モトローダー

【もとろーだー】

ジャンル レーシング
対応機種 PCエンジン
メディア 2MbitHuカード
発売元 メサイヤ
発売日 1989年2月3日
定価 5,200円
プレイ人数 1~5人
配信 プロジェクトEGG:2004年10月12日
バーチャルコンソール(Wii):2007年1月16日
バーチャルコンソール(WiiU):2014年12月17日
判定 良作
ポイント PCエンジン初期の多人数向けゲームの代表作。
対戦プレイは白熱必至。1人プレイはそうでもない。

概要

近未来型のレーシングカーを操作する、上方視点・全方向スクロールのレーシングゲーム。
レースは常に5台の車で行われ、ゲームスタート時にプレイ人数を設定し、残った車はCPUによる操作となる。
ステージは全8ステージで、規定周回数を周りゴールした順位によってポイントと賞金が加算される。最終的にポイントが最も多いプレイヤーが優勝となる。
賞金は車のチューンアップやアイテムの購入に使用できる。各ステージ開始前に各種パーツを購入することで、車の性能を上げたり、コース中でアイテムを使用することができる。

評価点

  • 白熱する多人数対戦
    • 先頭車両と差がついて画面外に消えそうになると、自動的に画面中央へ強制移動する(ただしガソリンが消費される)という仕様と、車両同士が接触しても当たり判定が無いという仕様から、駆け引き次第で誰にでも勝てるチャンスがある。
    • さらには爆弾アイテムによる走行妨害や、オイル・ジャンプ台・濡れた路面などの障害物の存在、ガソリンによるエネルギー切れなどの要素もあり、道中では様々な駆け引きが行われる。
    • こうしたゲーム内容により、複数人による対戦プレイは最初から最後まで気が抜けず、必然的に大いに盛り上がるようになっている。
  • シンプルかつ奥が深いパーツセレクト
    • 最初の所持金と賞金を使用してのパーツ交換要素が、車の性能やレース中の駆け引きにおいて非常に重要な役割を果たしている。
    • 所持金には限りがあるため、エンジンを交換して馬力を優先させるか、タイヤを交換してグリップを優先させるか、アイテムを追加して他車の妨害や障害物対応を優先させるかなど、プレイヤーによって様々な選択肢を取ることで、レース外でも駆け引きを行う事が出来る。
    • 選べるパーツはタイヤ、車体、エンジン、ハンドル、ブレーキ、ターボ、そしてスペシャルアイテムが7種類となっており、非常にシンプルながらも、プレイヤーによって個性を出すには十分な内容となっている。
      • エンジンだけを強化してもグリップが少ないとスピンをしやすいなど、特化した強化が必ずしもうまくいかない点もあり、レースゲームとしてのこだわりも見せている。

賛否両論点

  • 対人戦におけるパーツセレクト
    • 前述のように非常にこだわりのあるパーツセレクトだが、選択画面では1人ずつしか設定できない。選択肢が多様であるがゆえに、5人同時プレイともなると、パーツセレクトだけでも非常に時間がかかってしまう。
    • 順位によって賞金額が異なるため、ステージを進めていく事によって、車の性能差に開きが生じてしまうという場合がある。必ずしも車の性能差のみで勝敗が決まる訳ではないが、対人戦で全てのステージをバランスよくプレイするには、少々難のある仕様となっている。
    • パーツセレクトは順番に行うので、最初のプレイヤーの動向が分かると、後のプレイヤーが対策を立てやすいという点がある。この辺りは各自がローカルルールを用いて、うまく対応していくしかない。
  • シンプルだがとっつきにくい操作性
    • 操作方法は「全方向」と「左右のみのラジコン仕様」の2種類が選べるほかは、アクセルとアイテム使用のみというシンプルなものだが、基本的に上方視点で全方向にスクロールする仕様のため、最初は慣れるまでに時間がかかる。
    • 画面外に出てしまい、画面中央に弾かれた時は、そのままのスピードで操作をしなければならないため、コース外に出て減速した状態で弾かれると加速が追いつかず、何度も画面外に出ては弾かれるという状態に陥りがちで、これによりガソリンがみるみる減ってガス欠で失格ということも起こりがちである。
      • これを利用して、対戦時に常に先頭を走る事で、相手が画面中央に弾かれた際にコース外や障害物に追いやるという事もできる。ただし先頭にいると妨害アイテムや障害物を避けるのが難しいというリスクがあったり、場合によっては相手に先行を許す事もあるなど、この辺りが対人戦における最も重要な駆け引き要素であるといえる。

問題点

  • 1人プレイは単調になりがち
    • 対戦時の駆け引きの熱さが売りなのに対して、単独でのプレイではその駆け引きが十分とは言い難く、どうしても淡々とステージをこなしていくという形になりがちである。
    • また、CPUはリタイアが無い為に理不尽に感じる部分も。
    • あくまでも対戦プレイを見越しての操作の練習や、コース熟知のための予習という要素として捉えるのが無難といえる。
  • ステージセレクトができない
    • ゲームシステム上、ゲーム開始時にプレイヤー人数を設定した後は、必ず順番にステージをこなしていくため、後半のステージをプレイするためには必然的にステージ1からのプレイが前提となる点も残念。
      • 一応、隠しコマンドを入力する事で、スペシャルコースを走行するという裏技が存在しているので、ステージ1のプレイが大前提という事ではない。

総評

シンプルながらも奥の深い駆け引きが楽しめる事により、大人数での同時対戦は白熱すること請け合いである。
操作テクニックよりも、いかにコース内容を熟知しているかが勝敗の肝となってくるため、妨害アイテムの使い方によっては、初心者であっても経験者に勝てるチャンスがあるなど、接待ゲームとして非常に優秀なゲームといえる。
一方で単独プレイがやや単調になりがちなのと、多人数の場合チューンアップに時間がかかってしまうのは難点といえる。


続編

  • 1991年には同じくPCエンジンHuカードで『モトローダーII』がリリースされている。上方視点だが基本的に上方向へ進行していく、他車同士の当たり判定があるという仕様に変更されている。
  • 1992年にはPCエンジンSUPER CD-ROM2で『モトローダーMC』がリリースされている。こちらはコース全体が1画面に収まっているなど、大幅に仕様が異なるものになっている。
  • 2019年にリリースされたPCエンジンminiには海外版が収録されている。海外版は日本版では隠し要素だったコースセレクトがデフォルトで可能となっている。

余談

  • レーシングカーのデザインは、当時『超獣機神ダンクーガ』や『機甲戦記ドラグナー』のメカニック描写で頭角を現していた、アニメーターの大張正己氏が担当している。
  • PCエンジンは別売のマルチタップで5人同時プレイが可能だが、当時はまだ5人同時プレイを意識したソフトがほとんど無い状態だった。1989年前半に『モトローダー』と『ダンジョンエクスプローラー』が発売されたことで、マルチタップの需要は大いに高まった。

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最終更新:2020年11月06日 17:52