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ハミダシクリエイティブ

【はみだしくりえいてぃぶ】

ジャンル 学園に来ない女子と見過ごしがちな青春を探す学園恋愛ADV
対応機種 Windows 10
プレイステーション4
Nintendo Switch
発売・開発元 まどそふと
発売日 2020年9月25日(Win10)
2021年6月24日(PS4&Switch)
PC版の定価 10,780円(税込み)
レーティング アダルトゲーム
配信 【FANZA/DLsite】2020年10月9日/8,800円(税込み)
判定 良作
ポイント オタク向け要素を多く取り入れたキャラゲー
ハミダシ者故にキャラの癖は強め


概要

「まどそふと」ブランドの6作目。(『ワガママハイスペック Blu-ray Disc』同梱のゲームやCS版を除いてカウント。)
3作目『ワガママハイスペック』の制作ラインであり、メイン原画は宇都宮つみれ氏。
公式略称は「ハミクリ」。

パッケージ版はWin10のみ対応。8.1すら対応外である。
DL版はダウンロードだけでなくブラウザでもプレイ可能。ブラウザはあくまでβ版だが、Windows 8.1/10/Mac OS X/Android/iOSと幅広く対応している。パッケージにもダウンロードカードが付属しているので、実質的にブラウザ版も同梱されていると言える。


ストーリー

季節が足踏みする、6月の末。
自他共に認める陰キャ、和泉智宏は、
今日も教室の片隅で、平穏な一日を過ごしていく……
はずだった。
「当選おめでとー! とりま次の生徒会長は和泉クンにけってー!」
学園側の思いつきで行われた、生徒会長くじ引き。
智宏は、なんと豪運で当たりくじを引いてしまう!
突然スポットライトを浴びた智宏を、陽キャも陰キャも噂しだす始末。
引くに引けない智宏は、顧問を頼り仲間集めを開始。
しかし、顧問が挙げてきた役員候補は、
同級生の華乃から後輩のあすみ、
果ては妹の妃愛に至るまで、そもそも学園に来ていない!?
混乱する中、音信不通だった前会長の詩桜まで現れて……!
――運命か、必然か。
前代未聞・空前絶後、
「くじ引き生徒会長」の戦いが、
今、始まる……!
(公式サイトより抜粋)

メインキャラクター

+ クリックで展開
  • 和泉 智宏(いずみ ともひろ)
    • 主人公。ヒロインと違い特殊な技能を持たない凡人。
    • 趣味はソーシャルゲーム。無害なクズを自称している。
  • 和泉 妃愛(いずみ ひより)
    • 主人公の妹。売れっ子声優。
    • 兄を甘やかすのが生きがい。兄から依存されているようでいて実態は逆。
    • この手のゲームの攻略対象ヒロインとしては珍しい実の妹である。
  • 常磐 華乃(ときわ かの)
    • 同級生。デジタル絵描き。激昂すると語尾が「~わよ」など漫画言葉になる癖がある。
    • 智宏とは面識があり、華乃が転校してきたのを切っ掛けに智宏と再会した。
    • たこ焼きが大好物。好きすぎてSNSの自画像がたこ焼き化している。
  • 錦 あすみ(にしき あすみ)
    • 後輩。歌が得意でバーチャルYouTuber『雪景シキ』として活動している。
    • 大人しく人を気遣えるいい子だが、ある事情により不登校。
    • 好物は肉まんで、夏であってもその愛が薄れる事はない。
  • 鎌倉 詩桜(かまくら しお)
    • 先輩。小説家として活動している。
    • 元生徒会長であり、智宏が災難を被った原因。

特徴

  • ゲームエンジンはArtemis Engine。
  • テキストを読み進めるノベルゲーム。要所の選択肢により分岐し、個別ルートに入る。
    • 攻略ヒロインは4人+誰とも結ばれないノーマルエンドで5つのエンディングに分岐する。
    • 引っかけはなく、攻略したいヒロインと共に行動するような選択をすれば良いため、攻略情報なしでも詰まることはないだろう。
    • 個別エンドを迎えるごとにシーン鑑賞におまけシーンが一つ追加される。
    • セーブデータは12×100。セーブデータごとにコメントを残せる。
    • タッチパネル対応PCやブラウザ版用のタッチパネルUIに設定可能。
  • お気に入りボイス機能
    • 任意の個所で気に入ったボイスをセーブし、好きな時に聞き返せる。
  • ゲーム進行に応じて、タイトルバー等のサブタイトルが変わる。
    • 「希望の朝だ」のように普通のタイトルもあるが、パロディが多数含まれる。Twitterから流行ったフレーズやライトノベルのタイトルなどのパロディが多く、バリエーションが豊か。あくまでサブタイトルのため、分からないネタがあっても本筋には影響しない。
  • ブランド過去作と同じく、立ち絵鑑賞モードがある。
    • メイン4人+サブヒロイン4人の表情差分などを自由に切り替え可能。
      • 本編では使われていないサブヒロインの裸立ち絵もある。
    • テキストの入力も可能。

評価点

  • じっくりと描かれるはみ出し者の再起
    • メインヒロインは事情は違えど学園にほとんど来ておらず、創作活動に時間を費やしている。主人公は学園に通ってこそいるが、鬱屈とした毎日を送っている。そんな彼らが創作を通じ、それぞれの自己表現を通じて視界を広げていく前向きなストーリーが大筋である。はみ出した人生にそれぞれのやり方で折り合いをつける、心理の揺れ動きが見どころとなっている。
      • 題材的に重い部分もあるものの、下記のように掛け合いの楽しさやギャグシーンも多く、上手い具合に緩急がついている。
    • 生徒会という共通の活動を通じて少しずつ成長するヒロインたちに自然と愛着が沸くうえ、個別ルートでも攻略対象ではないヒロインも物語に絡んでくるため、極端なフェードアウトが起きない。
      • 例えば華乃はあすみ演じる「雪景シキ」のイラストレーターだったり、妃愛が声優を担当しているソーシャルゲームの公認イラストレーターで、かつ華乃自身も妃愛のファンであるなどそれぞれに接点がある為、共通ルートでも特にキャラ同士の掛け合いが多い。
  • 濃いキャラ付け
    • はみ出し者かつ創作者のヒロインは強い個性を発揮しており、それぞれの性格の違いからキレのある掛け合いが展開される。
    • 「よちよち」「そうわよ!」等の特徴的な言い回しや悶え台詞等、CVも見事にハマっている。
      • システム効果音はキャラクターボイスに設定可能。「セーブしたわよ」「ここまでを書き留めた」といった感じでヒロインらしさのあるセリフが流れる。お気に入りキャラだけをSEに設定したり、そもそもオフにすることも可能。
  • 発売年に応じた新鮮なネタ
    • バーチャルYouTuber・ソーシャルゲーム・SNSといった近代的な題材を扱っており、一昔前の学園物との差別化が図られている。
      • 「それで今回は、どんな表紙に騙されて、音声作品をCG集と勘違いしてしまったの?」のような台詞も飛び出すが、作中の人物もオタク文化に踏み込んでいるために、不自然さがない。
    • 絵描きやVTuberであることは設定だけに留まらず、物語にも深くかかわってくる。
      • 例えば、錦あすみはVTuberとなる前はP*1として活躍していたことや、企業案件に乗るか否か、新人VTuberとのコラボ案件といった業界らしさを感じられるエピソードが複数含まれている。
      • 複数の事情で歌がトラウマになったが、周りの協力と自身の努力で再び歌えるようになる。というありがちな話だが、新たな切り口が良い味付けとなっている。
  • 要所を抑えたシステム
    • 2020年相応のUIが揃っており、お気に入りボイス・立ち絵観賞・キャラSEといったキャラゲー向けの要素も搭載している。

賛否両論点

  • 一部キャラクターの好き嫌いが分かれやすい。

槍玉に上がりやすいメインキャラ

  • 和泉 智宏
    • 妹の金でガチャを引く兄。序盤からダメ人間っぷりを発揮するうえ、自分でも認める陰キャラである。陽キャラに対するひねたモノローグなどが人を選びやすい。
    • クリエイティブな技能を持たないが、オタク方面の知識でヒロインの助けとなったり、肉体労働で男手として働くなど後半になるにつれて、頑張りが見えてくる。
    • 良くも悪くも無個性ではなく、人間味は感じられる。
  • 鎌倉 詩桜
    • 初対面の印象が悪い。鎌倉家を訪れただけの主人公に殴打・踏みつけと暴力に走り、自らの生徒会長辞任理由も。他のヒロインは序盤から好意的故に詩桜だけが際立っている。
    • この手の人物の例に漏れず、個別ルートではデレ要素もあり、エロシーンにおいてはSMの両方のポジションを兼ねる。
    • きつい態度や行動理由は個別ルートで明かされるが、納得できるかはプレイヤーによりけり。美少女ゲーム大賞2020のキャラクター部門では15位を獲得する等、最終的には好意的な評価もある。

モブキャラ

  • 立ち絵なしのモブに話を引っ掻き回されやすい。
    • ゴネ得を狙ってしつこく生徒会に絡んでくるなど、露骨に嫌な人物が少なくないため、作中の人物だけでなくプレイヤーもうんざりしがち。
      • そういった連中に立ち向かえるようになった主人公達の成長を感じさせる要因などにもなっており、メインヒロインに嫌な役を押し付けていないとも言える。だが、他者を下げて主人公サイドを持ち上げる手法に嫌気が差すプレイヤーもいる。
    • 互いに尊重しない関係から、スポーツを通じて互いを認め合うといった後味良く和解するイベントもあるが、フォローが入らないままのモブも多い。

問題点

+ 他ルートも含む詩桜ルートのネタバレ
  • 文化祭では各ヒロインのクリエイティブ要素を発揮するが、詩桜ルートだけは智宏が交通事故に遭う。
    • 突発的なイベントであり、詩桜のクリエイティブな見せ場がない。妃愛の掘り下げ要素の方が強い始末である。
  • 開幕の印象がやや悪い
    • 賛否両論点で述べたように序盤の印象が悪く捉えられやすい。主人公である智宏の印象もあまり良くない。
    • 成長する様を見て見直す人もいる一方で、悪印象が拭えないままプレイを辞めたり、悪印象を最後まで引きずる人もいる。
    • 開幕からして、智宏が生徒会長になる理由が全校生徒を巻き込んでのくじ引きと無理がある。
  • サブヒロイン
    • 立ち絵こそあるものの、攻略不可能なヒロインが存在する。
    • 特にサブヒロインの一人である竜閑天梨は序盤から主人公サイドに積極的に絡んでくるが、クラスのグループから孤立させられたりヒロイン達に智宏との関係を疑われてしまうなど扱いが悪い。序盤から絡んでくる割には個別に入ってからはほとんど登場しなくなる。

総評

創作を通じたはみ出し者の再起劇。創作要素や特徴的な口調が一人一人の個性を確立しており、キャラ人気が高い。げっちゅ屋2020年キャラクター部門では2位、3位、15位にランクインする快挙を果たした。 一方でハミダシ要素が人を選ぶ部分もあり、ゆるいキャラゲーを想定すると火傷しかねない。序盤を遊べる体験版に触れておく方が無難だろう。 多少のシリアス要素は入ってくるものの、全体的にはまどそふとが得意とする明るいイチャラブ系の内容に仕上がっている。

ただしテーマがテーマであるだけにネットスラングであったりコメディなどの要素が過去作よりも強い傾向にある為そういったノリが苦手な人にとっては苦痛に感じる部分もあるだろう。


余談

  • まどそふとの過去作が背景にポスターとして登場している。
    • 一瞬だが、OPムービー「Unreal Creation!」の雪景シキ登場パートでは『ワガママハイスペック』のヒロインを連想させる「桜木・R・A」の文字が確認できる。
    • アニメ版10話の温泉会でも『ワガママハイスペック』のヒロイン4人と思わしきキャラが登場しており、世界観のつながりを感じさせる。
  • ファンの間で、常磐華乃は苗字を間違えられやすい。
    • 「磐」 が正しいが、「ときわ」で変換すると 「盤」 も表示され、字面が似ているため勘違いされやすい。*2
  • 2021年6月24日にNintendo Switch/プレイステーション4に移植された。
  • 2022年9月16日にSteam版『常轨脱离Creative』が発売。タイトルから分かるように日本語サポート対象外である。
  • 2022年11月25日に続編となる『ハミダシクリエイティブ凸』が発売。読みは「ハミダシクリエイティブとつ」
    • 従来のヒロインに加えサブヒロインだった天梨が攻略対象ヒロインとして追加された。ミリ先生と莉々子も攻略したかった
    • 2025年4月25日には莉々子がメインヒロインに昇格した『ハミダシクリエイティブRe:Re:call』が発売。読みは「ハミダシクリエイティブリリコール」
  • 2025年4月24日に音ゲー『オンゲキ Re:Fresh』でハミダシクリエイティブシルバージュエルイベントが開催された。
    • 『ハミダシクリエイティブ凸』の「一冊のアロー」、『ワガママハイスペックOC』の「Hey Darlimg!」の楽曲が登場している。
  • メディア展開
    • ヒロインのASMRが発売されている。まどそふと公式のYouTubeでは作中の『雪景シキ』がバーチャルYouTuberとして登場している。
    • 2023年6月23日にアニメ化プロジェクトとしてクラウドファンディングが行われ、開始5分で目標額に到達しアニメ化が決定。その後目標を大きく上回る1億円以上の支援を受けた事から地上波での放送も決定。2024年10月より放送開始。
最終更新:2025年04月25日 10:39

*1 ボカロP

*2 正しい方は下の方が石。「常磐」のみは「じょうばん」でも出るのでそちらで変換してみるのも吉。