親友である魔法使いストレイボウと共に魔王討伐に向かう剣士オルステッド。
道中、先の勇者の相棒であった僧侶ウラヌス、また自分に頼りきった人々に失望し隠居していた勇者ハッシュが、
ウラヌスに激励された結果、再び立ち上がって仲間に加わる。
そしてハッシュの持つ 伝説の剣ブライオンの力で魔王山への入り口が開き、魔王と新生勇者一行は対峙に至る。
……が、4人で辛くも倒した魔王は実は「本当の魔王ではない」事がハッシュの口から語られる。
その直後、病魔に蝕まれていた事実を隠していたハッシュは無理が祟って力尽き、
聖剣ブライオンをオルステッドに託してそのまま息を引き取る。
「姫は‥‥ お前が助けに来ると信じている‥‥
信じてくれる者が一人でもいるかぎり‥‥ その人間を‥‥信じるのだ‥‥!」
さらに仕掛けられた罠が突如として発動した事により、ストレイボウも山に生き埋めとなってしまう。
アリシアも見つからず、オルステッドとウラヌスは仕方なくたった二人で城へ帰還する。
心身共に疲労困憊しながら王国へ帰還し事の詳細を王へ報告し、城への宿泊を命ぜられたオルステッドとウラヌス。
ふと夜に、アリシアと魔王の夢を見て目を覚ましたオルステッドは、王座の前で魔王を見る。
今一度と倒した後、その幻影は王の亡骸へと姿を変えた。
「魔王だ! オルステッドは魔王だッ!」
事の顛末を目撃した大臣と兵士達によりオルステッドは反逆者として追われる身になり、
ウラヌスの助けによって一度は城から逃れるも、やがて王殺しの罪状によって投獄されてしまう。
牢獄で彼を待っていたのは、度重なる拷問により命の尽きかけたウラヌス。
ウラヌスはオルステッドに希望を託し、彼を脱獄させるため最期の力で牢獄の扉を開く魔法を放ち、事切れた。
「さ 行くのじゃ‥‥ お前には‥‥まだすべきことが‥‥ 信じる者がいるではないか‥‥」
出発前に自分を持ち上げていた国民達には拒絶され、追ってくる王国兵を殺して、
オルステッドはたった一人で、自分を信じて待っているはずのアリシアの元へと向かうのだった。
しかし 散々な目に遭ってまで到着した魔王山の頂上に魔王の姿は無く、
頂上にいたのはストレイボウだった。
ハッシュが倒れた直後に魔王像の秘密に気付いたストレイボウは、
オルステッドを出し抜いて自分がアリシアを救うチャンスだと考え、罠があるかのように魔法で落盤を起こした。
そう、それは常に自分より上に行くオルステッドに嫉妬したストレイボウの策略だったのだ。
どんなに努力しても常にオルステッドが自分の上にいる。何をやっても自分はオルステッドのオマケ。
挙句の果てには自分が恋焦がれた相手である王女アリシアを、ぽっと出のオルステッドに優勝者への褒賞として取られてしまった。
決勝大会の終わった夜にどんなに苦しんだか、貴様に分かってたまるかとストレイボウはその澱んだ心情をぶちまける。
「あの世で俺にわび続けろ オルステッドーーーーッ!!!!」
本性を現したストレイボウを死闘の末に殺したオルステッド。
だが、呆然とするオルステッドの前に現れたアリシアは彼を拒絶し、殺されたストレイボウを哀れむ言葉を口にした。
アリシアもまた、ストレイボウを愛していたのだ。
「あなたには‥‥この人の‥‥ 負ける者の悲しみなど わからないのよッ!!」
そしてオルステッドに罵声を浴びせたアリシアは、ストレイボウの傍に行くため、自らその胸へとナイフを突き立てるのであった。
「誰よりもあなたを信じます」というアリシアの言葉、
「信じる者が居る限りその者を信じぬけ」というハッシュの遺言。
その二つの言葉を胸に今まで黙々と突き進み、登場人物として一言も話さなかったオルステッドがここでついに初めて口を開く。
だが、そこから漏れてきたのは「全てを失った男が発する絶望の声」だった。
「私には‥‥ もう何も残されてはいない‥‥
帰る所も‥‥愛する人も‥‥信じるものさえも‥‥」
「私は今より‥‥
オルステッドなどではない‥‥
わが名は‥‥
魔王‥‥ オディオ‥‥!」
この作品は当時ありふれていた「その手の正統派RPGへのアンチテーゼ」として作られたものであり、
システムも当時のRPGとしては独創的なものが多く 全編通して「買い物」システムが存在しない、
独特の戦闘システム、当時のRPGとしては珍しい シンボルエンカウント
(原始編と中世編・最終編のみシンボルが不可視。前者はコマンドで見えるが)等と、あらゆる点で異色のRPGである。
しかも各シナリオによってプレイスタイルも変わり、ストーリーによってはRPGと言うよりAVGに近いものまである。詳細は各自検索されたし)。
また、タイトルの『LIVE A LIVE』のロゴの二つめのLIVEは鏡文字になっていて、
『LIVE A ヨVI」』→ 「EVIL(邪悪)」とも読める事からオルステッドの運命を暗示しているとも言われる。
その悲劇的な運命から「RPG史上最も不幸な主人公」「 RPG三大不幸ラスボス」「 RPG史上最も気の毒なラスボス」の全てにおいて名前が挙げられるとか。
ちなみに同じく不幸な主人公の代名詞として 『DQV』の主人公の名前が挙がるが、
彼が最終的に幸せになる事を思うと、オルステッドの悲惨さが際立つ。
というか、生まれた時から不幸で最後の最後でやっと幸せになれたDQV主人公と、
少なくとも中世編開始までは全く不幸ではなく、お姫様との結婚まで約束されたのに、
親友の裏切りで最悪の状況に叩きこまれたオルステッドはベクトルが真逆と言わざるを得ない。
最終編
「その感情の名を‥‥ 『憎しみ』あるいは‥‥ 『オディオ』というッ!!」
中世編クリア直後に突入する最終編では、
主人公としてオルステッドを含めた8人(功夫編を考慮すると厳密には10人)から1人を選択する。
が、当然ながら魔王になったオルステッドとそれ以外では内容が大きく異なっている。
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最終編:オルステッドが主人公の場合 |
「英雄達は、たまたま運が良かっただけ」と自らの無念を晴らすべく、
今まで戦った各編のラスボスを操作して、他の主人公と戦う。
SAD END
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忙しい人向け戦法を気にしてはいけない
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結末は「SAD END」。全ての英雄を倒し復讐を果たしたオルステッドの胸中は…。
また、各編のラスボスが追い詰められた状況になると「ハルマゲドン」という技が使える。
…が、よりにもよってその内容はラスボス(プレイヤー)ごと主人公や世界をまとめて滅ぼすというもの。
無論、他の次元も関係なく巻き込むほどであり、そこで物悲しいBGMと共にスタッフクレジットが流れ…
なお、他の主人公の時でも、ピュアオディオに敗北してしまうとこのエンディングになる。
余談だが、このハルマゲドンは「逃げる」のコマンドに上書きされる
(当然逃げられないし、ついでにHPを回復させて「逃げる」のコマンドに戻しても効果はハルマゲドンのまま)。
オルステッドの胸中を考えると、つい深読みしてしまうものである。
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最終編:オルステッド以外が主人公の場合 |
「来たれよ‥‥
人間に いまだ幻想を抱くものよ‥‥
いざなおう‥‥
真実を知らしめんために‥‥」
歴代オディオを倒した前7編の主人公達は、オルステッドによって滅ぼされたルクレチア王国に召喚される。
見知らぬ世界で彼らは出会い、協力し、やがて魔王オディオに勝利する。
「お前達の勝ちだ‥‥ さ‥‥ とどめをさせよ‥‥」
全てに絶望したオルステッドは彼らに介錯を要求するが…。
主人公と人間オルステッドの一騎打ちとなる。
オルステッドの能力は中世編準拠のため、キチンと主人公を育てればまず負けないはず。
介錯時の台詞がノリノリな連中(コイツとか)が多いが、気にしてはいけない。
ちなみにこちらでもエンディングが流れるが、ラストに表示される文字は「 NEVER END(終わらない)」。
「まだだ‥‥! まだ終わらぬ!!」
英雄たちへの敗北に納得できないオルステッドが、各編のラスボスを召還して戦う。
各編のラスボス戦が直前のイベントと共に再現された7連戦のボスラッシュ。
そしてまたしても敗北するが…
「他の主人公達に負けたオルステッドが何故勝てないのかと叫ぶ→最終編に選択した主人公が反論する」
という流れに行き着き、オルステッドはそれを肯定しながらも誰もが魔王になり得る事を言い残し、消滅。
その際、最期の力で主人公達を元の世界に帰す。
なお、他7編の主人公は誰もがおよそ当時のRPGでは珍しい個性的な連中であり、
アキラや レイのように熱い会話になるものや、
ユンや おぼろ丸のようにオルステッドに静かに語りかけるもの、
サモや サンダウンのように泣かせる会話になるもの…と様々。
それぞれの世界で体験し、困難に立ち向かってきた彼らだからこそ、
発せられる台詞…正に締めに相応しい最後にして最高の名場面である。
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…はずなのだが |
中には人外だったり人でも真っ当に喋れないキャラすらいるので、
選択キャラ次第ではこの流れで物凄い無理のある会話をする羽目になる。
キューブ(ロボット)と ポゴ(原始人)の場合は特にそれが顕著になる。
…というか、キューブの場合 言葉が返ってこなくてもオルステッドは納得してしまう。 …お前それでいいのか。
キューブ「‥(起動音)‥」
オルステッド「なぜだ‥‥人の心を持たない機械になど‥‥
‥‥! そうか‥‥機械ゆえに‥‥大事なものは一つ‥‥
私はいろいろと‥‥考えすぎていたかも知れん‥‥」
一方、もう一人のぶっ飛んだ締めになるポゴの場合…
…一応上記を補足すると、
SF編のラストは 「ダース伍長がキューブに一方的に話しかけているうちに人間の愚かさに気付く」というもので、
原始編でポゴが戦った理由は 「好きな女の子を守るため」。
基本的にそのキャラのシナリオをなぞった展開なので言いたい事自体はきちんと伝わっていたりする。
むしろ「ハートも最強になりてえんだ!!」で押し切ってしまった知力25の方がよっぽど(ry
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なお、ここまでに7人全員を仲間にしておくと凝った演出の入るトゥルーエンドになる
(一人でも仲間を見付け損なっていると、黒背景に主人公のテーマBGMのみが流れる少し寂しい仮ED。
トゥルーエンドの存在を知らず糞ゲーと評価する人もいた)。
……ここまで読んでもうお分かりだろうが、最終編のエンディングは大きく分けて4種あるものの、
どのエンディングもオルステッド自身は救われない終わり方である。
或いは「人間を捨てて魔王になる事」を選んだ自分の選択を否定される事、
もしくは主人公達の信念に影響され人間性や良心を取り戻す事こそが、
彼にとっての真の救い(トゥルーエンド)だったのかもしれない。
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