FAR:Lone Sails
【ふぁー ろーんせいるず】
ジャンル
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アドベンチャー
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対応機種
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Windows 7(Steam) プレイステーション4 Nintendo Switch
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メディア
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ダウンロード
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発売元
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【Steam】Mixtvision 【PS4/Switch】H2インタラクティブ
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開発元
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Okomotive
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発売日
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【Steam】2018年5月17日 【PS4】2019年5月23日 【Switch】2020年1月23日
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定価(税込)
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【Steam】1,520円 【PS4/Switch】1,507円
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プレイ人数
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1人
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セーブデータ
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1箇所
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レーティング
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CERO:A(全年齢対象)
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判定
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なし
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ポイント
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終末世界を旅行するADV
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概要
スイス生まれの横スクロールアドベンチャー。
人類がいなくなり、彼らの遺産だけが点在する終末世界を舞台にしたゲーム。
取り残された人類が主人公となり、乗り物であてもなくさまよう内容。
システム
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サイドビューの横スクロールアクションの体裁をとる。
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終末を迎えた世界に取り残された主人公を操作し、巨大な乗り物を運転。地の果てに向かって進み続けることが本作の目的。
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小動物といった例外はあるものの、本作の世界では主人公以外の生き物が登場しない。敵となる生き物も出てこない。
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基本的な操作
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主人公は移動、ジャンプができるほか、一度に1つの物体を持ち歩くことができる。
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ジャンプは1段までしか出せない。またどんなに高いところから落ちてもダメージを受けない。
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赤いボタン
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主人公が繰る事になる乗り物や、その他周辺施設には「赤いボタン」が設置されている。
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押すことで基本的には先に進むための何かが起こる。
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横向きに生えているスイッチは、歩きながら押し込むことができる。上向きに生えているものはジャンプしてから踏みつけ、下向きに生えているものはジャンプして頭突きする形式で押すことになる。
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乗り物
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トラクターとバスを足して2で割ったような外見。終始、主人公が一人で操作することになる。
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アクセルに相当するボタンを押し続けると燃料を消費して加速し続ける。近くにブレーキに相当するボタンもある。
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アクセルを踏んで加速している最中は、乗り物がオーバーヒートしないよう定期的に蒸気を発散させるボタンを押す必要がある。
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燃料は、乗り物後方にある「台」から供給する。拾った物体を台に乗せ、近くのボタンを押すと液体燃料に変えられ蓄積される。
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ゲームを進めるごとに、しだいにアップグレードされていく。
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燃料は道中に落ちているので、適宜乗り物を止め、拾いに降りる必要がある。中盤以降は改装により自動で燃料を回収できるようになる。
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序盤にて乗り物に「帆」が取り付けられる。追い風が吹いているときは帆を貼るだけで燃料を消費せず前に進めるようになる。
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ゲームは原則一本道構造。要所要所で乗り物が足止めを食らう。その間、寄り道して乗り物が先に進めるようにするため一種のパズルのような作業をする必要がある。
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再開時
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オートセーブ方式をとる。一定区画進むごとにセーブされる。
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ロードゲームする際は、最後にプレイしていたところから「再開」するか、ロードして好きな区画を途中からプレイできる。
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その他
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乗り物がスピードを出しているときに障害物にぶつかったり、炎や悪天候にさらされていると、乗り物にダメージが蓄積される。
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乗り物のパーツごとに、ダメージが一定量蓄積すると故障したり燃え出してしまう。
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燃えている場所に長時間主人公が触れていると倒れてしまい、少し前のセクションからやり直し。
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火は乗り物に備え付けのホースで消火できるほか、故障は同様にプラグによる溶接で解消可能。
評価点
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寂寥感
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乗り物の背景に描かれる自然風景は、最初は無色だが中盤以降になると色づくという変化がある。
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乗り物を動かしているうちにも、背景では夜が明けたり日が暮れたりと時間の経過が表現されている。
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かつて存在していた人類の名残が点在している。ポストアポカリプス風の描写が好きな人にはかなり合致する内容ではないか。
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BGMの演出
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乗り物やその他機械が動き出したときにあわせてBGMを再生させたりする工夫がある。
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大きな機械が動いたと同時にBGMがかかりだすと、臨場感が存分にかき立てられる。特に終盤の巨大な歩行機械が歩き出したときにかかる「Drive it」というBGMの迫力は高い。
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枯れたような渋さを持つサックスソロの曲が、さびれた世界観の演出に一役買っている。
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乗り物とともに歩んでいく雰囲気
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帆が取り付けられ、故障箇所を直せるようになって、…としだいに乗り物がアップグレードされていくので、マンネリ化しやすいゲーム性ではあるなか、一種のアクセントにはなっている。
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主人公の体に比べて乗り物は大きく、ゆっくりと加速していくので運転している雰囲気が出る。
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機械が止まろうが壊れようが、主人公はひとりで機械を直して切り盛りさせなくてはならない。
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効率よく動く必要は特に無いが、無駄の無い動きをしようとすると、独りぼっちであることの大変さがある意味痛感できるゲームである。
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非言語で理解できる直感的な演出やサポート
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乗り物が進めなくなってしまった場合、自分がルートの先に進んで何とかする場合と、その場での操作でなんとかする場合がある。この時、進むべきであるならカメラが自分に追従してくるが、その場でなんらかのアクションをする場合は自分が前に進んでもカメラは追従せずズームアウトしていくため、直感的にどちらを行えば良いかのヒントとなっている。
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他にも、帆を張って自走している乗り物から飛び降りて乗り物だけ先に進んでしまっても、ある程度距離を離された時点で自動停止してくれるため復帰に手間が掛からない様になっている。
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オフィシャルのTwitterではネタプレイの例として、帆で自走している乗り物を走って追いかけている主人公のキャプチャがあったりする。色々遊んでも破綻することはない。
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適度な難易度
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ジャンプと移動とアイテム移動の3つだけで成立するシンプルな操作性。そのためか文章によるガイドもほぼ存在しない(背景にある廃墟にたまに文字が書かれている程度)。
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たまに急がなくては成らないような場合もあるが、原則はどんなに時間をかけたところで問題がない。
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先に進めなくなった際は進むために必要な工程をゆっくりと考えることができる。困ったときは赤いスイッチを押してみればなんとかなるようなことも。
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基本的には「ハマリ」にならない様にボタンが配置されているため、押せるボタンはとりあえず押してしまって問題はない。
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ダメージを受けてリスタートするようなことも起こりうるが、かといってシビアなゲームオーバー条件が提示されているわけではない。
賛否両論点
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一本道
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ゲーム目的を見失わない点では長所だが、特にプレイヤー側の行動によってストーリーの内容に干渉することもできない。
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多くを語らないストーリー
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エンディングのオチは、何を言いたいのか意図的に不明瞭にしてあるきらいがある。考察の余地があるとみるか、描写不足と見るかはプレイヤーによるところか。
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主人公を操作して地の果てにまで歩むことになるが、なぜそうしなくてはならなかったのか、地の果てにたどり着いてから主人公は結局どうなったのかは作中の描写では一切分からない。
問題点
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一貫して乗り物を操作するだけのゲームであること
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背景の景色の変化や乗り物のアップグレードなど、ゲーム中に確かに変化はあるのだが、極端な話乗り物を操縦するだけのゲームである。
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それ以外は、寄り道で少々パズルのようなゲームをすることになる程度。
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プレイ時間も効率よくやれば2時間程度でクリアし切れてしまう程度。やや価格に対してボリュームが足りない印象。やれることの自由度もかなり低い部類。
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主人公が足場を登るのが下手糞
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ジャンプが1段までしか出せず、また飛距離もそんなに無い。高いところに昇っていく必要がある一幕が結構あるので、そういったところでグダりやすい。
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燃料で通路がふさがれてしまう
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乗り物の燃費は決して良いものではなく、燃料はこまめに船内に積みあげておく必要がある。
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船内の廊下には燃料を吊り下げるためのフックが5つ程存在する程度であり、それ以外に燃料を貯蔵して置く場所が不足している。そのため船内の狭い通路に燃料が積み上がり、通り抜けに支障が出るといったトラブルが発生しがち。
総評
ボリュームやゲーム性は弱めで、雰囲気ゲーとしての側面がかなり強い。
効率を求めて先に進み続けるのではなく、ゆっくり乗り物を運転しつつ、かつて栄華を誇った人類がいなくなった後の美しくもさびしげな世界をゆったり楽しむが吉か。
最終更新:2022年06月15日 20:25