どらごんEGG!
【どらごんえっぐ】
ジャンル
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アクション
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対応機種
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PCエンジン
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メディア
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4MbitHuカード
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発売元
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メサイヤ(日本コンピューターシステム)
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開発元
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テンキー
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発売日
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1991年9月27日
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定価
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6,500円
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配信
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バーチャルコンソール 【WiiU】2017年4月26日/617円(税8%込) プロジェクトEGG:2017年6月20日/500円(税別)
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判定
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なし
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ポイント
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ドラゴンを「育てながら」戦うアクション あまりにも極端なゲームバランス あまりにも短いボリューム
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概要
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1991年にメサイヤ(日本コンピューターシステム)からリリースされた、PCエンジンオリジナルの横アクションゲーム。
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平和だったケーニスト・ランドに悪の魔物・カオスが攻め込み、国を守護していた竜使いと竜は全員滅ぼされ、王城も占領されてしまう。外れの村に済む少女、エランはおじいさんから「実はお前は竜使いの末裔であり、カオスを倒す力を持っている」という衝撃の事実を知らされる。おじいさんは隠し持っていた切り札「最後の竜の卵」をエランに託し、彼女は竜の卵を武器に戦いの冒険に出る。…というストーリー設定。
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一人プレイ専用、全6ステージ構成、オプションにて三段階の難易度調整(イージー、ノーマル、ハード)が可能。
主なルール
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十字キーでエランの移動操作、ボタンは各自、攻撃とジャンプに使用する。また、SELECTボタンも使用対象に含まれる。
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攻撃は下記のドラゴンの成長により攻撃方法が変わるが、特に複雑な操作を要する攻撃は存在せず、単にボタンを押せば攻撃ができるというシンプルなものとなっている。
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ジャンプ中は移動制御が可能だが、ジャンプの長さは常に一定である。なお、このゲームではしゃがみ動作は一切できない。
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下に段差がある状態でキー下+ジャンプボタンを押すと、下に降りる事が可能。
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SELECTボタンを押すと、エランのステータス状態を確認できる。この画面状態にてショップで購入した「キュア」を所持していると、任意でライフ回復ができる(詳しくは下記ショップ「キュア」の項にて)。
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また、RUNボタンを押すと純粋にポーズがかけられるが、ステータス状態でもポーズの効果を兼ねるので、存在意義はあまりない。
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エランの初期状態は竜の卵を持った状態だが、特定敵を倒す事で出現する「火竜石」を指定数取れば卵が進化し攻撃性能が増す。以下段階の詳細。
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「第1段階(初期)」…ゲーム開始時における状態。エランが卵を直接振り回して攻撃する。攻撃リーチは非常に短い。
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「第2段階」…初期から火竜石を2個取ればこの段階となる。卵が孵化し、赤ちゃんドラゴンがファイヤーを吐いて攻撃する。初期よりは攻撃リーチが伸びる。
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「第3段階」…第2段階から火竜石を3個取ればこの段階となる。ドラゴンが大幅に成長し、前方一直線の飛び道具型ファイヤー1発を吐いて攻撃する。この段階からエランがドラゴンにまたがった状態での操作となり、実質はドラゴンがプレイヤーキャラとなる。
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「第4段階(最終)」…第3段階から火竜石を4個取ればこの段階となる。ドラゴンが完全に成長し、第3段階の飛び道具に加え、ジャンプ中の滑空時間が延びる影響で他段階のジャンプでは進めない場所を渡れるようになる。
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敵を倒すと何かしらのアイテムを落とす。以下その詳細。
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「金貨」…ショップ(下記)で購入するのに必要なもの。入手金はプレイしている難易度によって異なる(イージーは多く、ハードは少ない、ノーマルはその中間)。
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「火竜石」…上記の竜進化に必要なもの。卵進化がすでに最終の状態だとこのアイテムは出現しない。
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道端に置いている場合や、ボスを倒すとルーレット方式で入手できるアイテムも存在する。以下その詳細。
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「キュア」…ライフであるハートが1つ回復する。
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「ライフ」…ハートの最大値が1つ増える。ゲーム開始時(復活時)のハート最大値は2で、最大上限は4つまでとなっている。
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「ドクロ」…取得するとストックされる。上+攻撃ボタンで、ストックの消費と引き換えに画面内の敵を全滅させる効果を発揮する。1つしかストックできないので、複数個の取得は意味を成さない。
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「1UP」…残機の1UP。
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ステージの道中にはショップが存在する場面がある。ショップのドアに接触してキー上にてその中に入れ、所持している金貨と引き換えにアイテムが購入できる。以下その詳細。
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「キュア」…購入する度に最大4つまでストックができる。ゲームに戻り、ステータス画面状態でジャンプボタンを押すと、ストック消費と引き換えに1ハートの半分を回復させる事ができる。上記のアイテムのキュアと違って即効性の効果ではない点に注意。
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「ライフ」…上記アイテムのライフと全く同じ効果。
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「ドクロ」…上記アイテムのドクロと全く同じ効果。
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「ファイヤーブレス」…最大2個まで購入可能。エラン(ドラゴン)の攻撃性能がより高性能となり、段階によって性能強化が違うものとなっている。以下段階による性能の詳細
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第1段階…卵のリーチが伸びる。
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第2段階…ドラゴンのファイヤーのリーチが伸びる。
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第3段階…ドラゴンのファイヤーが2方向同時に発射され、敵貫通性能が追加される。
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第4段階…ドラゴンのファイヤーが3方向同時に発射され、敵貫通+ホーミング性能が追加される。
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「パワーアップ」…最大2個まで購入可能。各段階の攻撃力増加の効果。
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「バリア」…エラン(ドラゴン)の周りに最大3回まで敵の攻撃を防いでくれるバリアを張る。
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なお、アイテムの値段、及び品揃えは終始不変であり、そのステージをクリアしない限りは何度でもショップ内に入る事が可能。
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エラン側、敵側共にダメージを受けると微小の無敵時間が発生し、連続ダメージを与えにくくなっている。また、その場にて一度倒した敵は二度と現れない。すなわち、無限金貨稼ぎができない事を意味する(但し、ミス後の復活時ではステージ内の敵はすべて元に戻っている)。
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各ステージのボスを倒すと、ルーレット方式でアイテムが入手できる他、イベントアイテムである謎の石も手に入る。ステージを進む度にボス背景にて石がはめ込まれている演出があるが、特にゲームそのものに関係するものではない模様。
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ライフ+残機制の戻り復活で、残機が全て無くなるとゲームオーバー。ミス条件は「敵ダメージをもらってライフが0になる」「落とし穴に落ちる」のいずれか。
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ステージクリアしてもハートは一切回復されないまま次ステージに進むので、あまり油断はしない方がいいだろう。
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敵からダメージを受けると減少するハートは、全てハート1/2個で固定されている。例えば、ゲーム開始時(復活時)の最大ハート値は2なので、その状態からだと4回ダメージを受けるとミスとなる。
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ノーマル以上の難易度では、ミスすれば段階が初期に戻り、購入済み及び取得していたアイテム(金貨は除く)が全てリセットされてしまうペナルティがある。但し、イージーに関しては一切のペナルティがなく、そのままの状態で復活できる。
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ゲームオーバー後は戻り復活地点からの無限コンティニューが可能だが、イージーも例外ではなく段階などが全てリセットされてしまう。
評価点
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オープニングデモにてバックストーリーの説明がされるシーンがあるのだが、このグラフィックがHuカードソフトとしては非常に美麗。
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説明文章もわかりやすく、どういう世界が舞台で何故戦いに挑むのかといった状況が即効で理解可能。
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ゲーム中のグラフィックも繊細かつ色使いが優秀で、同期のスーパーファミコンソフトと比べても遜色のないレベル。
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各キャラの書き込みもしっかりしており、世界観の表現が再現できている。
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ちなみにキャラクターデザインは無名時代の有賀ヒトシ氏。
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やや単調ながらもBGMのクオリティも良く、ゲーム中に上手く溶け込んでいる。
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操作性が非常に軽快で、アクション好きなプレイヤーならばすんなり入り込める。
問題点
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ゲームバランスがあまりにも悪い。エランの状況によっては進行が天国にも地獄にもなる位な大雑把なバランスとなってしまっている。
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エランの初期段階はリーチの短い卵攻撃しかできず、この状態で進むと前半ステージすら余裕で苦戦する程に厳しい難易度となってしまう。
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しかし、段階を強化しショップで強化アイテムを購入すれば、あまりにも強くなりすぎてドラゴン無双と化してしまう。最終段階+ファイヤーブレスとパワーアップを全購入してしまうと、3WAY貫通ホーミングファイヤーが連射でき画面内が弾だらけ、ドラゴンだけが一人弾幕状態という世紀末な事態に発展してしまうのだ。
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もうこの状態になると、いるはずの雑魚敵が金貨を残した残骸となり、ボスが登場して数秒後に塵と化しているなんて惨事が普通に拝めてしまう。
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しかし、どれだけ順調に進んでも、ノーマル以上の難易度でミスすると、卵だけの初期段階に戻ってしまう絶望感を味わえる。プレイヤーの腕前によっては、卵状態のエランは一人スペランカー状態となり、どう頑張っても越えられない壁にぶち当たって詰む恐れすらあるのだ。
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こういう系統のアクションにおいてパワーアップで先が楽になり、ダウンすると厳しくなるのはさほど珍しい事ではないのだが、このゲームの場合はパワーを強化すればもはや別ゲーとなる極端なアンバランスさなのが大問題といえるだろう。
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一応フォローしておくと、敵の配置や攻撃に関しては無難にまとまっており、そういう意味ではさほどバランスが崩れている訳ではない。可もなく不可もなくのパワーアップ状態で進めば、そこそこバランスは取れた状態で楽しめはできるが…。
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プレイボリュームがあまりにも短い。1プレイにかかる時間が目に見えて早く終わってしまう。
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特にステージ4~5の構造は、スタッフが途中で作るのを放棄したとしか思えない位の激短さ。ボスとの距離がわずか1分あるかないかという位のさっぱり具合。
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プレイに慣れたプレイヤーならば1プレイのクリア時間が余裕で10分を切れるらしい。とあるTAS動画に至っては7分台でクリアしていた。
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ボスステージの地形や背景がラスボスを含めて全部使い回し、というやっつけ具合も手抜きなように思える。
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3つある難易度の差は、イージーのミス後のペナルティを抑え、後は金貨の入手数と敵の耐久力が変わるだけという、凄く手抜き臭い調整なのも問題である。
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その割にはスタッフロールはネガフィルム調に乗せてゲーム内のキャラが映し出される、という凝った演出となっている。力の入れるところがどうも違う気がしてならないのだが…。
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エラン(ドラゴン)の当たり判定がグラフィックの見た目よりも若干ずれているらしく、アイテムに触れても何故か取れない事がある。
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ステージ内で画面が切り替わるとBGMがリセット再生される謎の仕様。
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オープニングストーリーは結局放置
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オープニングで詳細なストーリー説明がされる割に、エンディングに該当するものが存在せず、その後のエラン達やケーニスト・ランドがどうなったのかが不明瞭なままで終わってしまう。
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一応、クリア後はラスボスの背景が青空に変化し、エランを乗せたドラゴンがどこか遠くに飛行して旅立つという描写はあるが、もう少ししっかりとシナリオ描写がほしかったところ。
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エラン初期段階の卵攻撃はモロに卵をぶつけて攻撃している。
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最後の竜の生き残りが入った卵をそんなに乱暴に扱っていいのだろうか。
総評
ゲームとしての土台はしっかりしているのに、作りが妙に粗くせっかくの素材の良さが活かしきれていない惜しい作品。
この土台で大きく作り込めば、普通に良作となっていたのではないだろうか。
余談
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ゲーム中のドラゴンは一時的に浮く程度で直接飛行はできないが、ラスボス撃破後のデモシーンでは普通に飛び立っている。
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そんな便利な身体能力持ってるのに、何故ゲーム中では飛行しなかったのかは謎。
最終更新:2021年10月05日 21:15