キメラ

登録日:2018/04/17 Tue 10:48:06
更新日:2023/09/14 Thu 05:52:59
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其は獣である。

リキュアの地に住まいし者は、テュポーンとエキドナが娘。

獅子の頭に山羊の躯、尾は毒蛇。

個は一にして、一なるも個である。

ゆえに其をキマイラと謂う。



キメラとは、ギリシャ神話に登場する魔物の一種であり、現在は「合成獣」の代名詞にもなっている存在である。


◇ギリシャ神話のキメラ

原語に近い発音では「キマイラ」。
ライオンの頭とヤギの胴体、毒ヘビ尻尾を持つと伝えられる、を吹く魔獣である。
後世には「背中からヤギの頭を生やし、蛇の尻尾を持つライオン」という姿で描かれる事もある。

テュポーンエキドナの間に生まれた。なのに頭には鬣。
リキュアに住み、カーリア王アミソーダロスに育てられたが、
ベレロポーンにより、 炎を吐こうとした瞬間、口内に鉛のを投げ込まれて溶けた鉛で窒息死する というえげつない殺され方をする。

元はヒッタイトの聖獣だったが、キリスト教の普及などに伴い悪魔的な捉えられ方をすることが増えたようだ。


◇リアルなキメラ

生物学用語として使われる。「一体の生物の中に複数の生物の遺伝子を持つ細胞を保持している」個体のことを指す。
基本的には発生初期の偶然により他個体の遺伝子を持つ細胞が混ざりこんでしまったもの*1
流石に神話の様に別種が混ざるような無茶苦茶な合成の仕方は無理であり、「見た目にはわからないが遺伝情報が混在している」という例が大半。
一応、ニワトリの胎児の羽の部分を切除し、ウズラの胎児の同部位を移植したキメラという有名な実験例もあるが、拒絶反応により成長に伴い移植した羽はまともに機能しなくなる。

現代の生物学においては人為的に製作が可能で、ある動物の受精卵がある程度細胞分裂が進んで胚盤胞と呼ばれる状態になってから内部細胞塊を取り出し、別の動物の初期胚の内部に注入することで複数の種類の細胞が混ざったキメラ動物を製作することができる。
ブタやネズミなどで種類の違うブタ同士やネズミ同士で実験的によく製作されている。
その中でも羊(sheep)とヤギ(goat)のキメラはギープと呼ばれる。
見た目にはごく普通の羊、もしくはヤギであり、神話に出てくるような奇妙な姿はしていない。
大きく肉体の大きさや構造が違う動物同士のキメラは製作できず、無理に作ろうとすると胎児期に死亡してしまう。
人間でも二卵性双生児同士で天然のキメラが形成されることはしばしば発生し、その場合は体の一部がもう片方の双子に由来する細胞でできている。
体のどの部分がどちらの細胞で形成されるかはランダム。
そのため、右腕の細胞を遺伝子検査すると本人の細胞だが左腕の細胞を遺伝子検査すると双子の相手の細胞であったりする。
両者の細胞の比率がほぼ1:1であった場合はどちらが本来の自分の細胞と言えるかは哲学の領域と言えるだろう。
このようなキメラはなぜ拒絶反応を起こさないのか?
それは個体の免疫機能は胎児期のある時期で完成するのだがその時期以前であれば混入した異種の細胞を免疫系が自己の一部であると認識して拒絶反応を起こさなくなるからである。なので免疫機能が完成した後にキメラ化しようとすると、胎児であっても拒絶反応が起きてしまう。

キメラの子供は非キメラとなり、子供の遺伝子は生殖細胞がどちらの細胞で形成されているかで決定する。
例えばギープの場合、その個体の生殖細胞が羊由来の細胞でできていれば異性の羊との間に羊の子供が産まれ、ヤギ由来であれば異性のヤギとの間にヤギの子供が産まれる。

なお、羊とヤギは通常の生殖行為によって交雑種が産まれることがあるがその場合はキメラにはならない。
同様に、「ジャガイモトマトを掛け合わせた『ポマト』」「ライオンとヒョウを掛け合わせた『レオポン』」「イノシシとブタが掛け合わさった『イノブタ』」「犬の『雑種』」のような存在はキメラではなく単なる混血児である。


◇サブカルチャーでのキメラ

後天的に他の動物の特徴を掛け合わせて作られた人工的な生物も「キメラ」と呼ばれる。
多くは生物兵器として作られた存在であり、悲惨な背景を持つことも多い。

なお、創作物に登場するもの自体多くがそもそも現実に存在するものをイメージ元としている以上、架空動物は大抵キメラと言えるものであり、*2
ショッカーとその後輩みたいなのを挙げていくと訳が分からなくなるので、ここでは「キメラ」「キマイラ」と明言しているもののみ取り扱う。

・マンガギリシア神話(里中満智子)

これに出てくる「キマイラ」は原作通りの設定だが、下半身がそのまんま大蛇となったラミア状の姿になっている(ちなみに本作にラミアは出てこない)。
口から火炎を吐いてベレロフォンを襲うも、鉛の矢で眉間を撃ち抜かれ死亡。

ドラゴンクエストシリーズ

一番有名なキメラ。ハゲワシの頭と翼にヘビの体というよくわからない組み合わせをしている。
基本的には打撃一辺倒の脳筋だが、上位種は魔法を得意とすることも多く、意外と侮れない。
6』にのみ、「キメイラ」という謎の亜種が登場。頭が鶏になっていること以外はキメラと同じであり、なんで出たのかイマイチ不明。
なお、なぜか『7』までは「奇数作品にのみ出演」という法則があった。
9』からは「キマイラロード」というモンスターも登場。こちらは翼の生えた4足歩行の魔獣とキメラよりは原典に近いデザイン。

「モンスター物語」では、大魔王ゾーマに仕える悪魔神官ドルバがヘルコンドルとキングコブラを合成して作ったとされており、
極楽鳥とバシリスクを合成したのがメイジキメラとされている。
合成魔獣の成功例として大量生産されるも、どちらも単独行動を取る蛇の習性が強くて集団行動を取れないという弱点が発覚し、
ドルバは群れを統率するキメラの製作を迫られた。
ドルバは様々な魔物と合成を試みるも、蛇の習性は粘り強くて上手くいかず、ドルバは最終手段として自らをキメラと合成、群れのリーダーとなった。
それがスターキメラである。
ゾーマはドルバ改めスターキメラを賞賛して呼び寄せようとするも、スターキメラはそれを無視し、
キメラとメイジキメラの群れを連れてどこかへと飛び去ってしまった。

ちなみにドラクエシリーズでお馴染みのアイテム・キメラの翼には「雷に撃たれて死んだキメラの翼」という設定がある。
小説版Ⅰでは「雷で死んだキメラの風切り羽」で「キメラ1体の死体から1枚か2枚しか取れない希少品」とされている。
またエニックス版ゲームブックでは、「魔法で作られた合成魔獣であるキメラの体には魔力が残っており、翼には特に魔力が蓄えられている。
その魔力に電圧をかけると魔力が活性化して、ルーラの呪文と同じ効果をもたらす」とされている。

FINAL FANTASYシリーズ

大抵の作品ではキマイラ名義だが、初代ではキメラ名義。
主にD&Dの「3本首(竜、ライオン、ヤギ)に竜の翼、蛇の尻尾」を元にした禍々しいキメラ*3
FFにはよくあることだが、シリーズ通してあまりデザインが統一されておらず、『6』ではなんと首が6本もある(竜、ライオン、ヤギ、イノシシ、鷹、蛇)。
大抵は首ごとに異なる攻撃を使い分けてくる強敵。

・女神転生シリーズ

キマイラ名義。
ヒッタイトの聖獣であったことを反映してか種族は「神獣」または「聖獣」の場合が多い。
初期のデザインは「ライオンに角と翼を付け、尻尾は蛇」といったもの。
デビルサマナー』で「ライオンの背中からヤギの首が生え、尻尾は蛇」というデザインになり、以後はこちらが定着している。

バイオハザード

初代のみでキメラが登場。
昆虫の繁殖力を有するので幼体から成体に至るまで僅か2週間という高スパンで生物兵器を作り出せるが、知能が虫レベルしか無いため正式採用には至らなかった。
ただし運動性だけはハンターより上で、あっという間に壁から天井まで這う身体能力を有している。

外見は人間に酷似しているが、やや小型で黒い外骨格と剥き出しの赤い筋繊維が特徴。右手が鎌のようになっており、下顎がハエのような食髭が生えている。
リメイク版では下顎が外れたかのように垂れ下がり、背中には6本の節足と翅が生えている。ショットガンなどで大きく損傷させて撃破すると、ウジを撒き散らして死ぬ様相など、よりハエとしての特性が顕著。

ゲーム中では終盤のアンブレラ研究所内で登場。ダクトや天井裏などから突然這い出てくるので油断できない相手だが、ショットガンやグレネードランチャーなどの火器が充実している場合はさほど脅威ではない。

製造には人間とハエの遺伝子をウイルスを媒介にさせて融合させるようだが、初期設定ではハエの遺伝子を組み込んだ受精卵を子宮へ戻して出産させるというおぞましい製造過程だった。

仮面ライダーX

GOD神話怪人に「キマイラ」が登場。口から1万度の超高温火炎を吐く。
外見はライオン男と言った感じだが、胴体と巨大なツノはヤギを模している。
当時大ブームになっていた超能力者(エスパー)を拉致しようとした。

仮面ライダーウィザード

仁藤攻介と契約した古のファントム「ビーストキマイラ」が登場。
ビーストドライバー内部に寄生しており、仁藤を古の魔法使い「仮面ライダービースト」へと変身させる。
仁藤が倒したファントムの魔力を食らう事で彼に力を貸し与えているため、仁藤はファントムを倒し続けないと死んでしまう。
巨大な羽の生えた黄金のライオンのような姿をしており、胸にバッファロー、右肩にハヤブサ、左肩にイルカ、尻にカメレオンの合計5つの顔を持つ。
その特性から、黒幕(リンク先ネタバレ注意)のサバトを妨害し、世界を救う切っ掛けとなった。

・劇場版 仮面ライダーリバイス バトルファミリア

「ツインキメラバイスタンプ」を用いて変身する仮面ライダーキマイラが登場。
キングクラブとクロコダイルの2種類の生物の遺伝子から得た技を使う。

MOTHER3

島が丸ごとポーキー・ミンチのおもちゃ箱にされ、様々な生き物がくっつけられてキマイラにされている。
スマブラXにも出張したみんなのトラウマもいるよ。

アークザラッドⅡ

超大国ロマリアが有するモンスター研究機関「キメラ研究所」で製造された人間とモンスターを合成する事で誕生した高度な人工モンスターの総称。
ロマリア四将軍の一人「ガルアーノ」が統括。元はモンスターの研究・量産施設だったが、徐々にエスカレートし、現在の「キメラ」製造に至っている。
世界中にキメラ研究所が存在し、特にアルディア国内に作られた研究施設「白い家」は世界中から特殊能力を持った子供を集め、
能力に応じて開発を行い、最後はモンスターに改造されるという陰鬱さ。
主人公エルクもこの施設の実験サンプルだった過去がある。
ロマリアはこのキメラ研究所で生産したモンスターを軍事投入する事で、世界の半分を裏から統治するほどの支配権を手にしている。
本作がダークファンタジー呼ばわりされる最大要素で、序盤は鬱展開がてんこ盛り。みんなのトラウマ化は避けられまい。
一応グリフォン系のモンスターとして「キメラ」も登場するが、出番が少ないため、影は薄い。

スターオーシャン Till the End of Time

キメラ。終盤のボスとしての登場を皮切りに、同型の敵がラストダンジョンや隠しダンジョンのザコとして出現し始める。
SO3中屈指の壁ボスとして名高く、以下のように厄介な特性を数多く備えた難敵。
  • 攻撃の発生が全体的に早い。特に大攻撃の飛びかかりはプロテクトを容赦なくぶち抜いてくるくせに、予備動作が皆無で注意していないと回避しにくい。
  • 尻尾が常に発火しており、これに触れるとダメージを受けてしまう。判定が強い上、しかも麻痺の追加効果まである。小攻撃判定なので一応プロテクトで反射できるが……。
    突進を紙一重で避けても、すれ違い様に尻尾でしばかれて麻痺り、そのままボコボコにされるなんてのはザラにあること。
  • さらには瀕死になると飛行して火を吐き始める。ただでさえ読みにくい行動がますます多様になるという初見殺し。
対策としては動かずに小攻撃へプロテクトでカウンターしていくのが一番無難。大攻撃が見えたら即座に回避する。麻痺で行動不能にさせられるのも痛いためパラライチェックも必須。

世界樹の迷宮Ⅱ 諸王の聖杯(新・世界樹の迷宮2 ファフニールの騎士

「キマイラ」表記。第1迷宮のボスにしてフロなんとかさんの仇。
ライオンにヤギの頭と竜の翼が生えた原典に近い外見で、紫色に変色した後肢から生える毒蛇の尾から放たれる毒攻撃「スネークパイル」が最大の必殺技

HUNTER×HUNTER

キメラアント。キメラの特徴を持った「アリ」。
非常に恐ろしいのが、生物兵器として作られたわけではなく、 単なる種の本能として 他の生物の特徴を取り込み、加速度的に進化していくという生態。
元はそこまで危険な生物ではなかったが、ヒトの遺伝子を取り込んで大型化した個体がどこかから流れ着いてしまい……。

鋼の錬金術師

「ニーナとアレキサンダー、どこ行った?」

「……君のような勘のいいガキは嫌いだよ」

錬金術で違う種類の生物を合成し、生まれた異形の生物を指す用語として認知されており、実物の登場はコーネロが造ったソレをエドワード・エルリックに嗾けたのが初。
倫理上の観点から、人間と動物を掛け合わせたキメラ錬成はタブーとされている。
しかし、人体錬成とは異なり、行ったからといって致命的なリバウンド等が起こることは(当人の力量不足以外の要因では)ない。
そのため、国家錬金術師という地位に固執した一人の錬金術師が、悲哀しか感じさせない合成獣(キメラ)を生み出してしまう…。

仰々しく出てきておきながらエドにあっさりやられるかませっぷり(コーネロのキメラ)や、悲劇的な結末を辿る(禁忌のキメラ)など、序盤の扱いはあまり良くなかったが、
物語後半には、かませと思いきや最後まで活躍しカッコイイ出番もあるキメラのおっさん達も登場する。

ビオランテ

バラにG細胞、そして殺された科学者の娘の遺伝子が組み込まれたバイオ怪獣。
正確には「バラをベースに人間の遺伝子を組み込んだ」ものをゴジラ細胞で補強したものなので、生物学上のキメラの定義をある程度満たしている。
劇中ではギリシャ神話のキメラを例えとして、現代の遺伝子工学・バイオテクノロジーを批判する一幕もある。
怪獣王ゴジラ(漫画)ではクローンのゴジラを素体にビオランテも含めた魔改造を施された キングゴジラ
作成者のマッド鬼山が「現代のキメラ」と豪語している。

・ウルトラシリーズ

ウルトラシリーズには数多の合体怪獣が登場しているが、
意外にも明確に「キメラ」「キマイラ」と名のついた怪獣は「究極合体怪獣 ギガキマイラ」と「ベリアル融合獣 キメラベロス」しかいない。
そしてキメラベロスはベリュドラの簡易版というイメージで描かれており、更に元となった怪獣カプセルの怪獣の面影自体はほとんどないため、
合成獣感がある「キメラ」「キマイラ」と名のついた怪獣はギガキマイラのみとなる。

キメラブロックス

ゾイドシリーズにおける人造ゾイド
ゾイドブロックスと違い異種の生物が組み合わさった姿を持つ。

デジタルモンスターシリーズ

ワンダースワンで発売されたデジモンゲームの第一作『デジタルモンスター Ver.WonderSwan』にて、『キメラモン』が初登場。
様々なデジモンの腕や足、翼といった身体の一部を合体させて一体にしたような、歪な姿をしたデジモンで、
その見た目からしておおよそまともなデジモンには見えないが、種族はウィルスではなくデータ。
『秋山リョウ Vs. ミレニアモン』シリーズでは、「選ばれし子供たち」にかつて倒されたデジモンで、ムゲンドラモンと融合してミレニアモンになったという設定。
デジモンアドベンチャー02』でも、デジモンカイザーが創り出したデジモンとして登場し、「選ばれし子供たち」を苦しめた。
なお、『アノードテイマー/カソードテイマー』では究極体、『02』では完全体と作品によって進化形態表記が違っていたが、現在では完全体で統一されている。


◇その他の神話・伝承における有名な合成獣

キメラではないが、キメラの特徴を持った有名な合成獣たち。
なお、 亜人種悪魔の類まで含めると恐ろしく莫大になる (例:ソロモン72柱にはキメラっぽい奴が結構いる)ので、
ここでは明らかなモンスター、魔獣の類に絞って解説する。

・マンティコア

一般にはインドやマレーシアなどのアジア圏出身とされるキメラ。
元はペルシャあたりに伝わる怪物で、ベンガルトラがモチーフなのでは、とも推測される。
アリストテレスの「動物誌」やプリニウスの「博物誌」にも取り上げられ、中世以降のヨーロッパでも割と著名な怪物の一つ。
上述したようにキメラとは縁もゆかりもないのだが、特徴が被っているのでRPGだとキメラの同族とされることがしばしば。

ライオンの胴体に、サソリのようなのある尻尾、人間のような顔を持った生物として描かれる。
「人間のような顔」については「老人のような~」「醜悪な~」などの特徴が付きやすい。イケメンとは呼びがたいようである。

後世の創作ではコウモリの翼を追加されていることも多く、絵的に派手で見栄えがいいためかゲームなどではこちらのデザインが採用される率が高い。
一方で「人間の顔」は省略されがち。どう考えてもライオンヘッドの方が攻撃力あるしね。

・グリフォン/ヒポグリフ

グリフォンはワシの上半身とライオンの下半身を持った生物。
ヒポグリフはグリフォンと雌馬の間に生まれたワシの上半身と馬の下半身を持った生物。
シンプルながら完成度の高い造形をしており、古今東西デザインモチーフとして非常に幅広く用いられてきた。

・ズー

メソポタミア神話に登場する怪物。
グリフォンとは逆に、こちらは頭がライオンで、胴体がワシの姿をしている。

ペガサス

皆さんご存知の白に翼が生えた聖獣。乗りにくそう
数少ない味方サイドで活躍するキメラである。というか元祖キマイラ退治にも一枚噛んでいる。
近年はユニコーンの角も合成されるケースも。
そのユニコーンも乱暴に言えば馬とイッカクのキメラである…と言えなくもないか。

(ぬえ)

「なんだかよくわからない奴」の代名詞でもある日本のキメラ代表。
サルの顔、タヌキの胴体、トラの手足を持ち、尾はヘビという欲張り仕様。しかし、どこに行っても蛇は尻尾にされる運命のようである。
雷獣でもあり、不吉の象徴でもある。

・ミルメコレオ

ミュルメコレオン、アントライオンとも。その名の通り、上半身がライオン、下半身が蟻の生物。
上半身のライオンは下半身が欲する草を食べられず*4、肉を食べても下半身が消化できずに餓死をする、という悲しい性質を持つ。

ヨーロッパの伝承に登場するが、元は旧約聖書の「ヨブ記」の「獅子は獲物を得られずに〜」という記述をギリシャ語翻訳する際に、注釈として「ミュルメクスの」という語が付け加えられ、それが蟻を意味する同音のギリシャ語と勘違いされた故に生まれた誤訳という説が一般的であり、一般的な神話伝承の類いとは出自を異にする存在と言える。
なお食性に関する逸話も、当該の記述が誤訳の結果「ミルメコレオが獲物を得られず〜」となってしまった事からの連想とされる。

・にせウミガメ

英語では“Mock turtle(モック タートル)”。
ルイス・キャロルの作品『不思議の国のアリス』に登場する、身体と前脚はカメ、頭と後脚、尻尾は仔ウシの姿をした生物。
アリスは上述のグリフォンと共に彼の下を訪れ、彼が涙ながらに語る自身の話を聞くのであった。



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最終更新:2023年09月14日 05:52

*1 同一個体内で突然変異が起きて遺伝情報が混在しているものは「モザイク」という。

*2 九似説とか虎体猿臂 彪腹狼腰とか

*3 亜種としてよく登場する「ゴーキマイラ(ゴーキメラ)」もD&D由来である。

*4 当時はアリは草食と思われていた