この記事では1987年にナムコから発売された『スターウォーズ』を取り扱います。
スターウォーズ
【すたーうぉーず】
ジャンル
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アクション
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対応機種
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ファミリーコンピュータ
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メディア
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2MbitROMカートリッジ
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発売元
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ナムコ
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発売日
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1987年12月4日
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定価
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4,900円
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判定
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ゲームバランスが不安定
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バカゲー
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ポイント
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原作破壊の嵐 オレサマハ サソリベイダー ダ 最大の敵は足場と障害物
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スター・ウォーズゲームリンク
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概要
SF映画の金字塔『スター・ウォーズ』(以下SW)の1作目『エピソード4/新たなる希望』(以下EP4)をベースにナムコが制作した、いわゆるキャラゲー。
日本国内でのみ発売された数少ないSW原作ゲームの一つである。
プレイヤーはEP4の流れに従ってルークを操作し、横スクロールアクションのパートとコックピット視点のシューティングのようなモードを交互に繰り返しながら、デス・スターの破壊を目指す。
アクションパートでは、ルークはライトセーバーを振るって敵を倒し、前に進んでいく。敵を倒す毎に「フォース」を取得することができ、貯めたフォースを使うことで特殊能力を発動できる。また、各地で助けた仲間は、攻略キーとなってくれる。
コックピット視点のシューティングモードではミレニアム・ファルコン号を駆って、ブラスター・キャノンで敵の戦闘機TIEファイターを撃墜しながら進む。要は『スターラスター』をミニゲーム化したものと思えばよい。
最終ステージでは見下ろし型の縦スクロールシューティングとなり、Xウィングファイターを操ってデス・スターの弱点を目指し、TIEファイターと激戦を繰り広げることになる。
……と、ここまで読む限りでは「なんだ、SWを題材にしたまともなゲームじゃないか」と思えるだろうが……。
ツッコミ所満載のストーリー展開
改変だらけのストーリー。一見EP4を再現しているように見えるが、原作を知るファンからすれば失笑ものの出来。
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ストーリーダイジェスト
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冒頭
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まず、レイア姫がR2-D2を通じてルークに直接救援メッセージを送ってくる。ジェダイの騎士であるオビ=ワン宛ではなく、当時は見習いでさえないルーク宛にである。そして、ルークは何故か最初からジェダイの証であるライトセーバーを持っており、原住民のジャワ族に略奪されたR2-D2を単身助けに向かう。ジャワとサンド・ピープルのシーンをそれぞれ変に解釈したものと思われる。
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ちなみにこの時点でR2の相棒・C-3POは登場していない。
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この時点でSWのファンならば「嫌な予感がする…」と思ったことだろう。そして、この後にはその予想の斜め下を行く原作破壊の嵐が待ち受けている。
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ステージ1 砂漠の惑星「タトゥーイン」
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単身ジャワのサンドクローラーに突入し、ストームトルーパー達をけちらして進むルーク。クローラーの最奥には何故かダース・ベイダーが。そして彼がルークに向かって開口一番「オレサマハ サソリベイダー ダ」。サソリ? サソリですか? そしてサソリベイダーとのバトルに突入、ベイダーに一発でもセイバーを当てると名前の通りサソリに変身する。
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サソリベイダーを撃破すると、ルークはランドスピーダーで次の目的地へと向かう。
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オビ=ワン・ケノービの住居らしき場所に着くと、ルークはそのままミレニアム・ファルコン号に乗りタトゥーインを発つ。この部分は矛盾の塊である。原作未見の方のために、ここで原作での流れを簡単に説明する。
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1:ルークは偶々助けたドロイド2体(R2-D2とC-3PO)と共にオビ=ワン・ケノービ邸を訪れ、彼からライトセーバーを受け取る。その後ルークはレイア姫の元へ向かうオビ=ワンとドロイドを、アンカーヘッドの町まで送ろうとする。
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2:一行は途中、襲撃されたジャワと遭遇し、ルークは帝国軍がドロイド2体を追っていること、また自分の保護者である伯父夫婦を殺したことを知り、オビ=ワンの元で修業を受けてジェダイの騎士となることを誓う。
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3:一行はモス・アイズリー宇宙港で密輸商人のハン・ソロとチューバッカのコンビを雇い、彼らの宇宙船ミレニアム・ファルコン号でタトゥイーンを脱出する。
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以上である。原作だとこの時点ではルーク、オビ=ワンとハン・ソロ達の間で互いに面識はない。しかしゲームではすでに旧知の仲であるかのように振舞い、ルークに救援要請を出すのである。しかもファルコン号は本来の停泊地になく、ルークはこれを無断使用している。
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なお説明書記載のストーリーによると、映画に沿った流れではなく、反乱軍の仲間達が次々に帝国に捕まりそれを知らせに来たR2-D2がタトゥイーンに不時着、ルークはR2-D2救出のため再びタトゥイーンに降り立ったというのが本作のステージ1の状況のようである。
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そして仲間が捕まっているのは別々の場所なので、ルークは様々な惑星を巡ることになるというのが本作のストーリー背景。
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ステージ2 山の惑星「ケッセル」
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まずは最初のツッコミ所を乗り越え、オビ=ワンを追って惑星ケッセルへと辿りつくルーク。
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しかしこの惑星ケッセル、原作ではC-3POが「ケッセルの強制労働鉱山に送られたくないだろう!」と語っているだけであり、実際に立ち寄る場面はない。当時はまだ裏設定が固まっておらず、ゲームのボリューム、面白さを追求した結果オリジナル展開となるのもいたしかたがないところか。
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ただハン・ソロが
「ケッセル・ランを12パーセクもかからず飛びぬけた船だ」
とミレニアム・ファルコンの性能について語っており、後年スピンオフ映画でその危険な航路を駆け抜ける場面が描かれた事を思えば、ステージ1-2間のシューティングステージは感慨深いものがある……のかもしれない。
肝心のハンは捕まってて同行してないけど
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ところが施設の最深部では再び偽ダース・ベイダーが現れ「オレサマ ハ ギャオスベイダー ダ」と名乗る。ギャオスベイダーも最初はベイダーの姿だが、一発セイバーを当てると翼竜のような姿に変身する。ギャオスってまさか…あのギャオスか……?
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ギャオスベイダーを倒すと、捕縛されていたオビ=ワンが救出可能となる。しかし、ジェダイの騎士であり劇中でも相当の実力者である事が描かれたオビ=ワン・ケノービ将軍が、あっさり敵に捕らわれているとはどういう事か。
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ステージ3 水の惑星「イスカロン」
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雑魚キャラはイカやクラゲなど。ルークは泳ぎながら戦うが、慣性がついている上、何もしないと浮いてしまうので操作が困難。
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ここでも勿論ベイダーのパチモノ、鮫のような姿に化身する「クラドスベイダー」が待ち構えている。
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モチーフは、当時、世界最古のサメとされていたクラドセラケだろうか。
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イスカロンという惑星は原作には全く登場していない。EP4ではまだ登場してなかったとはいえ水の惑星であるカラマリでは駄目だったのだろうか…。
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ステージ4 「デス・スター内部」
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レイアを助けるべく突入したデス・スターでは、ようやく本物のダース・ベイダーと対峙する。そこで彼は「イママデハ マヤカシダ」と語る。いくらゲームだからって、サソリやらギャオスやらに変身する偽ベイダーなんて実在するはずもなかったのである、良かった良かった。
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ルークの攻撃が通じないダース・ベイダー。さすがの強さである、やはりここでオビ=ワンが……と思いきや、オビ=ワンは「フォースを信じて戦うのだ」とアドバイスするだけで、戦ってくれない。結局戦うのはルーク。おかげで、オビ=ワンは原作と違って生き残ってしまう。
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ただしオビ=ワンのアドバイスを聞かない限りダース・ベイダーは無敵になっていて攻撃が効かないので要らないというわけではない。
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ここではゴミ圧縮機に落ちるシーンの再現もされている。仲間システムの都合、全員で落っこちてしまっているがR2-D2が扉を開けてくれる。
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ステージ5 氷の惑星「ティナ」
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頭が痛いことに種明かしされたにもかかわらず、雪男に化身する「ワンパベイダー」が現れる。
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「ワンパ」は、実際にスター・ウォーズの世界に登場する雪男のようなクリーチャーではあるのだが(無論ベイダーの姿に変身したりはしない)、原作で登場するのは続編の『エピソード5/帝国の逆襲』からである。なぜこいつが登場するのに舞台が惑星ホスじゃない?
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ちなみに、ティナという惑星も原作には全く登場していない。
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ステージ6 基地の惑星「ヤビン(ヤヴィン)」
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ハン・ソロから帝国軍がヤビンの基地を攻撃していると通信が届く。
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ヤビンには反乱同盟軍の秘密基地が存在している。ゲームではなぜか基地が帝国軍に制圧されてしまったが、原作では帝国軍はこの星に基地があることを知らず、レイア姫をさらったのはこの基地の所在を聞き出すためである。
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この星の正式名称は「ヤヴィン第4衛星(通称ヤヴィン4)」であり、ガス状惑星ヤヴィン・プライムにある26個の衛星の1つ。ただし劇中ではこの名称は出ない。
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ヤビンではチューバッカが助けてくれるのだが、その際に「ウオーン」ではなく「オラガ トビラヲ コワシテミマスダ」としゃべる。前ステージの救出時の台詞は「ウオーーン ウオーン. [サムイヨー ホントニサムカッタヨー]」と括弧内に意味が翻訳されてる表現だったのに…。
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ボス戦は、ダース・ベイダーとの最後の対決。そしてベイダーを討ち取って基地を奪還すると、X-ウィングに乗り込んで最終決戦へ。
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ステージ7 「デス・スター表面」
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最終ステージは縦スクロールシューティング。デス・スターの狭い溝の中をアクロバティックに駆け抜ける原作ラストを再現している。分岐の先が行き止まりなど、初見殺し要素が多い。
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強制スクロールかつ、時間制限つき。障害物やTIEファイターの攻撃をすり抜けながらアイテムを拾得しつつ、時間内にデス・スターの排熱ダクトへ到達しなければならない。
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排熱ダクト直前で操作不可能な自動演出になり、原作通りダクトにプロトン魚雷が投下されてエンディングとなる。
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問題点
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丹念な攻略研究なしにはクリアが困難な、高い難易度。
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この高難易度の元凶の一つが、メイン武装であるライトセーバーのリーチのなさ。敵に接触すれば一撃死な上に1キャラ分の射程しかなく、敵に踏み込み過ぎてミスという状況になりやすい。おかげで終盤のボスに対しては苦戦必至。せめてライフ制ならば難易度も幾らか緩和されたはずだが…。
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小さな足場。飛び石的に渡っていく場面が多いのだが、この足場が小さい。狭い足場から落ちてミスという場面もしばしば。
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一部では足元が滑りやすい。これも、足場から落ちやすい理由の一つ。
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コンティニューが隠しコマンド。しかもフォースを消費するので、残量が少ないとコンティニューできない。
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初見殺しが多い。漫然と先に進んで多数の敵に囲まれたり、ランドスピーダーで調子に乗って高速移動していると嫌味な配置の障害物に激突、縦穴を落下して移動する事が多いステージ4で落ちた先にバリアがあったり、ラストステージの縦STGは行き止まりのコースがあったりと、先を知らないと避けられない障害が多数。
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仲間の支援が必要になる場面があるのだが、どこだか分りにくく、プレイヤーが気付くしかない。
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ステージ4は迷路状になっており、マッピングが必要な手間がかかる構成。さらにここでブラスターを入手すると、レイア姫が助けられなくなるというトラップ付き。
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ステージ7も、コースとアイテムの場所を頭に入れておかないと厳しい。ここも丹念なコース分析が必要。
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ステージ5&6は別格。
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ステージ4までは面倒な部分があるものの、厳しいというほどでもない。フォースを溜める事とジャンプ操作に気を付けていれば、ステージ3の一部が難しいくらいだろう。だが、ステージ5&6は別次元。
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まず崩れる足場が出てくる。足場や床や天井の障害の配置が意地悪い。このため巧みな操作が必須。ステージ5は足場が氷なので、滑ってミスを招きやすい。
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ステージ6の難易度は、ステージ5のさらに上。足場や障害の配置がかなり厳しく、ジャストのジャンプを迫られる。フォースを溜める場所が限られる上、フォース必須の場所がいくつもある。フォースの使いどころを間違えると、リセットせざるを得ない状態に陥る事も。
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ボスもそれまでとは段違いの強さ。
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フォースの扱いに疑問も。
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ゲームでのフォースは「敵を倒してポイントを貯め、それを消費してルークがパワーアップする」というもの。その内容はバリアを張ったり、時間を止めたり、ワープしたり、セイバーから衝撃波を飛ばしたりすることが出来る。……ゲームなので仕方ないとはいえ、いくらなんでもそのフォースの解釈はあんまりでないか。
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もっとも、本作以後発表されたスピンオフ作品や続三部作では、本作の扱いが大人しいと思えるほどフォースがトンデモ能力と化している。原作の方が本作を超えてしまうのは、なんとも言えない…。
評価点
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BGMやSE、グラフィックはなかなか頑張っている。FCとしての味がある。
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ゲームを始めると、20世紀FOXのロゴをナムコに置き換えたロゴがいきなり現れる。パロディとしては面白い。
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OP、EDはFCながら上手く再現している。EP4冒頭のタンティブIVがスター・デストロイヤーに追われるシーンや、EDの表彰式からスタッフロールへの入り方も原作準拠。
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ゲームオーバー画面のBGMがダース・ベイダーの呼吸音。なお、最終面でゲームオーバーになった場合はデス・スターが惑星ヤビンをレーザーで破壊する演出に変化する。
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原作破壊の目立つ本作だが、「デス・スターのゴミ捨て場に落っこちて、動く壁に潰されそうになる」というシーンは再現されている。脱出方法も映画と同じ。
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サイドビューアクションだけではなく、コクピット視点のシューティング、縦シューティングなど、様々なゲーム性を取り入れるという意欲的な部分もある。
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フォースによる特殊能力使用も面白い。むしろこのフォースの使い方が攻略の鍵。
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高難易度のゲームだが、攻略法を見出せば、クリアできる程度の難易度でもある。
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基本的には覚えゲー。対応が本当に厳しいのは、ステージ5以降のボスとステージ3、6の一部くらい。ノーコンティニューのクリアも可能である。
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時間制限があるので最高速度で進みたくなるステージ7。だがその速度でのプレイは、かなり難しいように感じるかもしれない。しかし実は、最高速度で進まなくても十分間に合うようになっている。
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ただし「NOVICE MISSION」の高難易度モード「PRO MISSION」は別物の難しさ。
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アルカノイドに付属していた専用コントローラーを接続し、射出ボタンを押すとステージセレクトが出来た。
総評
SF映画の金字塔スター・ウォーズをゲーム化。なのだが、どういう訳か原作を大きく改変。ストーリーは苦笑するしかない展開ばかり。だが逆にOPやEDなどは再現度が高かったりと、原作をリスペクトしているんだか、していないんだかよく分らないゲームとなっている。
ゲームとしてはアクションにシューティング2種類と多彩な構成。内容も悪くない。ただし、難易度さえ普通だったらの話。その難易度、実は洋ゲーかというような厳しさ。攻略本でも作るかのような地道な研究なしに、クリアできる代物ではない。だが、その攻略法と操作感が身に付けば、きっとルーク達の表彰式を拝めるだろう。
エピソード4公開10年後という節目に出たゲーム。にもかかわらず、あの名作映画をあらぬ方向へとゲーム化した当時のナムコは、何を考えていたのだろうか? そう思わずにはいられない怪作である。
余談
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このソフトは『スーパーゼビウス ガンプの謎』『ドラゴンバスター』に次ぐ青メッキカセット(前2つはそれぞれ金メッキカセット)で発売された。
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その後、同じくファミコンで他社のビクターからもエピソード4を題材にしたスター・ウォーズのゲーム版が発売されたが、ナムコ版とは異なり原作に忠実なストーリー構成になっている為、本作はFCにおけるスター・ウォーズのファンアイテムとしての存在意義を失う事になってしまった。
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ちなみに同社は後にエピソード5を題材にした作品も発売しているが、残念ながらFCでのシリーズ展開はそこで終了してしまった。
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なおよく見ると本作のタイトルは『スターウォーズ』、ビクター版のタイトルは『スター・ウォーズ』になっており微妙に違いがある。
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直後に発売された『プロ野球ファミリースタジアム'87』の「ナムコスターズ」でルークは2番打者になっている。
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打率.250、本塁打2と貧打著しいチーム内でも長打力は弱い方だが足は速く「ぴの」(22)「まるぴ」「さんま」(14)に次ぐ瞬足(12)で、足で引っかき回すスタイルでたたくことが推奨されるチームではカギになりうる選手である。
最終更新:2024年08月13日 13:00