スーパーモグラたたき!!ぽっくんモグラー

【すーぱーもぐらたたき!!ぽっくんもぐらー】

ジャンル モグラたたき
対応機種 ファミリーコンピュータ
発売元 IGS
発売日 1989年12月8日
定価 6,900円
プレイ人数 1人
判定 ゲームバランスが不安定
ポイント テレビ画面とリンクしたモグラたたき
ノルマが高すぎてトンカチ1本では全然足りない
穴の位置バリエーションは変わっても数はいつも8つ


概要

1989年12月に発売されたもぐらたたきのゲームで『ファミリートレーナーシリーズ1 アスレチックワールド』(1986年11月:バンダイ)のように、専用のマットコントローラー「Tap-Tap Mat」が付いている。
更にトンカチも同梱されており、画面に対応した穴の部分のマットを叩くことで、画面とリンクしたモグラたたきをするゲーム。


内容

  • ファミコンを使ったモグラたたきのゲーム。
    • 付属の専用マットコントローラー「Tap-Tap Mat」はタテ3×ヨコ4のボタン(アタックキー)で構成されている。
    • この12ヶ所の内、8ヶ所を使い、そのパターンは各ステージ開始前に表示される。
    • 指定されたボタンの位置が画面上でモグラ(キャラ)が出てくる穴になっており、それを見ながら付属品のトンカチで叩くというゲーム自体は極めてシンプルなもの。
      • そのため、マットと画面が常に同時に確認できる位置を考えてファミコン本体やマットを配置する必要がある。
  • ゲームそのものは恒例のモグラたたきそのもので、穴から出てくるキャラ(モグラなど)を叩く、叩ければヒット1回、叩けずに逃がしてしまうとミス1回。空打ちすると「ブー」と鳴り「スカッ」と出るが特に減点などはない。
    • ヒット数 / (ヒット数 + ミス数) が「HITRATE(ヒットレート)」で、この割合が80%以上でステージクリアーとなる。
    • 決まったタイムの中で「HITRATE」が80%を満たしていれば「ボーナスゲーム」に突入。満たしていなければ、リトライとなるがこれまで稼いだスコアは0にされてしまう(所謂ゲームオーバー)。
      • ボーナスゲームは、同じステージで延長戦のような形で行われ、制限時間制ではなくミスする(1体逃がす)まで続く。このミスは「ミス1回」とはカウントしない。
    • パスワードはステージクリア時に表示される。これを入れることでコンティニューができる。
  • 開始時は「EASY」と「HARD」から難易度を選ぶことができる。
    • 「EASY」モードで全6ステージをクリアーしても、エンディングにはならず「HARD」モードでステージ1から始まる。
    • 「HARD」モードで全6ステージをクリアーしてエンディングが見られるのだが、しばらく放置しておくと「URA」ステージが始まる。
      • 「URA」ステージはそれまでのステージの色違いでキャラも変わる(例えばステージ1ならモグラだったのがゴキブリになる)。もちろん「HARD」に輪をかけて難しい。これをクリアーすると本当にエンディングとなる。

評価点

  • ゲーム自体はシンプルながらも今までファミコンではなかったものであり真新しいものである。
    • 12ヶ所配置のボタンとファミコンを利用して、アーケードの筐体とは違った変化のあるモグラたたきを生み出している。
    • 背景もキャラとしっかりリンクされたものになっている。
    • 更に「URA」ステージではキャラまで変わる。
  • パスワードが扱いやすい。
    • 数字のみで7字のため書き写しミスをしにくく入力の手間も少ない。

問題点

  • アーケードの物理的なモグラたたきは目で見たモグラをすぐ叩けるが、このゲームでは画面とマットを同時に見て叩く必要があり元々無理のあるゲーム性。
    • そもそもうまく両方が同時に見える配置にできないケースもある。
      • これは後述のノルマバランスの問題点にも繋がっている。
  • 付属のトンカチ1本では手が足らない。
    • 特に厳しいのが一瞬顔を出して、すぐ引っ込むパターン。
    • クリアに必要なヒット率80%ということは、ミスを1回すると4ヒットしなければ取り戻せない。
      • ミス数が10を越えれば両手による反則技を使ってももう取り返せないレベルになる。
    • ステージの後半では出てくるキャラの数も3体同時などザラなので、トンカチ1本のみでは足りたものではない。またステージが進むと、それも一層きつくなる。
      • こうなると、もはやトンカチ無視の両手で叩くことを前提としているようなバランスに思えるレベル*1。それでも「HARD」ではステージ2あたりからは相当キツく80%キープはほとんどあてずっぽうで連打しないと無理なレベル。トンカチを2つ付けてくれても良かったかもしれない。
    • 元々モグラたたきはハイスコアを目指すゲーム性なので本作もステージクリアではなく、とことんハイスコアを目指すスタイルにした方が向いていたと思われる。
  • 一部評価点と被るがステージにより穴の位置こそ変わるものの、穴の数は常に8つで固定。しかも6ステージと少ないのに同じパターンの使い回しもある。
    • 折角、穴の位置や数を自在に変化できるゲーム性なのに、それを活かし切れていない。
  • ミス発生(逃がしたタイミング)で何のSEも鳴らない。
    • 空打ちがミスにならず逃がした方がミスなのに、何の音もなくミスカウントが上がる。
      • 「ブー」は空打ち時ではなく、逃がした時に鳴らした方がわかりやすく、より叩くことに集中できただけに不親切。

総評

ファミコンとマットコントローラーの併用により、変化のあるモグラたたきという発想は悪くはない。
だが付属のトンカチ1本では足りない難易度バランスや、穴の位置変化はあれども穴の数は常に8つで固定で、6ステージと少ないのにパターンの使い回しまであるなどゲームの幅が広げ切れていない。
何より元々ハイスコア目指すモグラたたきでステージクリアの方式を採用した時点で少々的が外れている点が否めず、そのポテンシャルをフルに活かせたとは言えないものになった。


余談

  • 「テレビ画面とリンクしたモグラたたき」としては、アーケードのエレメカで「モールアタック」(1982年、ヤチヨエレクトロニクス)が存在した。
    • 3×3のパネル上のボタンを手で叩き、リンクする場所のモニター上のモグラを退治するゲーム。
  • 専用マットコントローラーが同梱されていた『ファミリートレーナーシリーズ1 アスレチックワールド』は8,500円と飛びぬけて高額*2だったが、本作はその点6,900円と当時のファミコンソフトにしては多少高めには違いないものの専用コントローラー付きと考えるとかなりお手頃な値段である。
    • 直後の1990年は『ドラゴンクエストIV 導かれし者たち』をはじめとして4メガRPGが次々と発売され軒並み8,000円台ということもあって、ゲームを詳しく知らず、子供に買ってあげる立場の大人からすれば専用コントローラーがついてこの値段は本作はかなり安く感じられたであろう。
    • もちろんゲーム自身の中身は512Kbと上記と同じ1986年並である。
  • 本作用マットのボタンが3×4の12個並びになっているのを見てカンのいい人は気付いたと思われるが、上記の『ファミリートレーナー』用のマットコントローラーのサイズを小さくしただけで制御自体はまったく同じだったりする。
    • そのため、この両者は互換性がありファミトレで本来足で走ることを手で連打するだけで怒涛のようなスピードで走ることができる。
      • ただファミトレでBマットを使うものは、キーの場所を把握しづらい裏返し(「Tap-Tap Mat」の裏側は青一色の無地)になるので少々扱いにくくなる。その上ファミトレ用のマットと違って裏側から押すことが前提ではないため裏側からでは感応が少々悪い*3
        しかもファミトレシリーズは10作品中7作品がBマット対応。
      • ファミトレ用マットと違って足で踏むことを前提としていないだけに説明書でも「足で踏まないこと」と注意喚起がしてあるので耐久度という点では弱い。価格面で安いのも納得。
  • ゾルゲ市蔵が『美食倶楽部バカゲー専科』誌上で当作品をレビューしている事は一部では知られており、その記事上で「ぽっくんモグラーの魂を受け継いだメガドライブ作品」が秋葉原で売られていたと述べていたが、その作品とは『マレットレジェンド』という台湾製の非公認作品の事である。
    • 『ぽっくんモグラー』とは異なり、3×3の正方形並びでプラスチック製の専用コントローラーが付属しているのでプレイはしやすいものの、ゲーム自体はかなりチープな出来となっている。
最終更新:2024年07月05日 20:13

*1 この当時は同じゲーム性のアーケードの筐体型ゲーム『ワニワニパニック』(ナムコ)でも、ハンマーを無視して両手で叩いてハイスコアを出すスタイルが定着していた。

*2 1986年当時は大体のソフトが5,000円前後で6,000円台すら限りなくゼロに近かった。

*3 『ファミリートレーナーシリーズ2 ランニングスタジアム』は1Pと2Pの位置を入れ替えるだけなので表側でもあまり支障はない。