Love Choice 愛の選択
【らぶちょいす あいのせんたく】
ジャンル
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アドベンチャー
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対応機種
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プレイステーション5 プレイステーション4 Nintendo Switch Xbox Series X/S Xbox One
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メディア
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ダウンロード
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発売元
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ラタライカゲームス
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開発元
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Akaba studio
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発売日
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2021年9月10日
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定価
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【PS5/PS4】550円 【Switch/XSX/One】500円
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プレイ人数
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1人
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セーブデータ
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1個
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レーティング
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【PS5/PS4/Switch】CERO:A(全年齢対象) 【XSX/One】IARC 3+
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判定
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なし
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ポイント
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選択肢形式のADVの意表をついたシステム 物語自体は小粒
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概要
台湾のインディーズゲームスタジオにて開発された恋愛にまつわるADVゲーム。原題は「択愛」。
3つの恋愛短編「愛・ゲーム」「愛・距離」「愛・詮索」からなるオムニバス形式をとる。
「愛・ゲーム」
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あらすじ
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ゲーム開発者交流会で出会った二人の男女が主人公。「僕」視点でストーリーは進む。
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「彼女」が上司にしかられた愚痴をSNSで聞きつつ、僕は思い立ってデートに誘ってみる。
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システム
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デートプランを練ったり、彼女との何気ない生活の1つ1つのシーンを素材に、選択肢が出たりその他のミニゲームが発生する。
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場面・ストーリーの進捗に応じて、キャラクターの配置や背景が切り替わる。プレイヤーは矢印型のアイコンを動かして画面内を調べまわり、選択肢を選んだりテキストを送ったりする必要がある。
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Switchは矢印型のアイコンを動かさずに、画面タッチ操作でもゲームを進められる。
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選択肢以外の物体にもタッチできる場所があり、キャラクターそのものをドラッグの要領で動かして適切な場所に配置しなくてはならない場合もある。特にデートプランを練る際は、ゲーム中に閲覧できる彼女のSNSをよく観察しておく必要もある。
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最後のイベントでのみ分岐がある。いままでプレイヤーが取ってきた行動を総合的に評価して、3つのエンディングに分岐する。
「愛・距離」
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あらすじ
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機械工場にて生計をたてる父の息子「良太」が主人公。あるとき都会から教員の娘「明里」が越してきたのだが、その子はアニメに興味を示さずに、ひとりぼっちでラジオの音楽に興味をもつ変わった子だった。
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良太はそんな明里が気になって声をかけてみようとしたのだが…。
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システム
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全体的なゲームシステムは、上記の「愛・ゲーム」と近い。
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こちらは序盤に関して、一回でも所定以外の行動だったり選択肢をとると、明里と疎遠になるエンディングとなりゲームが中断する。
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章別構成をしており、到達できた章であれば途中から物語を始めることも可能。
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物語を中盤に進めると、良太と明里の将来の夢が次第に現実的になり、一緒に暮らすのが難しくなる。最終的にそういった状況をどうするかでエンディングが2つに分岐する。
「愛・詮索」
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あらすじ
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結婚して3年経ち、生活の面白みが感じられなくなった妻(私)を主人公としたストーリー。
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あるとき夫のスマホに知らない女性からの着信があった。夫に不審の目を向けた私は、夫不在の自宅で証拠を探したが、そこでは夫が奇妙な箱をのこしており…。
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システム
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このストーリーのみ、上記2つとシステムが異なっている。
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内容は脱出ゲームに近く、夫不在の自室で適切なアイテムをタップして回収して、部屋に残されたパズルを解錠していくのが目的。
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拾ったアイテムはストックされる。使う場合はひとつだけ「選んだ」状態にして、アイテムを使える適切な場所を調べれば自動で使用される。
評価点
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言葉ではあらわせない恋愛描写
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ADVの意表をついた演出をしかけてくるゲームであり、言語では説明できないような感動効果は期待できる。
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通常のADVゲームのように選択肢が出るものの、それを何も考えずに選ぶと基本バッドエンドのフラグとなる。
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プレイヤーはいつもの感覚でADVをプレイする代わりに、よくゲーム画面全体を観察して文章の行間を観察したり、言葉ではなく無言の行動で魅せる必要があったりする。そのため独自のプレイ感が味わえるかもしれない。
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世界観の味わい
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「愛・距離」は簡単にいうと互いの進路のために遠距離恋愛に発展していくストーリーである。題材としてはありがちかもしれないが、互いの将来の夢と恋愛感情のジレンマに苦しむ展開自体は悪くない。
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プレイヤーの裁量で良太と明里を結婚させることもできるが、それが一概にベストエンドともいえないといった特徴もある。
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キャラデザイン
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特筆すべきほどのものではないかもいれないが、キャラデザはかわいらしい部類。
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「愛・ゲーム」「愛・距離」は、日本のブランドでたとえるならサンリオに近いデフォルメ調のキャラデザインである。
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進捗のセーブはできないが、「愛・距離」「愛・詮索」は、一度到達した章であるなら途中再開可能となっているので、片手間にプレイはしやすい。
賛否両論点
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ゲーム中のギミックの癖
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ADVの基本中の基本となる「選択肢を選ぶ行為」自体が、バッドエンドフラグになっているケースが多く、ある意味それに気づいてしまえば攻略のヒントにしやすい。
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「電話を切るよ」とか「帰るよ」などの、男女の会話をさえぎるような選択肢がひとつだけ出てくる場合は、ほぼ確実に地雷選択肢。
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ADVに精通しているプレイヤーの意表こそつけるだろうが、結局「選択肢」をあえて無視して違うギミックを探せば正答となるケースが殆ど。正答もわかってしまえば、いまいち押し付けがましく感じる可能性がある。
問題点
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ジャンルはADVではあるが、あまりテキストで感動させる作品ではない
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特に「愛・ゲーム」「愛・詮索」に関しては、演出面ではおもしろいが恋愛の文学的に感動するような一幕はほぼない。異性に対するさり気ない気遣いを前面に押し出しており、ストーリー部分は良くも悪くも普遍的な恋愛もしくは新婚生活といったところ。起承転結も最低限。
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「愛・ゲーム」では、LINEで男女がやりとりするくだりもあるが、いまいち会話がかみ合ってない。
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「愛・ゲーム」「愛・詮索」はエンディングに重きをおいた作品ではない
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「愛・ゲーム」はエンディング時に「僕」が読む手紙の内容に変化が生じる程度。それまでの選択ミスを示唆するヒントが提示されるだけ。
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プレイヤーがとった行動で、彼女の反応が若干変わるのでその機微を駆け引きとして楽しむといったところか。
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「愛・詮索」は、最序盤に夫のスマホの着信に応答せずに、とある行動をするとトゥルーエンドになるが、物語の本質は、電話に出たときのルートと特に変わらない。
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一部分かりづらい操作を要求される
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「彼女との電話中に、Rボタンを押しながら神経衰弱の要領で会話のタネを見つける」、「明里のメトロノームを修理する」「明里におもちゃのピアノを買ってあげるために、貯金箱にお金を溜める」といった各パートの操作方法に関して、説明がない。
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「愛・詮索」のゲーム性
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脱出ゲームとしては小粒な部類。ヒントはないが、1~2時間程度頭をひねればクリアできてしまうだろう。どちらかというとギミックを解いた時に起こるとあるサプライズを経過として楽しむつくりになっていると思われる。
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同じ謎解きを2周させられるため、水増し感がある。全体的なボリュームも少ない。
総評
言葉では言い表せないような、男女の恋愛の機微をギミックで上手に再現した意欲作。
ADVの意表を突いたともいえるシステムが搭載されており、あくまで文学的な良さだったり、エンディング時の感動を求める人には若干向いていないかもしれない。結果ではなく過程としての恋愛描写を楽しみたい人には薦められる内容である。
最終更新:2024年06月05日 18:51