遊☆戯☆王5D's STARDUST ACCELERATOR -WORLD CHAMPIONSHIP 2009-

登録日:2021/11/07 Sun 23:34:35
更新日:2025/05/24 Sat 18:34:34
所要時間:約 14 分で読めます




「遊☆戯☆王5D's STARDUST ACCELERATOR -WORLD CHAMPIONSHIP 2009-」は、2009年3月26日発売のニンテンドーDS向けのゲームソフト。
WCSシリーズの一作で、シリーズ初の5D's期のソフトである。
ちなみにゲーム作品全体で見ても、5D'sの名を冠するのは、同日発売となったWiiの「遊☆戯☆王5D's Wheelie Breakers」と共に初。
今作からはライディングデュエルが実装されており、それに合わせて独自の要素が多数生み出された。
収録カードはパックならCRIMSON CRISIS、デュエルターミナルなら魔轟神復活!!まで。
完全収録ではなく抜けているカードも多いが、それでも使えるカードは約2800枚を誇る。

ゲームは主に2モード。
基本のストーリーモードと、様々なデュエリストと戦えるWCSモードで遊ぶことができる。


ストーリーモード

サテライトで目を覚ました主人公。しかし彼(彼女)は記憶を喪っていた。
遊星やラリーに助けられた主人公は、Sp(スピード・スペル)*1を持っていたことからDホイーラーでないかと予想され、自らの正体を知るべくシティへと向かう……


主な登場人物
アニメ初期で使用したカードの多くは当時既にパックに収録されており、デッキの再現度は全体的に高め。
この時期の雰囲気は良く再現されている。

  • 主人公
(本ゲームの)主人公。男女から選択可女主人公の場合は紫のツインテールにしたりレースクイーンにするとおっぱいが良く見える*2

記憶を失いサテライトで倒れていたところをラリーに拾われ、遊星らと親交を深めていく。
所持品に当然のようにデッキとデュエルディスクがあり、それに加えてライディングデュエル専用のSpを持っていたことが手掛かりとなり、記憶を取り戻す為に奔走することとなる。
何かのきっかけで断片的な記憶が蘇るようになり、ラリー達からはサテライトではなくシティに縁があると目されるようになる。
初期デッキは【グッドスタッフ】。なんとか戦えなくはないカードが1枚ずつ投入されている。サイドデッキも含まれば50枚。
中盤では、ある出来事によってデッキとDホイールを没収されてしまうが、雑賀の手助けで無事に取り返し、保管所内をD・ホイールで疾走する。CERO-A仕事しろ。
ときおり腕に謎の赤い痣が浮かび上がることがある。その正体は……?

+ その正体は……?
実はある人物によって痣の移植を受けた実験体である。

(アニメ本来の) 主人公
シャイな初期遊星なので会話が少ないが、一見クールなようですぐ熱くなる(キング談)性格。
アニメ遊星に近い形で(ゲーム)主人公が行動するため、主人公が色々やっている裏で行動することになりちょっと影が薄い。
使用デッキはアニメに近い【ジャンク】。
エースは《スターダスト・ドラゴン/バスター》なのだが、キャラ縛り的に星4チューナーや《サイバー・ドラゴン*3を避けつつ/バスター構築したために《スターダスト・ドラゴン》を出す時点で不安定。人間がガチでやってさえ難しめの時期なのでお察し。
ジャンク・ウォリアー》達のジャンクシンクロデッキも持ち、そちらの方がまだ安定している。

ちなみに、今作の登場デュエリストはスタンディングとライディングに二分されるのだが、彼は両方戦ってくれる唯一の人物である。
この都合で、対戦に用いるデッキを3つ所持している。カードはめっちゃ拾った。

  • ラリー・ドーソン
サテライトで暮らす、遊星の仲間の女の子いや男の娘少年
倒れていた主人公を見つけて介抱してくれたのは彼であり、その後も面倒をみてくれる。そのためストーリー的には出番が多い。性別はあれだが今作のヒロインかも。
使用デッキは《ワンショット・ブースター》や超時空戦闘機が投入された【機械族】。
デッキ内容的にはそこまで強くなく、ラリーを相手に練習や稼ぎを行うと序盤が遊びやすくなる。
ちなみに彼は対戦後、運が良ければプレゼントで《カードガンナー》をプレゼントしてくれることがある。序盤の稼ぎに向いているキャラなので手に入ったらラッキーである。

+ 主人公を助ける為に…
主人公のDホイールに使うCPUを拾ってくるのだが、それが原因で牛尾率いるセキュリティが襲ってくる。
ラリー自身は「拾った」と発言しているが、遊星の時と同じく盗んだのかもしれない。
アニメでは遊星に「もう盗みはやらない」と言っていたが、特に言及は無い。

  • ナーブ
ラリーと同じく、遊星を慕うサテライトの仲間。バンダナの人。
遊星のアジトである地下鉄への入口を守っており、行き違いによりデュエルをする事となる。
デッキは【装備ビート】だが、モンスターはバニラ、装備魔法は当時でも微妙なカードを採用している。
サテライトの治安の悪さ、カードの流通を鑑みればわからなくもないが…。単にデュエルが下手なのだろうか。
ぶっちゃ今作最弱のデュエリストであり、稼ぎの的にしてもいいだろう。

名前が間違っており、正しくはナー。ブではない。
本記事ではゲーム内の表記に従い、ナーブとする。

  • ブリッツ
ラリー、ナーヴと同じく遊星の仲間。メガネの人。
主人公も受け入れてくれた上で、様々な手助けをしてくれるが…
怪しい商品に騙され、拉致されるなど碌な目に合わない。本作のピーチ姫担当。
なかなかひどい目にあうが、突然現れた主人公にとっては便宜を図ってくれる聖人でもある。
使用デッキは【ウォールバーン】なのだが、AIがアホで守りを捨てて攻撃してくる場合も。

  • タカ
ラリー(ry 茶色が多い人。
最初の仲間達の中では、デッキ構成がきちんとしており一番強い。
デッキは強いて言えば【リバース】だろうか。人喰い虫やハネハネを惜しみなく投入している。
他にはデス・メテオやハリケーンなど、危険なカードがちらほら見える。
それらカードを、ラリーやナーブにも分けてあげたら…と思わなくもない。
切り札はムカムカ。手札の枚数に応じて高打点を発揮する危険なモンスター。

キング。時代的に元じゃない現職キング。
シティに君臨する最強デュエリストにして、このゲームのラスボスなのだが、アニメ初期の展開から遊星要素を引っこ抜いたシナリオのため、はっきり言って主人公とは縁もゆかりもない……*4
使用デッキは【ゴーレム】と表記されることもあるが、内容的には【ジャック】が適切か*5
良くも悪くもアニメ初期のジャックらしい構成で再現度は高い。ストーリーを進めてきた主人公にとっては正直怖くはない。
何気にカードのプレゼント率が高い。キングだからカードも山程持っているのだろう。

シティにたどり着いた主人公を助けてくれる双子。イメージはアニメで遊星を助けた時のそれに近い。
使用デッキは【D】と【天使族】。
展開力と爆発力を併せ持つ【D】は結構な強敵。タッグデュエル対応。

アニメ&後のチーム5D'sのおっぱいヒロイン
オリジナルストーリーのため出番が減ってはいるが、痣を持つ主人公を特別視してデュエルを挑んできたうえ、後に大会でも対戦するためデュエルの出番は多い。さすがヒロイン。
使用デッキは【植物族】。当時最先端のカードが揃うため、デッキの強さも恵まれている。
余談ではあるが、彼女とほぼ似たようなデッキを使用するモブキャラが存在する。

治安を守るセキュリティ
アニメ同様に出番が多く、主人公を捕まえるべく幾度となく立ちはだかる。
今作の要所要所で出てくる、印象深い強敵ポジション。
はっきり言えば今作の難所は大体牛尾さんのせい。
しかし、中盤での二手の分かれ道にて、龍亜に助けられた主人公とは逆の道へ進んだりとドジな一面も。
因みにクリア後は何故か遊星と一緒にいる。言い掛かりでもしたいのか
デッキは《サーチ・ストライカー》や《ドリルロイド》を表示形式変更カードと合わせた【守備表示メタ】ともいえる構成。
もちろん権力の象徴も切り札に控えている。
ライディングデュエル専門のデュエリストなので本人とは通常のデュエルが出来ないが、その補完か「栗原」という中盤以降戦えるモブがほぼ同じデッキを使ってきたりする。
栗原からは低確率でゴヨウが貰えるので、狙ってみてもいいだろう。

シティの長官超官にはまだならない。
主人公の腕に浮かぶ痣について何かを知っているようで、シティにやって来た主人公の動向を気にしている。

+ その目的は……?
痣に関する研究を進めており、その一環として主人公に痣を移植した張本人。
ジャックがラスボスと紹介したが、ストーリーとしてはこっちの方がラスボス。
ダークシグナー編を考えると、今作のラスボスとしての暗躍はあながち間違った描写でもないかもしれない。

これ以外にも多数のキャラが登場するが、アニメ初期の雰囲気のおかげで出てくるデュエリストが渋い。
例えば瓜生、ジル・ド・ランスボウ、鷹栖、氷室、雑賀……
当時、この辺の人たちと絡みがあるゲームは任天堂機種に偏っており*6、Sony機種ではほぼカットされていたのだ。
残念ながらBFが収録されているにも関わらずクロウと水晶ドクロ等のオーパーツモンスターが当時収録されなかったせいで矢薙は影も形も存在しなかったが。


WCSモード

シリーズお馴染みのフリーデュエルモード。
今作も数多くのモンスターが参加しており、それぞれの独自のキャラ付けを楽しむことができる。
初期では3匹しかアンロックされていない。解放条件に関しては少し難しい者から、明らかに正気の沙汰ではない者も…。
尋常ではなく苦労させられるが、コンプリートできたら誇っていいだろう。


注目要素

  • ライディングデュエル
アニメのそれを再現したデュエル。
ライディングデュエル専用のRDDデッキを使用する。事前に編集していないと、初期デッキで戦うハメになる。
「通常の魔法カードの代わりに『Sp(スピードスペル)』と名付けられた専用の魔法カードを使用する」、「ライディングデュエル専用の罠カードの存在」といった要素があるが、初のゲーム作品であるためかバランスは良くない。
なによりSpのコストが非常に重いため扱いが難しい。そのため「魔法を入れずに罠オンリー」「罠対策して事実上封殺」というのが最適解とも。
なんと王宮のお触れも有効なので、バランスがジ・エンド・ストーム崩壊している。
Spはアニメ登場カードだけではラインナップが狭い為か、既存のカードの一部がSp版として使用できる。
何だかんだでこのシリーズの独自要素。翌年度以降も改良されながら受け継がれている。

  • Dホイールゲーム
ミニゲーム。
レースゲームであり、障害物を回避しながらコースを走りタイムを競う。
結構作りこまれており、パーツを購入することでDホイールをチューンすることが可能。

  • パックの方式
今作ではOCGと(ほぼ)同様のパックから、各種カードを手に入れる方式になった。
OCGに馴染みのある人にとっては、目当てのカードをどのパックから手に入れられるか分かりやすい。OCGを購入している気分にもなれる。
反面パックをまたぐカテゴリを集めにくかったり、猛烈に弱いパックに苦しめられたりするのは難点。

  • キャラメイク要素
主人公の外見(髪形、髪色など)を決める以外にも、ストーリーを進めると服装やデュエルディスク、Dホイールのデザインまで変更することが可能。
WCSモードでもアンロックされるので、隅々まで遊んでみるといいだろう。
タッグフォースではできないことだったりする。



追記・修正、アクセラレーション!!





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「『毎年発売される定番ゲーム』と、そう思っての購入だった……」

「だが奴は……弾けた」



さて、このゲームは普通のゲームである。
この一作が社会現象になったとかダメな方向でネットの話題になったとか、そういった作品ではない。
であれば何故、このゲームの項目が存在するのか。



それはこの作品が、歴代遊戯王ゲームでも屈指の高難度として知られているからである。



難関1 Dホイールレース

「おい、デュエルしろよ」

WCSシリーズはライディングデュエルが実装されているのが特徴だが、今作ではこれに加えてレースゲームを遊ぶこともできるのは述べた。
しかし、ストーリー中に何度かこれが必須になるため、苦手な人にとってはこれが難所。
ただ走るだけではなく、パーツを購入することでホイールの性能を強化することができ、それにより走り心地も変わってくるのだが、これをきっちりやらないと苦労するバランスになっている。
パーツ自体もなかなかのお値段で、カード購入に比重を置くと稼ぎに奔走するハメに…

初期Dホイールは性能も劣悪で、加速するとどんどん右に寄っていく癖のある挙動。
そして、序盤の牛尾とのレースチェイスでは、一度練習で走った直後に始まる。Dホイールに不慣れなプレイヤーを容赦なくゴヨウしていく。初狩りもいい所である。
パーツで強化しようにも、この時点では品揃えもごく僅かなのでほぼ実力で勝利しなければならない。

さらにあるレースでは失敗するとしばらく前からやり直し、というゲームオーバーに近い扱いにもなる。


難関2 メタ○ギア風潜入ゲーム

「おい、デュエルしろよ」

ストーリー中盤、シティでセキュリティに捕まった主人公は、自らのデッキとDホイールを取り戻すべく、セキュリティ保管庫へ向かう。
ここでは巡回する警備員の目を盗んで目的地まで向かうゲームが挿入され、これをクリアしないとストーリーが進まない。
巡回コースを覚えないと鉢合わせする、目的地が分かりにくい、段差を駆使してしっかり隠れないと見つかる、走るとまず見つけてくる有能警備員……
同社の某ゲームも驚きの難度を誇り、通称「スネーク」として恐れられているミニゲーム。

これを何とかクリアした主人公はDホイールで脱出を試みるが、それを追ってくるのが牛尾さぁん!!
ということで、直後にレースが始まる。
これが先ほど紹介したゲームオーバーになりかねないレース。失敗するとお縄について潜入部分からやり直し
一応直前にセーブポイントはあるが、してないと泣く羽目になるだろう。

「見やがれ、これが権力だ!!」

攻略Wikiのやり取りは、一見すると何ゲーかわからなくなる。

Q.警備員にすぐ見つかって先に進めない
まずはじっくり警備員のパターンを見る。警備員の視界範囲を覚える。基本的に走らないように死角から抜ける。どうしても無理なら動画サイトにクリアルートがアップされているので参照のこと。


難関3 全体的なデュエルの難度&カードの入手難度

「おい、やっとデュエルだ」

序盤から戦えるモブ級のデュエリストでさえ、死者蘇生》、《激流葬》、《奈落の落とし穴といったガチカードで武装している世紀末バランス。
これに加えてシンクロモンスターも結構登場するので、ストーリー時点でなかなかの手ごわい相手が揃う。
下手にモブとデュエルするとコテンパンにされるので、まずはラリー達を倒すといい…のだが。
ストーリーにもガチ寄りのロックデッキ&ニードルワームによる【デッキ破壊】*7に、無駄を削ぎ落とした【伝説の都アトランティス】使いなど、序盤で戦うにはかなり厳しい相手が登場する。
参考例として書くと、初期フィールドで戦えるモブの使用するデッキですら【ワーム】・【ナチュル】・【墓守】といった初期デッキでは相手にするのが辛いデッキがずらりと並ぶ。当然こいつらは見事に前述のガチカードが積まれている。

「ならばこっちも《激流葬》だ!!」

……と真っ先に考えるレベルの難度だが、このゲームはOCGとほぼ変わらないパック*8からカードを引き当てるタイプになっている。
書籍やゲームに付属したカードなどはオリジナルパックにまとめられて収録されている。
パックは第4期以降のものが収録されており、3期以前のパックのカードは再録パックにまとめられている。
前作まではゲームオリジナルパックのため何のパックに何のカードが入っているかわかりにくかったが、プロモカード以外はOCGに準拠したためこの問題が大きく改善された。
しかし、OCGを再現したが故に起こった弊害も存在する。

先述の汎用強カードは大半が3期以前のカードであり、そのため強カードを使うには膨大な収録枚数を誇るBEGINNER'S EDITION系か、EXPERT EDITION系から引き当てることが求められる*9
どのパックも200種類前後の膨大な収録枚数となっており高レアリティは勿論、低レアリティのカードでも引き当てるのに苦労する。
しかも、TFシリーズと違ってパック購入時にオートセーブが入るため、リセット戦法も不可能。
昔のカードが多いが故に特にBEGINNER'S EDITION系では、目的の強カードを引けなければ全く戦力にならない弱い効果のカードやバニラ、挙句の果てには禁止カードが無駄に増えて行くことになる。
裏技的な方法でニューゲームを繰り返して大嵐や激流葬、奈落を引き当てるというセーブデータによるリセマラは可能ではあるが……*10そもそも買い切りのゲームでリセマラさせるのはどうなんだ?

WCSモードでパスワード*11入力をした方がいいだろう。
所持済みのカード限定だが、1枚さえ手に入ればDPと引き換えにカードを増やすことができる。
要求DPも良心的で、パックを買い漁り絶望でターンエンドするよりも気が休まるだろう。
初期時点ではフリーチェーンの強制脱出装置、ライフと引き換えに攻撃を止めてくれるチューナーのクレボンス等が候補。
シンクロモンスターも各種1枚ずつしか無いので、増やしておくと長期戦が戦いやすくなる。
欠点は、ストーリーからWCSモードに以降するには、一度セーブしてタイトル画面に戻る必要がある。
強力なカードを手に入れた時も、セーブポイントを見つけるまで我慢しよう。

ちなみに初期ステージからいるモブがやたら強いのは前述したとおりだが、モブ含めストーリーモードのキャラは勝利すると、対戦後に確率でカードをプレゼントしてくれる。
その中には確率は低いとはいえそれなりに汎用カードだったり強力なシンクロモンスターをくれるモブもいる。
キャラクター項目で書かれているラリーの「カードガンナー」だったり、初期の遊星の仲間で登場していたナーヴ・タカ・ブリッツはそれぞれ「アームズ・ホール」「強制転移」「収縮」をくれたりするなど、相手を調べて頑張ってデュエルすれば、一応はいいカードを入手できないわけではない。
…その難易度が高いのだが。実はストーリー中のモブでゴヨウ・ガーディアンをくれるモブ(栗原)もいたりする。

初期デッキにもシンクロモンスターは投入されているが、大地の騎士ガイアナイト、サイコ・ヘルストランサー、マジカル・アンドロイド。
ガイアナイトはバニラ、残り2体はライフ回復効果しか持ち合わせておらず、正直物凄く微妙
闇鍋パックからシンクロモンスターだけを引き当てるのは非常に困難で、ゲームクリアまでこの3枚で戦うことになる場合も…。
シンクロ初登場のゲームでありながら、この扱いはなんとも微妙な気分にさせられる。
最序盤でも頑張ればナチュル・ビーストなんかも手に入ったりするので、頑張れば一応ストーリー中からシンクロ召喚で遊ぶことも出来たりもする。

またストラクチャーデッキも中盤にならないと購入できず、それに加えてストーリー中は1つしか購入できず、そもそもこの時期のデッキは大して強くないので個別の魔法罠狙いとしてもあまり役に立たない。
再録が少なく新規に厳しかったOCGの再現としては秀逸なのだが。
一応初期のストラクなら禁止込みではあるが、汎用カードもそれなりに入っているのでそれなりには有用。デッキとしての強さは置いとくとして。
ちなみにこのストラクに関してちょっとしたバグがあり、WCSモードで買えるストラクチャーがスターターに固定されてしまう(ストーリーモードでは別のストラクを購入できる)というバグがあり、これが発生した場合はシンクロモンスターを確実に入手できるのでほんの少しだけ楽が出来る。

本作は相手が強い、Dホイールの強化も必要などの理由でDP*12のやりくりに苦労する上に、信じられない程に稼ぎにくいバランスとなっている。
ストーリー上デュエルする相手に勝利しても、2桁から100弱のDPしか得られない。元が少ないので稼ぎも一苦労である。
カードが揃うまでが厳しいのはカードゲームの常であるが、このゲームでは序盤戦から初心者が上級者にいきなり挑戦するくらいのデッキ格差があり、勝てない人は本当に勝てないバランスと呼ばれている所以。


このゲームで一番株を上げたのが《マテリアルドラゴン》であることは間違いない*13


難関4 終盤の4連戦

「おい、デュエルしすぎだ」

ストーリーの終盤、あるデュエリスト達との4連戦が待っている。当然ライフは持越しであり、実質ライフ8000 vs 32000の戦い。
肝心のデッキはアンデット】、【氷結界*14、【ライトロード】、【ダークモンスター】となかなかのもの。
前二つは比較的弱いと言われているが、それでもガチガチのシンクロモンスターが控えているため一度回りだすと厳しくなる。
【アンデット】は当時最強格のデッキではあるのだが、構築が半端だったりする。
後ろ二つはもうどうにもならない。長期戦になると特殊召喚が容易かつ破壊効果を持ったバケモノドラゴンが出てきて壊滅するのは間違いないので、速攻を狙うが吉。
ファッキン6、もといヘイシーン軍団鬼畜謎掛けシモン・ムーランと比べると優しい部類…だが、彼らと比べるのはよろしくないか…

ここを突破するまでは専用のフィールドに幽閉されるので、買い物(デッキ強化)ができなくなる。
実はWCSモードでなら買い物可能なため強化してこられるのだが、知らずに真っ向勝負を続けていると詰みポイントと誤認するかも。
ただし、汎用デュエリストからカードのプレゼントは貰えなくなるので、厳しい事には変わらない。

+ その正体
立ちはだかる4人は主人公そっくり。珍妙な衣装で行くとそれもコピーしてくるので笑えてくる。
実は彼(彼女)らはゴドウィンが研究の為に作り出した、主人公のクローンである
まさに主人公が戦うべき相手であり、同時に確かな実力を兼ね備え、今作のプレイヤーの脳裏に焼きついたであろう強敵となっている。

この次にジャック戦があってエンディングとなるのだが、ストーリー的にもデュエルの実力的にもここが山場であり、キングのラスボスっぽさを失わせている。
だってライディングデュエルだから魔法対策がほぼ要らないし、デッキパワーでも4連戦組の方が怖いし、そもそも1対4で勝てるなら1対1を恐れる必要が無いし……

ちなみに前作も終盤に5連戦があったりするのだが、相手のデッキの内容がそこまで鬼畜ではないので、本作程の難易度ではない。


代表的なデッキ(一部)
  • 【装備ビート】
最序盤のパックを適当に購入してもそこそこ手に入る装備魔法で、一気にぶん殴って終わらせるデッキ。
ダメなときは一瞬で負けるが、元から難度が高いので相対的にローリスク……かも。
トライ&エラーの精神があるデュエリストにはおすすめ。ワンキルデッキが序盤から推奨される始末で、もはや死にゲーである。
派生として、重装武者-ベン・ケイを軸にしてもいいだろう。

序盤から《炎帝テスタロス》をアドバンス召喚し、死者蘇生や激流葬、奈落等をハンデスさせたり、上級モンスターやチューナーを死者蘇生や自立行動ユニットで奪うデッキ。
奈落に掛からない《俊足のギラザウルス》や《インフェルノ》が代表的なリリース要因で憑依装着で一番かわいい憑依装着ーヒータ》も《魔法族の里》によるロックを張られた時に対処できるアタッカーとして採用候補になる。

《俊足のギラザウルス》や《ギガンテス》等を展開し、《マテリアルドラゴン》の召喚に特化させた形。
手札事故が起こりにくく、相手の魔法・罠を腐らせられるメリットがあるが、ロックを決められると身動きが取れなくなるのが難点。

  • 【レベルモンスター】
SOUL OF THE DUELISTを購入し、《仮面竜》、アームド系、ホルス系を一気に揃える。
第四期最初とあって真っ先に開放されるのは基本このパックであり、早い段階で確実にデッキを固めたいデュエリスト向け。
カードが揃えば【お触れホルス】に変えると、手っ取り早く罠対策もできて非常に便利*15。序盤から終盤に至るまで頼れる能力を秘めている。

厄介な魔法罠を無視して、直接ライフを削りに行くデッキ。
カードが揃えば同時にバーンカードもある程度は手に入ることから、構築難度は低め。
タッグデュエルで組める相手にエルジオというモブデュエリストがいるのだが、彼が【チェーンバーン】使いであるため、タッグを組んだ際の安定感があるのも嬉しい。

  • 【ダークモンスター】
  • 【ライトロード】
パック単独で成立する強デッキ。
それぞれPHANTOM DARKNESSLIGHT OF DESTRUCTIONを買えば大半のカードが揃う。
ストーリー終盤にならないと購入できないパックだが、当時のカードプールの最新カードに近い面々であるため、エンディング後のデュエルでも十分その力を見せてくれる。
……特に【ライトロード】はパック開放のタイミングと先述の4連戦のタイミングが重なっており、公式からの救済措置なのではないかと疑うレベル。

  • 【植物族】
《ローンファイア・ブロッサム》、《ギガプラント》、《椿姫ティタニアル》で大暴れできる。
パックをまたぐ上にこれも終盤にならないと揃えられないが、完成度は非常に高い。

収録パックの最後、CRIMSON CRISISで登場してしまっ最強・最凶・最狂の爆撃機を主軸にしたデッキ。
また、本来の持ち主であるボマーのプレゼント枠にもダーク・ダイブ・ボンバーが入っている。んなもん渡すな。
当時の禁止カード行き最速記録をぶっちぎりで更新したこのカードだが、あろうことか本作の制限環境では規制が追い付いていない*16
そのためこんなD(誰が)D(どう見ても)B(ぶっ壊れ)】を3積みして思う存分爆☆殺できる。

参考までに、このゲームで基本として採用されているのは2008年9月の禁止制限リスト*17
これは《スナイプストーカー》や《サイバー・ドラゴン*18が制限カードの時代であり、それらを遥かに上回るバケモノが無制限というのは、当時を知る者を狂乱させるに十分であろう。
当時の環境としてはシンクロ導入初期の不安定な時期であり、「ブラフ無し4伏せの上から1キルしてくる」と言われた【シンクロアンデット】の全盛期なので世紀末なバランスとなっている。
そして使用シンクロモンスターは甘いとはいえ、収容所でデッキ固定で戦う羽目になる氷室は【シンクロアンデット】を使用してくる。

これ以外にも《ゴヨウ・ガーディアン》や《氷結界の龍 ブリューナク》も(追加リストを使わなければ)無制限、危険なにゃんこに変貌した《レスキューキャット》もようやく準制限指定を受けたタイミングの制限リストである。
そのためやろうと思えば禁止級シンクロモンスター3積みデッキ対決なんて世紀末デュエルもできる。
TF4より早くに世に出たばっかりに……*19

もっと言えば、《[[裁きの龍]]》や《[[ダーク・アームド・ドラゴン]]》、《生還の宝札》も準制限という核戦争のような時代である。
GXから5D'sへの移行期のカオスを体験できるので、当時を知らないデュエリストは是非一度触れてもらいたい。


余談
付属カードは《インフェルニティ・デーモン》、《インフェルニティ・ドワーフ》、《インフェルニティ・ガーディアン》の三枚。
しばらくは関連カードが登場しなかった(攻略本に付属の《インフェルニティ・デストロイヤー》のみ)うえに、手札0という強烈な使い勝手からハズレ扱いされていたが、後にどうなったかはデュエリストならご存知の通り……
特にデーモンはこれ以降再録に恵まれないのにデッキの必須カード(同時に環境最強クラスのカード)と化したため、ゲーム本体よりも高値で取引される珍現象に見舞われた。

「俺たちはここで財布ポイントを半分払い、満足するしかねぇ!!」


色々言われる《大地の騎士ガイアナイト》さんだが、このゲームでは最初から使えるシンクロモンスター3体の1体であるうえに*20、デッキ最強の2600打点を誇っており、長くお世話になった人も多いのでは。
4連戦のエースモンスター相手には頼りの打点でも勝てない点は、ストーリーの山場の演出として見事かもしれない。

モンスターの戦闘シーンでは滅多にOCGのイラストでは見られないモンスターの全体像を眺めることができる。
特に霊使い・憑依装着のブーツ*21は必見。


WCSモードで最初から戦えるデュエリスト(モンスター)に《おジャマ・イエロー》がいる。
相変わらず嫌な見た目をしている最弱のお試し相手……
と思わせておいて、使用デッキが【猫シンクロ(エースはゴヨウ・ガーディアン)】と、登場時期に対して場違いすぎるデッキを使ってくる初見殺しとなっている*22
よく見ると本編のデュエリストと比べてレートが500と高く、その強さは示されている。

中盤では《憑依装着ーエリア》が登場し、デッキ名は「しれっと四霊NEO」と一見前作の「しれっと四霊」の強化版に見えるが、通常モンスターが入っていないせいで《高等儀式術》が腐っていたり、切り札が《風林火山》になっていたり、顔グラが《水霊使いエリア》になっていたり、台詞が前々作WC2007の《水霊使いエリア》のものそのままだったりと過去作からの流用が見え隠れしている。

CMでデュエルシーンが映る場面では「ゴヨウ・ガーディアンがアキ姉ちゃんにダイレクトアタック」しているシーンが使われている。確かにどっちも人気キャラだが。
あと苦悶の表情を浮かべるアキさんがセクシー。


本作は、DS作品で初のシンクロ召喚が実装されたゲームである。
なのだが基本的にパックは4期のものから進行に合わせて解放出来る様になる仕組みになっているため、シンクロ召喚が初登場した6期までは当分先となっている。
しかもシンクロモンスターやチューナーが収録されたパックの解放条件が厳しく、初期デッキのカード以外は当分手に入らない仕様となっている。
というか大体のシンクロ関連のパックは、クリア後限定の相手を倒さないと入手できないものが異常に多い。
次回作以降でも、4期の物から進行に合わせて解放できるようになる仕様は引き継がれているが、DT関連のカードが収録されたパックは最初から解放されていたり、解放条件が緩めになっていたりするためそれらのパックでシンクロ周りの補強がしやすくなっている。
少なくともブリュゴヨウのレベル6シンクロコンビは、最初の方でも揃いやすくなっている。

ゲーム内要素をコンプリートしようとすると「ライディングデュエルを100戦or 200戦しろ!!」という鬼畜ミッションにぶち当たる。
通常のデュエルよりも機会が少ないライディングデュエルでこれだけ戦うのは困難(というより飽きる)。
そのため攻略Wikiのデッキレシピに「ライディングデュエルで即負けて対戦回数を稼ぐ」ためのデッキレシピが投稿されるほどであった。


本作の鬼畜難易度は流石に問題だった為か次回作以降は序盤の敵のデッキは相応に弱くなっている。
2011には勝つ必要はないとはいえ、最序盤から戦えるモブに本作も真っ青なガチデッキを使うミネギシがいたりはする。
ストラクチャーデッキも最初の方で購入できるようになっているため、ある程度の汎用強カードは揃えやすくなった。
とはいえ《死者蘇生》などの禁止を経験したカードはストラクチャーデッキに収録されていないのでBEGINNER'S EDITIONシリーズから引くしかないのだが。



追記・修正は自身の愛するデッキで4連戦を突破してからお願いします。


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最終更新:2025年05月24日 18:34

*1 ライディングデュエル専用の魔法カード。通常のデュエルでは使用できない。

*2 攻略本ではへそ出しルックと記載されているがこれは誤表記である。ちなみにこの衣装の出現方法は、全キャラに勝利するというかなり鬼畜な条件になっている

*3 2009年は《サイバー・ドラゴン》がまだ制限カードの時代。星8シンクロ系【/バスター】ならほぼ必須カードであった。

*4 「遊星のシティ行き計画(アニメと同様)に合わせて主人公もシティへ同行できた」というシナリオであるため、ジャックの行いが回りまわって主人公の助けになっているとは言える。

*5 《バイス・ドラゴン》や《ビッグピース・ゴーレム》と《ダーク・リゾネーター》を合わせた星8シンクロ狙いデッキ。

*6 Wiiソフト『デュエルトランサー』にも出てくる面子だが、諸般の事情でWCSやTFと比べてしまうと影が薄すぎる作品。

*7 一応、主人公の手持ちにはツイスター、砂塵の大竜巻が投入されているが、その二枚では追いつかない程に魔法・罠で固めてくる。

*8 DSシリーズは歯抜け収録のため、ルールや処理の問題に関わるカード以外でも未収録カードがある

*9 古いパック複数種を纏めて新たなパックとして販売した商品。つまり通常パックに比べて数倍の収録数になっている。

*10 ニューゲーム開始時にゲーム内通貨を1500所有しているため、10パック購入出来る。引けなかったらニューゲーム。

*11 OCGに記入されている8桁の数字。今現在はカードを所持していなくても、インターネットを活用すれば検索可能。

*12 本作の通貨のようなもの。これを利用してパックを買ったりDホイールを強化する。

*13 レベル6で出しやすい、攻撃力2400と十分、手札1枚で破壊効果を無効にする便利な効果。これが初期デッキに入っているため、破壊効果が飛び交うゲームにあって救世主のような存在となっている。

*14 カテゴリとしては弱いため、実際には低いステータスを活かした【湿地草原】。

*15 罠による高難度とライディングデュエルにおける罠の重要度が揃う今作では、そこを潰せる《王宮のお触れ》や《人造人間-サイコ・ショッカー》の評価が高い。

*16 追加データとして配布された禁止・制限リストを導入すれば制限カードにはできるが、CPUにはどうせ適用されないためあまり関係ない。大会や対戦をやるなら別だが、その場合は逆に「制限では生ぬるい」気がする。

*17 配布分が2009年3月と9月、2010年3月、さらに世界大会用の特殊リスト。

*18 この時に準制限から制限へと強化。

*19 向こうの基本制限は2009年3月。これならゴヨウとブリューナクが制限入りしているので多少はマシである。

*20 他は《サイコ・ヘルストランサー》と《マジカル・アンドロイド》。悪くはないが攻撃力にやや不安が残る。

*21 本格的なカテゴリ化やグッズ化が始まってからはそちらのイラストでも全体像を見れるようになっている。

*22 デッキ自体はそこまで強くないが、一瞬で攻撃力2800のエースが出てくるので初期デッキならそのまま御用される。