本記事はMODを入れていない、いわゆるバニラを基準に執筆しています。
Arma 3
【ああま すりい】
| ジャンル | FPS |  
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| 対応機種 | Windows | 
| 発売元 | Bohemia Interactive イーフロンティア(日本語版)
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| 開発元 | Bohemia Interactive | 
| 発売日 | 2013年9月12日 2013年9月27日(日本語版)
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| 定価 | 3,600円 | 
| プレイ人数 | 1人~ | 
| 判定 | 良作 | 
| ポイント | リアルな軍事シミュレーター …だけじゃないサンドボックスゲーム
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概要
FPS以外にも軍事シミュレーターとしての側面を持つ『Arma』シリーズ、その第3作。
近未来が舞台となっており、無人自律兵器など現代ではまだ実用化されていない技術が登場する。
モード
キャンペーン
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ギリシャをモチーフにした地中海にある架空の島を舞台に、主人公ケリーを操作してミッションをクリアしていくモード。
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ミッションの合間に偵察をすることができ、ここで強力な装備を入手して次のミッションに備えることができる。
 
ショーケース
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単発の公式ミッション。その名の通り本作の特徴を紹介する目的もある。
チャレンジ
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次々と標的を撃ったり、車や戦車でレースをしたりしてタイムを競うモード。
シナリオ
エディター
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ミッションを作成するモード。本作のエディターは扱いやすく、素人でもちょっとした戦闘ミッションなら簡単に作ることができる。
マルチプレイヤー
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公式のマルチプレイヤー用ミッションも用意されているが、基本的にはユーザーミッションが主流。
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MODの有無もホワイトリスト・ブラックリストで細かく設定することができ、ランチャーでプリセットを登録することも可。
 
特徴
基本操作
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装備の持ち替えや爆弾のセット、兵器への搭乗など基本的なアクションはマウスホイールを操作してスペースキーで決定するのが特徴。一般的なFPSで装備変更に使う数字キーは部下への指示に用いる。
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またデフォルトではキーボードのキーが頭文字に対応しているそこまで複雑な操作体系ではないが、少し慣れが必要。
装備
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服装+防弾チョッキ+バックパックに銃とピストルという組み合わせが基本で、装備によってアイテムを持てる容量が決まっている。
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さらに持つアイテムが多いほど走れる距離が低下する。よって機動力を重視して敢えて軽装にするという戦略も考えられる。
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爆弾やロケットランチャーの弾は重めに設定されているため、そう多くは持てない。
 
評価点
リアリティ
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例えば走れると息が乱れてしまいしばらく照準が定まらなくなるなど、他のFPSとは一味違う。
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姿勢1つ取ってみても、立ち・しゃがみ・伏せ以外にもそれらの中間姿勢で合わせて10種類以上もあるなど、細かく設定されている。
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こうしたリアリティはミッションの生成時にON/OFFができ、カジュアルなFPSスタイルに仕立てることも、MODを導入して更なるリアルを求めることもできる。
 
豊富なコンテンツ
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服装だけでもかなりの数が用意されており、そこに装備を組み合わせることでオリジナルの兵士を作ることができる。
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「Virtual Arsenal」という試し打ちモードがあり、そこでプリセットを登録すれば一瞬で装備することも可能。
 
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なお、キャンペーンモードでは国際法の都合で敵の服を着ることはできない。
サンドボックス
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軍事シミュレーターとして扱われることもある本作だが、サンドボックスゲームとしての側面もある。
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車に乗ってレースをしてみたり、飛行機で神風特攻隊ごっこをしたりと自由に遊ぶことができる。
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公式もネタに走っており、ゴーカートDLCや宇宙人との接触を題材にしたDLCがリリースされている。
 
Steam Workshopとの連動
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Steam Workshopに対応しており、MODやミッションを手軽にダウンロード・管理できるようになった。
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もちろん自分で作ったオリジナルコンテンツをアップロードして公開することもできる。
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MODの依存関係なども自動処理してくれるため、かなり気楽に試せるようになっている。
 
非戦闘員へのフォーカス
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本作では放置地雷の撤去など、軍隊ではないNGOなどへフォーカスした企画が組まれた。
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こうした企画でチャリティーを募ったり、活動を知ってもらうなど、ゲームを通じての啓蒙が展開された。
 
賛否両論点
一部リアリティに欠けるところがある
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例えばどんな負傷も治療キット一発で瞬時に治せてしまう、ただの兵士が戦車も航空機も自在に乗り回せてしまうなど。この辺はリアリティよりもゲームの利便性を重視した結果だろうか。
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キャンペーンモードではMRAPなど軽車両しか操縦できるところがない。唯一、バッドエンドミッションのみヘリコプターを操縦できるシーケンスがある。
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例えばパイロットしか操縦席に座れないようにするなど、スクリプトを使うことで搭乗制限をかけることは可能。
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結局のところ、MODでどうとでもなるため、問題点にならないと言えばそうなのだが…
 
問題点
キャンペーンモードがかなり難しい
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主人公はただの一兵卒に過ぎないのに、一騎当千の活躍をしないとクリアできないという軍事シミュレーターとしては矛盾した難易度設定になっている。
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撃たれ強くなったり敵味方を強調表示するなどアシスト機能が一応あるのだが、それらを全適用してもなお難しい。特に戦死者は毎回出るものと考えること。
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途中セーブorロードに制限がないのでリトライ自体は容易なのは救い。それでも詰まってしまったときは、隠しコマンドを使えばMOD無しでもミッションを強制終了したり全開放できる。
 
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部下への指示でいわゆる「おまかせ」ができない。一度指示を出すとそれを愚直なまでに守ろうとするため、戦況によっては不利になったり不適切な行動になってしまうことがある。
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よって適時新しい指示を出し直す必要があるのだが、ポーズをかけながら指示を出すことはできない。敵は待ってくれないのだ。
 
シナリオが投げっぱなし
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通常のエンディングでは真相が闇の中で終わってしまう。選択次第でバッドエンド(?)に進むが、こちらも意味不明なままで謎が深まるばかりである。
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「Apex」DLCで一応シナリオ補完がされ、通常のエンディングが正史ということになった。
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しかし後から追加された「OLD MAN」という公式シナリオでこれに矛盾したエンディングを起こすことができ、結局どれが正史なのかわからないまま本作のDLC展開が終わってしまった。
 
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よくよく考えると割とツッコミどころ満載なシナリオ展開
    
    
        | + | ネタバレ注意 | 
地雷原でもないごく普通の場所で、上官がいきなり地雷に引っかかって死亡。
奇襲を受けて外部との連絡も途絶と圧倒的に不利な戦況なのに、投降せず何故か徹底抗戦し続ける主人公およびNATO駐留軍
相手がテロリストや民兵ならともかく、れっきとした正規軍なので投降しても身分は保証されるはずである。そのため徹底抗戦する理由がまるでない
 
徹底抗戦し続けた結果、一人敗残兵となった主人公が地元のレジスタンスゲリラに加入してまでなおも抵抗し続ける。バトルジャンキーか何か?
主人公ケリーは米国出身であり、特別な地元意識があるといった描写もない。何故そこまで執着するのか…
 
ゲリラに入って怪しい活動をしたにもかかわらず、特にお咎めなしでNATO軍に即前線復帰する主人公。
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女性兵士がいない
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女性の社会進出が叫ばれている現代であるが近未来が舞台なのに女性兵士がいない、というかゲーム中女性自体が一切出てこない。
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これはキャラクターのモデリングがすべて共通なため。よく見ると身長や体格が皆同じであることがわかる。同じ理由で子供も一切出てこない。
 
総評
軍事シミュレーターという厳格なイメージのある『Arma』シリーズ。
しかしMODを導入することで一変、何でもありなサンドボックスゲームに化ける…というのはシリーズ共通だが、本作はSteam Workshopで気軽に試せるようになったのは大きい。
単にVirtual Arsenalで着せ替えをしてユーザーミッションをこなすだけでも楽しいが、エディターなどゲームの仕様を理解するとさらに遊びの幅が広がる。
噛めば噛むほど味が出るゲームと言えよう。
余談
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本作のゲームエンジンやアセットを流用した『Argo』という基本プレイ無料のスピンオフ作品があった。
最終更新:2024年07月25日 20:20