【どらごんくえすとふぉー みちびかれしものたち】
ジャンル | RPG | ![]() |
対応機種 | ファミリーコンピュータ | |
メディア | 4MbitROMカートリッジ | |
発売元 | エニックス | |
開発元 | チュンソフト | |
発売日 | 1990年2月11日 | |
定価 | 8,500円(税抜) | |
プレイ人数 | 1人 | |
セーブデータ | 3個(バッテリーバックアップ) | |
判定 | 良作 | |
ポイント |
新シリーズ1作目 AI初搭載だが命令出来ない 単なる勧善懲悪でないストーリー キャラの人気はシリーズの中でも高い |
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ドラゴンクエストシリーズ |
ドラゴンクエストシリーズの第4作目にして、『I』~『III』の「ロト3部作」から世界観を一新した「天空シリーズ(*1)」の第1作。
FCで出された最後のドラクエであるとともに、中村光一がディレクターとして直接開発に関わった最後の作品となった(『V』ではスーパーバイザー(監修の様な立場)として参加)。
ロト3部作はストーリーだけでなく「RPGの面白さを浸透させる」ために段階を追って製作されたもので、それによりRPGというジャンルは一躍有名となり、フォロワーも数多く登場した。
シリーズの目的を果たし、ロト3部作の人気に押されて登場した本作では、「ドラクエならではのRPGの進化の方向性」を打ち出すべく新たな試みが行われた。
全5章のオムニバス形式
本作のシナリオは1章ごとに主人公と舞台を変えながら展開するオムニバス形式で展開され、第1章~第4章の主人公たちが、第5章で勇者のもとに集結するという構成になっている。
下記のように章が進むごとに難易度やシナリオの特殊性は上がり、各シナリオがRPGのチュートリアルとしての機能も持つ。
また、「未熟な勇者を熟達した仲間が支えていく」という仲間の合流に必然性を持たせる展開となっている。
どの章も単体でもミニRPGとして十分楽しめる内容になっており、比較的短いプレイ時間で仕切り直しとなる事や章毎に基本戦略や仕樣の変更があるので、常に新鮮な気持ちでプレイしやすい。
更に4章までの各章に一つずつ、物語の重要ワードが存在している。
+ | 長いので格納 |
本作のオムニバス形式は、上記の通りチュートリアル兼仲間キャラクターの背景を描くというシステムとストーリー的な意味のほかにも、
「RPGで最も楽しいタイミングと言われる序盤~中盤を連続して遊ぶことができる」「伏線や設定を多方面から描写する事で深くプレイヤーに印象付ける」という意図の下で設計されており、RPGでしばしば指摘される「長すぎて過去の展開や伏線を忘れてしまう」「中盤以降に中だるみする」「最後までプレイする気力が萎えてしまう」という問題に一石を投じる試みとなっている。
馬車による大人数での冒険
AIによる「個性的な」戦闘
ガンガンいこうぜ | HP・MPの残量を気にせずに、最大限の攻撃や呪文を連発する。 |
みんながんばれ | 状況に応じて攻撃・補助・回復を臨機応変に使い分ける。 |
いのちをだいじに | HPが一定以下になると優先して回復呪文や補助呪文をかける。 |
じゅもんをせつやく | MPの残量を常に気にする。呪文と同じ効果を持つアイテムを使うこともある。 |
じゅもんをつかうな | 名前通り一切の呪文を使わなくなる。 |
いろいろやろうぜ |
戦闘中に効果のないアイテムを使ったり、効くかどうか分からない呪文を使ったりと普段なら絶対に行わないような行動を取る。 これでなければ使わないアイテムもある。 |
システムの進化
グラフィックの進化
暗さのある物語
寄り道要素の追加
サウンド面のこだわり
金策面の苦労の緩和
主人公が中盤まで登場しない
勇者の超優遇
自由編成から固定キャラクターへの回帰
難易度の低下
AIに関して
キャラクターの能力格差
+ | 役割別キャラの強弱について |
物語に説明不足な点がある
+ | 解明されない謎の一例(ネタバレ注意) |
その他の点
キャラクターメイキングを主軸としたやりこみ要素をメインとしてシリーズの完成形を掲示した前作から一変、キャラクターの個性とシナリオを重視した作風に転換した本作。
シナリオ・AIには賛否両論もあったが、前作からの順当な進化を感じさせる作品であり、ファミコンRPGを象徴する作品の1つとなった。
難易度は全体的に低めだが、レベルアップに必要な経験値が低いことや攻略を容易にする裏技が多いことなどから前作以上にプレイヤー層の間口を広げた功績もある。
本作で導入された新たな要素や改善されたシステムは、続く『V』でさらなるパワーアップを遂げる。
キャラクターの個性を重視した本作はゲーム上の仕様や不具合、同時期に始まった『ドラゴンクエスト 4コママンガ劇場』を巻き込んでさまざまなネタを生み出した。リメイク版に逆輸入されたものもいくつかある。
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*1 当初はロト3部作と区別するためのユーザー間での俗称だったが、後にメーカー側がこの呼称を正式採用した。
*2 仲間にしなくても第1章自体はクリアは可能。
*3 実はこの章に限り、モンスターの落とすアイテムが豊富かつ高価になっている。
*4 パノンを連れ回すためには有能な「天空の兜」入手をだいぶ遅らせなければならないため。しかもパノンはHPが低く、戦闘能力に乏しいためそこまでしてパーティに居続けさせる利点が少ない。またホフマンとパノンの同時加入も可能ではあるが、その時点ではメインキャラが8人揃っていない。
*5 ホイミンは言うまでもなく貴重な回復役、オーリンは鍵のかかった扉をこじ開けることができるため、第4章クリアには必須となる。
*6 パーティに勇者がいる場合は勇者のみコマンド選択、いない場合はターン毎に逃げるか戦闘を続けるかを選ぶのみ。
*7 詳しくはネタバレになるので割愛するが、その解釈の真偽を雑誌にインタビューされた堀井雄二が「そういう解釈もありですね」と、真相をぼかした点が原因とされている。
*8 勿論当時の他のRPGよりはボリュームは薄目だがそれでも普通にクリアするなら各章毎に数時間はかかる。
*9 さらに本作では船を入手した直後からとある場所ではぐれメタルを狩れるようになり、後述する「せいすい」で一撃で倒せることもあって経験値稼ぎがやりやすくなっている。
*10 これらの特徴は後の作品にも踏襲されており、『VI』ではすべての場所で馬車とやりとりが可能
*11 更にレベル61以降は必要経験値でアリーナを逆転し、序盤のハンデを加味してもレベル70台中盤にはレベルそのものでもトルネコに次ぐ2番手になる。
*12 大きく伸びるのはクリアレベルを超えるレベル50~65あたりの短期間で以降はピッタリ止まる。
*13 『ブライにピオリムの呪文を使わせる研究』などジャンプ放送局でネタにもされていた。
*14 攻略本では勇者がモシャスでブライに変身して使用することを推奨している物もあった。
*15 第1章でホイミンを仲間にせずにクリアしても、何故か第5章で登場している。
*16 内部設定では裏切り小僧もモシャスを使って化けているということになっているが戦闘では元の姿に戻っているので特に意味はない。
*17 余談だが、リメイク版で役に立たないのは変わらないのに必要なコインが10000枚と大幅に増えている。
*18 単純にダメージ呪文を使える勇者・ブライ・マーニャ・ミネアでそれぞれの最強呪文(ギガデイン・マヒャド・メラゾーマ・バギクロス)を使うだけでも合計平均570ダメージで、ジャンプで紹介された弱体化前でもまだ届かない。打撃キャラでも勇者がミナデインを覚えるレベル37なら、アリーナならキラーピアスの会心で高確率で300ダメージ程度は叩き出せる。
*19 前哨戦的な扱いの「ゲーム通信簿」では紙一重の差ながら上回っていた。
*20 当初は『ファイナルファンタジーV』と表記されていた。これについては誤記ではなく1991年7月に発売されたSFCの『ファイナルファンタジーIV』は元々『V』となる予定で、それと別口に同時期にFCで『IV』が予定されていたがこちらがボツとなったため。FCの『IV』は開発が始動していなかったためランキングの対象にならず先行して進んでいた『V』(後の正式な『IV』)のみが対象となっていた。
*21 わざわざ「最初から賢いAI」の例外として、効かない敵に対しても使うよう設定されている。
*22 ちなみに、リメイク版ではこのネタが人質になったトルネコの台詞で使われている
*23 巷では同時期に「週刊少年ジャンプ」で連載されていた『ドラゴンクエスト ダイの大冒険』と区別するため主人公アベルの名を取って「アベル伝説」と呼ばれ、後にDVD化された折にはそれが正式なタイトルに採用され『ドラゴンクエスト 勇者アベル伝説』となった。
*24 2^2(=4)のビットが使用済フラグとして扱われているため
*25 前作も延期があったが1987年12月予定→1988年2月発売とわずか2ヶ月少々
*26 サードパーティがまだ準備できていない時期で任天堂ソフトが多かったためクソゲーこそ少なかったものの飛びぬけた名作は『対戦型テトリス』ぐらいで非常に少ない。
*27 『ドラゴンクエストIII そして伝説へ…』『スーパーマリオブラザーズ3』とドラクエ、マリオ両巨頭が顔をそろえた。他にも斬新なゲーム性で評価の高い『キャプテン翼』など、全体的にハイレベルなものが揃っており当時見劣りした評価をされた作品も後年高評価となったものが多い。実際この年は名作が続出した当たり年といわれている。
*28 2月に発売した本作に始まりシリーズをドラクエと並ぶRPG一大タイトルに押し上げた『ファイナルファンタジーIII』が台頭し、この年の評価を分け合うような形になった。他にも4メガを活かした大作RPGが続出した。
*29 典型的な例が『天地を喰らう』『SDガンダムワールド ガチャポン戦士2 カプセル戦記』『ドラゴンボール3 悟空伝』といったあたりが25点近い異常な高得点を記録している。参考までに前後年度で見ると1988年度の『熱血高校ドッジボール部』が23点にも満たなかったり1990年度の『ファイアーエムブレム 暗黒竜と光の剣』『ダウンタウン熱血行進曲 それゆけ大運動会』が24点未満と現在では屈指の名作の割に評価がそれほど高くない。
*30 装備できるのは勇者とライアンのみ。
*31 玩具問屋の最も売上のあった頃は、ゲームソフトだけで70%も占めていたとされる。それだけ問屋の立場は玩具店にとっては異常な程高かった。