コズミックウォーズ
【こずみっくうぉーず】
ジャンル
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シミュレーション
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対応機種
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ファミリーコンピュータ
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発売・開発元
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コナミ
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発売日
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1989年8月4日
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プレイ人数
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1人~2人
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定価
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6,500円
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判定
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良作
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ポイント
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珍しい宇宙戦争シミュレーション 初心者にもやさしいシステム グラディウスシリーズとしての再現度は低い オニの2周目、鬼畜の極みな3周目
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グラディウスシリーズ
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概要
『グラディウス』シリーズのスピンオフで、その世界観をベースとした宇宙戦争のシミュレーションゲーム。
広大な宇宙を舞台に、ビッグコアやビックバイパーによる壮絶な宇宙戦争が繰り広げられる。
登場兵器もビックバイパーや要塞ゼロスといった上記シリーズのものが、兵器ユニットとして落とし込まれている。
また同じ名前の兵器(重巡、駆逐艦等)でも1P側は機械兵器のようなデザインになっているのに対し2P側はエイリアン風な細胞状兵器になっている。
全体的には「グラディウスの宇宙戦争シミュレーション」と言うよりは、どっちかと言えば「オリジナルの宇宙戦争シミュレーションにグラディウスメカがゲスト参戦しているような形」になっている。
ストーリー
宇宙歴639年、人類はケンタウルス星系の開発に着手した。同星系恒星フセイン第3惑星調査中の一行からの連絡が突然途絶えた。
緊急追跡調査の結果、この時は巨大隕石の衝突による事故と断定。翌年、本格的な原因調査のため、多くの無人探査船が同惑星に向かった。
それから5年、帰還した無人探査船はわずかに1機。しかし、そこにもたらされた情報に人々は戦慄した。6年前の事故は、隕石の衝突などではなかったことが明らかになった。
何者かによる故意の攻撃で、調査隊は全滅したのである。人類は、未知の生命体バクテリアンと、最も悲劇的な出会いをしてしまったのだ。
そして宇宙歴649年、各星系は未知の生命体からの攻撃を受けた。これに対し、全恒星国家は強力な団結のもと応戦。
ここに、いまだかつて人類が体験しえなかった壮大な宇宙大戦「コズミックウォーズ」が開始された。
内容
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1P側がグラディウス軍(人類)、2P側がバクテリアン軍という構図になっている。
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ワープを繰り返して敵の本星がある恒星系を目指し、最終的にお互いのマークになっている本星(それぞれの恒星系の第1惑星)を占領することができれば勝利となる。
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勝利条件はこれだけで『ファミコンウォーズ』のように「部隊を全滅すれば勝ち」のようなものはない。
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これを達成するために、多くの恒星系で幾多の艦隊戦が繰り広げられる。
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フェイズ構成になっており「生産(生)」→「司令官募集(司)」→「艦隊編成(編)」→「ワープ(亜)」→「攻撃(攻)」→「恒星系内移動(移)」→「投資(投)」でターンチェンジ。
生産
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ユニットを生産する。と言うよりは「生産計画」と言った方がいい(出来上がるのは次のターン)。
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資金からユニットを選んで生産する。あくまで「計画」なので、Bボタンで取り消しても資金は元のままのが戻ってくる(よくある「売値は買値の半分」とかではない)。
司令官募集
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契約金(10~9990)を設定しで司令官を募集する。金額に応じて0~5人の司令官候補が応募してくる。
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金額が多いほど人数が多く、能力の高い者が来やすい。契約金は1人分なので複数人雇うならその人数分必要になる。
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能力は攻撃力(スペード)、幸運(ハート)、防御力(クローバー)、適応力(ダイヤ)に4つのステータスが分かれている。これらは後に戦闘で経験値を積んでアップする。
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この強さが一定に達するとランクが上がる(SS>S>AA>A>B>C>D>E>F>Gの10段階)。
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候補が来ようが来なかろうが、雇おうが雇うまいがこのフェイズは終了。
艦隊編成
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司令官を選択し、艦隊を編成する。
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編成したら自軍本星のある恒星系のマップ上に任意に配備できる。
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このため敵本星のある恒星系ではいきなり敵とハチ合わせする危険が高い。
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フラグシップ(バクテリアン)1つが必須(1つのみで2つ以上でも不可)。
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宇宙空母(ゼロス)を入れなければビックバイパー(ビックサイバー)とバトルスーツ(サイバースーツ)を艦隊に入れることができない。
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空母は2つ以上入れることも可能だがあまり意味はない。
ワープ
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移動前の恒星系に敵がいる場合は、このコマンドは実行できない。
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「ワープ」
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恒星系をワープして移動できる。ワープの着地点は対象のワープポイントのみ。
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この時、戦闘を介して空母を失った艦隊の艦載機はワープすると同時に消滅してしまう。
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また、ワープ着地点に元からいるユニットは敵味方問わず潰されて消滅するので、これを利用した攻撃もアリ。
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「合流」
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2つの艦隊で転属ができる。
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例えば空母を失った艦隊の艦載機を、まだ空母が残存している艦隊に転属させてワープさせるといった活用ができる。
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「ドックイン」
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本星のある恒星系でのみ可能。
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艦隊を丸ごとドックに入れて完全な形で修理すると同時に、艦隊そのものを解散させることができる。
解散したユニットや司令官は後で再び編成で組みなおすことができる。
攻撃
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敵と相対した恒星系で戦闘を開始する。
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これを選ぶと戦闘モード(後述)になり3ターンが経過するまで継続。
恒星系内移動
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敵と相対していない恒星系で戦闘モードに移行する。
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主に惑星占領を行うコマンド。「攻撃」同様これを選ぶと戦闘モード(後述)になり3ターンが経過するまで継続。
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敵がいない状態でも、それが先の「攻撃」フェイズで敵を全滅させた後の場合は、これを行うことができない。
投資
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自分の支配下にある惑星に投資(500)し、収入を100上げるとともに、耐久力を上げる。
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占領したばかりの惑星は耐久力が1しかなく、収入も200しかない。
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最大は耐久力8まで上げられ、そこまでになるとターン開始時の収入は900になる。初期状態での支配下惑星はこの状態になっている。
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これを終えると、ターン終了し相手側のターンに移行(これに到達する前に「END」でターンチェンジも可能)。
戦闘モード中のコマンド
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移動
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ユニットを動かす。戦艦系やバスター砲のような間接攻撃ユニットでも、一度これを選んでその場に止まらなければ攻撃できないのは『ファミコンウォーズ』と同じ。
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補給
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全補給を行う(有料)。
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自分の占領下惑星に隣接している、又はコロニー上にいて行動前状態であることが条件。
弾薬がフルに補給される。コロニーの場合はユニット自身も2機ずつ補充される。
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撤退(「攻撃」フェイズから突入した場合のみ)
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旗艦がワープポイント上にいる場合、そのワープポイントの対象である恒星系にワープできる。
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敵艦隊が同じ恒星系にいるとワープフェイズでのワープは使えないが、これを利用してワープできる。
ユニットの種類
1P名称
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2P名称
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コスト
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移動力
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兵器1
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兵器2
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特徴
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フラグシップ
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バクテリアン
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500
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5
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ミサイル(4)
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ビーム(4)
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これがやられると配下の艦隊が全部消滅。
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戦艦A
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ビッグコア
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3500
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4
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ミサイル(4)
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ビーム(4)
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射程3~5。
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戦艦B
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リトルコア
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2500
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6
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ミサイル(4)
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ビーム(4)
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射程2~3。
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重巡
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1900
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7
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ミサイル(4)
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ビーム(4)
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直接攻撃ユニット中バランスでは一番良い主力艦。
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軽巡
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1700
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6
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ミサイル(4)
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ビーム(4)
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全体的に重巡の劣化版。その割には安くない。
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駆逐艦A
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1200
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6
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爆雷(4)
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ビーム(4)
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基本的に次元潜航挺対策。
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駆逐艦B
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1000
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4
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爆雷(4)
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ビーム(4)
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爆雷(次元潜航挺に対して)の攻撃力だけは駆逐艦Aよりも強い。
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ミサイル艦
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500
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6
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ミサイル(4)
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-
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安価ながらミサイルによる直接攻撃力だけならば重巡と互角。
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補給艦
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200
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5
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ビーム(63)
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-
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大量のビームを搭載しているが弱い。あくまで補給用。
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次元潜航挺 |
2000
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2
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魚雷(4)
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-
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いわゆる「潜水艦」駆逐艦以外に対して絶対的な防御力。 攻撃も艦載機と駆逐艦以外に対して圧倒的。
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偵察艦
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サイバーアイ
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100
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7
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ビーム(4)
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-
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「偵察艦」というより「足止め艦」
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宇宙空母
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ゼロス
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4000
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4
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ビーム(4)
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-
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高くて弱いが下記「艦載機」を部隊に入れるのに必要。
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ビックバイパー
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ビックサイバー
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500
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8
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ミサイル(4)
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ビーム(4)
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いわゆる「戦闘機」安くて強いが空母が必要な「艦載機」。
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バトルスーツ
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サイバースーツ
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800
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7
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ビーム(4)
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-
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いわゆる「ロボット」安くて強いが空母が必要な「艦載機」。
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OPS
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APS
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200
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4
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ミサイル(4)
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-
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唯一惑星を攻撃(占領)できる。
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バスター砲
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サイバーガン
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6500
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7
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ビーム(4)
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-
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射程3~5 これに撃たれたユニットは問答無用で消される文字通り最強兵器。 但し紙装甲なので要護衛。
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()内は装備している弾数。
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全部隊は10機で1部隊構成だが、バスター砲(サイバーガン)のみ1機で1部隊。
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基本的にミサイル(魚雷含む)は戦闘艦、ビームは艦載機に有効。爆雷は「対次元潜航挺専用」といった位置付けで、それ以外にはほぼ100%無効。
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例外的にロボットのビームは戦闘艦にも通用する特別仕様。
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OPS(APS)のミサイルはあくまで惑星攻撃(占領用)で戦闘艦、艦載機どちらにも通用しない。空母や偵察艦、補給艦のビームも戦闘艦、艦載機のどちらに対してもまるで通用しない。
イベント
イベント名
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効果
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宇宙嵐
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1艦隊が対象で各部隊の残数が2機ずつ減少。 |
ノヴァ
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反乱
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1恒星系が対象で各惑星の耐久度が1ずつ減少。 |
疫病
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宇宙海賊
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資金が半分になる。
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不況
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そのターンの収入がなくなる。
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好況
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そのターンの収入が2倍になる。
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金山発見
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そのターンの収入が3倍になる。
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8種類のうち大多数がアンラッキーなもので、ラッキーなのは「好況」「金山発見」の2つだけ。
評価点
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初心者にもやさしいシステム。
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フェイズ制により戦略の組み立てがしやすい。
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自ずとフェイズの流れに沿って戦略を組み立てられるので、考えるポイントを絞りやすい。
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やり直しがきく生産システム。
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その場で製造されるわけではなく、あくまで「生産計画」であり出来上がるのは次のターンなのでこまごま計算しなくても何度でもやり直すことができる。
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中には「合流」「ドックイン」などやや難しいのもあるが、基本の流れは簡単なので、やりながら覚える格好で使えるようになっていくのも難しくない。
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ユニット毎の特徴が明確で、性能とコストでバランスが取れた構成。
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駆逐艦以外に対して無敵同然で鉄壁に近い守りながら機動力が低く攻めに向かない「次元潜航艇」、直接攻撃では移動、戦闘力ともバランス良く強い「重巡」、その重巡クラスの力がありながら空母(高額な上に弱い)を必要とし地形による移動特性が異なる「戦闘機」や「ロボット」、文句なしの最強の破壊力の「バスター砲」は極端に打たれ弱く、「戦艦」は間接攻撃が強力で隣接されると丸腰だが、それなりに装甲も厚いなど、それぞれが独立した強みを持っているので、ムダなものがほとんどない。
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上記2点から前年に発売された『不如帰』『ファミコンウォーズ』をバランスよくミックスし、舞台を宇宙にしたものというイメージと言った方がわかりやすいだろう。
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細かく設定されたアニメーション。
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同じミサイル、ビームでもそれぞれ違ったグラフィックによるアニメーションが用意されている。
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例えばビッグコアなら2発同時発射(勿論判定は1回)だったり、1P側駆逐艦のビームも稲妻状の放電を伴う。
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中でもバスター砲、サイバーガンのアニメーションがなかなか迫力がある。
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一枚絵も用意されている
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惑星を占拠した際にはパイロットがポーズを決めたり、バクテリアン軍が勝利した際はブレインが扇子を掲げたりするなどして盛り上げてくれる。
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マップ構成はもそれぞれ特色のあるものばかり。
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すぐ本星同士で戦える「小犬座」、戦力が分散しやすい「ダイヤモンド」「アンドロメダ」、複雑に入り組んだ本星の構造で最終決戦が盛り上がりやすい「うさぎ座」、メインの大戦場を戦いながら小規模な経済圏拡大戦略を組み立てる「オリオン」「ケンタウルス」など、それぞれが特色を持っている。
問題点
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1ターン終了までの時間が非常に長く、CPUの思考時間も長い。
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大規模なマップで片方のプレイヤー(またはCPU)が「移動」による占領活動をしていると交代までの待ち時間が非常に長くなる。
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更に戦線が拡大すると、複数の恒星系で戦闘が発生し、また敵がいない状態での「移動」による占領活動も複数発生するため1ターン消化するにも相当時間が掛かる。
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ワープの仕様が特殊な為、クリア時間や難易度に更なる影響を与えている
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全体マップのワープ経路とは別に、恒星系内移動マップにもワープポイントが存在し、往復でそれぞれ別ポイントに接続されているので、移動マップ内の出口ワープポイントの数がその恒星系間ワープ可能な片道ユニット数制限になっている
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ワープポイントに自軍の他ユニットがあるとワープができない上に、できてもユニットが重なると消滅する為、ワープした後もすぐにユニットを移動させておかないと撤退や次ターンのワープが出来なくなるなどの問題が生じる。これにより手間と時間と難易度に悪影響を与えている。
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恒星系間の同じワープ経路でも往路と復路で接続ワープポイント数に違いがあるマップもあるので艦隊移動管理が大変面倒
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特に本星からのワープ可能経路が1つしかないマップではどんなに艦隊を編成しても1艦隊ずつしか他の星系に送り込めなくなるため、経路に対して広いマップだと裏技を使わない限り戦線の増援や維持に苦労する
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惑星占領がとても手間がかかる。
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中立の惑星を占領するだけでも現地住民との交戦でOPS/APSが撃墜されていき、その補充にもターンと資金が必要となる。占領したばかりの惑星は収入も低いので投資しなければ収入は増えないが、投資にも当然金がかかるのでしばらくのうちは投資と収入が相殺されてしまう。
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移動や地形のイメージがしにくい。
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特に渦巻き状の「宇宙磁場(12.5%)」と「宇宙気流(37.5%)」は前者の方が色が濃く、効果が強そうに見えるので紛らわしい。
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また宇宙塵も25%とそこそこ効果がある割に色が薄いので、あまり地形効果が高そうに見えない。
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イベント発生時の効果音がまぎらわしい。
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「金山発見」や「好況」といったラッキーイベントも「宇宙海賊」「宇宙嵐」「反乱」といったアンラッキーイベントも発生時は「ブオォーブオォー…」と警報のような不吉な効果音。
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これでは起きた瞬間「ビクッ!」としてしまいラッキーイベントとわかっても、その余韻のせいで「やった!」というより「あーびっくりした」という気持ちになってしまう。
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バスター砲、サイバーガンは正確に操作しないと危険。
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上記の通り5マスに有効でレベル差無関係で消し去れる超強力なものだが、決定時連打しているとターゲットが何もなく空撃ちになってしまう。
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時として、自身であるバスター砲、サイバーガンをターゲットにしてそのまま破壊(実質自爆)したり、果ては何故か自身の所属する艦隊のフラグシップやバクテリアンが中央部で標的となり自滅のような格好になることもある。
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グラディウスシリーズのシミュレーション化という触れ込みのゲームなのだが、実はシリーズの再現性に乏しい。
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上記のようにビックバイパー、ビッグコア、ゼロス母艦が登場し、バクテリアン側の司令官はMSXのグラディウスシリーズに登場したヴェノム博士のような風貌であるが、それだけが全て。他に多種多様に存在するバクテリアン側の戦艦たちやゴーレムなどの生物系の敵、グラディウス軍からはロードブリティッシュやメタリオンなどのビックバイパー以外の戦闘機も登場しない。ビックバイパーは一種類だけで、たとえば「グラディウスIIの4番装備」や、「スプレッドボム装備型」などの別装備は存在しない。惑星グラディウスや惑星ラティスといった星々、火山・細胞・モアイ・要塞などの個性的な地形も登場しない。
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わずかに採用された、本作の目玉と言えるビックバイパーとビッグコアだが、ビックバイパーは近接攻撃しか持たず、ビッグコアは遠距離攻撃しか持たないため、直接対決をさせると攻撃側が一方的に蹂躙するのみで、攻撃された側は射程外なので抵抗すらできずに殲滅される。これはファンもがっかり。
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ビッグコアは近距離攻撃の巡洋艦枠に入れて、遠距離攻撃をする戦艦枠にはデスMk-IIあたりを配備すれば良かったのに……。
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ビックバイパーは単機で星々を駆け抜けることができ、時にはワープや時間移動まで行う「超時空戦闘機」であるのだが、本作では空母に乗せないと恒星間移動ができない。
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グラディウスでの設定を無視して、普通の艦隊シミュレーションゲームの艦載機と空母の関係をそのまま取り入れてしまったための違和感、不自然さである。
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ゼロス母艦はビッグコアなどと比べてはるかに巨大な艦で、グラディウス初代の最終ステージそのものにあたる。そのゼロス母艦が1ユニット10隻の大艦隊を組んでいる姿は想像を絶する偉容である。だが、このゲームの空母の直接戦闘能力はほとんど無い(ワープ時に艦載機を運ぶのみ)ので、ビックバイパーにミサイルで襲撃されると、まるでゴム風船でもパンパン割れるようにあっけなくばたばたやられる。
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これもグラディウスでのゼロス母艦の設定を無視して、一般的な「空母」のポジションにねじ込んでしまったため。さらにゼロス母艦より格上の旗艦「バクテリアン」はグラディウスIIIで登場したバクテリアンの本体とは全く違うもので、違和感が大きい。
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ゼロス母艦のグラフィックはグラディウスのイメージイラストをそのまま再現したものなのだが、このイラストではビックバイパーは画面手前から奥に向けてレーザーを撃つ構図になっている。それをそのままグラフィックにしてしまったため、本作のゼロス母艦は全艦「敵に側面を向け、プレイヤーの方を向いたいわゆるカメラ目線」で行動している。見覚えがあるグラフィックなので「これがゼロス母艦だ」と一発で分かるのはいいのだが、ふと気がつくと違和感が拭えない……。
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グラディウスシリーズでは「バクテリアン軍は様々な戦艦があり、グラディウス軍はビックバイパーで劣勢を覆す」といった構造であったのに、両軍の構成が同一になっている。バクテリアン軍がビックバイパーに匹敵する「ビックサイバー」なる戦闘機を量産し、原作では見た事も無い「サイバースーツ」なるロボットがビックバイパーを蹴散らしてしまう光景や、いつもあっさりやられて「ビックバイパーだけが最後の頼みの綱だ」という状況まで追い込まれるグラディウス軍がバクテリアン軍と互角の戦闘艦を多数有しているのは、とてもグラディウスのシミュレーションゲーム化とは思えない。
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単に艦隊もののシミュレーションゲームのユニットにグラディウスのユニットを適当に当て嵌めただけという安易な造りの結果であり、両軍の兵器が互角なのも2P対戦ができる以上は極端な差別化はできなかったのだろう。
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後年、別のシューティングゲームがシミュレーションゲームになった『R-TYPE TACTICS』と比較すると原作再現性は雲泥の差で、同様の企画なのにこの差は悲しいものがある。
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もはやクリア不可能と思えるほど超高難度の2周目、3周目。
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全マップを制覇すると2周目になり、それをクリアすると3周目になるのだが、ともに自分の支配下の惑星が1つしかない(本星1つのみ)。そのため収入はたった900しかない。
2周目は本星のある恒星系でも本星以外中立になっている。「ならば占領すればいい」というのが基本概念だが、本恒星系での惑星を全て支配下に入れても、占領したての惑星からは収入が200しかないので、挽回するにはとてつもなく時間がかかる。また、上述したように中立の惑星を占領するだけで結構な被害が発生する。
これでも、もはや相当な無理ゲーだというのに、3周目は本星以外全て敵の支配下になっている。
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さすがにこれは極端すぎてバランスもクソもない。
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一応、両陣営ユニットが存在するマップではマップ内部のワープポイントからの撤退コマンドによる直接ワープしかできなくなる仕様を利用すれば、旗艦だけ送り込んで足止めしてその間に他の惑星を占領しまくって資金でのハンディキャップを埋めれば何とかなる。
但しこの場合、一つのマップに大量のユニットが溜まったり本星のユニットのストックが蓄積することになる為に、今度は大量の敵排除に時間がかかるようになる上に、内部のバッファオーバーと思しきフリーズが起きる可能性が敵の数とターン経過に比例して高くなる為、違う意味でクリア難易度が上がる。
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星座の位置関係が僅かにおかしい
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CASIOPEA(カシオペア)座ではバウノウとルクバル、ホートフとシェーダルはおおよそ平行になるところであるが、角度がかなり違っている。
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ORION(オリオン)座ではベテルギウスとリゲルの間にトリプルスターが位置しており、右下に向かって並んでいるがこれは右上に向かって並んだ方が良かった。
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ゲーム性に支障を来すわけではないのだが気になる人は気になってしまう。
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エンディングがイメージに合わない。
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本格的な宇宙戦争のシミュレーションでタイトルデモでも見られるバスター砲やサイバーガンの本格的な発射プロセスの演出、リアルなメカの迫力ある撃ち合いが展開されるバトルなど、どれを取ってもズッコケる要素などないものだが、エンディングでは1Pならばモアイが、2Pならばゴーレムがニッコリ笑って扇子を片手に踊り、その片隅で1Pならゴーレムは遠方で目を回して気絶し、2Pならば小さなモアイが目から垂れ下がった涙で泣くという完全コミカルな演出。つまり最後の最後で急に『パロディウス』路線になる。
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それまでの雰囲気を考えればちぐはぐで、長い戦いを終えてクリアーした達成感をぶち壊しにしかねない。
総評
オリジナルモチーフの宇宙戦争という今一つイメージが沸きにくい世界観ではあるものの、フェイズを取り入れて思考パターンが組みやすくシステムは初心者でも馴染みやすい。
兵器はそれぞれ用途で個別の強みを持っているなどムダなものがほとんどなく性能やコストのバランスも取れており、戦略性が試されるというシミュレーションゲームとして理想的な作り。
CPUの思考時間が長く、1つの戦いで非常に時間が掛かるという難点はあるものの、シミュレーションゲームとして完成度は充分高水準なものになっている。特に重厚な戦略シミュレーションが好きな人にとっては非常にやりごたえのある内容に違いない。
ただし「グラディウスシリーズ」として意識すると違和感が否めない内容なので、まったく別物なオリジナルの宇宙戦争として楽しもう。
余談
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ゲーム本編のみならずOVA『沙羅曼蛇』シリーズからもいくらか逆輸入されているものがある。
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バクテリアン軍の戦闘機「ビックサイバー」はOVA『沙羅曼蛇』で、それとそっくりな無人戦闘機が登場している。
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本作ではビックバイパーによる大編隊を組むことができる。
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『グラディウス』等のゲームでは単騎のイメージだが、このような大編隊は前年発売のOVA『沙羅曼蛇 瞑想のパオラ』で見ることができる。
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グラディウスシリーズの関連作かつジャンルが戦略シミュレーションゲームという作品は、他にもPSで出た『パロウォーズ』が存在する。
最終更新:2024年08月06日 18:07