まじかる☆タルるートくん (MD)
【まじかるたるるーとくん】
ジャンル
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ACT
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対応機種
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メガドライブ
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発売元
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セガ・エンタープライゼス
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開発元
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ゲームフリーク
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発売日
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1992年4月24日
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定価
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3,880円
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判定
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ゲームバランスが不安定
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ポイント
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本作独自の要素は多いのだが… コンティニュー有限 強制スクロールが地獄 おう!
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まじかる☆タルるートくんシリーズ
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概要
漫画『まじかる☆タルるートくん』を原作としたゲームの一つ。電源を入れるとタルの声でせ~が~と出迎えてくれる。
本作独自の要素も多いのだが、バランス面で問題がありいまいちパッとしない出来となった。
内容
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ストーリー
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最近、周辺でおかしな事が起こるようになった。それは物が襲い掛かってきたり、クラスメートが狂暴化するなどだった。タルは早速、原因を探るべく色々な場所に向かうのであった。
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本作は横スクロールのステージクリア式アクションゲームである。
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全部で4ステージ
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学校、魔法の国、絵本の世界、市街地~建物内部で構成。
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1ステージが長く作られており、道中にはあらゆるパートが用意されている。
基本動作
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移動
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左右で移動して、下ボタンでしゃがむ。ただし、しゃがみ歩きは出来ない。
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魔法を使う
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Aボタンで使用。セットしたマジックをMAGICポイントを使って発動。最初は何も覚えていないがステージをクリアすれば原作キャラから魔法を教えてもらえる。尚、ボス戦で魔法が使えるのは本作だけ。
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すけるるる~
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しばらくの間、半透明になり敵や仕掛けのダメージを無効化する。
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ミ~モ~ラ~
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ミモラが「あんまりですわパンチ」で画面全体の敵にダメージを与える。
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まっぷたつ!!
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タルの横一直線上にいる全ての敵にダメージを与える。
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ソードペンまじっくん
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Bボタンで繰り出す。タルの標準装備であり、基本的に敵への近接攻撃やアイテムボックスなどに用いる。尚、真横のみで上や下に使う事は出来ない。
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道中のオブジェや一部の敵にも意思を持たせる効果もあり、敵に投げ返したり、コンスタントに弾を撃つ効果などの用途がある。
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ジャンプ
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Cボタンでジャンプが出来る。更にジャンプ中にCボタンを押すと翼を活かした滑空も可能で飛距離を伸ばしたり移動速度も速い。
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地面に着いた際はそのまま『ロックマン』のスライディングよろしく狭い地形にも入り込めたりもする。ちなみに滑空している際の方向ターンは出来ない。
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PAUSE
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スタートボタンで中断。ゲーム画面は伏せられる仕様であるが、この間に魔法を選ぶことが可能。
基本仕様
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ライフ制
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最大でハート3個分で一撃死ではない。また、道中でたこ焼きを拾い食いすると1回復、パワーアップルジュースで全回復する。
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アイテム
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魔法を使うために必要なMAGICポイント、HP回復アイテム、タルの顔をモチーフにした1UPなどが用意されている。
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コンティニュー
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ゲームオーバーになってもコンティニューが可能。しかもステージ最初からではなく、そのエリアの最初から再開できる。
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ただし、3回までとなっており回数を増やす方法は一切ない。
評価点
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本作独自の要素が多い
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声優のボイスをはじめ、後述する等身大のキャラ、漢字が使われている文章、物に意思を持たせる魔法、地形の坂道など、およそ丁度1か月前に他社から発売されているSFCですら実装されていなかった本作独自の要素が多数盛り込まれている。
素材が高品質
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声優の音声が使われている
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タルとミモラはアニメ版と同じ声優の声が使われている。作中ではライバーのかけ声もあるがクレジットには記載されていないので不明。
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グラフィックが非常に良い
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原作キャラとのやり取り
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各地には原作キャラがいるが、本丸、いよな、じゃば夫、原子、るい、りあ、たまみえ、ミモラ、おおあや、ライバーなど多数登場している。ただし、本作のCMで大々的に登場していた松っつぁんは作中では登場しない。
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そのサイズは等身大で表現。更に会話の際は顔グラが用意されており、文章には漢字が使われている。
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マップの描き込み
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奥行きの表現に遠景が使われているが、更にはラスタスクロールで多重スクロールを意識したり、火山ではゆらぎ波形エフェクト付きで暑さを表現などエフェクトも複合している。
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地形には細かいところまで描き込まれており、スイッチで壁が動く際はせん断で表現されていたり、大型のボスが表現されていたり、色々とメガドライブの機能を上手く活用しておりゲーム性の評価点にも当てはまっている。
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エンディングの後は一枚絵で締める。
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BGM
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音楽は高品質なものばかり、ボス戦の曲は多数用意されているし、エンディングもアニメで使われていたもので好評。
ゲーム性
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ライフ制の導入
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他作品は一撃死が多かったが本作はある程度耐えてくれる。この仕様が実装されているのは本作とGG版のみである。ただし上限は3であり最後まで上がらない。
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この点においては、他作品との差別化を図る材料になれる可能性はあった。
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ステージのバリエーション
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学校内部や魔法の国、絵本の世界、市街地、建物内部など色々と豊富に用意されている。
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所々には原作キャラがいて助言をしてくれたり、隠しキャラを見つける楽しみもある。
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地形も作り込まれている
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坂道が実装されている。しかもありがちな45度だけではなくあらゆる傾斜が組み合わされており表現の幅が広くなった。
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地形のフチでは、これまた両手を広げてバランスをとる動作も表現されている。
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針地形は、横から触れた際はダメージが発生しないようになっている。
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ボス戦
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ボス戦もまた原作キャラかつ等身大キャラクターばかりで高品質、更には大型のボスが画面奥から手前に来る演出から迫力が出ている。
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撃破した際は爆発のエフェクトが派手に表現されている、
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尚、魔法がボス戦で使えるというのも本作のみである。
賛否両論点
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滑空がやや不便
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上昇はできないため、いわゆる二段ジャンプ的な役には立たない。
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途中停止はいちおうできるが、それ以外の制御はほぼ利かないため、勢い余って穴に落ちたり前方の敵にぶつかって叩き落とされてしまう、なんてこともよくある。
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MAGICが持ち越せない
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ステージクリアの際はMAGICがスコアに換算されるので持ち越しは出来ない。
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本丸の扱いが薄い
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ステージ1の途中と各ステージクリア後の会話、あとはエンディングで登場するのみで、活躍はしていない。クラスメートのじゃば夫や原子が起こした問題もタルに片付けさせていると言える。まあ、本作に限った話ではなく、他作品ではもっと扱いが悪いというのもある……
問題点
ゲームバランス
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コンティニューが有限
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本作にはセーブもパスワードもないので通しで挑むしかないのだが、コンティニューが3回までしかなく回数を増やす方法も一切ない。(その代わり、裏技でステージセレクトはできるが)
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一部ステージの難易度が極端に高い
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ステージ3の雲渡り
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森の上の強制スクロール。ここでは後ろから流れて来る雲を足場にたてつづけに来る敵の攻撃を凌がなければならない。勿論落下したらアウト。
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キリンは、下から突然飛び出して来てこちらの行動を制限してくる、ダメージ判定こそないものの引っ掛かってスクロールに挟まれたら即死。
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サルは、突然画面上下から数匹出てくるので対処が忙しい、ライフの上限もあり何度も当たるわけには行かず下手すれば突き落とされる事も多々ある。しかもこれが数セットある。
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これらが2分弱にも及ぶわけだが、中間地点はおろか回復アイテムも出てこないので、これらを殆ど完璧にこなさなければならず厄介な難所となっている。
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尚、ストーリーとの関連はなくここまで凶悪にする理由はないところである。
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ステージ4の原子ヘリからの遁走
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ステージ1でも登場した原子の再来であるが、段違いに難化しており本作でも一二を争うまでになっている。
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街を強制スクロールで進んで行くのだがスクロールがタルの歩行速度と同じで余裕がない、しかも市街地なのに何故か至る所に落とし穴が開いており危険度が高い。原子に追いつかれそうになったからと翼で高速移動で前進したら穴に落ちたというケースもザラ。
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作中では世界ヘリ操縦大会優勝と言っているが、ここの難易度はヘリの腕前と言うよりも街中の地形の悪さによるものになっている。
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これらが、ノーコンティニューかつ難所がある事が複合している事により本作のゲームバランスがカツカツで厳しいものとなってしまっており最後までたどり着けなかったというケースは多い。ハードボイルドなゲームならまだしも、タルるートのゲームの難易度ではない。
原作要素が色々と薄い
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キャラクターの存在意義が薄い
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ほとんどのキャラが1度きりの登場かつ、それも簡素な台詞の後にタルが「おう!」と言って終わるというもので、有難みが薄れている。
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中でも分かりづらいところに隠れているキャラも多く、強くて隠れる必要が無いはずのしょうぐんのすけも分かりにくく足場が悪い場所に隠れており、会った際は、よくここが分かったなと言ってボスの弱点が鼻だと教えてくれる程度にとどまっている。
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ボス戦の会話が少ない
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一部のボスでは簡素が会話があるのみで、他のボスに至っては会話の一言もなく戦って倒すのみで味気ない。
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魔法の種類が少ない
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本作には標準装備のステッキと3つの魔法しかないのは寂しい。
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エンディング
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スタッフロールでは登場人物の等身大の画像が表示されるのだが、作中で一度も会ってないキャラは名前だけ出て来てシュールな印象になっている。
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しょうぐんのすけも分かりづらいが、にるる、も分かりづらいところにいる。
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ストーリーが薄い
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結局、ラスボスすら一言も喋らないため、皆を操ったり終盤である人物をさらったりしてまで騒ぎを起こした意図が、全くわからない。せめて、エンディングでラスボスに説明させていればよかったのだが。
総評
非常に良質なグラフィックや声優の音声など、本作独自の要素が多い。
ゲームバランスについてはライフ制で親しみ易い難易度を期待したプレーヤーもいたが、コンティニューが有限という仕様で難所を突破しなければならないのが非常に厳しいものがあり、練り込みが足りず良作になれなかったのは勿体ない所である。
余談
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その後の展開
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本作の後には他社からのGB版2作目、FC版2作目が発売されたところで、タルるートくんのゲームはとりあえず打ち止めになっている。
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2022年10月27日発売のメガドライブミニ2に、本作が収録された。
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ギャップ
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本作は、松っつぁんによる楽しそうなCM、親しみ易くデザインされたパッケージなどとは裏腹に、難易度的には初心者には厳しく、「タルるートくんのゲームだ」と喜んで始めると心を折られる可能性も高い。
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ゲームフリークの次回作への展開
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セガからは本作の出来について一定の評価が貰えたそうで、それを受けてゲームフリークがキャラものではない、メガドライブオリジナルタイトルとして開発したのが次作『パルスマン』である。
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それ以降も、後にポケモンや『BUSHI青龍伝 ~二人の勇者~』で有名になる。
最終更新:2023年10月09日 12:50