ゾイド伝説

【ぞいどでんせつ】

ジャンル シューティング
対応機種 ゲームボーイ
発売元 トミー
開発元 ノバ
発売日 1990年6月15日
定価 3,090円
配信 バーチャルコンソール
【3DS】2011年8月31日/400円
プレイ人数 1~2人
判定 シリーズファンから不評
ポイント 本家本元トミー初のゾイドゲー
個性が薄くゾイドである必要があまり感じられない
ただのシューティングとして見ればまずまず
ゾイドシリーズリンク


概要

1990年6月にゲームボーイソフトとして発売された『メカ生体ゾイド』のシューティングゲームでトミーとしても初の自社発売ゲーム作品。
ゾイドのゲーム作品はファミコンソフトとして『ゾイド 中央大陸の戦い』『ゾイド2 ゼネバスの逆襲』の2作品があり東芝EMIから発売されていたが本作は大元の『メカ生体ゾイド』プラモの発売元であるトミーによって発売された。
そのため上記2作品との関連性はない。


ストーリー

ここゾイド星ではヘリック共和国とゼネバス帝国の2大強国が「ゾイド」と呼ばれる金属生命体を戦闘要員改造し、ゾイド星大陸全域にわたって、いつ終わるともない戦いを続けていた。
戦火はすでに50年の長きに渡り、多数の兵士、国民の命が失われていった。
ついにヘリック大統領とゼネバス皇帝は、時を同じくして同じ命令を下した。

「君の力で、この無益な戦いを終わらせてくれ」

何万人もの兵士が待ち望んだ「最後の戦い」。敵首都への攻撃がついに開始された。
R.S.トーマス

(説明書1頁より)


内容

  • 共和国と帝国のどちらかを選び敵の軍勢と戦う。
    • 共和国を選べば帝国ゾイド(レドラー・ウオディック等)が敵になり、帝国を選べば共和国ゾイド(サラマンダー・バリゲーダー等)が敵として登場。
      • 基本的な構図は今まで通り「ヘリック共和国対ゼネバス帝国」だが特別ゲストのような扱いで暗黒ゾイドのジークドーベルが登場する。ラスボスも暗黒ゾイドのギルベイダー。
    • 偶数ステージにはボスがおり、奇数ステージは特定のポイントに到達するとクリアーとなる。
    • プレイヤーは最初は少尉だが、ステージをクリアすると中尉→大尉→少佐と階級が上がっていき、最終ステージ8をクリアーすると大将となりエンディング(准将は存在しない)。
  • ゾイドはライフ制で最大は6。
    • 敵にぶつかっても地形(火山のマグマ等ギミック含む)にぶつかっても1ダメージ。
    • アイテム「L」を取るとライフが1回復する。
    • 攻撃はBボタンで通常武器、Aボタンで特殊武器となる。
      • 特殊武器は「SW」を取ることで残弾が1つずつストックされる(最大9まで)。
      • 通常武器は基本真正面への発射だが「W」を取ることで同時発射数が増える(3まで)。ダメージを受けると1ランクパワーダウンする。
  • 残機という概念はないが実質的に3機での戦いとなる。
    • 1機目・シールドライガー(共和国)グレートサーベル(帝国)
      • ライフ初期値は2。
      • 通常武器・「バルカン砲」2発同時発射状態では90°上と同時攻撃になり、3発同時発射状態では90°上と下との同時発射となる。
      • 特殊武器・「ホーミングミサイル」敵に向かって飛んでいく誘導弾。
    • 2機目・ゴジュラス(共和国)アイアンコング(帝国)
  • ライフ初期値は4。
  • 通常武器・「ビーム砲」2発同時発射状態では45°上に少し飛んでから前方に直進する弾と同時発射となり、3発同時発射状態ではそれの下方との同時発射となる。
  • 特殊武器・「ナパーム弾」変則的な山なりに前方に飛んで爆発して広範囲を破壊。
  • 3機目・マッドサンダー(共和国)デスザウラー(帝国)
    • ライフ初期値は6。
    • 通常武器・「キャノン砲」2発同時発射状態では45°上方向弾と同時発射となり、3発同時発射状態ではそれの下方との同時発射となる。
    • 特殊武器・「荷電粒子砲」画面全体に攻撃。
  • 敵軍としては、1機目はステージ2で、2機目はステージ4で、3機目はステージ6でボスとして登場する。

2Pモード

  • タイトルで2Pモードを選んだほうが好きな軍を選択でき、必然的にもう片方のプレイヤーは強制的に決まる。
  • 同じ方法でゲームを進行し、相手よりも長く生き残れば勝利となる。
    • 両者の3機目(マッドサンダー・デスザウラー)が同時にやられた場合は「両方とも負け」になる。
  • 基本的に同じゲーム性で、進行も同じだが変則的な点としてアイテムが片方しか取れない。
    • アイテムは両者同時に出るのだが片方のプレイヤーが取ると、もう片方のプレイヤーの画面では消えて取れないので、アイテムをいかに早く取るかも肝心となる。
  • やられた場合は1Pモードでは最初からのやり直し(ゾイドのデータ表示から)だったが2Pの場合、その場で即座に次のゾイドに交代してプレイ続行。

評価点

  • シンプルながらもシューティングとしてはそれなりの出来。
    • さすがにファミコンと比べると見劣りするものの敵の出る頻度もかなり高く、撃って撃って破壊する爽快感は当時のゲームボーイソフトと考えれば無難なレベルには達している。
      • そんな爽快感は通常武器のパワーアップにより、その攻撃力の増加でさらに増していく。 
      • それだけに、被弾によるパワーダウンを避けようとするプレイヤーの防衛意思をより増長する。
    • 敵の出現頻度も適度なバランスが保たれている。
  • 敵の攻撃に対して自機もそれに見合った耐久度はある。
    • 1機目は初期値が2と低いものの、それが最大ではなくアイテムで6まで回復できる。
    • 「回復できる」を抜きに考えても2機目3機目は最初から高い耐久度なので、この3機があれば初心者でもだいぶ先まで進めることができる。
  • BGMの良さは相変わらず。
    • 雰囲気としては勇壮ではあるものの何処か物悲しさも感じさせるドラマチックなもの。
    • 開発元は異なり、かつての久石譲氏がてがけたものとは曲調なども異なるものの雰囲気にはピッタリでシューティングの爽快感ともマッチしている。

賛否両論点

  • 帝国ゾイドが使える。
    • モデルとなるゾイドのファンの中には帝国ゾイド愛用者もいただけに、そんな彼らにとってはうれしい。
    • ただ性能は敵もプレイヤー機も全く同じ、つまりただのガワ替えでしかないので、その点は物足りなく思える。
  • 自機ゾイドは3種類あるのは良いが順番が固定。
    • ライフ初期値や特殊武器の性能などトータルバランスでは1機目<2機目<3機目だが、1機目(シールドライガー・グレートサーベル)の通常は通常武器は「自機を移動させなくても横から狙える」それぞれ特色があるので、まんざら下位互換ではない。
      • そのため、出撃時だけでも選べた方がより戦略性が広がったと思われる。
      • ただ、最初は弱いゾイドから始まり後発ほど強くなっていくことで前のゾイドで行けなかった場所へのリベンジになりやすいバランスはプレイヤーに優しい。

問題点

  • 1機目の特殊武器がさすがに弱すぎる感が否めない。
    • 一応誘導性のあるミサイルだが、それよりは通常武器を3発同時発射までパワーアップして、3方向に撃てればそれ以上の範囲をカバーできるため通常武器よりも使い勝手が劣る。
      • まして有限の特殊武器ならば割に合わない。
  • スコアがほとんど機能していない。
    • シューティング全盛期は過ぎたとはいえ、根本的にシューティングは撃ちまくって破壊してスコアを稼ぐというもので、それによる残機アップなど特典も恒例だったが、そういったものは一切ない。
    • また、このようなシューティングで技術介入要素を高めるボーナスのようなものもない。
  • 2Pモードの対戦要素が薄い。
    • お互いに黙々とCPUが繰り出す敵と戦うだけで直接戦わない。
    • アイテムに先取必須という要素こそあるものの直接的な対戦ができないのでは今一つ盛り上がらない。
    • タイトルで選択した方しかポーズがかけられない。
      • ここは人間が自主規制しないと成り立たないので不公平。
  • そもそもゾイドである必要性が薄い。
    • 共和国にしろ帝国にしろ敵として出てくるゾイドは特に原作の個性があまり反映されていない。
    • 自機も性能も前述のとおりまったく同じ性能のガワ替え。
      • 例えば荷電粒子砲はそもそもデスザウラーのもので、それを共和国のマッドサンダーに流用するという無理な使いまわしをしている。
      • キャノン砲もどちらかといえばマークツーのゴジュラスやアイアンコングのイメージが強い。
    • 敵ゾイドの強さの設定もおかしい。
      • 例えば序盤から飛んでくるスタンダードな飛行ザコが帝国軍ではシュトルヒなのに、それが共和国ではサラマンダーが宛がわれている。反対に帝国のレドラーに対しては宛がわれている共和国ゾイドはレイノス。
      • 言うまでもなくサラマンダーは空軍ゾイドでは最大級でありレイノスはもとより帝国のレドラーをも凌駕する。方やレイノスはプテラス(小型サラマンダー)よりは大きいとはいえサラマンダーに比べると明らかに小さい。
      • レイノスの方が新しい*1とはいえそれでも発売から1年以上経ていて最新ではないので、ここまで優遇する理由がない。

総評

簡素ながらパワーアップ要素があり、自機のタフさもあってシューティングゲームとしてはそれなりに遊びやすい形にまとまっておりゲームボーイらしくお手軽に持ち運んで遊ぶことを考えれば良作には程遠いものの無難な出来ではある。
ただゾイドのゲームとしてファン目線で見ると本来の強さバランスにそぐわないキャラ配置や個性のなさ、せっかく帝国軍が使えても実質ガワ替えでしかないなど作りこみの足らなさが目立つ。
本家本元であるトミーによる初のゾイドゲーであるにもかかわらず当たり障りないシューティングゲームにゾイドのガワを被せただけに近く、自身がその良さを引き出せていない。また2Pプレイは対戦要素が薄いことも残念な点。


その後の展開

  • トミーとしては同年12月にファミコンソフトとして『ゾイド黙示録』を発売。
    • この作品は『SDガンダムシリーズ』のようなアクションバトルのシミュレーションゲームにモデルチェンジしている。また暗黒軍が正式にゲーム初登場。
    • ゾイドのキットはその少し前に当たる11月に発売した暗黒ゾイド「デスキャット」を最後に幕を閉じたこともあってかゲーム作品としてもこれを最後に一旦終焉となる。
  • 2011年8月31日にニンテンドー3DSのバーチャルコンソールで配信された。

余談

  • 前述の「暗黒軍」(暗黒ゾイド)*2は当時「相手を徹底的に破壊する恐怖の軍団」という触れ込みでただ「軍団」としか言われておらず国家的な設定はなかった。
    • 我が地球の世界史で言うなら満洲馬賊のような位置付けに近い。
    • 後の第2期で「ガイロス帝国」という国家に属している設定となった。
      • 説明書には共和国、帝国ゾイドはゲーム中のグラ付で載っているが暗黒ゾイドについては「新たなる敵」としてでかい「?」で存在を匂わす程度にとどめている。
最終更新:2025年10月09日 10:01

*1 サラマンダーは1985年3月、レイノスは1989年1月に発売。

*2 1989年1月に第1号「デッドボーダー」が発売。