Gorogoa

【ごろごあ】

ジャンル パズル/アドベンチャー
対応機種 Windows (Steam/Microsoft Store)
Mac (Steam)
Nintendo Switch
プレイステーション4
Xbox One
iOS
Android
メディア ダウンロード販売
発売元 Annapurna Interactive
開発元 Buried Signal
発売日 【Steam/iOS】2017年12月14日
【Switch】2017年12月21日
【PS4/MS Store】2018年5月22日
定価(税込) 【iOS】300円
【Steam】1,520円
【Switch/PS4】1,500円
【MS Store】1,600円
判定 良作
ポイント 2018年度ゲームデザイナーズ大賞受賞
他に類を見ないプレイ感覚と世界観
アート作品としてもパズルゲームとしても良質
ボリュームは控えめ


概要

Annapurna Interactive*1から発売されたパズルゲーム。
プレイヤーは物語の一場面が描かれたパネルを動かし、パネル同士を繋げて主人公を導き、物語を進めてゆく。
そのゲームシステムとグラフィックが評価され、2018年度日本ゲーム大賞ではゲームデザイナーズ大賞を受賞するなど、国内外問わず数々の賞を受賞している。

特徴・ゲームシステム

  • ゲーム画面にあるのは2×2マスのワークスペース、そしてその上に置かれる最大4枚のパネルのみととてもシンプル。
  • それぞれのパネルには絵本の一場面のような絵が描かれている。主人公の旅の一場面であったり一見ストーリーに関係なさそうだったりと様々。
  • パネル内のクリックポイントを調べることで視点の移動・ズームイン・ズームアウトを行い、絵を変化させることが可能。またパネルそのものを移動させ、他パネルとの位置関係を変えることもできる。
  • いくつかのパネルには穴が開いており、こちらは他のパネルの上に重ねて使用する。パネルを動かしたら実は別のパネルが重なっており2枚に分離した、ということも。
  • 個々のパネルの絵柄は一見バラバラに見えるが、うまく繋ぎあわせると1つのシーンになったり、相互作用を起こしたりするものが隠されている。正しく組み合わせるとシーンに変化が生じ、ストーリーが進行してゆく。
  • 言葉で説明しても伝わり切らない部分も多いため、参考として動画も載せておく。
    + 公式トレイラー 注意:公式トレイラーではあるものの、後述する通り後半にネタバレになりかねないシーンが数多く含まれている。
    内容の理解のためには0:50のリンゴが落ちるシーンまでの視聴で十分であるため、未プレイの方は是非とも0:50までの視聴にとどめて欲しい。
  • ストーリーは「ある日、極彩色の龍のような奇妙な生物を目撃した主人公が、その生物に捧げるための5色の果実を集めに行く」といったもの。
    • 言語は一切使用されず、Jason Roberts氏による手描きの絵とアニメーションによってストーリーは進んでゆく。

評価点

  • 唯一無二のプレイ感覚と世界観
    • ポイント&クリックアドベンチャーと仕掛け絵本、そして絵合わせパズルを組み合わせたようなゲームシステムであるが、そのいずれとも異なる手触りの独創性の高いゲームに仕上がっている。独創性の高さは海外でも高く評価され、第17回GDCアワード*2では「Innovation Award」を受賞している。
    • やることはシンプルでありながら、そこから生まれるギミックは多彩で驚きに満ちている。一見全く別々の絵がダイナミックに変化し思いもよらない繋がり方で1つの絵になるさまは、プレイヤーを飽きさせない。
    • 絵と現実、此処と此処ではないどこかの景色がいとも容易く繋がり、過去と未来、現実と虚構が混然となったなかを主人公が旅してゆくさまは、騙し絵の絵本に入り込んだかのような不思議なプレイ感を味わえる。
    • 主人公が果実を集めるパネルに混ざって、全く別場面のパネルが結構な頻度で出て来る。一見とりとめがなく感じられるが、ストーリーを追ううちに実はすべてのパネルが一つの物語として繋がっていることに気付くはず。クリア後にもう一度プレイしてみると、新たな感慨にふけれたり意外な気づきがあったりするだろう。
  • 美しいグラフィック
    • 細部まで美しく描かれた絵は数千枚を超えるとされ、時にどこか暖かく時に宗教画のような荘厳さでストーリーを彩る。アニメーションも非常に豊富。遊べる芸術作品と言っても遜色ない出来栄え。
  • パズルゲームとしてもやりごたえ十分
    • 展開の多彩さはそのままパズルのギミックの多彩さにもつながっている。絵がどのように変化するのか、どのようになれば正解なのかが初見ではまず分からないため、頭を悩ませながら試行錯誤し探っていくこととなる。
    • 適当にいじっただけではまず解けないが、論理的思考やちょっとした気づきで正解への道が開ける、というパズルゲームの肝はきっちり抑えられている。
    • 難易度はやや高いものの最大で4画面なので煩雑になりすぎず、ヒントや誘導も丁寧。
  • 良い意味でゲームらしくない、シンプルなインターフェース
    • スタート画面すら存在しない。チャプターセレクト機能はあるが、オプション画面*3内に隠されており、ゲームそのものはシームレスに進む。
    • 全体的にインタラクティブな絵本のような手触りであり、ゲームにそこまで親しみがない人でも楽しめる。
  • 操作周りもシンプル故に快適
    • 1つのパネル上のクリックポイントは常に5つ以下になるよう調整されており、判定エリアも大き目かつ他と離して配置されている。
    • パネルの位置を変える・重ねるにはワークスペース上のマスにパネルを放りこむだけでよく、煩わしい位置調整は必要ない。
    • ポイント&クリックゲームでイライラしがちな「クリックポイントが小さすぎて見つからない・クリックしづらい」「クリックしたら近くの別のポイントが反応した」「ドラッグ&ドロップの位置判定が厳しすぎて正しいのに弾かれる」などは全くと言っていいほど見受けられない。
    • パネル上のクリックポイントを丸で示してくれるヒント機能がついている。必要なければオプション画面でOFFにすることも可能。
    • ロード時間もほぼない。ロードの存在を忘れるほど。
    • Switch版はタッチパネルとスティックでのカーソル操作の両方に対応。カーソルはクリックポイントの上に置くと形が変わるので見やすくなっている。オプション画面でカーソル移動速度の変更も可能。

賛否両論点

  • 寓話的に始まり寓話的に終わるストーリー
    • 奇妙な生物の正体は何か、なぜ果実を集めるのか、そもそもタイトルの「Gorogoa」とは何を意味するのか…といった内容はストーリー内で一切語られない。
    • ラストも非常に抽象的。想像を掻き立てられるものではあるが、はっきりとした答えが与えられないため人によってはもやもやする。
  • BGMは大人し目
    • ゲームの世界を邪魔することなく盛り上げているという意味では良BGMであるが、印象に残る曲は少ない。

問題点

  • パズルゲームとして見た場合、ボリュームが物足りない
    • 人にもよるがクリアまでにかかる時間は2~3時間程度。1,500円台のゲームにしては短い。
    • 攻略は一本道で2周目要素も存在しない。クリア後のおまけとして、2012年に公開されたオリジナル・デモバージョンが遊べるようになるが、本当におまけ程度。本編をクリアした人ならばクリアまでにかかる時間は15~30分程度ではないだろうか。
    • もっとも、本作のために描かれた絵に対する労力、そして美術面とゲーム面が相互に作用しあって本作の良さを作り上げていることを鑑みれば、1,500円は決して高い値段ではないと考えられる。
  • グラフィック表示の不具合
    • 一度ゲームを通しでクリアしてからすぐにオプション画面でのチャプターセレクトを使うと、オブジェクトに四角い枠が表示されるなど表示の不具合が起こることがある。ゲーム内容の都合上グラフィック表示のミスが起こるとプレイ自体が厳しくなるが、再起動すれば改善する。

総評

アート性を前面に出したゲームは数多く存在するが、これほどまでに芸術性とゲームとしての楽しさ、そして独創性がハイレベルに調和した作品はそこまで多くないのではないだろうか。
プレイ時間こそ短いものの、他の何とも代えがたい時間を味わえ、何度もプレイしたくなる魅力を持っている。
じっくり考えるパズルが好きな人、動画や画像を見て感じるものがあった人は是非手に取ってみてほしい。

余談

  • 公式トレイラーのネタバレがひどい
    • 前述のとおり決して長いゲームではないのだが、公式トレイラーの後半で魅力的なシーン=道中の重要なギミックをかなり贅沢に紹介してしまっている。
    • プレイ時の驚きを損ねる上、パズルの解法が察せてしまうシーンも多く致命的。繰り返すがトレイラーの視聴は是非とも慎重に行ってほしい。
+ タグ編集
  • タグ:
  • PZL
  • ADV
  • iOS
  • Android
  • Windows
  • Steam
  • PS4
  • Xbox One
  • 2017年
  • Nintendo Switch

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最終更新:2023年11月26日 19:32

*1 アメリカの映画制作会社であるAnnapurna Picturesの子会社。

*2 「Game Developers Choice Award」のこと。Game Developers Conference(年に一度開かれる世界各国のゲーム開発者を中心とした会議)で贈られる賞。同年の「Game of the Year」は『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』である。

*3 メイン画面端の不自然にめくれている場所を調べると出てくる。