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熱血硬派くにおくん - (2016/08/18 (木) 16:46:09) の1つ前との変更点

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''本稿では、オリジナルのアーケード版及びファミコン移植版と、アーケード版のリメイク作『熱血硬派くにおくん すぺしゃる』を併せて解説する。'' ---- #contents ---- *熱血硬派くにおくん 【ねっけつこうはくにおくん】 |ジャンル|アクション|#image(flyer0302.jpg,width=170,height=220)| |対応機種|アーケード|~| |販売・開発元|テクノスジャパン|~| |稼働開始日|1986年|~| |配信|バーチャルコンソールアーケード&br;【Wii】2012年3月6日/800Wiiポイント|~| |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~| |>|>|CENTER:''[[くにおくんシリーズリンク>くにおくんシリーズ]]''| ---- **概要 なぜか色々な悪人たちに絡まれる難儀な友人「ひろし」の敵討ちのために、熱血高校の番長「くにお」が戦うアクションゲーム。~ 後に同社が出した『[[ダブルドラゴン]]』、カプコンの『[[ファイナルファイト]]』などに代表される「ベルトスクロールアクション」の始祖となったゲームである。~ 本作自体はある程度左右に幅のある固定画面方式で、横スクロールアクションの要素はないが、集団を相手に格闘を駆使して立ち回るという基礎的な部分は既に確立されている。 **操作方法 -8方向レバー+左攻撃、ジャンプ、右攻撃の3ボタン制。 --左右いずれかの攻撃を取る際は、相手に対して体を前に向けている場合、前方に向かってパンチ、相手に背を向けている場合は後方に向かってキックを出して攻撃する。~ 攻撃のために方向転換をわざわざする必要がないのだが、操作感覚が独特なので少々慣れがいる。 --右のどちらかに2回レバーを倒すと、ダッシュ移動できる。 --相手に接近してレバーを前に入れて襟を掴んで動きを封じてみぞおちに連続で蹴りを入れたり、倒れた相手に馬乗りになってタコ殴りにするなど、攻撃方法も多彩である。 **特徴 -アイレムの『スパルタンX』のように人間同士が殴り合って戦うゲームであるが、本作には「奥行きのあるゲーム画面で、プレイヤーと複数の敵とが大立ち回りを演じる」という点に決定的な意義がある。 --スタイルとしては同社のプロレスゲー「エキサイティングアワー」に近いが、タイマン勝負であったエキサイティングアワーと異なり基本的に集団を相手にするゲームであり、羽交い絞めにされて他の敵に殴られる、服の襟を掴んで腹に膝をかます、倒れこんだ敵に馬乗りになってボコボコ殴る、など「ケンカ」らしさが存分に発揮されている。こういったアクションは、当時としては異例のものであった。 **戦いの流れとステージ構成 最初に前座のザコと戦い、一定以下になると乱入してくるボスを倒せばクリアとなる。~ ザコを全滅させる前にボスを倒すと残ったザコは逃げていくが、敵が画面内から全ていなくなる前に時間切れになるとアウトとなってしまう。~ また、1面と2面のみリングアウトの概念があり、耐久分の攻撃を当てなくても画面端に敵を突き落とせば倒した事になる代わりに、くにお自身が落下しても体力の有無に関わらず問答無用でミスとなる。~ -1面:駅構内 --花園高校のツッパリ達が敵となる。 --学生服を着たリーゼント男と木刀で攻撃するスキンヘッド男を相手にする。 --リングアウトは駅のホームの下であり、ここから落ちると電車に轢かれる訳でもないの死亡扱いになる。 --ボス:「りき」。後にくにおのライバルとして立ちはだかることになる。 -2面:港 --対暴走族戦。 --前半はバイクで突撃してくる相手をジャンプキックで倒していく。後半は通常の格闘戦で、素手のグラサン男と鉄パイプを所持した鉢巻き男と戦う。 --リングアウトは海であり、背負い投げなどで落とすと豪快な音とともに敵が沈む。 --ボス:「しんじ」。大して強くないが前半で時間を使いすぎるとタイムオーバーになることも。 -3面:繁華街 --カバンやチェーンを持ったスケバンたちが相手。 ---カバンを持った奴は耐久力があるが、チェーンのセーラー服は一度倒された時点でやられてしまうほど体力が無い。 --このステージから全ての雑魚が武器持ちとなる為、ダメージを受けると必ずダウンしてしまう。 --ボス:「みすず」。くにおを有に超える身長とガタイの良さを誇る超巨大女。突進で距離を詰めた後、くにおの襟を掴んで身動きを封じてから繰り出す往復ビンタ攻撃が強烈で、1度食らうと体力数メモリ分を一気に持って行かれる。 -4面:暴力団事務所前及び事務所内部(2エリア構成) --前半戦は暴力団の手下であるザコが相手。 --ザコのドス攻撃を食らうと体力の残量に関わらず一撃で即死となってしまうため、これまでのステージに比べて一気に難易度が跳ね上がり、慎重な立ち回りが求められる。 ---このステージに限ってはミスをした時の音声がボスの啖呵ではなく、''「くにお」の悲鳴''となっており、''もはや不良のケンカではない''事を思わせる生々しい演出になっている。 --ボス:暴力団組長「さぶ」。事務所内部での勝負。手下の雑魚のドスに紛れて一撃で即死となる拳銃攻撃を使ってくる、制限時間も厳しいので正確に立ち回らないと非常に厳しい。 4面をクリアするとエンディングとなり、''デモで刺されたはずのヒロシが元気な姿で現れ、''高校の仲間たちの祝福の中、くにおと熱い友情の握手を交わすエンディングシーンとなる。~ その後、2周目に突入し、以後、難易度が上がっていく。 ボタンが3つあってやや操作が複雑なのと、立ち回りに工夫がいるのとで慣れが必要だが、思い通りに敵を捌けるようになるとスイスイ進めるだろう。~ **評価点 -制作者の学生時代が反映されたという、80年代のツッパリ文化をモチーフにした個性的な世界観。 --制作者の岸本良久氏は学生時代は学ランを着て喧嘩に明け暮れていたといい、その経験を基に、喧嘩の手ごたえを感じられるゲームを作りたいと、本格的な肉弾戦がテーマの本作を企画したという。 --格闘がメインのアクションゲームというのは今では珍しくはなくなったが、当時の時代としては画期的であり、~ 更に、高校という身近な舞台にした学園もので、更に80年代当時のツッパリ文化というエッセンスを用いた昭和の青春漫画的作風の本作は、まさに「喧嘩するゲーム」を体現した作品といえる。後の同ジャンル作品でもなかなか見られない、ユニークで個性的な世界観である。 --ゲーム終了後のハイスコア入力もひらがなで入力でき、順位も「裏番」「総番」という具合に世界観に沿ったものになっている。 ---''禁止用語''を入れると強制的に名前が''なめるなよ''にされてしまう要素もあり -グラフィック自体は大味であるものの、大きめに描かれた人間がケンカする様は十分、迫力に溢れている。 --馬乗りパンチをかける度に殴られた敵の首の向きが変わるのも秀逸、連続で殴りつけると独特の爽快感が味わえる。 -BGMは80年代のツッパリ文化のノリを表現した横浜銀蠅調のロックで統一されており、不良同士のケンカという雰囲気を作り出している。 --SEはやや迫力不足だが、ミス時や掴まれた時などにボスキャラクターが音声付で凄んだり、クレジット投入時の「がんばってね」など、音声面での演出もインパクト大。~ ボイス自体も明瞭で聞き取りやすく、質がいい。 -1面ごとに友人が敵にタコ殴りにされてノックアウトされるデモが出るのだが、その相手が「近隣高校の番長」→「ゾク」→「スケバン」と来て、最終的には何故か社会の敵である「暴力団」が出てくるというスケールのでかい展開に。この演出は後のシリーズでも定番化された。 --見せしめのように毎回ノックアウトされる友人だが、''そのステージにおける敵の攻撃方法をあらかじめ見せてくれる''という親切(?)設計。~ 実際に3面と4面では「カバン」や「ドス」で、デモと同様に一撃でダウンを取られてしまう他、2週目以降はデモなしでスタートする。 **難点 -残機設定をいじってもゼロか1しかない。またエクステンドは1回こっきり。 -86年当時では仕方がないとはいえ、全4面の無限ループは少しボリュームが薄い。 -最終面の即死攻撃持ちの敵。 --最終面の暴力団員は、ドスを振りかぶる→突き刺すの動作がオーバーなので動きは読みやすいが、後ろから刺されると悲惨。~ ラスボス「さぶ」は唯一の遠距離攻撃となる拳銃をぶっ放し、撃たれるとやはり即死である。懐に潜られると弱いのだが。 **総評 生身の人間同士が拳で殴りあって喧嘩する醍醐味をゲームに落とし込んで再現しつつ、80年代のツッパリ文化という独特な世界観をまぶした、まさに80年代ならではのノリとテイスト溢れる個性豊かな1作。~ 今見るとやや古臭くボリュームが薄いが、本作が後のベルトスクロールアクションの原型となったことを鑑みるに、ゲーム史における1つの大きなターニングポイントとなった作品であるのは間違いないだろう。 **移植 -&bold(){ファミリーコンピュータ版(1987年4月17日)} --ハードの制約上、ACそのままの迫力を再現とまではいかないが、様々な追加要素が施されたアレンジ移植となっている。 ---[[詳細は下記を参照。>http://www26.atwiki.jp/gcmatome/pages/3241.html#id_9087673c]] -&bold(){プレイステーション2版(2006年1月26日)} --[[『オレたちゲーセン族』シリーズ>オレたちゲーセン族シリーズ]]の1つとして移植されたが、移植担当メーカーの問題ある態度により、いろいろと不具合のある劣化移植になってしまった。~ -&bold(){バーチャルコンソール版} --&bold(){AC版}(配信開始日:2012年3月6日 / 配信元:D4エンタープライズ) --&bold(){ファミコン版}(配信開始日:2008年3月18日 / 配信元:アークシステムワークス) -&bold(){Windows版} --D4エンタープライズが運営する『プロジェクトEGG』にて、ファミコン版・アーケード版、海外アーケード版『RENEGADE』が配信されている。いずれもミリオン名義。 -&bold(){携帯版} --ウェブドゥジャパンなどによりゲームサイトからコンテンツが配信されアプリがダウンロードできる他、クルーズがソーシャルゲームをモバゲータウンに提供している。 -&bold(){熱血硬派くにおくん すぺしゃる(3DS 2011年12月15日)} --シリーズ25周年記念作品として制作された初代AC版のリメイク作。ダウンタウンシリーズの流れを組んでキャラクターは全てSD化されており、様々な追加ステージが存在する。 --アーケードモード、ストーリーモード、バトルロイヤル、ミッションモードの4つのモードが搭載されており、ストーリーモードではAC版のストーリーを掘り下げたシナリオが描かれる。オリジナルAC版のスタッフも関わっている。 ---[[詳細は下記を参照。>http://www26.atwiki.jp/gcmatome/pages/3241.html#id_60002c3b]] -&bold(){プレイステーション4版(2014年7月24日)} --「アーケードアーカイブス」の1つとして配信。 **その後の展開 その後「くにおくん」シリーズはテクノスジャパンを代表する人気シリーズとなり、くにおも喧嘩よりも様々なスポーツにいそしむことになる。~ また、1面のボスだった「りき」も改心し、後に「くにおくん」シリーズの名ライバル役兼2Pプレイヤーとして、くにおに付き合いスポーツに喧嘩に活躍する姿が見られた。~ 更に完全な余談として、2面のボス「しんじ」、3面のボス「みすず」、そしてラスボスの「さぶ」は『新・熱血硬派 くにおたちの挽歌』・『[[くにおの熱血闘球(ドッジボール)伝説>http://www26.atwiki.jp/gcmatome/pages/1020.html]]』(※日本未発売)にて再びくにお&りきの前に立ちはだかることとなる。 **余談 -タイトル名はコナミの『[[新入社員とおるくん]]』が元ネタだそうな。くにおの名前自体は当時のテクノスジャパン社長、瀧邦夫氏から取られた。 -海外版はタイトーアメリカから『RENEGADE(裏切り者)』の題で出されている。 --友人の敵討ちというテーマが削除された上キャラの外見がほぼ一新されており、ストリートギャングの抗争風になっている。 --アメリカの人に「ツッパリ」とか「スケバン」とか説明しても理解を得られないだろうから、仕方がないと言える。~ ただし、みすずの服装と最終面の暴力団員の肌色以外変わっておらず、更に「さぶ」はそのまんまである。 --『アーケードアーカイブス』では『熱血硬派くにおくん』と配信中のテクノスジャパン作品2種類を購入すると海外アーケード版『RENEGADE』が非売品として配信された。 -2013年に全13話で実写ドラマ化され、DVDも発売されている。 &br ---- *熱血硬派くにおくん (ファミコン) 【ねっけつこうはくにおくん】 |ジャンル|アクション|&amazon(B000068HK5,image);| |対応機種|ファミコン|~| |販売・開発元|テクノスジャパン|~| |発売日|1987年4月17日|~| |配信|バーチャルコンソール&br;【Wii】2008年3月18日/500Wiiポイント&br;【3DS】2013年4月3日/500円&br;【WiiU】2014年1月15日/500円|~| |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~| |ポイント|さらにぶっとんだ展開|~| |>|>|CENTER:''[[くにおくんシリーズリンク>くにおくんシリーズ]]''| ---- **概要(FC) ファミコンに移植された「熱血硬派くにおくん」。~ アーケードとファミコンのスペックの差を考慮し、様々な追加要素が施されたアレンジ移植となっている。~ なお、ストーリーは微妙に変更され、アーケードではステージ毎にボコボコにされていたひろしは、オープニングで''唐突に車に拉致され''、これを助けにいくという形に変更された。~ 熱血高校に通うヒロシは、いつもみんなにいじめられていた。そんなある日、一人の男が転校してきた。 彼の名はくにお!!生まれながらの熱血硬派である。見た目はこわいが、弱い者いじめが大キライな心やさしい男である。 いつのまにか二人は、親友となっていくのであった。ところが、ある日ヒロシが何者かに誘拐されてしまったのだ。 くにおは、ヒロシを救いだすためたちあがった。(FC版説明書より引用) **変更点 -操作の変更 --ハードの都合上、ジャンプボタンが廃止され、攻撃ボタンのみになった。ただしABボタン同時押しでジャンプキックが出せるため、従来の操作から大きな変更はない。 -アイテムの追加 --特定の条件を満たすとステージ中にアイテムが出現することがあり、様々な効果が得られるようになった。 ---''P'':取ると一定時間、「くにお」が点滅し、攻撃した相手が''マンガのように吹っ飛んでいく''ようになり、リングアウトを狙いやすくなる。ただし自身の無敵効果はないので注意。 ---''ハート'':取ると1UP。相手に腰掛けしないと出てこないが、特定の法則にしたがって何度も出す事が出来るので残機を稼げるようになっている。 ---''おにぎり'':取ると体力回復。特定のタイミングで壁にジャンプキックをすると出現。 ---''S'':後述のバイクシーンのみ登場、取るとターボ状態になり、Bボタンを押す事でハイスピードでぶっちぎり敵に当たると一撃で倒す事が出来る。 -難易度 --3段階の難易度が用意されており、難易度によってステージの背景が変わる(LEVEL:1→昼、LEVEL:2→夕方、LEVEL:3→夜)といった変化がみられる。 -演出 --ステージ中でミスをするとアーケード版ではボスの音声ボイスで罵られていたが、ファミコンでは音声ボイスがカットされた都合上、~ 真っ黒な画面に敵の啖呵が表示されるという形になった。 ---ステージをクリアした際は劇画調のくにおの顔グラフィックが現れ、敵に対して啖呵を切る。 ---同様にボスとのタイマンに負けると、劇画調のボスの顔グラフィックが表示され啖呵を切られる。 ---アーケード版では啖呵のなかった「くにお」と「さぶ」にも新たに啖呵が追加されている。 -ステージの内容の追加 --ステージのおおむねの流れはアーケード版と同じだがそれぞれのステージに追加要素があり、1画面で完結しなくなっている。 --ボスとはタイマン勝負になり、複数の雑魚を相手にしながらボスと戦う事はなくなった。 ***ステージの変更 -1面:新宿駅 -駅構内でケンカをするのは同じだが、全滅させた後に電車に乗り、電車の中でもケンカを繰り広げるステージが追加された。 -2面:港 -アーケード版では「最初にバイクに乗った敵を蹴り落としてから通常通りの雑魚戦」の流れだったが順序が逆になり、最後に蹴り落としたバイクに乗ってボス戦の開始地点まで爆走する''バイクチェイスステージ''が追加された --高速スクロールする画面で、相手のバイクをひたすら蹴りでふっとばしていくというハチャメチャなものであり、『新・熱血硬派 くにおたちの挽歌』でも同様のシーンがある。 ---蹴っ飛ばされたバイクは''ライダーごと木っ端微塵に爆発する''。敵に蹴られてライフがなくなったり画面下部の崖から落ちるとバイクごと爆発しミスになってしまう。 -3面:繁華街 --ステージ分岐が分岐が追加された。雑魚を全滅させた後に2つの扉が開き、選択次第で戦う相手が変化する。 --片方はバーの中でひたすら雑魚を相手に戦い、もう片方は和室内で「みすず」とタイマン勝負する。 ---その為、選択次第では「みすず」が全く登場せずにゲームをクリアする事が可能。「みすず」はAC版同様に最強クラスに強いため、強敵を相手にするか回避するかという選択肢が与えられている。 -4面:暴力団事務所 -ドスを持った暴力団員は登場しなくなり、これまでのステージの雑魚を相手にするものになっている。 --事務所内は雑魚を全滅させる毎にいくつかの扉が開き、分岐していくという迷路状になっている。 --この迷路は非常に迷いやすく、道を間違えると3面のバーへ戻されたり、いくつか前の部屋へ戻されたりとマッピングが必須のものとなっている。 ---この仕様変更により、''室内なのにバイクを乗り回す雑魚''や''何故か増殖した「りき」2人''と同時に戦うというツッコミどころ満載の展開になっている。 ---また、難易度によって部屋の構成が変わり、高難易度になるほどボスの「さぶ」の部屋へ行くのに多くの部屋を通らなければならない。~ 同時に部屋の内容も''6人の「りき」や「しんじ」''を相手にしたり、「みすず」を3回連続で倒さないといけない%%ネタステージ%%厳しいものになっていく ---ボスの「さぶ」はやはり拳銃装備、ここまで来て''即死させられるとキツい''ので注意して倒そう。~ アーケード版では懐に入ると弱かったのだが、ファミコン版では迂闊に近づくと「ヤクザキックで怯まされた上に''拳銃で即死''」という鬼畜コンボを使う他、拳銃の弾速も上がり、かなり強くなっている。~ ちなみに高難易度だと「さぶ」も増(ry **問題点(FC) -同時に出る敵の人数が3人に減り、大勢を相手にケンカするという醍醐味が失われてしまった --ボスもタイマンになりアーケード版より強化されているが、まわりの強い取り巻きを先に倒しておくといった特有の立ち回りが無くなり、戦略性がなくなってしまっている。 -キャラクターのグラフィックも小さくなって迫力が損なわれている。 -ジャンプキック無双 --アーケード版でも強力だったジャンプキックがより強化され、たいていの敵はジャンプキック一本で何とかなるようになっている。 ---ただし、高難易度になるとジャンプキックだけでは時間制限に間に合わずにミスになりがちなので「ダッシュパンチ」や「馬乗りパンチ」などを駆使する必要がある。 -4面の迷路の難易度 --最低難易度のLEVEL1でも、初見ではマッピングは必至な構造となっており、ひとつ間違えると何度も増殖したボスと戦わされる事になり、テンポを損なってしまう。 --クローン化したボスは強さもそのままな上に体力ゲージが表示されないので倒し時がわかりづらく、難易度が高い。 **評価点(FC) -ストーリーやゲーム性はアーケードとは異なる展開だが、変更された分、原作以上のハチャメチャぶりでよりぶっ飛んだ方向へパワーアップしており、新たな魅力となっている。 --移植に伴って追加された「電車内でのケンカ」や「バイクチェイスシーン」は以後のリメイクにも採用されており、定番化している -原作に無いアイテムの追加により、より遊びやすくなった。 --とくに原作ではエクステンドは一度きりだったので何度でもエクステンドが出来るようになっているのはありがたい。 -アーケード版よりもフレームレートが高く、なめらかに動いている。 **総評(FC) アーケードとファミコンのスペックの差ゆえに完全移植は無理だったもののアーケード版の雰囲気を残しつつ、様々な追加要素で劣化部分を補っている。~ ステージ後半の迷路要素などに若干の難はあるが、操作性、ゲーム性の両面で原作を著しく損ねてしまった部分もなく、ハードにあわせた程よいアレンジの聞いた良移植といって差し支えないだろう。 特に今作でパワーアップしたぶっとんだノリは今後もシリーズの定番として受け継がれていく事になる。 &br ---- *熱血硬派くにおくん すぺしゃる 【ねっけつこうはくにおくん すぺしゃる】 |ジャンル|アクション|&amazon(B005M0F8ZA,image);| |対応機種|ニンテンドー3DS|~| |発売元|アークシステムワークス|~| |開発元|エイビット新潟|~| |発売日|2011年12月15日|~| |定価|4,200円(税別)|~| |レーティング|CERO:B(12才以上対象)|~| |判定|なし|~| |ポイント|熱血硬派くにおくんを現代風にリメイク&br;様々なシリーズの要素を継承&br;シリーズのファンならニヤリと出来る|~| |>|>|CENTER:''[[くにおくんシリーズリンク>くにおくんシリーズ]]''| ---- **概要(すぺしゃる) 『くにおくんシリーズ』25周年記念作品。アーケード版『熱血硬派くにおくん』をベースに『[[ダウンタウン熱血物語]]』などの要素を加えてリメイクしたメインの「ストーリーモード」、~ アーケード風の操作感と演出を再現した「アーケードモード」、シリーズの様々なキャラで対戦する「バトルロイヤル」~ 決められた条件でミッションをこなしていく「ミッションモード」、歴代シリーズの資料を閲覧できる「ギャラリーモード」、すれちがい通信カードバトルの「タイマンバトル」で構成されている~ リメイクにあたって「みすず」以外のキャラはダウンタウンシリーズ調の2.5頭身で描かれるようになった。(「みすず」はFC版の『熱血硬派くにおくん』をベースにしたグラフィックで表現されている。) **基本操作 -「アーケードモード」を除いて、基本操作は『[[ダウンタウン熱血物語]]』をベースとしている -Aボタンでパンチ、Bボタンでキック。AとB同時押しでジャンプ。方向キー2回入力でダッシュが行える --武器の近くでAボタンでアイテムを拾う事ができる。所持しているアイテムはBボタンで投げる。 --「「腰掛けパンチ」や「襟づかみ投げ」」や、「[[羽交い締めからのジャーマンスープレックス>初代熱血硬派くにおくん]]」といった『熱血物語』以外のシリーズのアクションも取り入れられている。 --倒れた相手を攻撃することで勢い良く滑り、他の相手にまとめてぶつける事が出来るようになった。 --至近距離で敵が攻撃してきたとき、AボタンまたはBボタンを押すとガードすることができる。 ---必殺技の「まっはぱんち」または「まっはきっく」が使える状態だとガードできない。 **ストーリーモード -熱血高校に転校してきた「くにお」が「ひろし」と出会い、様々なトラブルに巻き込まれる「ひろし」を助けながら「りき」をはじめとする硬派達との戦いを繰り広げていく。~ シリーズの原点である『熱血硬派くにおくん』のストーリーを明確に掘り下げた、全4章仕立てのRPG風のモードである。~ -アーケード版の1ステージを1章とし、ステージの舞台となった場所以外にも熱血高校やその周辺の街における「くにお」の日常も交えて描く。 --設定は一度リセットされており、旧作とは相違点も存在するが自然な展開でアーケード版をなぞるストーリーが進行する。 --原作のキャラ以外も、[[サッカーシリーズ>熱血高校ドッジボール部 サッカー編]]や『[[新・熱血硬派 くにおたちの挽歌]]』などで度々ヒロインを務めた「みさこ」、お馴染みの[[ドッジボール部員>熱血高校ドッジボール部]]「こうじ」なども登場。また、新キャラも多数登場する。 -システムは「[[ダウンタウン熱血物語]]」を継承しており、敵を倒してお金を入手し、商店街での買い物で各パラメーターを上げていく。 --敵を倒した時にダルマ型のシンボル(校章等のアイテム)を落とすことがあり、拾って公園にいる「''もるどふ((熱血高校ドッジボール部に登場した「それん(ろしあ)」のキャプテン))''」に渡す事で換金することが出来る。 --パラメーターの上昇アイテムも『熱血物語』に準じている他、一定量の敵を倒す事でレベルアップし、全てのパラメーターが上昇するようにもなっている。買い物時には「くにお」が不良らしからぬスマイル全開になる演出も健在。 --学校や商店街では通行人に話して情報を得る他、''通行人を蹴ってダメージを与える''事が可能((つまり非戦闘キャラでもダメージモーションが用意されている。))、そして一定の間隔で不良がケンカを売ってくるなど、『[[初代熱血硬派くにおくん]]』に近い。%%さすがに通行人を殴り倒して経験値にする事は出来ないが…%% --『熱血硬派くにおくん (FC)』の要素も取り入れられており、ストーリーの中でバイクチェイスや電車内の乱闘などもある。 --登場人物からメインストーリーに関係ないクエストを頼まれる事があり、こなすことでアイテムをもらえる。 ---ゲームセンター、バッティングセンター、フリースロー、といったミニゲームも存在し、クエストの条件にも使われている。 **アーケードモード -アーケード版『熱血硬派くにおくん』を本作のシステムで再現したものとなり、このモードのみ、操作系が異なる -上述の「ストーリーモード」とは異なり、アーケード版同様に「''校門の前でひろしがボコられる→待てこの野郎!''」の流れで進み、面クリア式のベルトアクションゲームとなっている。 --残機制となっており、パラメーターの成長も存在しない。またクリアしたステージのボスの顔アイコンが下に表示されるなど、アーケード版の仕様の再現にこだわっている。 --操作は十字キーと2ボタンで行う(カスタマイズ不可)自キャラの向きによって攻撃ボタンの役割が変わり、攻撃ボタン同時押しでジャンプキックを繰り出すのでFC版に近いが~ 自キャラの向きを自由に変えられる為、アーケード版やFC版と操作感は異なる。どちらかと言えばアーケード版『ダブルドラゴン2』に近い。 --敵を持ち上げることが出来ず、武器も拾えないが、武器持ちの敵を攻撃することで武器を落とさせることが出来る。 --ボスにも普通に腰掛けが出来たり、ボスの体力が残っている状態でもリングアウトさせる事が出来たり、マッハパンチの仕様が熱血物語以降のものになっている((アーケード版では襟を掴んで顔面を連続で殴るものだが、本作では素早いパンチの連打になっている))等、違いも多い。 ---全体的にボスが強くなっており、ゲームバランスはアーケード版ともFC版とも大きく異なる。本作独自のものと考えるべき。 --しかし、ファミコン版でカットされた''ヤ○ザのドスによる一撃死''が再現されている等、アーケード版のスリルが味わえる部分もある。 --一定のスコアを超えるとゲームオーバー後にネームエントリーが行える。残念ながらアーケード版で見られた「裏番、総番…」といった番付風ではないが、特定の点数を超えるとギャラリーが解放される。 **ミッション -「くにお」を操作し、「時間以内に○○人倒せ!」といったミッションをこなしていく。 --「くにお」のパラメーターは固定、かつ必殺技も固定されているので決められた条件でチャレンジする形になる。 --最初は不良を倒すだけだが、ミッションによっては「りき×3を倒せ!」といったような難易度の高いものになっていく。 ---ボスを複数回倒すミッションでは倒れたボスが復活して襲ってくるというものでファミコン版のように増殖はしない模様。 ---中には「みさこ」や「まどか先生((今作初登場のオリジナルキャラ。))」を一定時間守れ、''何故かパワーアップして喧嘩を売ってきた「ひろし」を〆ろ''、''巨大化した「みすず」を倒せ''、と言った風変りなミッションも。 ---後述の「バトルロイヤル」のキャラを倒すミッションも存在する。ミッションをクリアする事で、「バトルロイヤル」用のキャラが売りに出されるようになる。 --ミッションをクリアする事でポイントが貰え、ショップで買う事で後述の「バトルロイヤル」に登場するキャラを解禁する事が出来る。 **バトルロイヤル -くにおくんシリーズに出てきたキャラをつかって『[[ダウンタウン熱血行進曲>ダウンタウン熱血行進曲 それゆけ大運動会]]』の「かちぬきかくとう」のようなシステムで殴りあうバトルロイヤルとなっている。 --メインストーリーのキャラ以外にも「ダウンタウンシリーズでお馴染みの「ごうだ」や「ごだい」、『熱血格闘伝説』に登場した「とらいち」「とらじ」、~ ''ドッジボール部の「へいるまん((時代劇に登場した「へいるまん」ではなく、ドッジボール部に登場したアイスランドのキャプテン))」サッカー編の「よりつね」等のスポーツ選手等''ジャンルを問わずにごった煮となっている。 --出典元では格闘などしない「へいるまん」でも平然と''当時のドット絵から拳や蹴りを繰り出す''のでシュールになっている。もちろん必殺技は「わーぷしゅーと」。 --ダウンロードプレイによる通信対戦が可能となっている。 **CARD BATTLE(タイマンバトル) -すれ違い通信を利用しカードバトルで対戦を行なうモード。 --最初に「タイマンカードの作成」として、自分のキャラクター(バトルロイヤルで解禁しているキャラクター)を設定し、すれ違い時の「啖呵コメント」とカードのデザインを決める。 --キャラには「パワー」、「テクニック」、「ガード」の三種類の属性があり、「テクニック」は「パワー」に勝つが、「ガード」に負けるといった三すくみがあり、すれ違い時の勝敗に関わる。 --啖呵メッセージは自由に決めることは出来ず、「固有名詞」、「接続詞」、「締め」に用意された言葉を組み合わせて作る。 --こうして出来上がったカードをすれ違い通信に登録し、すれ違った後で「タイマンバトル」を選ぶと「タイマンカード」同士の対決が自動で行われ、勝敗の戦歴とスコアが変化する。 **評価点(すぺしゃる) -操作性は良好 --[[以前にシリーズのリメイクでやらかしてしまった時>超熱血高校くにおくん ドッジボール部]]とは異なり、モッサリ感はなく、ファミコンシリーズの操作感に近く、ガシガシと敵を倒していく爽快感は健在 ---倒れた敵をハメ難くなったものの、倒れた敵を蹴っ飛ばしてぶつけるという新たなアクションもくにおくんらしさがでている。 -ストーリーモードの描写 --『熱血格闘伝説』で登場した熱血高校の下足室、『くにおたちの挽歌』で登場した三和会事務所、アーケード版で登場した熱血校門前が3Dで描画されている等、それまでのシリーズの世界観をしっかりと継承している。 --ストーリーでボスと戦う場面もアーケード版のステージと同様の場所になっている。 --「くにお」が入る前の「ドッジボール部」が登場したり、ミニゲームもシリーズとの繋がり(『べーすぼーる物語』や『すとりーとバスケット』)を連想させるような内容になっている。 ---入っても特に意味は無いが、部室が用意されている部活が[[ドッジボール部>熱血高校ドッジボール部]]、[[サッカー部>熱血高校ドッジボール部 サッカー編]]、[[ホッケー部>いけいけ! 熱血ホッケー部 すべってころんで大乱闘]]なのも芸が細かい。 --キャラの掘り下げも行われており、それまでのシリーズでは%%他の濃すぎるボスに囲まれて%%影が薄かったボスキャラ「しんじ」には「りき」の先輩という設定が加えられ、見せ場も用意されたので存在感のあるキャラになっている。%%一人だけパッケージに描かれていないが%% ---それまでのシリーズでは「しんじ」は雑魚の暴走族のマイナーチェンジのような見た目だったり、三下のような扱いが多かったが、原点のデザインに回帰した上でキャラが掘り下げられた為、見事に他のボスに負けない個性的なキャラに生まれ変わった。 --終盤、一高校生に過ぎない「ひろし」がヤクザに刺されなければならない理由も明確に描写されている。 -『ダウンタウン熱血物語』同様、倒した敵が台詞と共に消滅すると言う演出もあり、バリエーションも豊か。 --「おかーちゃーん!」「お楽しみ頂けましたか?」などの同作からの台詞の他、「バ・バイクがぁーっ!(バイクに乗った暴走族)」「その腕に抱かれたい!(スケ番)」など、本作に登場する敵キャラのタイプを活かした台詞も多数。ドスを持ったヤクザに至ってはまともなものなら「こ・こんなガキにーっ!」などだが、中には「''スリル味わえました?''」「''命は大切に!''」と言ったものも。%%アンタらが言うな!%% --ストーリーモードのみならず、ミッションモード限定のキャラにも台詞が用意されている。ダウンタウンシリーズなどからのゲストキャラや、「ひろし」「みさこ」など本編では一切戦わないキャラにまで個別のやられ台詞がある(しかもミッション毎に違ったりもする)。 -BGMは『ダウンタウン熱血物語』、『熱血硬派くにおくん(FC)』等からチョイスされ、元の曲のイメージを潰さない正統派なアレンジが施されており、良質。 -ゲームセンターのポスターに過去作のパッケージ絵が描かれていたりと、シリーズファンがニヤリとできる小ネタもある。 **問題点(すぺしゃる) -ストーリーモード --メインモードである「ストーリーモード」がボリューム不足。アーケード版が僅か4ステージしか無く、それを掘り下げた本作の各章もさほど長くない為、初プレイでも2~3時間で終わってしまうほど短い。 ---周回プレイも可能だが、敵が強くなったり新しいイベントが増えたりする事はないので繰り返しのプレイにも向かない。精々、クエストや必殺技のコンプリートを目指す程度だが、それも二、三周もすれば十分。 --商店街の数も2個と『ダウンタウン熱血物語』の半分しかない上に店の数も少ないので買い物の楽しみが少ない。 --雑魚敵も同じ顔のキャラばかりが出てくるので個性が薄い。顔だけではなくキャラも少ないようで倒された雑魚が次の瞬間に復活しているといった事がよく起こる。 ---ミッションモードでは雑魚敵の見た目も名前も、ストーリーモードより遥かに種類が豊富。データとしてはしっかり収録されている事が分かる。何故これがストーリーモードに活かされていないのか。 --ストーリーモードにはシリーズに登場するお馴染みのキャラが出てきたりするのだが、''話に絡む前にストーリーが終わってしまう''ので単なる顔見せになっている事が多い。 ---例えば「こうじ」は本当に顔見せだけで終わってしまっている。「みすず」も後述のように扱いが雑。 ---「みさこ」はヒロインだけあってそれなりに登場するのだが、初対面時に「くにお」と険悪な雰囲気だったのがいつの間にか仲良くなっていたりと、描写が不足気味。 --また、ボツ要素と思わしき情報をしゃべるキャラも居る。「てっくばーがーが美味しいんだって」という情報はあっても、「てっくばーがー」には''入れない''。学校のどこかにある「謎の科学部」も''本当に謎のまま''終わってしまう。 --武器を別のマップに持ち越せなくなっており、「まっはたたき」の価値が急落。 --パラメーターアップの方法が『ダウンタウン熱血物語』準拠の買い物に加え、敵を倒した事によるレベルアップでも上がる為に非常に上がりやすく、すぐにカンストしてしまうのもゲームの寿命を縮めている。 ---『時代劇』と同様に「うたれづよさ」がカンストするとあらゆるダメージが1になるので「ドスや銃弾を受けてもダメージ1」という状態になり、緊迫感が削がれる。ドスや銃弾は「うたれづよさ」が高くないと即死級のダメージであり、終盤のドスを持ったヤクザの群れとの戦いはアクションが苦手な人には厳しい為、救済措置とも考えられるが。 ---この辺りは過去作のバランスをそのまま持ってきてしまったが為の弊害とも言える。この反省からか、次回作以降では買い物によるパラメーターアップは高価なもののみ行われるようになった。 -バトルロイヤル --Wi-Fi非対応なのでローカルで対戦相手を探さなくてはならない。また、CPUもそれほど強くないのでシングルプレイの場合、非常に飽きが早いモードになってしまっている。 --バランスもかなり大味であり、「ごうだ」の「頭突き(キック)」を4発あてただけでKOになる等、完成度が高いとはいえない。 -ミッション --様々なミッションがあるが「くにお」でしかプレイ出来ない。このモードではステータスと必殺技も共に固定なので~ 「バトルロイヤル」の練習の意味も兼ねて「くにお」以外のキャラでも挑戦できるものがあれば楽しみの幅も広がったと思われる。 --「バトルロイヤル」キャラ解禁ミッションは総じて難易度が高いが、クリア報酬はあくまで解禁なので、使用したければ改めて膨大な量のポイントを稼がなければならない。 ---このため、「バトルロイヤル」を色々なキャラで楽しむにはかなりの時間がかかる仕様となっている。 -タイマンバトル --「啖呵コメント」はどうにも使い所に困る妙な言葉ばかりが用意されており、シリーズの名台詞はおろか「なめんなよ このやろう」「ざけんじゃねぇ」といった原作ボスの啖呵すら再現できず、自由度が低い。~ 人を不快にさせない配慮と思われるが、そもそも「''てめぇ''」「''ぶっつぶす''」「''ぶちこわして''」「''コラアァァ!!''」といった言葉が用意されているわけで…。~ 明らかに公序良俗に反するようなセリフならばもちろんNGだが、もともとが不良同士のケンカをテーマにしているだけに、このゲームをわざわざプレイしている人にとってはそこまで神経質になる必要のない要素でもあるはず。 --「すれ違い」の人口の過疎化や、そもそもやった所で勝敗のポイントが増えるだけで旨味がなくとってつけた感が強い。 -致命的なバグ --メインメニューから「CARD BATTLE(タイマンバトル)」を選択しタイマンカード作成画面に入った後に、画面下部に表示される「タイマンカードを作成します」をタッチしてしまうと''確実にフリーズする''。~ こうなると電源を切る以外になくなってしまい、それまでにセーブしておかなかったデータが失われてしまう。 ---この件に関しては、パッケージ内に注意書きの紙が同封されたのだが、公式サイトではこのバグに関して''一切告知されていない。''~ 修正する時間がなかったという事情は察せられるものの、注意書きの紙の同封だけで済まさず公式で告知するくらいはするべきだろう。 ---現状(2015年12月)のダウンロード配信版では修正されているのかタッチしても問題はない模様。 -細かいバグ --「たいりょく」の最大値が255の状態でレベルアップするとオーバーフローを起こして現体力が0になるといった初歩的なバグが存在する。 --バイクチェイスシーンの後に異様に体力が低い状態で次のシーンが始まるといった不可解な減少も多い --グロッキー状態の敵には様々な攻撃が空振るため、今までのシリーズでは攻撃のチャンスだったがまったくの逆の状態になってしまっている。 ---このグロッキー状態の敵に行える「襟つかみ膝蹴り」も空振ることが多く、一定のタイミングで押さなければ使いづらい。 -システムの不備 --「装備品の装備箇所」等は明記されず、必殺技の出し方がマニュアルに一切書かれていない。従来の技なら予測はつくものの、新技である「きゅうこうかぱんち(2段ジャンプ後にパンチ)」等も同様なので手探りの状態となる。 ---技の説明は「ギャラリーモード」の「人物」を見ることでキャラの紹介とともに紹介されているが、気づき難い。 --アイテムリストは仕様アイテムと換金アイテムと必殺技アイテムがごっちゃまぜになっており、見づらい -パッケージ --『ダウンタウンシリーズ』のキャラも多数が描かれているが、いずれもおまけモードである「ミッションモード」「バトルロイヤル」での登場である。ストーリーに登場するかも?と期待をかけると肩透かしを食らうハメになる(一応、ミニゲームや背景キャラとして出演しているが…)。 --パッケージに描かれているキャラでストーリーに登場するのは「くにお」「りき」「みさこ」「みすず」「さぶ」の五人だけ。残りは全員おまけのゲストキャラである。これでは人によってはパッケージ詐欺とも捉えられかねない。 --次回作『乱闘協奏曲』でもやはり本編には絡まないダウンタウンキャラが描かれているが、本作に比べると控えめになっている。%%「しんじ」もやっと載れた。%% **賛否両論点(すぺしゃる) -お馴染みのキャラの描写について --それまでのシリーズではどちらかと言えば「くにお」は無口系主人公タイプであり、他のキャラクター達が代わりに話を進める事が多かったのだが、「ストーリーモード」では「くにお」がかなりの割合で喋るようになっている。 ---但し、『初代熱血硬派くにおくん』や『くにおたちの挽歌』といった「くにお」が喋る作品もそれなりにあり、無口キャラになっている作品でも全く喋らないと言う訳ではない((例えば『ダウンタウン熱血物語』でも、プロローグや「まみ」救出時に台詞がある。))。 ---しかし本作の場合、セリフの内容が「クサい」と感じられるものが多い。「熱血硬派」らしくはあるが、従来のシリーズではあまり聞かないような台詞が多く、シリーズファンにとっては違和感に感じられやすい。 --「ひろし」の性格もそれまでのシリーズとは違うが、''これはいつもの事''なのであまり問題ではない。((「ひろし」は本作同様にいじめられっ子だったり(初代)、妙に強気だったり(サッカー編)、くにおの舎弟になっていたり(くにおたちの挽歌)と登場する度に立場や性格がコロコロ変わっている)) --また、ストーリーを通して徹底した悪役がいない。設定が変更された「しんじ」はともかく、ラスボスの「さぶ」もラストバトル直前まではひたすら極悪人として描かれた割には、最後は改心した様子を見せ、和解して終わる。 -ストーリーモードでの「みすず」の扱い --「歌舞伎町で''プリクラ''をとっていただけなのに一方的に「くにお」に笑われ逆上して襲い掛かった挙句、''謝罪されずにボコられる''」という酷い扱いを受けている。その後、ストーリーにも絡まないので浮いてしまっている。 --正義のツッパリであるはずのくにおが人を嘲笑った挙句に悪びれもせず殴るなどという描写自体が頂けない。しかも「ひろし」をその場に置き去りにし((哀れにもそのまま「みすず」の襟首掴みビンタの餌食に…。))、「いい加減にしな!みすず姐さんに失礼だろ!」と窘めたスケ番を無視して笑い続けると言う、「熱血硬派」が聞いて呆れるような有様である。 //「プリクラ」の存在もゲームの時代背景的に不自然。((アーケード版は1986年稼働で、その後のシリーズも1994年までに収まっており、プリクラが稼働し始めた年代(1995)とは微妙にズレている)) //↑そもそも本作はその年代と言う設定なのだろうか? --ただ、「くにおを超えるデカ女」「怪物呼ばわりされるとキレる」といった「みすず」のイメージそのものは守られており、そのキャラを強調しようとしたフシが見られる((ケンカ「後」にみすずから謝罪をうけたひろしが「デカいですね」といってキレさせるシーンもある))。しかし、肝心の表現の仕方がマズく、流れ的にも無理やりな感じは否めないだろう。 --批判があったのか、以降の作品ではみすずがこのような扱いを受けることはなくなっていった。『りき伝説』ではチョイ役だが、逃げようとした敵幹部を捕まえてボコボコにするという活躍を見せ、次回作『乱闘協奏曲』では「りき」「しんじ」と共にくにおの相棒となっている。 **総評(すぺしゃる) 操作感、及びストーリーは「昔に遊んだくにおくん」をよく再現できており、シリーズのファンがニヤリと出来るポイントが随所に散りばめられている。 しかし、肝心のメインモードのボリューム不足が響いてしまった。また、その他モードもモード間の結びつきが弱くてどこか散漫な印象が強く、~ 上述の致命的なバグの存在も含め、「25周年に発売を間に合わせようとして作りこみ足りなかった」という印象が否めないのが惜しいところである。 現在ではダウンロード版も値下がりしており、購入の敷居は下がっている。「くにおくん」の入門編としては丁度いい作品だろう。 **余談 -後に本作の「ストーリーモード」のシステムを使用して『[[りき伝説]]』が配信された。本作のいくつかの不満点が解消されている他、ストーリーにもつながりがある。 --更に後に本作の直接の続編である『[[熱血硬派くにおくんSP 乱闘協奏曲]]』が発売された。熱血硬派シリーズとしては『くにおたちの挽歌』以来久しぶりの完全新作である。 -「ギャラリーモード」の「豪田剛(ごうだ つよし)」の紹介で、「フルネームは ''ごうだ たけし''」と誤植している。それじゃ''[[某ガキ大将>ドラえもんシリーズ]]だろ''。
''本稿では、オリジナルのアーケード版及びファミコン移植版と、アーケード版のリメイク作『熱血硬派くにおくん すぺしゃる』を併せて解説する。'' ---- #contents ---- *熱血硬派くにおくん 【ねっけつこうはくにおくん】 |ジャンル|アクション|#image(flyer0302.jpg,width=170,height=220)| |対応機種|アーケード|~| |販売・開発元|テクノスジャパン|~| |稼働開始日|1986年|~| |配信|バーチャルコンソールアーケード&br;【Wii】2012年3月6日/800Wiiポイント|~| |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~| |>|>|CENTER:''[[くにおくんシリーズリンク>くにおくんシリーズ]]''| ---- **概要 なぜか色々な悪人たちに絡まれる難儀な友人「ひろし」の敵討ちのために、熱血高校の番長「くにお」が戦うアクションゲーム。~ 後に同社が出した『[[ダブルドラゴン]]』、カプコンの『[[ファイナルファイト]]』などに代表される「ベルトスクロールアクション」の始祖となったゲームである。~ 本作自体はある程度左右に幅のある固定画面方式で、横スクロールアクションの要素はないが、集団を相手に格闘を駆使して立ち回るという基礎的な部分は既に確立されている。 **操作方法 -8方向レバー+左攻撃、ジャンプ、右攻撃の3ボタン制。 --左右いずれかの攻撃を取る際は、相手に対して体を前に向けている場合、前方に向かってパンチ、相手に背を向けている場合は後方に向かってキックを出して攻撃する。~ 攻撃のために方向転換をわざわざする必要がないのだが、操作感覚が独特なので少々慣れがいる。 --右のどちらかに2回レバーを倒すと、ダッシュ移動できる。 --相手に接近してレバーを前に入れて襟を掴んで動きを封じてみぞおちに連続で蹴りを入れたり、倒れた相手に馬乗りになってタコ殴りにするなど、攻撃方法も多彩である。 **特徴 -アイレムの『スパルタンX』のように人間同士が殴り合って戦うゲームであるが、本作には「奥行きのあるゲーム画面で、プレイヤーと複数の敵とが大立ち回りを演じる」という点に決定的な意義がある。 --スタイルとしては同社のプロレスゲー「エキサイティングアワー」に近いが、タイマン勝負であったエキサイティングアワーと異なり基本的に集団を相手にするゲームであり、羽交い絞めにされて他の敵に殴られる、服の襟を掴んで腹に膝をかます、倒れこんだ敵に馬乗りになってボコボコ殴る、など「ケンカ」らしさが存分に発揮されている。こういったアクションは、当時としては異例のものであった。 **戦いの流れとステージ構成 最初に前座のザコと戦い、一定以下になると乱入してくるボスを倒せばクリアとなる。~ ザコを全滅させる前にボスを倒すと残ったザコは逃げていくが、敵が画面内から全ていなくなる前に時間切れになるとアウトとなってしまう。~ また、1面と2面のみリングアウトの概念があり、耐久分の攻撃を当てなくても画面端に敵を突き落とせば倒した事になる代わりに、くにお自身が落下しても体力の有無に関わらず問答無用でミスとなる。~ -1面:駅構内 --花園高校のツッパリ達が敵となる。 --学生服を着たリーゼント男と木刀で攻撃するスキンヘッド男を相手にする。 --リングアウトは駅のホームの下であり、ここから落ちると電車に轢かれる訳でもないの死亡扱いになる。 --ボス:「りき」。後にくにおのライバルとして立ちはだかることになる。 -2面:港 --対暴走族戦。 --前半はバイクで突撃してくる相手をジャンプキックで倒していく。後半は通常の格闘戦で、素手のグラサン男と鉄パイプを所持した鉢巻き男と戦う。 --リングアウトは海であり、背負い投げなどで落とすと豪快な音とともに敵が沈む。 --ボス:「しんじ」。大して強くないが前半で時間を使いすぎるとタイムオーバーになることも。 -3面:繁華街 --カバンやチェーンを持ったスケバンたちが相手。 ---カバンを持った奴は耐久力があるが、チェーンのセーラー服は一度倒された時点でやられてしまうほど体力が無い。 --このステージから全ての雑魚が武器持ちとなる為、ダメージを受けると必ずダウンしてしまう。 --ボス:「みすず」。くにおを有に超える身長とガタイの良さを誇る超巨大女。突進で距離を詰めた後、くにおの襟を掴んで身動きを封じてから繰り出す往復ビンタ攻撃が強烈で、1度食らうと体力数メモリ分を一気に持って行かれる。 -4面:暴力団事務所前及び事務所内部(2エリア構成) --前半戦は暴力団の手下であるザコが相手。 --ザコのドス攻撃を食らうと体力の残量に関わらず一撃で即死となってしまうため、これまでのステージに比べて一気に難易度が跳ね上がり、慎重な立ち回りが求められる。 ---このステージに限ってはミスをした時の音声がボスの啖呵ではなく、''「くにお」の悲鳴''となっており、''もはや不良のケンカではない''事を思わせる生々しい演出になっている。 --ボス:暴力団組長「さぶ」。事務所内部での勝負。手下の雑魚のドスに紛れて一撃で即死となる拳銃攻撃を使ってくる、制限時間も厳しいので正確に立ち回らないと非常に厳しい。 4面をクリアするとエンディングとなり、''デモで刺されたはずのヒロシが元気な姿で現れ、''高校の仲間たちの祝福の中、くにおと熱い友情の握手を交わすエンディングシーンとなる。~ その後、2周目に突入し、以後、難易度が上がっていく。 ボタンが3つあってやや操作が複雑なのと、立ち回りに工夫がいるのとで慣れが必要だが、思い通りに敵を捌けるようになるとスイスイ進めるだろう。~ **評価点 -制作者の学生時代が反映されたという、80年代のツッパリ文化をモチーフにした個性的な世界観。 --制作者の岸本良久氏は学生時代は学ランを着て喧嘩に明け暮れていたといい、その経験を基に、喧嘩の手ごたえを感じられるゲームを作りたいと、本格的な肉弾戦がテーマの本作を企画したという。 --格闘がメインのアクションゲームというのは今では珍しくはなくなったが、当時の時代としては画期的であり、~ 更に、高校という身近な舞台にした学園もので、更に80年代当時のツッパリ文化というエッセンスを用いた昭和の青春漫画的作風の本作は、まさに「喧嘩するゲーム」を体現した作品といえる。後の同ジャンル作品でもなかなか見られない、ユニークで個性的な世界観である。 --ゲーム終了後のハイスコア入力もひらがなで入力でき、順位も「裏番」「総番」という具合に世界観に沿ったものになっている。 ---''禁止用語''を入れると強制的に名前が''なめるなよ''にされてしまう要素もあり -グラフィック自体は大味であるものの、大きめに描かれた人間がケンカする様は十分、迫力に溢れている。 --馬乗りパンチをかける度に殴られた敵の首の向きが変わるのも秀逸、連続で殴りつけると独特の爽快感が味わえる。 -BGMは80年代のツッパリ文化のノリを表現した横浜銀蠅調のロックで統一されており、不良同士のケンカという雰囲気を作り出している。 --SEはやや迫力不足だが、ミス時や掴まれた時などにボスキャラクターが音声付で凄んだり、クレジット投入時の「がんばってね」など、音声面での演出もインパクト大。~ ボイス自体も明瞭で聞き取りやすく、質がいい。 -1面ごとに友人が敵にタコ殴りにされてノックアウトされるデモが出るのだが、その相手が「近隣高校の番長」→「ゾク」→「スケバン」と来て、最終的には何故か社会の敵である「暴力団」が出てくるというスケールのでかい展開に。この演出は後のシリーズでも定番化された。 --見せしめのように毎回ノックアウトされる友人だが、''そのステージにおける敵の攻撃方法をあらかじめ見せてくれる''という親切(?)設計。~ 実際に3面と4面では「カバン」や「ドス」で、デモと同様に一撃でダウンを取られてしまう他、2週目以降はデモなしでスタートする。 **難点 -残機設定をいじってもゼロか1しかない。またエクステンドは1回こっきり。 -86年当時では仕方がないとはいえ、全4面の無限ループは少しボリュームが薄い。 -最終面の即死攻撃持ちの敵。 --最終面の暴力団員は、ドスを振りかぶる→突き刺すの動作がオーバーなので動きは読みやすいが、後ろから刺されると悲惨。~ ラスボス「さぶ」は唯一の遠距離攻撃となる拳銃をぶっ放し、撃たれるとやはり即死である。懐に潜られると弱いのだが。 **総評 生身の人間同士が拳で殴りあって喧嘩する醍醐味をゲームに落とし込んで再現しつつ、80年代のツッパリ文化という独特な世界観をまぶした、まさに80年代ならではのノリとテイスト溢れる個性豊かな1作。~ 今見るとやや古臭くボリュームが薄いが、本作が後のベルトスクロールアクションの原型となったことを鑑みるに、ゲーム史における1つの大きなターニングポイントとなった作品であるのは間違いないだろう。 **移植 -&bold(){ファミリーコンピュータ版(1987年4月17日)} --ハードの制約上、ACそのままの迫力を再現とまではいかないが、様々な追加要素が施されたアレンジ移植となっている。 ---[[詳細は下記を参照。>http://www26.atwiki.jp/gcmatome/pages/3241.html#id_9087673c]] -&bold(){プレイステーション2版(2006年1月26日)} --[[『オレたちゲーセン族』シリーズ>オレたちゲーセン族シリーズ]]の1つとして移植されたが、移植担当メーカーの問題ある態度により、いろいろと不具合のある劣化移植になってしまった。~ -&bold(){バーチャルコンソール版} --&bold(){AC版}(配信開始日:2012年3月6日 / 配信元:D4エンタープライズ) --&bold(){ファミコン版}(配信開始日:2008年3月18日 / 配信元:アークシステムワークス) -&bold(){Windows版} --D4エンタープライズが運営する『プロジェクトEGG』にて、ファミコン版・アーケード版、海外アーケード版『RENEGADE』が配信されている。いずれもミリオン名義。 -&bold(){携帯版} --ウェブドゥジャパンなどによりゲームサイトからコンテンツが配信されアプリがダウンロードできる他、クルーズがソーシャルゲームをモバゲータウンに提供している。 -&bold(){熱血硬派くにおくん すぺしゃる(3DS 2011年12月15日)} --シリーズ25周年記念作品として制作された初代AC版のリメイク作。ダウンタウンシリーズの流れを組んでキャラクターは全てSD化されており、様々な追加ステージが存在する。 --アーケードモード、ストーリーモード、バトルロイヤル、ミッションモードの4つのモードが搭載されており、ストーリーモードではAC版のストーリーを掘り下げたシナリオが描かれる。オリジナルAC版のスタッフも関わっている。 ---[[詳細は下記を参照。>http://www26.atwiki.jp/gcmatome/pages/3241.html#id_60002c3b]] -&bold(){プレイステーション4版(2014年7月24日)} --「アーケードアーカイブス」の1つとして配信。 **その後の展開 その後「くにおくん」シリーズはテクノスジャパンを代表する人気シリーズとなり、くにおも喧嘩よりも様々なスポーツにいそしむことになる。~ また、1面のボスだった「りき」も改心し、後に「くにおくん」シリーズの名ライバル役兼2Pプレイヤーとして、くにおに付き合いスポーツに喧嘩に活躍する姿が見られた。~ 更に完全な余談として、2面のボス「しんじ」、3面のボス「みすず」、そしてラスボスの「さぶ」は『新・熱血硬派 くにおたちの挽歌』・『[[くにおの熱血闘球(ドッジボール)伝説>http://www26.atwiki.jp/gcmatome/pages/1020.html]]』(※日本未発売)にて再びくにお&りきの前に立ちはだかることとなる。 **余談 -タイトル名はコナミの『[[新入社員とおるくん]]』が元ネタだそうな。くにおの名前自体は当時のテクノスジャパン社長、瀧邦夫氏から取られた。 -海外版はタイトーアメリカから『RENEGADE(裏切り者)』の題で出されている。 --友人の敵討ちというテーマが削除された上キャラの外見がほぼ一新されており、ストリートギャングの抗争風になっている。 --アメリカの人に「ツッパリ」とか「スケバン」とか説明しても理解を得られないだろうから、仕方がないと言える。~ ただし、みすずの服装と最終面の暴力団員の肌色以外変わっておらず、更に「さぶ」はそのまんまである。 --『アーケードアーカイブス』では『熱血硬派くにおくん』と配信中のテクノスジャパン作品2種類を購入すると海外アーケード版『RENEGADE』が非売品として配信された。 -2013年に全13話で実写ドラマ化され、DVDも発売されている。 &br ---- *熱血硬派くにおくん (ファミコン) 【ねっけつこうはくにおくん】 |ジャンル|アクション|&amazon(B000068HK5,image);| |対応機種|ファミコン|~| |販売・開発元|テクノスジャパン|~| |発売日|1987年4月17日|~| |配信|バーチャルコンソール&br;【Wii】2008年3月18日/500Wiiポイント&br;【3DS】2013年4月3日/500円&br;【WiiU】2014年1月15日/500円|~| |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~| |ポイント|さらにぶっとんだ展開|~| |>|>|CENTER:''[[くにおくんシリーズリンク>くにおくんシリーズ]]''| ---- **概要(FC) ファミコンに移植された「熱血硬派くにおくん」。~ アーケードとファミコンのスペックの差を考慮し、様々な追加要素が施されたアレンジ移植となっている。~ なお、ストーリーは微妙に変更され、アーケードではステージ毎にボコボコにされていたひろしは、オープニングで''唐突に車に拉致され''、これを助けにいくという形に変更された。~ 熱血高校に通うヒロシは、いつもみんなにいじめられていた。そんなある日、一人の男が転校してきた。 彼の名はくにお!!生まれながらの熱血硬派である。見た目はこわいが、弱い者いじめが大キライな心やさしい男である。 いつのまにか二人は、親友となっていくのであった。ところが、ある日ヒロシが何者かに誘拐されてしまったのだ。 くにおは、ヒロシを救いだすためたちあがった。(FC版説明書より引用) **変更点 -操作の変更 --ハードの都合上、ジャンプボタンが廃止され、攻撃ボタンのみになった。ただしABボタン同時押しでジャンプキックが出せるため、従来の操作から大きな変更はない。 -アイテムの追加 --特定の条件を満たすとステージ中にアイテムが出現することがあり、様々な効果が得られるようになった。 ---''P'':取ると一定時間、「くにお」が点滅し、攻撃した相手が''マンガのように吹っ飛んでいく''ようになり、リングアウトを狙いやすくなる。ただし自身の無敵効果はないので注意。 ---''ハート'':取ると1UP。相手に腰掛けしないと出てこないが、特定の法則にしたがって何度も出す事が出来るので残機を稼げるようになっている。 ---''おにぎり'':取ると体力回復。特定のタイミングで壁にジャンプキックをすると出現。 ---''S'':後述のバイクシーンのみ登場、取るとターボ状態になり、Bボタンを押す事でハイスピードでぶっちぎり敵に当たると一撃で倒す事が出来る。 -難易度 --3段階の難易度が用意されており、難易度によってステージの背景が変わる(LEVEL:1→昼、LEVEL:2→夕方、LEVEL:3→夜)といった変化がみられる。 -演出 --ステージ中でミスをするとアーケード版ではボスの音声ボイスで罵られていたが、ファミコンでは音声ボイスがカットされた都合上、~ 真っ黒な画面に敵の啖呵が表示されるという形になった。 ---ステージをクリアした際は劇画調のくにおの顔グラフィックが現れ、敵に対して啖呵を切る。 ---同様にボスとのタイマンに負けると、劇画調のボスの顔グラフィックが表示され啖呵を切られる。 ---アーケード版では啖呵のなかった「くにお」と「さぶ」にも新たに啖呵が追加されている。 -ステージの内容の追加 --ステージのおおむねの流れはアーケード版と同じだがそれぞれのステージに追加要素があり、1画面で完結しなくなっている。 --ボスとはタイマン勝負になり、複数の雑魚を相手にしながらボスと戦う事はなくなった。 ***ステージの変更 -1面:新宿駅 -駅構内でケンカをするのは同じだが、全滅させた後に電車に乗り、電車の中でもケンカを繰り広げるステージが追加された。 -2面:港 -アーケード版では「最初にバイクに乗った敵を蹴り落としてから通常通りの雑魚戦」の流れだったが順序が逆になり、最後に蹴り落としたバイクに乗ってボス戦の開始地点まで爆走する''バイクチェイスステージ''が追加された --高速スクロールする画面で、相手のバイクをひたすら蹴りでふっとばしていくというハチャメチャなものであり、『新・熱血硬派 くにおたちの挽歌』でも同様のシーンがある。 ---蹴っ飛ばされたバイクは''ライダーごと木っ端微塵に爆発する''。敵に蹴られてライフがなくなったり画面下部の崖から落ちるとバイクごと爆発しミスになってしまう。 -3面:繁華街 --ステージ分岐が分岐が追加された。雑魚を全滅させた後に2つの扉が開き、選択次第で戦う相手が変化する。 --片方はバーの中でひたすら雑魚を相手に戦い、もう片方は和室内で「みすず」とタイマン勝負する。 ---その為、選択次第では「みすず」が全く登場せずにゲームをクリアする事が可能。「みすず」はAC版同様に最強クラスに強いため、強敵を相手にするか回避するかという選択肢が与えられている。 -4面:暴力団事務所 -ドスを持った暴力団員は登場しなくなり、これまでのステージの雑魚を相手にするものになっている。 --事務所内は雑魚を全滅させる毎にいくつかの扉が開き、分岐していくという迷路状になっている。 --この迷路は非常に迷いやすく、道を間違えると3面のバーへ戻されたり、いくつか前の部屋へ戻されたりとマッピングが必須のものとなっている。 ---この仕様変更により、''室内なのにバイクを乗り回す雑魚''や''何故か増殖した「りき」2人''と同時に戦うというツッコミどころ満載の展開になっている。 ---また、難易度によって部屋の構成が変わり、高難易度になるほどボスの「さぶ」の部屋へ行くのに多くの部屋を通らなければならない。~ 同時に部屋の内容も''6人の「りき」や「しんじ」''を相手にしたり、「みすず」を3回連続で倒さないといけない%%ネタステージ%%厳しいものになっていく ---ボスの「さぶ」はやはり拳銃装備、ここまで来て''即死させられるとキツい''ので注意して倒そう。~ アーケード版では懐に入ると弱かったのだが、ファミコン版では迂闊に近づくと「ヤクザキックで怯まされた上に''拳銃で即死''」という鬼畜コンボを使う他、拳銃の弾速も上がり、かなり強くなっている。~ ちなみに高難易度だと「さぶ」も増(ry **問題点(FC) -同時に出る敵の人数が3人に減り、大勢を相手にケンカするという醍醐味が失われてしまった --ボスもタイマンになりアーケード版より強化されているが、まわりの強い取り巻きを先に倒しておくといった特有の立ち回りが無くなり、戦略性がなくなってしまっている。 -キャラクターのグラフィックも小さくなって迫力が損なわれている。 -ジャンプキック無双 --アーケード版でも強力だったジャンプキックがより強化され、たいていの敵はジャンプキック一本で何とかなるようになっている。 ---ただし、高難易度になるとジャンプキックだけでは時間制限に間に合わずにミスになりがちなので「ダッシュパンチ」や「馬乗りパンチ」などを駆使する必要がある。 -4面の迷路の難易度 --最低難易度のLEVEL1でも、初見ではマッピングは必至な構造となっており、ひとつ間違えると何度も増殖したボスと戦わされる事になり、テンポを損なってしまう。 --クローン化したボスは強さもそのままな上に体力ゲージが表示されないので倒し時がわかりづらく、難易度が高い。 **評価点(FC) -ストーリーやゲーム性はアーケードとは異なる展開だが、変更された分、原作以上のハチャメチャぶりでよりぶっ飛んだ方向へパワーアップしており、新たな魅力となっている。 --移植に伴って追加された「電車内でのケンカ」や「バイクチェイスシーン」は以後のリメイクにも採用されており、定番化している -原作に無いアイテムの追加により、より遊びやすくなった。 --とくに原作ではエクステンドは一度きりだったので何度でもエクステンドが出来るようになっているのはありがたい。 -アーケード版よりもフレームレートが高く、なめらかに動いている。 **総評(FC) アーケードとファミコンのスペックの差ゆえに完全移植は無理だったもののアーケード版の雰囲気を残しつつ、様々な追加要素で劣化部分を補っている。~ ステージ後半の迷路要素などに若干の難はあるが、操作性、ゲーム性の両面で原作を著しく損ねてしまった部分もなく、ハードにあわせた程よいアレンジの聞いた良移植といって差し支えないだろう。 特に今作でパワーアップしたぶっとんだノリは今後もシリーズの定番として受け継がれていく事になる。 &br ---- *熱血硬派くにおくん すぺしゃる 【ねっけつこうはくにおくん すぺしゃる】 |ジャンル|アクション|&amazon(B005M0F8ZA,image);| |対応機種|ニンテンドー3DS|~| |発売元|アークシステムワークス|~| |開発元|エイビット新潟|~| |発売日|2011年12月15日|~| |定価|4,200円(税別)|~| |レーティング|CERO:B(12才以上対象)|~| |判定|なし|~| |ポイント|熱血硬派くにおくんを現代風にリメイク&br;様々なシリーズの要素を継承&br;シリーズのファンならニヤリと出来る|~| |>|>|CENTER:''[[くにおくんシリーズリンク>くにおくんシリーズ]]''| ---- **概要(すぺしゃる) 『くにおくんシリーズ』25周年記念作品。アーケード版『熱血硬派くにおくん』をベースに『[[ダウンタウン熱血物語]]』などの要素を加えてリメイクしたメインの「ストーリーモード」、~ アーケード風の操作感と演出を再現した「アーケードモード」、シリーズの様々なキャラで対戦する「バトルロイヤル」~ 決められた条件でミッションをこなしていく「ミッションモード」、歴代シリーズの資料を閲覧できる「ギャラリーモード」、すれちがい通信カードバトルの「タイマンバトル」で構成されている~ リメイクにあたって「みすず」以外のキャラはダウンタウンシリーズ調の2.5頭身で描かれるようになった。(「みすず」はFC版の『熱血硬派くにおくん』をベースにしたグラフィックで表現されている。) **基本操作 -「アーケードモード」を除いて、基本操作は『[[ダウンタウン熱血物語]]』をベースとしている -Aボタンでパンチ、Bボタンでキック。AとB同時押しでジャンプ。方向キー2回入力でダッシュが行える --武器の近くでAボタンでアイテムを拾う事ができる。所持しているアイテムはBボタンで投げる。 --「「腰掛けパンチ」や「襟づかみ投げ」」や、「[[羽交い締めからのジャーマンスープレックス>初代熱血硬派くにおくん]]」といった『熱血物語』以外のシリーズのアクションも取り入れられている。 --倒れた相手を攻撃することで勢い良く滑り、他の相手にまとめてぶつける事が出来るようになった。 --至近距離で敵が攻撃してきたとき、AボタンまたはBボタンを押すとガードすることができる。 ---必殺技の「まっはぱんち」または「まっはきっく」が使える状態だとガードできない。 **ストーリーモード -熱血高校に転校してきた「くにお」が「ひろし」と出会い、様々なトラブルに巻き込まれる「ひろし」を助けながら「りき」をはじめとする硬派達との戦いを繰り広げていく。~ シリーズの原点である『熱血硬派くにおくん』のストーリーを明確に掘り下げた、全4章仕立てのRPG風のモードである。~ -アーケード版の1ステージを1章とし、ステージの舞台となった場所以外にも熱血高校やその周辺の街における「くにお」の日常も交えて描く。 --設定は一度リセットされており、旧作とは相違点も存在するが自然な展開でアーケード版をなぞるストーリーが進行する。 --原作のキャラ以外も、[[サッカーシリーズ>熱血高校ドッジボール部 サッカー編]]や『[[新・熱血硬派 くにおたちの挽歌]]』などで度々ヒロインを務めた「みさこ」、お馴染みの[[ドッジボール部員>熱血高校ドッジボール部]]「こうじ」なども登場。また、新キャラも多数登場する。 -システムは「[[ダウンタウン熱血物語]]」を継承しており、敵を倒してお金を入手し、商店街での買い物で各パラメーターを上げていく。 --敵を倒した時にダルマ型のシンボル(校章等のアイテム)を落とすことがあり、拾って公園にいる「''もるどふ((熱血高校ドッジボール部に登場した「それん(ろしあ)」のキャプテン))''」に渡す事で換金することが出来る。 --パラメーターの上昇アイテムも『熱血物語』に準じている他、一定量の敵を倒す事でレベルアップし、全てのパラメーターが上昇するようにもなっている。買い物時には「くにお」が不良らしからぬスマイル全開になる演出も健在。 --学校や商店街では通行人に話して情報を得る他、''通行人を蹴ってダメージを与える''事が可能((つまり非戦闘キャラでもダメージモーションが用意されている。))、そして一定の間隔で不良がケンカを売ってくるなど、『[[初代熱血硬派くにおくん]]』に近い。%%さすがに通行人を殴り倒して経験値にする事は出来ないが…%% --『熱血硬派くにおくん (FC)』の要素も取り入れられており、ストーリーの中でバイクチェイスや電車内の乱闘などもある。 --登場人物からメインストーリーに関係ないクエストを頼まれる事があり、こなすことでアイテムをもらえる。 ---ゲームセンター、バッティングセンター、フリースロー、といったミニゲームも存在し、クエストの条件にも使われている。 **アーケードモード -アーケード版『熱血硬派くにおくん』を本作のシステムで再現したものとなり、このモードのみ、操作系が異なる -上述の「ストーリーモード」とは異なり、アーケード版同様に「''校門の前でひろしがボコられる→待てこの野郎!''」の流れで進み、面クリア式のベルトアクションゲームとなっている。 --残機制となっており、パラメーターの成長も存在しない。またクリアしたステージのボスの顔アイコンが下に表示されるなど、アーケード版の仕様の再現にこだわっている。 --操作は十字キーと2ボタンで行う(カスタマイズ不可)自キャラの向きによって攻撃ボタンの役割が変わり、攻撃ボタン同時押しでジャンプキックを繰り出すのでFC版に近いが~ 自キャラの向きを自由に変えられる為、アーケード版やFC版と操作感は異なる。どちらかと言えばアーケード版『ダブルドラゴン2』に近い。 --敵を持ち上げることが出来ず、武器も拾えないが、武器持ちの敵を攻撃することで武器を落とさせることが出来る。 --ボスにも普通に腰掛けが出来たり、ボスの体力が残っている状態でもリングアウトさせる事が出来たり、マッハパンチの仕様が熱血物語以降のものになっている((アーケード版では襟を掴んで顔面を連続で殴るものだが、本作では素早いパンチの連打になっている))等、違いも多い。 ---全体的にボスが強くなっており、ゲームバランスはアーケード版ともFC版とも大きく異なる。本作独自のものと考えるべき。 --しかし、ファミコン版でカットされた''ヤ○ザのドスによる一撃死''が再現されている等、アーケード版のスリルが味わえる部分もある。 --一定のスコアを超えるとゲームオーバー後にネームエントリーが行える。残念ながらアーケード版で見られた「裏番、総番…」といった番付風ではないが、特定の点数を超えるとギャラリーが解放される。 **ミッション -「くにお」を操作し、「時間以内に○○人倒せ!」といったミッションをこなしていく。 --「くにお」のパラメーターは固定、かつ必殺技も固定されているので決められた条件でチャレンジする形になる。 --最初は不良を倒すだけだが、ミッションによっては「りき×3を倒せ!」といったような難易度の高いものになっていく。 ---ボスを複数回倒すミッションでは倒れたボスが復活して襲ってくるというものでファミコン版のように増殖はしない模様。 ---中には「みさこ」や「まどか先生((今作初登場のオリジナルキャラ。))」を一定時間守れ、''何故かパワーアップして喧嘩を売ってきた「ひろし」を〆ろ''、''巨大化した「みすず」を倒せ''、と言った風変りなミッションも。 ---後述の「バトルロイヤル」のキャラを倒すミッションも存在する。ミッションをクリアする事で、「バトルロイヤル」用のキャラが売りに出されるようになる。 --ミッションをクリアする事でポイントが貰え、ショップで買う事で後述の「バトルロイヤル」に登場するキャラを解禁する事が出来る。 **バトルロイヤル -くにおくんシリーズに出てきたキャラをつかって『[[ダウンタウン熱血行進曲>ダウンタウン熱血行進曲 それゆけ大運動会]]』の「かちぬきかくとう」のようなシステムで殴りあうバトルロイヤルとなっている。 --メインストーリーのキャラ以外にも「ダウンタウンシリーズでお馴染みの「ごうだ」や「ごだい」、『熱血格闘伝説』に登場した「とらいち」「とらじ」、~ ''ドッジボール部の「へいるまん((時代劇に登場した「へいるまん」ではなく、ドッジボール部に登場したアイスランドのキャプテン))」サッカー編の「よりつね」等のスポーツ選手等''ジャンルを問わずにごった煮となっている。 --出典元では格闘などしない「へいるまん」でも平然と''当時のドット絵から拳や蹴りを繰り出す''のでシュールになっている。もちろん必殺技は「わーぷしゅーと」。 --ダウンロードプレイによる通信対戦が可能となっている。 **CARD BATTLE(タイマンバトル) -すれ違い通信を利用しカードバトルで対戦を行なうモード。 --最初に「タイマンカードの作成」として、自分のキャラクター(バトルロイヤルで解禁しているキャラクター)を設定し、すれ違い時の「啖呵コメント」とカードのデザインを決める。 --キャラには「パワー」、「テクニック」、「ガード」の三種類の属性があり、「テクニック」は「パワー」に勝つが、「ガード」に負けるといった三すくみがあり、すれ違い時の勝敗に関わる。 --啖呵メッセージは自由に決めることは出来ず、「固有名詞」、「接続詞」、「締め」に用意された言葉を組み合わせて作る。 --こうして出来上がったカードをすれ違い通信に登録し、すれ違った後で「タイマンバトル」を選ぶと「タイマンカード」同士の対決が自動で行われ、勝敗の戦歴とスコアが変化する。 **評価点(すぺしゃる) -操作性は良好 --[[以前にシリーズのリメイクでやらかしてしまった時>超熱血高校くにおくん ドッジボール部]]とは異なり、モッサリ感はなく、ファミコンシリーズの操作感に近く、ガシガシと敵を倒していく爽快感は健在 ---倒れた敵をハメ難くなったものの、倒れた敵を蹴っ飛ばしてぶつけるという新たなアクションもくにおくんらしさがでている。 -ストーリーモードの描写 --『熱血格闘伝説』で登場した熱血高校の下足室、『くにおたちの挽歌』で登場した三和会事務所、アーケード版で登場した熱血校門前が3Dで描画されている等、それまでのシリーズの世界観をしっかりと継承している。 --ストーリーでボスと戦う場面もアーケード版のステージと同様の場所になっている。 --「くにお」が入る前の「ドッジボール部」が登場したり、ミニゲームもシリーズとの繋がり(『べーすぼーる物語』や『すとりーとバスケット』)を連想させるような内容になっている。 ---入っても特に意味は無いが、部室が用意されている部活が[[ドッジボール部>熱血高校ドッジボール部]]、[[サッカー部>熱血高校ドッジボール部 サッカー編]]、[[ホッケー部>いけいけ! 熱血ホッケー部 すべってころんで大乱闘]]なのも芸が細かい。 --キャラの掘り下げも行われており、それまでのシリーズでは%%他の濃すぎるボスに囲まれて%%影が薄かったボスキャラ「しんじ」には「りき」の先輩という設定が加えられ、見せ場も用意されたので存在感のあるキャラになっている。%%一人だけパッケージに描かれていないが%% ---それまでのシリーズでは「しんじ」は雑魚の暴走族のマイナーチェンジのような見た目だったり、三下のような扱いが多かったが、原点のデザインに回帰した上でキャラが掘り下げられた為、見事に他のボスに負けない個性的なキャラに生まれ変わった。 --終盤、一高校生に過ぎない「ひろし」がヤクザに刺されなければならない理由も明確に描写されている。 -『ダウンタウン熱血物語』同様、倒した敵が台詞と共に消滅すると言う演出もあり、バリエーションも豊か。 --「おかーちゃーん!」「お楽しみ頂けましたか?」などの同作からの台詞の他、「バ・バイクがぁーっ!(バイクに乗った暴走族)」「その腕に抱かれたい!(スケ番)」など、本作に登場する敵キャラのタイプを活かした台詞も多数。ドスを持ったヤクザに至ってはまともなものなら「こ・こんなガキにーっ!」などだが、中には「''スリル味わえました?''」「''命は大切に!''」と言ったものも。%%アンタらが言うな!%% --ストーリーモードのみならず、ミッションモード限定のキャラにも台詞が用意されている。ダウンタウンシリーズなどからのゲストキャラや、「ひろし」「みさこ」など本編では一切戦わないキャラにまで個別のやられ台詞がある(しかもミッション毎に違ったりもする)。 -BGMは『ダウンタウン熱血物語』、『熱血硬派くにおくん(FC)』等からチョイスされ、元の曲のイメージを潰さない正統派なアレンジが施されており、良質。 -ゲームセンターのポスターに過去作のパッケージ絵が描かれていたりと、シリーズファンがニヤリとできる小ネタもある。 **問題点(すぺしゃる) -ストーリーモード --メインモードである「ストーリーモード」がボリューム不足。アーケード版が僅か4ステージしか無く、それを掘り下げた本作の各章もさほど長くない為、初プレイでも2~3時間で終わってしまうほど短い。 ---周回プレイも可能だが、敵が強くなったり新しいイベントが増えたりする事はないので繰り返しのプレイにも向かない。精々、クエストや必殺技のコンプリートを目指す程度だが、それも二、三周もすれば十分。 --商店街の数も2個と『ダウンタウン熱血物語』の半分しかない上に店の数も少ないので買い物の楽しみが少ない。 --雑魚敵も同じ顔のキャラばかりが出てくるので個性が薄い。顔だけではなくキャラも少ないようで倒された雑魚が次の瞬間に復活しているといった事がよく起こる。 ---ミッションモードでは雑魚敵の見た目も名前も、ストーリーモードより遥かに種類が豊富。データとしてはしっかり収録されている事が分かる。何故これがストーリーモードに活かされていないのか。 --ストーリーモードにはシリーズに登場するお馴染みのキャラが出てきたりするのだが、''話に絡む前にストーリーが終わってしまう''ので単なる顔見せになっている事が多い。 ---例えば「こうじ」は本当に顔見せだけで終わってしまっている。「みすず」も後述のように扱いが雑。 ---「みさこ」はヒロインだけあってそれなりに登場するのだが、初対面時に「くにお」と険悪な雰囲気だったのがいつの間にか仲良くなっていたりと、描写が不足気味。 --また、ボツ要素と思わしき情報をしゃべるキャラも居る。「てっくばーがーが美味しいんだって」という情報はあっても、「てっくばーがー」には''入れない''。学校のどこかにある「謎の科学部」も''本当に謎のまま''終わってしまう。 --武器を別のマップに持ち越せなくなっており、「まっはたたき」の価値が急落。 --パラメーターアップの方法が『ダウンタウン熱血物語』準拠の買い物に加え、敵を倒した事によるレベルアップでも上がる為に非常に上がりやすく、すぐにカンストしてしまうのもゲームの寿命を縮めている。 ---『時代劇』と同様に「うたれづよさ」がカンストするとあらゆるダメージが1になるので「ドスや銃弾を受けてもダメージ1」という状態になり、緊迫感が削がれる。ドスや銃弾は「うたれづよさ」が高くないと即死級のダメージであり、終盤のドスを持ったヤクザの群れとの戦いはアクションが苦手な人には厳しい為、救済措置とも考えられるが。 ---この辺りは過去作のバランスをそのまま持ってきてしまったが為の弊害とも言える。この反省からか、次回作以降では買い物によるパラメーターアップは高価なもののみ行われるようになった。 -バトルロイヤル --Wi-Fi非対応なのでローカルで対戦相手を探さなくてはならない。また、CPUもそれほど強くないのでシングルプレイの場合、非常に飽きが早いモードになってしまっている。 --バランスもかなり大味であり、「ごうだ」の「頭突き(キック)」を4発あてただけでKOになる等、完成度が高いとはいえない。 -ミッション --様々なミッションがあるが「くにお」でしかプレイ出来ない。このモードではステータスと必殺技も共に固定なので~ 「バトルロイヤル」の練習の意味も兼ねて「くにお」以外のキャラでも挑戦できるものがあれば楽しみの幅も広がったと思われる。 --「バトルロイヤル」キャラ解禁ミッションは総じて難易度が高いが、クリア報酬はあくまで解禁なので、使用したければ改めて膨大な量のポイントを稼がなければならない。 ---このため、「バトルロイヤル」を色々なキャラで楽しむにはかなりの時間がかかる仕様となっている。 -タイマンバトル --「啖呵コメント」はどうにも使い所に困る妙な言葉ばかりが用意されており、シリーズの名台詞はおろか「なめんなよ このやろう」「ざけんじゃねぇ」といった原作ボスの啖呵すら再現できず、自由度が低い。~ 人を不快にさせない配慮と思われるが、そもそも「''てめぇ''」「''ぶっつぶす''」「''ぶちこわして''」「''コラアァァ!!''」といった言葉が用意されているわけで…。~ 明らかに公序良俗に反するようなセリフならばもちろんNGだが、もともとが不良同士のケンカをテーマにしているだけに、このゲームをわざわざプレイしている人にとってはそこまで神経質になる必要のない要素でもあるはず。 --「すれ違い」の人口の過疎化や、そもそもやった所で勝敗のポイントが増えるだけで旨味がなくとってつけた感が強い。 -致命的なバグ --メインメニューから「CARD BATTLE(タイマンバトル)」を選択しタイマンカード作成画面に入った後に、画面下部に表示される「タイマンカードを作成します」をタッチしてしまうと''確実にフリーズする''。~ こうなると電源を切る以外になくなってしまい、それまでにセーブしておかなかったデータが失われてしまう。 ---この件に関しては、パッケージ内に注意書きの紙が同封されたのだが、公式サイトではこのバグに関して''一切告知されていない。''~ 修正する時間がなかったという事情は察せられるものの、注意書きの紙の同封だけで済まさず公式で告知するくらいはするべきだろう。 ---現状(2015年12月)のダウンロード配信版では修正されているのかタッチしても問題はない模様。 -細かいバグ --「たいりょく」の最大値が255の状態でレベルアップするとオーバーフローを起こして現体力が0になるといった初歩的なバグが存在する。 --バイクチェイスシーンの後に異様に体力が低い状態で次のシーンが始まるといった不可解な減少も多い --グロッキー状態の敵には様々な攻撃が空振るため、今までのシリーズでは攻撃のチャンスだったがまったくの逆の状態になってしまっている。 ---このグロッキー状態の敵に行える「襟つかみ膝蹴り」も空振ることが多く、一定のタイミングで押さなければ使いづらい。 -システムの不備 --「装備品の装備箇所」等は明記されず、必殺技の出し方がマニュアルに一切書かれていない。従来の技なら予測はつくものの、新技である「きゅうこうかぱんち(2段ジャンプ後にパンチ)」等も同様なので手探りの状態となる。 ---技の説明は「ギャラリーモード」の「人物」を見ることでキャラの紹介とともに紹介されているが、気づき難い。 --アイテムリストは仕様アイテムと換金アイテムと必殺技アイテムがごっちゃまぜになっており、見づらい -パッケージ --『ダウンタウンシリーズ』のキャラも多数が描かれているが、いずれもおまけモードである「ミッションモード」「バトルロイヤル」での登場である。ストーリーに登場するかも?と期待をかけると肩透かしを食らうハメになる(一応、ミニゲームや背景キャラとして出演しているが…)。 --パッケージに描かれているキャラでストーリーに登場するのは「くにお」「りき」「みさこ」「みすず」「さぶ」の五人だけ。残りは全員おまけのゲストキャラである。これでは人によってはパッケージ詐欺とも捉えられかねない。 --次回作『乱闘協奏曲』でもやはり本編には絡まないダウンタウンキャラが描かれているが、本作に比べると控えめになっている。%%「しんじ」もやっと載れた。%% **賛否両論点(すぺしゃる) -お馴染みのキャラの描写について --それまでのシリーズではどちらかと言えば「くにお」は無口系主人公タイプであり、他のキャラクター達が代わりに話を進める事が多かったのだが、「ストーリーモード」では「くにお」がかなりの割合で喋るようになっている。 ---但し、『初代熱血硬派くにおくん』や『くにおたちの挽歌』といった「くにお」が喋る作品もそれなりにあり、無口キャラになっている作品でも全く喋らないと言う訳ではない((例えば『ダウンタウン熱血物語』でも、プロローグや「まみ」救出時に台詞がある。))。 ---しかし本作の場合、セリフの内容が「クサい」と感じられるものが多い。「熱血硬派」らしくはあるが、従来のシリーズではあまり聞かないような台詞が多く、シリーズファンにとっては違和感に感じられやすい。 --「ひろし」の性格もそれまでのシリーズとは違うが、''これはいつもの事''なのであまり問題ではない。((「ひろし」は本作同様にいじめられっ子だったり(初代)、妙に強気だったり(サッカー編)、くにおの舎弟になっていたり(くにおたちの挽歌)と登場する度に立場や性格がコロコロ変わっている)) --また、ストーリーを通して徹底した悪役がいない。設定が変更された「しんじ」はともかく、ラスボスの「さぶ」もラストバトル直前まではひたすら極悪人として描かれた割には、最後は改心した様子を見せ、和解して終わる。 -ストーリーモードでの「みすず」の扱い --「歌舞伎町で''プリクラ''をとっていただけなのに一方的に「くにお」に笑われ逆上して襲い掛かった挙句、''謝罪されずにボコられる''」という酷い扱いを受けている。その後、ストーリーにも絡まないので浮いてしまっている。 --正義のツッパリであるはずのくにおが人を嘲笑った挙句に悪びれもせず殴るなどという描写自体が頂けない。しかも「ひろし」をその場に置き去りにし((哀れにもそのまま「みすず」の襟首掴みビンタの餌食に…。))、「いい加減にしな!みすず姐さんに失礼だろ!」と窘めたスケ番を無視して笑い続けると言う、「熱血硬派」が聞いて呆れるような有様である。 //「プリクラ」の存在もゲームの時代背景的に不自然。((アーケード版は1986年稼働で、その後のシリーズも1994年までに収まっており、プリクラが稼働し始めた年代(1995)とは微妙にズレている)) //↑そもそも本作はその年代と言う設定なのだろうか? --ただ、「くにおを超えるデカ女」「怪物呼ばわりされるとキレる」といった「みすず」のイメージそのものは守られており、そのキャラを強調しようとしたフシが見られる((ケンカ「後」にみすずから謝罪をうけたひろしが「デカいですね」といってキレさせるシーンもある))。しかし、肝心の表現の仕方がマズく、流れ的にも無理やりな感じは否めないだろう。 --批判があったのか、以降の作品ではみすずがこのような扱いを受けることはなくなっていった。『りき伝説』ではチョイ役だが、逃げようとした敵幹部を捕まえてボコボコにするという活躍を見せ、次回作『乱闘協奏曲』では「りき」「しんじ」と共にくにおの相棒となっている。 **総評(すぺしゃる) 操作感、及びストーリーは「昔に遊んだくにおくん」をよく再現できており、シリーズのファンがニヤリと出来るポイントが随所に散りばめられている。 しかし、肝心のメインモードのボリューム不足が響いてしまった。また、その他モードもモード間の結びつきが弱くてどこか散漫な印象が強く、~ 上述の致命的なバグの存在も含め、「25周年に発売を間に合わせようとして作りこみ足りなかった」という印象が否めないのが惜しいところである。 現在ではダウンロード版も値下がりしており、購入のハードルは下がっている。「くにおくん」の入門編としては丁度いい作品だろう。 **余談 -後に本作の「ストーリーモード」のシステムを使用して『[[りき伝説]]』が配信された。本作のいくつかの不満点が解消されている他、ストーリーにもつながりがある。 --更に後に本作の直接の続編である『[[熱血硬派くにおくんSP 乱闘協奏曲]]』が発売された。熱血硬派シリーズとしては『くにおたちの挽歌』以来久しぶりの完全新作である。 -「ギャラリーモード」の「豪田剛(ごうだ つよし)」の紹介で、「フルネームは ''ごうだ たけし''」と誤植している。それじゃ''[[某ガキ大将>ドラえもんシリーズ]]だろ''。

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