ダービースタリオンシリーズ


ダービースタリオンシリーズリンク

年度 機種 タイトル 概要 判定
1991 FC ベスト競馬 ダービースタリオン シリーズ初作品ながら完成されたシステム。基本的に関東・牡馬限定(一部で関西あり)。
1992 ダービースタリオン 全国版 初代のマイナーチェンジ。関西プログラムを取り入れたが所属形態のシステムが珍妙であり評価はイマイチ。 なし
1993 PC98/DOSV ダービースタリオン 牝馬産駒と牝馬レースが登場し繁殖入りが可能になった。対戦モード「ステークスレース」が導入。
SFC ダービースタリオンII 対戦モード「ブリーダーズカップ」がコンシューマ初導入。
あの無料種牡馬が初登場。ニックスやインブリードが機能しない残念な点も。
なし
1994 PC98 ダービースタリオンEX HDD専用。ステークスレースがブリーダーズカップに進歩し、パスワードが互換に。
Mac ダービースタリオン Macintosh版 EXではなくPC98版『ダービースタリオン』のバージョンアップ。
1995 SFC ダービースタリオンIII 初心者にもやさしいシステム「おまかせ厩舎」導入。
強力なインブリード効果が追い風となり、あの無料種牡馬が伝説の存在に。
1996 ダービースタリオン96 『III』のマイナーチェンジながらライバルや騎手が実名化しファンファーレも現実再現。
衛星放送「サテラビュー」対応はシリーズ唯一。
1997 PS ダービースタリオン 調教のマニュアル・オート切り替えが可能になって使い勝手が向上。
セリ市限定ながら自家種牡馬の産駒も登場。馬体重がレース展開に影響するようになった。
アペンドディスク付属の専門誌が刊行されるなどシリーズ人気が頂点を極めた作品。
1998 SFC ダービースタリオン98 ニンテンドウパワー限定販売のため比較的マイナー作品。
PS版の要素を取り入れた『III』のマイナーチェンジだが『96』と異なりパスワードやサテラビューは非対応。
1999 PS ダービースタリオン99 やはり不評だったのか馬体重の影響がなくなる。
SS ダービースタリオン 現実同様18頭レースがついに可能になった。シリーズ唯一のセガ系ハード作品。
2000 Win ダービースタリオン for Win PS版『99』のマイナーチェンジ。
2001 N64 ダービースタリオン64 レースシーンがフル3Dとなり、騎手も実名に戻った。
元々本体シェアで伸び悩んだ64の中でも末期のためどちらかと言えばマイナー作品。
2002 GBA ダービースタリオンアドバンス 携帯ゲーム機に初参戦。目標が凱旋門賞とドバイワールドカップに変更。
2004 PS2 ダービースタリオン04 2004年KOTY据置機部門次点。
苦節13年、牝馬に遅れること11年、16作目にしてついに正式に自家製種牡馬が使用可能になった。
グラフィックが一新されたと同時に、ロード時間や調教にかかる時間が激増しテンポが最悪に。
2006 PSP ダービースタリオンP 『04』から多少はテンポが改善されたがまだまだ難あり。レースのバランスは本作から怪しくなり始める。
2008 DS ダービースタリオンDS 前作で怪しかったレースバランスはさらに悪化。
不便なインターフェースやブリーダーズカップの仕様、酷いゲームバランスでシリーズでも特に評判が悪い。
2014 3DS ダービースタリオンGOLD BCの代わりに搭載されたインターレースは賛否両論。
放牧の廃止や使いづらいUI、相変わらずのレースバランスなど問題点が多い。
ダービースタリオンOLD 懐かしの名馬たちに差し替えられた『GOLD』のマイナーチェンジ版。
2020 Switch ダービースタリオン 『ダービー馬をつくろう!』シリーズを手掛けたランド・ホーに開発が移行し内容の見直しが図られた作品。
発売当初は問題だらけだったが、度重なるアップデートで大部分が改善され遊びやすくなった。


関連作品

機種 タイトル 概要 判定
PS チョコボスタリオン 『チョコボ』シリーズ版『ダビスタ』でパリティビットが開発協力。
『チョコボ』シリーズの世界観だが、本家と同じ戦略性で楽しめる。
なし
SFC ミニ四駆シャイニングスコーピオン レッツ&ゴー!! ミニ四駆の改造シミュレーター的ソフト。レッツ&ゴーのキャラクターたちと競い頂点を目指せ。
実はミニ四駆育成ゲームとして企画され、開発中に社内で「ミニ四駆スタリオン」と呼ばれていた。
なし


シリーズ概要

通称『ダビスタ』で親しまれている競走馬育成シミュレーションゲーム。
シリーズ通して競走馬の生産や調教を行いGI(ジーワン)制覇を目指すことを目的とし、上限となる区間や年数は定められていないエンドレスなループゲームスタイル。
薗部博之氏によって企画・開発された競走馬育成シミュレーションゲームシリーズで1991年に『ベスト競馬 ダービースタリオン』としてアスキーから発売された。
薗部氏自身は当初『オーナーブリーダー』というタイトルで予定していたがアスキー担当者から一般層に伝わりにくいことや、野球ゲームブーム真っ盛りの頃に売り出して既にある程度ネームバリューのある『ベストプレープロ野球』(1988年7月発売)に準えて売りたいと言う意向から、最終的に上記の「ベスト競馬」と付与して、そのスピンオフのようなタイトルに行き着いた。

それまでFCの競馬ゲームは『ファミリージョッキー』などが存在したものの、本格的な競走馬を育成するゲームはなかっただけに非常に斬新だった。
また同じ競走馬育成のライバルシリーズはPCから入って家庭用ゲームへの移植だが、本シリーズは家庭用ゲームの代表的存在であるFCから始まっている。
基本スタイルの育成の他に予想して馬券でベットする楽しみ方や、さらにライバル馬達は世代を超えて登場していることからベットしながらドリームレースを楽しむこともできる。
折しもシリーズが始まった1991年は、アイドルホース「オグリキャップ」が前年末の有馬記念限りで引退したばかりではあったもののその後も「メジロマックイーン」や「トウカイテイオー」など日本競馬史に残る名馬が続々登場していた時代背景もあって少年少女を再び競馬に興味を持たせるきっかけとなる。
シリーズとして軌道に乗った頃には平成初の三冠馬「ナリタブライアン」の登場や「週刊少年ジャンプ」で『みどりのマキバオー』の連載が始まるなど、再び競馬ブームが過熱してきた時期という幸運にも恵まれ、競馬系のゲームでは育成は元より、レース系のゲームも含めて最も有名なシリーズとなった。
本シリーズのヒットにより現在では少年層でも「予後不良」など専門用語の認知度も高く、またマイナーな競走馬だった「マチカネイワシミズ」(詳細は『II』の余談にて)を有名にしたりと競馬の知名度の上昇にも貢献している。
また鳴かず飛ばずで引退した競走馬の大部分が「生かしていても金がかかるだけ」として廃棄処分(詳細は『III』の余談にて)されるという世間体は悪いものの特に気にもされなかった慣例が、本シリーズをはじめとしたゲームの影響で競馬そのものが少年層にも認知度が高まったことで多少なりとも問題視されるようになり*1、流石にゼロには出来ないが現在ではそのようなケースも当時を思えば減っている。

調教に関しては、上記の通りハナから家庭用での展開を目論んで作られたこともあり、内容的にはいろいろ細かいものの低年齢層でも理解できるシンプルさでサクサク進められるのが特徴的である。
さらにPC版やSFC版以降は育成した馬をパスワードなどでほかのプレイヤーの育成した馬同士で対戦できる「ブリーダーズカップ」を導入、プレイヤー自身は操作しないが非常に盛り上がるものとして定評があり、エンドレスプレーのやりこみ要素にもなっている。
上記の通り、競走馬育成シミュレーションの草分け的存在ではあるが、その一方で自分で生産した競走馬が種牡馬として起用できるようになったのは2004年とライバルシリーズの中でも最も遅い*2という特徴もある。
また、後に登場するライバルタイトルに比べると初期資金がかなり少ない、マスクデータが多く馬の素質の見極めが難しい、難易度調整機能が無い、といった仕様から特にゲーム開始初期のゲームバランスが厳しめであり慣れるまでは破産によるゲームオーバーをしやすい。

プロ野球ファミリースタジアム』の『ファミスタ』をはじめ愛称を後に正式名称に採用した例は多々見られるが、本シリーズでは『ダビスタ』という愛称は当初から根付いていたものの、『ダビスタ』が正式名称に採用されているのは携帯アプリのみにとどまっている。

後年薗部氏が立ち上げたゲーム会社「パリティビット」はシリーズ当時のゲーム中に登場する最強の繁殖牝馬の名前がルーツになっている*3

最終更新:2024年01月10日 13:30

*1 昭和期にも似たような例として伝説のアイドルホース「ハイセイコー」が一大ブームの1973年に「ハマノパレード」という馬が宝塚記念を制した直後、高松宮杯で予後不良となる骨折をして安楽死の代わりに屠殺を経て食肉化されたことで物議を醸した。このようなことはそれまでも日常的だったが競走馬はあくまでも「大人のギャンブルの道具(モノ)」でしかない考えが強く、馬の命を気にする者など皆無同然だった。

*2 ライバルの競走馬育成ゲームではシリーズ初作品(だいだい1993年)から、それができるものが大多数だった。

*3 繁殖牝馬「パリティビット」はアメリカの活躍馬で後年種牡馬としても大活躍した「エーピーインディ」の母「ウイークエンドサプライズ」という実在馬がモデルになっている。ニックス対象の少ないボールドルーラー系であるなど使いづらい部分もあったが高い能力と高額の設定価格も相まって当時のプレイヤーからの人気も高かった。他にシリーズの高額有名牝馬としては同額でスピード特化(全牝馬中1位)でニックス対象が豊富なノーザンダンサー系の「サヨナラ(モデルは自身も競走馬として大活躍し母としても名種牡馬「キングマンボ」を送り出した上「ラヴズオンリーユー」の祖先ともなった「ミエスク」)」や、『96』で登場した高いスピードとスタミナを両立しノーザンダンサー系とのニックスも成立する「スローバラード(モデルはヨーロッパで格式の高いGIを3連勝しのちに種牡馬として来日した「ラムタラ」の母「スノーブライド」)」らが挙げられる。因みに「パリティビット」とは元々はコンピュータ通信用語で、最上位に付与する誤り検出符号のこと。