12月。この地には滅多に雪が降らないが、内陸特有の底冷えする寒さが駐屯地を襲っていた。隊員らは身を寄せ合って酒を飲み、寒さをやり過ごす。この時期、隊員らの話題も華やぎ、遠い地にいる家族や恋人の話が増える。青年の周りも、例外ではない。
青年には恋人はいなかった。しかし、隊員らの話を聞くともなく聞いていると、ふと昔の恋人のことを思い出していた。戦地に派遣されることが決まる少し前に、別れを告げた相手だ。長い間離れ離れになり、生きて帰ってこれる保証もないと思っての決断だった。
彼女は今も、雪深い祖国で、きらきらと降り積もる真っ白な雪を見ているだろうか? 死と隣り合わせの自分には、彼女を愛する権利はないと信じていた。なのに隊員らは、祖国へ残してきた恋人のことを嬉しそうに話した。それが、彼らの戦うべき理由なのだった。
次の朝は雪が降った。地面に触れてすぐ溶ける雪のせいで、道はぬかるみ、酷い悪路となったが、隊員らは普段と変わらぬ態度で戦地へ出ていった。青年は決めた。次に祖国に帰ることがあったら、あの娘にもう一度会いに行ってみようと。
武器種 | 銃 | レアリティ | ★★★★ |
属性 | 火 | シリーズ | 近代軍記 |
追加日 | 2021年5月20日 | ||
EN | War's Chronicle IV | ||
解放: グリフ(形而上の兵長) |