ゴールデンアイ 007

【ごーるでんあい だぶるおーせぶん】

ジャンル ファーストパーソンシューティング
対応機種 ニンテンドウ64
メディア 96MbitROMカートリッジ
発売元 任天堂
開発元 レア
発売日 1997年8月23日
定価 6,800円(税別)
判定 良作
007シリーズリンク

概要

映画007シリーズ第17作『007 ゴールデンアイ』を題材としたFPSゲーム。全世界で800万本以上という驚異のセールスを叩き出した。
特に海外では、家庭用ゲーム機ではあまり受け入れられていなかったFPS全体に大きな影響を与えた作品の1つとして受け止められている。


評価点

原作映画をほぼ忠実に再現しつつも違和感のないアレンジ
  • 映画シリーズではお馴染みの、ボンドが歩きながら画面に向かって銃を撃つオープニングもバッチリ再現されている。
  • 主要なキャラクターも漏れなく登場する。MやQといったMI-6の上司たちは文章中のみの登場となるが、司令伝達だけでなくアドバイスも送ってくれる。
  • バンジージャンプでダクトに潜入し、トイレから進入する科学施設、St.ペテルブルグでの戦車で街中を縦断するシーンも再現されている。アーカンゲルのバンジーする「まで」の道程となるダム*1、サイロ、ポンプ施設などといった、ゲームオリジナルのストーリーも全く違和感無く溶け込んでいる。
    • 戦車のシーンは流石に映画のように石像やら建物やらを壊せるわけではないが、それでも敵兵の銃撃をものともせず次々と薙ぎ倒す爽快感や迫力は充分*2
優れたゲームデザイン
  • 操作性は今現在の家庭機向けFPSと比べても遜色ないレベルの良さ。
  • FPSではあるが単純に派手な銃撃戦ばかりというだけでなく、007という設定を生かし、スニークアクションの要素もふんだんに取り入れられている。
    • 少数の敵を相手にするのが基本。敵が多いほど不利になるため、消音銃やチョップを使って存在を気づかれない様必要最小限の敵を始末したり、監視カメラを破壊するなどのスパイアクションらしい行動を要求される要素も多い。
    • 敵もボンドに向かって銃を撃って来るだけではなく、警報を作動させて増援を呼ぼうとする行動を見せたりする。
  • BGMは映画のものを再現した迫力のあるメインテーマのアレンジの数々。
  • 着弾箇所がうっすらと赤くなる(頭部除く)という描写はあるものの、暴力表現はFPSにしては控えめである*3
    • 攻撃を受けると「あ゛っ!」「ほえっ!」「うあ!」などと間抜けな叫び声を発したり、爆風を浴びると(前述の叫び声とともに)表情一つ変えず派手にスッ飛んでいったりと、敵のリアクションもあまり痛々しさを感じさせず、むしろどことなく笑いを誘うものとなっている。暴力表現に抵抗のあるプレイヤーにもとっつきやすく、同時にある種バカゲーじみたコミカルな雰囲気が与えられている。
      • 戦車で敵を轢き潰した場合の効果音や悲鳴はさすがにかなり痛々しいが。
多彩な武器
  • 武器の種類も非常に多彩。ファンにはお馴染みの銃であるPP7を始め、ZMGやKF7 SOVIETといったマシンガン、ロケットランチャーなどの重火器、果てにはレーザー銃のような未来的な武器や、あの黄金銃までも登場する。
    • 手投げナイフや、劇中にも登場した腕時計から発射できるレーザー銃といった特殊な武器も。
      • 数が多いだけでなく、そのどれもが弾薬数、射撃精度、連射性、音の大きさ(=周囲の敵への気づかれやすさ)等の設定が細かく個性付けされており、ミッションにおいても表向き強い銃を入手しても、その場面に合わせて武器を使い分ける工夫も求められる等、芸が細かい。
盛り上がる対戦モード
  • 対戦モードが何より熱い。画面分割で最大4人までプレイ可能。様々なオプション設定ができて、ワイワイ楽しめる。
  • 対戦ルールが豊富に用意されている。個人戦やチーム戦だけでなく、007シリーズのサブタイトルになぞらえた特殊ルールも搭載。
    • 一2回死亡したらリタイアとなる「007は二度死ぬ」、一撃でも攻撃を受けたら死んでしまう「消されたライセンス」、フラッグを奪い合い、持ったまま他プレイヤーから逃げおおせた時間を競う*4「リビング・デイライツ」、一撃必殺の黄金銃を持って戦い抜いた時間を競う「黄金銃を持つ男」がある。
  • 使用可能キャラクターは劇中に登場した人物達に加えて、「ゴールドフィンガー」からオッドジョップや、「美しき獲物たち」よりメイデーといった歴代作品のキャラクターがゲストとして加えられている。
やり込み要素の充実
  • レア社らしいやりこみ要素の充実ぶり。
  • 各ステージに3種類の難易度が用意されている。難易度が上がるごとに、ミッション内で達成すべき項目が増え、敵も強化される。
    更に、タイムアタックも設定されており、初期設定の時間より速くクリアすることで隠しモードが増えるようになっている。
    • これによって解禁される「お楽しみモード」は、いわゆるチートモードであり、無敵になる・透明化する・ボンドの足が速くなる、モブキャラが全員ドンキーコングのような体形になる*5などといった様々な設定を加えることが可能。通常プレイでは苦戦を強いられたステージで思う存分無双したり、上記のコミカルな雰囲気を全面に打ち出したりと、一味違ったプレイを楽しむことができる。
      ただしお楽しみモードをONにした状態でプレイしてもクリアには反映されない。
  • どのステージも設定タイム内にクリアするには効率よく任務をこなす必要があり、ただでさえ難しいハードモードでシビアな動きが要求されるような異常に難易度が高いものもあったりと、上級プレイヤーにも飽きさせない作りこみになっている。
  • 隠しステージが存在し、これがかなりの高難易度。『ムーンレイカー』を原作としたアステカステージではレーザー銃の威力とジョーズの耐久力に苦しめられ、『死ぬのは奴らだ』を原作としたエジプトステージでは不死身の男サミディとの戦闘に何度も勝ち抜かなくてはならない。
  • 隠しステージを含む全難易度クリアかつタイムアタックもコンプリートすると敵のパラメータを変更できるモードが解禁される。
    設定できる項目は敵の体力/強さ(攻撃力)/命中率/速さ。
    • 体力はチョップ1発で死んでしまうようなものからハチの巣にしても倒れない程度まで幅広く設定できる。一発食らったら死んでしまうレベルまで攻撃力を上げ、さらに命中率は100%という無理ゲーな設定も可能で、全クリ後も遊ばせようという気概にあふれている。
    • この中でも「速さ」の項目はギャグ要素としても機能する。ムービー演出に登場するボンドにもこの設定が適用され、バンジージャンプから重力を無視した超スピードでボンドが落下していったり、ヘリコプターに飛び移ろうするもジャンプが遅すぎて空中で置いて行かれるボンドが見られたりする。

問題点

  • 銃撃で受けるダメージが大きく、道中回復はできないため難易度は結構高い。敵も頭を撃てばほぼ一撃で死ぬが、こちらも同様である。
    • 回復アイテムに近いものとして防弾チョッキが存在するが、これは「防弾チョッキ専用の青い体力ゲージが追加され、本来の体力ゲージの代わりにダメージを受け止める」というものであり、実質的な体力回復にはならない。
    • ハードモードは本当に難しい。こちらが視認できない範囲だろうが敵はお構い無しに銃を撃ってくるので油断しているとあっという間に蜂の巣にされてしまう。ポンドの位置を把握していて、どんなに遠くからでも必ず追ってくる設定の敵も多い。
      • 特にハードモードの無人機銃の威力は凄まじく、一発でライフ2つは軽く取られてしまう。中盤以降は各所に機銃が設置されている為、これらの位置を把握して着実に破壊・退避しないとゴリゴリ体力が削られる。
    • 実はミッション中のポーズ画面に隠しコマンドを入力すると、お楽しみモードのチートを適用することが可能。コマンド自体は複雑だが、このコマンドで実行したチートを用いてクリアしても無効にならない(タイムアタックにも反映される)ので、難しいと思ったら活用しよう。
  • ポーズメニューを開く時に腕時計を起動させる演出が入るため若干のタイムラグが生じてしまう。このため戦闘中やタイムアタック時はポーズ機能は使用できない。
    • 腕時計をかざしてポーズ画面が出るまでの間は、銃撃によるダメージも受ける。
  • 対戦プレイにおいて、武器の位置が固定されているため、強い武器や防弾チョッキの場所を占拠した側が一方的に有利になりやすい。
    • しかもそれらは袋小路など抑えやすい場所に設置されていることが多く、余計にハメゲー化してしまう面がある。
  • 処理落ちの影響か全体的に動きがもっさりしていて、いわゆる3D酔いをしやすいという声も。
    • プレイヤーが早い動きをしているときや爆弾の爆発時、二人プレイ時など描写が多い場面で特にそう感じやすい。64のスペックからするとかなり無理をしているのだと思われる。
  • 化学工場のタイムアタックがほぼ運ゲー化している。
    • 任務の一つである「科学者に変装した我々の仲間と接触」において接触対象の「ドーク博士」(ゲームオリジナルキャラクター)の出現位置がプレイ毎にランダムであり、タイム設定自体も非常に短いため。最短ルートの途中にドーク博士が出現していなければ達成は不可能に等しい。
  • おまけなのである程度は仕方ないのだが、お楽しみモードのバランス調整が少々雑。
    • 作中に登場する全ての武器を使用できる「オール武器モード」は弾薬までは用意されていない(各ステージ内で入手できるもののみ)ため、弾薬所持数が無限化する「弾無制限モード」を同時にオンにしなければ殆ど効果がない。
    • 敵に発見・攻撃されなくなる「透明人間モード」では敵以外の主要キャラにも発見されなくなるため、それらのキャラとの接触任務がある場合はクリア不可能になる。

総評

グラフィック・操作性・BGM・原作再現度のどれをとっても一級品で、レア社の技術力が遺憾なく発揮されている名作。
FPSのゲームとしても007のゲームとしても非常に出来が良く、どちらのファンでも間違いなく楽しめる。
これを皮切りに、国内でも多数のFPSゲームや007を題材にしたゲームが発売されるようになったことからも、本作の功績は大きい。
現在はプレミアがついて入手は容易ではないためバーチャルコンソールでの配信が期待されているが、レア社は権利関係などから難しいと回答している。


余談

  • CMは浜村淳と水野春郎という国内二大映画評論家による007ごっこという無駄に豪華な内容。
  • グラフィックをリファインし、オンラインマルチプレイに対応したリメイク版がXboxLiveアーケード向けに開発されているという情報が流れ、スクリーンショットや動画も公開されていたが、実現はされなかった。
    • 実はMicrosoft、レア、任天堂で配信の合意にこぎつけたのだが、契約締結後に任天堂がキャンセルしてお流れになったことが語られた。参考記事
    • その後Wiiで開発元を替えてリメイクされている
  • 直接の関係はないが、製作チームがシステム面で本作を継承した『パーフェクトダーク』を製作している。
    • モーションセンサー爆弾は、『パーフェクトダーク』でもセンサー爆弾として登場。『大乱闘スマッシュブラザーズシリーズ』にも登場している*6
    • チートモード(おまけモード)として、照準の形状を『ゴールデンアイ』と同じ物にする「クラシック照準」、『ゴールデンアイ』に登場した武器を使用できる「クラシックウェポン」がある。
  • PS2『タイムスプリッター ~時空の侵略者~(原題:Time Splitters 2)』は、本作の製作スタッフがレアから独立したデベロッパーFree Radical Designが製作している。
    • 本作の製作スタッフの一人であり、ドーク博士のモデルとなったデイビット・ドーク(David Doak)氏は、「タイムスプリッターの最初のステージがダムなのは、ゴールデンアイのプレイヤーへのファンサービス」と語っている。
  • エレクトロニック・アーツから『ゴールデンアイ ダークエージェント』が出ているが、本作や映画とは関係ない。内容的には1999年にEAがPS用に発売した『007 トゥモロー・ネバー・ダイ』のスピンオフ作品という位置付け。