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依頼内容は「総評の項目におけるゲームの評価のサマリーの記述」「総評の余談と重複している部分の修正」です。
宇宙刑事魂
【うちゅうけいじだましい】
ジャンル
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魂アクション
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対応機種
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プレイステーション2
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メディア
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DVD-ROM
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発売元
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バンダイナムコゲームス
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開発元
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デジフロイド キャトルコール
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発売日
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2006年5月25日
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定価
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7,140円(税込)
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プレイ人数
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1人
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レーティング
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CERO:12歳以上対象
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判定
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クソゲー
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ポイント
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2006年クソゲーオブザイヤー次点
ハンターキラー万歳 仲間のAIバカすぎ シャリバン・シャイダーおまけ
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クソゲーオブザイヤー関連作品一覧
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概要
80年代の特撮ヒーロー番組の金字塔・宇宙刑事3部作を原作とした無双系アクションゲームソフト。
発表自体は数年前から行われていたのだが、2006年にようやく詳細が明らかとなり、発売された。
2023年現在、宇宙刑事シリーズ単独のゲームソフトは本作のみとなっている。
特徴
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メインモードである『ギャバンモード』は、操作可能キャラは基本的に一条寺烈(ギャバン)のみ。『宇宙刑事魂モード』では、ステージごとに操作可能キャラを選択できる(しかし実質選択の意味は薄い。理由は後述)。
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各ステージは、まず変身前の姿でスタートする。敵を攻撃すると「魂ゲージ」が溜まっていき、一定以上になると任意で変身が可能になる。
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変身しようとすると敵の動きがスローモーションになり、ボタンのコマンド入力が求められる。入力中に敵の攻撃を受けるか、一定時間が過ぎてしまうと変身は失敗となる。
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ステージによっては仲間が一緒に戦ってくれることもあるが、仲間は完全なオート操作である。
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この『ギャバンモード』をクリアすると、今作オリジナルのシナリオ『魂モード』が出現する。
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変身前は通常攻撃しか行えないが、変身すると複数の敵を一度に薙ぎ倒せる「パンチ技」、ジャンプ中に放てる「飛び蹴り技」、威力は高いがスキも大きい「光線技」を使用可能になる。また、中ボスの透明化を見破る「スコープ」や、レーザーブレードの装備も可能となる。
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しかしこれらの通常攻撃以外の技や能力は、使用すると「魂ゲージ」が減っていく。魂ゲージは変身中の体力も兼ねており、0になると変身が解除される。
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変身中は、魂ゲージを回復する方法は無い。解除後にまたゲージを貯めれば、再び変身できる。
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以下のキャラクターは、原作通りのキャストが声を演じている。
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ギャバン、シャリバン、アラン、コム長官、大山小次郎、ボイサー、ナレーター、
ハンターキラー、サンドルバ、魔女キバ、原作の3大首領。
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シャイダーとサイダブラー(&サイミンダブラー)は故人なので代役。またミミーとアニーも代役である。
問題点
各モード
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『ギャバンモード』は、『ギャバン』の原作に沿ったストーリーモードなのだが、7面しかない。
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1面と3面は怪人から子供を逃がさなくてはならないのだが、この子供がわざわざ敵の方に走って行ったり、ただウロウロしていたりするため非常に厄介。
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5面はノットリダブラーを操作して寿司の取り合いをするという謎のミニゲームだけで片付けられている。
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原作ではノットリダブラーが100人前の寿司を1人でたいらげるシーンはあるが別に寿司食い競争をするシーンなどはない為、なぜこんなミニゲームを入れたのかは不明。また誰と寿司を取り合っているのかも謎である。
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6面のボス・バファローダブラーは、2面のボス・サイダブラーからモーションを使い回している。しかも盾を使えなくなった分弱体化している。後の面のボスなのに元より弱くしてどうする。
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敵の戦闘機が飛んでくると、ただ逃げ回るしかなくなる。サポートメカを呼んで対処するなどということはできない。サイバリアンはデモに出てくるだけ。ギャビオンとスクーパーは未登場。
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電子星獣ドルは3面にのみ登場。怪人を倒すと「高台にジャンプでよじ登れ」というミニゲームが発生し、それをクリアすると「ドル変形→その頭に乗って敵を真っ二つ」というデモが流れておしまい。ドルキックもドルファイヤーも出てこない。
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確かにこの回は原作でもドルを足場にしか使わなかったのだが、ゲームを通してここしか出番が無いというのは味気無さすぎる。一応BGMは『輝く王者ドルギラン』なのだが、途中ですぐにレーザーブレードの曲に切り替わってしまう為「ドルドルドルドルドルギラ~ン♪」の2回目の途中辺りまでしか聞けない。
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そもそも光の球になって空を飛べる宇宙刑事に「高台にジャンプでよじ登れ」とは…。
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『魂モード』は本ソフト最大の売りとされており、雑誌でも詳しく紹介されていたが、実はその紹介記事の内容がほぼ全てであり、非常に薄い出来であった。
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「シャリバンが洗脳されて敵に!」…1面で確かに敵として登場するが、あっさり正気に戻って仲間に。
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「銀河警察最大の危機!シャイダーやコム長官が人質に…」…シャイダーは2面で勝手に脱出している。コム長官も3面をクリアすればあっさり助かる。
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更に「変身したら人質を殺すぞ!」と脅されているのに、あっさり変身して助けてしまうシャイダー。なにも考えずに脚本を書いているとしか思えない。
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「プレイヤーの選択で結末が変わる!」…4面で2つのルートに分岐するだけ。エンディングもたった2種類。
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「禁断のコンバットスーツ・バリオゼクター出現!」…4面の片方のルートで突然出てきて、倒したらあっさり死ぬ。デザインは格好いいのにもったいない。それどころか別ルートだと影も形も登場しない。
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「3大刑事が倒した組織のボスが復活!」…復活が不完全だったという
言い訳
理由で3体揃って生首だけで登場する。他の2体はともかくサイコまで首だけである。しかも3体とも動きは全く同じ。例によって1面で倒されてあっさり全滅。
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なおパッケージイラストのサイコをよく見てみると、首から下がスパッと断ち切られている事がわかる。確かに嘘はついていなかったという事だが…。
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登場する敵キャラは、基本的にギャバンモードからの使いまわし。色を変えただけの「暗黒ダブラー」というのも申し訳程度に2匹いるが。
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…と、この様に、ネタ自体はおいしいのに1面だけで片付けられてそこまでという例ばかりである。
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ラスボスの暗黒銀河女王も、曽我氏の怪演により活き活きしたキャラになってはいるものの、性格は「只の悪い奴」であり、かつて氏が演じたヘドリアン女王や魔女バンドーラの様な魅力的な悪役とは言いがたい。
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むしろ勝手にスペースカノンを撃とうとしたからという理由で部下を処刑する、狭量な人物である。
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さらに言えばこの女王、結局のところどういう存在なのか説明が全く無い。説明書にも人物紹介は皆無。部下も3刑事に倒された面々を蘇らせた者ばかりで、自前の部下は誰1人登場しない。
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ちなみに『ギャバン』『魂』の2モードは説明書に写真入りでラスボスの倒し方が明記されている。
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なぜか本作では『ギャバン』の敵幹部だったハンターキラーが異様に持ち上げられており、終盤で唐突に改心し「もう1人の宇宙刑事」「ハンターキラーの犠牲によって平和が訪れる」などと称えられることになる。
彼は原作では保身の為に仲間を殺したり、ギャバンに情報を流して上司を始末させようと企んだりと、救い様の無い悪人だったのだが…。あまりにも改心が唐突なので「何か裏があるのでは?」と思えてしまうほどだが、そんなことも無い。女王を裏切るシーンの台詞や口調からして、とても改心した上での行動には見えない。
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選択肢次第では敵のまま倒されて死ぬのだが、その場合もギャバンは「可哀想な奴だったのかもしれない」と呟く。あなたのお父さんが殺された元凶なんですが。
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制作スタッフの上部にファンでもいたか、よりにもよって『スーパーヒーロー作戦』を開発の参考にしてしまった可能性すら否定できない。こちらも宇宙刑事ファンにとっては苦い作品である。
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ストーリーモードは上記の2種類だけで、『シャリバン』と『シャイダー』のモードは無い。敵キャラも前述のボスの生首以外は、戦闘員が魂モードに1面ずつ出てくるだけ。更にマシンも母艦も未登場。完全にギャバンのオマケである。
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PVでは、3刑事がそれぞれ自身の番組の戦闘員をなぎ倒しながら変身するという映像があった。確かに魂モードではその組み合わせで戦う事になる為、やはり嘘をついたわけではないのだが…。
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上記の2モードには、面ごとに倒した戦闘員数が発表されるリザルト機能があり、新記録を出すと知らせてくれるのだが、記録の履歴を見ることはできないのでこれまでの記録を確かめる術は無い。
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サバイバルモードは、唯一遊べるモードとして評価されたが、これも問題だらけ。
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「味方NPCと2人で敵を倒せばライフが回復する」というイベントが起きるが、何体倒せばいいのかはまったく表示されない。
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更に、本モードでは前述のハンターキラーまで仲間扱いで出現する。
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またもう1人、「制限時間敵から逃げる」といったイベントで使う事になる一切戦闘能力を持たない人物まで仲間扱いで出現する、石を投げて牽制しかできないため正直役立たずである。
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そして登場する敵は『ギャバン』の面々ばかり。どうせ性能は同じなのだから『シャリバン』のファイトローや『シャイダー』のミラクラーも一緒に出せば良かったろうに。
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フリー対戦モードもあるが、敵キャラをプレイヤーが使用することはできず、更に対CPU専用で2人プレイはできない。クリアしても特典などはない。
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そのくせ本ソフトの隠し要素の殆どは「このモードで使えるキャラの出現」である。使えるようになっても、モードの出来がこれではそもそもプレイする気になるまい。
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ところでこのモード、なぜかハンターキラーとバリオゼクターだけは敵なのに操作できる。ここでも謎のハンターキラー優遇である。
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アニーも使用できるが、まったく魅力が無い。
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変身できないのは原作通りだから仕方ないが、ダッシュもできず、ロボットの様にテコテコ歩く。
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回転キックのモーションも異様にもっさりしている。
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壊れた機械の様に「負けないわよ!」というセリフばかり連発する。
ついでにパンチラもない
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かなりプレイしないと出現しない「アニーとミミーの大冒険」という隠しモードがあるが、これも脱力モノ。
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ミミーもやはり壊れた機械の様に「私達も戦いましょう」と言いながら付いて来るだけで、何の役にも立たない。
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しかもミミーの夢オチだったというふざけたエンディング。
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なおハンターキラーが完全な敵キャラとして扱われているのは本モードのみである。巨大な寿司桶型のステージ内でバカでかい寿司を投げ付けてくるというわけのわからない役回りだが。
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なお『シャリバン』のヒロイン・リリィは名前すら登場せず。マリーンも後ろ姿が少し出てくるだけで、台詞も無い。
操作性関連
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3人の宇宙刑事は、全員性能が全く同じ。ギャバンのモーションはしっかり再現されているが、他2人にも使い回されている。
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光線技は撃つのに時間がかかり、大体モーション中に阻止される。しかし命中させればボスでもライフを8割削れたりするという両極端なものである。
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飛び蹴り技は物理法則を無視しておかしな方向に飛んでいくことがある。命中率も低いので使い道に乏しい。
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岩やドラム缶など、ステージ内のオブジェクトや転倒した敵を持ち上げて投げ付ける事も出来るのだが、やはり時間がかかる為大体他の敵に阻止される。しかも軌道に癖があり当てにくいので、普通に敵を殴った方が遥かに効率が良い。
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因みに物を持ち上げた状態で走る時の足付きはギャグ漫画にしか見えないモーション。「エッホエッホ」という声が聞こえてくるかのようだ。
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通常攻撃は一応敵をある程度追尾する仕様なのだが、たまに見当違いの方向を延々殴り続けたりする。
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レーザーブレードを装備する事はできるが発光させることはできない。また必殺技も使う事は出来ない。
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必殺技は「ボスに止めを刺した際に流れるデモ」の中でしか登場しない。しかも「ブレードを装備→発光→斬撃」を1つのデモで片付けてしまっている。どの攻撃で止めを刺そうとお構い無しに流れる。またCPUの仲間キャラが止めを刺した場合でも、操作キャラのデモが再生される。
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ボスが複数登場する面の場合、1体倒す度に同一のデモが流れる。更にブレード装備中であっても、ブレードを取り出すデモは変わらず流れる。
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一応ブレード装備中は、高速で敵に連続斬りを浴びせるという技を使うことができる。原作にそんな技は無いが…。
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ダメージ後の無敵時間が存在しない。ライフルを持ったザコは、ハードモードだとほぼ等間隔で撃ってくるため、変身前に一度でも銃撃を受けると「よろけ→被弾」の無限ループに陥る。
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仲間のAIがただひたすら敵に近付いて攻撃するという非常に単純なもので、プレイヤーと敵の間にも平気で割り込んで邪魔をしたりする。
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仲間に指示を出す事は出来ない。最終面の1つでは敵の必殺技にも平気で突っ込んで行って無駄死にする為、プレイヤーが1人で倒さなければならなくなる。
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中ボスの殆どは透明化できるのだが、その能力に任せて攻めて来る奴ばかり。透明化できないサンドルバが実質最弱のボスである。原作では一応幹部なのに。
評価点
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『ギャバン』にゲストで登場した宇宙刑事「アラン」を使用できる。原作通り『仮面ライダーV3』の宮内洋氏が声を演じている。
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原作通りコンバットスーツ姿にはならないが、ギャバン達の変身と同じ要領で宇宙服姿に変化でき、フラッシュ・イン・ゴーも発射できる。
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もっとも魂モードでは冒頭に少し登場して喋るだけだが。
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曽我氏自らが歌うテーマソング『暗黒銀河女王のブルース』が収録されている。
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しかし流れるのはなぜか女王を倒した後のスタッフロール。女王自身のキャラクター性が弱い事もあって、倒された後に流れても誰得感が漂う。
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各モードでは、原作の3番組に登場したアイキャッチが挿入される。効果音を含めて原作通りの出来。
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更にアニーモードでは描き下ろしのアイキャッチが2枚用意されている。もっと他に作り込むべき点があったのではなかろうか?
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上記の通りギャバンのモーションだけは原作に忠実である。サイバリアンから飛び降りるシーンも再現されている。
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3人連続変身&名乗りシーンがある。しかも操作キャラが最初に変身でセンターに来るというちょっと嬉しい仕様である。
総評
ゲームとしては非常に薄味で、ストーリー、操作性、キャラゲーとして重要な原作再現とどれをとってもいまいち。原作ファンの視点でも単純にゲームとして見てもとても楽しめない出来であった。
余談
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予約特典として「宇宙刑事手帳」という小冊子が貰えた。放送当時に児童誌『テレビマガジン』に載った記事を再録した物なのだが、文字が小さすぎて読みにくい。
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また『シャイダー』の漫画版も1話再録されているが、単行本に収録済みの話である。未収録の話を載せた方が良かったのではないだろうか?
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本ソフト発売当時、デジフロイドと同じKAZe出身のスタッフが立ち上げたゲームメーカー「ビットステップ」のサイト上の日記に、本ソフトに対する意味深な発言が載っていた。
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現在は閲覧不可。気になる方は「あばよ勇気、よろしく涙orz」で検索するとよい。
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この約半年後、同じくデジフロイド開発による『仮面ライダーカブト』が発売されるが、こちらは本作とは打って変わって良作となった。
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敵へのダッシュコンボやゲージを溜めて変身するシステムが類似していること、何より本作の魔空空間ステージが没データとして入っていることなどから、本作のエンジンを流用したと思われる。
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本作で暗黒銀河女王を演じた曽我町子氏は本作発売より少し前に急逝したため、本作が彼女の遺作となった。
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曽我氏は「特撮界の女王」と呼ばれるほどの人気(悪役)女優だったため、「陛下の為にも買う」と言っていたファンも居たのに御覧のあり様だったため、大いに叩かれる要因の一つとなった。
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なお暗黒銀河女王の衣装は原作3番組の怪人同様、野口竜氏がデザインしている。
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なお、実写ドラマ作品に限定すると『魔法戦隊マジレンジャー』の天空大聖者マジエル役が遺作である。
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2012年、ギャバンとスーパー戦隊が共演する映画『海賊戦隊ゴーカイジャーVS宇宙刑事ギャバン THE MOVIE』が公開された。同映画にはギャバンの能力をコピーしたという設定の「ギャバンブートレグ」という敵怪人が登場したが、初期に発表された画像では「黒地に赤いライン」という、本ソフトに登場するバリオゼクターと似たイメージだった。とはいえ意識してデザインされたのかは不明だが。
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実際の映像に登場したブートレグは「銀地に赤ライン」で、バリオゼクターとは全く異なるイメージになっている。
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2013年、コム長官を演じた西沢利明氏が病死した。これにより本作は、氏にとって唯一の「ゲーム出演作」となった。
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因みに本作では、コム長官はフリー対戦モードでのみ操作できる。
発売前の状況
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宇宙刑事シリーズはその人気とは裏腹に、『スーパーヒーロー作戦』で所属組織を悪者にされたり、『同・ダイダルの野望』では脇役扱いだったり、『スーパー特撮大戦2001』は単純にクソゲーだったりと、ゲーム界では不遇な扱いを受けていた。それがようやく単独でゲーム化されると話題になった。雑誌『ハイパーホビー』は、わざわざ特集の別冊付録を付けた程である。
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製作元のデジフロイドとは、『仮面ライダー』の格闘ゲームを02年から毎年開発している会社。どれもゲーム的には大味だが、細かいセリフなどのネタ面は秀逸であり、あくまで番組のファンディスクとしては重宝されていた。
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製作元が発表された時は、ファンに一抹の不安を感じさせたものの、ライダーゲー(特に平成)との対象年齢の違いからそれほど問題視はされていなかった。
最終更新:2024年06月25日 12:20