Into the Breach

【いんとぅ ざ ぶりーち】

ジャンル ターン型ストラテジーゲーム(SRPG)
対応機種 Windows Vista/7/8/10
Mac OSX 10.7以降
Ubuntu 14.04以降
Nintendo Switch
開発・発売元 Subset Games
発売日 【Win】2018年2月28日
【Mac】2018年8月9日
【Switch】2020年9月18日
定価 1,520円
$ 14.99(GOG)
【Switch】1,620円(税10%込)
プレイ人数 1人
配信 Steam, Origin, GOG,
Epic Games Store
備考 配信のみ
判定 良作
ポイント シンプルなルールながら奥深い、何度でも遊べるSRPG
ランダム性と再チャレンジ性は「ローグライク」的
1プレイは短いが高難易度

概要

  • 5ターンを1セットとして8×8マスで区切られたマップの中で、3機の搭乗型メカと時を渡る能力「ブリーチ」を操り、虫型の侵略者「VEK」から世界を守り続けるターン制SRPG。
    • グラフィックはGBA時代を思わせるドットで描かれおり、シンプルなルールで歯ごたえのあるゲームバランスと再チャレンジ向きの要素が多いのが特徴。
  • 『FTL: Faster Than Light』を制作したSubset Gamesにとって本作は2作目となる。
    • 『FTL』に登場したキャラが本作に隠しパイロットとして登場している。
    • リアルタイムだった『FTL』と異なり、本作はターン制となっている。
      • 制作スタッフは『XCOM:Enemy Unknown』のようなものにさらにオリジナリティを加えたものを作ろうと考えたと語っている。
    • The Game Awards 2018にて『Frostpunk』『Valkyria Chronicles 4』を抑えて「Best Strategy Game」を受賞している。
    • Game Developers Choice Awards 2019 にて「Best Design」を受賞。
    • British Academy Games Awards 2019にて「Original Property」を受賞している。
  • 2020年4月に公式に日本語化された。
    • Epic Games Store版の販売ページに日本語対応の記載はないが、ゲーム自体は日本語対応の多言語版にアップデートされている。

システム

  • ひたすらランダム性の強い8×8マスで区切られた戦闘マップを3機の搭乗型メカでクリアし続けるゲームシステム。
    • 難易度・部隊・パイロット選択から始まり、ステージ(アイランド)選択→準備からの選択マップでの戦闘→4回戦闘後にボスマップ→ステージクリアボーナス→ステージ選択…を繰り返し、2ステージ以上クリアした時に出るラストステージをクリアすると1ゲーム終了。
      • 操るメカの搭乗者は「タイムトラベラー」でもあり、敗北も含めたゲーム終了後は、「別のタイムラインを救いに行く」という形で、新しいゲームに挑むことになる。
    • 「敵の撃退」でなく「街の防衛」が目的であり、攻撃での撃破や状態異常はもちろん、押し出し、引き寄せなども駆使することが重要となる。
    • 相手の手がある程度わかった状態で最善手を探す点は「詰将棋」「ローグライクでのモンスターハウス攻略」、難易度の高さからは「FEの高難易度モード」、引継ぎが少ないがランダム性により繰り返し遊べるゲーム性は「ローグライク」に例えられることもある。
  • パイロット
    • メカのパイロット。実状は部隊長。ユニークな特殊技能*1を持つ、俗にいうネームドパイロットをゲーム開始時に部隊のどのメカに搭乗するか設定を行う。
      ここで指定しなかった残りの2機は特殊技能を持たないモブパイロットがそれぞれ初期搭乗者となる。
      • パイロットらは未来から過去を救うためにやってきたタイムトラベラーという設定となっている。このため、タイムトラベルを駆使して再プレイが可能。
      • パイロットが搭乗しているメカが破壊された場合、原則としてパイロットは戦死となりそのタイムラインにおいては失われる*2
      • タイムラインの放棄(ギブアップ)及び壊滅(ゲームオーバー)、または最終マップを突破し完走した際に生存していたパイロットのうち1人を、経験値や習得したスキルを保持した上で次回のタイムラインに引き継ぐことができる。
    • ゲームを進めると新たなネームドパイロットを発見できることがあり、加入させた場合は次回のタイムラインから初期パイロットとして使用可能となる。
      それらのパイロットは時折戦場に不時着するタイムポッドから回収できたり、アイランドをノーミスで制圧した際のボーナスとして獲得するのが主となる。
      • 複数のパイロットが使用可能であっても、既存のパイロットは1名しか出陣できない。
    • パイロットにはレベルがあり、経験値を貯めることでレベルアップする。
      • 基本的にはVEKを撃破したパイロットがHP1毎に経験値 1 を得られる。メカには初期装備に攻撃能力のないものもあるため、搭乗させるメカによっては経験値の獲得が極めて困難なこともある*3
      • 経験値を得てレベルUPする際に新たなスキルをランダムで得る。
    • なお、パイロットが搭乗していなくても人工知能がメカを操作できるという設定になっており、メカの数だけパイロットが必須というわけではない。
      ただし無人の場合は言わずもがなパイロットの経験値は獲得できず、スキルもなしとなるために有人より遥かに不利であり、パイロットの戦死によって欠員が発生しているのでなければ無人で運用する理由はない。
  • 部隊
    • 3機で構成されるメカの編成を指す。初期から選択できる部隊は1種類だけだが、実績をクリアすることで得られるコインを消費して新しい部隊を解禁できる。
    • 解禁された部隊をそのまま使用してもよいが、部隊のセットを無視して使用可能な全メカから「ランダムに抽出された3機編成の部隊」や「ボクが考えた最強の部隊を編成したカスタム部隊」で出陣することも可能。
    • コイン獲得のための実績は全部で55個存在し、それぞれの部隊(ランダムやカスタムも含む)毎に3個×10部隊、それ以外の条件で25個獲得できる。
      • 最初は選択できない部隊を全てアンロックするにはコインが30個必要だが、55個全ての実績をクリアすると……?
  • メカ
    • メカにはクラス(級)、HP、移動力、特殊能力、初期装備、リアクターパワーが設定されており、パイロットのスキル、装備変更、そして自身のリアクターパワーで強化できる。
      • リアクターパワーは「振りなおし無制限のスキルポイント」といった要素で、戦闘前にリアクターパワーを割り当てることでHP、移動力強化、そして装備の稼働と強化ができ、振りなおしも自由。
      • 初期状態では初期装備を稼働させるにあたって最低限必要なリアクターパワーのみを持っており、進行中にリアクターコアを入手→戦闘前にメカごとに使用することでリアクターパワーの上限を増やすことができる。
      • パイロット、装備、リアクターパワー割り当ては戦闘前は自由に変更できるが、一度戦闘に出るとメカごとのリアクターパワーをリアクターコアに戻すことはできず、戦闘中は一切変更不可能。
    • 装備は以下の6つに分類され、それぞれ全く違った特徴を持つ。ごく一部を除いて運用するにはリアクターパワーが必要であり、不足していると稼働できない。
      これらの武装はクラス(級)が一致するメカが扱うことで最も効率よく運用できる。ただし一致していなくてもリアクターパワーを1多く使用することで稼働する。
      • プライム級ウェポン
        二足歩行の巨大メカに適した装備群。主に目の前のマスに対して直接攻撃を行う武装が該当する。一部の武装はより広範囲に攻撃できるものも存在するが、それらには味方や施設への誤爆に注意する必要があるものも多い。
      • ブルート級ウェポン
        戦車型のメカに適した装備群。水平射撃や体当たりなど、主に直線上の対象へ攻撃する武装が該当する。近距離から遠距離まで幅広く対処できるが、遮蔽物によって射線を切られるリスクもある。
      • レンジ級ウェポン
        自走迫撃砲型のメカに適した装備群。直線上の一点にミサイルなどを用いて間接攻撃を行う武装が該当する。遮蔽物を無視しての遠距離攻撃が得意な一方で、最低射程距離が2マス以上であるために目の前のマスへ直接攻撃ができない弱点がある。
      • サイエンス級ウェポン
        支援型のメカに適した装備群。主に直接ダメージを与えずに戦場を操作する武装が分類される。何らかの異常ステータスを付与したりユニットの位置を強制的に変えさせたりなどと、補助的な効果が強い。
      • 全級ウェポン
        原則全てのメカに適合する装備で、総じて上記4種に該当しない特殊な挙動をする。1回の戦闘で使用できる回数に制限があるものも多く、それらは切り札のような性格も持っている。
      • パッシブエフェクト
        原則全てのメカに適合する装備で、いずれかのメカが装備しアクティブにすることで常時効果が発動する。総じてプレイヤー部隊に有利な特殊効果を付与できる。
        + 隠し要素
      • サイボーグ級ウェポン
        隠し機体の専用装備で、どこかで見たことのあるような挙動で攻撃を行う。これを装備する機体は他の全装備が適合しないクラスの装備として扱われる制限が課される。
    • 多くの装備はリアクターパワーを追加投入することによってアップグレードし性能を向上させることができる。
      威力や使用回数の上昇や効果範囲の拡大などが主であるが、一部の武装は同士討ちが無効になったり建造物を巻き込んでも破壊しなくなるなど新たな特性を獲得するものもある。
      • なお初期装備は固定装備でなく着脱可能で、アップグレード1、2が設定されている装備は1を無視して2を先にアップグレード可能。
    • ただし、これらの強化要素は引継ぎパイロット以外は1ゲーム中だけのもので、それ以外は1ゲームごとに初期状態にリセットされる。
  • 難易度
    • ゲーム開始時に EASY, NORMAL, HARDから難易度を選べる。
      • EASYは敵の出現数が少なめで、その代わりスコアがNORMALより-50%となる。
      • HARDは敵の出現が増えるだけでなく、「アルファVEK」と呼ばれる強化個体が出現しやすくなる。スコアはNORMALから+50%の補正がされる。
  • MAP
    • マップは複数のアイランド(島)に分割されており、アイランドをクリアすることで次のアイランドへの進行が可能となる。
      • 最初のタイムラインではアイランドの選択順は固定されているが、一度クリアしたアイランドは次のタイムラインからは自由な順番で選択可能となる。ただしアイランドを制圧中に別のアイランドへ転戦することはできない。
      • 敵はアイランド選択前におおまかに確認可能。そしてクリアしたアイランド数に応じて強化されていくため、どの順番で選択しても進行度相応の強さで敵が出現する。
      • 最低でも2つのアイランドをクリアすると最終マップに挑戦できるようになる。
        こちらもクリアしたアイランド数に応じて難易度が変わる。
    • 島のマップの形状や地区割は固定だが、スタート地点や戦場となる地区の名称はランダムとなっている。
      • 地区の名称によって、その戦場にある特殊施設及びそれに伴うボーナス目標が決まってくる傾向がある。
    • スタート地点を含む、現在制圧している地区に隣接している地区にのみ進攻が可能である。
    • アイランド内の4地区を制圧すると、スタート地点の区画にボスが登場して、それ以外の地区には進攻できなくなる。ボス戦を無事乗り切ればアイランドクリアとなる。
    • アイランドをクリア直後に、そのアイランドで獲得したボーナス目標の数に応じた★(Reputation/評価ポイント)を、新規装備やリアクターコア及びインフラ電力(後述)と交換することができる。
      • ボーナス目標の達成しやすい地区から手を付けるか、難易度は高いが★の多いボーナス目標のある地区に進攻するかという戦略的な判断も必要となってくる。
      • 逆に不要な装備を処分したり、ダブついたパイロットを永久配属(=手放す)ことで★を獲得することもできる。これによって部隊から離脱したパイロットは次のタイムラインに引き継ぐことはできない。
      • 全てのボーナス目標を達成してアイランドをクリアすると、褒賞としてランダムな装備・ユニークパイロット・インフラ電力×2の3つから1つを選択して獲得できる。
  • 戦闘
    • 戦場は正方形の8×8マスで区切られている。
      • どのユニットも侵入できない山の地形や、森の地形は攻撃を受けると炎上して侵入したユニットを炎上状態にするように変化したり、2回攻撃を受けると壊れる氷のマス(壊れると水のマスとなり、水のマスにいる場合は飛行ユニット以外は攻撃不可となる他、飛行できないVEKを即死させられる)などの地形がある。
    • ダメージバランスは非常に低い数値でまとまっており、初期の味方のHPが2-3、攻撃力が1-2、敵のHPも通常が2前後、強化個体が4前後、ボスで(分裂するものを除けば)6+補正となっている。
    • 戦場には市街地や産業施設があり、規定ターンの間、これらをVEK(敵)の攻撃から規定ターン防衛すればVEKは撤退し、クリアとなる。
      一方でマップ上の施設が攻撃を受けると1ダメージ毎に1つ破壊される。同時にインフラ電力が1ずつ減少し、これが0になると敗北(ゲームオーバー)。
      • 戦闘終了時に救出できた民間人の人数がスコアとなる。
        これは、ウルトラマン的なヒーローが地球を守った時にその被害の程度は語られはしないけど、本作ではそこにわざわざスポットライトを当てて数値化し、スコアにしたとのこと。
      • 戦場にはボーナス目標が設定されている場合がある。特定施設の防御や、VEKの出現を規定回数ブロック(後述)するなどがある。
        これらの条件を満たすと★を獲得できたり、インフラ電力を回復できたりする。ごく一部にはリアクターコアを獲得できるものもある。
    • 戦闘中にボーナス要素である「タイムポッド」が未来から飛来することがある。当該マスにメカを移動させるか戦闘終了まで守りきれば回収可能。中身はリアクターコア1個が確定、ランダムでパイロットや装備も積載されている(リアクターコアのみの時もある)。
  • ターン進行
    • 敵の移動、攻撃決定が自分のフェイズより優先されるが、敵の攻撃決定後から実際に攻撃するまでの間に自分のフェイズが来るのが最大の特徴。
    • 戦闘開始時には敵出現ユニットの確定、その後味方フェイズでは部隊の初期配置のみを行い、
      敵フェイズで敵は順番に移動と攻撃決定を行う。また敵増援出現マスが分かり、そのままの場合は敵の攻撃後に増援として出現する。味方NPCがいればこの後に行動。
    • 次のターン以降は部隊と操作可能な味方ユニットの操作が可能。移動、装備使用、HPと状態異常回復の修理が可能だが、装備使用、修理後には移動できない。
      この味方フェイズ終了後に初めて敵が攻撃を行うため、味方フェイズ中に敵を対処することで被害を減らすことができる。
      • それでも、攻撃目標決定時に対象を移動不能にしてくる、対処しにくい位置から攻撃を仕掛けてくる、こちらが攻撃すると味方や施設に被害が及ぶ位置にいる、など一筋縄ではいかない場面も多い。
    • 基本的に一度装備使用を確定したらキャンセルはできないが、一戦闘毎に一回だけ「ターンのやり直し」ができる。
      途中で手順を間違えてしまった際やより有利な状況を生み出せるという事態の際に有効である。
  • 直接攻撃以外での敵対処
    • これらの方法が多いのも今作の特徴の一つ。
    • もっともオーソドックスなものが、押し出し(ノックバック)、引き寄せなどを駆使した位置変更及びダメージ。初期部隊は全て押し出し効果を持つ初期装備を備えている。
      • 位置変更は施設や地形と一部の敵以外には必ず発揮される効果で、敵は攻撃決定後はその方向に何があろうと(生きている限り)攻撃するため、空振りや位置次第では同士討ちを狙いやすい。
        また、飛行、ボスユニット以外は水没すると即死し、一部のマップギミックなら飛行、ボスユニットですら即死するため、該当マスに位置変更をできるか考えるのも重要。
      • 押し出しや引き寄せなどの強制移動時に、移動先に別のユニットがいる場合は、移動できずに どちらも1のダメージを受ける。位置変更無効の場合でも別のユニットの移動先ならばこの衝突時のダメージは受ける。
    • 状態異常として、燃焼(自フェイズ開始時1ダメージ)、凍結(行動不能、ダメージ時にダメージ無しで解除)、煙幕(該当マスでは攻撃不能)、
      ACID(一部以外のダメージ2倍)、シールド(状態異常無効、ダメージ時にダメージ無しで解除)、拘束(移動不能、敵専用)が有り、
      ダメージ以外にも、凍結、煙幕による攻撃中断効果も防衛寄りの戦い方では便利。
    • 上記のマップ中のギミックは、即死なども含めて敵フェイズの開始時にどのマスに何が起こるか決定、敵の攻撃前に発動する。
      基本的に味方が避けることは難しくないため、敵の対処のために活用しやすい作りになっている。
    • 敵増援マスの上にユニットがいると「ブロック」となり、増援登場を次のターンに先送りにできるが、ブロックしたユニットは1のダメージを受ける。
      • あくまで先送りされるだけなので、序盤に味方でブロックするとHPを削られる分だけ逆に不利な状況になることもある。
        逆に残り2ターンの時にブロックすると出現前にマップクリアとなるため増援が消滅する。
      • 敵でもブロックできるが、処理順が敵の攻撃→敵増援登場(もしくはブロック)のため
        位置変更で敵増援マスを敵にブロックさせて、そのブロックダメージで倒して攻撃を中断…といったことはできず、
        また同士討ちで倒れる予定の敵に敵増援マスをブロックさせることもできない。
    • メカは破壊されない限りはデメリットがないため、施設への投射攻撃に割り込む、衝突ダメージを受けるが敵にもダメージが入る位置に陣取るなど、HPギリギリまで使い倒すことも考慮に入る。

評価点

  • シンプルながら極めて戦略性が高い
    • 本作の戦闘ではプレイヤーのフェイズが回ってきた際に「MAP特有のギミックによる影響」「火災などによるスリップダメージ」「敵の行動順」「敵の行動による加害範囲と与えるダメージ」など、敵のターンで発生することのほぼ全てを事前に知ることができる。
      • プレイヤーはこれらの公開情報から逆算し、移動効果のある武装を用いて防衛対象が射線に入らないように妨害したり、先に行動する敵によって同士討ちさせて防衛対象を守ったり、撃破が確定していて対処不要な敵は無視したりと、あらゆる手段を駆使して目的達成を目指すことができるようになっている。
      • 上述の「ボスや飛行属性持ち以外の敵は水没させることで即死する」というのも大きな要素で、HPが多く真正面から相手すると到底手数が足りなくなるような敵でもうまく落としてやれば最低限の手数で対応できたりなど、プレイヤーの工夫次第で状況は激変しうる。
      • 一見すると甚大な被害が免れなさそうな状況でも、その多くでは最善手を打ち続けることで被害を劇的に軽減したりほぼ0にすることすら可能な場合が多くあり、防衛に成功した際に得られる達成感は大きなものがあるだろう。
    • また、プレイヤーの行動によって状況に変化が起きた際もこれらの要素は即時反映されるため、戦略ストラテジーというとっつきにくいゲームジャンルでありながら総合的にはユーザーフレンドリーな設計となっている。
  • 再プレイ性が高い
    • 戦場mapにはある程度の地形パターンはあるが、同じようなマップでも出現する敵のテーブルが違うという場合がほとんどであり、全く同じ戦闘というのはほぼ起こり得ない。
    • 新規部隊を解禁することで、違った戦い方をすることになる。
  • 1マップあたりの戦闘時間は短い
    • 概要で述べたとおり本作は『XCOM:Enemy Unknown』を手本として制作されているが、製作者が『XCOM:Enemy Unknown』をプレイした時に1マップあたりの攻略にかかる時間が長すぎると感じたため、短時間で決着するゲームデザインにしたとのこと。
    • 本作は手駒が少ないにもかかわらず、間接武器の射線が他の自機で遮られるなどの制約が多いことから、1ターン内で考慮すべきことが多いためそれなりの濃密であり、ターン数の短さがゲームの薄さとはなっていない。
  • このため、ちょっとした空き時間で気軽にプレイ可能である。

賛否両論点

  • グラフィックがドッド絵による最低限のものである
    • GBAかそれ以下のグラフィックとなっており、ボスVEKも通常VEKキャラの色違いだったりと、色々と残念である。
    • グラフィックが簡素であるがゆえに低スペックマシンでも動作可能であり、CPUが 1.7GHz、HD Graphics 3000(intel core i CPUチップセット内蔵グラフィックス)で動作可能とされている。

問題点

  • 高難易度である
    • 『XCOM:Enemy Unknown』を手本としているということから分かる通り、自機の基本攻撃力は低い。
      • このため、本作においてはあくまで防衛が目的であって敵を殲滅する必要はないという事に気づかないとスコアが全く伸びない。
    • 自機の攻撃による敵キャラのノックバックによって、別の自機や防衛すべき拠点に影響を与えたりすることを考慮しなければならず、逆に敵を山の地形にノックバックさせたり、敵同士をぶつけたりすることで追加ダメージを得られるなど、意外に考えるべきことが多い。
    • 解禁される新型メカも「敵を1マス引き寄せる」だけの能力しか持たないものなど、癖が強すぎて使いみちが見い出しにくいものもいる。
      これは開発元が同じ『FTL』にも共通していた点であり、初期から使える部隊が実は最も扱いやすく安定するというゲームデザインとなっているが故の事象である。
    • map生成が全くのランダムであるため、最初のアイランドで市街地が被害を受けやすい戦闘mapを引く場合もある。
      • 運に左右される要素があるのはローグライクの宿命ではある。
      • 尤も、そのようなマップはボーナス目標が少ない、即ち難易度が低い代わりに見返りも少ないという立ち位置であり、より多くの報酬を獲得したい状況には向かない。
    • タイムポッドを回収しないとメカのアップグレードが施せず、苦戦を強いられることとなる。が、タイムポッドの飛来位置はランダムであるため、VEKの通り道に落ちることもある。
      • 一応VEKの移動のみによって踏まれる(破壊される)ということは発生しない。ただし、「インフラやメカへの被害を最小限にとどめるための行動」と「タイムポッド保護に必要な行動」が一致しない、または両立できないというケースは少なからず発生しうる。
    • ターンやり直しの仕様
      • ターンやり直しができるのはターン終了するまでであり、敵のターンになってから不都合に気付いても巻き戻しはできない。
        また、そのターンでは問題なくても後々に対処不能な状況が生まれたという状況で2ターン以上巻き戻したり戦闘の最初まで戻るという事はできなくなっている。

総評

歪にランダムすぎると理不尽で、固定であれば対処方法が固定されてしまうSPRGの難しい部分を
「ランダム性は強いが再挑戦がしやすく、相手の行動決定後にこちらが動ける」という切り口で、何度も遊べるSPRGに仕上げてきた良作。

自機の基本攻撃力が低いため、どうやって敵を止めるか、ダメージを増やすかというところから戦術を練り上げる必要があり、防衛すべき施設は多くて自機は少ないため防衛ラインを敷くということもできずに乱戦になりがちで、効率的な防衛を行うために、通常のSRPGよりも更に頭を使う事になっている。
解禁される新規メカも癖が強く、それまでの戦術が採れなくなるため、頭を切り替える必要が出てくる。

だがその分、乱戦や尖った性能だからこそ狙える同士討ちや、衝突ダメージの仕様などをうまく利用できた時の達成感も非常に大きい。
高難易度に苦しむユーザーも、使いやすいメカ選択や難易度調整、引継ぎ要素のパイロットに加え、引きが良ければ強力な装備、リアクターコアの数で一方的な戦いにもできるため、
諦めなければ救えるタイムライン(クリア)も見えてくるゲーム性となっている。

「ランダム性のあるSRPGがしたい」ユーザーや「詰将棋やローグライクで最善手を探しながら難しい場面を切り抜けるのが好き」なユーザーには是非ともお勧めしたい。

後の展開

  • 海外のNintendo eShopにて2018年8月28日にSwitch版が配信開始された。
    • その後、日本語版も2020年9月18日に配信開始された。
最終更新:2022年08月28日 01:10

*1 例えば、「敵1キルにつきボーナスの経験値が付与される」など。

*2 戦死を回避できるパッシブ効果をもつ装備を装備済か、マップクリアまでにHPを回復する装備を別のメカが使用して、HP1でも残っていれば失われない。

*3 自滅や同士討ちなどにより、プレイヤー部隊の直接攻撃以外によってVEKが撃破された場合は経験値が全ユニットのパイロットに分配される。