッシブアイテムも十分有効な物が多く、これが無ければクリアもままならない事態になることは無い。

問題点

  • 勾玉チャレンジやタイムアタックでハイスコア更新を狙うと運ゲーになる。
    • 勾玉チャレンジでは鍵を必要十分数拾えることを祈る必要がある。勾玉の配置は固定だが鍵に関してはランダムなので、勾玉の部屋を発見しても鍵がないので諦めるという事態に陥りがち。せっかくエリアの構造を記憶してもアイテムの出現率に左右されるのは若干理不尽と言わざるを得ない。
      • 勾玉チャレンジで金メダルノルマを達成しようとすると上記の運要素のせいで難易度が跳ね上がる。
      • 前述の通り鍵の置き場所はランダムで決まるため、鍵が手に入らないことは勾玉が手に入らないことに直結する。一応泣き声の主付近の勾玉は鍵なしで取れるが、そもそもそういったエリア自体が少ないため、この方法だけでノルマ達成は実質不可能。
      • 特に厳しいのが深淵ステージ。位置の特定が困難な忍び寄る徘徊者や徘徊型の泣き声の主がいるせいで迂闊に走れず、やり過ごすにしてもこの二人は移動速度が極端に遅いため、待ち時間が無駄になりがち。忍び寄る徘徊者に関しては視界が広いせいで真後ろにいても見つかるというおまけ付き。
      • 徘徊者に開けてもらうことで鍵は節約可能だが、その場合は鍵扉の近くで徘徊者が通りかかることを祈る必要がある。仮に近くに徘徊者がいてすぐにドアを壊してくれても、徘徊者は爆竹が鳴っている間はその場から動かないため、徘徊者が去るまで勾玉が拾えないことが多く、結果的に時間のロスになる。
    • タイムアタックでは勾玉を楽に取れるエリアに来ること、徘徊者に出会わないこと、ワープアイテムを使ったときにワープ先がゴールに近い(最悪でも遠くはない)ことを祈る必要がある。
      • 特にワープ系アイテムで飛ばされる場所は完全にランダムなので、ゴール手前でうっかりワープしてスタート地点近くまで戻されると悲惨。場所によっては背後で瓦礫が落ちて閉じ込められるエリアもあり、その場合はあらかじめ設置されている手鏡で強制ワープを強いられる。
    • ただ運要素が多いとは言え、ある程度はテクニックでカバーできる部分もあり、その辺りはプレイヤーの技量が問われる所ではある。エリアごとの構造を記憶するといった基本的なところから、爆竹や足音で徘徊者を誘導して別ルートから移動する、現在位置がわからない状態でのワープ系アイテムの使用を控える等、意識して突破できる箇所は多い。
  • 徘徊者の挙動が不安定な時がある。
    • 近くで爆竹が鳴っているのに反応せずに素通りする、部屋に隠れていたら音も立てていないのに突然徘徊者が侵入してきてそのまま殺される、見えない位置に隠れているのに何故か発見されるなど挙動がおかしい時が時折ある。
    • 場合によっては行李に隠れていたら徘徊者が目の前で停止してしまい、脱出不可能になると言う深刻なバグもある。この場合はリスタートする以外に方法がなく、発生条件も不明なため、この状態に陥ってしまった時は運が悪かったと思うしかない。
  • ゴールエリアにも徘徊者が普通に侵入してくる。
    • これは仕様上の問題なので仕方がないが、勾玉を設置するエリア(通称ゴールエリア)は完全な安全地帯ではなく、 徘徊者が普通に入ってこれる。 極端な話、勾玉を置いてさて安心と思ったら背後から徘徊者がやってくると言う状況も起こり得る。
    • ただし、この場合は徘徊者がすぐ近くにいる状態で足音を立てたり、発覚状態でゴールエリアに飛び込んだ場合に起こる問題であるため、通常はそれほど気にする必要はない。
    • 例外としてプレイヤーを発見すると部屋の中でも関係なく侵入してくる水溜り状態の警鐘の徘徊者や、そもそも隠れることが意味をなさない千里眼の徘徊者などは要注意である。
  • 難易度修羅が一部覚えゲーになっている。
    • 非回廊型のステージでは迷路状のエリアで主人公を誘導する光の玉が存在するが、難易度修羅ではそれがない。
    • なので正しいルートを暗記して攻略する必要がある。
  • Switch版が他の機種と劣る点がある。
    • 画質がやや悪い。
    • カスタムゲームで設定できる徘徊者の上限数が少ない。

総評

美しくも暗い雰囲気でプレイヤーに恐怖と緊張感を与えるジャパニーズホラーの良作。
日常から非日常に迷い込み、暗い回廊を探索する流れも魅力的。
毎回変化するマップを攻略するのも新鮮で、慣れにくいので恐怖が長続きする。
静かで和風な雰囲気が好きな人、慣れることのない新鮮な恐怖を味わい続けたい人、高難易度でやり応えのあるゲームを求める人に特に薦めたい逸品。


余談

  • ページ上部で触れた通り、本作はフリー版の「影廊 -Shadow Corridor-」を大幅にアップデートして完成した作品である。
    • フリー版の方はふりーむ!で無料で入手可能である。
    • 基本的なシステムは本作と同じだがパッシブアイテムが存在しない、徘徊者が接近したときの画面のノイズが強くより恐怖を味わえるなど、本作とはまた違った作品になっている。
    • 本作未プレイで影廊の雰囲気を知りたい人、本作プレイ済みで一味違った影廊を楽しみたい人は是非お試しあれ。
  • そして2023年内に正式続編『シャドーコリドー2 雨ノ四葩(あまのよひら)』を発表。
    • ストーリーや世界観は一新され、基本コンセプトは前作と同じだが新要素も多数追加予定との事。
    • 発売目途は10月の予定だったが2024年内に延期され、2024年3月30日に発売。
最終更新:2024年07月30日 08:54

*1 ローマ字表記時の「kageroh」が元。作者曰く「影廊」は愛称として使用してほしいとのこと。

*2 よく聴くと「通りゃんせ」の逆再生と分かる。

*3 https://twitter.com/SpaceOnigirGame/status/1088384057019265030