グラディウス
ジャンル
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横スクロールシューティング
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対応機種
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ファミリーコンピュータ
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開発元
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コナミ開発第2課
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発売元
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コナミ
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発売日
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1986年4月25日
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価格
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4,900円
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プレイ人数
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1~2人(交互プレイ)
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レーティング
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CERO:A(全年齢対象)
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配信
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バーチャルコンソール
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Wii
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2007年8月7日
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3DS
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2012年12月25日
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Wii U
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2013年10月2日
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判定
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良作
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ポイント
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家庭用初進出にして最も有名な移植 初移植故に粗も多い コナミコマンド初登場
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グラディウスシリーズリンク
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概要
1985年にゲームセンターで稼働したシューティングゲーム『グラディウス』のファミコン版。
本作はシリーズ初の家庭用作品であり、原作人気も手伝って100万本も売れた作品でもある。
家庭用ハード初移植であったこと、性能的にアーケードよりも劣るファミコンでの発売だったこともあって多くの仕様変更が施されている。
AC版との違い
自機の基本的な装備及びステージ概要はAC版とほとんど同じなので割愛。ここではFC版での追加・変更点について述べる。
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自機の操作及び装備の仕様変更
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AC版のボタン配置は自機移動に使用する8方向レバー+ショット、ミサイル、パワーアップのレバー+3ボタン形式だったが、FC版では十字キー+ショット&ミサイルのAボタンとパワーアップの2ボタン式に変更された。
攻撃ボタンが1つに統合された事によって、一つボタンを押すだけで様々な攻撃を行える様になった。
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ダブルは各方向ごとに連射判定が独立する仕様となった。結果的にAC版よりも連射力が上がり、範囲攻撃としての信頼性が向上している。
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レーザーはACでは長く伸びる光線を発射するが、FC版ではレーザーが短くなり、単発のショットとほぼ同等になった。またAC版ではボタンを押しっぱなしにすることで延々と発射し続ける仕様だったが、FC版では連射にはボタン連打が必要となった。
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バリアの防御範囲は前方のみだったが、FC版では全方位防御に変更された(グラフィック上では前方のみに装着されている)。
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オプションの装備数が4個から2個へ減少。
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その他システム面
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AC作品のFC移植作にはありがちであるが、スコアランキング及びネームエントリーは削除された。
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残機についてはAC版同様のエブリエクステンド制の他、通過すると残機が増加する隠しポイントが追加されている。
評価点
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ファミコンで再現されたゲーム性
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ハードの仕様の都合上、ボタン数・配置及び装備内容に差異はあるものの、当時斬新だったトレース形式のオプションやカプセル制のパワーアップといったシステム面を含む内容の多くがファミコンというハードで再現されている。
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登場ステージも原作で登場した全7ステージがカットされる事無く収録されていて、ステージ内の敵キャラや地形もアーケード原作とほぼ同様の物が採用されている。
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同様にBGMもネームエントリーBGMを除いた全ての楽曲が収録。ハード性能上音数が減りキーが原曲と異なる楽曲もあるが、楽曲の構成や特徴はしっかりと再現されている。
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裏技の多さ
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今作は当時発売されたファミコンのゲームの例に漏れず裏技類が非常に豊富になっている。
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アーケード版の時点で存在しつつも、何かがありそうで無かった1面・4面の火山の中の空洞は移植の際に通過するとボーナス点を獲得できるポイントへと変化している点をはじめとして、ステージ内には近寄ると1UPするポイントが存在したり、いくつかのステージを飛ばしてワープする裏技が存在。
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特に有名なのが、ポーズ時に「↑↑↓↓←→←→BA」のコマンドを入力する事によって自機の装備を一気に最強近くまでパワーアップさせる裏技。この裏技を利用する事で何も装備していない貧弱な状態の自機を一気にフル装備まで強化する様子は、今作を始めたばかりのプレイヤーにとっては爽快感を得られるだろう。
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この裏技はデフォルトでは1回のみ使えるが、ステージをクリアする毎に使用回数が増えていく。
これを利用する事によって、ミスして1機失ってしまっても回数が尽きるまではかなり簡単に復活が出来る。また、裏技の際にはバリアの装備もセットで付属している事から、ステージ道中でバリアとバリア装備用にスタンバっておいたゲージも消化してしまった場合の保険としても使用する事が出来たりする。
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なお、この裏技で初登場した「↑↑↓↓←→←→BA」という特徴的なコマンドはコナミの同時期にリリースされた『魂斗羅』や『トップガン』でも採用された他、以降も様々な作品における裏技の発動コマンドとして採用されており、「コナミコマンド」という名称で呼ばれた。現在は『ギネス世界記録』に「もっともよく知られている隠しコマンド」として掲載されたり、コマンドだけをプリントしたTシャツなどの公式グッズが販売されるなど、名称を含めて半ばキャラクターの様に愛されていると言っても良いだろう。
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この他にも、パワーアップ時に特定の手順を踏む事によって、ショットにオート連射機能を付加させる裏技も存在。
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今作の裏技で登場したオート連射設定は今作の少し後に発売されたハドソンの『スターソルジャー』にも登場した他、以降も様々な家庭用ハードで発売されたシューティングゲームで採用される程の必須システムになっている。
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FC版独自のゲームバランス及び性能変更された自機の装備
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今作はファミコンへの移植に伴い、ビックバイパーの装備も仕様が変更された物が多い。
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バリアは見た目こそはAC版同様なのだが、防御範囲が自機の前方のみから全方位防御へと変更。
また、AC版ではパワーアップ実行直後に画面外から飛んでくるバリアを自機が受け止めなければ効果を発揮せずとっさの防御が難しかったが、今作ではパワーアップした時点で瞬時に装着される形式に変更。
すなわち、今作のシールドは後の「フォースフィールド」の原型であり、原作からより死ににくくなったりとっさの際の緊急回避手段として使える様になったのも良いだろう。
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レーザーは短くなり当たり判定も狭くなったものの、言いかえれば「レーザーを短いスパンで連射できるようになった」という事。これにより、敵単体への攻撃力に関してはむしろ強化されていると言える。
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この恩恵を特に受けているのが5面の触手ステージ。AC版では触手に対するレーザーの当たり判定が先端部にしかないのでダメージを与えにくくダブルへ切り替える必要があったが、今作では短いレーザーを連射できるようになったのでダメージ効率が大幅に改善された。
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こちらも、後のシリーズ作品にて少しエフェクトが変更された「ツインレーザー」としてレーザーとは別の装備として登場する事になった。
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オプションはアーケード版では挙動に少しクセがあり、時折フォーメーションが動かなくなってしまう恐れがあったのだが、移植に伴い挙動が『II』以降の作品に近い物に修正され扱いやすくなった。
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また、オプションの数が2つに減少したという事は、フル装備までに掛かるパワーアップ時間も大幅に短縮されているということでもある。特に、2面序盤辺りでシールドを装備出来る点は嬉しい。
賛否両論点
評価点の裏返しにもなるが、ファミコンへの初の移植となることやハード性能の限界もあって、レーザーやオプションの仕様変更、それに伴うプレイ感覚の変化、ボスキャラのグラフィックの縮小、グラフィックの簡素化などのダウンサイジングを余儀なくされており、根本的な面では移植度はさほど高くはない。
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ボタン数の変更について
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今作はFCへの移植に当たって操作系統がレバー+3ボタンから十字キー+2ボタンへに減少している。
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攻撃ボタンが1つだけになった事により、ワンボタンで様々な攻撃を繰り出せるようになり、それにより操作方法もとっつきやすくなった。
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攻撃系統の統合は初心者プレイヤーからは歓迎された反面、スコアラーからは批判されていた。
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ボタン数が2つに減少した点によってショットあるいはミサイル単独発射が出来なくなり、それによりスクランブルハッチから湧いてくる雑魚を用いた点数稼ぎの際に誤ってハッチを破壊してしまいやすく、結果的にスコア稼ぎの際には「わざとミサイルを装備せずに該当箇所に行く」といった様な工夫が必要になった。
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装備性能に関しても賛否が分かれた。
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上述の通り、オプションの装備可数が最大4個から最大2個に減少した。
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AC版はオプションを4個まで装備可能だったこともあり、当たり判定の大きなレーザーで画面を制圧したりダブルで弾幕を貼る戦術も可能だったが、今作ではオプション数の減少やレーザーの当たり判定の縮小で不可能となった。
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レーザーの当たり判定もAC版ほど広くないため、アーケードの上級テクニックであったレーザーワインダーが使用不可能に。
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ステージの方もAC版からオミット・変更された部分が見受けられる。
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2、3面の上下無限スクロールや4面の火山噴火といったステージ内のギミックに削除された物が存在する。
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迷路の様な作りだった2・3面は無限スクロールが削除された事によって、単純な横スクロールステージになってしまった。
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ステージ内の雑魚敵はスクランブルハッチから出現する敵が1種類のみになっていたり、1面ボス前の壁砲台や4面中ボスのアイアンメイデンがリストラ、画面内処理の限界のせいだろうが5面の肉団子の触手が狙いにくくなり最大で2つまでになっていたりする。
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最終ステージの要塞では後半の目玉であった電磁バリアが削除された事によって、該当シーンがひたすら雑魚敵が出現し続ける地帯に変更された。
挙句、ラスボスのゼロスフォースの足パーツの当たり判定が無くなり破壊不可能になった事で自爆を待つ事でしかステージクリアできない。
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ハードの性能上やむを得ない点ではあるが、画面上に一度に出現するキャラクター数(敵機本体や敵弾の数)が少ないためか難易度は低下気味。
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2周目以降に発生する打ち返し弾も削除されており、周回プレイも原作より易しくなっている。結果的に原作経験者からは物足りないという意見も出てしまった。
問題点
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ハード性能ゆえに未熟なグラフィック
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賛否点にもある様にハード性能の限界もあってグラフィックはさすがにAC版から見劣りする。
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ステージの最後で待ち受け巨大なボディで圧倒していたボスキャラのビッグコアも大幅に縮小。加えて、1・4面におけるステージから突如出現するという特有の登場モーションも削除されている(いずれもボス出現前の火山弾攻撃が収まった後、宇宙空間に移動してから出現する)
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裏技について
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今作の裏技の一つのオート連射は発動の際には少々ややこしい手順を踏まなければならないのだが、発動後は非常に強く、ゲームの難易度が下がってしまうほど。
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オート連射は今作のレーザーとは特に相性が良く、全体的に敵の耐久力が低めな傾向も相まって無双兵器と化してしまうのは致しがたない。
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1面から3面では条件を満たすと1ステージ飛ばして先の面に移動する、所謂「ワープ技」が存在するのだが、発動条件に難がある。
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1面の条件が「4つあるハッチ全部をスコアの1000の位が偶数のときに破壊する」、2面は「ビッグコア出現後2秒以内に破壊する」。この条件は積極的に狙ってやらないとまず不可能。逆に3面は「ステージ内のモアイを規定数破壊する」という緩さ。破壊数が10体と少ない事から安全策を取り破壊優先でいくと意識せずとも条件を満たしてしまう。レーザーと相性の良い連射の裏技がある場合はなおさら。
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3面で発動させてしまった場合、4面に挑戦する頻度も少なくなってしまう。
今作の4面は名曲「Free flyer」や2カ所存在する隠しボーナス点、AC版とは異なるボス前のラッシュと見所も多いステージなのだが、3面の裏技の存在で忘れられがちなのは否めない。
総評
初めて家庭用ハードに移植されたグラディウスシリーズ作品である今作は、開発のノウハウが不足していた点も相まって原作経験者から批判の声が多く上がってしまった。
しかし、全体的な出来で言えばオリジナル版に著しく劣るものではなく、きっちりと遊べる内容を確保できており、十分に良作足りえる範疇に収まっている。細かい差異は多けれど、根本的なゲーム性をファミコンのハード性のみできちんと再現できている事自体は十分及第点だろう。
移植作としては無理のある部分が見られるものの、AC版をベースにしつつ裏技の追加や自機の装備を独自の性能にするなど原作からオリジナル色が強められており、結果として「再現に限界がある個所を独自要素で補う」といった方向性が打ち出されていると言え、後の家庭用移植作品の基盤となった要素も存在している。
そういう意味では、「家庭用シリーズ作品のベースとなった作品」と言えるだろう。
余談
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今作のクリア時のメッセージは周回数に合わせて最大で6通りに変化する。なお、全ての頭文字を並べると「KONAMI」になる。
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ファミリーコンピュータマガジンでは、オプションを6個装備出来る今作のウソ技が掲載されていた。
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そのやり方もIIコンのマイクに「オップション」と言うだけと、マイクの仕様を知っていれば簡単にわかるものだった。
移植及びバージョン違い
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VS.グラディウス
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今作発売と同年の1986年に任天堂製の基板である『任天堂VS.システム』を用いてアーケードに逆移植した作品。国内は任天堂がアーケードから撤退した後なので、その事もあってか国内では未発売に終わった。
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当時のNOAは一大ディストリビューターでもあり、他社製品のVSシステム版を多く発売したり、またアイレム販売(現在のアイレムソフトウェアエンジニアリング)などの北米地域における代理店も兼ねていた。
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ファミコン版との違いはROMにVRC搭載、クレジット音の追加、エンディングのメッセージが1種類に統一、ファミコン版では裏技だったコンティニューの標準搭載等。
ちなみにアーケード仕様なのでポーズは存在せず、この事からコナミコマンド自体も存在しない。
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ファミコン版グラディウスが海外のNESで発売された際のタイトルは本作と同様の『グラディウス』で発売されており、その為か後に『III』でタイトルが全世界でグラディウスに統合されるまでは海外で唯一の『グラディウス』になっていた。
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その販売経緯や方針もあって日本での知名度が極端に低い上、『アーケード作品のファミコン移植版からの逆移植』というイレギュラーな存在となっている。
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他機種への移植版も当然ながら存在しなかったが、2019年にハムスターが展開している「アーケードアーカイブス」シリーズ(PS4/Switch)の1作品として配信が決定。ようやく日本でも手軽に遊べるようになった。
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グラディウス アルキメンデス編
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今作リリースの当時に発売していた即席麺『アルキメンデス』とタイアップしたバージョン。
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内容はパワーアップカプセルの外観がアルキメンデスの容器を模したグラフィックに差し換わっており、エンディングのメッセージが違うだけでゲーム内容自体に通常版との差異はない。
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キャンペーン限定の非売品であり、秋葉原や大阪日本橋あたりで高値取引されている。
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なお、アルキメンデス自体は値段の割りに美味しくないと不評で、2年ほどで生産打ち切りとなったらしい。
以降の展開
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今作の発売を皮切りに、MSXやPC88といった様々な家庭用パソコンを含むハードでグラディウスシリーズが展開されていったのだが、当時の家庭用ハードはアーケードよりもスペックの低い機種が多く、X68000のデモ用にほぼ忠実な移植版が登場するまで、は今作と同じようにアレンジ要素が入った作品群が多くリリースされる事になった。
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今作の次に発売されたMSX版ではオリジナルステージとして原作における4面と5面の間の「骨」と特定ステージから入れる様になるエクストラステージが登場。
この事が反響を呼んだのか、以降のシリーズが家庭用ハードに移植された際にオリジナルステージの収録が半ばお約束になっていった。
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後にAC版グラディウスシリーズでは、IIで「フォースフィールド」、IIIで「ツインレーザー」という、今作で仕様変更されたレーザーやバリアを彷彿とさせる性能の装備が登場した。
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後にファミコンにて『パロディウスだ!』が移植されている。
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アーケードの同作におけるビックバイパーは初代グラディウスの装備を再現した物なのだが、FC版でも踏襲され、オプション4つや長いレーザー、前方のみのバリアといった要素が存在。
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最終ステージも初代グラディウスの要塞ステージのパロディなのだが、ファミコン移植に当たって原作とほぼ忠実な内容が再現され、FC版初代では未登場に終わった電磁バリアやラスボスをプレイヤー自身が破壊する事が可能に。
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これらの事から、今作の事実上の上位互換ともいうべき内容が見られるので、今作の移植度に不満があったプレイヤーは同作をプレイしてみると良いだろうか。
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今作はシリーズの中でも屈指の知名度を誇る作品ということなのか、初代グラディウスが他のコナミ作品で扱われる際には、今作のデザインが採用されている事が多い。
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アーケード『ポップンミュージック11』に収録された「グラディウス/GRADIUS -FULL SPEED-」は楽曲こそはアーケード版初代のアレンジメドレーなのだが、担当キャラのビックバイパーのグラフィックはFC版準拠になっている(ダンスオジャマを使用した際にプレイ画面内に登場する逆火山のみなぜかAC版準拠だったりする)。
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同じくアーケードで発売された『サイレントヒルアーケード』のUFOエンディングの際のスタッフロール画面では今作1面を再現した内容になっている。
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DS『悪魔城ドラキュラ ギャラリー オブ ラビリンス』の隠しアイテムで登場するビックバイパーは今作のデザインを使用。
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ゲームブック
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双葉文庫からファミコン冒険ゲームブックシリーズとして「グラディウス_未知との戦い」というタイトルで発売されたことがある。
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主人公フレディとヒロインのフィオナが色々と冒険をする話で、道中では爆雷のザブを選択肢でよけていくなどの要素もある。
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現在のところは数千円で取引されているまでに高騰。
最終更新:2024年08月31日 15:46