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Alter Linux

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Alter Linux

Alter Linuxは、 Arch Linux をベースに日本の学生デベロッパー数十人で開発されているLinuxディストリビューション。

Arch LinuxベースのLinuxディストリビューションでは日本初の、完全な日本語化が行われている。

▲デスクトップ画面(20210715 Xfce x86_64)
各種データ
開発者 FascodeNetwork
系統 Arch Linux
開発状況 開発中
初版 2020年4月2日
最新版 20210819 / 2021年8月19日 *1
アップデート方式 pacman
パッケージ管理 pacman
カーネル Zen Kernelが標準(後述)
デスクトップ環境 Xfce , KDE Plasma , LXDE , i3(ウィンドウマネージャー) , Cinnamon
ライセンス GPLv3
ウェブサイト https://alter.fascode.net/

+ 目次
目次



概要

日本初のArch Linuxベースのディストリビューションとして開発が始められた。

2021年7月現在、Xfce*2 KDE Plasma *3LXDE*4i3*5Cinnamon*6がリリースされており、またGNOME版が開発されている。*7*8
その内、Xfce、KDE Plasma、i3wm、Cinnamonでx86_64版(64bit) の、Xfce、LXDEでi686版(32bit)の公式ビルドが提供されている。*9*10

Alter Linuxでは、 EndeavourOS 同様Arch Linuxとリポジトリを共有する形でのローリングリリースが採用されている。

これは同じくArch Linux派生のLinuxディストリビューション、 Manjaro が独自のリポジトリを用意しているのとは対照的で、Manjaroの様にしっかりと安定性が確かめられたパッケージばかりでは無いものの、Manjaroよりも新しいパッケージが利用出来ることになる。

Live起動から日本語入力に対応しているなど、Arch Linuxベースでは弱いとされる日本語環境が整っている。
また、後述するaptpacによって、aptコマンドが擬似的に使用出来る様になっている。

Xfce版ではmacOS風、KDE Plasma版やLXDE版、Cinnamon版ではWindows風のユーザーインターフェースが採用されており、Xfce版ではデスクトップ下側にドック風ランチャーを模したパネルが配置されている。

Arch Linuxをベースとしている為、YayによるAURの豊富なパッケージが利用可能である。
Pamac がプリインストールされている為、パッケージをGUIで管理することも出来る。

▲ターミナルにてneofetchを実行(RC1 i3wm x86_64)

2020年4月19日にneofetchにロゴが追加され、日本で初めてneofetchにロゴが追加されたLinuxディストリビューションの1つとなった。*11

リリース

ローリングリリースを採用しているため、大規模な一斉更新はなく、少しずつ断続的に更新される。
20210715以降はその思想を反映し、ISOファイルにはビルドした日付を記載する方式となっている。

主なビルドを以下に列挙する。*12

主なバージョン リリース日 主な変更点
Beta 1 2020年4月2日 Arch Linuxをベースにした初回リリース版
DE(デスクトップ環境)はXfce、x86_64(64bit)対応
Beta 2 2020年4月26日 一部ソフトウェアで日本語入力できない問題を修正、GRUBテーマを追加、aptXのサポートを追加
DEはXfce、LXDE
Beta 3 2020年5月25日 i686版(32bit)を追加、ビルドスクリプトが複数のアーキテクチャに対応、ドロップダウン型のターミナルを追加
i686版はPAE非対応パソコンにも対応している i686版ではインターネットブラウザがFirefoxに変わっている。
Beta 3.1 2020年5月26日 一部の環境で正常に起動できない問題を修正、機能的にはBeta 3と同じ
RC1 2020年8月10日 初のリリース候補版 i3wm版、Cinnamon版のリリース
グラフィックやターミナルの様々な問題の修正、PowerlineをPowerline-Goへ置き換え、Firefoxを日本語化、
インストールCDへの「Safe graphics」の追加、pamac-gtkをpamac-aurに変更 など *13
RC2 2020年10月2日 QtソフトウェアでGTKテーマを使用し見た目を統一、zshの履歴表示を強化、Archiso v45とv46の変更をマージ、
zsh-history-substring-searchを追加、i3-wm版で背景を設定するソフトウェアをfehからnitrogenに変更 *14
RC3 2020年12月31日 Alteriso3を使用、新たなチャンネル(basic gnome gnome-mac lxde-m serene xfce-pro)の追加、
EFI(UEFI)で起動できない問題の修正、細かなバグ修正 *15
20210715 2021年7月16日 初の正式版 KDE Plasma版リリース LXDEの64bit版、i3wmとCinnamonの32bit版の公式ビルドを廃止 *16
ローリングリリースの思想を反映しビルドした日付をバージョン名に AlterISOが3.1になり、より効率化された
Alter Linuxを構成するシェルスクリプトの大幅な修正
UEFI環境でLive環境の起動オプションが足りない問題があったが、20210718で解消している。
20210819 2021年8月19日 AlterISO 3.1への機能追加、改善

プリインストールソフトウェア

以下のようなソフトウェアがプリインストールされている。*17
  • Chromium(x86_64)/ Firefox (i686)(ウェブブラウザ)*18
  • LibreOffice(オフィスソフト)
  • Mozilla Thunderbird(メールクライアント)
  • VLC Media Player(動画・DVD再生ソフト)
  • medit (テキストエディタ)

Alter Linuxのターミナルはかなりカスタマイズされており、Powerline-GoやLSD(LSDeluxe)をデフォルトで採用している。

Beta3.1以前はPowerline-GoではなくPowerlineを採用していたが、2020年5月29日に次のリリースからPowerline-Goに置き換えることが発表され *19、8月10日のRC1より置き換えられた。*20

AlterISO

AlterISOは、FascodeNetworkが独自で開発した、Alter LinuxまたはArch Linuxをビルドするためのスクリプトである。
現在の最新バージョンはAlterISO 3.1で、次期バージョンのAlterISO 4が開発中である。

▲AlterISO 2で build.sh -h を実行 *21

チャンネルによって、イメージファイルに含めるファイル(airootfs)やインストールするパッケージ、設定ファイル、カーネルなどを簡単に切り替えることができ、チャンネルを追加することでAlter Linuxの派生ディストリビューションが簡単に作れる仕組みとされる。*22*23

AlterISO 3以降はyayを呼び出すことでAURパッケージに対応し、また日本語、英語以外の複数の言語に対応した。*24*25

注意:以下の情報は古くなっています。

下記のデータに関する詳しい説明は省きます。
詳しくは Alter Linuxをビルドする(GitHub) や、 Alter Linuxのビルド方法(FascodeNetwork公式ブログ) で確認できます。

主要なブランチ
ブランチ名 概要
master 最も安定している。バージョンが古い場合がある。また、バグ修正が遅れる場合もある。
stable リリース候補。ほとんどの問題は取り除かれている。
dev-stable 定期的に更新される。比較的安定していて、最新の機能や修正を利用できる。
dev 常に更新される。最新のコードになっているが、その分大きなバグを孕んでいる可能性がある。
alteriso-3-mainline 次世代のAlterISOや新しいデスクトップ環境の開発が行われています。

チャンネル一覧
dev-stableブランチのBUILD.md から引用
チャンネル名 概要
xfce デスクトップ環境にXfce4を使用し、様々なソフトウェアを追加したデフォルトのチャンネル
plasma PlasmaとQtアプリを搭載した現在開発中のチャンネル(公式 ISO未配布)
lxde LXDEと最小限のアプリケーションのみが入っている軽量なチャンネル
cinnamon 多くのアプリケーションを備えた豪華なシナモンデスクトップのチャンネル
i3 i3とカスタマイズ可能なpolybarを搭載したrelengを除いて最も軽量なチャンネル
releng 純粋なArchLinuxのライブ起動ディスクをビルドできるチャンネル Archiso - ArchWiki も参照。

alteriso-3-mainlineブランチのBUILD.md から引用(AlterISO3のみ)
チャンネル名 概要
basic 様々なチャンネルの基礎となるGUIの無いチャンネル
gnome カスタマイズされたGNOMEデスクトップ環境のチャンネル
xfce-pro xfceチャンネルのウィンドウマネージャを変更し、多くのソフトを追加したチャンネル

カーネル一覧
カーネル名 概要
zen Alter Linuxで標準となっているカーネル。linux-zen。
カーネルの応答性を調整したり、オーバーヘッドを削減したりした、リアルタイムカーネル。
詳しい解説(ArchWiki・英語)
ck システムのレスポンスを良くするためのパッチが含まれている。linux-ck。
lts 長期サポート版(Long term support, LTS)のLinuxカーネルとモジュール。linux-lts。
lqx デスクトップ・マルチメディア・ゲーム用途にDebian用の設定とZenカーネルソースを使って
ビルドされたディストロカーネル代替。linux-lqx。
rt カーネルのほとんど全てをリアルタイム実行できるようにするパッチが含まれている。
zen-letsnote Let's Noteでサスペンドの問題が発生しないようにするパッチが含まれているZenカーネル。
開発者のツイート

aptpac

aptpacは、 Arch Linux 上で Debian系 で用いられるaptコマンドを使用可能にしたものである。

ユーザーがaptコマンドを使うと、pacmanに変換されて実行される。

過去*26にもaptpacというものは存在していたが、機能的に不十分であったたため、アスキーアートのみを残してFascodeNetworkが*27aptpacを作り直した。*28

Debian系 を使っているユーザーは、慣れたaptコマンドを引き続き利用出来る為、移行しやすくなっている。

また、pacmanでは複雑になってしまうコマンドでもaptコマンドを使うことで簡素に出来る場合がある。

(例) 不要になったパッケージの自動削除
アップデート方式 コマンド
apt sudo apt autoremove
pacman sudo pacman -Rsnc $(pacman -Qttdq)

Alter Linuxには標準搭載されている。

YouTube動画

公式PV


AlterLinux I3wm Edition RC1 プロモーションビデオ

関連動画


PC-FREEDOMさんのインストール&レビュー動画 | AlterLinux 20Q1.1.0 Beta 1: 日本の学生が開発した日本初Arch系Linuxがリリースされたので試してみた。


YiB_PCさんのインストール&レビュー動画 |【インストール編】AlterLinuxをさわってみた!~最先端を生きろ~

ギャラリー

20210715 KDE-Plasma x86_64

20210715 LXDE i686

20210715 i3wm x86_64

20210715 Cinnamon x86_64

派生ディストリビューション

AlterISOを利用して作成されているLinuxディストリビューションをAlter Linuxの派生とする。

WSL用のAlter Linuxイメージ

非公式ではあるが、kokkiemouse氏*29によってWindows Subsystem for Linux 2(WSL2)用のイメージが作成されている。*30

名称

「AlterLinux」と記述されていることも多いが、正式名称では「Alter Linux」と空白が入っている。*31

また、「アルターリナックス」「オルタリナックス」などと読まれているが、公式は「アルターリナックス」と呼称することが多い。

外部リンク


WSL用のAlter Linuxイメージ(非公式)


脚注に記載されているウェブサイトへのリンク


関連項目


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  • コメントログ作成 - 名無しさん (2020-05-02 14:07:59)
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注釈

*1 出典:Alter Linux 20210819のリリース | FascodeNetwork Official Blog

*2 出典:生まれ変わります。 | FascodeNetwork Official Blog

*3 出典:Alter Linuxが1年以上の開発期間を経てリリースします | FascodeNetwork Official Blog

*4 出典:ついにAlterLinuxに新エディション!?xfceベータ2もリリース! | FascodeNetwork Official Blog

*5 出典:Alter Linux i3wm Editionリリース | FascodeNetwork Official Blog

*6 出典:Alter Linux RC1 | FascodeNetwork Official Blog

*7 出典:Alter Linuxが1年以上の開発期間を経てリリースします | FascodeNetwork Official Blog

*8 20210715現在、basic gnome gnome-mac lxde-m serene xfce-proなどのチャンネルはバイナリでの提供が行われていない。その内、basicは様々なチャンネルの基礎となるGUIのないチャンネル。

*9 LXDEのx86_64版やi3wm、Cinnamonのi686版もビルドは可能。

*10 Beta 2以前はx86_64版のみが提供されており、また、Beta 3からRC3まではx86_64版、i686版共にその時点での全種類でリリースされていた。

*11 もう1つは、同じくFascodeNetworkのSereneLinux。

*12 出典:Releases · FascodeNet/alterlinux(GitHub)

*13 出典:Alter Linux RC1 | FascodeNetwork Official Blog

*14 出典:Alter Linux RC2リリースと今後について | FascodeNetwork Official Blog

*15 出典:Alter Linux RC3 公開しました! | FascodeNetwork Official Blog

*16 出典:Alter Linuxが1年以上の開発期間を経てリリースします | FascodeNetwork Official Blog

*17 PC-FREEDOMの記事より

*18 出典:開発者のツイート(2020/06/07)

*19 出典:開発者のツイート(2020/05/29)

*20 出典:Alter Linux RC1 | FascodeNetwork Official Blog

*21 この画像はCC BY-SAでライセンスされています。出典:Alteriso - UnixJapanWiki

*22 出典:開発者のツイート(2020/06/22-1)

*23 出典:開発者のツイート(2020/06/22-2)

*24 その他、カーネルの管理を単一の設定ファイルに記述するようになり、EFIで起動できない問題が修正された。

*25 出典:Alter Linux RC3 公開しました! | FascodeNetwork Official Blog

*26 最初のものは2015年に作られた。

*27 ソフトウェア開発担当の1人が担当している。

*28 詳しくはGithubの「aptpac 元のソースコードと変更後のソースコードの比較」を参照。

*29 現在はFascodeNetworkに所属している。最初のイメージが公開された時点では所属していなかった。

*30 出典:AlterLinuxをWSLで使う | FascodeNetwork Official Blog

*31 出典:「お問い合わせ」について、お話しします。 | FascodeNetwork Official Blog