ロールシャッハ

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ロールシャッハ - (2013/03/03 (日) 18:19:13) の編集履歴(バックアップ)



「セックスと人殺しに耽ったあげく、己の罪に腹まで浸かった売春婦と政治屋どもは
  天を見上げてこう叫ぶだろう。"助けてくれ!"」

「見下ろして俺はこう答える。"いやだね"」

アラン・ムーア原作、デイブ・ギボンズ作画によるDCコミック『ウォッチメン』に登場するヒーローの一人。
英語表記は”Rorschach”.本名はウォルター・ジョゼフ・コバックス
1940年3月21日生まれのアメリカ人で、原作本編の時点で45才(映画版では35歳)。
トレンチコートにソフト帽、白地に不規則に流動する黒い模様の全頭マスクを着用。
その独特のデザインや強烈なキャラクター性から同作に登場するヒーローたちの中でも一際人気が高い。
他のヒーローがダサかったり、メタボだったり、全裸だったりするのも理由だが。
とはいえ、彼自身も外見に加えてヒーローらしからぬ言動も多く、社会的には犯罪者だったり。

犯罪者を尋問する時は指を折り、悪党を見れば一切の容赦なく制裁を加える処刑人
極めて独善的かつ暴力的な男だが、ある事情から子供にだけは優しい(傍から見ても判らない態度ではあるが)。

+ 『ウォッチメン』作品概要

作品概要

ヒーロー禁止法キーン条例によって、政府公認の者以外、全てのヒーロー活動が禁じられたアメリカ。
政府諜報員として活動していたヒーローの「コメディアン」ことエドワード・ブレイクが、ビルから突き落とされて殺された。
違法に活動していたヒーローのロールシャッハは、独自にブレイク殺害事件を調査し、これを何者かによるヒーロー狩りと断定する。
強迫観念に駆られた彼は、今や引退して、それぞれの生活を営んでいるかつての同僚達に警告するも協力は得られない。
しかし、それでも尚たった一人で突き進んでいくロールシャッハの行動は、元ヒーロー達を巻き込み、波紋を広げ、
やがて世界全体の運命を握る、恐るべき陰謀と真実、恐怖に迫っていくことになるのだが……。

『ウォッチメン』とは『ダークナイト・リターンズ』と並んで
アメリカンコミック最高傑作、またそれ以降のアメコミの一大転機となった作品である。
もしもヒーローが現実の世界に存在していたら、その中に一人だけ『超人』が存在していたら。
そういった緻密なシミュレーションと高いテーマ性、キャラクター萌えを一切排除したキャラクター造詣が高く評価され、
1986年に発表されると同時に、カービー賞とアイズナー賞という、アメリカ漫画界における最も権威ある二つの賞を受賞。
1988年には世界最高のSF作品に贈られるヒューゴー賞において特別部門に選ばれ、同賞を受賞した唯一の漫画作品となる。
また、2005年には米タイム誌が選ぶ「1923年以降に発表された長編小説ベスト100」にランクインするなど、
アメリカにおいてはコミックにおける最高傑作であると共に、漫画という枠組みを超え、優れた文学作品として認知されている。

作品世界観に関する情報量が凄まじい作品のため、到底Wikiに書ききれる量ではない。
興味を持った人はぜひ、原作か映画に触れていただきたい。
翻訳版は長らく絶版状態だったが、2009年2月末に小学館プロダクションから再刊されたので読んでみると良い。
日本漫画と比べると高価だとはいえ、本編412Pに設定資料集が付属するという非常に濃い内容なので、絶対に損はしない。
ただし「長編小説」に選ばれた通り異常に密度が濃く、アメリカの歴史、文化、風俗について詳しくないとわからないところも多いので注意。
また原作者はエログロにも定評がある人物なので、そう言ったのが苦手な人も注意すべし。
翻訳者による詳細解説 がネットに掲載されているので、それと合わせて読んでみるといいかもしれない。

元はDC社が権利を買い取ったチャールトン・コミックのキャラクター達によるアイデアだったが、
原作者がヒーローを勝手に殺す事に定評のあるアラン・ムーアであるため、出版社から却下されてしまう。
しかし、ストーリー自体は良く出来ていた為、
「既存のキャラクターを使うのではなく、自身のオリジナルのキャラクターなら作っても良い」とDC社に言われ、
その時は「既存のキャラクターでなければインパクトは得られない」と考えていたアラン・ムーアは、
しぶしぶ当初出すつもりだったチャールトン・コミックのキャラクター達にそっくりなオリジナルキャラクター達を考え、物語を練り直した。
ロールシャッハのモデルは「クエスチョン」という、アラン・ムーアが大ファンだったヒーローである。
余談だが『キングダム・カム』ではクエスチョンをはじめとしたトレンチコートにソフト帽という風貌のヒーローたちと背景で登場。
これがロールシャッハ本人かは不明だが、やっぱり指を折っていた。

+ そしてコミコンのDCブースによる公式発表によると……
なんと現在、『ウォッチメン2』の企画が進行中である。
『ウォッチメン』の前日談を描くとの事で、タイトルは『Before watchmen』。
ロールシャッハ、ナイトオウル、シルクスペクター、Dr.マンハッタン、オジマンディアス、コメディアンに加え、
初代ナイトオウル、初代シルクスペクターを始めとする若き日のミニッツメンを描いた全4~6話のミニシリーズと、
『Before Watchmen: Epilogue』と名付けられたワンショットで構成されるらしい。

「確かにウォッチメンのキャラクターをアラン・ムーア以外が描くべきではないという意見は、心情的に頷ける。
 だがスーパーマンをジェリー・シーゲルだけが、バットマンをビル・フィンガーだけが描いてきたわけではない」
という、実にアメコミらしい理由から、制作が決定した。まあ、ムーアは例によって例のごとく怒ってるが。

なお、ロールシャッハのシリーズを描くライターは、BRIAN AZZARELLO氏が担当。
日本翻訳物では、一人のチンピラの目線からバットマン最大の宿敵であるジョーカーを映した異色作品『JOKER』で知られる。
出版は今夏との事。


+ キャラクター設定

キャラクター設定

「キーン条例」によりヒーロー活動が禁止されたアメリカ合衆国、ニューヨークにおいて、
違法に自警活動を続け、ストリートで犯罪者を叩き潰している、たった一人のヒーロー。
……それがロールシャッハである。
条例制定時には、連続レイプ魔の死体に「断る!」と手紙を添えて警察署の前に放置したため、
殺人容疑をかけられて警察には追われているし、その暴力的な活動方針から一般市民にも疎まれている。
設定資料によると、この他にも正当防衛による殺人が五件、そうでない殺人がもう一件あるという。

性格は冷酷かつ独善的な右翼主義者で、基本的に他人と馴れ合う事は無い。
素顔は常に無表情で、うねうねと不気味に蠢くマスクの模様こそがロールシャッハの顔だと言える。
悲惨な子供時代から唯一小さい子供にだけは優しさを見せるが、それも相手が不良でなければの話である。

良くも悪くも善悪の妥協を許さない暴力的な人間であり、一般の範疇からは狂人と呼ばれるに違いない男。
その精神状態は、診察した精神科医が影響を受け、逆に狂ってしまうほどである。深淵を見つめるものは……。

こういった理由から、話してても何の感情も感じられない不気味な声で、喋り方も極めて独特。
これはロールシャッハ専用のフキダシ(ガタガタと歪つな形になっている)で表現されている。

なお始末した犯罪者に添える二つ折りの手紙には「.┓┏.」という署名がなされている。
彼の頭文字「 r. 」を転写したものであり、簡略化したマスクの模様、転じて「ロールシャッハ」を表現している。
一般に「ロールシャッハ」とは、スイスの精神医学者であるヘルマン・ロールシャッハ(Hermann Rorschach)によって考案された、
左右対称のインクのシミから被験者にさまざまな想像をさせ、その結果から人格を分析する性格検査のこと。
うねうねと模様の変わる奇妙な全頭マスクと、異常なまでに世界を善悪に区別する彼の精神性。
そういった事柄を、ロールシャッハ・テストに準えられているのだろう。
ちなみに「ロールシャッハ」はドイツ語読みで、英語読みでは「ローシャック」になる。

なお原作では左利きだが、映画では演者の都合上から右利きになっている。


+ ロールシャッハのオリジン(原作ネタバレ注意)

ロールシャッハのオリジン

ロールシャッハことウォルター・ジョセフ・コバックスは、娼婦のシルビア・ジョアンナ・コバックスの息子として生まれたが、
母親から日常的に虐待を受けて育ち、父親が不明だった事もあってか、退廃や不正を憎悪するようになっていく。
そして7歳の時、母親を理由に年上の少年二人に絡まれた際に反撃し、一人を失明させ、チャールトン児童矯正施設に引き取られる事に。

そこで幼少期から青年期を過ごし、ボクシング・器械体操・文学・宗教学に対して才能を発揮。
内向的で可愛げのある生徒だったらしいが、作文には母親に対する憎悪が書き殴られており、相当な怒りと恨みを蓄積していた模様。
母親はコバックスが施設に入っている間一度も面会に訪れず、しかも『仕事』の途中に殺害されてしまうのだが、
その知らせを聞いたコバックスは一言「良かった」と呟いただけであり、そこからも彼の心中が想像されよう。
しかし憎んでいた母親が死んでしまったことで、やり場のない怒りと憎悪がコバックスを苦しめることとなる。

16歳となったコバックスは、施設を出て服飾工場の見習い職人となり、そこで特注のドレスを作成。
白と黒の液体が流動し、常に模様が変わるドレスを彼は絶賛していたが、注文は結局キャンセルされてしまい、
更に注文した女性モデル――――キティ・ジェノヴィーズはレイプされ、拷問された挙句殺されてしまう。
彼女は自宅近くで襲われ、多くの近隣住人が事件を目撃したにも関わらず、全員がただ眺めていただけだったのだ。*1
ここから人間というもの全体に疑問を抱いたコバックスは、ドレスをマスクに改造。
『ロールシャッハ』を名乗って、犯罪社会と戦い始めた。

そしてコバックスの事を理解するヒーロー、ダン・ドライバーグことナイトオウルII世とコンビを組んで、
『アンダーボス』『ビッグフィギュア』と言ったニューヨークのマフィアやギャングを壊滅に追い込み、
『ジミー・ザ・ギミック』や『キング・オブ・スキン』なるヴィランを刑務所にぶち込むなどの活躍を繰り広げる。
だが後年のロールシャッハ曰く、この時期は「クズ共に甘かった」「ロールシャッハのふりをしていたコバックスだった」らしい。
……まあ「もっとお仕置きして!」とか叫ぶ変態ヴィランをエレベーターシャフトに叩き込んでたりはするのだが。

ところが、1975年に発生した少女誘拐事件にコバックスが単独で介入したことが、全ての転機となった。
その少女はたまたま大企業の社長と同じ苗字だったことから、社長令嬢と間違えられただけだったのだが、
犯人からの連絡は無く、「子供が不安で怯えているかと思うと落ち着かない」というコバックスは、
両親に必ず連れ戻すと約束し、独自の調査(14人ほど病院送りにし、15人目がやっと吐いた)を開始。
犯人の自宅を突き止め、ブロンクスにある放棄された精製工場へ向かったコバックスが見たものは……。
当てが外れた犯人によって証拠隠滅のため二匹の犬のエサとされた少女の死体だった。

その時マスクの内側で母ちゃんと呻いて目を閉じたのは「コバックス」だった。
だが、目を開いた時は「ロールシャッハ」だった。……と後に本人は語る。

「ロールシャッハ」は犬二匹の頭を包丁でかち割り、帰宅した犯人へその死骸を叩きつけて動きを封じたあと、
手錠で拘束し、鋸を手渡しつつ「手錠を切ろうとするな。手遅れになる」と言い捨て、灯油を撒いて家屋に火を放った。
後述する映画版では「逮捕してくれ!俺は病気なんだ!」という犯人に対し「人間なら逮捕する。だが、犬は殺す」と包丁を叩き付けている。

この事件により人間と世界、そして神に対して完全に絶望し、狂気に陥ったコバックス=ロールシャッハは
物事を己の善悪という価値観だけで割り切るようになると共に、職業を捨て、悪党への制裁も容赦が無くなり、
ナイトオウルII世をはじめとする他のヒーロー達からも疎遠になり、最終的にはたった一人になってしまった。
だが、誰の指図で動くかという事は関係ない。世界という何のパターンも意味もない模様に対して、自分の正義を叩き付ける。
―――それがロールシャッハなのだ。

「この最低の世界を創ったのは形而上学的な超越力なんかじゃない」
「子供を殺したのは神じゃないし、その死体を犬に喰わせたのも運命じゃない」
「俺たち人間だ。人間の仕業だ」




+ 戦闘スタイル

戦闘スタイル

銃やナイフといった直接的な武器を持ち歩くことはないが、身の周りにあるものや、状況さえも武器にする事が得意。
スプレー火炎放射とかコショウとか便器の水とか。熱々の油を敵にぶっかけてフライにしたり、
冷蔵庫から飛び出して奇襲したり、冷蔵庫から飛び出すと見せかけて背後から不意打ちした事もある。
こうした作戦構築力は、相棒であるナイトオウルII世をして「その戦略は常に予測不能だ」と言わしめる程であり、
原作者であるアラン・ムーアにも「究極のワイルドカード」とまで称されている。
罠に嵌められるという事態に陥り、「No!NoNoNoNoNoNo!!」と叫びながらも現地調達で装備を整えるあたり、
その判断力の高さが伺える。
この時は準備不足のため結局捕まってしまったが、ヒーロー排斥運動の際には一人でニューヨークの東側の暴動を鎮圧している。

前述通り武器は持ち歩かないが、ガス圧でフックを発射するワイヤーガンを携帯。
これはナイトオウルII世の発明品の一つで、超高層ビルの上階まで届く移動用の道具だが、攻撃に使う場合もある。
まあ、攻撃に使った後で「あれを人に向けるなんて思わなかった……」とナイトオウルII世は零しているのだが。
他にも懐中電灯、ダンの家から持ち出した角砂糖、下水道の地図、小銭、日記帳と鉛筆、胡椒瓶、
ダンの家から勝手に持ち出した香水などをポケットに突っ込んでいる。

「心配するな……」
「ちゃんと拷問はしてやるから、口を割っても申し開きはできる筈だ」

また、犯罪者に対して尋問を行う時などに指を折る
全12章中3章においてペキッと指を折っている始末で、ロールシャッハと言えば指折り、と認識している読者も多い。
手間は掛からないし痛みは大きいし戦闘行為も封じる事ができるから、確かに合理的といえば合理的なのだが、
「この男性の小指を折らせてもらった。ブレイクを殺したのは誰だ?」「次は人差し指だ。誰がブレイクを殺した?」
などと言いつつ、ペキペキと気軽に人の指を折っていく姿は本当に怖い。
さらに声の調子で嘘をついているかが分かるというからもう、何というか……。

ちなみに高度なピッキング技能も所持し、軍事研究所の最高機密室や、大企業の社長室にアッサリ忍び込める。
そして鍵が開かなくても一捻りでぶっ壊せば問題なし。まさに不法侵入のプロである。


         ┌-─-┐
         .l____l
         |::::::::::::::::::::|
       <=────=>
         | ▼▲▼ |      ロールシャッハが
        /ヽ・┓┏・/\    >>1の指を折りに来ました
      _/ :::<i\___/i>:: ヽ_
     /~ \ ::: ('┌-┐')::::/ ~\
    /  <  .(/:::::::|丿 フ  / \
   i ゝ :::::\ \/ソ/::: イ   i
   i   | :::::::::/_/:::::::::: |    i



+ 精神的『超人』

精神的『超人』


『ロールシャッハ記 1985年10月12日』
『今日、路地裏で犬の礫死体を見つけた。裂けた腹にはタイヤの跡がついていた』
『この街は俺を恐れている。素顔を覗いた俺を』
『この街の通りはドブも同然だ。人の血の流れるドブだ』
『いつか下水道が溢れれば、クズどもは全員溺れ死ぬだろう』

とまあ、ガチでキチガイな男だが、そのハードボイルドな言動や、
作中起きる事件の真相を知り、多くの仲間が屈しても最後まで妥協せず、己の正義を貫いた姿勢。
そして独善的で冷酷でありながらも、子供を前にして見せる優しい態度と、その過去。
ナイトオウルとの間に存在する、不器用ながらも決して揺るがない友情。
こういった事柄が、ロールシャッハの人気を支える要因となっており、
彼を単なる狂人ではない何かとして見させる原因となっている。

またロールシャッハの持つ一切の妥協を許さない強烈な意志力、己の正義に異常なまでに忠実な姿は、
彼がニーチェが『ツァラトゥストラかく語りき』で提唱した、精神的「超人」である事を示している。
「超人」とは永劫回帰の無意味な人生の中で、自らの確立した意思でもって行動する事のできる存在。
つまり彼は「自身の善悪観が世界に屈服しない生き方」を貫ける、強靭な精神の持ち主なのだ。
何せ彼はただの人間にも関わらずに対してさえ「No」を突きつけた男である。
『ウォッチメン』という物語において、たった一人で最後の最後まで、
「自分の死」を前にしても、「自分のせいで世界が滅ぶ可能性」を前にしても、その全てを省みず自分を通した
これは確かに並の精神状態の人間では到底真似のできない事ではある。
+ 精神的『超人』の行く末

そして原作者アラン・ムーアも、ロールシャッハを以下の様に評している。
「彼をモラルの価値が地に落ちた時代を行く聖戦士と見るか、
 無差別に殺害を繰り返すサイコキラーと見るかは、読者の自由だ」

「俺たちは実は凄い力を持っているんだが、ソファに座ってビール片手にテレビを見ているだけだ。
 スーパーパワーがあったって、やっぱりソファに座ってビール片手にテレビを見てるだけだろう。
 馬鹿がコスチュームを着たところで、変な格好のおかしな奴が1人増えるだけだ。
 ヒーローってのはスーパーパワーがあるとか、コスチュームを着てるって事じゃない。
 自らの意思でもって世界を良くしようと戦う人々の事を言うんだ

そうは言っても極右、ブサメン、(おそらく)童貞*2、職業:無職、自称警備員。
昼間は素顔で『The End is Nigh(終末は近い)』と書かれた看板を担ぎ、街を歩き回っており、
日本に原爆を投下したトルーマン大統領を「平和のためには仕方ない決断だった」と賛美し*3
気が狂っているのでヒーロー活動以外に気を配る精神的な余裕は無く、部屋は汚いし、食器は洗わないし、
服は洗濯してないし、風呂にも入ってないので体臭がきつい。
栄養が補給できれば良いので食事に頓着せず、主食はハインツの超マズイ冷えた豆の缶詰と角砂糖。
身長167cmで底上げ靴を着用(ちなみに映画では着用していないのでチビのままである)。
愛読書は右翼系雑誌『ニュー・フロンティアーズマン』。書いてあるのはソ連と共産主義の悪口ばっかり。

+ 素顔ネタばれ
原作ではこの通りブサメンである。こっちみんな。

映画では原作と似ているけどイケ…メ…いやもちろんイケメンです。
ただ風呂に入ってないだけです。

ちなみに趣味は日記をつけること。
毎日こまめに書く姿は几帳面だが、内容は犯罪社会に対する憎悪でいっぱい。
この日記は本物と下書きの2冊があり、常に持ち歩いているのは下書きのほう。
本物は住んでいるアパートの床下にスペアの衣装&マスクと共に隠されている。
下書きは誰にも読めないよう汚い字で書かれていて、本物も読めないとまではいかないが読みづらい。
普段から大文字と小文字がごちゃ混ぜになっているロールシャッハの文章は、精神的な不安定さの象徴なのだろう。

そんな彼の日記は最後に世界の運命を変える……かもしれない。

ま、まあ、ヒーローである以外は全くの駄目人間だったりする点も彼の人気の秘密だろう。
……うん、なんだこのメモは?

BeHinD yOU.┓┏.




+ 相棒のナイトオウルII世について

相棒のナイトオウルII世について

ナイトオウルII世=ダニエル(ダン)ドライバーグは、科学兵器を駆使して戦うヒーローである。
『ウォッチメン』世界における最初期のヒーロー、初代ナイトオウルに幼い頃から憧れていたダンは、
初代ナイトオウルが引退すると同時に弟子入り。二代目としてナイトオウルを襲名し、ヒーローとなった。
各種防護服や特殊ゴーグル、ホバーバイクやレーザーガン、音響攪乱装置に強化外骨格など様々な特殊装備を所持しているが、
中でも一番優れているのは、ステルス機能を持つ特殊飛行船オウルシップ、通称アーチーである。
映画『王様の剣』に登場する梟の名をつけられたこの船の性能は、現実より技術の発展しているウォッチメン世界においても優秀で、
機関砲、火炎放射、放水銃などの様々な武装を持つほか、アメリカから南極大陸まで軽く数時間で飛行できる速度を誇る。
尚、これらは全てダンがハーバード大学で学んだ技術の集大成であり、彼が自分で発明したものである。

アラン・ムーアが言う所によれば「バットマンやその手のヒーローにありがちな装備の大半を持っているヒーロー」との事。
彼のモデルはチャールトン・コミックに登場した2代目ブルー・ビートルという、やはり同じタイプのヒーローだったりする。

今のところMUGEN入りはしていないが、ロールシャッハがいるのだし此方の登場も期待されているところである。
まあ、それまでは蝙蝠男の茶色カラーが正にナイトオウルそのものだから、それで我慢しよう。
某大会にもそれで登場してたし。ムーアも意識したそうだし。

………と思ったら初代の方が先にMUGEN入りする事となった。……めげるなダニエル。

+ ナイトオウルの詳細(原作ネタバレ注意)
「あの頃は楽しかったよな、ロールシャッハ。どうしてこんなことに…」
「自分で降りたんだろ」

引退した現在はアパートの管理人をやりつつ野鳥の生態に関する論文を書き、悠々自適の生活を送っているのだが、
初代ナイトオウルと思い出話をしたり、時々訪ねてくるロールシャッハの相手をする以外に楽しみはなく、
「このレストランにいる他の客は全員悪党で、なんとか出来るのは自分だけだ!」などという
とんでもない妄想にふけり、危ういところで我に返って冷や汗をかく、という事も多い。

なおロールシャッハと、ナイトオウルを引退したダンとの間には、その後も奇妙な友情が続いている。
ロールシャッハは、家に押しかけ鍵をぶっ壊して侵入し勝手に豆の缶詰と角砂糖を食べる、という迷惑な友人なのだが、
それは単に友人の作り方や接し方がわからないだけであり、その点を理解しているダンは苦笑しつつも受け入れてくれている。
ロールシャッハ本人もその辺りは気にしているらしく、「お前が怒る理由もわかる。すまない、苦労をかける」と言う事も。
またロールシャッハの事を理解してくれているのはナイトオウルただ一人だけである一方、
他のヒーロー達の多くは、仕事だから、有名になれるから、と言った動機でヒーローを行っていた為、
ヒーローに対して情熱を抱き続けているナイトオウルを理解できるのは、やはりロールシャッハだけなのだ。

基本的に行動が過激なロールシャッハを諌めるのは、往々にしてダンの役目である事が多いのだが、
初代ナイトオウルが殺されたと知って激昂するダンを、逆にロールシャッハが落ち着かせ、
「ヒーロー狩りの黒幕を倒せば仇が討てる」と慰めるシーンも存在する。
実際このコンビは強力で、原作後半で再結成した際には、数時間で事件の黒幕が判明してしまった。

つまり、お互い何だかんだ言いつつも唯一無二の親友として相手の事を大切に思っているという事である。


「……ダニエル。お前は良い友人だ。わかっている。すまん……苦労をかけるな」
「いや、その……すまない、忘れてくれ。良いんだ、君のやり方で行こう」

+ 映画版

映画版


長らく実写化不可能と言われていた『ウォッチメン』だが、ザック・スナイダー監督により待望の映画化。
09年3月には日本でもR-15指定で公開された。
年齢制限が施されるだけあってコミック版よりも描写が過激となっているので、観てみたいという人は気をつけよう。

ロールシャッハ役はジャッキー・アール・ヘイリーであるが、もう本物なんじゃないかという程の怪演っぷり。
ちなみに彼は「ロールシャッハ役ならヘイリーじゃね?」というネットの書き込みを見て原作に触れて以来の大ファンで、
『ウォッチメン』の製作が決定されるや否や、ロールシャッハの登場する場面を自主撮影し、監督に送りつけて役を物にしたという。
ちなみに日本語版の吹き替えを担当したのは、『仮面ライダー剣』のプラズマチョチョン烏丸所長やOVA版『鉄拳』の三島一八を演じた山路和弘氏。
ロールシャッハは「絶対に妥協しない男」であるが、烏丸所長もまた「絶対に謝らない男」である。
なお、山路氏は後にバットマンの映画『ダークナイト・ライジング』でベインの吹き替えを担当した。

まあ映画化する都合上、原作との違いもまま見受けられるのは仕方ない。
『ウォッチメン』にすべてを捧げた男の、些細な過失を議論する必要はないだろう。
……『イカ』の事は仕方ないとしか言いようがない。

ちなみにアメコミ界最狂のヴィランであるとの類似もよくあげられ、
双方揃って同年に映画化されたことから、ファンによるMADが製作されていたりもする。
ゴッサム終了のお知らせ。

+ ゲーム版

ゲーム版


キーン条例施行以前の『ウォッチメン』世界でおきた、ある重大な事件を巡るストーリー。
原作では部分的な情報のみで殆ど描写されなかった、現役時代のロールシャッハ&ナイトオウルの活躍が描かれている。
X-BOX360専用。他のアメコミゲームと違って、クソゲーではない。ストーリーも秀逸。
ファイナルファイト』や『エイリアンVSプレデター』のように、単調だが爽快なアクションゲームに仕上がっている。
残念ながら日本語訳はされていないので 有志による和訳 を参照のこと。

更にキーン条例施行直前、ロールシャッハとナイトオウルの決別を描いたpart2も発売。
此方も 有志の和訳 が完了した。
なお、本作のシナリオ担当はアラン・ムーア氏ではない為、原作との食い違いが若干見受けられる。
なので、あくまでIfストーリー、あるいは映画版世界のストーリーとしてプレイすべきだろう。

他にも初代ヒーローチーム『ミニッツメン』を題材にした、ヴェイト社製のゲームも存在する。
ファイナルファイト』を思わせる横スクロールアクションで、興味のある人はぜひ こちら も触れて欲しい。

+ アニメ版?

アニメ版?

『ロールシャッハは動物と仲良し!』
「バッカで~す!」
+ 全年齢向けにした結果がこれだよ!!!
ドラゴンボール』がレボリューションしたりと原作レイプに定評があるうえに、
ぐだぐだと権利だけ確保しながら撮影をしなかった事からファンに恨まれていた20世紀FOX。
更に権利を売却しておきながら、予告編が公開されるやいなや、自分達も一枚かませろと訴訟を起こした。

しかも裁判においては当初から徹底抗戦の姿勢を崩さず、あまつさえ
「我々はウォッチメンを素晴らしい作品にしたいだけなのです!」
などとのたまい、公開中止にしろと騒ぐ始末。
結局、裁判は和解にもつれこみ、ワーナーはFOXに収益の一部を支払う形になったのだが、
FOXのやり口は『ウォッチメン』読者のみならず、一般の映画ファン・漫画ファンをも敵に回した。

「20世紀FOXが権利を転売せずにそのまま映像化していたら、きっとこの程度の下らないアニメしか作れなかっただろうさ」
という皮肉をこめて、21歳のイギリス人学生ハッピー・ハリー氏が製作したアニメが……コレだ。
原作のツボはきっちり押さえつつ、それをうまくパロディへと昇華させている良作である。

ちなみに、ハッピー・ハリーは『ウォッチメン』に登場する怪しげな酒場のオーナーの名前。
悪党やチンピラがたむろしているような場所のため、ロールシャッハが行きつけにしている。
とりあえず事件が起きたら真っ先に駆けつけ一本で指をぺキッと。

「ここの前に二軒回ってきた。救急車の音が聞こえなかったか?
  ここでは収穫があると良いが」

「あ……あの……その……お願いだ。誰も殺さないでくれ……!」


MUGENにおけるロールシャッハ


"I hope you're ready, "Hero"!?(覚悟は良いか、ヒーロー!?)"
"WhEn yOU aRe.(そっちが良ければな)"


SeanAltly氏が作成。kamekaze氏によるAIが搭載されている。最新版はMUGEN1.0専用。
ドットやモーションはセスQなどを改変して使用していると思われる。
イントロから戦闘スタイルから勝利ポーズまで、ロールシャッハを知る者にとっては感涙の原作再現度である。
もしも使うのであれば、前述の原作コミック日本語版を読んでおいた方が絶対に面白いだろう。
原作通りスプレーとマッチを使った火炎放射やワイヤーガン、包丁やタックルなどで戦う。
相棒ナイトオウルII世が操る特殊飛行船アーチーからの支援攻撃もあり、様々な攻撃パターンを保有。
特にアーチーからの攻撃はかなり使い勝手が良いため、ナイトオウルに感謝したくなる事も多い。
ダニエル、お前は本当に良い友人だ。苦労をかけるなぁ……。

相手をマウントで殴りつけた挙句「Die(死ね)」と言いながら包丁を振り下ろすダーティな戦い方はどう見てもヒーローと言うより殺人鬼。
バーイオレーンス! お前のようなヒーローがいるか!
……まあ、原作からしてそういう奴なんだからしょうがない
ちなみにこの技の名前は「キレイなチョウチョ」(A Pretty Butterfly)。その真意は、原作で確認されたい。
また、突進して相手を掴み上げ、"Who Killed Edwrard Blake?(誰がエドワード・ブレイクを殺した?)"と
半ば言いがかりで尋問してボコボコに叩きのめすという技まである。
……まあ、原作からしてそういう奴なんだからしょうがない。大事なことなので2回言いました。
2009年5月23日には映画版サイズの小さなロールシャッハも公開された。

公開当時は下段技が一切無く火力も控えめなかわりに、射程が長く出も速いガード不可のワイヤーガンを装備している、というやや変わり種のキャラだった。
強と中はしゃがめば回避できるのだが、弱はやや下方に撃つため、しゃがんでも見てからジャンプしても回避できない(当たったら引っ張りこんで追撃できる)というかなり凶悪な性能であった。
人操作だとコマンド入力したらガンを構え、もう一度攻撃ボタンを押して発射というプロセスが要るため、意外と入力に失敗しやすいので注意。
当時のバージョンには、おまけの人氏と森ノ中氏による外部AIが公開されている。森ノ中氏のAIを導入する際には、原作版と映画版で導入方法に違いがあるので注意が必要。
おまけの人氏のAI(大小2タイプの両方に対応)を導入し、ワイヤーガン使用率を最大にしたロールシャッハは、受け身や無敵移動等で対応できないキャラではちょっと太刀打ち出来ない強さであった。
基本的にワイヤーガンで浮かしたところを、オウルシップないしスプレーの火炎放射で焼くというコンボが定番。

また某人物とのタッグAIを導入すれば、トキトキタッグには余裕で勝てるほか、
サキエル&弓塚さつきをはじめとする強力なタッグとも互角に戦え、空中縫い止め+火炎放射が決まれば勝利も夢ではない。
戦闘力を抜きにしても積極的に連携を狙いにいく優秀なAIなので、見ていて面白いのは間違いないだろう。

現行版は下段攻撃を備え、ワイヤーガンが普通の飛び道具と同じようにガードできるようになっている。


この項目の充実っぷりからも分かる通りに、マイナーなアメコミ作品のキャラにも関わらず、ニコMUGENでは大人気であり、
シャッハさんと呼ばれ親しまれている。
最近では登場すると「キャーシャッハサーン!」「来た!シャッハさん来た!これで指折られる!
シャッハさーん!俺だー!指折ってくれー!」という黄色い(?)コメントが飛び交う始末である。
いいのかこれで。

+ 大会ネタバレ注意
某大会では、朝倉涼子と「But who will watch the watchmen?」タッグを組んで参戦。
1回戦でいきなり『1ラウンド5バイオレンス』を決めて相手チームを2人とも殺害。
視聴者達を原作中の犯罪者さながらに、恐怖のどん底へと叩き落とした。

挙句、その後も朝倉涼子と息の合った暴力的な連携で勝ち進み、
ナイフ・包丁・火炎放射な戦闘スタイルで追い討ちをかけ、遂に決勝戦まで進出。
最後の最後までとてもお子様には見せられないバイオレンスっぷりを発揮し優勝してしまった。


その後、まさかのタッグ用AIまで作られてしまった。
確かに『小指』『監視者』『バイオレンス』など共通点も多く、まさに熱力学的奇跡のタッグと言えよう。

+ ちなみに
このタッグAI、特定条件下だと全く妥協しない連携を繰り出す事が可能。
どちらを欠いても成立しない戦法であるところが、相性の妙を物語っていると言えよう。

+ 枠組超え?(Youtube)
またこのタッグは海外受けする要素も豊富なのか、海外の有志によってPVが作られてしまった。

続いて国産のPVもアップされる。

どこまでいくのか見張りタッグ。

『ウォッチメン』のキャラは他にも、Dr.マンハッタン初代ナイトオウルイカが製作・公開されている。


出場大会

+ 表示
シングル
タッグ
チーム
その他
削除済み
更新停止中

出演ストーリー



*1
なお、このエピソードは実際の事件をモデルにしており、「誰も助けなかった」というのは単純に「モラルの低下」が原因なのではない。
今でも「キティ・ジェノヴィーズ事件」(通称キティ事件)として心理学でも実際に取り上げられる。詳しくは「傍観者効果」で検索のこと。

*2
生い立ちのためか、ロールシャッハは大の女性嫌いである。他の女性ヒーローも日記では売女呼ばわり。
では、ゲイなのかと言えばそうでもなく、日記にも愚痴を書いている。
実写映画版ではレズビアンの女性ヒーローが殺された件を「自業自得」と言い切っており、
レイプ魔を殺したり、ポルノを批判したり、性的な事柄全てが嫌いな様である。
見つかってしまったが最後

*3
この辺の要素は、『ウォッチメン』という作品自体のテーマにも深く関わっている。
ネタバレでも良いので詳しく知りたい方は、イカの項目も参照のこと。



      「笑わせるな。たとえ世界が滅んでも……」
                    「絶対に妥協はしない」

+ 妥協しないがモットーです