注意:ここではアーケード(原作)の移植であるSFC版を紹介する。判定は「劣化ゲー」。


餓狼伝説SPECIAL (SFC)

【がろうでんせつすぺしゃる】

ジャンル 対戦格闘
対応機種 スーパーファミコン
メディア 32MbitROMカートリッジ
発売元 タカラ
開発元 モノリス
発売日 1994年7月29日
定価 10,900円
判定 劣化ゲー
ポイント 外見以外はやっぱりタカラと言わざるを得ない劣化移植の見本
癖のありすぎる必殺技コマンド入力+不可解なバグ
音質も良いとは言えない
餓狼伝説シリーズ


概要

当時アーケードで大ヒットを記録した『餓狼伝説スペシャル』のSFC移植版。
タカラはかつて初代『餓狼伝説』でクソ移植をやらかしていたこともあり、知っていた者からは当然敬遠されていたが、
コミックボンボンの漫画版を読んで餓狼伝説を知った当時の小・中学生や、初代の移植度を知らない層などからは注目を集めていた。

本作では開発元がSFC版『初代』・『2』から変更されたのだが、その内容は……


評価点

  • ゲストキャラのリョウ・サカザキが裏技で全モードで使用できる。
    • ネオジオ版でも使用出来たが、当時としてはネオジオ本体+ソフトがあまりに高価だったのと、使用条件が難しい(リョウを倒したセーブデータが必要)割に対人戦でのみ使用可能だった。
    • ネオジオ版と違ってCPU戦など各モードで使用できる為お得感はある。
    • 但しCPUのアルゴリズムがリョウの攻撃に全く反応しない為、飛び道具の虎煌拳を連発していれば勝ててしまうので、そこは留意した上で楽しまなければならない。
      • ネオジオ版でデバッグバイオスなどを使用しリョウでCPUを相手にした場合飛び道具に無反応なので、ある意味完全移植とも言える。
  • SFC版『2』からキャラがより大きく描き直され、AC版に近い比率になった。
    • ただし画面の上下だけでなく左右も削って再現しており、画面が黒枠に囲まれることに。
  • 独自の追加モードとして「ライセンスモード」がある。
    • プレイするキャラを選び、3分間の時間制限で次々にCPU操る対戦相手を倒してハイスコアを狙うというもの。
    • どれだけダメージを受けてもやられる事が無いが、攻撃を受けるとスコアが減ってしまう。素早くかつダメージを受けずに相手を倒す事でスコアを稼げるようになっている。
      最終的には倒した人数のボーナスも加算されるほか、相手を倒すたびに1点が加算されるので何人倒したかがわかるようになっている。
    • たとえ勝ち進んでいても、どこかのラウンドで苦戦するともりもりとスコアが下がる為、このモードで高得点をとれるようになる事で実力の向上を実感できる。
    • …と、モードそのものの試みは面白いのだが、肝心のゲーム内容が下記の有様なのでもったいない事になっている。

問題点

操作性

  • 必殺技コマンドの入力受付が非常に独特で、一部のコマンドは癖を知らないうちはまともに出せない。例えば、斬影拳は1溜め6+パンチだが、SFC版の場合は1溜め後ニュートラル6+パンチと入力しなければならない。
    • ガード状態から6+弱パンチの入力で出る「避け攻撃」との差別化を計ったと思われる。事実この仕様が無い場合は、慣れていないプレイヤーは避け攻撃を出そうとして4or1溜め6+弱パンチの必殺技が出ることが多い。
      • 原作をやり慣れたプレイヤーであれば、避け攻撃を出す際には「6+弱強パンチ同時押し(ダックは不可)」や「レバーをニュートラルにして間を作り、タメを消してから6+弱パンチ」などの入力で使い分ける。もしこの仕様の目的が避け攻撃とリバーサル溜め技の重複の回避であれば、必要がない機能である上に必殺技と避け攻撃の優先順位を間違えている
    • 覇王翔吼拳が6ニュートラル41236+パンチなのはまだいいが、パワーゲイザーまでもが2141ニュートラル6+弱キック+強パンチなのはいただけない。
    • ただし、これは別売りのアーケードスティックコントローラだと難なく出せる。通常のコントローラでは上記点を留意しなければならないが、前作は通常コントローラでも出しやすかっただけに、どうしてこうなった?
      • 海外版では受付が修正され、コントローラーでも問題なく操作可能となっている。
    • いわゆる「波動拳」「ヨガフレイム」コマンドの必殺技も、一般の格闘ゲームより入力受付がシビアである。

バグ

  • 従来のコマンド入力の他に、強キックボタンを5秒以上押しっぱなし→離す事によって、押しっぱなしにしていた時間に応じて各必殺技を出すことが出来る。おそらくデバッグコマンドか、ビッグ・ベアのスーパードロップキックのプログラム絡みのバグと思われる。
    • 「5秒~12秒」「13秒~19秒」「20秒~39秒」「40秒~」の4段階あり、それぞれで別々の技が出る。なおビッグ・ベアはスーパードロップキックになっているため例外。
    • 聞いただけでは実用性も問題もないように聞こえるが、コマンド投げは本来成立しない状況でも成立してしまう。
      • 細かく言うと「攻撃側がガードやダウンで技を出せない時」「相手が完全にダウンしている時」を除き、いつでも成立する。間合いが離れていてもジャンプしていても、別ラインにいようともお構いなし。おまけにコマンド投げにいたっては上記の成立条件を無視して出せてしまう。
      • 登場キャラクターの1人、山田十平衛は所謂投げキャラなのだが、約5秒~19秒まで溜めた時の必殺技に、よりにもよってコマンド投げの「大いずな落とし」が設定されている(~12秒が弱、13秒~が強)。CPU戦だろうと対人戦だろうと、これを繰り返しているだけで勝てる。
      • 止めに、このバグ技。なんとポーズ中にも受付が効くというあるまじき仕様。十平衛を使用してCPU戦で行なうと、ポーズ→強キック約5秒溜める→ポーズ解除直後に離す→大いずな落としが決まる→相手が吹き飛ぶ→以下繰り返し…だけで勝ててしまう。対人戦では勿論、行なおうものならリアルファイトの元になるのはいうまでもない。
+ 山田十平衛によるポーズによる強キックボタン5秒溜めからの吸い込み「大いずな落とし」かつ、ダウンした相手を吸い込んで投げる俺のターンの例

  • K.O.の瞬間にポーズするとフリーズする。
  • 十平衛の空中投げは、ビッグベア・ローレンス・ギース・リョウが相手だと投げ間合いが横方向無限になる。

システム関連

  • コンボ補正が再現されていない。
  • ダブルK.O.の概念が存在しない。その状況になると必ず1P側が勝つ。
  • ジャンプ攻撃をヒットさせた時の相手ののけぞり時間がかなり短いため、ジャンプ攻撃からの連続技がほぼ不可能。

キャラクター性能

  • 溜め系必殺技の溜め時間が滅茶苦茶に設定されており、例えばビッグベアのジャイアントボムはAC版と比べて弱版が1/2、強版が1/3くらいの溜め時間で出せる。
  • 空中投げのコマンドはレバー下要素+ボタンのはずだが、どのキャラもボタンだけで出せる。
  • 掴み技や投げ技がいくつか削除されているが、ビッグベアのベアハッグやアクセルのローリングバスターはそのキャラが持つ最大ダメージの掴み技であり(特にベアハッグは最速で脱出されても必殺投げのベアボンバーよりダメージが高い)、少なからずゲームバランスに影響している。
  • アクセルの腹部やクラウザーの頭部に対する1.25倍カウンターダメージが再現されていない。

グラフィック関連

  • ラウンド1開始時のキャラ演出、大量にあった背景ネタがほぼ全てカットされている。
    • ラウンド1開始時の背景演出はテリーステージのみ再現されている。
  • チンステージはラウンド進行で背景が変化しない。また、『2』よりはましになったが背景の再現度が妙に低い。

サウンド関連

  • 一度に再生できる効果音が少なすぎるため、攻撃を当てると殆どの場合喰らい側のボイスだけが再生される。
    • そのため攻撃を当てた時よりもガードさせた方がまだ爽快感があるという異様な事態になっている。
    • 効果音が鳴る技はヒットさせた瞬間に音が途切れるなど、処理は杜撰そのもの。もはやプロの仕事ではない。
  • 音質はどう好意的に見てもチープ。折角のドルビーサラウンドもこれでは無意味。
    • ドルビーサラウンドを売りにしているが、何故かステージ右側(2P側)に行く程SEが聞こえなくなってしまう
    • リョウ・サカザキステージの曲はもはや原型は無く、龍虎の拳のBGMメドレーを流しているが、一部のユーザには好評。
      • むしろ、リョウステージが例外であり、大抵の原曲の欠片もない程にアレンジされている曲に対しては批判の方が強い(チン・シンザンやアクセル・ホークステージ等は特に顕著)。
  • また、容量の問題か、大半のキャラのKOボイスがカットされ、「あーっあーっあーっ!」という妙に低い声に統一されている。
    • 巨漢キャラのアクセル・ホークやクラウザーならともかく、美形キャラのアンディやキムですら妙に野太い声を出して倒れる上に、他のボイスが忠実に再現されているので違和感が凄まじい。十平衛とタンに至っては、わざわざピッチを変えた上で使いまわされている
    • 例外的にチン、ビッグベア、ビリー、舞の4人はアーケード版のボイスが使われている。
    • ドライバの出来が非常に悪いようで、全ての音がこもって再生される。特にボイスは土管の中で叫んでいるような声になっている。
    • ラウンドコールだけは1、2、SPと全てAC版とは似ても似つかぬこもった同じ声となっている。

総評

ネオジオからスーパーファミコンへの移植であることを考えれば、グラフィック面だけは容量やスペック差を埋めようとした頑張りが見える部分もある。初代のSFC移植とは違い、決して遊べない出来というわけではない。
だが、残念ながらそれ以外の部分はことごとく手抜きとやっつけ仕事ばかりという有様である。


余談

  • 以降のスーパーファミコンにおけるネオジオ移植作も本作と同じくドルビーサウンドを採用しているが、本作での苦情のせいどうかは不明だが、BGMに関しては比較的原曲に近い再現度になっていて好評を得ている。
  • 当時のファミコン通信(の新着ゲーム通信での紹介)には「一発逆転の要素を持つ超必殺技やライン攻撃システムなどももちろん採用されていて、かなりオリジナルに忠実な移植がなされている。」と書かれていた。
最終更新:2021年07月21日 16:30
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