NieR Re[in]carnation ストーリー資料館
鉄塊
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nier_rein
その武器は無用の長物とされた。人が振るえぬほどの重さだと。人を殺すには不必要なほどの大きさだと。何故このような武器が作られたのか、知る者はその国にはいなかった。
その武器は溶かされた。そしていくつかの、鎧と片手剣に姿を変えた。鎧は魚の鱗ほどの薄さだったが、貫かれることはなく、剣は猫の尾ほどの細さだったが、折れることはなかったという。
その武器は屍の山を築いた。鎧と片手剣を装備した兵士たちは、戦場を蹂躙し、敵を殺し尽くす。その鎧で命が守られる度、その片手剣で命を奪う度、兵士たちは得も言われぬ興奮を覚えた。
その武器で勝利を収めた兵士たちは気付く。鎧が脱げないことに。剣が手を離れぬことに。そしてそれらは互いに引き合い、兵士を巻き込み、やがて一つの鉄の塊となった。元より大きな鉄塊に。
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DOD
この世界で最も大きな剣。普通の人間では振るうどころか動かすことすらできず、今までこの剣を使おうと思う人間はいなかった。
この大剣を所持していた「バッカス将軍」は、弱者の命でさえも容赦なく奪う冷血漢で、自分の力を誇示するために殺した敵の鎧を溶かし作り上げた。
命を奪う度に重くなる大剣。次第に持ち運ぶのさえも困難になり、誰にも、当の本人さえも扱えなくなっていった。
ある朝、バッカス将軍の惨殺死体が見つかる。屍の傍らには血に染まり肉片の付いたこの鉄塊。いったい誰がこの剣を振るったのであろうか…
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DOD2 ※『折れた鉄塊』として登場 |
DOD2 ※『折れた鉄塊』として登場
かつて世界で最も大きな剣と称され見る者をその迫力で圧倒していた雄姿は見る影もなく、剣というにはあまりにも惨めな塊に変わり果てていた。
剣が健在でいた時代。以前の持ち主は、この剣をとても人の力では扱えない代物までに鍛え上げ、それでもまだ何かに取り憑かれるように、刀身に使える素材を探し集めた。躯から鎧を剥ぎ取り、武器を奪い骨をも抜き出しては、打ち合せ剣の一部としていた。
次第に剣は斑に色を変え、剣先に行くほど赤黒く伸びていく。その相反する色は、まるで隠り世と現世の境にも見えた。ある時、子供をさらい生きたまま製錬し剣に打ち込んだが、決して交わることはなく、赤黒い鉄はすべて砕け散ってしまった。
剣は再び比類なき巨体を誇示させるために新たな刀身と、その身を鍛えられる者を探し続けているらしい。
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NieR Replicant |
NieR Replicant
我は産声を上げる。
熱く熱せられた鉄がその身を形作る時。鋼の槌が我が身を打ち叩く時。
薄闇の中に燃えさかる深紅と、鋼の火花の照り返す白光が見守る中。
約束された業苦を与える為に。
我は鉄塊と呼ばれし武器。轟音から生まれ落ちる刃。
我は死を与える。
敵の畏怖と悲鳴を喜びに変え、その鉄の肌に臓物を飾りつけて。
人の命を奪う時、暗い喜びが我が身を満たした。
人の身を押しつぶす時、自らの生まれた意味を知った。その歓喜を伝える為に、人を殺し続けた。
我は鉄塊と呼ばれし武器。我は殺す。殺す。殺す。殺す。
我は砕かれる。
戦いと残血の果てに、憎悪と怨念がこの身を引き裂く時。
魔の理が引き起こす力と、飛び散る鉄の牙が血風を巻き起こす。赤い竜と戦いしその日々。
我は鉄塊と呼ばれし武器。呪われし鋼は眠りの黒へと沈む。
我は夢を見ている。
それは、小さな蝶の夢。
ちいさな雨の中、懸命に飛ぶ蝶の夢。
我は鉄塊と呼ばれし武器。深い夜の中、叶わぬ夢を今も見ている。
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DOD3 ※『折れた鉄塊』として登場 |
DOD3 ※『折れた鉄塊』として登場
鉄鉄鉄鉄鉄鉄鉄鉄鉄鉄鉄鉄鉄鉄鉄鉄鉄鉄鉄鉄鉄鉄鉄鉄鉄鉄鉄鉄
鉄の塊は鍛え上げられる。堅さこそ戦場での強さだったから。
鉄鉄鉄鉄鉄鉄鉄鉄鉄鉄鉄鉄鉄鉄鉄鉄鉄鉄鉄鉄鉄鉄鉄鉄鉄鉄鉄鉄
殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺
鉄の塊は殺しまくる。それが彼の存在する意味だったから。
殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺
肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉
鉄の塊は命を奪う。そうすれば願いが叶うと思っていたから。
肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉
血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血
鉄の塊は血の涙を流す。もう人には戻れない事を知ったから。
血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血
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NieR:Automata |
NieR:Automata
長きに渡る惰眠により鈍らと化した刀身は、その名の通りただの鉄の塊だ。血に彩られし過去は全て赤錆び、ざりざりと音を立てて剥がれていく。
不快な重みしか与えないこの塊を、誰が振るおうか。斬るのではなく肉を叩き潰すだけのその塊を、誰が好もうか。振るうほどに狂気に駆りたてるその武器を、誰が愛そうか。
眠り続ける平穏に安堵する。戦わなければ血でこの身が砥がれる事もない。このまま崩れて滅びる事も出来よう……だが、力を求める愚か者達はその安らぎを許しはしなかった。
剥がれ落ちる赤錆びは鉄の涙。血と肉と脂に塗れる姿こそが呪いの証。ならば筋を斬り割こう。肉をすり潰そう。骨を砕こう。それが我が身の贖罪であるのなら。
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SINoALICE |
SINoALICE
とある荒野より発掘されたその剣は、
剣と呼ぶには余りに大きい代物だった。
戦闘に使うには重く、儀礼用にしては武骨過ぎる。
考古学者たちは、この剣の意義が分からなかった。
その剣が出土した地層と、同じ時代の文献を調べると、
この剣に関する逸話が見付かった。
どうやらこの剣の持ち主であった騎士は、
たった一人で、争う二国を二つとも滅ぼしたと言う。
この剣の材質を調べてみると、驚くことに、
鉄以外に、人間の骨や血の成分が含まれていた。
考古学者たちは、戦死者の装備や遺体から作られた、
戦争の戒めを目的として作られた物だろうと考えた。
戦争が起きて、考古学者たちは逸話が真実であると知る。
剣を保管していた倉庫に、文献にある騎士が現れたのだ。
騎士の正体、それは剣に宿る数多の怨霊の群れ。
彼等は戦争を繰り返す愚かな生者を、決して赦さない。
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