NOSTALGIC TRAIN

【のすたるじっくとれいん】

ジャンル アドベンチャー
対応機種 Windows(Steam)
Nintendo Switch
プレイステーション5
プレイステーション4
Xbox One
メディア ダウンロード専売
発売元 あまた
開発元 畳部屋
発売日 【Win】2018年6月13日
【Switch】2021年8月19日
【PS5/PS4】2021年11月25日
【XSX/One】2022年2月2日
定価 1,480円(家庭用ゲーム機版)
2,000円 → 1,200円(Steam版)*1
プレイ人数 1人
レーティング IARC 3+
セーブデータ 1個
判定 なし
ポイント テキストアドベンチャーがメイン
美麗に表現された田舎町
重めなストーリー


概要

「夏霧町」という人のいない架空の田舎町が舞台となるゲーム。
駅と列車、そしてそれを中心に細々と発展している田舎町を散策し、ストーリーを読んでいく内容。


システム

  • 操作方法
    • 一般的なFPSの操作方法に則りWASD/左スティックで主人公を移動。マウス/右スティックで視野のアングル調整。
    • Shift/Lボタンで走り、Ctrl/ZLボタンでしゃがむ。
  • ストーリーモード
    • 記憶喪失の女性視点で話が進む。
    • 女性は、自分が誰なのか、なぜ「夏霧」の駅にいるのかわからない。夏霧の町にもなぜか住人がいない。しかし「記憶の欠片」を手にとって見ると、そのアイテムにまつわる「夏霧」の住人の姿を垣間見ることができて、その住人たちは様々なトラブルを抱えているようだった…、というあらすじ。
    • 章別になっており、各章でオムニバスのように物語が展開されていく。
  • フリーモード
    • ストーリーモードの舞台となった夏霧町をゆっくり散策できるモード。
    • メニューから電車の発進頻度を変えたり、天候や時間帯を変えることが出来る。
    • 電車の運転席に立って、電車そのものを操作することもできる。
  • 記憶の欠片
    • 地面から沸くように出現する白い光の玉。
    • ストーリーモードでは、この白い玉のあるポイントにたどりつくとストーリーが進捗し、また別のところに記憶の欠片(白い玉のポイント)が発生、プレイヤーがまた赴いて…という流れ。
      • ZRを押した後の一定時間だけ目に見えるようになる。

評価点

  • 夏霧町のつくりこみ
    • オープンワールドと呼べるほど広くはないが、Unreal Engine 4によって描写された夏霧町は隅々にいたるまで自然物や建物、遠景を作り込んでおり、完成度は高い。
    • ひとつの絵として成立しそうな景色もそれなりにある。神社境内の高台から、停車する電車を見下ろしてみたりできる。
    • 電車に乗ると、車窓を流れる田舎の景色を楽しむことが出来る。
    • セミの鳴き声や踏み切りの効果音も自然。天気が悪くなると雨の音に切り替わる。
  • ストーリーモードの物語
    • ゆっくり読めば2時間程度のボリュームになる。全体的に重いシリアスな物語ではあるが、読み応えはきちんとある。
    • 主人公視点で起こったことを、話し言葉・比較的簡単な言葉を交えて淡々と述べていくので、文章が頭に入ってきやすい。
      + ネタバレ注意
    • チャプター6までは一見オムニバスのように見えるのだが、最終的にそれぞれのチャプターで体感したストーリーが互いに関連していることが判明する。
    • 終盤に明かされる主人公の正体についてや、主人公が各チャプターで助けることになる人物が主人公とどういう関係だったのか、またなぜ本作の登場人物は不幸な目に遭うのか、など考察の余地が広い。
  • ストーリーモードでは、記憶の欠片ひとつひとつのテキストを読むたびにセーブされるので、中断はしやすい。
  • クリア後には、チャプターセレクトして物語の途中から読み返すことも一応可能。
  • メニューを開くと、ヒントで次にどこに向かうべきか教示してくれることは多い。

賛否両論点

  • ストーリーがやや難解
    • 文章に堅苦しい言葉は少なく、読みやすい類ではあるが本作で取り扱っているテーマが少々難解。
      + ネタバレ注意
    • 夏霧町の住人の運命が、いくつかのパラレルワールドとして分岐している。主人公は彼らの運命に干渉する能力をもち、彼らの運命を改変するのでその前後のパラレルワールドを体感させられる。
      • 主人公のちょっとした行動で、さっきは死んでいた人物が、別ルートで生き残ることになったりと、状況がコロコロかわる。
    • 「生まれ変わり」をテーマにしている側面もあり、出来事の時系列が前後バラバラになる事態も発生する。

問題点

  • 記憶の欠片をいくつにも分割した弊害
    • バックログが、複数の「記憶の欠片(光る玉)」をまたいで機能しない。
      • ストーリーモードでは、記憶の欠片がいくつか出てくるが、別の記憶の欠片にたどり着くと、ひとつまえの記憶の欠片で読んだテキストをバックログで読めない。
    • ストーリーが若干難解ではあるので、情報を整理したいときにこういったバックログを使えないのは不便。
    • 記憶の欠片も地味に探し出しづらく、ストーリーを読み進めたいときに、探す作業が少し面倒くさい。
  • 物語と夏霧町の3Dモデルの関係性が薄い
    • 確かにUnreal Engine 4で作られた夏霧町の完成度は高く、フリーモードでは田舎の雰囲気や物語の舞台としての雰囲気は楽しめるのだが、ストーリーモードの物語との関連性がいまいち薄い。
    • テキストが表示されている間は画面が暗転するし、記憶の欠片を探しまわる性質上あまり夏霧町の地形を堪能している余裕がない。
    • ストーリーモードのテキストは夏霧町の景色というよりは、夏霧町の住人やアイテムに焦点を当てており、ゲーム中の無人の夏霧町と情景がかみ合ってない。
    • タイトルに「TRAIN」とあるので鉄道要素を期待させがちだが、ストーリーではとある運命を変えるための作業として鉄道に乗るだけとなっている。
      • また本作で登場する電車は1種類だけで、停車駅も「夏霧」のみ。「夏霧」から出発して3分程度たったら1周してまた「夏霧」に戻ってくる。
  • テキストの文字が小さい
    • デフォルトの文字がこぢんまりしすぎている。遠視や乱視のプレイヤーだと解読できないレベル。
    • メニューで文字サイズを大きくすることも出来るが、そうすることでようやく一般的なテキストADV程度の水準となる。
    • 電車に乗車したときに、「特定のボタンを押すと~が起きる」という解説がされるときがあるが、その文字も小さくどのボタンを押せばいいのか解読が困難。
  • 夜間の視認性が悪い
    • チャプター6にあたる部分に差し掛かると、夏霧町が夜になる。
    • 夜の夏霧町の視認性がとにかく悪い。照明がある駅や建物の近くはまだいいが、ストーリーを追う一環で誇張でもなく本当に真っ暗な山道をわざわざ探索させられる。
      • 対策としては、浜辺側の空が明るくそちらにカメラアングルを向けると多少周囲を視認できるようになる。

総評

鉄道のある田舎町をウォーキングシミュレーターとして楽しむ側面ももちろんあるが、どちらかというと悲しい運命を背負った人物が織り成すシリアスな物語を体感するADVとしての趣が強く、単に田舎の雰囲気や風景を楽しみたいようなプレイヤーには不向きと思われる。 本作のメインとなる物語の完成度自体は低くなく、終盤で物語の本質が判明したときには一種の感慨には浸れるだろう。

最終更新:2023年02月18日 15:20

*1 発売当時から値下げされた。