バディミッション BOND

【ばでぃみっしょん ぼんど】

ジャンル アドベンチャー
対応機種 Nintendo Switch
発売元 任天堂
開発元 コーエーテクモゲームス(ルビーパーティー)
発売日 2021年1月29日
定価 7,128円(税別)
レーティング CERO:C(15歳以上対象)
判定 良作
ポイント 相棒 (バディ)を駆使して事件の解明に挑むアドベンチャー
熱く王道的なシナリオが高評価
古臭い雰囲気のキャラクターデザイン
3DパートやQTEといった一部システムには問題あり



真実に迫れ、相棒と共に。



概要

コーエーテクモゲームス&任天堂という異色のタッグによるアドベンチャー。
『アイシールド21』『ワンパンマン』の作画を手掛ける村田雄介氏がキャラクターデザインを担当した。

バディ(英語で「相棒」)のタイトル通り、メインとなるキャラ4人から2人を選んでチームを組み、調査や潜入を行うシステムが特徴。

また、タイトルの「BOND」は英語で「絆」を意味する。


ストーリー

ヒーローを目指すリカルド共和国の警察官・ルークの勤務する警察署に、女性が誘拐された様子が撮影された動画メールが送られてくる。
事件として取り合わず捜査しようともしない上司の指示を無視して、ルークは独自に捜査を始める。
やがて女性の監禁場所として特定した場所に潜入するが、そこにいたのは被害総額数百億と言われる宝石専門の怪盗「ビースト」ことアーロンだった。
2人は協力して女性の救出に成功するが、あるきっかけから突如その女性が暴れ出す。一連の事件に「DISCARD」という犯罪組織が関わっていると知った2人は、組織が根城にしていると特定したミカグラ島へ向かう。
さらにミカグラ島へ向かう飛行船で起きた事件をきっかけに元忍者のモクマ、天才詐欺師のチェズレイと知り合う。
現地に到着した4人は、モクマの紹介で出会った美女・ナデシコのもとでチーム「BOND」を結成、DISCARDを追って捜査を開始する。

(Wikipediaより一部改変し引用)


特徴・システム

キャラクター

+ キャラ一覧 ※ストーリー中盤までのネタバレを含みます。閲覧注意!

メインキャラクター

  • ルーク・ウィリアムズ(CV:木村良平)
    • 主人公。リカルド共和国の警察官。殉職した父の影響でヒーローを目指しており正義感が強い。彼のもとに送られてきた動画をきっかけにアーロンと知り合い、共にDISCARDを追うことになる。
    • そのまっすぐすぎる性格と正義感、警察官として培われた推理力と銃の腕前には他の面々も一目置いており、捜査や潜入では「BOND」のリーダーとして皆を引っ張っていく。BOND内のコードネームは「Doggie」。
    • 極度の甘党ではあるが、それ以外は良くも悪くも「普通」であり、会話フェイズではツッコミ役兼他の面々に振り回されまくる。
  • アーロン(CV:近藤隆)
    • 「怪盗ビースト」の異名を持つ、被害総額数百億と言われる宝石専門の怪盗。両手に装備した鉤爪を武器にする。冒頭の事件でルークと出会い、共にDISCARDを追ってミカグラ島に向かうことになる。
    • 高い身体能力と常人離れしたパワーや感覚を持つほか、宝石の鑑定眼もプロ級。BOND内のコードネームは「Beast」。
    • 短気で粗暴だが、孤児院で育ったため仲間想いであり、目の前の危機に陥った人物は見捨てられないなど純粋な悪人ではない。
    • なお「アーロン」は偽名であり、本名は不明。
  • モクマ・エンドウ(CV:森川智之)
    • ルークとアーロンがミカグラ島に向かうために乗った飛行船で開催されていたヒーローショー「変身超忍ニンジャジャン」のショーマン。飛行船内で起きた事件を解決するために二人に協力し、ミカグラ島到着後もナデシコに紹介するなどで協力するが、実はDISCARDとは直接的な因縁はない。
    • ミカグラ島先住民の村「マイカの里」出身の忍者であり、アーロンに匹敵する身体能力を持つ。武器は鎖鎌で、BOND内のコードネームもそのまま「Ninja」。
    • 非常に軽い性格で、よく女性を口説こうとして失敗している三枚目。さらに隙あらば飲酒しようとする飲兵衛だが、時折別人のような殺気を出すことがある。
  • チェズレイ・ニコルズ(CV:浪川大輔)
    • モクマと同じく飛行船内で起きた事件で出会うことになる、「仮面の詐欺師」の異名を持つ変装と催眠術の達人。音楽や芸術などにも精通している。ルークたちを利用して裏からDISCARDを追うつもりだったが、モクマによって計画が崩れたことで表立ってルークたちに協力することになった。BOND内のコードネームは「Outwitter」。武器は杖に仕込んだサーベル。
    • 非常に端正な容姿と貴公子然とした丁寧な物腰を持つが、言動の端々に露悪的な部分が垣間見えるほか、必要であれば躊躇なく人を殺すなど、その本性は冷酷かつ狡猾なサディスト。ただし手を下すのは自身が「下衆」と認めた醜悪な人間性を持つ者に限定するなど、彼なりの美学と信念を持つ。
      • 裏表のギャップが凄まじく、本性を見せた時の表情は顔芸レベル

サブキャラクター

  • スイ・アッカルド(CV:上坂すみれ)
    • 本作のヒロイン。ミカグラ島で人気絶頂の歌姫であり、ミカグラ島のショービジネスを一手に取り仕切る「アッカルド・エンタープライズ」社長令嬢。プロ意識と上昇志向が強く、ショーに対しては自分にも他人にも厳しい。
    • ナデシコからバックダンサーとしてルークたちを紹介され、以後様々な形で関わる。
  • ナデシコ・レイゼイ(CV:田中敦子)
    • ミカグラ島に到着したモクマからDISCARDの情報を持つ人物として紹介された美女。投資家であり、プロデューサー業の足掛かりとしてルークたち4人をスイのバックダンサーとしてデビューさせる。
    • …が、これは表向きの話で、その正体はミカグラ警察公安部長。DISCARDを撲滅するためにルークたちをスカウトしチーム「BOND」を設立、自宅を活動拠点として提供するなどのバックアップを行う。BONDの指揮官として辣腕を振るうが、真顔でさらっと暴言を吐くなどかなり毒舌。
    • ちなみにモクマとは20年前に知り合った。ということは…。
  • アラナ(CV:井上麻里奈)
    • アーロンの姉*1で、孤児院を営んでいる。
    • DISCARDによってアーロンをおびき寄せるための人質にされ、ルークとアーロンを引き合わせることになる。
  • ルドヴィゴ・アッカルド(CV:若本規夫)
    • スイの父。アッカルド・エンタープライズ社長であり、ミカグラ島を世界的な歓楽島に変えた実業家。
    • 温和な性格でミカグラ島の発展と島民の幸せを願う人格者だが、娘のスイとは確執がある。
  • エドワード・ウィリアムズ(CV:小山力也)
    • ルークの養父で、リカルド共和国の警官。ルークの人格形成に大きな影響を与えた。10年前に殉職したがその正義感はルークに受け継がれている。
    • 彼の死にはいくつか不審な点があり、それがミカグラ島で捜査を進めるごとに表面化していく。
  • イアン・スペンサー(CV:黒田崇矢)
    • DISCARDの幹部。ミカグラ島の闇カジノを取り仕切る、右腕と右足を機械化した筋骨隆々の大男。
    • 相手にルールを遵守することを徹底して求め、破った者には容赦なく制裁を加える。その反面、ルールを守りつつ勝ち上がってきた勝者には賛辞を送り、一度交わした約束は必ず守る義理堅い一面も持つ。
  • コズエ(CV:井上喜久子)
    • マイカの里の祭事を取り仕切る大巫女を務める女性。
    • 島の伝統を守ることを第一に考えており、アッカルドたちのことは良く思っていない。
  • フウガ(CV:子安武人)
    • コズエの息子でマイカの里を治める里長。モクマとは忍者時代、共に修行する間柄だった。

ゲームの流れ

  • メインシナリオは全19話+α。大きく分けて会話フェイズ、捜査フェイズ、潜入フェイズで構成される。
    • また、メインシナリオは特定の条件を満たしてクリアすることでバディエピソードやサイドエピソードが解禁される(詳細は後述)。

ヒーローゲージ

  • いわゆるスコアゲージ。選択肢や捜査の成否によって増減する。
    • 各話終了ごとに清算され、高い状態でクリアするとバディエピソードなどが解禁される。

会話フェイズ

  • シナリオが進行するメインパート。フルボイスで進行する。
    • デジタルコミック調となっており、シナリオの大部分がキャラ同士の会話で構成されている。地の文もないわけではないが、時刻や場面の説明等に限られる。
    • 途中で選択肢が発生したり、背景の画像から手掛かりや情報を探すサーチモードが挟まることもある。また、後の捜査や潜入で意味を持ってくるキーワードが会話の中に紛れ込んでいることがあり、それらは赤字で強調される。
    • 選択肢やサーチの結果などでヒーローゲージが増減するが、ストーリーは変化しない。
  • 潜入ルート割り出し
    • 潜入フェイズがあるチャプターのみ挟まる。対象となる施設の見取り図などをもとに、ルート上にあるギミックの突破方法やボスの攻略方法を検討していく。
      • 潜入ルートは必ず2パターン提示され、潜入に必要な情報も変わってくる。
    • ここで「誰から情報を聞き出すべきか」「どこに行けば情報が得られるか」など捜査フェイズの目的が提示される。

捜査フェイズ

  • すごろく的な2Dマップ上を行動ポイントを消費して移動し、情報収集を行うフェイズ。
    • 潜入フェイズの有無で内容が若干変わるが、メンバー4人のうち2人でチームを組み、情報を引き出す流れは共通。なおシナリオの展開上、単独で捜査するケースやメンバーが固定されるケースもある。
      • プレイヤーには1ラウンドごとに行動ポイントが設定されており、スタート地点から1マス動くごとに1ポイント消費する。単独の場合は3ポイント、バディの場合は6ポイント付与される。行動ポイントを使い切るか任意で終了させるとラウンド終了となる。
    • 捜査ポイントでは、バディのどちらに聞き込みを担当させるかを選ぶことになるが、2人のうち片方に正解のメンバーが含まれていれば誤った方を選択しても情報を引き出すことができる(むしろその後のクイズが本番となる)。一応、最初に正しい方を選ぶと、1ポイントだけヒーローゲージが上昇する。なお後半には、個人ではなく特定の2人の組み合わせでなければ聞き込みに成功しないポイントも登場する。
  • 潜入フェイズがある場合は、規定ラウンド内で会話フェイズで得た情報をもとにルート上で障害となるギミックの解除方法やボスの攻略方法などを引き出していくのが主目的となる。最低でも片方のルートが開通するだけの情報を集めない限り終了できない。規定ラウンドを超えても捜査は続行できるが、長引いた分だけヒーローゲージが下がる。
    • また、バディの組み合わせを決定するとラウンド終了まで変更できないので、効率的に情報を集めるには誰と誰で組み、どのルートで回るかをしっかり考えるのが重要になる。
  • 潜入フェイズがない場合は1ラウンド固定で、捜査の成否如何に関わらず行動ポイントを使い切った時点で強制終了。最後に目的地や人物を特定する。
    • 情報は3種類用意されているが、失敗するほど最後のヒントが少なくなるので、ルートや目的地はしっかり検討する必要がある。

潜入フェイズ

  • このパートのみ3Dとなっており、実際にキャラを操作して進めることになる。
    • 敵のアジトなどに潜入し、捜査フェイズで得た情報をもとに目的地を目指す。目的地に到達するかボスを倒すとクリア。
    • ゲーム的には、あやしい場所の前に立ってボタンを押すと、キャラクターが何らかのアクティビティをするというオーソドックスなもの。後述のQTEを除けばアクションゲーム的な反射神経は要求されない。
    • 4人のうち2人を選んで挑む。特定のメンバーを選択しないと通れないルートもある。また、選んだメンバーによって道中での会話の内容が大きく変わる。
      • 道中での会話は他愛ない雑談から大きな伏線に絡むものまでさまざまである。ただしこの時に選んだメンバーによってクリア後のストーリーが変化することはない。
    • 上述したように各章ごとに潜入ルートは必ず2つ存在しており、ルートによってクリアの仕方も異なる。どちらのルートでクリアしてもその後の展開に変化はない。ただし、どちらのルートを進むかが後述のバディエピソードやサイドエピソードの解放条件になっていることはある。
    • 途中やラストでバトルが発生することもあり、すべてQTEとなっている。入力に成功すると先に進み、失敗するとやり直しとなるほかヒーローゲージがわずかに下がる。

バディエピソードとサイドエピソード

  • メインシナリオで特定の条件を満たしてクリアすると解禁されていく。本編中で描写されなかった場面や回想などがあり、キャラクター達の内面や過去をより深く知ることができる。
    • バディエピソードは名前の通りBONDメンバー同士による各話間のサイドストーリー。ちゃんと全てのキャラの組み合わせが用意されている。
    • サイドエピソードはサブキャラクターにスポットを当てたサイドストーリー。
    • 解放条件には「ヒーローゲージが特定ポイント以上の状態で各章をクリアする」や「特定の場所に特定のキャラ同士の組み合わせで調査を行う」などがある。
    • 扱いとしては会話パートの一種であり、フルボイスで進行する。
      • サイドストーリーではあるが、時系列は本編と連動している上に、本編と密接に関わるエピソードも多い。ゲームをプレイする際は、一つの章のエピソードをすべて解放して、それを閲覧してから次の章へ進むのがおすすめ。

評価点

少年漫画的な王道で熱いストーリー

  • 「相棒との友情」「仲間や知り合った人達との絆」そして「親子の絆」を題材にしたシナリオは王道ながらも非常に熱い。目的が同じとはいえ経歴も価値観も異なるBONDの面々が時にぶつかり合い、時に協力し合いながら真相に近づいていくカタルシスはなかなかのもの。前述のようにテキストの大部分がキャラの台詞であり、会話パートでは豪華声優陣によるフルボイスで物語が楽しめる。
    • シリアスだけでなくギャグシーンも適度に挟む緩急織り交ぜたシナリオ運びとプレイヤーの予想を超える展開や結末によって、つい先へ先へと進めたくなり止め時を見失うほど。
    • 時々ルークの回想シーンが挟まるが、ただの回想に留まらない予想外の展開も存在する。
  • 会話フェイズどころか捜査フェイズや潜入フェイズの各所に伏線が張られているほか、些細な会話の中にヒントが隠されていることもある。クリア後に再度プレイしてみて初めて伏線だったことに気づくポイントも多い。
    • それでいて未回収の伏線も皆無と言えるほどきれいに回収しきって終了する様は見事。さらに、クリア後に解禁されるサイドエピソードを進めていくと…。
  • セクハラ気質のプロデューサーが「サワール・ムラムラ」、ルークたちが乗る飛行船の機長が「チャック・フジ*2」など、モブに近いサブキャラクターの名前が妙に直球。
    • 実際に名前に沿ったキャラ付けがされているため、人物像は比較的推測しやすい。

グラフィック

  • 前述のようにキャラクターデザインを漫画家の村田氏が担当していることに加え、デジタルコミック形式の会話フェイズにより文字通り漫画を読み進める感覚でプレイできる。各話やバディエピソードのアイコンもさながら単行本の表紙である。
    • キャラの立ち絵もギャグからシリアスまでバリエーションが非常に豊富で村田氏テイストの味が出ており、見ていて飽きない。

BGM

  • メインの舞台となるミカグラ島の雰囲気にそって、全体的にお洒落なジャズ調の曲が多い。
    • 逆に純和風なマイカの里では和楽器をメインにした曲が多く、エリアによる対比をうまく表現している。
  • 無駄に格調高い曲調だが歌詞がシュールな「マダム・ポテトフライのアリア」やボーカル付きの「変身超忍ニンジャジャン」など、劇中歌にも抜かりはない。

ボリューム

  • 前述のようにメインシナリオが全19話+αに加えバディエピソードが全81話、サイドエピソードが全62話。
    • 本作の全貌を本当の意味で理解するには全てのエピソード解禁とプレイが必要であり、この手のアドベンチャーの弱点となりやすいゲームボリュームも十分。

賛否両論点

一昔前の漫画を感じる古臭いデザイン

  • デジタルコミック調のグラフィック自体は好評だが、村田雄介氏によるキャラクターデザインは発売当時の売れ線からやや外れており、ひと昔前の漫画の雰囲気を感じるという批判もある。
    • もちろん漫画『アイシールド21』『ワンパンマン』で知られる村田雄介氏のデザインを目当てにプレイする人も数多く存在するが、「ストーリーは良かったが絵が合わなかった」とするプレイヤーの声も少なくはない。
    • 遊んでいけば気にしなくなる声があるものの、やはりそこは好き嫌いがハッキリ分かれる。

女性向け、すなわちBLゲームのような雰囲気

  • メインキャラクターの人物像はそれぞれ女性向けゲームで人気が出やすいとされる風貌や設定であり、女性層を狙ったかのような雰囲気が出ている。やはりというべきか女性からの評価は高い。
    • 逆に事前情報の時点で男性からは「ボーイズラブの匂いがするため買う気が起きない」という批判も少なくなかった。
    • 実際に恋愛がストーリーの主軸や要素になることは無く、男女問わずプレイできるゲームではあるが、男性キャラ同士で2人組を作って行動するというシステムかつ登場人物同士のやり取りからそちら方面の関係性をプレイヤーが妄想することも容易であり、忌避する声も存在する。
    • なお、開発を担当したルビーパーティーは『アンジェリーク』や『金色のコルダ』など乙女ゲームの元祖と言うべき『ネオロマンスシリーズ』の開発で知られているコーエーテクモゲームスのブランド兼社内開発スタジオ。本作に女性向けらしい雰囲気が漂うのはこうした点もあるのかもしれない。
    • ちなみにルビーパーティーが「乙女ゲーム以外のジャンル」を手掛けるのはこれが初めてではなく、過去にも3DSでADVである『進撃の巨人 死地からの脱出』を手掛けている。

無駄の多い選択肢

  • 潜入・会話・捜査・推理フェイズのそれぞれで選択肢を要求される場面が多い。しかし不正解の選択肢を選んだところで正解するまで何度も選び直させられたり、いずれを選んでもその後の会話の大筋に変化のない選択肢が多かったり、それでいて誤った選択肢を選ぶとヒーローゲージが減少する場合もあるといったデメリットも存在するなど、ストーリーを読み進めたいプレイヤーにとってストレスの元となるような場合が多い。
    • 「思い出す」コマンドを使用しないと簡単に答えられない選択肢もあるが、わざわざ選ばせる必要もないほど簡単な内容も選択肢として提示されることもある。しかし、これらの点は複雑な操作を要求せずとも捜査を進める感覚を味わうためにアドベンチャーゲームを初めて遊ぶ新規プレイヤーに向けた配慮とも考えられる。

問題点

潜入フェイズ

  • キャラの3Dモデルの出来があまり良くないうえにやれることも少なく、走ったりもできない。
    • さらにバトルが全てQTEとなっているが、こちらも総じて地味なうえ動きももっさりしており、入力に失敗すると同じ攻撃を何回も行ってくるなどかなり不自然な展開となってしまう。
      • さらに前述のようにQTEに失敗するとヒーローゲージが下がるうえにバトルが話のラストとなっていることが多く、リカバリできずランクが下がりやすい。減少量はわずかなので、そこまでゲージを高めに保っていればランクは下がりづらいのが救いではある。

アンバランスな難易度

  • メインシナリオをクリアするだけであれば難易度はかなり低い。クイズに答える場面もヒーローゲージを犠牲にすれば文字通り答えを確認でき、捜査も一度失敗したら誰を連れていくべきか教えてくれる。潜入フェイズ中もギミックの解除方法はいつでも参照できるため、バトルを除けばヒーローゲージのリカバリも容易。
    • そのため、『探偵 神宮寺三郎シリーズ』のような本格的な推理アドベンチャーをイメージしてプレイすると肩透かしを食らう。
  • しかし上述した点に関してはあくまで「クリアするだけなら難易度は低い」という話であり、全バディエピソードやサイドエピソードの解放を狙いつつ最高評価のSランククリアを目指すのであれば歯応えのあるプレイをすることもできる。

バディエピソードの解禁条件

  • 潜入フェイズのないシナリオは、Sランクを取れば良いだけなので特に問題はない。だが、潜入フェイズのあるシナリオは、エピソードをすべて解放するのは一回のプレイでは不可能(メンバーが揃っていない序盤は例外)。
    • 該当のシナリオには、「○○と××で潜入する」と言う解禁条件を持つバディエピソードが必ず2つ存在する。そのため、バディを切り替えて2回プレイしなくてはならない。
      • なおこの組み合わせは、「2人で潜入してクリア」としか書かれておらず、シナリオ中の会話でもヒントが少ない*3。そのため、事前には分からない……と思わせておいて、実はバディミッションのページに行けば判明する。3回以上潜入する羽目にならないように、必ず確認しておこう。
    • また、「特定の場所に特定のメンバーの組み合わせで赴く」となっているバディエピソードも複数存在する。これに関しては、初回はほぼノーヒントなので、攻略情報を見ない限りは1回でのコンプリートはほぼ不可能。特に、とある話においては「制限ターンを大幅に超過しないとコンプリート出来ない」と言う非常に厳しい条件になっている。
      • 1回クリアすると、場所のヒントが公開される&上記と同じくバディエピソード画面で確認出来るようになる。
  • 上記の通り、基本的には最低2回潜入しないとバディエピソードをコンプリート出来ない。会話シーンに関してはまるごとスキップ出来るので問題ないが、前述した通り潜入フェイズは特筆して高いクオリティでもなくテンポも悪いので、非常に作業感が強い。「2つの潜入ルートによるストーリーの違いを楽しむ」と言う見方もあるが、最初から別ルートになっておらず途中まで共通するルートを通る場面も少なくないため、凝った差分を見ることができるというほどではない。

総評

主人公4人組が事件に巻き込まれていくというストーリーは王道かつ丁寧に作られており、細かい伏線や綿密に考えこまれたキャラクターの関係性はつい物語の先を読みたくなってしまうほど魅力的である。
一方で村田雄介氏のキャラクターデザインを好まない声や女性向け作品のようにも思える要素が原因で主に男性層はプレイせず終わってしまう人も少なくはなく、既プレイヤーからも3Dパート等シナリオ以外の部分はやや作り込み不足を感じさせる問題点として扱われやすい。
推理アドベンチャーとしての要素は大きくないが、意外な展開が数多く待ち受けるストーリーは高く評価されており、少年漫画的とも言われやすい作風を楽しめたり仲間同士の絆を描いた物語が好みであるなら間違いなくおすすめできる一本である。

余談

  • 本作の発売前にはANYCOLOR株式会社の大手企業「にじさんじ」所属VTuber*4による体験版プレイ動画を公開するといった宣伝を行っていた。任天堂がプロモーションにVTuberを起用するのは初めてのことで、一部ゲームニュースサイトではその点にも触れて紹介された(GAME Watchの記事)。
    • プレイ動画配信は特別視聴者が多かったわけでもなく大々的に告知されたわけでもないため、そもそもこのプロモーションに販促効果があったのかという点については当時から疑問視されていた。
  • 上記の他にキャラクターデザインの賛否やTVCMを放映しなかったことなどの悪因により、初週売り上げは6,531本と振るわなかった。
    • しかし作品の完成度の高さが評価されたことで少しずつ売り上げを伸ばしており、2021年2月8日~2021年2月14日集計分で累計11,027本を販売している。
  • その後、日本ゲーム大賞2021では優秀賞を受賞、ファミ通・電撃ゲームアワード2021ではアドベンチャー部門を受賞し、アニメ!アニメ!が開催した「アニメ化してほしいゲームは?」投票では2021年上半期および2021年下半期の2回連続で1位を獲得した(上半期結果発表ページ下半期結果発表ページ)。
  • 2022年4月28日~5月5日に、Nintendo Switch Onlineの加入者だけ利用可能な「いっせいトライアル」が開催された。
  • Nintendo DREAM WEBで開発者インタビューが掲載されている。それによると、当初は任天堂からルビーパーティーに「女性向け恋愛ゲーム」を作ってほしいという依頼があり、企画の過程で「誰でも楽しめるようなアドベンチャーゲーム」へと路線変更が行われた結果、本作の開発がスタートしたとのことである。
最終更新:2024年02月12日 23:32

*1 互いに孤児だったため、血のつながりはない。

*2 逆にすると「不時着」になる。

*3 片方は「シナリオ上で因縁の強いキャラ+そのキャラと関係の深いもう1キャラ」なので、一応分かりやすい。だがもう一方に関しては、「因縁の強いキャラ+ノーヒントでもう1キャラ」なので実質二択になる。

*4 ニュイ・ソシエールと夜見れなの二人。