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MOTHER3 - (2020/10/19 (月) 10:01:05) の1つ前との変更点

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す*MOTHER3 【まざーすりー】 |ジャンル|RPG|CENTER:&amazon(B000093OLW,image=https://images-na.ssl-images-amazon.com/images/I/410Q3NYFE1L.SL160.jpg)''※ぼったくり業者に注意!''| |対応機種|ゲームボーイアドバンス|~| |メディア|256MbitROMカートリッジ|~| |発売元|任天堂|~| |開発元|任天堂&br()東京糸井重里事務所&br()ブラウニーブラウン&br()ハル研究所|~| |発売日|2006年4月20日|~| |定価|4,571円(税別)|~| |配信|バーチャルコンソール&br;【WiiU】2015年12月17日/650円(税別)|~| |レーティング|CERO:全年齢対象|~| |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~| |ポイント|前二作とはまったく異なる世界観、そして重いストーリー&br;人によって評価が真っ二つに分かれる結末&br;恐怖のきゅうきょくキマイラ&br;一応、前作「2」のEDからの続きではある|~| |>|>|CENTER:''MOTHERシリーズ''&br;[[MOTHER]] / [[MOTHER2>MOTHER2 ギーグの逆襲]] / [[MOTHER1+2]] / ''MOTHER3''| ---- #contents(fromhere) ---- **概要 糸井重里氏が手がけ、コアなファンが多いことで知られるMOTHERシリーズの最新作であり(現状の)最終作。~ キャッチコピーは「''奇妙で、おもしろい。そして、せつない''」。~ 作者自身の口から「シリーズはこれで完結」と明言されている。((「NINTENDO DREAM」2006/8月号で糸井氏は「誰かから『4』をつくりたいんだけどって言われたら、俺、「いいよ」って言っちゃうかも(笑)。」「『MOTHER4』があったら(プレイヤーとして)やりたいねえ。 」などのコメントを残しており、任天堂の他チームによる開発・発売の可能性は残っている。ただ「糸井氏全面監修」の可能性は前述の通り極めて薄いと思われる。)) ---- **発売までの経緯とユーザーからの評価 当初はSFC用ソフトとして製作が始まった。その後N64にプラットフォームを移して開発が進められていたが[[(WebArchive)>http://web.archive.org/web/20180710074234/https://www.nintendo.co.jp/event/spacew99/sokuho/28/soft/mother3/]]、様々な要因が絡み開発は見送り、発売中止に。((本作及び『カービィのエアライド』がN64での開発を延期したため、半ばお遊びで開発して社内コンペで落選にされていた『スマッシュブラザーズ』が穴埋めとして世に出ることになった。))~ その後ようやくGBA用ソフトとして開発が再開し、ニンテンドーDS Liteも発売されたGBA最末期にようやく発売となった。そのために''日本一難産だったゲーム''とも呼ばれている。~ タイトルも『MOTHER3 キマイラの森』→『MOTHER3 奇怪生物の森』→『MOTHER3 豚王の最期』→最終的に『MOTHER3』と、紆余曲折を経ている。~ 本作をクリアした人なら、それぞれのタイトルの意味が理解できるだろう。 12年ぶりのシリーズの新作、ファミ通レビューにおけるシリーズ最高点/プラチナ殿堂、~ 柴咲コウをCM起用しての力の入ったプロモーションと、ユーザーの期待はいやが上にも煽られることになった。~ そうでなくとも一度開発中止が公表された際に多くのファンが本作のリリースをあきらめかけたため、本作の発売は大きな喜びを持って迎えられた。~ それはGBA末期、任天堂の次世代型携帯機「ニンテンドーDS」が既に発売されていたにも関わらず、約40万本の売上を達成し、wikipediaにも「GBA最後のヒット作」と記述されている事からも伺える。~ 以上の経緯から、本作はファンの期待が相当に大きいものであったため、&font(b){かなりシビアに評価をされる傾向にある};ことを留意してほしい。 ---- **特徴・新要素 -ストーリー・世界観について --前作までの架空の現代アメリカ風の世界観からガラリと変わり、謎の時代・謎の世界に存在するただ一つしか存在しない謎の島「ノーウェア島」を舞台に今回の冒険は繰り広げられる。 ---アメリカンカルチャーを根幹のモチーフとして統一していた従来作と異なり、今作中の名詞などには日本的な要素が取り入れられている。~ 例を挙げると、地名「タツマイリ」「オオウロコ」、両親に対する主人公たちの呼びかけが「おとうさん」「おかあさん」など、日本語由来の表現が多い。~ 一方でキャラ名は日本語風・英語風だけでなく、主人公リュカはフランス語源、兄のクラウスはドイツ語源だったり、ある種族はギリシャ語の旋法名からとっていたりと無国籍的な雰囲気を漂わせている。 ---加えてストーリーの舞台となるノーウェア島の''"Nowhere Islands"="どことも知れぬ場所の島"''というネーミング通り、本作の世界観に関する全容はストーリー開始時点や取扱説明書では殆ど説明されずにスタートする。 --シリーズ独特の「糸井風」なセリフまわしやキャラクターは健在だが、本作ではそこで特に重いストーリーが展開される。~ ネタバレは避けるが、''物語が進むにつれ、前作の牧歌的雰囲気とは大きく異なる世界観であることが明らかになる。'' --前2作と比べ、登場人物一人一人の描写が細かく、ドット絵の動きも凝った作りになっている。 -戦闘システムの新要素「サウンドバトル」 --通常攻撃の際、戦闘BGMのリズムに合わせてボタンを押していくことで、通常攻撃の攻撃回数を増やしてダメージ量を上げる事が出来る。 ---その効果は馬鹿にならず、最大16HITSまで行くと約2.5倍のダメージを与えられる。2HITS以降の威力は低いが、10HIT目と16HIT目はやや高い。 --戦闘曲は多種多様で難易度にも落差があり、相手モンスターによってどの曲かは決まっている。 ---強い敵になると変則的・不規則なリズムを持つものや、途中でリズムとテンポが大きく変わる、唐突に余分な拍子・休符が入るなど、HIT数を露骨に打ち切ってくる嫌らしいBGMを持つ。 ---小ネタ程度だが、BGMを変える技を出してくる敵もいる。 --『2』から継承された「ドラムロール式パラメータ」との兼ね合いにより、致命的なダメージを受けた場合などはサウンドバトルを長々と狙うよりも迅速な回復を優先したり、あるいはボタン連打で手早くターンを回して通常攻撃を連発し、捨て身で攻撃し続けたほうが良い場合もある。 -新要素「とくぎ」 --『2』にもキャラ専用の効果を持つコマンドは存在したが、本作ではそれが更に掘り下げられ、個別に「とくぎ」が与えられた。なおシリーズおなじみの「PSI」も「とくぎ」の一種扱いとなる。 ---例えば1章の主人公・フリントのとくぎ「きあいをいれる」は、自力でバフ効果を得たりぶんまわして全体攻撃したり、外れやすいが強烈な一撃を与えるコマンドが選べる。2章の主人公・ダスターのとくぎ「ドロボーグッズ」は何度でも使える異なる効果を持つ6種の道具を使える。 ---主人公にはならないメインキャラ・ボニーにも相手をチェックする「においをかぐ」というとくぎが与えられており、キャラの個性をよりわかりやすく深めている。 -『2』から継承された「ドラムロール式パラメータ」の改良 --ドラムロール式パラメータの詳細については[[前作の項>MOTHER2 ギーグの逆襲#id_c0a25cbb]]を参照。 --ドラムの回転速度は前作よりもかなり遅くなり、キャラが成長する毎に致命的なダメージを受けた場合の対処を立てるだけの余裕が広がっていく。''ガード中は更にHPの減少が遅くなる。'' ---その分、後半の強敵の攻撃力はターン制RPGとしては相当高く設定されており、致命的なダメージを受けることを半ば前提としたバランスともとれるようになっている。 --ドラムロールの仕様は前作と少々異なり、HP計算がドラムロールを介さずに行われるようになった。&br;つまり''どのタイミングで回復したり・ダメージを受けても、最終的なHPは変わらない。'' ---例:HP150で300のダメージを受けた直後にHP120回復した場合:減少は必ず120で止まる。ドラムが120を下回っていた場合、120まで上昇しだす。 ---HP300でダメージ290を受けた直後にHP120回復すると:必ず(300-290=10)+120=130HPとなる。ドラムが130を下回っていなかった場合、130まで減少し続けてからストップ。 -便利な「カエル」 --前作までは電話、或いはその類の物で主人公のパパに連絡する事でセーブとお金の振り込みを行っていたが、世界観の変更により、そこら辺にいる「カエル」に話しかける事でセーブを行う形式となった。 --電話形式だとセーブポイントがほぼ家か町中に限定されていたのに対し、今作ではカエルだからかフィールドの途中やボス戦前などかなり細やかにセーブポイントが配置され、ゲームオーバーによるやり直しのストレスが大幅に改善されている。また「MOTHER」らしく、カエルにも様々な種類が存在する。 --ノーウェア島全域にドラゴンパワー(DP)という通貨のような概念が導入される4章以降は、カエルでDPを預けたりひきおろしたり出来る、前作でいう「キャッシュディスペンサー」の役割も担う様になり、益々便利になる。極一部DP関連が出来ないカエルも居るが、買い物が出来る場所の近くには必ずDPを担当できるカエルが存在する。 -便利な回復ポイント「温泉」 --回復ポイントもまた世界観の変更により、前作の「ホテル」や宿の様な泊まって回復する施設は廃止された((タツマイリ村に「YADO」はあるが、ほぼイベントや会話用の施設で泊まることは出来ない))。 --その代わりに、あちらこちらに少し浸かるだけでHP・PPが全回復できる「温泉」、或いはお風呂的なのが存在する。こちらも長いフィールド移動の途中や特定のダンジョンに配置されている事が多く、近くにセーブカエルがいる事も少なくない為、拠点にしてレベル上げやDP稼ぎをしやすくなった。 --また温泉ほどではないが、前作の「インスタントエナジーマシン」を彷彿とさせる瞬時回復ポイントや、「おやすみソファー」といった回復ポイントもある。 --前作までは「きぜつ(戦闘不能)」になると幽霊の様な姿になり、アイテムやPSIで蘇生させる以外は、基本的に病院に行って料金を払って蘇生させる必要があった。今作は戦闘不能になるとぐったりとしてはいるが後をついて来てくれ、上記の回復ポイントで全快出来るようになった。また、全滅しても全員全快状態でセーブポイントからリスタート出来るようになった。 -世界観の変更により前作までの「町から町」への移動シチュエーションが無くなった故の要素ではあるが、「カエル」と「回復ポイント」のおかげで、結果的に探索面では前作よりも快適となっている。 -前作のともだち2(ジェフ)の専用アイテムの様な強烈な効果を持つアイテムは無くなったが、その代わりに全部のアイテムを全員が使える様になった。 -「サウンドプレイヤー機能」の導入 --ゲーム中の殆どのBGMを自由に視聴できる機能。複数の曲をお気に入りリストに登録して、まとめて聴いたりすることもできる。 --現時点では聞いたことのないBGMも名伏せで聞くことが出来る。そこで聞ける収録総曲数はなんと「250曲」。GBAでは破格の曲数と音質である。 ---曲数が膨大な理由は「サウンドバトルのためにリズムが変わったアレンジ曲」をそれぞれ別々にカウントしているからという一因もあるが。 --タイトル画面からサウンドプレイヤーに入れるため、GBAを携帯プレーヤー代わりに使う事が出来た。当時としては画期的な機能だろう。 -「たたかいのきおく」と呼ばれるモンスター図鑑が追加された。 --一度戦った敵のグラフィック、『糸井節』あふれる図鑑説明が自動で登録される。模擬戦も行えるので敵の戦闘BGMを聴いてサウンドバトルの練習もできる。詳しくは後述。 ---- //賛否激しい作品ということで、こちらを先に持ってきます。 //良作単に変更された為、じきに記述の順番の変更を検討しています。 **賛否両論点 ***ストーリー面 -前作までと比べてストーリーやイベントに非常に力が入っておりほのぼのとした世界観を尊重していた前作から一転、シリアス要素を強く含んだストーリーとなっている。~ 特に前2作では間接的表現に留まっていた「キャラクターの死」が明確に描写されている他、ショッキングなシーンや心をえぐる様なセリフ・表現が点在する。この重厚さが受け付けられないとして批判されることがある。 //--平和に暮らしていた主人公の一家が、ある凄惨な事件をきっかけにバラバラになってしまう。 //それから間をおかず、外部からやってきた人間により通貨や「しあわせのハコ(テレビのようなもの)」が導入され、村が近代化して現代風に発展していく一方で、住民たちは洗脳されていき、それに抗う人間も粛清される…という流れ。 //--黒幕も含めて敵キャラの設定及びその最期にも重いものが多く、思わず同情したくなるものも。 --本作のザコ敵の半数を占める「キマイラ」は、文字通り、ノーウェア島の動物達の肉体をバラバラにして他の動物や機械と合成したもの。「にわとりヘビ」とか「サイロケット」など。 //---特に黒幕はむごい設定を背負って登場し、悪事の動機と最終目的も踏まえると可哀相に思えるキャラである。そして主人公らとの対決の末、とある悲惨な結末を迎える。悪役なので自業自得とはいえ、彼の立場で考えるとなかなか残酷。 //--前作『2』との繋がりを示唆した上で、前作の牧歌的な世界観を覆しかねない衝撃的な設定。 --キャッチコピーや異質なタイトルロゴ等からも分かるように、本作は決してほのぼのなだけのゲームとはされておらず、単体の作品としてみればプレイヤーの感性がこの作風に合っていたか否かといった話でしかない。~ しかし、特に前作の印象の強さから、今作にも前二作のようなゲーム内容を期待していたユーザーは多く、今作の作風の違いに戸惑うこととなった。 //---とはいえ前作までのような文明的な世界を踏まえた上で、その世界観を崩壊させることはストーリー上意図的なものではある。旧作に馴染んでいたユーザーほど今作のショッキングな展開に戸惑うというのも、ある程度狙っていた節すら感じられる。 //--子供たちの冒険物語だった前二作と比べ、本作の仲間たちは年齢層が高い。イヌであるボニーは兎も角、クマトラは十代後半以上な事が推測でき、ダスターは更に上の世代である事や父親のウエスが加齢により老人ホームに入居している事等から、明らかに子供ではない事がわかる。子供なのは主人公のリュカのみである。 --以上の部分から「終始プレイヤーを打ちのめす、重く暗い、鬱ゲー」という先入観で語られがちであるが、前述のショッキングな部分以外は明るくコミカルなシーンや、キャラ間の愛や友情に思わず暖かさを感じホロリとさせられてしまうシーン等、従来のMOTHREらしさを感じさせる要素もしっかり存在している。 プレイしてみれば、楽しさも悲しさも切なさも全て体験できる、いつもの「MOTHER」である事がわかるだろう。 ---「鬱ゲー」と呼ばれる所以は、上記のショッキングなイベントが、よりにもよってゲームを始めたばかりの第1章に集中しているのも一因と思われる。実際第1章は平和かつ幸せに暮らしていた主人公のフリント一家、それを通じてプレイヤーの心を打ちのめす様なストーリー構成となっている。~ そこからの再起もテーマとカタルシスに繋がる為、絶対に抜かしたり甘く出来ない部分なのだが、結果的にこの1章が「3」全体のイメージを固定してしまったのは否めない。 //ネタバレ部分を全体的にCO -終盤でのストーリーの性急さが目に付く。 --特にそれが顕著なのは、ゲーム最終盤で島やその世界観に関する非常に重要な設定が明かされる場面。非常に突飛な内容な上、その全てがNPCの口から間接的に語られるに留まり明確な形で描写されることはない。~ 伏線自体は張られ続けているのだが、それまでのストーリーで直接回収するようなイベントが無い。極端に言えばその会話だけでストーリーの大半が占められている。~ 突然の急展開や大量の伏線回収による答え合わせといった要素が好きでないプレイヤーは「何もわからないままゲームが進んでいき、突然意味不明な展開になり、何もわからないままゲームが終わった」と感じてしまう場合がある。 --開発当初はもっと主人公が多く、全12章構成の予定だったものが、最終的に全8章構成にまとめられたためか。 --ちなみに一部のユーザーからは、GBAの容量不足の問題でこうなったと思われているが、実際には64での開発中にすでに8章に組み直されていた。 ---というのも糸井氏の構想があまりに壮大だったため、ゲームでの完全実現は無理だと判断されていたとのこと。 ---糸井氏も「シナリオを本にして出したらどうだ」などと言われたと述べている。が、そういった本は(今のところ)出版されておらず、当初想定していたシナリオも結局明かされることはなかった。 //-冒頭のキャラクター紹介とゲーム中の描写の齟齬。 //--「つよくてやさしいたよれるおとうさんだ」と公式サイトで紹介される主人公の父親のフリントは、ステータスは確かに強いものの、人付き合いが苦手ともいわれている通り精神面はそれほど強くはなく、劇中では息子にとって頼りになる存在というような描写も特にない。~ //そして序盤以降、行方不明の長男を探し続けるばかりで残された次男のリュカをまったく顧みることもなく、次第に村人たちに蔑まれていくようになる。 //--「ゆうかんでりこうないぬ」とされる愛犬で仲間キャラのボニーは、戦闘にて味方に回復アイテムを使用するとき、低確率だが我慢できずにアイテムを自分で食べてしまうことがある。 //---ボニーは素早さが突出して高く、しかしそれ以外の能力は全体的に低いという設定から、パーティ内での役割はもっぱらアイテム係になりやすいため、発生確率はたいしたことはないとはいえ、致命的なダメージを受けて回復が必須になった時に発生するとやはりストレスがたまる。 //--第3章主人公のおサルのサルサは悪役組織に人質(サル質?)を取られて嫌々協力・虐待される流れなのだが、人質を助けられる目処が全く立っていない段階で悪役組織に牙を剥いてしまう。 //---章のラスボスに至ってはPSI使いのクマトラに相手から攻撃されないNPCのウエスがついての2人+1匹がかりでも苦戦を免れない強さで、単純なステータスだけで見ればその差はあまりにも歴然((一応ある程度HPを削れば大幅に弱体化するが、そこまで追い詰めるのが大変。))。 -前作までは音楽や歌というものがゲームの中で大きな役割を担ったのだが、今作では前二作ほど重要な設定があるわけではない。 --その前作までは序盤から終盤まで「世界各地を回ってメロディを集める」という目的があったのに対し、今作ではストーリーの後半になって「島の各地にある7本の針を抜く」という目的が与えられるが、この針を抜いても新たなメロディが流れるようなことはない。 --一応、シリーズ恒例の凝ったライブシーンは健在。そのシーンを担当するバンドグループ「D.C.M.C.」は、前作におけるトンズラブラザーズの倍以上にストーリーの本筋へ関わってくる。 ***ストーリー面以外 -前二作と比べると平均クリア時間は約20時間ほどとボリュームは薄め。 --その大きな原因はマップと冒険のスケールにある。初代はアメリカの片田舎という規模的にはこぢんまりした舞台設定ながら広大なマップでボリュームある冒険を演出しており、前作に至っては地球規模の世界を舞台にしたスケールの大きい世界観の中で旅情感溢れる冒険を繰り広げていた。~ 一方で、本作の舞台はノーウェア島というひとつの小さな島に留まっているので、どうしても世界観のスケール感やゲーム全体のボリュームに欠けてしまう。 //初代は「アメリカの片田舎」から出ていないはずなので表現を修正。 --本作の世界ではこのノーウェア島しか残っていないとされているため、厳密に言えば世界を旅しているとも言えなくもないのだが、やはり過去作と比べるとスケールが小さい。 ---マップが狭い分しっかりと作り込まれており、シナリオの進行によって様々な変化が起こる。そういった間違い探しが好きなプレイヤーにとっては評価点と言える。 //--それに加え、第3章まではほぼ同じ時間軸の中で、各章の主人公を代わる代わるプレイしそれぞれの視点を追いながら話が進む。その間はあまり変わり映えしないマップの中でプレイすることになる。 //---また、味方のPSI使いはクマトラが2・3章のそれぞれ終盤にゲスト参戦気味に出てくるだけなので、PSIを主力に使えるのは4章以降。 //マップが代わり映えしないということはない。また、同じダンジョンを別ルートで通る展開は評価点とされるゲームも多い。(フリントは兎も角)PSIが使えない分特技が充実しており、前作ウィンターズ編のような単調な戦闘が続くわけではない。 //余計なネタバレ・冗長な記述・主観的な部分をカット、co -細かなストーリー誘導 --今作は舞台が狭くなった分、前2作にも増してシチュエーションやイベントが多く、イベントの区切り毎にタツマイリの村人やマジプシーや仲間達、果ては敵であるはずのブタマスク達までもが、時にシリアスに時にコミカルに「次にどこに行って何をすべきか」を親切丁寧に教えてくれる。村人のひとり「地図好きのマップソン」に至ってはマップに行くべき場所をチェックしてくれる。その丁寧さは前作の「ヒント屋」が廃止される程。 --だが親切丁寧な一方、ストーリーも基本的には一本道なので「自分で考えて進むのではなく、ただゲームに誘導されているだけ」と感じる人も少なからず居た。少なくとも「ゲームの自由度」は前作にも増して少ない。 ---ただし7章では、ポイントを知っていれば話の流れを無視して針の抜く順番をいくつか自力で変えることも可能。戦闘の難易度は上がるが。 ---そしてスタッフもそれを見越して、流れを変えた場合でしか見れない小イベントや小ネタ・セリフも用意されているのは流石と言うべきか。 -最終章は「ニューポークシティ」が舞台だが、そこに着くとノーウェア島には''戻れない''。 --前作でもラストダンジョンに入り、その中でセーブしてしまったらクリアまで元の世界には戻れないという仕様があったものの、そのラストダンジョンはあまり長いものではなく、しっかり準備をしていけばラストダンジョン進入後はセーブしなくても十分にクリア可能である。 ---途中にセーブポイントはないが、むしろ道中が突入後の育成もアイテム入手もままならない凶悪な構成になっており、極力そこの雑魚を避けて通った方がいいほどのため、それほど気になるものではなかった((ただし、GBA移植版ではラストダンジョンから脱出できてしまうバグ技もあったりする))。 --一方で今作はそのラストダンジョンに相当するニューポークシティがまるまる1章分充てられている。種明かしあり、中ボス戦あり、ミニゲームありと濃い分、それまでの章と比してかなり長く、故にややダレやすい。 ---反面、経験値稼ぎやアイテム購入等、突入後の準備・強化が十分できるようになっているのでラストダンジョンで詰む事はほぼなくなった。最終章に行ける段階ではノーウェア島はほとんどの住人や施設がニューポークシティに移動しており、すっからかんになってもいる。 --後述にもあるが、本作ではセーブデータ枠が2つしかないので、尚のことこの難点を感じやすい。 -サウンドバトル --音感がない人はほとんど成功できないため誰でも楽しめる要素ではない。 --BGMをじっくり聞かないと満足に行えないため、人通りの多い場所や騒音のする場所でプレイする場合にイヤホンが必要になってくる。 ---またGBAのボタン音は決して小さくないのでBGMを聞きにくくタイミングを合わせづらい。眠らせることで正解のリズムに合わせた効果音が流れるが、ハード上の問題の前では同じことである。 //--システムの関係上問題なくリズムが入力できるプレイヤーだとしても雑魚戦に長い時間を取られるか無駄にダメージを受けるかを選ぶ事になる。 //--そもそも「大ダメージを受けても減りきる前に倒せば助かる」という「2」から引き継いだ「ドラムロールシステム」と、成功リズムを待機しなければならない当システムは食い合わせが悪い。 //---基本的にHPに余裕があるときでないとサウンドバトルは狙えないため、攻撃力の高い強敵との戦闘は長引きがち。 //---さらに強敵との戦闘では正解リズムが相当嫌らしいBGMが流れる事も多いため、そもそもサウンドバトルは成功させにくい。曲の難易度が敵のパラメータの一つとして想定されているのだろう。 //---終盤の強敵BGM「つよきもの」とそのアレンジ曲は特に難易度が高く、このシステムが難しいという評判の一因となっている。 //---一応「たたかいのきおく」で練習したり成功例を確認する事は出来る。確認したからと言って出来るかどうかはやはり曲やプレイヤーに依存するのだが。 //--16発すべて成功しきると約2倍近くのダメージを与えられるが、難しい上に成功しないと劇的に難易度が変わるという訳でもないので、面倒ならば基本的にレベルを上げて連打で済ませてしまっても特に進行に問題は無い。新要素としてはいかがなものか、という新たな問題が浮上してくるが…。 //下記の評価部分と食い違う為co -「たたかいのきおく」をコンプリートするのが困難 --敵シンボルに後ろから接触するのは難しい。また上述したストーリー進行の都合上、''すべての敵が期間限定''。 ---ダスターがパーティにいる時は特技で敵を後ろに振り向かせられるが、ダスターが居ない時期にしか戦えない敵も少なからずいる。 --ストーリー上、行く必要がない場所でしか戦えない敵も存在する。またレアモンスターも数体存在する。 -全体的にアイテムの種類が少ない。 --前作と前々作にあった、能力を上げてくれるアイテム・味付け小物((食べ物アイテムに勝手にふりかける調味料アイテムで、相性が良いと本来のHPやPPの回復量を倍にしてくれる。))は全面リストラ。 --前作はPP回復アイテムが買えたが、''本作ではプレゼント箱やスロットを除けば、敵のドロップ等でしかPP回復アイテムを入手できない。'' ---更に前作は80PP、味付け小物のシステムを利用すれば160PPまで回復できたが、本作は回復力もケーキの50PPが最大で、入手できたときのリュカやクマトラの最大PPと比べるとショボく感じてしまう。 --前作はHP全体回復アイテムやHP・PP同時回復アイテム「さとりのべんとう」もあったが今作ではなく、1から存在した気絶してない状態での味方のHPを全回復するアイテムも本作ではなくなった。300~400位回復するアイテムはあるものの、気絶回復のアイテム(HPを全回復して復活する)より入手しづらい。 //--前作では回復手段を活用すればPSIが実質使い放題に近かったので、バランスを再考した結果なのかもしれないが。 //↑その割には3は回復ポイントが多いし2も3も持ち物がそんな持てないから使い放題にはならない。 --一度に相手する敵は3体までで、4体目以降は倒れたところに補充に入るシステムなのもあって、全体攻撃するアイテムや特技を使うのがちょっともったいなく感じてしまう。 -普通に進めていれば最終章まで、もしくは最終章の最中に攻撃も回復もΩレベルのPSIが揃うバランスなのだが、ごく一部要求レベルが高いPSIが存在する。 --リュカが覚える「リフレッシュ」と、クマトラが覚える「PKグラウンド」がそれ。この2つは習得がレベル依存ながら他のPSIと比べて高く、ある程度のレベル上げをしてもラストダンジョンで覚えるかどうかギリギリといった高さ。存在を知らずにクリアした人も少なくないのでは?、 --当然ラスダンでレベル上げして覚えるという方法はある。~ しかし「リフレッシュ」は本作の特殊なラスボス戦で非常に有用だが、「PKグラウンド」はラスダンで効果を発揮しづらく、活躍の場が少ない。~ 覚えなくても余裕でクリアは出来るが、せっかくの本作新登場の攻撃PSIでありながら、影が薄いのは否めない。 ---「PKグラウンド」の効果は地面にいる敵全体に、敵HPの割合ダメージを何発も当てる地震攻撃という非常に強力なもの。その為、一種の「隠しPSI」を想定していたのかもしれない。~ ただ一旦覚えてから後述の「データ引き継ぎバグ」を使用すれば、クマトラが使用できる場面なら序盤から存分に使用できる。 -過去作の特徴が変更された部分 --フィールドマップ描写が平面的になった。 ---『2』までは完全に斜投影図((トップビューとクオータービューの中間の手法。真正面から見たオブジェクトを基準に斜め方向に奥行きを形成することで立体感を演出する。『2』では完全なクォータービューで描かれているマップも一部ある。))で描かれていたため立体感のあるマップになっていたが、今作ではポケモンのようなトップビュー視点になった。ここは別段、批判されるべき点ではないのだが、MOTHERらしいグラフィックの特長とも言える点であったため、残念がる人も多かった。 --『1』や『2』に存在していた要素や施設、具体的には『2』にあったヒント屋、写真撮影、新聞読み上げサービスなどが本作では存在しない。(ただし、前作までと比べて文明的に退化した世界が舞台という設定上の都合という側面が大きい。) ---パンくずやテレポートといった長距離の移動を快適にする要素も存在しないので、遠出が容易ではない。~ 一応ダンジョンをクリアすると、村に簡単に戻れる移動手段を用意してくれるところはあるが、ほぼ全てが一方通行・使い捨て。~ 過去作と比べると移動の快適さ自体は大幅に改善されているため、致命的な問題点ではないのだが…… ---『2』にあったアイテム管理を補助するシステム(道具屋の看板、エスカルゴ便)が存在しないので、その点ではアイテム管理の柔軟性は劣化している。~ 特に預かり所自体がない1~3章と8章後半は、アイテム管理にやや注意する必要がある。最も1〜3章はアイテム管理に失敗して大幅に損をする場面は無く、8章後半は最後の最後に預かり所があるので然程問題でもないが。 --主人公の好きな食べ物を設定できるが、母親が作ってくれる好きな食べ物を食べて体力を全快するというお約束のパターンがストーリーの都合上なくなり、完全に小ネタ用設定となっている。これもまた前作からのファンは気になる点であろう。 ---例えば、デフォルト設定である「ふわふわオムレツ」を入力した場合、ある看板を調べると「ふわふわオムレツのなえ」というメッセージが出たりする。 //-とあるダンジョンでの異質な謎解き //#region(ゲーム終盤の攻略についてネタバレをしています。閲覧注意) //-最終章のダンジョンでは、先へ進む為に3種類のミニゲームを攻略する必要がある、のだが…ミニゲームに勝利するのではなく、わざと敗北しなければ先へは進めない。しかもただ負けるのではダメで、接戦を演じた上で負けるという所謂「接待プレイ」を行わねばならない。 //--最初のもぐら叩きは相手が10匹という記録を出すので、此方は9匹で止めておけばクリア可能。 //--2戦目の一本橋早渡りは、相手のゴール直後にゴールできればOK。タイミングに自信の無いプレイヤーは苦戦するかもしれない。相手がゴールまでにかかる時間は常に一定なので、やり直しを重ねれば何時かは突破可能ではある。 //---相手の動きは鈍臭く、コースを逆走することもある。プレイヤーによってはかなりイライラが溜まるだろう。 //--最後の風船割りは、風船が4回大きくなったら連打をストップすべし。 //-救済措置は一切無しで、不愉快さに耐えつつ完璧な接待プレイをやり遂げなければ先へは進めない。「『ぜったい』と『せったい』とふたつのことばが あるならば…だいじなのは こうしゃ…?わかりましたね?」等とのたまってくるNPCが居るが、正直こいつと対戦相手をバトルで殴り飛ばしてでもさっさと先へ進みたいと思ったプレイヤーは多いのではなかろうか? //-本作最終章で接待プレイを強要されるまで、作中はおろかシリーズ作品全体でもミニゲームへの挑戦は基本任意であり、本編攻略には関わってこなかった。 //-一応、このイベントについては「常にNPCに接待プレイしてもらっているプレイヤーへの皮肉ではないか?」という考察も存在してはいる。 //--そのような皮肉を態々ゲーム中で行う必要はあったのか、態々プレイヤーに対してぶつける必要はあったのか、といった疑問は残るが。 //#endregion //スレでの議論によりCO中です //上記内容は賛否両論にしては、あまりにも賛部分が少ないのではないか? 再判定希望 ---- **問題点 -バグ・不具合 --データ引き継ぎバグ --クリアしたセーブデータをもう片方のデータに写してからタイトル画面に戻りニューゲームを始めると、装備品とPSIがクリアデータの状態を引き継ぐバグが存在する((リュカは最初はPSIを使えないが、初めてPSIが使えるようになる場面で、写したセーブでのPSIを最初から全て使えるようになる))((あくまでバグなので装備品はゲームを進めると初期装備に上書きされてしまう。しかしボニーだけは特定の簡単な進め方で最終装備のまますすめられる))。~ 実質的な「強くてニューゲーム」となり、ゲームを進めてイベントで覚えるPSIや、上記の「PKグラウンド」の様な覚えるのが最終盤で活躍の場が少ないPSIも序盤から使っていける。 --セーブはカエルが担当する。 ---しかし、イカヅチの塔のキングPさまの部屋ではそのカエルと周囲のオブジェクトに挟まれて、身動きが一切取れなくなる危険性がある。 --些細なことであるが、第4章以降においてカエルの台詞が、「ごようですね?・はい ・いいえ」→「セーブですか?DPかんけいですか?・セーブする ・DPかんけい」と2度に分けて選択肢を表示しているため、これらを利用するときに若干面倒。メッセージウィンドウが2行表示なのが、その原因かもしれないが。 -何故かサウンドプレイヤーに収録されていない曲がある。ニューポークシティの映画館の曲がその一例。 -『1』や『2』ではセーブデータを3つまで作成できたが、今作では2つしか作ることができない。 ---- **評価点 ***ストーリー面 -上述している通り非常に重い部分が点在するが、そういった陰の部分は本作の持つ顔のひとつに過ぎない。~ 翻弄されるフリント一家とタツマイリ村の村人、玩具の様に改造されるキマイラ、謎の人外存在「マジプシー」、悪役ながら様々な側面を見せてくれるブタマスク軍……悲しい結果になろうとも、最終的には人間讃歌・命の讃歌へと繋がっていく。&bold(){それを否定するのは黒幕「キングP」ただ一人である。} --死してなお息子2人を支え続けようとする母の愛、ダスターとウエスの不器用な親子関係、DCMCメンバーの絆、シログネ山でのエピソードなど、人の優しさ、人と人との繋がりが描かれる場面が非常に多く、そういった部分に感動・共感するプレイヤーは多い。 -本作の舞台設定は簡素なようで非常に練られている。特に終盤知らされる「世界の真実」はプレイヤーに多大な衝撃を与える事必至。 --序盤はいかにも田舎の牧歌的な村といったタツマイリ村は、ブタマスク軍によって歪で急激な近代化を遂げて、村人達の絆も揺らいでいく。一見単純な文明侵略とそれへの批判的描写にも思えるが、この世界の真実を知ると一種の悲しみと皮肉が見えてくる。 -世界観が小規模になっている代わりに、拠点となるタツマイリ村の住人にも全員に明確なキャラ付けがされており、ストーリーの展開に伴い彼らの人生も展開してゆくなど、人物描写はかなり細かく丁寧。 -敵役であるブタマスク軍団は、序盤は謎の侵略者達という完全な悪として描かれているものの、中盤以降はこき使われてくたびれてる下っ端、中間管理職的な立場に悩んでいる少佐といった人間味あふれる姿で描かれている場面も多く、ブタマスクも黒幕に従う悪役ではあっても自分と同じ人間であるとプレイヤーに感じさせる。 --キマイラ達も序盤は明確に被害者として描かれているものの、年月が経つとちゃっかり独自の生態系を築いてたり楽しげに暮らしてたりと、ある意味大自然のたくましさを感じさせる。 --後述の余談にもあるが、「ゲーム批評」でこの''相手側の掘り下げ''を評価している。 -「きゅうきょくキマイラ」のインパクトが抜群。 --中盤に訪れるダンジョンで登場し、ダンジョンの中にいるキャラクターたちから「奴には近づくな」というニュアンスのセリフを幾度か聞かされる。 ---そして、なんと、触れるだけで戦闘にすらならず、かじりつかれてゲームオーバーになってしまう。「隠しボスの類かな?」などと勢い勇んで突っ込む数多のプレイヤーを返り討ちにした。このインパクトが大いに受け、話題となった。 -ながらプレイだと最初は気づきにくいが、村人全員に名前がついている。これが「みんな居なくなってしまう」寂しさや恐さにパンチをくわえている。 --特に長身の「リダ」の最後の独白はこの流れを踏まえると、とてもやりきれなくなる。 -前作EDの最後に''今作に繋がる重要な伏線''があり、それは本作においてしっかりと回収されている。 ***前作からの進化 -キャラクターの動きおよびグラフィックのパターンが多彩になり、滑らかにアニメーションするようになった。 -Bボタンによるダッシュで、いつでも走って高速移動できるようになった。~ これにより過去作の問題点の移動速度の遅さが大幅に改善された。 --走っていると主人公より圧倒的にレベルの低い敵を蹴散らせるので、不要な雑魚との戦闘をしなくて済む。 ---ただし、前作と異なり経験値は入らない。圧倒的なレベル差があるならこの程度は不要だろうが…~ またこの要素の導入に伴ってか、「戦闘画面に入る前の決着」は廃止となっている。 --便利なだけでなく、走らなければいけない場面が幾つかある他、走ることで見られる小ネタもいくつかある。 -アイテム欄の改善 --ストーリー進行に関わる最重要アイテムは、通常アイテムとは別枠で「だいじなもの」として管理されるようになった。 --預かり所で預かってくれるアイテム数も大幅に増加した。 --小さく簡易的だが、装備品やアイテムのグラフィックが表示されるようになった。~ 面白い名前や効果を持つ装備やアイテムも多いだけに、地味に嬉しいところ。 -その場所のマップが入っている青いヒモのプレゼントボックスが登場。一旦手に入れれば、ダンジョンでもそれぞれのマップが見られるようになった。 ***戦闘 -調整不足により高難易度気味だった『1』、逆にかなり軟化したうえにぶっ壊れ要素もあった『2』と過去作はバランス面で大味さが目立っていたが、本作は全編絶妙な難易度でまとめられており、ゲームバランスの良さはシリーズ随一。 -ゲームバランス --ストーリーを進めながら適度に戦闘をこなせば概ね適正レベルに到達して新しい装備品を大体買い揃えるお金が貯まり、ボスには適度に苦戦できる…という絶妙なバランス。~ 地味ながらレベルアップ式のオーソドックスなRPGとしては一番の評価点と言っても差し支えない。 -PSI --実質PKフリーズ一強だった「2」から、攻撃PSIに調整が入った。特に「1」の全体攻撃に戻って威力も効く相手も増えたPKファイアーや、相変わらずターゲットは選べないが雷属性が付いて命中率が大幅に上がり、サイコシールド貫通の効果が付いたPKサンダーは大幅に強化された。 --逆にPKフリーズは耐性を持つ敵が殆ど居らず攻撃PSIはこれ一択状態だった「2」から一転、強耐性を持つ敵が多く増えて若干弱体化した。それでもPP消費に対して敵一体への威力が高めという「2」の特徴は健在で、相変わらず強く扱いやすい。強さはそのままに使い分けの必要性を持たせたのは良調整といえる。 --シールドをかけた、またはかかった状態で対応する攻撃を受けた時にステータス部分にシールドのアニメーションが表示されるようになった。前作では文章でしか表示されず、シールドがかかっているのか効果があったのかわかりづらい部分があったので、大きな改善と言える。なおこれは敵にシールドがかかっている時も同様。 --状態異常回復の「ヒーリング」は前作まではその状態異常に対応するレベルのヒーリングをかけないと治せなかったが、~ 今作は「α」はきぜつ(戦闘不能)以外の状態異常を何でも1つ、「β」はきぜつ以外の個人の全異常回復、「γ」はきぜつを含む個人の全異常回復、「Ω」は全員のきぜつ含む全異常回復……と大幅にわかりやすく、かつ便利になった。 ---また前作の「ふしぎなきもち」「ミニミニユーレイ」の様なヒーリングでも治せない厄介な状態異常は全て廃止されており、全ての状態異常は全てヒーリングやアイテムで治せる様になっている。 -前作ではイマイチ効果の薄かったバフ・デバフの効果が大幅に強化された。ボスにもしっかり通用するどころか、ボス戦等は寧ろバフ・デバフ前提のバランスとさえ言える。 -サウンドバトルをやりやすくする要素として相手の「ねむり」状態がある為か、本作はRPGでも類を見ないほど相手が「ねむり」状態になりやすい。ボスにまで「ねむり」が通用する。 --ただし当然ながらねむり状態にして一方的に倒せる程ではないし、ボスにはやや通用しづらく、アテにするには厳しい。 -サウンドバトル --漫然とボタンを連打するだけの戦闘ではなくなり、飽きにくくなっている。うまく決められれば中々爽快感がある。 --ゲームに必須というほどのものではなく、サウンドバトルを成功させなくても前作に近い感覚で戦闘を行うことができ、クリアは十分可能という按配で割と良好な調整。「無理に狙わなくてもいい」事はゲーム内のアドバイスキャラにもきちんと言われる。 ---かといって意味の無い要素かと言えばそんな事はなく、全16ヒット全て成功させると単発に比べて2倍以上もダメージを与えられる。3ヒット程度でもあとちょっとで倒せる時のもうひと押し位には充分使えるので「致命的なダメージ」を受けた時みたいなピンチ時以外は、基本狙ってプレイヤーが有利になる展開しかない。 -前作に比べてドラムの回転速度が遅くなったぶん、敵の一発の攻撃力が高めなので、致命的なダメージを受けた場合の適度な危機感という、ドラムロール式HPの妙味を味わう調整となった。 -敵キャラのグラフィックのバリエーションが増えた。 --フィールド上の敵シンボルは、ある例外を除き完全に敵ごとに固有。 --またボスを除いた殆どの敵には、戦闘画面でのグラフィックに「後ろ姿」といったものが追加された。敵シンボルに背後から接触すると、後ろ姿の敵と戦闘開始になる。 ---敵に背後から接触すると1ターン先制攻撃できるため有利。逆に背後をとられると不利((ただし一種類だけ、背後をとる・後ろに振り向くと致命的な攻撃を繰り出す、初見殺しの例外種がいる))。敵のフィールド上での行動パターンも前作に増して個性がありシンボルエンカウント形式を存分に活かしていると言える。 -SELECTボタンを押すと戦闘中にPSIやアイテムの簡単な説明が表示されるようになった。必要がないときは閉じることもできる。 -装備 --前作までは防具は基本的にディフェンス(防御力)上昇とPSI・状態耐性くらいしかなく、より良いものにステップアップしていく以外の選択肢がなかったが、本作ではPP値上昇や他のステータス上昇ボーナスを持つ防具が大幅に増えて、より高いディフェンスを取るかボーナスを取るかといった選択肢も増えた。 --武器も同様に少し上昇値が低くてもステータスアップボーナスを持つ武器が登場する様になった。 ***サウンド -音楽の質・収録数共にGBA最高峰とも言われる。 --新作・旧ハードからの移植作共にどんな名作でも問題点・ガッカリ要素に挙がりやすい「GBAの音質の悪さ」だが、本作はGBA末期の発売とはいえ、既に発売していた次世代機のニンテンドーDSと殆ど遜色無い高音質を実現している。少なくともGBA作品にありがちな「くぐもった様な音」は本作には全く無い。 --旧作の鈴木氏・田中氏コンビからバトンタッチされた酒井省吾氏のBGMも評価が高く、本作のテーマソング「愛のテーマ」を始め名曲も多い。 ---バトル音楽も「2」は全体的にサイケでエキセントリックなバトルBGMが多く強烈な印象を残したが、「3」ではマトモにゲーム音楽っぽいカッコいい音楽からコミカルな音楽まで幅広く用意されている。特に「いわれなきリベンジ」「ブッコワシ賛歌」等は人気。 --それだけにサウンドプレイヤーの導入は嬉しいところ。プレイヤーとしての操作性もかなり良好。 -上述のバトルとの絡みやサウンドプレイヤー、収録曲数なども含めて完成度は高め。 -質の高さもさることながら、場面にあったメロディーがしっかりとアレンジされており、演出としての評価も高い。 -村でかかる曲は最初は幸せそうな曲だが、進行するにつれぽつりぽつりと「みんないなくなる」という流れにも合う名曲。曲のタイトルの記号「?」が意味を持つ。 ---- **総評 64版の開発中止を経て発売された待望の『MOTHER3』は、結果的に長らく「一つのゲーム作品」として冷静かつ公平な評価をするのに困難にさせるまでにファンに衝撃を与えた代物だった。~ 後述の『余談』の項目でも触れられているが、殊更に『2』のような明るくポップな路線を期待していたプレイヤーは、今なお本作のショッキングな部分を厳しく評価する事も少なくはない。~ しかし本作の「どこかの世界の一つの家族」が織り成す物語は、単なる「鬱ゲー」などという言葉で片付けられるべきではない代物な事は留意しておくべきである。~ 悲しみも恐怖も辛さも、面白さも楽しさも優しさも全てが込められている本作はまさしく「''奇妙で、おもしろい。&i(){そして、せつない}''」。~ その事を意識して本作はプレイして頂きたい。 //総評が賛否両論時代の物で現在の判定とややそぐわない為、全体的に良作寄りに記述し直しました。 ---- **その後の展開 -本作の主人公のリュカは『[[大乱闘スマッシュブラザーズシリーズ]]』でプレイヤーキャラとして参戦。 --必殺ワザのPSIなど、本格的な共演を果たした前作主人公のネスと共通したものもあるが、通常攻撃が全面差し替えとなり、必殺ワザの細かい仕様も大きく異なっている。 --『[[X>大乱闘スマッシュブラザーズX]]』『[[SP>大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL]]』ではあわせてニューポークシティもステージとして登場。しかもなんと本作中最凶の敵である「きゅうきょくキマイラ」がやくもの(ステージトラップ)として現れる。もちろんこれにがぶりと一撃されると即場外1ミス。 --本作の黒幕もアドベンチャーモードの中ボスとして登場する。 --『[[for>大乱闘スマッシュブラザーズ for Nintendo 3DS / Wii U]]』ではステージごとリストラされたものの、後にDLCでリュカが復活参戦することになった。『SP』では最初から収録されている。 -発売時期などの諸事情から本作はシリーズ三作で現在唯一海外未発売タイトルとなっている。 --一方当然ながら存在は海外でも知られており、知られているどころか海外では熱心な海外ファンにより発売してすぐに英語訳パッチが制作され、現在ではイタリア語版やスペイン語版、中国語版のパッチも作られており、&bold(){非公式ながらかなりワールドワイドにプレイされている作品}だったりする。~ 未だに公式ローカライズ版の発売を求める声も根強く、中には全訳版を作ってNintendo of Americaに持ち込んだり、本作が発売されないことについてまとめた書籍を出版するファンまでいるほどである。 ---MOTHERファンとしても有名な『[[UNDERTALE]]』製作者・「Toby Fox」氏も、特に『3』をリスペクトしている事を公言している。 --2006年から2019年までNintendo of Americaの社長を務めていたレジナルド氏はこれらの要望に対し、「今後配信される可能性が0ではないが、実現は厳しい」とコメントしている。 ---しかし、社長時代のレジナルド氏へのインタビュー等では現行のハードや販売戦略の話題を差し置いて本作に関する質問が話題にあがることがたびたび見受けられていた。~ こうした事態にレジナルド氏も色々思うところがあったのか、E3 2014の公式映像では&bold(){『MOTHER3』を出してくれと頼み込んだ記者をレジナルド氏が燃やす}という一幕が存在した。 ---一方で海外ユーザーの本作を求める声を「しっかり把握している」と近年発言していたものの、発売・配信が叶わないままレジナルド氏は19年4月にNOA社長の座を退き、退職した。 -2009年12月9日から配信したニンテンドーDSiウェア『かっぱ道』で、本作に登場した「さんそ補給マシン」と「ブタマスクのお面」などがゲスト登場している。 -2015年12月17日よりWii Uのバーチャルコンソールで配信されている。 ---- **余談 -発売された当時はネット上でも本作の評価は賛否両論真っ二つに割れ、様々な意見が見受けられた。当wikiでも「賛否両論」判定が付けられた後、幾度かに亘って判定基準が変更され、基準にそぐわない状態が続いていたにも拘らず判定が変更されず維持されていたという事実からも、本作を正当に評価するには多大な時間を要さざるを得ない程に本作への意見が割れていた事が伺える。 --上記の通り重いシナリオ部分が独り歩きし終始暗い雰囲気の鬱ゲーと評されることも多かった。~ 「『MOTHER』という名を冠していなければ……」「『MOTHER』として見なければ……」という意見や、本作を受け入れられなかったユーザーにより「はやく『MOTHER3』出ねえかなあ」というネタ的な投稿も各所でなされたりしていた。 --発売から10年以上経った現在では荒れた評価も落ち着いており、『MOTHER』シリーズの一作としては概ね好意的に受け入れられている模様である。 --公式の「4はない」発言と、容量の都合で削られた章やストーリーがあることなどから、本作の完全版を求める声も未だ多い。 -『MOTHER』らしさとは何か --『MOTHER』というタイトルとファンの大きすぎる期待を背負い、大作を宿命づけられた本作のゲーム内容は、旧来のファンが求めていた『MOTHER』とはズレたものと拒否するプレイヤー達を多く出現させた。~ 『2』の全体的にポップでカラッと明るい印象や作風が、余計に本作の「MOTHERらしくない、鬱ゲー」という誤解を引っ張っている側面もあるだろう。 ---誤解なきよう言っておくが、『2』にも陰鬱な要素がないわけではない。ただそういった部分の表現が『1』や『3』のように直接的なものではなく、間接的なものとなっているため明るいという印象が強いのである。 ---そして普及率も高いタイトルである上に、本作でのストーリーの重要な登場人物や演出にもかなり関連があるため、そのことも比較される一因と考えられる。 ---ちなみに、64版の開発時に公開していた情報の時点で『2』の様な現代劇ではない事、明るさよりも重いストーリを展開する事は度々明言されており、ビジュアル面でも伊藤「アシュラ」紅丸氏によるキャラクターデザインによる3D化など大きな変更が行われていた((3Dビジュアルに関しては、当時トレーラーなどで実際に公開されている。))。『2』から『3』の変遷の長い歴史からいえば、GBA版はこれでも十分ファンが求めていた『MOTHER』らしさをもって世に出たと言えよう。 --本作がはらむメッセージにも全てに明確な答えがあるわけではないので、プレイヤーの受け取り方に全て委ねられている。この点はシリーズ全体にも言える。 //-公式HPなどを確認する限りでは、本作は親子愛がテーマのほのぼのとした物語((リュカとクラウスが単に「対照的な性格の兄弟」として同列に紹介されていたため、彼らをW主人公としたストーリーだと思っていた人も多数。因みに企画案が公表されて間もない頃にはリュカの方を兄だと思っていた人も少なくなかったようである。))としか感じられないが、実際は上記のように鬱な展開が多い。意表をつく意味もあったのかもしれないが、それにしても色々な意味で予想を裏切られたユーザーのショックは計り知れないものであったろう。 //↑公式サイトでも、ほのぼの感の無いタイトルロゴとキャッチコピーが最初にあり、最初の紹介ページにも「悲劇なのか喜劇なのか」などと書かれている。 -没にされた内容 --内部データには、ある重要キャラクターの大変ショッキングな没グラフィックが残っている。動画サイトに上がっているので興味がある方はどうぞ。~ またHAPPY ENDという没ロゴ等も存在する模様。 ---これらや一部没テキストからも、幾多のシナリオ変更の名残が覗える。あるいは当初(元の作品である64時代も含めて)はもっと陰鬱な内容になる予定だったという名残か。 --没にした理由は、CERO指定に配慮したのか、糸井氏自身の心境に変化があったのかなど、定かではない。 ---途中の幻覚シーンは製品版でも充分気持ち悪いのだが、CERO指定に配慮する前はもっと酷かったという。 ---また64の段階では、『2』までの世界からつながると思しき過去の世界の崩壊の様子がはっきりと描かれていた。 ---64・GBAともに『2』の主人公ネスを操作できる場面が用意されていたが、製品版では友情出演程度に留まっている。上記のことも合わせて、製品版では台詞での説明しかなかった過去の世界のシーンが描かれる予定だったと思われる。 -『1』と『2』ではイラストレーター・みうらじゅんの知人である鳥取県出身のアーティスト「トットリくん」が作ったキャラクター人形が公式のアートワークとして随所に使われていたが、今作にはない。 -MOTHERシリーズは基本的に全曲収録されたサントラが出ていない(ゲーム音源を収録したアルバムが出たのは2のみ)が、本作はiTunesで「MOTHER3i」が配信されている。 --各曲のタイトルと本来のサウンドプレーヤーのタイトルと一致していない、((人気曲「コウモリさんのツイスト」「ハッピータウン?」等も別タイトル))音源が違う等あるが抑えるべき曲は押さえられている。 また、別に大貫妙子氏らが参加しているDCMCをモチーフにした「MOTHER3+」もある。 -「ゲーム批評」で珍しく?ベタ褒めしていたゲームでもある。 --おそらく6章あたりまでの評価でドラゴンの針やラストまではやっていないのが明白だが糸井重里氏の章仕立てのシナリオの仕掛けについて解説されている。ゲーム批評を読んでからやり直すとブタマスクに目が離せなくなること必至。 //マザースリー //検索用ワード
す*MOTHER3 【まざーすりー】 |ジャンル|RPG|CENTER:&amazon(B000093OLW,image=https://images-na.ssl-images-amazon.com/images/I/410Q3NYFE1L.SL160.jpg)''※ぼったくり業者に注意!''| |対応機種|ゲームボーイアドバンス|~| |メディア|256MbitROMカートリッジ|~| |発売元|任天堂|~| |開発元|任天堂&br()東京糸井重里事務所&br()ブラウニーブラウン&br()ハル研究所|~| |発売日|2006年4月20日|~| |定価|4,571円(税別)|~| |配信|バーチャルコンソール&br;【WiiU】2015年12月17日/650円(税別)|~| |レーティング|CERO:全年齢対象|~| |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~| |ポイント|前二作とはまったく異なる世界観、そして重いストーリー&br;人によって評価が真っ二つに分かれる結末&br;恐怖のきゅうきょくキマイラ&br;一応、前作「2」のEDからの続きではある|~| |>|>|CENTER:''MOTHERシリーズ''&br;[[MOTHER]] / [[MOTHER2>MOTHER2 ギーグの逆襲]] / [[MOTHER1+2]] / ''MOTHER3''| ---- #contents(fromhere) ---- **概要 糸井重里氏が手がけ、コアなファンが多いことで知られるMOTHERシリーズの最新作であり(現状の)最終作。~ キャッチコピーは「''奇妙で、おもしろい。そして、せつない''」。~ 作者自身の口から「シリーズはこれで完結」と明言されている。((「NINTENDO DREAM」2006/8月号で糸井氏は「誰かから『4』をつくりたいんだけどって言われたら、俺、「いいよ」って言っちゃうかも(笑)。」「『MOTHER4』があったら(プレイヤーとして)やりたいねえ。 」などのコメントを残しており、任天堂の他チームによる開発・発売の可能性は残っている。ただ「糸井氏全面監修」の可能性は前述の通り極めて薄いと思われる。)) ---- **発売までの経緯とユーザーからの評価 当初はSFC用ソフトとして製作が始まった。その後N64にプラットフォームを移して開発が進められていたが[[(WebArchive)>http://web.archive.org/web/20180710074234/https://www.nintendo.co.jp/event/spacew99/sokuho/28/soft/mother3/]]、様々な要因が絡み開発は見送り、発売中止に。((本作及び『カービィのエアライド』がN64での開発を延期したため、半ばお遊びで開発して社内コンペで落選にされていた『スマッシュブラザーズ』が穴埋めとして世に出ることになった。))~ その後ようやくGBA用ソフトとして開発が再開し、ニンテンドーDS Liteも発売されたGBA最末期にようやく発売となった。そのために''日本一難産だったゲーム''とも呼ばれている。~ タイトルも『MOTHER3 キマイラの森』→『MOTHER3 奇怪生物の森』→『MOTHER3 豚王の最期』→最終的に『MOTHER3』と、紆余曲折を経ている。~ 本作をクリアした人なら、それぞれのタイトルの意味が理解できるだろう。 12年ぶりのシリーズの新作、ファミ通レビューにおけるシリーズ最高点/プラチナ殿堂、~ 柴咲コウをCM起用しての力の入ったプロモーションと、ユーザーの期待はいやが上にも煽られることになった。~ そうでなくとも一度開発中止が公表された際に多くのファンが本作のリリースをあきらめかけたため、本作の発売は大きな喜びを持って迎えられた。~ それはGBA末期、任天堂の次世代型携帯機「ニンテンドーDS」が既に発売されていたにも関わらず、約40万本の売上を達成し、wikipediaにも「GBA最後のヒット作」と記述されている事からも伺える。~ 以上の経緯から、本作はファンの期待が相当に大きいものであったため、&font(b){かなりシビアに評価をされる傾向にある};ことを留意してほしい。 ---- **特徴・新要素 -ストーリー・世界観について --前作までの架空の現代アメリカ風の世界観からガラリと変わり、謎の時代・謎の世界に存在するただ一つしか存在しない謎の島「ノーウェア島」を舞台に今回の冒険は繰り広げられる。 ---アメリカンカルチャーを根幹のモチーフとして統一していた従来作と異なり、今作中の名詞などには日本的な要素が取り入れられている。~ 例を挙げると、地名「タツマイリ」「オオウロコ」、両親に対する主人公たちの呼びかけが「おとうさん」「おかあさん」など、日本語由来の表現が多い。~ 一方でキャラ名は日本語風・英語風だけでなく、主人公リュカはフランス語源、兄のクラウスはドイツ語源だったり、ある種族はギリシャ語の旋法名からとっていたりと無国籍的な雰囲気を漂わせている。 ---加えてストーリーの舞台となるノーウェア島の''"Nowhere Islands"="どことも知れぬ場所の島"''というネーミング通り、本作の世界観に関する全容はストーリー開始時点や取扱説明書では殆ど説明されずにスタートする。 --シリーズ独特の「糸井風」なセリフまわしやキャラクターは健在だが、本作ではそこで特に重いストーリーが展開される。~ ネタバレは避けるが、''物語が進むにつれ、前作の牧歌的雰囲気とは大きく異なる世界観であることが明らかになる。'' --前2作と比べ、登場人物一人一人の描写が細かく、ドット絵の動きも凝った作りになっている。 -戦闘システムの新要素「サウンドバトル」 --通常攻撃の際、戦闘BGMのリズムに合わせてボタンを押していくことで、通常攻撃の攻撃回数を増やしてダメージ量を上げる事が出来る。 ---その効果は馬鹿にならず、最大16HITSまで行くと約2.5倍のダメージを与えられる。2HITS以降の威力は低いが、10HIT目と16HIT目はやや高い。 --戦闘曲は多種多様で難易度にも落差があり、相手モンスターによってどの曲かは決まっている。 ---強い敵になると変則的・不規則なリズムを持つものや、途中でリズムとテンポが大きく変わる、唐突に余分な拍子・休符が入るなど、HIT数を露骨に打ち切ってくる嫌らしいBGMを持つ。 ---小ネタ程度だが、BGMを変える技を出してくる敵もいる。 --『2』から継承された「ドラムロール式パラメータ」との兼ね合いにより、致命的なダメージを受けた場合などはサウンドバトルを長々と狙うよりも迅速な回復を優先したり、あるいはボタン連打で手早くターンを回して通常攻撃を連発し、捨て身で攻撃し続けたほうが良い場合もある。 -新要素「とくぎ」 --『2』にもキャラ専用の効果を持つコマンドは存在したが、本作ではそれが更に掘り下げられ、個別に「とくぎ」が与えられた。なおシリーズおなじみの「PSI」も「とくぎ」の一種扱いとなる。 ---例えば1章の主人公・フリントのとくぎ「きあいをいれる」は、自力でバフ効果を得たりぶんまわして全体攻撃したり、外れやすいが強烈な一撃を与えるコマンドが選べる。2章の主人公・ダスターのとくぎ「ドロボーグッズ」は何度でも使える異なる効果を持つ6種の道具を使える。 ---主人公にはならないメインキャラ・ボニーにも相手をチェックする「においをかぐ」というとくぎが与えられており、キャラの個性をよりわかりやすく深めている。 -『2』から継承された「ドラムロール式パラメータ」の改良 --ドラムロール式パラメータの詳細については[[前作の項>MOTHER2 ギーグの逆襲#id_c0a25cbb]]を参照。 --ドラムの回転速度は前作よりもかなり遅くなり、キャラが成長する毎に致命的なダメージを受けた場合の対処を立てるだけの余裕が広がっていく。''ガード中は更にHPの減少が遅くなる。'' ---その分、後半の強敵の攻撃力はターン制RPGとしては相当高く設定されており、致命的なダメージを受けることを半ば前提としたバランスともとれるようになっている。 --ドラムロールの仕様は前作と少々異なり、HP計算がドラムロールを介さずに行われるようになった。&br;つまり''どのタイミングで回復したり・ダメージを受けても、最終的なHPは変わらない。'' ---例:HP150で300のダメージを受けた直後にHP120回復した場合:減少は必ず120で止まる。ドラムが120を下回っていた場合、120まで上昇しだす。 ---HP300でダメージ290を受けた直後にHP120回復すると:必ず(300-290=10)+120=130HPとなる。ドラムが130を下回っていなかった場合、130まで減少し続けてからストップ。 -便利な「カエル」 --前作までは電話、或いはその類の物で主人公のパパに連絡する事でセーブとお金の振り込みを行っていたが、世界観の変更により、そこら辺にいる「カエル」に話しかける事でセーブを行う形式となった。 --電話形式だとセーブポイントがほぼ家か町中に限定されていたのに対し、今作ではカエルだからかフィールドの途中やボス戦前などかなり細やかにセーブポイントが配置され、ゲームオーバーによるやり直しのストレスが大幅に改善されている。また「MOTHER」らしく、カエルにも様々な種類が存在する。 --ノーウェア島全域にドラゴンパワー(DP)という通貨のような概念が導入される4章以降は、カエルでDPを預けたりひきおろしたり出来る、前作でいう「キャッシュディスペンサー」の役割も担う様になり、益々便利になる。極一部DP関連が出来ないカエルも居るが、買い物が出来る場所の近くには必ずDPを担当できるカエルが存在する。 -便利な回復ポイント「温泉」 --回復ポイントもまた世界観の変更により、前作の「ホテル」や宿の様な泊まって回復する施設は廃止された((タツマイリ村に「YADO」はあるが、ほぼイベントや会話用の施設で泊まることは出来ない))。 --その代わりに、あちらこちらに少し浸かるだけでHP・PPが全回復できる「温泉」、或いはお風呂的なのが存在する。こちらも長いフィールド移動の途中や特定のダンジョンに配置されている事が多く、近くにセーブカエルがいる事も少なくない為、拠点にしてレベル上げやDP稼ぎをしやすくなった。 --また温泉ほどではないが、前作の「インスタントエナジーマシン」を彷彿とさせる瞬時回復ポイントや、「おやすみソファー」といった回復ポイントもある。 --前作までは「きぜつ(戦闘不能)」になると幽霊の様な姿になり、アイテムやPSIで蘇生させる以外は、基本的に病院に行って料金を払って蘇生させる必要があった。今作は戦闘不能になるとぐったりとしてはいるが後をついて来てくれ、上記の回復ポイントで全快出来るようになった。また、全滅しても全員全快状態でセーブポイントからリスタート出来るようになった。 -世界観の変更により前作までの「町から町」への移動シチュエーションが無くなった故の要素ではあるが、「カエル」と「回復ポイント」のおかげで、結果的に探索面では前作よりも快適となっている。 -前作のともだち2(ジェフ)の専用アイテムの様な強烈な効果を持つアイテムは無くなったが、その代わりに全部のアイテムを全員が使える様になった。 -「サウンドプレイヤー機能」の導入 --ゲーム中の殆どのBGMを自由に視聴できる機能。複数の曲をお気に入りリストに登録して、まとめて聴いたりすることもできる。 --現時点では聞いたことのないBGMも名伏せで聞くことが出来る。そこで聞ける収録総曲数はなんと「250曲」。GBAでは破格の曲数と音質である。 ---曲数が膨大な理由は「サウンドバトルのためにリズムが変わったアレンジ曲」をそれぞれ別々にカウントしているからという一因もあるが。 --タイトル画面からサウンドプレイヤーに入れるため、GBAを携帯プレーヤー代わりに使う事が出来た。当時としては画期的な機能だろう。 -「たたかいのきおく」と呼ばれるモンスター図鑑が追加された。 --一度戦った敵のグラフィック、『糸井節』あふれる図鑑説明が自動で登録される。模擬戦も行えるので敵の戦闘BGMを聴いてサウンドバトルの練習もできる。詳しくは後述。 ---- //賛否激しい作品ということで、こちらを先に持ってきます。 //良作単に変更された為、じきに記述の順番の変更を検討しています。 **賛否両論点 ***ストーリー面 -前作までと比べてストーリーやイベントに非常に力が入っておりほのぼのとした世界観を尊重していた前作から一転、シリアス要素を強く含んだストーリーとなっている。~ 特に前2作では間接的表現に留まっていた「キャラクターの死」が明確に描写されている他、ショッキングなシーンや心をえぐる様なセリフ・表現が点在する。この重厚さが受け付けられないとして批判されることがある。 //--平和に暮らしていた主人公の一家が、ある凄惨な事件をきっかけにバラバラになってしまう。 //それから間をおかず、外部からやってきた人間により通貨や「しあわせのハコ(テレビのようなもの)」が導入され、村が近代化して現代風に発展していく一方で、住民たちは洗脳されていき、それに抗う人間も粛清される…という流れ。 //--黒幕も含めて敵キャラの設定及びその最期にも重いものが多く、思わず同情したくなるものも。 --本作のザコ敵の半数を占める「キマイラ」は、文字通り、ノーウェア島の動物達の肉体をバラバラにして他の動物や機械と合成したもの。「にわとりヘビ」とか「サイロケット」など。 //---特に黒幕はむごい設定を背負って登場し、悪事の動機と最終目的も踏まえると可哀相に思えるキャラである。そして主人公らとの対決の末、とある悲惨な結末を迎える。悪役なので自業自得とはいえ、彼の立場で考えるとなかなか残酷。 //--前作『2』との繋がりを示唆した上で、前作の牧歌的な世界観を覆しかねない衝撃的な設定。 --キャッチコピーや異質なタイトルロゴ等からも分かるように、本作は決してほのぼのなだけのゲームとはされておらず、単体の作品としてみればプレイヤーの感性がこの作風に合っていたか否かといった話でしかない。~ しかし、特に前作の印象の強さから、今作にも前二作のようなゲーム内容を期待していたユーザーは多く、今作の作風の違いに戸惑うこととなった。 //---とはいえ前作までのような文明的な世界を踏まえた上で、その世界観を崩壊させることはストーリー上意図的なものではある。旧作に馴染んでいたユーザーほど今作のショッキングな展開に戸惑うというのも、ある程度狙っていた節すら感じられる。 //--子供たちの冒険物語だった前二作と比べ、本作の仲間たちは年齢層が高い。イヌであるボニーは兎も角、クマトラは十代後半以上な事が推測でき、ダスターは更に上の世代である事や父親のウエスが加齢により老人ホームに入居している事等から、明らかに子供ではない事がわかる。子供なのは主人公のリュカのみである。 --以上の部分から「終始プレイヤーを打ちのめす、重く暗い、鬱ゲー」という先入観で語られがちであるが、前述のショッキングな部分以外は明るくコミカルなシーンや、キャラ間の愛や友情に思わず暖かさを感じホロリとさせられてしまうシーン等、従来のMOTHREらしさを感じさせる要素もしっかり存在している。 プレイしてみれば、楽しさも悲しさも切なさも全て体験できる、いつもの「MOTHER」である事がわかるだろう。 ---「鬱ゲー」と呼ばれる所以は、上記のショッキングなイベントが、よりにもよってゲームを始めたばかりの第1章に集中しているのも一因と思われる。実際第1章は平和かつ幸せに暮らしていた主人公のフリント一家、それを通じてプレイヤーの心を打ちのめす様なストーリー構成となっている。~ そこからの再起もテーマとカタルシスに繋がる為、絶対に抜かしたり甘く出来ない部分なのだが、結果的にこの1章が「3」全体のイメージを固定してしまったのは否めない。 //ネタバレ部分を全体的にCO -終盤でのストーリーの性急さが目に付く。 --特にそれが顕著なのは、ゲーム最終盤で島やその世界観に関する非常に重要な設定が明かされる場面。非常に突飛な内容な上、その全てがNPCの口から間接的に語られるに留まり明確な形で描写されることはない。~ 伏線自体は張られ続けているのだが、それまでのストーリーで直接回収するようなイベントが無い。極端に言えばその会話だけでストーリーの大半が占められている。~ 突然の急展開や大量の伏線回収による答え合わせといった要素が好きでないプレイヤーは「何もわからないままゲームが進んでいき、突然意味不明な展開になり、何もわからないままゲームが終わった」と感じてしまう場合がある。 --開発当初はもっと主人公が多く、全12章構成の予定だったものが、最終的に全8章構成にまとめられたためか。 --ちなみに一部のユーザーからは、GBAの容量不足の問題でこうなったと思われているが、実際には64での開発中にすでに8章に組み直されていた。 ---というのも糸井氏の構想があまりに壮大だったため、ゲームでの完全実現は無理だと判断されていたとのこと。 ---糸井氏も「シナリオを本にして出したらどうだ」などと言われたと述べている。が、そういった本は(今のところ)出版されておらず、当初想定していたシナリオも結局明かされることはなかった。 //-冒頭のキャラクター紹介とゲーム中の描写の齟齬。 //--「つよくてやさしいたよれるおとうさんだ」と公式サイトで紹介される主人公の父親のフリントは、ステータスは確かに強いものの、人付き合いが苦手ともいわれている通り精神面はそれほど強くはなく、劇中では息子にとって頼りになる存在というような描写も特にない。~ //そして序盤以降、行方不明の長男を探し続けるばかりで残された次男のリュカをまったく顧みることもなく、次第に村人たちに蔑まれていくようになる。 //--「ゆうかんでりこうないぬ」とされる愛犬で仲間キャラのボニーは、戦闘にて味方に回復アイテムを使用するとき、低確率だが我慢できずにアイテムを自分で食べてしまうことがある。 //---ボニーは素早さが突出して高く、しかしそれ以外の能力は全体的に低いという設定から、パーティ内での役割はもっぱらアイテム係になりやすいため、発生確率はたいしたことはないとはいえ、致命的なダメージを受けて回復が必須になった時に発生するとやはりストレスがたまる。 //--第3章主人公のおサルのサルサは悪役組織に人質(サル質?)を取られて嫌々協力・虐待される流れなのだが、人質を助けられる目処が全く立っていない段階で悪役組織に牙を剥いてしまう。 //---章のラスボスに至ってはPSI使いのクマトラに相手から攻撃されないNPCのウエスがついての2人+1匹がかりでも苦戦を免れない強さで、単純なステータスだけで見ればその差はあまりにも歴然((一応ある程度HPを削れば大幅に弱体化するが、そこまで追い詰めるのが大変。))。 -前作までは音楽や歌というものがゲームの中で大きな役割を担ったのだが、今作では前二作ほど重要な設定があるわけではない。 --その前作までは序盤から終盤まで「世界各地を回ってメロディを集める」という目的があったのに対し、今作ではストーリーの後半になって「島の各地にある7本の針を抜く」という目的が与えられるが、この針を抜いても新たなメロディが流れるようなことはない。 --一応、シリーズ恒例の凝ったライブシーンは健在。そのシーンを担当するバンドグループ「D.C.M.C.」は、前作におけるトンズラブラザーズの倍以上にストーリーの本筋へ関わってくる。 ***ストーリー面以外 -前二作と比べると平均クリア時間は約20時間ほどとボリュームは薄め。 --その大きな原因はマップと冒険のスケールにある。初代はアメリカの片田舎という規模的にはこぢんまりした舞台設定ながら広大なマップでボリュームある冒険を演出しており、前作に至っては地球規模の世界を舞台にしたスケールの大きい世界観の中で旅情感溢れる冒険を繰り広げていた。~ 一方で、本作の舞台はノーウェア島というひとつの小さな島に留まっているので、どうしても世界観のスケール感やゲーム全体のボリュームに欠けてしまう。 //初代は「アメリカの片田舎」から出ていないはずなので表現を修正。 --本作の世界ではこのノーウェア島しか残っていないとされているため、厳密に言えば世界を旅しているとも言えなくもないのだが、やはり過去作と比べるとスケールが小さい。 ---マップが狭い分しっかりと作り込まれており、シナリオの進行によって様々な変化が起こる。そういった間違い探しが好きなプレイヤーにとっては評価点と言える。 //--それに加え、第3章まではほぼ同じ時間軸の中で、各章の主人公を代わる代わるプレイしそれぞれの視点を追いながら話が進む。その間はあまり変わり映えしないマップの中でプレイすることになる。 //---また、味方のPSI使いはクマトラが2・3章のそれぞれ終盤にゲスト参戦気味に出てくるだけなので、PSIを主力に使えるのは4章以降。 //マップが代わり映えしないということはない。また、同じダンジョンを別ルートで通る展開は評価点とされるゲームも多い。(フリントは兎も角)PSIが使えない分特技が充実しており、前作ウィンターズ編のような単調な戦闘が続くわけではない。 //余計なネタバレ・冗長な記述・主観的な部分をカット、co -細かなストーリー誘導 --今作は舞台が狭くなった分、前2作にも増してシチュエーションやイベントが多く、イベントの区切り毎にタツマイリの村人やマジプシーや仲間達、果ては敵であるはずのブタマスク達までもが、時にシリアスに時にコミカルに「次にどこに行って何をすべきか」を親切丁寧に教えてくれる。村人のひとり「地図好きのマップソン」に至ってはマップに行くべき場所をチェックしてくれる。その丁寧さは前作の「ヒント屋」が廃止される程。 --だが親切丁寧な一方、ストーリーも基本的には一本道なので「自分で考えて進むのではなく、ただゲームに誘導されているだけ」と感じる人も少なからず居た。少なくとも「ゲームの自由度」は前作にも増して少ない。 ---ただし7章では、ポイントを知っていれば話の流れを無視して針の抜く順番をいくつか自力で変えることも可能。戦闘の難易度は上がるが。 ---そしてスタッフもそれを見越して、流れを変えた場合でしか見れない小イベントや小ネタ・セリフも用意されているのは流石と言うべきか。 -最終章は「ニューポークシティ」が舞台だが、そこに着くとノーウェア島には''戻れない''。 --前作でもラストダンジョンに入り、その中でセーブしてしまったらクリアまで元の世界には戻れないという仕様があったものの、そのラストダンジョンはあまり長いものではなく、しっかり準備をしていけばラストダンジョン進入後はセーブしなくても十分にクリア可能である。 ---途中にセーブポイントはないが、むしろ道中が突入後の育成もアイテム入手もままならない凶悪な構成になっており、極力そこの雑魚を避けて通った方がいいほどのため、それほど気になるものではなかった((ただし、GBA移植版ではラストダンジョンから脱出できてしまうバグ技もあったりする))。 --一方で今作はそのラストダンジョンに相当するニューポークシティがまるまる1章分充てられている。種明かしあり、中ボス戦あり、ミニゲームありと濃い分、それまでの章と比してかなり長く、故にややダレやすい。 ---反面、経験値稼ぎやアイテム購入等、突入後の準備・強化が十分できるようになっているのでラストダンジョンで詰む事はほぼなくなった。最終章に行ける段階ではノーウェア島はほとんどの住人や施設がニューポークシティに移動しており、すっからかんになってもいる。 --後述にもあるが、本作ではセーブデータ枠が2つしかないので、尚のことこの難点を感じやすい。 -サウンドバトル --音感がない人はほとんど成功できないため誰でも楽しめる要素ではない。 --BGMをじっくり聞かないと満足に行えないため、人通りの多い場所や騒音のする場所でプレイする場合にイヤホンが必要になってくる。 ---またGBAのボタン音は決して小さくないのでBGMを聞きにくくタイミングを合わせづらい。眠らせることで正解のリズムに合わせた効果音が流れるが、ハード上の問題の前では同じことである。 //--システムの関係上問題なくリズムが入力できるプレイヤーだとしても雑魚戦に長い時間を取られるか無駄にダメージを受けるかを選ぶ事になる。 //--そもそも「大ダメージを受けても減りきる前に倒せば助かる」という「2」から引き継いだ「ドラムロールシステム」と、成功リズムを待機しなければならない当システムは食い合わせが悪い。 //---基本的にHPに余裕があるときでないとサウンドバトルは狙えないため、攻撃力の高い強敵との戦闘は長引きがち。 //---さらに強敵との戦闘では正解リズムが相当嫌らしいBGMが流れる事も多いため、そもそもサウンドバトルは成功させにくい。曲の難易度が敵のパラメータの一つとして想定されているのだろう。 //---終盤の強敵BGM「つよきもの」とそのアレンジ曲は特に難易度が高く、このシステムが難しいという評判の一因となっている。 //---一応「たたかいのきおく」で練習したり成功例を確認する事は出来る。確認したからと言って出来るかどうかはやはり曲やプレイヤーに依存するのだが。 //--16発すべて成功しきると約2倍近くのダメージを与えられるが、難しい上に成功しないと劇的に難易度が変わるという訳でもないので、面倒ならば基本的にレベルを上げて連打で済ませてしまっても特に進行に問題は無い。新要素としてはいかがなものか、という新たな問題が浮上してくるが…。 //下記の評価部分と食い違う為co -「たたかいのきおく」をコンプリートするのが困難 --敵シンボルに後ろから接触するのは難しい。また上述したストーリー進行の都合上、''すべての敵が期間限定''。 ---ダスターがパーティにいる時は特技で敵を後ろに振り向かせられるが、ダスターが居ない時期にしか戦えない敵も少なからずいる。 --ストーリー上、行く必要がない場所でしか戦えない敵も存在する。またレアモンスターも数体存在する。 -全体的にアイテムの種類が少ない。 --前作と前々作にあった、能力を上げてくれるアイテム・味付け小物((食べ物アイテムに勝手にふりかける調味料アイテムで、相性が良いと本来のHPやPPの回復量を倍にしてくれる。))は全面リストラ。 --前作はPP回復アイテムが買えたが、''本作ではプレゼント箱やスロットを除けば、敵のドロップ等でしかPP回復アイテムを入手できない。'' ---更に前作は80PP、味付け小物のシステムを利用すれば160PPまで回復できたが、本作は回復力もケーキの50PPが最大で、入手できたときのリュカやクマトラの最大PPと比べるとショボく感じてしまう。 --前作はHP全体回復アイテムやHP・PP同時回復アイテム「さとりのべんとう」もあったが今作ではなく、1から存在した気絶してない状態での味方のHPを全回復するアイテムも本作ではなくなった。300~400位回復するアイテムはあるものの、気絶回復のアイテム(HPを全回復して復活する)より入手しづらい。 //--前作では回復手段を活用すればPSIが実質使い放題に近かったので、バランスを再考した結果なのかもしれないが。 //↑その割には3は回復ポイントが多いし2も3も持ち物がそんな持てないから使い放題にはならない。 --一度に相手する敵は3体までで、4体目以降は倒れたところに補充に入るシステムなのもあって、全体攻撃するアイテムや特技を使うのがちょっともったいなく感じてしまう。 -普通に進めていれば最終章まで、もしくは最終章の最中に攻撃も回復もΩレベルのPSIが揃うバランスなのだが、ごく一部要求レベルが高いPSIが存在する。 --リュカが覚える「リフレッシュ」と、クマトラが覚える「PKグラウンド」がそれ。この2つは習得がレベル依存ながら他のPSIと比べて高く、ある程度のレベル上げをしてもラストダンジョンで覚えるかどうかギリギリといった高さ。存在を知らずにクリアした人も少なくないのでは?、 --当然ラスダンでレベル上げして覚えるという方法はある。~ しかし「リフレッシュ」は本作の特殊なラスボス戦で非常に有用だが、「PKグラウンド」はラスダンで効果を発揮しづらく、活躍の場が少ない。~ 覚えなくても余裕でクリアは出来るが、せっかくの本作新登場の攻撃PSIでありながら、影が薄いのは否めない。 ---「PKグラウンド」の効果は地面にいる敵全体に、敵HPの割合ダメージを何発も当てる地震攻撃という非常に強力なもの。その為、一種の「隠しPSI」を想定していたのかもしれない。~ ただ一旦覚えてから後述の「データ引き継ぎバグ」を使用すれば、クマトラが使用できる場面なら序盤から存分に使用できる。 -過去作の特徴が変更された部分 --フィールドマップ描写が平面的になった。 ---『2』までは完全に斜投影図((トップビューとクオータービューの中間の手法。真正面から見たオブジェクトを基準に斜め方向に奥行きを形成することで立体感を演出する。『2』では完全なクォータービューで描かれているマップも一部ある。))で描かれていたため立体感のあるマップになっていたが、今作ではポケモンのようなトップビュー視点になった。ここは別段、批判されるべき点ではないのだが、MOTHERらしいグラフィックの特長とも言える点であったため、残念がる人も多かった。 --『1』や『2』に存在していた要素や施設、具体的には『2』にあったヒント屋、写真撮影、新聞読み上げサービスなどが本作では存在しない。(ただし、前作までと比べて文明的に退化した世界が舞台という設定上の都合という側面が大きい。) ---パンくずやテレポートといった長距離の移動を快適にする要素も存在しないので、遠出が容易ではない。~ 一応ダンジョンをクリアすると、村に簡単に戻れる移動手段を用意してくれるところはあるが、ほぼ全てが一方通行・使い捨て。~ 過去作と比べると移動の快適さ自体は大幅に改善されているため、致命的な問題点ではないのだが…… ---『2』にあったアイテム管理を補助するシステム(道具屋の看板、エスカルゴ便)が存在しないので、その点ではアイテム管理の柔軟性は劣化している。~ 特に預かり所自体がない1~3章と8章後半は、アイテム管理にやや注意する必要がある。最も1〜3章はアイテム管理に失敗して大幅に損をする場面は無く、8章後半は最後の最後に預かり所があるので然程問題でもないが。 --主人公の好きな食べ物を設定できるが、母親が作ってくれる好きな食べ物を食べて体力を全快するというお約束のパターンがストーリーの都合上なくなり、完全に小ネタ用設定となっている。これもまた前作からのファンは気になる点であろう。 ---例えば、デフォルト設定である「ふわふわオムレツ」を入力した場合、ある看板を調べると「ふわふわオムレツのなえ」というメッセージが出たりする。 //-とあるダンジョンでの異質な謎解き //#region(ゲーム終盤の攻略についてネタバレをしています。閲覧注意) //-最終章のダンジョンでは、先へ進む為に3種類のミニゲームを攻略する必要がある、のだが…ミニゲームに勝利するのではなく、わざと敗北しなければ先へは進めない。しかもただ負けるのではダメで、接戦を演じた上で負けるという所謂「接待プレイ」を行わねばならない。 //--最初のもぐら叩きは相手が10匹という記録を出すので、此方は9匹で止めておけばクリア可能。 //--2戦目の一本橋早渡りは、相手のゴール直後にゴールできればOK。タイミングに自信の無いプレイヤーは苦戦するかもしれない。相手がゴールまでにかかる時間は常に一定なので、やり直しを重ねれば何時かは突破可能ではある。 //---相手の動きは鈍臭く、コースを逆走することもある。プレイヤーによってはかなりイライラが溜まるだろう。 //--最後の風船割りは、風船が4回大きくなったら連打をストップすべし。 //-救済措置は一切無しで、不愉快さに耐えつつ完璧な接待プレイをやり遂げなければ先へは進めない。「『ぜったい』と『せったい』とふたつのことばが あるならば…だいじなのは こうしゃ…?わかりましたね?」等とのたまってくるNPCが居るが、正直こいつと対戦相手をバトルで殴り飛ばしてでもさっさと先へ進みたいと思ったプレイヤーは多いのではなかろうか? //-本作最終章で接待プレイを強要されるまで、作中はおろかシリーズ作品全体でもミニゲームへの挑戦は基本任意であり、本編攻略には関わってこなかった。 //-一応、このイベントについては「常にNPCに接待プレイしてもらっているプレイヤーへの皮肉ではないか?」という考察も存在してはいる。 //--そのような皮肉を態々ゲーム中で行う必要はあったのか、態々プレイヤーに対してぶつける必要はあったのか、といった疑問は残るが。 //#endregion //スレでの議論によりCO中です //上記内容は賛否両論にしては、あまりにも賛部分が少ないのではないか? 再判定希望 ---- **問題点 -バグ・不具合 --データ引き継ぎバグ --クリアしたセーブデータをもう片方のデータに写してからタイトル画面に戻りニューゲームを始めると、装備品とPSIがクリアデータの状態を引き継ぐバグが存在する((リュカは最初はPSIを使えないが、初めてPSIが使えるようになる場面で、写したセーブでのPSIを最初から全て使えるようになる))((あくまでバグなので装備品はゲームを進めると初期装備に上書きされてしまう。しかしボニーだけは特定の簡単な進め方で最終装備のまますすめられる))。~ 実質的な「強くてニューゲーム」となり、ゲームを進めてイベントで覚えるPSIや、上記の「PKグラウンド」の様な覚えるのが最終盤で活躍の場が少ないPSIも序盤から使っていける。 --プレイヤーに有用なバグであり使用によるデータ破損の報告も挙がっていない為、これに関しては一概に問題点とは言い切れない。 --上記の通りセーブはカエルが担当するが、イカヅチの塔のとある部屋では、セーブカエルと周囲のオブジェクトに挟まれて、身動きが一切取れなくなる危険性がある。 --些細なことであるが、第4章以降においてカエルの台詞が、「ごようですね?・はい ・いいえ」→「セーブですか?DPかんけいですか?・セーブする ・DPかんけい」と2度に分けて選択肢を表示しているため、これらを利用するときに若干面倒。メッセージウィンドウが2行表示なのが、その原因かもしれないが。 -何故かサウンドプレイヤーに収録されていない曲がある。ニューポークシティの映画館の曲がその一例。 -『1』や『2』ではセーブデータを3つまで作成できたが、今作では2つしか作ることができない。 ---- **評価点 ***ストーリー面 -上述している通り非常に重い部分が点在するが、そういった陰の部分は本作の持つ顔のひとつに過ぎない。~ 翻弄されるフリント一家とタツマイリ村の村人、玩具の様に改造されるキマイラ、謎の人外存在「マジプシー」、悪役ながら様々な側面を見せてくれるブタマスク軍……悲しい結果になろうとも、最終的には人間讃歌・命の讃歌へと繋がっていく。&bold(){それを否定するのは黒幕「キングP」ただ一人である。} --死してなお息子2人を支え続けようとする母の愛、ダスターとウエスの不器用な親子関係、DCMCメンバーの絆、シログネ山でのエピソードなど、人の優しさ、人と人との繋がりが描かれる場面が非常に多く、そういった部分に感動・共感するプレイヤーは多い。 -本作の舞台設定は簡素なようで非常に練られている。特に終盤知らされる「世界の真実」はプレイヤーに多大な衝撃を与える事必至。 --序盤はいかにも田舎の牧歌的な村といったタツマイリ村は、ブタマスク軍によって歪で急激な近代化を遂げて、村人達の絆も揺らいでいく。一見単純な文明侵略とそれへの批判的描写にも思えるが、この世界の真実を知ると一種の悲しみと皮肉が見えてくる。 -世界観が小規模になっている代わりに、拠点となるタツマイリ村の住人にも全員に明確なキャラ付けがされており、ストーリーの展開に伴い彼らの人生も展開してゆくなど、人物描写はかなり細かく丁寧。 -敵役であるブタマスク軍団は、序盤は謎の侵略者達という完全な悪として描かれているものの、中盤以降はこき使われてくたびれてる下っ端、中間管理職的な立場に悩んでいる少佐といった人間味あふれる姿で描かれている場面も多く、ブタマスクも黒幕に従う悪役ではあっても自分と同じ人間であるとプレイヤーに感じさせる。 --キマイラ達も序盤は明確に被害者として描かれているものの、年月が経つとちゃっかり独自の生態系を築いてたり楽しげに暮らしてたりと、ある意味大自然のたくましさを感じさせる。 --後述の余談にもあるが、「ゲーム批評」でこの''相手側の掘り下げ''を評価している。 -「きゅうきょくキマイラ」のインパクトが抜群。 --中盤に訪れるダンジョンで登場し、ダンジョンの中にいるキャラクターたちから「奴には近づくな」というニュアンスのセリフを幾度か聞かされる。 ---そして、なんと、触れるだけで戦闘にすらならず、かじりつかれてゲームオーバーになってしまう。「隠しボスの類かな?」などと勢い勇んで突っ込む数多のプレイヤーを返り討ちにした。このインパクトが大いに受け、話題となった。 -ながらプレイだと最初は気づきにくいが、村人全員に名前がついている。これが「みんな居なくなってしまう」寂しさや恐さにパンチをくわえている。 --特に長身の「リダ」の最後の独白はこの流れを踏まえると、とてもやりきれなくなる。 -前作EDの最後に''今作に繋がる重要な伏線''があり、それは本作においてしっかりと回収されている。 ***前作からの進化 -キャラクターの動きおよびグラフィックのパターンが多彩になり、滑らかにアニメーションするようになった。 -Bボタンによるダッシュで、いつでも走って高速移動できるようになった。~ これにより過去作の問題点の移動速度の遅さが大幅に改善された。 --走っていると主人公より圧倒的にレベルの低い敵を蹴散らせるので、不要な雑魚との戦闘をしなくて済む。 ---ただし、前作と異なり経験値は入らない。圧倒的なレベル差があるならこの程度は不要だろうが…~ またこの要素の導入に伴ってか、「戦闘画面に入る前の決着」は廃止となっている。 --便利なだけでなく、走らなければいけない場面が幾つかある他、走ることで見られる小ネタもいくつかある。 -アイテム欄の改善 --ストーリー進行に関わる最重要アイテムは、通常アイテムとは別枠で「だいじなもの」として管理されるようになった。 --預かり所で預かってくれるアイテム数も大幅に増加した。 --小さく簡易的だが、装備品やアイテムのグラフィックが表示されるようになった。~ 面白い名前や効果を持つ装備やアイテムも多いだけに、地味に嬉しいところ。 -その場所のマップが入っている青いヒモのプレゼントボックスが登場。一旦手に入れれば、ダンジョンでもそれぞれのマップが見られるようになった。 ***戦闘 -調整不足により高難易度気味だった『1』、逆にかなり軟化したうえにぶっ壊れ要素もあった『2』と過去作はバランス面で大味さが目立っていたが、本作は全編絶妙な難易度でまとめられており、ゲームバランスの良さはシリーズ随一。 -ゲームバランス --ストーリーを進めながら適度に戦闘をこなせば概ね適正レベルに到達して新しい装備品を大体買い揃えるお金が貯まり、ボスには適度に苦戦できる…という絶妙なバランス。~ 地味ながらレベルアップ式のオーソドックスなRPGとしては一番の評価点と言っても差し支えない。 -PSI --実質PKフリーズ一強だった「2」から、攻撃PSIに調整が入った。特に「1」の全体攻撃に戻って威力も効く相手も増えたPKファイアーや、相変わらずターゲットは選べないが雷属性が付いて命中率が大幅に上がり、サイコシールド貫通の効果が付いたPKサンダーは大幅に強化された。 --逆にPKフリーズは耐性を持つ敵が殆ど居らず攻撃PSIはこれ一択状態だった「2」から一転、強耐性を持つ敵が多く増えて若干弱体化した。それでもPP消費に対して敵一体への威力が高めという「2」の特徴は健在で、相変わらず強く扱いやすい。強さはそのままに使い分けの必要性を持たせたのは良調整といえる。 --シールドをかけた、またはかかった状態で対応する攻撃を受けた時にステータス部分にシールドのアニメーションが表示されるようになった。前作では文章でしか表示されず、シールドがかかっているのか効果があったのかわかりづらい部分があったので、大きな改善と言える。なおこれは敵にシールドがかかっている時も同様。 --状態異常回復の「ヒーリング」は前作まではその状態異常に対応するレベルのヒーリングをかけないと治せなかったが、~ 今作は「α」はきぜつ(戦闘不能)以外の状態異常を何でも1つ、「β」はきぜつ以外の個人の全異常回復、「γ」はきぜつを含む個人の全異常回復、「Ω」は全員のきぜつ含む全異常回復……と大幅にわかりやすく、かつ便利になった。 ---また前作の「ふしぎなきもち」「ミニミニユーレイ」の様なヒーリングでも治せない厄介な状態異常は全て廃止されており、全ての状態異常は全てヒーリングやアイテムで治せる様になっている。 -前作ではイマイチ効果の薄かったバフ・デバフの効果が大幅に強化された。ボスにもしっかり通用するどころか、ボス戦等は寧ろバフ・デバフ前提のバランスとさえ言える。 -サウンドバトルをやりやすくする要素として相手の「ねむり」状態がある為か、本作はRPGでも類を見ないほど相手が「ねむり」状態になりやすい。ボスにまで「ねむり」が通用する。 --ただし当然ながらねむり状態にして一方的に倒せる程ではないし、ボスにはやや通用しづらく、アテにするには厳しい。 -サウンドバトル --漫然とボタンを連打するだけの戦闘ではなくなり、飽きにくくなっている。うまく決められれば中々爽快感がある。 --ゲームに必須というほどのものではなく、サウンドバトルを成功させなくても前作に近い感覚で戦闘を行うことができ、クリアは十分可能という按配で割と良好な調整。「無理に狙わなくてもいい」事はゲーム内のアドバイスキャラにもきちんと言われる。 ---かといって意味の無い要素かと言えばそんな事はなく、全16ヒット全て成功させると単発に比べて2倍以上もダメージを与えられる。3ヒット程度でもあとちょっとで倒せる時のもうひと押し位には充分使えるので「致命的なダメージ」を受けた時みたいなピンチ時以外は、基本狙ってプレイヤーが有利になる展開しかない。 -前作に比べてドラムの回転速度が遅くなったぶん、敵の一発の攻撃力が高めなので、致命的なダメージを受けた場合の適度な危機感という、ドラムロール式HPの妙味を味わう調整となった。 -敵キャラのグラフィックのバリエーションが増えた。 --フィールド上の敵シンボルは、ある例外を除き完全に敵ごとに固有。 --またボスを除いた殆どの敵には、戦闘画面でのグラフィックに「後ろ姿」といったものが追加された。敵シンボルに背後から接触すると、後ろ姿の敵と戦闘開始になる。 ---敵に背後から接触すると1ターン先制攻撃できるため有利。逆に背後をとられると不利((ただし一種類だけ、背後をとる・後ろに振り向くと致命的な攻撃を繰り出す、初見殺しの例外種がいる))。敵のフィールド上での行動パターンも前作に増して個性がありシンボルエンカウント形式を存分に活かしていると言える。 -SELECTボタンを押すと戦闘中にPSIやアイテムの簡単な説明が表示されるようになった。必要がないときは閉じることもできる。 -装備 --前作までは防具は基本的にディフェンス(防御力)上昇とPSI・状態耐性くらいしかなく、より良いものにステップアップしていく以外の選択肢がなかったが、本作ではPP値上昇や他のステータス上昇ボーナスを持つ防具が大幅に増えて、より高いディフェンスを取るかボーナスを取るかといった選択肢も増えた。 --武器も同様に少し上昇値が低くてもステータスアップボーナスを持つ武器が登場する様になった。 ***サウンド -音楽の質・収録数共にGBA最高峰とも言われる。 --新作・旧ハードからの移植作共にどんな名作でも問題点・ガッカリ要素に挙がりやすい「GBAの音質の悪さ」だが、本作はGBA末期の発売とはいえ、既に発売していた次世代機のニンテンドーDSと殆ど遜色無い高音質を実現している。少なくともGBA作品にありがちな「くぐもった様な音」は本作には全く無い。 --旧作の鈴木氏・田中氏コンビからバトンタッチされた酒井省吾氏のBGMも評価が高く、本作のテーマソング「愛のテーマ」を始め名曲も多い。 ---バトル音楽も「2」は全体的にサイケでエキセントリックなバトルBGMが多く強烈な印象を残したが、「3」ではマトモにゲーム音楽っぽいカッコいい音楽からコミカルな音楽まで幅広く用意されている。特に「いわれなきリベンジ」「ブッコワシ賛歌」等は人気。 --それだけにサウンドプレイヤーの導入は嬉しいところ。プレイヤーとしての操作性もかなり良好。 -上述のバトルとの絡みやサウンドプレイヤー、収録曲数なども含めて完成度は高め。 -質の高さもさることながら、場面にあったメロディーがしっかりとアレンジされており、演出としての評価も高い。 -村でかかる曲は最初は幸せそうな曲だが、進行するにつれぽつりぽつりと「みんないなくなる」という流れにも合う名曲。曲のタイトルの記号「?」が意味を持つ。 ---- **総評 64版の開発中止を経て発売された待望の『MOTHER3』は、結果的に長らく「一つのゲーム作品」として冷静かつ公平な評価をするのに困難にさせるまでにファンに衝撃を与えた代物だった。~ 後述の『余談』の項目でも触れられているが、殊更に『2』のような明るくポップな路線を期待していたプレイヤーは、今なお本作のショッキングな部分を厳しく評価する事も少なくはない。~ しかし本作の「どこかの世界の一つの家族」が織り成す物語は、単なる「鬱ゲー」などという言葉で片付けられるべきではない代物な事は留意しておくべきである。~ 悲しみも恐怖も辛さも、面白さも楽しさも優しさも全てが込められている本作はまさしく「''奇妙で、おもしろい。&i(){そして、せつない}''」。~ その事を意識して本作はプレイして頂きたい。 //総評が賛否両論時代の物で現在の判定とややそぐわない為、全体的に良作寄りに記述し直しました。 ---- **その後の展開 -本作の主人公のリュカは『[[大乱闘スマッシュブラザーズシリーズ]]』でプレイヤーキャラとして参戦。 --必殺ワザのPSIなど、本格的な共演を果たした前作主人公のネスと共通したものもあるが、通常攻撃が全面差し替えとなり、必殺ワザの細かい仕様も大きく異なっている。 --『[[X>大乱闘スマッシュブラザーズX]]』『[[SP>大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL]]』ではあわせてニューポークシティもステージとして登場。しかもなんと本作中最凶の敵である「きゅうきょくキマイラ」がやくもの(ステージトラップ)として現れる。もちろんこれにがぶりと一撃されると即場外1ミス。 --本作の黒幕もアドベンチャーモードの中ボスとして登場する。 --『[[for>大乱闘スマッシュブラザーズ for Nintendo 3DS / Wii U]]』ではステージごとリストラされたものの、後にDLCでリュカが復活参戦することになった。『SP』では最初から収録されている。 -発売時期などの諸事情から本作はシリーズ三作で現在唯一海外未発売タイトルとなっている。 --一方当然ながら存在は海外でも知られており、知られているどころか海外では熱心な海外ファンにより発売してすぐに英語訳パッチが制作され、現在ではイタリア語版やスペイン語版、中国語版のパッチも作られており、&bold(){非公式ながらかなりワールドワイドにプレイされている作品}だったりする。~ 未だに公式ローカライズ版の発売を求める声も根強く、中には全訳版を作ってNintendo of Americaに持ち込んだり、本作が発売されないことについてまとめた書籍を出版するファンまでいるほどである。 ---MOTHERファンとしても有名な『[[UNDERTALE]]』製作者・「Toby Fox」氏も、特に『3』をリスペクトしている事を公言している。 --2006年から2019年までNintendo of Americaの社長を務めていたレジナルド氏はこれらの要望に対し、「今後配信される可能性が0ではないが、実現は厳しい」とコメントしている。 ---しかし、社長時代のレジナルド氏へのインタビュー等では現行のハードや販売戦略の話題を差し置いて本作に関する質問が話題にあがることがたびたび見受けられていた。~ こうした事態にレジナルド氏も色々思うところがあったのか、E3 2014の公式映像では&bold(){『MOTHER3』を出してくれと頼み込んだ記者をレジナルド氏が燃やす}という一幕が存在した。 ---一方で海外ユーザーの本作を求める声を「しっかり把握している」と近年発言していたものの、発売・配信が叶わないままレジナルド氏は19年4月にNOA社長の座を退き、退職した。 -2009年12月9日から配信したニンテンドーDSiウェア『かっぱ道』で、本作に登場した「さんそ補給マシン」と「ブタマスクのお面」などがゲスト登場している。 -2015年12月17日よりWii Uのバーチャルコンソールで配信されている。 ---- **余談 -発売された当時はネット上でも本作の評価は賛否両論真っ二つに割れ、様々な意見が見受けられた。当wikiでも「賛否両論」判定が付けられた後、幾度かに亘って判定基準が変更され、基準にそぐわない状態が続いていたにも拘らず判定が変更されず維持されていたという事実からも、本作を正当に評価するには多大な時間を要さざるを得ない程に本作への意見が割れていた事が伺える。 --上記の通り重いシナリオ部分が独り歩きし終始暗い雰囲気の鬱ゲーと評されることも多かった。~ 「『MOTHER』という名を冠していなければ……」「『MOTHER』として見なければ……」という意見や、本作を受け入れられなかったユーザーにより「はやく『MOTHER3』出ねえかなあ」というネタ的な投稿も各所でなされたりしていた。 --発売から10年以上経った現在では荒れた評価も落ち着いており、『MOTHER』シリーズの一作としては概ね好意的に受け入れられている模様である。 --公式の「4はない」発言と、容量の都合で削られた章やストーリーがあることなどから、本作の完全版を求める声も未だ多い。 -『MOTHER』らしさとは何か --『MOTHER』というタイトルとファンの大きすぎる期待を背負い、大作を宿命づけられた本作のゲーム内容は、旧来のファンが求めていた『MOTHER』とはズレたものと拒否するプレイヤー達を多く出現させた。~ 『2』の全体的にポップでカラッと明るい印象や作風が、余計に本作の「MOTHERらしくない、鬱ゲー」という誤解を引っ張っている側面もあるだろう。 ---誤解なきよう言っておくが、『2』にも陰鬱な要素がないわけではない。ただそういった部分の表現が『1』や『3』のように直接的なものではなく、間接的なものとなっているため明るいという印象が強いのである。 ---そして普及率も高いタイトルである上に、本作でのストーリーの重要な登場人物や演出にもかなり関連があるため、そのことも比較される一因と考えられる。 ---ちなみに、64版の開発時に公開していた情報の時点で『2』の様な現代劇ではない事、明るさよりも重いストーリを展開する事は度々明言されており、ビジュアル面でも伊藤「アシュラ」紅丸氏によるキャラクターデザインによる3D化など大きな変更が行われていた((3Dビジュアルに関しては、当時トレーラーなどで実際に公開されている。))。『2』から『3』の変遷の長い歴史からいえば、GBA版はこれでも十分ファンが求めていた『MOTHER』らしさをもって世に出たと言えよう。 --本作がはらむメッセージにも全てに明確な答えがあるわけではないので、プレイヤーの受け取り方に全て委ねられている。この点はシリーズ全体にも言える。 //-公式HPなどを確認する限りでは、本作は親子愛がテーマのほのぼのとした物語((リュカとクラウスが単に「対照的な性格の兄弟」として同列に紹介されていたため、彼らをW主人公としたストーリーだと思っていた人も多数。因みに企画案が公表されて間もない頃にはリュカの方を兄だと思っていた人も少なくなかったようである。))としか感じられないが、実際は上記のように鬱な展開が多い。意表をつく意味もあったのかもしれないが、それにしても色々な意味で予想を裏切られたユーザーのショックは計り知れないものであったろう。 //↑公式サイトでも、ほのぼの感の無いタイトルロゴとキャッチコピーが最初にあり、最初の紹介ページにも「悲劇なのか喜劇なのか」などと書かれている。 -没にされた内容 --内部データには、ある重要キャラクターの大変ショッキングな没グラフィックが残っている。動画サイトに上がっているので興味がある方はどうぞ。~ またHAPPY ENDという没ロゴ等も存在する模様。 ---これらや一部没テキストからも、幾多のシナリオ変更の名残が覗える。あるいは当初(元の作品である64時代も含めて)はもっと陰鬱な内容になる予定だったという名残か。 --没にした理由は、CERO指定に配慮したのか、糸井氏自身の心境に変化があったのかなど、定かではない。 ---途中の幻覚シーンは製品版でも充分気持ち悪いのだが、CERO指定に配慮する前はもっと酷かったという。 ---また64の段階では、『2』までの世界からつながると思しき過去の世界の崩壊の様子がはっきりと描かれていた。 ---64・GBAともに『2』の主人公ネスを操作できる場面が用意されていたが、製品版では友情出演程度に留まっている。上記のことも合わせて、製品版では台詞での説明しかなかった過去の世界のシーンが描かれる予定だったと思われる。 -『1』と『2』ではイラストレーター・みうらじゅんの知人である鳥取県出身のアーティスト「トットリくん」が作ったキャラクター人形が公式のアートワークとして随所に使われていたが、今作にはない。 -MOTHERシリーズは基本的に全曲収録されたサントラが出ていない(ゲーム音源を収録したアルバムが出たのは2のみ)が、本作はiTunesで「MOTHER3i」が配信されている。 --各曲のタイトルと本来のサウンドプレーヤーのタイトルと一致していない、((人気曲「コウモリさんのツイスト」「ハッピータウン?」等も別タイトル))音源が違う等あるが抑えるべき曲は押さえられている。 また、別に大貫妙子氏らが参加しているDCMCをモチーフにした「MOTHER3+」もある。 -「ゲーム批評」で珍しく?ベタ褒めしていたゲームでもある。 --おそらく6章あたりまでの評価でドラゴンの針やラストまではやっていないのが明白だが糸井重里氏の章仕立てのシナリオの仕掛けについて解説されている。ゲーム批評を読んでからやり直すとブタマスクに目が離せなくなること必至。 //マザースリー //検索用ワード

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