ブリガンダイン ルーナジア戦記

【ぶりがんだいん るーなじあせんき】

ジャンル ファンタジーウォーシミュレーション
対応機種 Nintendo Switch
プレイステーション4
Windows(Steam)
発売元 株式会社ハピネット
発売日 【Switch】2020年6月25日
【PS4】2020年12月10日
【Steam】2022年5月11日
定価 【Switch/PS4】通常版7,200円
Limited Edition11,800円
【Steam】4,500円
レーティング CERO:C(15歳以上対象)
判定 良作
ポイント ほぼ前作のシステムを引き継いだ新作
シンプルでやりごたえのあるバトル
良くも悪くも古典的な作り
シナリオ面はやや薄味
ブリガンダインシリーズ
幻想大陸戦記 / グランドエディション / ルーナジア戦記


概要

ブリガンダイン』の20年ぶりの新作。
舞台や登場キャラは完全新作だが、システム部分はほぼ前作を引き継いでいる。


ストーリー

古よりマナのシャワーが降り注ぐ大陸ルーナジア

マナはルーンの神が人間たちに与えし神秘の力

その力を得た人間たちは能力を開花させていった。

剣と魔法の大いなる力

古のモンスターを召喚させ意のままに操る術

その力を持つ者を人々は“ルーンの騎士”と呼んだ。

 

そして、この大陸ではるか昔に発見され

その力で魔獣から人間を守ったとされる五つのマナ・ストーンは

ルーンの騎士の鎧や装身具に組み込まれ

特別の鎧 “ブリガンダイン”となり

人間と共に長き時を重ねていった。

 

その歴史の中で“ブリガンダイン”は

人間や国家の様々な思想を象徴する存在へと変わり

それぞれが

“正義” “高潔” “自由” “誇り” “自我”

と呼ばれるようになったのである。

(公式サイトより引用)


システム

  • 基本的なシステムは『前作』を引き継いでいる。
    • 編成フェイズと攻撃フェイズがあり、ルーンの騎士と呼ばれるリーダーユニットが統魔力というパラメータの容量の範囲で最大6匹のモンスターを率い隣接地へ攻め込む。戦場マップは六角形のHEX形式で構成され、各勢力最大3人の騎士が同時出撃可能で最大21vs21の戦闘が繰り広げられる...といった根本的な部分は変わっていない。
    • 戦闘開始時にはそれぞれのメイン騎士が台詞を喋り、特定の騎士同士が出会った際には特殊な会話が発生する点等も同じ。
    • 変更点や新規システムは以下の通り。
  • 攻撃フェイズの行動順が戦闘力準拠となった
    • 前作では攻撃フェイズに入ってそれぞれの侵攻先を決めた後、実際の侵攻がどこから行われるかがランダムだったが、各拠点の戦力を基準に戦闘力という数値が設定されるようになり、この数値が高い拠点から行動するようになった。
      • 幻想大陸戦記では騎士のレベル準拠だったので、多少の変更はあれど原点回帰したと言える。
  • クエストの変更
    • クエストの実行先が拠点毎に複数設定され、クラスやレベルによって適性が変化するようになった。
    • どの拠点でも「修練場」が存在し、このクエストを選ぶとクエストに派遣した騎士とモンスターが一定の経験値を入手できる。
    • クエスト失敗による行動不可はなくなった。
  • 幻影クエスト
    • 大陸統一後に発生するNPC戦を行えるクエスト。
      • 敵の戦力は固定化されており、クリアする事で有用なアイテムが手に入る。
      • 段階的に増え、徐々に難易度が上がっていく。
  • チャレンジモード
    • クリア後に解禁される高得点を目指すのが目的の高難易度のモード。一人の君主と10人の騎士を好きに選んで開始する事が出来る。
      • 選択可能なのは各モードで一度でも味方として使用した事のあるユニットなので、主にメイン各国でクリアする毎に選択肢は増える。
    • 開始時点で拠点は1つのみ、敵味方全てレベル1でスタート、難易度はハード相当。
    • フェイズ開始時には各国にランダムで小イベントが発生し、アイテムの入手や全騎士のステータスアップ、騎士の士官等のイベントが発生するが、良いイベントばかりではなく騎士3人が行動不能になる暗殺イベントが発生する場合もある。
    • 一定期間内に拠点数を一定以上にしないとその時点でゲームオーバーとなる。(例として初回は10節以内に4拠点。)
      • 達成する毎にスコアが加算され、残りの期間が長いほどスコアが高くなる。
      • クリア時には敵の全騎士とモンスターがレベルアップ等の敵国の強化も行われる。
    • スコアが一定値に達する毎に強力なモンスターやアイテムが手に入る他、チャレンジモード限定の隠しユニットも解禁される。(次回以降のプレイで使用可能)
    • 騎士の加入が多い一方、騎士の数は君主を含めて20が上限。上限を超えた場合、解雇しないとフェイズを進める事が出来ない。
      • 国が滅んだ場合、君主も新たな雇用対象となり、運次第だが自国に来る場合もある。
  • モンスターの変更
    • ある程度は前作のモンスター種を引き継いでいるものの、ジン→エレメンタル、スコーピオン→ゴブリン等、似た能力の別種族になっている物もそれなりにいる。
  • フリーモードの追加(Steam版のみ)
    • ストーリーがなく純粋に戦略を楽しむモード。ゲーム開始時点の各勢力の勢力分布や各配下の騎士の人員・レベルを自由に設定してゲームを開始する事が出来る。
  • 消費アイテムの引き継ぎ(Steam版のみ)
    • 騎士やモンスターのステータスを強化したり、クラスチェンジを行うアイテムを引き継いでプレイを開始可能。(各アイテム毎に上限設定あり)
  • 対戦モードの削除
    • 完全に一人用のゲームになった。

評価点

戦闘バランスの調整

  • 全体的に強すぎた点の弱体化や弱すぎたユニットの強化などが行われ、全くの役立たずと言えるようなユニットはいなくなった。
  • 物理と魔法のバランス調整
    • 前作は範囲攻撃可能な魔法がかなり強力でありボスユニットを相手にする場合を除けば魔法偏重なバランスになっていたが、全体的に物理攻撃が強化され魔法攻撃が弱体化された。
      • とはいえHEXシステムにより遠距離攻撃の優位性はしっかりとあり、魔法攻撃自体は本作でも十分強力。おおよそ両者のバランスがうまく調整された。
  • モンスターのバランス調整
    • 前作で非常に強力だった高コストユニットを中心に弱体化された。
      • ドラゴンやワイバーン等は最高クラスにしても前作程の圧倒的な強さはなくなった。とはいえ本作でも高コスト相応の安定した強さはあり、主戦力にはなる。
      • 上位が落ち着いた事や状態異常が強力になった事で中コストの状態異常無効ユニットのゴーレム等も評価が上がった。命中率の低さも囲い込み効果や新規魔法のグラビティ等で対応しやすくなった。
    • 逆に使い道に乏しかった低コストを中心に強化が行われた。
      • 移動後にブレスを吐けるのは良いが反撃出来ずMPが尽きれば何もできないジンは、エレメンタルになり通常攻撃が追加された。強み弱みは変わらないものの通常攻撃で倒してMPを温存したり、多少とはいえ反撃で削ってくれるようになりかなり使いやすくなった。
      • 森での移動力の高さで隣接して低確率のマヒで運試しするくらいしかできなかったマンドレイクは移動力の補強が少しになる代わりに移動後には使えない射程2のマヒ攻撃を得て相手を待ち受けるユニットとして強力になった。クラスチェンジ後は近接限定の強力な石化攻撃も覚え、アイテムを使用して最高クラスになると通常攻撃もマヒから石化へと強化される。状態異常が効くかどうかで活躍度が大きく変わるものの、幻影クエストでは状態異常の効く強力なモンスター等も多いので、活躍の場は多い。
      • 射程1で毒を付与する事しかできなかったスコーピオンは射程1の毒攻撃と移動後は使えない射程2のマヒ攻撃を持ったゴブリンになり、こちらもマンドレイク同様にいやらしさが増した。発売後のアップデートで最上級クラスが追加され、あまり回数は使えない物の移動後に射程3のマヒ攻撃が使えるようになった。
    • 水辺向けユニットにもテコ入れが行われた。海辺以外でもそれなりの幅の川が流れているマップが増えた他、湿地でもステータス補正を受けられる為、陸地でも使い勝手が良くなった。
      • 水辺向け高コストユニットのヒュドラはシーサーペントになり陸地での移動力も4と陸での使いづらさが解消され、水辺で強くなる青属性のドラゴンと言った性能になり主力モンスターの一つになった。代わりにドラゴンに新規に追加された青属性への進化が余り意味なくなってしまってはいるが…。
      • 水辺では低コストとは思えない強さを発揮するがそれ以外に強みがなく、水辺も少なくほぼ使う意味のなかったマーマンは(無効化されていなければ)水辺で100%かかる魅了を使えるマーメイドになった。加えて補助魔法も使えるようになり、クラスチェンジすると攻撃魔法も覚える為、補助寄りのモンスターとしてインプ(前作ピクシー)とは別種の強みを得た。
  • 大陸統一後のシナリオボスの難易度緩和
    • メインモードの大陸統一後は特殊なボスとの戦闘になるのはそのままだが期限がなくラスボス戦の戦闘バランスもかなり改善された。
      • ラスボス戦は強力なボスではあるが味方側のサポートもしっかりしており、大陸統一が出来るだけの戦力があればクリアは出来るくらいの難易度になっている。
      • 前作ではラスボス戦以外に戦闘がない為、まともな育成が行えずそれが詰みにも繋がっていたのだが、修練場や幻影クエストで育成を行えるようになり、戦力不足だった際にも困らなくなった。

大陸統一後のコンテンツの補強

  • 大陸統一後にやりこめるコンテンツが追加された
    • 統一後に追加される「幻影クエスト」はクリアでレアなアイテムなどが手に入る事に加え、幻影クエスト2段階目の段階で敵がかなり強力になり、レベル30(最大)の騎士がレベル30のモンスターを6匹引き連れて3部隊で攻めて来る。
      • ラスボス戦よりよほど強力だが、やりごたえはある。しっかりと育成を行ったユニットの使い道がないという事もなくなった。
    • チャレンジモードはより早くより良い結果を出す事でスコアを伸ばしていける為、ハイスコアを狙うにはかなりのやりこみが必要となる。
      • 戦闘難易度自体も急いで攻略を進める必要がある上で敵も条件達成毎にどんどん強くなる為、それなりに歯ごたえもある。
      • 一度大陸を統一した時点で4か国の反乱が発生するのだが、その際にはレベル20の最上級モンスターも大量に引き連れてくる。幻影クエストと違い、少しずる戦力を削る事も可能だが、当然時間をかける程スコアが落ちるので、スコアを稼ぐのはきちんと準備しておく必要がある。(大陸統一が近い段階で警告が出るのに加え、まとまった場所が独立するので対応する拠点数は少ない等、きちんとバランスはとられている。)
    • チャレンジモードとSteam版のフリーモードでは一度加入済みのユニットのみが使用可能となる為、色々な国でクリアする利点が増した。
  • 任意で行える細かい難易度調整(アップデート要素)
    • 発売半年後のアップデートにより、3段階の基本難易度調節とは別に、敵AIの賢さ・経験値倍率・取得マナ量といった細かい項目を個別に調整可能な「カスタム難易度」でゲームプレイができるようになった。
      • 多くの項目は自国・敵国共通に適用できる。自国が強化しやすい設定でのサクサクプレイ、逆に敵を利して難易度を高めてプレイするのも自由自在である。
      • アップデート前までは難易度Easy限定だった「大陸統一までのターン制限なし」を全ての難易度で適用できるようになったことで、システムに急かされることなくじっくりと自軍を強化し、かつ高難易度の手ごわい敵国と戦う、といったプレイも可能。
      • これらの設定を初プレイとなる1周目からできるのもポイント。ビギナーからSLG巧者、早解き派からじっくりプレイ派まで、初回から様々なユーザーのプレイスタイルに応じた遊びが出来る間口の広さがある。

その他戦闘面

  • 復活召喚アイテムの追加
    • 前作ではどれだけ頑張って育てたモンスターでも間違って死んでしまえばそれっきりだったが、復活召喚を行えるようになり、愛着を持って育てたモンスターの復活手段が出来た事は喜ばれている。
      • これによりモンスターは死んだらそれまでの使い捨てというシビアさがなくなった事を指摘する声もあるが、ひたすらクエストを周回するでもなければそうたくさん手に入るアイテムではないので通常プレイにおいてメインモード本編中ではそう気軽に使用できないようにはなっている。
  • 戦闘力準拠の行動順
    • 前作は行動順がランダムだったせいで最後の拠点を潰す際等に運が悪いと敵の方が先に攻めてきてこちら側で戦闘、こちらの侵攻はなかった事にという面倒な事態も発生しやすかったが、こちら側がしっかりと戦力を用意すればこういった事態は発生しなくなった。
      • 逆に敵に侵攻されそうな拠点に騎士1人のみを配置し、こちらから侵攻する事で運が良ければ敵の侵攻をキャンセル出来るといった裏技的な行動も出来たが、これは不可能になった。
      • 不便になった点もあるが、全体的に見れば遊びやすさが向上しており、陣取りゲームとしてはシステム的にもこの方が納得はいく。
  • クエストの修練場の追加
    • 統魔力は高めだが低レベルの騎士や、初期クラスが使いづらいモンスターを安全に育成する場として便利であり、戦場に出すにはきついが育てたいユニットを育成する場が出来たのは非常に助かる。
  • 余ったマナの使い道
    • モンスターを召喚する際には低確率で「マナの奇跡」という能力を持つ個体が生まれる事があり、ステータスが底上げされた状態で召喚される。
      • マナは初期以外余りがちになるので、マナの奇跡持ちモンスターの召喚を期待して何度も召喚を繰り返すなど、余ったマナの使い道も出来た。
  • フリーモードの追加(Steam版のみ)
    • 非常に厳しい状況からのスタート、(自勢力を含めるか否かも含め)複数の巨大勢力が存在する状況でのスタート、非常に多くの土地を持つが騎士が少ない国を用意し残りの国で土地の奪い合いをする等、自由なプレイが出来る。
  • 消費アイテムの引継ぎ機能(Steam版のみ)
    • 各種消費アイテムを新しいプレイに引継ぎできる(上限数あり)
    • ドーピングアイテムも引き継げるが個数上限があるため、ゲームバランス崩壊とまではいかず、程よい加減で好きなキャラを贔屓して遊ぶことが可能。
      • 好きな1キャラにつぎ込むか、あるいは数キャラに分散して使うかなど、悩む余地もある。

ビジュアル面

  • イラストレーター・デザイナーの風間雷太氏がメインアートを担当しているビジュアルは美麗さとリアルな存在感を併せ持っており、クラシックでシリアスな本作のファンタジー世界の雰囲気を見事に創り上げている。
    • イベントシーンで挿入されるスチル(1枚絵)も枚数多めで、そのクオリティも高い。一部のスチルは演出効果を伴ったムービーとしても使用され、画面を彩る。
    • なお、風間雷太氏が担当したのはあくまでメインキャラデザインであり、サブキャラは他複数のスタッフが担当していると思われるが、画風や塗りに統一感があり、どのキャラも全く違和感なく溶け込んでいる。

シナリオ・テキスト面

  • キャラ同士の戦場での掛け合いの多彩さ
    • 特定のキャラ同士が戦場で出会うと特殊な会話が発生し、そのパターンが大量にあるのは本作でも引き継いでいる。
  • 前作のオマージュ要素
    • 国や騎士は前作のオマージュと言える要素が存在し、前作を知っていると楽しめる。
      • 国の配置からして大陸の中央部に戦争の発端となった侵略国家、北部に機を見て侵略を開始した国、東端に正義を掲げる王族国家、南東に海賊が治める海洋国家(前作では南東に蛮族の治める国があった)等、前作を思い起こす配置になっている。
  • バラエティにとんだフレーバーテキスト
    • 各騎士および各種モンスターにはキャラ・種族設定となる簡単なフレーバーテキストが設定されており、各キャラが一段と魅力を増している他、世界観が垣間見える部分もあり、プレイヤーの想像をかきたてる。
    • その分、キャラ固有のイベントが少ないことを惜しむ声も少なからずある。
    • なお設定には性別と年齢も記載されており、年齢の数字はプレイ中に年代が進むと1ずつ増加していく。 どれだけ延長プレイをしても初期年齢+10で止まるため100歳超えなどにはできないものの、外見は明らかに少女なのに20代超えのキャラといったことも起こる。

賛否両論点

  • 騎士発見以外のクエストの簡略化
    • 前作ではクエストに出した後、アイテム入手や事故に遭うような汎用イベントも発生していたのだが、これらは全てカット。アイテムやモンスター発見については結果のみが表示されるようになった。
      • シナリオカットは残念な声もあるが、初回以降は同じ内容を何度も見るのが煩わしいという声の方が強かった為、すっきりしてこれで良いという意見が多い。
  • 騎士のクラスによるクエストの成否
    • クエストに派遣した騎士のクラスによって結果が左右されるようになった為、クエストに派遣する騎士も出来るだけレベル上げを行いクラスチェンジを行わないとあまりいい結果は帰ってこない。国を滅ぼした際等に途中加入した余った騎士を派遣しても中途半端な結果が返ってくる事が多い。
    • 一方で育成した後で統魔力の関係で出番がなくなったり、クリア後に主要騎士以外出番がなくなった際に、育成が無駄にならないようになった為、数多くの騎士を育てる事にメリットも生まれるようになった。
  • 戦術マップグラフィックの簡素さ
    • 戦闘フェーズはマップ・ユニット共に3Dだが、その品質自体は2020年代のゲームとしてはお世辞にも高いとはいい難い。
    • また固有ユニットモデルが用意されているのは主人公6名+数人のユニークキャラのみで、残りはクラスにあわせた汎用モデルで表示されている。
      • 各ルーンの騎士たちの顔グラフィックが良質かつ個性的なため、それぞれに固有グラフィックが欲しかったという声も。
    • 一方で、ゲームジャンル上、戦闘マップを「盤面」ととらえ双方の「駒」の数や種類がわかりやすいことがなによりも重要であり、そのための必要十分なデザインと品質にはなっているという評価もできる。
      • 3Dモデル自体は簡素だが、各ユニットの移動・攻撃・特殊技などのモーションはしっかり作りこまれており、エフェクトなどもほどよく見栄えのする按配である。
    • 少し方向性の異なる意見だが、初代ブリガンダインにあった戦闘アニメを現代のグラフィックで再現してほしかったという旧作プレイヤーの意見も時折みられる。

問題点

  • 追い詰められた国に対して一方的な戦闘になりやすい点はそのまま。
    • 敵を倒す事で味方ユニットが強化されていく一方、負けが続き追い詰められた国は召喚したばかりの低レベルユニットを数合わせに引き連れ戦闘がドンドン一方的になっていく点は前作から変わらない。
    • さらに拠点が減った状態が長く続くとマナの供給が不足し、数あわせモンスターをそろえることすら困難な状態に追い込まれていく場合も。
      • 上記の通り、大陸統一後については戦闘面の問題がある程度解決された一方、この点は根本的なシステムの都合上、変わらず残っている。
  • 統魔力至上主義な点は変わらず
    • 最終的に騎士個人の性能より統魔力の高さが部隊としての強さに直結する点は変わっていない。統魔力が低い騎士は、手駒が少ない初動でこそ活躍する場はあれど、最終的には戦闘での出番はなくなってしまう。
      • 上記の通り、クエスト派遣で活躍出来る為、育成が無駄にはならなくなった事に加え、期限がなくなる大陸統一後等に延々とクエストを繰り返して統魔力増加アイテムを集める事も可能になり、お気に入りの騎士の強化と活躍の場を用意するのが可能にはなった。
      • このシステムに反する隠しユニットも存在するが、そのキャラの場合、それを前提として非常に強力な独自スキルを持っている為、一般の騎士とは比較にはならない。
  • やや女尊男碑なキャラ・クラスバランス
    • 上述のように統魔力が重要なパラメータだが、全体的に女性キャラクターのほうが統魔力が高いキャラが多い。
    • クラス面でも一般的に女性クラスのほうが使いやすい傾向にある。
      • 男女共通して存在する魔法系・回復系のクラスでは、男性のメイジ系・プリースト系よりも、女性のエンチャントレス・クレリック系の方が所持魔法の使いやすさに軍配があがるとの評がある
      • 他にも女性クラスにはナイトより軽快かつ水辺で戦える前衛のランサー系、移動からの遠距離攻撃ができるアーチャー系、移動・回避に優れた遊撃クラスのダンサーなど、素直で使いやすいタイプのユニットが多い。
    • 一方、男性クラスは攻守に優れるナイト系がド安定とされる傍らで、耐久性の低さと突き飛ばし攻撃にクセのある前衛のモンク系、命中率と移動力が低く運用に工夫が必要なバーバリアン系、低火力かつ引きこみ技がテクニカルなシーフ系など玄人向けなクラスも多い
    • とはいえこういった明確なクラス・キャラバランスの差が、バーバリアン系の多いミレルバなど初期編成クラスが偏った国でのプレイ、あるいは手駒の限られるゲーム序盤戦において、プレイヤーの用兵術が試されるゲーム的にも歯ごたえを感じられる部分を作り出しているため、一概に問題点とも言えないかもしれない。
  • 敵AIがやや消極的、かつあまり賢くない部分もある
    • 難易度にもよるが、敵国の侵攻頻度があまり高くなく、プレイになれてくるとやや物足りない。また、戦闘中AIもあまり賢くなく、ため、CPU国に別のCPU国を滅ぼさせるのは、プレイヤー側がお膳立てしてあげてもかなり手間がかかる。
    • 戦闘時は限られたMPが重要なリソースになるのだが、補助魔法の乱用で回復のMPを枯渇させるクレリック・プリースト系、回復を重視するあまり攻撃に参加してこないナイトなど、やや無駄な行動が目立つクラスがある。
      • 一方で弱ったユニットや脆い騎士を集中攻撃してきたり、防御力が高いユニットは狙わないなど、それなりのいやらしさもある。
  • メインシナリオは前作以上に簡略化
    • 元々前作時点でシナリオについては全体的に薄目だったが、本作ではメイン進行に合わせて世界観やラスボス関連の話も流れる為、更に薄くなった。サブキャラのイベントは国毎に存在する雇用イベントを除いてなくなり、国を滅ぼした際に滅ぼされた国の重鎮たちによる会話も削除され、何となく噂として広まった国主のその後が語られる程度になっている。
    • メインストーリーは自国の由来や歴史の掘り下げ、戦いが進む中で変化していく主人公の立場や周辺人物との関係性など、全て自国を中心に描かれていき、絶体絶命のピンチや宿敵との決着、といった他国を絡めた熱い展開などはない。これは、どう版図を広げていくのかが全てプレイヤーの采配にゆだねられている以上、仕方のない部分ではある。共通のラスボスへの道筋もほぼ同一となっている。
    • その中で6国家の中で唯一ブリガンダインを持たないグスタファのシナリオについては他国と比べてやや異色であり、6国の中でも印象に残るものとして比較的評価が高い。
  • 一部クラス(モンスター)のリストラ
    • 隠しクラスだったシャドウは削除された。主な特徴だった2回行動についてはやりこみの末に手に入る装備品に付いているが、統魔力が0になるという非常にきつい制限も課されており、前作シャドウのような騎士がモンスターを連れて2回行動する事は出来なくなった。
      • とはいえ、元が強力すぎるクラスだった為、バランス調整の上では仕方ない調整とも言える。
    • モンスターでは特に名前が挙がりやすいのがドラゴンの飛行進化先のリストラ。ドラゴンは属性別のドラゴンへの進化後、レアアイテムを使用して最上位のエンシェントドラゴンに進化する形のみになった。
      • 飛行する竜種のワイバーン系との差別化も一因と思われるが、前作で愛用していたプレイヤーからは残念な声が聞かれる。
  • チャレンジモードが最終的に運ゲーになってしまう
    • 騎士の加入やクエストの入手アイテム等、ランダム要素も多く、突き詰めてハイスコアを目指してプレイするとどうしてもリセットを繰り返しながらランダム要素で理想の結果を引くのを待つプレイになってしまう。
  • クラスごとのクエスト適正の判別しづらさ
    • 各クラスごとにクエストの得意場所が設定されているのだが、どのクラスがどこを得意なのかが直感的に掴みづらい
    • 一応、クラスの得意地形によって得意クエストの場所が決まっている(例:「平地」が得意なクラスは「○○平野」などで上方修正など)という法則はあるのだが、一部には所持属性も絡んでいたり、必ずしもこの法則に当てはまらないクラスもおり、またクエスト地の名前のパターンも多岐に渡るため、慣れるまではわかりづらい。
  • 前作から削除された要素
    • 対戦モード
      • とはいえ元々、1戦1戦に時間がかかり複数人数でのプレイが難しいゲームであり、上記の通り一発逆転が厳しいゲーム性という事もあり、あまり対戦自体は行われていなかった。その為、それほど問題視されてはいない。
    • 同盟システム
      • 前作では特定の2国間に同盟があり、協力関係が結ばれていた(プレイヤーの選択次第では破棄することもできた)が、本作ではそういった要素はなくなった。最終的に自国以外は全て滅ぼすしかないという一本調子なゲーム性に対して、前作にあったこのシステムを望む声も一定数見られた。
      • 特に比較的野心が少ない国風のノーザリオ、ガイ・ムール間や、プロローグ上で国主同士が邂逅するガイ・ムール、シノビ間などは同盟を組む余地もあるように見えるだけにこのシステムの削除を惜しむ声も見られる。
      • なお、この同盟システムがない点に対しては、プレイ中に明かされるとある設定の中で、それらしい理由付けが一応なされている。
  • バグ
    • トロフィーの獲得やユニット復活時の処理、一部の技で状態異常の付与率が100%なる等のバグがあったが、現在は修正されている。
  • 家庭用とSteam版の差
    • システムの点でふれたように、フリーモードや消費アイテムの引継ぎといった一部のアップデート要素が、家庭用版に反映されていない。

総評

往年の名作ブリガンダインの非常に手堅い作りの新作。
大きく目を見張るような新作感はないものの、元々人気のあったブリガンダインの戦闘面を中心にバランス調整を行い順当に進化させた一作。
一方でシナリオ面は前作よりもさらに薄くなっている為、そちらの補強を望んだ人からは残念な新作と言う声も聞かれる。
良くも悪くも「令和版ブリガンダイン」と言えるゲームだろう。

最終更新:2025年03月09日 10:24