ヴァーチャルハイドライド

【ゔぁーちゃるはいどらいど】

ジャンル アクションRPG
対応機種 セガサターン
メディア CD-ROM
発売元 セガ・エンタープライゼス
開発元 T&Eソフト
発売日 1995年4月28日
定価 5,800円(税別)
プレイ人数 1人
レーティング セガ審査:全年齢推奨
判定 なし
ハイドライドシリーズ


概要

PC黎明期に発売された名作アクションRPG『ハイドライド』のリメイク作品で、三人称視点の3D空間を移動するアクションRPG。
セガサターンのローンチ間もないころに発売されたセガサターン初のRPG作品でもある。
基本的な構成は『I』をベースにしているものの、重量制限の存在や一部の敵に『3』の要素も含まれている。


システム

  • 移動手段は基本的に徒歩。ただし地上マップの各所にはワープポイントが存在している。
  • 攻撃は弱攻撃と強攻撃、および攻撃ボタン同時押しの特殊攻撃の3種類。特殊攻撃の中には飛び道具を放つことができるものもある。
  • 盾がある場合は防御ボタンで防御も可能。盾によっては特定属性の攻撃を完全に遮断可能なものもある。
  • マップはゲーム開始時に自動的に生成されるため、理論上無限に近い冒険を楽しめる。
    • マップ作成時のコードを打ち込むことで同じマップをプレイすることも可能。
    • コードが同じであればマップの構造は難易度が変わっても同じであるため、低難易度でマップの構造を把握して高難易度の同一マップに臨むというのがセオリー。
  • 敵を倒してもスコアが増えるだけで経験値の概念はない*1。レベルアップは各所のイベントクリアまたはボス撃破で行われる。
  • ゲームの中断は「ゲームの終了」と「途中経過の記録」の2通りが用意されており、前者は再開時に当該セーブデータは消えるがスコアは維持される、後者はセーブデータが維持される代わりに再開時にスコアがリセットされる。
    • そのため、基本的には「ゲームの終了」でゲームの中断を行うことになる。
  • クリア後にはスコアランキングが可能。

評価点

  • 当時としてはかなり臨場感の高いRPG。
    • 全編3D空間を移動可能で、ある程度の視点移動も可能。
    • 3D画面で構成されたフェアリーランドの世界は原作の雰囲気を十分継承しており、原作再現度という意味では3D化されても水準以上。
    • ボスの存在感も大きく、特に灼熱地帯のボスであるマッドドラゴンの迫力はかなりのもの。
  • オープンワールドを思わせる先進的なゲームデザインは当時としてはかなり新鮮味が高かった。
    • 低難易度であればマップが最初から完成していたり次に向かう目的地が地図上で確認できたり目的地までの方向を示してくれたりとビギナー向けの配慮もなされている。
    • また、3Dの作品ながらマップが自動生成されるというシステムもプレイバリューの補強に役立っている。
  • BGMの完成度も高い。
    • 荘厳なオーケストラ調のBGMは世界観との相性も抜群によく、初期のSSのBGMの中でもかなり高水準。

問題点

  • 技術的にこなれていないせいか、全体的に動きはもっさりしており、カメラワークもやや不自然。
    • この当時はこういったタイプの3Dゲームはまだまだ少なく、3D酔いでプレイを断念したプレイヤーも多数。
    • 実写取り込みではあるが画像は粗く、アイテムやオブジェクトの判別が困難。
      • デフォルトの明るさ指定がかなり暗いのも拍車をかけている。
    • また敵との距離が把握しにくく当たり判定も不自然なところが見受けられるなど、まだまだ粗削りな部分が散見される。
  • ゲームの基本的な流れはどのマップでも同じであるため、どうしても飽きが来るのは早い。
    • そもそもベースとなるハイドライド自体、黎明期のアクションRPGだけにあまりボリュームは大きくないため仕方のない側面もある。
    • また、難易度が変わってもエンディングには変化はなくスコアアタックのみに影響するためそのあたりでも再プレイの訴求が少ないのもつらいところ。
  • ローグライクなシステムを採用している割にはアイテムのバリエーションはあまり多くないため、やや物足りない。

総評

ハードウェア黎明期に出たかなり意欲的な作品であり、当時としてはかなり先進性の高い作品であったが、まだまだ技術力がこなれていなかったこともあってかいろいろと粗が目立つ作品。
だがゲームの根幹自体は水準以上であり、決してつまらないというわけではない。
技術力が成熟したころにリリースしていればまた評価が違ったかもしれない、早すぎた作品といえる。

余談

  • 本作以外にタイトルに「Virtual」がついている作品は同時期の作品ではよく見られるものの、「Virtual」を日本語表記で「ヴァーチャル」と表記しているSSソフトはこの作品のみである。
  • 2017年にハイドライドシリーズの開発者である内藤時浩氏が本作をベースとした新作「ヴァーチャルハイドライドリバース(VHR)」と「ヴァーチャルハイドライドII(VH2)」の作品構想をほのめかしたことがあった。
最終更新:2023年08月18日 17:16

*1 難易度によってはショップが用意されておりそこでスコアと引き換えにアイテムの購入が可能