『Fate/Grand Order』デビューである2016年期間限定イベント「ぐだぐだ本能寺」では、
腐れ縁たるノッブがなんやかんやあって聖杯に頭から落ちてしまい、大量に溢れ出たノッブの分身体「ちびノブ」の駆除、
そしてぐだぐだ因子に憑りつかれ日本の戦国武将( と残念キャラになる副作用)の意識に引っ張られ暴走したサーヴァント達の退治に乗り出すこととなる。
ぶっちゃけると沖田さん一人だけ幕末なので場違いも場違い。シナリオでは基本病弱スキルが発動しがちで、肝心な時にダウンとお荷物状態。
でも 島津セタンタと 長宗我部エミ親に一行が負けそうになった際にその憑りついている武将の出生地を知ってしまい、
新撰組としての後年の恨みが爆発(明治政府の薩長藩閥政治的に)。
上記の台詞を述べたかと思えばいきなり第三再臨で新撰組隊士服化し、一太刀に斬り伏せるという隠し玉と化した。
でもその後はやっぱり吐血してばっかでした。
そして2017年、「ぐだぐだ明治維新」が開催。此度の舞台は幕末。
四月のうららかな暖かさの中で、ぐだぐだとカルデアでマスターらと過ごしていた沖田とノッブの下に現れたのは、自身を茶々と名乗る バーサーカーの少女。
織田信長の姪にして お市の長女であり 豊臣秀吉の側室でもある淀殿その人であった。
自分が召喚された時代の日本がおかしくなっている、と援軍を求めた茶々の話を信じレイシフトしてみると、そこは幕末日本。
そして慶喜公の死により 徳川幕府は倒れ新たに建てられた「織田幕府」を名乗る勢力と、それを倒幕しようとする「新撰組」を名乗る組織。
そこにいたのは織田信長を名乗った信長の実弟たる織田信勝と、沖田が忘れる筈もない新撰組鬼の副長土方歳三。
そして双方の勢力にいる大量の意味不明な改造ちびノブ達。かくして「織田幕府」と「新撰組」に分かれたぐだぐだな勢力戦が始まることに。
…そしてなんやかんやあり、この乱れた時空の日本の黒幕が判明した。信勝と、金色魔太閤秀吉。
金色魔太閤秀吉とは、かつて第一部終章にて倒された ソロモンの使役下の魔神の一柱タクアンアンドラスが「死にたくない」という自我に目覚め、
最終決戦から逃亡し流れ流れて辿り着いたこの時空にて、没した亡骸の妄執が生み出した呪いの暴走だった。
そこに茶々の「豊臣が滅んでほしくない」、信勝の「姉上と楽しくやれていた幼少時代を永遠としたい」、土方の「新撰組は不滅だ」という、
あらゆる「滅びを拒絶するもの」の願いを核として、この歪な幕末が時空の特異点として発生した。
核にされた茶々を金色魔太閤から引き剥がし、信勝の愛憎を信長が姉として受け止めた上で引導を渡した。
そして核を求める金色魔太閤を斬り伏せ、「死にたくないと思って死ねることが生命として幸福」と悟らせ消滅させた。
…しかしまだこの特異点が消滅しない。土方が、「自分がまだ残っている」と名乗り出る。
このままでは主人公達は永遠にこの時空に囚われたまま。しかし土方も、「新撰組は滅びない」と言って聞かず、「どうしてもと言うなら俺を斬れ」と叫ぶ。
沖田は悩んだ。かつての誠の旗の下戦った同志。家族同然の土方に刃を向けるなど。ただでさえ最後まで病により戦えなかった負い目もある。
主人公が述べた。「いや、ここが沖田さんの新撰組だよ」と。
沖田は、目が覚めた。そうだ、今の自分はこの人の刀だと。主人公に礼を述べ、土方に向き直る。
「そうでした……、今の私はマスターの剣!」
「土方さん!」
「───私は、私の『誠』はここにあります!」
「なんだ沖田、てめぇ病で抜けた割にはほざくようになったじゃねえか……。」
「だが『誠』の一字を懸けるというなら容赦はしねえ。」
「おまえの旗と俺の新撰組、どっちが本当の新撰組か決着をつけてやる!」
「──いくぞ、新撰組、前進ッ!」
かくして、この愛しきぐだぐだな世界は、幕を閉じた。
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