King Arthur's Gold
【きんぐあーさーずごーるど】
ジャンル
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建築&2D対戦アクション(Build n' Kill)
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対応機種
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Linux/Windows/Mac OSX
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発売・開発元
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Transhuman Design
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発売日
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2013年11月5日
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定価
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無料
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プレイ人数
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1人~複数人
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判定
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良作
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ポイント
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PvP専用に調整されたゲームバランス 根元を崩すと建物が倒壊するシステムは圧巻で戦略性に繋がる 試合が長引きがちで1時間を超える事も
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概要
Transhuman Designという会社が製作したゲーム。Soldatというゲームの開発元であると謳っている。
プレイヤーは多くのゲームモードでは2つのチームに分かれ、地形が正方形のブロックでできた世界で建築を行い、相手のチームと戦闘して特定の条件を満たすと勝ちといったものが多い。
現在ではプレイヤー人口は少ないものの根強いファンが多く、いつでもサーバー一つ分ぐらいの人数はいる。
建築は空中に行う事は出来ず、土ブロックと繋がっていない建築ブロックは落下してしまう。これにより根元が貧弱な壁は、根元を狙われると簡単に崩落してしまうのでそれを考慮した建築が重要である。
プレイヤーが扱えるクラスは3つ存在し、それぞれ能力や役割が異なる。
また、頭の上に吹き出しとして現れるチャット文章や、顔などのアイコンを表示するエモートも特徴。
クラス紹介
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ビルダー(Builder)
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このゲームの肝である建築、つるはしによる採掘が可能なクラス。
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建築可能なのは通常のブロックの他、プレイヤーなどが通れるものの建物の支えとして機能する壁ブロック、味方のみが開けられるドア、トゲや味方しか乗れない足場などのトラップも建てられる。
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さらに後述するゲームモードのCTFでは、建築や戦闘をすると手に入るコインで爆弾や特殊な矢、攻城兵器などを購入可能な店を建てる事も可能で、TTHでは代わりに、砦にいる労働者にアイテムを作らせる事のできる工場とランタンなどの色々な道具を工作できるワークベンチを建てる事が可能。
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建築には木を切り倒してさらに丸太を採掘する事で手に入る木材、もしくは地面の石を採掘する事で手に入る石材が必要で、木のブロックは横に長く伸ばせて橋を作るのに適しているが後述するアーチャーの火矢で火事になってしまう他ナイトも剣で破壊可能、石は火事やナイトによる破壊の心配は無いが石材を集めにくい上、横に伸ばしにくいといった特徴がある。
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建築を行う事で敵の進行を阻害する他、はしごの設置、敵の城をつるはしで破壊するなど侵攻の手助けをするなど序盤から終盤まで重要度の高いクラスであり、ビルダーの活躍はゲームを有利に進める。
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ナイト(Knight)
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剣による強力な近接攻撃、盾による防御、爆弾による攻撃や城の破壊が可能な戦闘クラス。
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剣はチャージすることでジャブ、スラッシュ、2連続スラッシュが可能であり、特に2連続スラッシュはうまく決まればどのクラスをも一回で葬り去る高火力である。
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また、この剣は土、木でできたブロックを破壊可能であり、石造建築でない限りは、時間は掛かるものの突破が可能。
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盾は防御の他、下に向ければそりのようにしてスライディング、上に向ければ自分自身を味方の足場にしたり、空中をグライディングしたりもできて、高耐久でありながら機動力は高め。
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爆弾は通常の爆弾の他敵をスタンさせる水爆弾、重くて爆発に時間がかかるなど扱いは難しいものの強力なタル爆弾も存在し、敵の攻撃の他建築物を破壊して進路を切り開く事も可能。
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通常爆弾は攻撃や破壊の他、盾を利用してノーダメージでボムジャンプが可能。中途半端な壁なら余裕で飛び越えられる。
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体力の高さも相まって前線を張れるクラスであり、戦闘の要としてこちらも重要なクラス。
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アーチャー(Archer)
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矢による攻撃や支援、グラップリングによる奇襲や回避の可能なクラス。
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矢は最大までチャージすると、おまけで射程の存在する2つの通常の矢を追加で放つことが可能。
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通常矢は敵のナイトの盾で簡単に防がれてしまうが近距離で放つと敵をスタンさせる事が可能であり、盾を構えたナイトにもダメージを与える事が出来る。
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矢は敵にダメージを与える他、壁に刺せばはしごとして機能するので、敵の建てた平坦な壁に矢を刺せば味方のナイトが登って敵を攻撃する事も可能。
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矢は他にも敵をスタンさせる事のできる水矢、敵を燃やして追加ダメージを与えられる他木造建築を火事にさせられる火矢、範囲は狭いものの強力で火力が高い上に攻城兵器にダメージボーナスが存在し、建物に穴を開けたり貧弱な部分を射抜いて崩落させることが可能な爆弾矢が存在する。
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火は木造建築に燃え広がり、水の爆弾や矢、ビルダーが建てた店で作れる水入りバケツで消火が可能。
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グラップリングはブロックに引っかけて自分自身を引っ張る事が可能で、無限に壁を登ったり、素早く移動したり、浮遊している地形や天井を進んでいくことが可能。
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これにより奇襲や退避、撃ちやすい所からの射撃が可能になる。
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扱いとしてはFPSでいうスナイパーのような立ち位置で、前線を張れないがうまく立ち回れば敵にとって戦いにくい状態を作れる。
ゲームモード紹介
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Capture the Flag(CTF)
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単純なゲームモードで、敵の陣地にある旗を自分の陣地の旗まですべて持って来れたら勝利。
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最初に準備時間があり、この時間でビルダーとして旗の防護、防御壁、店の建築を行う。時間になったら敵陣へ攻める事が可能となる。
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ブロックを建築した時、また敵にダメージを与えたり倒した時にコインが貰え、これを使ってアイテムを購入できる。
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また、掘れるものには石の他に金が存在し、これを使うと、攻城兵器が買える店、2つ以上建てれば瞬時に移動が可能なトンネルを建てる事が可能。
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Take the Hall(TTH)
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このゲーム特有のモードで砦を取り合う陣取り合戦。すべての砦を占領したら勝利。
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CTFと同様最初に準備時間があり、防御や労働者の働く工場を建築する。工場は労働者がいると稼働し、選択したアイテムを無償で製造する。
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工場は"技術"を必要とし、技術は準備時間にみんなで投票した技術ツリーのパスにある技術が時間経過で手に入る他、トレーダーに金と引き換え、もしくは一部のマップの特定の個所に存在する巻物を使う事で解放可能。
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金は技術開放の他特殊な能力を持つ巻物(画面内の敵全滅など)と交換したり、砦にいる労働者を増やす事が可能。
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Team Death Match(TDM)
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敵を一定回数倒す、もしくは全滅させると勝ち。現在は全滅させる方のルールが主流。
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クラスはビルダーが使えず、建築要素の無いバトルとなる。
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CTF同様敵にダメージを与えたり倒すとコインが貰え、店でアイテムを買う事が可能。
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TDM(の公式マップ)特有で、スイッチをオンオフする事で出現したり通過できるようになったりするブロックや矢を放つブロックなどといったメカニズムブロックが存在。これらはサンドボックスモードでビルダーが建築する事も出来る。また、一応他のモードの公式マップにもあるが、コインとアイテムの入った宝箱も存在する。
他にも存在するが、基本的にこの3つがメインに存在する。
評価点
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ドット絵だがクオリティは高い
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30fpsのうち1コマが2~3フレーム程度だがその一コマ一コマが凝っており、かなり自然な動きをしている。
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PvP用に洗練されたゲームバランス
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ブロックはビルダー以外は満足に破壊できず、建築の重要性が高い。
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一方でアイテムを使えば他のクラスも破壊が可能であり、そこを見越した建築が重要。
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役割のはっきりした3つのクラス
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ビルダーは建築が可能だが戦闘力が皆無、ナイトは戦闘力が高いが建築による前線維持や採掘による敵の建築物の破壊能力が無いという対照的な性質であり、この2つが協力する事により戦闘を有利に進める事が出来る。
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一方アーチャーの立ち位置は少し危ういものの、支援能力が高く上手く立ち回れば活躍可能。
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建築物の倒壊という特有のシステム
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これにより建物の建築や破壊の戦略性は大きく上がっている。
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建築する側は、敵の通れないブロックをそのまま建てるだけでは爆弾を連続で受けただけで足元が無くなり倒壊してしまうため、敵味方関係なく通れるローコストの壁ブロックを繋げて土台との繋がりを強化したりといった建築センスが問われる。
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破壊する側はどう破壊して部分的にでも倒壊させて効率よく破壊できるかといった戦略性があり、アーチャーなら火と爆弾の選択も重要になってくる。
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剣や弓だけでない戦闘方法
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ビルダーのつるはし(基本は採掘用)、ナイトの剣、アーチャーの矢の他にもすべてのクラスが敵を踏みつける事で攻撃できる性質があり、これを使えばビルダーでもナイトに対抗する事が出来る。
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また、岩玉をビルダーの店などで作る事が可能で、高さがあればどのクラスでも有利に攻撃ができる。
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もちろんカタパルトも攻撃として有用。城を修復しようとするビルダーを城ごと破壊できる他ナイトを倒して味方の侵攻を手助けできる。
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他にも爆弾なら投げ返してナイト以外も爆弾によるキルを取ったり、水によるスタンははしごにつかまっている状態を解除したり、吹き飛ばす効果もあるので崖へ落としたり、建物を倒壊させて瓦礫の下敷きにしたりと戦闘方法は多彩。掘る能力のないナイトやアーチャーを閉じ込めて自決を余儀なくさせるのも手(メニューから簡単に自決可能)。
賛否両論点
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クラスがたったの3つ
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上記のようにクラスの役割がはっきり分かれている利点があるが、少ないという声もある。
問題点
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試合が長引きがち
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状況を大きくひっくり返せるアイテムが無い(タル爆弾があるが扱いが難しく満足に破壊できることは少ない)。
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特にTTHでは力の差によるアイテムの量の差が出ないため、中々戦況の変化が発生しない。
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攻城兵器は強力ではあるものの、それよりも安い爆弾の矢で軽々破壊可能であり、満足に使えない事も多々ある。
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これらにより、場合によっては1時間を超える試合になる事も。
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ナイトの戦闘が技量やラグに影響されやすい
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ナイトの攻撃は範囲の制限がある近接攻撃で、どちらが先に振ったかが重要になる。
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そのためラグがあると先手を取りにくく、難易度が大きく変わる。
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いわばチキンレースといった所で熟練が必要、しかし初心者が練習できるような場は用意されていない。
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TTHが非常に難解で遊びにくい
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せっかくのこのゲーム特有のゲームモードであるが、ゲームルールが難解でプレイ人口が少ない。
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また、基本的に大人数でプレイする事前提のマップが多く、人が入りたての時に大味になりがち。
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1つのミスが大きな問題になりがち
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自分の持っているアイテムは倒された際にばら撒いてしまい、敵に使われてしまうため有用なアイテムを持って奇襲しようとすると非常にリスキー。
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また、建物が倒壊するシステムは下手に建物を改造しようとして採掘すると巨大な建物が一気に倒壊する恐れもある。
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ソロモードのボリュームが少ない
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ソロモードが存在するが、出来る事はチュートリアルとちょっとしたストーリーモードであるSave the Princess、10種類ほど存在し時間内にノルマを達成するチャレンジ、自由に建築できるサンドボックスしか存在しない。
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いわばマルチプレイする上での練習モードといった所で、マルチプレイがメインのゲームとしては仕方ない事かもしれないが。
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キャラの見た目は課金しない限り同じ
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無料化する上で見た目の変化(頭のみ)が課金要素になった。
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そのため無料でプレイしているプレイヤーはみんな同じ見た目になる上、クラスが少ないので見分けが全くつかない。これはいくらプレイしても課金しない限り変わらない。
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一方有料だった時代から遊んでる人はそれまで使えてた別の見た目の頭に変更出来る他武器が金色になるコスチューム変更、パトロンになればマントを羽織ったコスチュームにしたり、最高額なら自分で作った顔を使わせてもらう事も可能。
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日本のサーバーが無い
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一度公式のサーバーが存在していたが無くなった。今ではアメリカ、ヨーロッパ、オーストラリアのみ。
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しかも人数が少ない関係で大体日本から遠いヨーロッパのサーバーに繋ぐことになる。
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上記の通りラグが結構不利になるので、慣れないうちはナイト以外を使うと良い。
総評
建築要素のPvPゲームとしては特に建築の重要性を重視しているゲームで、戦闘自体はシンプルながら色々な戦法が存在している。
戦闘が長引きがちなのはPvPとしては致命的な部分ではあるが、ゲーム自体は単調ではなく遊びごたえがあり、逆に総プレイ時間が1000時間を超えるプレイヤーも少なくない。
現在では無料でプレイ可能なため、手軽に遊ぶというのは難しいものの、試してみる価値はあるはずだ。
余談
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クラシック版
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元々、引き続き無料で遊べるクラシック版と有料の製品版という2つのバージョンで運営していたが、現在は製品版が無料でプレイできる。
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代わりにパトロンを募集しており、課金額によって主にプレイヤーの見た目を特別にする特典が付いてくる。
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クラシック版は現在でもダウンロードしプレイする事が可能。
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MODのサポートが手厚い。
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公式がMODをサポートしており、MOD入りのサーバーで遊ぶ時は自動でダウンロードしてくれるので気軽にMODをプレイできる。
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エンジンの根幹を除き、ほとんどのスクリプトが覗き放題。そのためMODが作りやすく、MODの導入もフォルダに入れてコンフィグファイルを設定するだけなので楽。
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スクリプトはAngelScriptというマイナーな言語を使っているが、C言語を祖先に持っており大きな逸脱も無いのでとっつきやすい。
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公式のMODも存在し、ShiprektというMODはKAGのエンジンを利用した全く別のゲームと化している。
最終更新:2024年08月11日 18:10