エアーウルフ
【えあーうるふ】
ジャンル
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シューティング
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対応機種
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ファミリーコンピュータ
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メディア
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2MbitROMカートリッジ
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発売・開発元
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九娯貿易
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発売日
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1988年12月24日
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定価
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5,900円(税別)
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プレイ人数
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1人
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判定
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良作
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ポイント
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自由に無敵になれるシューティング 目を見張るグラフィックのクオリティ 暗号をメモしないとラスボスを撃破してもゲームオーバー
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概要
1988年12月に九娯貿易から発売されたファミリーコンピュータソフトのシューティングゲーム。
原作はアメリカで1984年1月~1986年5月、3シーズンにわたって放送されたテレビドラマ『AIRWOLF(邦題:超音速攻撃ヘリ エアーウルフ)』のゲーム化作品。
ストーリー
「エアーウルフ」の操縦者S・ホークのもとへ”ビッグ・バッド”からの脅迫状が届いた。
ホークの兄が捕らえられたのだ!
24時間以内に爆発停止コマンドを入力しなければ、兄も、そしてアメリカまでも核ミサイルで吹き飛ばすという。
さあ、ホーク!”神の谷”から「エアーウルフ」を発進させろ!
(取扱説明書2頁より引用)
内容
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戦闘ヘリ「エアーウルフ」を駆って戦うシューティングゲーム。
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全6ステージ構成で、横スクロールのステージを走り切るとボスエリアに突入する。
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基本は横スクロールだが、ボスエリアは主観のコクピット視点のガンシューティングとなり、照準を動かして弾を発射し敵の砲台をすべて破壊すればステージクリア。
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ボスエリアでは敵の放ってきた弾はこちらの弾で相殺できる。
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画面下側のメーターの目盛りが全て消えるとタイムオーバーで残機にかかわらず強制ゲームオーバー。
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ステージ6はそれまでのステージとは違い、ループ構造の中で制限時間内に4つの像を破壊し、ラスボスとはノーマルステージと同じスタイルで制限時間内に戦う。
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制限時間オーバーで残機にかかわらず強制ゲームオーバー。
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1~5ステージをクリアーすると捕らえられた兄から暗号(5桁の数字)が告知され、ステージ6クリア後に60秒以内に5つの暗号を入力しなければならない。
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間に合わないと強制ゲームオーバー。コンティニューはできるがメモしていなかったら事実上その場で詰み。
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残機は3機スタートでスコアエクステンドは10万点、20万点、40万点で発生。コンティニューは各ステージの最初から(回数は3回まで)。
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操作はBボタンで攻撃(対地対空弾同時発射)、Aボタンでターボを発動(もう一度押すと解除)。
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ターボの使用には燃料(FUEL)が必要。発動中スピードが増しは無敵状態となる。
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ただし、ステージ3の地形には関してはターボ状態で激突しても1ミスになる。
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ステージ6ではターボは使用できない。
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ボスエリアではA・Bとも弾を発射する。
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各ステージ開始前に武器(対地・対空)をセレクトする。
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対空弾
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CHAIN GUNS(チェインガン)
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真正面と斜め上約30°度方向に向かって2発同時に発射される。
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CANON(キャノン)
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発射されるのは真正面のみでスピードは一番遅いがのっけから4連射が可能。
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FANCON(ファルコン)
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対地弾
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HELLFIRE(ヘリファイヤー)
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斜め下約30°方向に発射される。対空装備「CHAIN GUNS」の下方版。
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REDEYE(レッドアイ)
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COPPERHEAD(カパーヘッド)
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アイテム
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パワー
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弾速が増し、同時にCANONを除いて連射数も上がる。
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1アップ
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エンブレム
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星マーク
評価点
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シューティングゲームとしての爽快感がバッチリ。
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それを支える連射にも十分なほど対応できており、大量の敵を撃ちまくって殲滅する爽快感はシューティングとして申し分なし。
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パワーアップによって大量の弾を放てるようになると、より一層その爽快感は増していく。
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それぞれ特性の異なる武器を選択でき、個々に合ったカスタマイズが可能。
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3種類いずれも個性があり、対地と対空で組み合わせることでよりプレイヤーに向いた形を作ることができる。
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ステージごとに変更もできるため、ステージに合わせた武器を選択する戦略性もある。
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自由に発動できる無敵状態。
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後述の通り敵の攻撃はかなり激しいのだが、これによって幾分かは耐えられるので救済になっている。
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スピードアップにより疾走感があるのもユニークな点。
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ファミコンでは珍しく奥行きのある表現。
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前後だけでなく奥行きの空間から飛んでくるミサイルがステージ1から早速見られる。
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描き込まれた美しいグラフィック。
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特にステージ2の大都会のビル街は非常に細かい部分まで描き込まれ、ファミコン中期とはいえ後期作品にも劣らないほどでその秀逸さが際立っている。
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それ以外もジャングルや連なる山々などいずれも芸術的。
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ゲームオーバーの落日の一枚絵まで美しさが感じられる。
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BGMもノリが良く、それでいてアーミーらしい重厚感あふれる曲調。
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シューティングの爽快感、そして男性的な雰囲気などいずれも本作の魅力を引き出している。
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しかも共通なのはステージ2と5のみで他はステージ毎に違う曲まで用意されており、いずれも上記のような特徴を持っており、それでいて違う魅力を持っている。
賛否両論点
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処理落ちが多い。
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敵が多数出現するだけでも発生するようになっており、タイミングが狂わされやすい。
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ボスエリアも処理落ちが激しく、下記のボスエリアの低難度の要因になっている。
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ただし、この処理落ちのおかげで激しい攻撃の中でも弾避けがしやすくなっているため、処理落ちの多さは必ずしもマイナスというわけではない。
問題点
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ノーマルステージの敵の攻撃はかなり激しい。
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無敵状態のターボを駆使することが前提にあるためか、多量の弾や速い敵が飛びまわったり、後方や画面上下から敵が頻繁に突撃したりと油断ならないほど。
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「自機のショットが敵弾に遮られる」仕様のため、状況によっては撃ち漏らしも発生しやすい。
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ターボで切り抜ける方法もあるが、燃料の補充ができないため少々難しい計画性が求められる。シブっていたらその前にやられてしまったなんてこともザラ。
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ボスが拍子抜けなほどに弱い。
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攻撃が渦を巻くように異常なほどノッタリと飛んでくるうえ、その弾は相殺できるのでちっとも恐くなく、とにかく目標となる砲台を撃ちまくっていればあっさり撃破できる。
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相対的に「エアーウルフ」が速いと取れるのかもしれないが、だとするとノーマルステージでの敵弾が速いことに説明がつかない。
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ラストステージはターボ(無敵)が使えない。
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ここまで来ていればだいぶ敵の熾烈な攻撃にも慣れてきているだろうが、やっぱりこれがないのでは苦しく感じられる。
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アイテムが少々不足気味。
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パワーアップは弾速と連射数を上げる「パワー」のみというのはこの時期のゲームにしては少ない。
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特にターボ用の燃料の補充アイテムがないのは少々不便に感じられる。
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アイテムを落とす敵が解りづらい。
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『グラディウス』のように一目でわかる色付きでなく、通常の敵と見分けがつかないようになっている。
総評
グラフィックの美麗さは目を見張るほどで、同時にそれによりシューティングとしての爽快感溢れるゲーム性が喰われることもなく撃って撃って撃ちまくる破壊する爽快感は文句なし。
敵の攻撃の激しさは否定できず武器の選択が自由にできたり、制限はあるものの自由に無敵が使えることで切り抜けられるなど補填もできている。
RPGや野球ブームが全盛化し、その影響でファミコンのシューティングゲーム自体が低評価されがちな不遇な時代ではあったが公平に見ればクオリティは充分すぎる高さを持っている。
その後の展開
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九娯貿易は前年にはアーケードで『エアーウルフ』のシューティングゲームを手掛けているが、後の1991年3月にもメガドライブで『スーパーエアーウルフ』を発売している。
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こちらはタテスクロール型のシューティングとなっている。
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上記作の少し前にあたる1990年11月2日に九娯貿易からファミコンロムカセットとして発売された『クロスファイヤー』はオリジナルのアクションゲームだが元々は『エアーウルフ2』として本作の続編となるはずだった。
余談
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『エアーウルフ』のゲームはアクレイムが電子ゲームとして『AIRWOLF LCD HAND-HELD ELECTRONIC VIDEO GAME』を発売している。
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アクレイムはアメリカの会社だがゲーム自身は日本でも輸入販売された。
最終更新:2025年05月06日 11:44