コスモポリス ギャリバン
【こすもぽりす ぎゃりばん】
ジャンル
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アクションRPG
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対応機種
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ファミリーコンピュータ
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発売・開発元
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日本物産
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発売日
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1988年6月3日
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定価
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5,900円
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プレイ人数
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1人
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配信
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プロジェクトEGG
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PC
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2015年3月10日
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判定
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良作
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ポイント
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アーケード版とはまるで別物 抜群のやりごたえを感じる大ボリュームのアクション 苦手な人でもレベルアップでカバーできるシステム
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概要
1988年に「ニチブツ」こと日本物産から発売されたアクションRPG。
同名で1985年12月にアーケードで稼働していたものとはまったく異なるゲーム性になっている。
『メトロイド』のような探索型のSFアクションゲームであり、更にRPGのように経験値で成長するシステムを兼ね備えている。
タイトルが東映系特撮の『宇宙刑事ギャバン』(1982年~1983年)、『宇宙刑事シャリバン』(1983年~1984年)を連想させる本作だが、オリジナル作品である。
ストーリー
宇宙連邦警察、人呼んで「コスモポリス」とは、宇宙の平和を守るために結成されたサイボーグ戦士の集団である。
COSMO歴2010年、マディウスを首領とする宇宙暗黒組織マドーは、悪の力で全宇宙支配に乗り出し、侵略は日に日に進んでいった。
宇宙連邦警察もそれに対し次々とサイボーグ戦士たちを送り込んでいったが、いずれもその強大な力の前に倒されていった。
そして今、最後の戦士、地球出身の銀河万丈ことギャリバンが今、敵地の惑星バデュールへ戦いに向かった。
内容
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主人公銀河万丈ことギャリバンを操作して、広大な敵基地を探索して首領マディウス打倒を目指す。
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全6エリア構成だが、1つのエリアが非常に広大なもので、更にワープホールまで絡めたサブエリアなどもある。
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主に銃系の武器を使っていたアーケード版と異なり、メインとなるのはブレード系の武器で、飛び道具系の武器はエネルギー消費のような形で使用する。
ステータス
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ヒットポイント(HP)
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恒例の生命力で、これがゼロになると死亡。残機制ではないので1人やられると即ゲームオーバー。
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最大値や回復アイテムでの回復量もレベルアップによって上昇する。
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クリスタルポイント(CP)
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アイテムや飛び道具系のウエポンを使用するために消費する。
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これもHP同様最大値や回復アイテムでの回復量もレベルアップによって上昇する。
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他にストーリー上で、中ボスからこれを要求されることがある。
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要求に応じても足りないと、その時点でのCPを全部奪われて襲ってくるが、時としてこれを利用しないと戦えないこともあり、それで倒した場合のみ重要アイテムがもらえることがある(必然的にCP0での戦いを強いられる)。
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GPメーター
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「Pクリスタル」を取ると上昇し、満タンになるとギャリバンに変身する。
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変身すると受けるダメージが軽減される。
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変身中に敵からのダメージを受けるとHPだけでなく、このメーターも減少し、ゼロになったら変身が解けてしまう(その間に「Pクリスタル」を取って補充することも可能)。
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経験値・レベル
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敵を倒すごとに獲得し、一定の値に達するとレベルが上がる。
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ブレード経験値・ランク
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メイン武器であるブレードにもそれぞれ経験値があり、レベルにあたる「ランク」がある(後述)。
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アイテム入手、レベルアップ、ボス撃破、隠しルート解法などはその場その場で逐一記録される。
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ただしブレードのレベルは経験値単位で記録されるがギャリバン自身のレベルはレベルのみ。
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そのため、やられてコンティニューした場合、その最低値に戻される。
例えば経験400(レベル5)でやられてコンティニューした場合、レベル5の最低経験値である330から再スタートする。デスペナルティとしては軽めなバランス。
アイテム
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1B・ブレード系
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最もメインとなるデフォルト武器。
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ビームブレード
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メタルブレード
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ファイヤーブレード
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レーザーブレード
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サンダーブレード
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ハイパーブレード
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それぞれに経験値があり、そのブレードで敵を倒すと経験値が得られ一定の値に達するとランク(A~C)が上がる。
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コスモブレード
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これのみランクは6段階(A~F)だが、経験値ではなく上記6本のブレードのランクに応じて上昇。
具体的にはAランク1つにつき、コスモブレードのランクが上がっていく。
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ただしコスモアームとこれを持った状態で特定の情報を聞いていないと「F」固定。更にコスモアームがないと表示上「F」でも攻撃力はゼロ。
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+
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2W・ウエポン系
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CPを消費して使う飛び道具系の武器。
特定の壁やゲートを破壊するのにも必要。
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ハイパーレイ(5)
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一直線に前に飛ぶスタンダードな飛び道具。
破壊できるのは赤ゲート。
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コスモブーメラン(10)
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名前の通りブーメランで、前方に飛ばしある程度で戻ってくる。
破壊できるのは特定の壁。
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カプセルボンバー(15)
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手榴弾のようにカーブを描いて地面に着くと爆発。
破壊できるのは特定の地面。他は破壊に3発必要だが、これのみ1発で有効。
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スパークボール(20)
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真正面に飛ばし、ある程度の所で爆発する。
破壊できるのは海底エリアの特定の壁。
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プリズムウェイヴ(30)
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高速で大きく蛇行しながら敵を貫通するビーム。
破壊できるのは基地面の特定の壁。
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+
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3I・アイテム系
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CPを消費して使う主に防御系の特殊アイテム。
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エアークリスタル(10)
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特定の壁を破壊し、隠されたエレベーターを出現させる。
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ムーンクリスタル(20)
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アースクリスタル(100)
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コスモクリスタル(120)
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オートプロテクト(100)
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GPメーターが強制的に満タンになり変身状態になる。
普通にGPを貯めた場合と違って敵の攻撃を受けてもGPメーターが減らない。 画面を切り替えた後も変身状態は持続するがGPメーターは敵の攻撃を受けると減少するようになる。
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ブレードパワー(50)
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小ボスやボスが放ってくる弾をブレードで消せるようになる。
画面が切り替わるまで有効。
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バリアーシールド(80)
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本来ダメージを受ける地形のダメージをなくす。
画面が切り替わるまで有効。
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ライフカプセル(500)
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ジェットブーツ(200)
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+
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スペシャルアイテム・使う必要はなく、持っているだけで効果を発揮
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コスモパワー
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ブレードで敵の弾を消せるようになる(小ボスやボスの弾に対しては上記3Iアイテムの「ブレードパワー」が必要)。
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コスモブーツ
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コスモパーツ
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コスモアイ
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コスモスーツ
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コスモアーム
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最強の武器「コスモブレード」を使うために必要。厳密にはなくても使えるが、これがないとコスモブレードの攻撃力がゼロ。
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これらの武器やアイテムは、中ボスにあたる敵を倒したり、要塞内にいる味方キャラからもらうことができる。
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エリア内にあるコンピュータを破壊すると、それまで道を塞いでいたイエローゲートが消えていたり、新しいワープホールが出現したりする。
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エリアのボスは、必ずそのエリアで入手できる新しいウエポンやブレードでなければ倒せない。
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そのため、必然的に次のエリアに進むためには、それらのアイテムをすべて取得しておかなければならない。
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エリアボスを倒すと、次のエリアに続く道が開く。
評価点
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アクションのスムーズさ。
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ジャンプにしても攻撃にしても、コントローラ操作に機敏に反応してくれる。
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様々なアイテムの切り替えもサブ画面方式を採用し非常に扱いやすいシステムに落とし込まれている。
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サブ画面を使わなくても、それで選択したものは記憶されているので、一度選んでおけばセレクトボタン1つでスピーディーな切り替えも可能。
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ボリュームある内容
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全6エリア構成ながら1エリア1エリアが広大で、また謎解きになるようなものもあるので、探索系のアクションゲームとして非常にやりごたえを感じられるボリューム。
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そんな内容ということもあって、バッテリーバックアップまで完備されている。
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大体ヒントがあるので、理不尽に感じるようなものはない。またウエポンで壁を開く場合でも、無効なものではエフェクトが出ないのでわかりやすい。
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グラフィックの秀逸さ。
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背景からキャラまで細かい部分まで描かれている。
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そんな描き込まれたキャラたちがザコからボスに至るまで、滑らかでダイナミックなアクションを繰り広げるのは、ファミコンでも芸術的レベル。
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タイトルデモにしても、描き込まれたグラフィックの美麗さが光っている。
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アイテムもそれぞれが異なった特性を持っており、消費するエネルギーとのバランスも取れておりムダなものが一切ない。
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特に爆発系のエフェクトは爽快感も感じられる。
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そんな多くのアイテムの特性をうまく利用して難関を突破するゲームらしい醍醐味をとことん味わえる。
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残機はないものの主人公はタフさがあり、敵の攻撃は激しいながらも戦い抜けるシステム。
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そのため、ちょっとやそっとの攻撃にはビクつくことなくガンガン攻めていける。
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アクションは少々苦手でも、レベルアップによりHPやCPの最大値が上がるのである程度カバーされるシステムにもなっている。
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またザコ敵を倒すことで、それらの補充アイテムが得られる。
問題点
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ブレード系は古いものがお荷物になりがちになる。
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例えば序盤のビームブレード、メタルブレードなどのレベルを上げ忘れると、後のステージでは相当斬らないと倒せないほど敵の耐久力が上がってくるのでかなりの苦戦を強いられることになる。
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回復アイテムが「ライフカプセル」1種類しかなく少々使いにくい。
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HPを1000回復させるという強力なものだがその分CP消費も500と大きく、これ以外にはCPによる回復アイテムがない。言うなればベホイミはあってもホイミが無い様な、MPが少ない『ドラゴンクエストIV 導かれし者たち』第5章の序盤の勇者に近い。
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一応ザコが時折HPカプセルを落とすのが小回復アイテムだが、運に左右されることに変わりはない。CP消費での小回復のアイテムぐらいは欲しかったところ。
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仮に、それがあったとしてもボス戦などではやっぱり素早く回復したいので大回復「ライフカプセル」の強みも失われなかっただろう。
総評
アクション自体は非常に滑らかで馴染みやすくゲーム自体のボリュームは相当に重厚なものだが、バッテリーバックアップ機能により煩わしさもなく続きを遊べる形が取られており、システムによるプレイケアもバッチリで目立った欠点らしい欠点は少ない。
アイテムやウエポン系にしてもいずれも個性があり、ムダになるものがほとんどなく、戦いでレベルアップして強くなっていくシステムによって戦いを重ねていくことへの目的意識を強め、また堂々巡りを繰り返してもモチベーションが下がる悪循環を緩和することにも繋がっている。
その一方で、レベルを上げすぎると極度にヌルゲーになるようなこともなく、常にやりごたえのある展開を維持したバランスになっているのも秀逸。また、グラフィックも非常に細かく描き込まれており、後年のファミコン作品と比べても決して見劣りしないクオリティがある。
惜しまれるのはこの当時のゲーム情勢としてアクションが時代遅れという風潮や、剣と魔法によるファンタジー世界観ばかり好まれた時代でSF系の世界観はあまり好まれず、そのためクオリティが過小評価されてしまったことに尽きる。
ボリュームあるアクションゲームを堪能したい人にとっては是非お勧めしたい一作と言えるだろう。
その後の展開
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実に5年後となる1993年6月にスーパーファミコンで続編『コスモポリス ギャリバンII Allow of Justice』を同じく日本物産から発売。
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名前は引き継がれているが、本作とのストーリー上での関連性のないベルトスクロールアクションゲームとなっている。なお、評価の方は芳しくない。
余談
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ゲームとしての完成度は高いものの、剣と魔法で魔物と戦うファンタジー系ばかり好まれた当時の評価は低く残念ながら売れなかった不運の名作と言えるだろう。
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そのせいか、現在ではそんな希少さもあって、入手にはそれなりに高い出費が必要となる。
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上記の通りボスを撃破したことはその場でバックアップに記録される。これはラスボスのマディウスとて例外ではない。
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そのためマディウスを倒した後、コンティニュースタートするとラストエリアの最初から始まるがマディウスがいた部屋はもぬけのカラになっており、そのまま通過できラクラクエンディングが見られるようになる。
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本作の主人公の名前である「銀河万丈」には同姓同名の声優が実在し『タッチ』の原田、『北斗の拳』のサウザー、また過去には本名名義での田中崇として『太陽の牙ダグラム』のチコ・ビエンテ、『機動戦士ガンダム』のギレン・ザビを演じるなど幅広く活躍していたため、アニメファンにはかなり知られていた名前である。
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当時すでに銀河万丈に改名(1983年から)しており、既にその名でも数多く有名な役をこなし活躍していただけに、偶然ではなく意図的なものだろう。
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銀河万丈氏自身の知名度もあって有名なネタになりそうに思えるが、現在インターネットで「銀河万丈 ギャリバン」で検索しても本作にヒットする数は限りなくゼロに近い。
皮肉にも本記事がヒットするぐらいである。そもそも本作では銀河万丈という名前は説明書ぐらいでしか見られないので無理もないと言えば無理もないのだが。
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また本作のタイトルで誰もが連想する『宇宙刑事ギャバン』『宇宙刑事シャリバン』のどちらにも銀河万丈(田中崇)氏は無関係。
最終更新:2025年01月02日 09:26