超光速グランドール
【ちょうこうそくぐらんどーる】
| ジャンル | 恋と友情とアクションゲーム |  
  
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| 対応機種 | プレイステーション | 
| 発売元 | バンダイビジュアル | 
| 開発元 | キッド | 
| 発売日 | 1997年7月25日 | 
| 定価 | 5,800円(税別) | 
| 判定 | クソゲー | 
| ポイント | OVA版と同時展開されたメディアミックス作品 アニメーションムービーと声優陣は高評
 萌えゲーの皮を被った極悪難易度アクションゲーム
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概要
バンダイビジュアルからゲームやOVA、ドラマCDを同時に展開したメディアミックス作品。
豪華なスタッフ、声優陣を売りに発売された横スクロールアクション。
キャラクターデザインは山下敏成。ストーリーは長谷川勝己。音楽はPAROMEが担当している。
特徴
ストーリー
本作の主人公「天樹ひかる」はドジでおっちょこちょいの特撮オタクの女子高生。
学校の登校で大好きな先輩と歩いていたところ、「シギル」と名乗る「王家の鎧」を狙う謎の女に先輩を人質に取られてしまう。
ピンチの状況の中、ひかるの家から飛び出した「王家の鎧」がひかると融合し、ひかるは「グランドール」に変身し、先輩を救出するべくシギルを追っていく。
そして、ひかるはよくわからなぬまま悪との闘いに身を投じ、自身の出生の秘密についても触れていくこととなる。
ゲーム内容
全6ステージ。ステージをクリアすると「ロックマンシリーズ」よろしく、新たな能力を入手することができる。
△ボタンで任意の能力に「グランチェンジ」する事ができ、ゲーム後半になるとそれぞれの能力が攻略において必須になる。
ステージはメトロイドを彷彿とさせる探索型アクションゲームで、ステージに配置されているカードキーを使って鍵を解除したり、「生命の像」と呼ばれるアイテムを入手することでHPを増やすことができる。
ステージ終盤になるとボス戦に移行する。
ひかるが変身する「グランドール」をはじめとした5つの能力は以下の通り。
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グランドール
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ひかるの標準装備で、オーソドックスな性能のショットを使って戦う。
 グランマッハとグランマスターを除く共通アクションとしてはジャンプ中にもう一度ジャンプを押す事で繰り出せる空中キックが使える。
 空中キックを繰り出す事でひかるが無敵状態になるので、空中にいる敵やボス戦にも重宝する。
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特殊能力はワイヤーを出して天井に突き刺して移動したり、狭い通路にあるアイテムを取ったりする事ができる。
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必殺技は画面全体攻撃のシャイニング・ブレスト。
 
 
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グランアグレス
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ステージ2から使用可能で、グランドールよりも高火力のショットが撃てる。
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特殊能力は壁登りで、壁に張り付きながら反対側の壁にジャンプしたり、ショットを撃つ事ができる。
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必殺技は画面全体攻撃のポジトロン・ソニック。
 
 
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グランアーム
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ステージ3から使用可能で、威力は低いが壁を貫通するショットが撃てる。
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特殊能力はグレネード弾でブロックを破壊する事ができる。
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必殺技は画面全体攻撃のエレクトリック・ブレイブ。
 
 
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グランマッハ
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ステージ4から使用可能で、二段ジャンプができるようになったり、壁に当たると反射する3wayショットが撃てる。
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特殊能力はローラーダッシュで無敵状態になって高速でダッシュしながら敵を蹴散らす事ができる。
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必殺技は画面全体攻撃のトルネード・バスター。
 
 
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グランマスター
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ステージ5から使用可能で、敵に当たると炸裂する高威力のショットが撃てる。
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特殊能力は飛行で空中で自由自在に移動することができる。
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必殺技は画面全体攻撃のメテオ・クラッシュ。
 
 
評価点
高品質なアニメーション
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アニメーションムービーを担当したのは、後にOVA版「サクラ大戦」を手掛けたゼロ・G・ルーム。
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メディアミックス作品だけあって、キャラも可愛く、アニメーションもよく動く。
 
豪華な声優陣
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主人公のひかる役の岩男潤子氏をはじめ、宮村優子氏、池澤春菜氏、大塚明夫氏、森川智之氏、宇垣秀成氏、緑川光氏と当時の人気声優が勢揃い。
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パッケージ裏で「岩男潤子VS宮村優子」と大々的に宣伝するほど。
 
難易度選択
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一応評価点としてはある程度、プレイヤーの腕に合わせて難易度(イージー、ノーマル、ハード)を選択する事ができる。
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もっとも、後述のゲームパートの元々が難しすぎなので、イージーにしても影響は小さいが。
 
問題点
操作性が悪い
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ジャンプの慣性がとても重く、空中の制御がしにくい。
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また、ひかるの移動速度が異様に速く、ショットを撃ち続けない限り敵に被弾してしまう事が多くなる。
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この操作性の中、かなり高度なジャンプアクションを要求されるので、悪い意味で難易度を上げてしまっている。
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また床から下の方に飛び降りる際に、4Fから8Fほど短く押さないと垂直落下してくれず、画面外のダメージ床に接触してしまう事が多い。
 
 
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加えてひかるの当たり判定が大きいため、ザコ敵の攻撃に被弾しやすい。
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この関係で画面表示も狭く、画面先の足場が見えづらい。
 
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ステージ5以降で使えるグランマスターは飛行で空中を自在に移動できるが、ショットの連射が効きづらかったり、被弾すると飛行状態が強制解除されたり、落下中に飛行しようとすると慣性の影響で移行する前にダメージ床に被弾しやすくなったりと非常に扱いにくい。
陰険なステージ構成とザコ敵
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ステージ1からいきなり大量のダメージ床が出てくる。
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なのでワイヤーといった特殊能力を使わないと突破するのは困難。
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また、いやらしい挙動のザコ敵が多数出現し、下手にジャンプすると空中にいる敵に当たったり、ひかるを察知した瞬間に高速で飛び道具を撃ってくる敵まで現れる。
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加えてザコ敵が画面外に出てしまうと当たり判定が消えてしまい、距離を遠めに置いて攻撃をするといった事ができない。
 
 
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ステージ2以降になってくると、弾幕地獄やトラップ地獄が多数待ち受けている。
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ダメージ床やトゲなどはもちろん、画面いっぱいに弾幕を張り続けるザコ敵やひかるの位置に反応して突然現れるザコ敵なども大量発生する。
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即死トラップがないのは、せめてもの救いと言えるが。
 
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ステージ4が特に顕著で迷いやすい構成の上にカードキーの位置もわかりにくく、上記の問題点も相まって本作最難関のステージ。
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しかも中間地点もないため、ボス戦前まで進んでいようがミスをすれば問答無用でステージの最初からやり直しになってしまう。
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加えてカードキーや生命の像でのHP増量もリセットされてしまうため、また探しに行かないといけない。
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ボス戦ではミスをしても、ボス戦からやり直せるのでそこも一応救いか。
 
 
ボス戦のバランスが滅茶苦茶
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作中で三回戦う事になる「シギル」がかなりの難敵。
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近距離で剣を回転させたり、距離を離すとひかるを目掛けて突進してくる攻撃の一発の威力が高い上、反撃しようにもシギルの攻撃時に長めの無敵時間があるため、まともに戦うと間違いなく地獄を見る事になる。
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攻撃のパターンも滅茶苦茶で読みづらく、攻撃が来るとわかっていても被弾してしまいやすい。
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何が恐ろしいかというとこいつが最初に戦うボスであるところ。いきなり殺意むき出しである。
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一応一回戦目と二回戦目はハメ技でごり押すことができるが、三回戦目ではハメ技がほぼ通用しなくなる。
 
 
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逆にステージ2と4に登場する「ガービッジ」は話にならないほど弱い。
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ほぼ動かずにグランアグレスでショット連打するだけで勝ててしまうほど。
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ちなみにステージ4はボス三連戦なのだが、ガービッジ二回戦目→シギル三回戦目→ペオース戦の順番になっているのだが、ペオースもガービッジ並のザコなので、このステージのボス戦間のバランスの悪さが露骨に表れてしまっている。
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幸い、連戦するボスの内二体目でミスをしても二体目からのスタートになるのでミスになるリスクが小さい。
 
 
ボリュームが薄い
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アニメーションムービーの量は多い方ではあるが、全6ステージしかない。
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しかもステージ5はボス戦もなく、仕掛けがほとんど皆無な上に非常に短いのでイベントのためだけのステージになっている。
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ステージ5ではボス戦の代わりにひかるの父親がクイズを仕掛けてくるのだが、一個でも問題を間違えると問答無用でステージを最初からやり直しにさせられる。
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まあステージ5自体、非常に短いので他のステージと比べたらまだ温い方ではあるが。
 
 
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つまりまともなステージだけでカウントすると実質全5ステージしかない。
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1997年発売のPSソフトでこれは短すぎるのでは…。
 
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様々な能力を使い分けて攻略するアクションゲームのはずなのだが、このボリュームに加えて一本道なので攻略の自由度が低い。
その他
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ゲーム後半になってくるとそれぞれ違った能力の使い分けが要求されるが、能力を入れ替える度にいちいち変身シーンと読み込みが入るので、テンポが悪い。ロックマンシリーズのように一瞬で変身出来るように出来なかったのだろうか。
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アニメーションパートの演出面はクオリティが高いが、ゲーム部分のカットシーンはかなり簡素。
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ゲームパートの会話シーンでのキャラの顔グラフィックがアニメパートのものと似てない。
 
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ステージ5では30分の制限時間をかけられるが、ぶっちゃけ意味がない。
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ステージの探索を含めても30分は余裕がありすぎるので、制限時間が切れる前にミスをするかボス戦までたどり着くかがほとんど。
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難易度をハードに設定すると制限時間が短くなるかというとそんな事はないので、結局意味がない。
 
 
総評
メディアミックス作品だけあって後にOVA版にも使われるアニメーションムービーのクオリティーも高く、豪華な声優陣の演技もあって「プレイヤー参加型アニメーション」というコンセプト自体は良かったといえる。
なのだが、肝心のゲーム部分は操作しにくい、ゲームバランス悪い、ボリュームが薄い…など明らかに完成度が低く、万人向けのアクションゲームにはとても程遠い出来となってしまった。
アクションゲーム単体としてはおすすめはできないが、90年代アニメのファンであればコレクターズアイテムとしては悪くない選択肢であるといえる。
余談
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メディアミックス展開という事もあり、本作発売から翌月に全3話のOVAが発売された。
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本作のアニメムービーの流用はしているものの、ストーリー面での相違点が多い。
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Prime Videoにて有料レンタルで配信されているので、興味がある人は視聴してみるといいだろう。
 
最終更新:2023年10月17日 10:06