E.D.F.
【いーでぃーえふ】
ジャンル
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シューティング
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対応機種
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アーケード
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発売・開発元
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ジャレコ
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稼働開始日
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1991年
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判定
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なし
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ポイント
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地味でマイナー
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ストーリー
西暦20XX年、世界は国家や人種の壁を越え、地球統合の実現を目前に控えていた。
統合条約締結の為、ワシントンD.C.にて最終会合を開いていた各国の首脳陣に対し、「アギーマ帝国」を名乗る謎の組織から、一つの声明文が届けられる。
その声明には「24時間後に全世界の原子力発電所に衛星軌道上からビーム攻撃を実行する」という地球壊滅計画が予告されていた。
これを受け、会合の目的は条約締結から、アギーマ帝国を迎え撃つための対策本部へと移り変わる。
時を同じくとして、地球統合準備部隊の手によって、統合後の主力戦闘兵器となる特殊機動戦闘機XA-1の開発が完了。
オービットブースターを使用する事によって、単独での大気圏離脱をも可能であり、各種武装の他、最新鋭の非接触型攻撃オプションを装備したXA-1の戦闘力に着目した対策本部は、地球防衛軍(EARTH DEFENSE FORCE)としてXA-1の出動を要請した。
XA-1の出撃準備が急がれる中、衛星からの攻撃に先立ち、アギーマ帝国の飛行型機動兵器による攻撃が開始される…。
概要(AC)
ジャレコ制作販売の横STG。ジャレコは多くのシューティングゲームを販売しているが、うち殆どの開発はNMKで、自社開発STGは割りと珍しい。
タイトルの「E.D.F.」は「EARTH DEFENSE FORCE」(地球防衛軍)の略である。
後年にD3パブリッシャーから発売された『地球防衛軍』シリーズも「EDF」の略称を使っており、現在ではあちらの方が有名になっているが、メーカーはおろかジャンルも内容も違うので混同しないよう注意されたし。
システム
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本作は1レバー2ボタン、ライフ制と、非常にベーシックな横シューティングシステムを取っている。
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特異な点として、ステージ開始時に自機の武器を任意に選択するシステムが上げられる。
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他にオプションのフォーメーションを切り替える事ができる。敵を自動的にサーチしたり、自機に張り付いて単純に火力を強化する物等4種類。オプション切り替えに制限は無い。
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パワーアップシステムはレベル制を採用。スコア=経験値となっており、敵を撃破していき、一定のスコアに達するとレベルアップ。最大5レベルまでレベルが上昇。画面下には現在のレベルとレベルアップまでの目安となるゲージが表示されている。
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ショット方式はボタンを押すと一定量の弾を発射するセミオート制を採用。
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コンティニューはその場復活を採用。
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ライフ回復はレベル3とレベル5に達した時、レベル5以降は経験値ゲージがフルに達する毎に回復する。
評価点(AC)
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グラフィックが綺麗。背景も美しく、2面が大変芸術的である。
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多和田吏氏によるBGMは概ね良好。
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1面の曲『FIRST ENCOUNTER』は1988年にジャレコが発売したファミコンディスクシステム用縦STG『ビッグチャレンジ!ドッグファイトスピリット』の1面の曲をアレンジしたものだが、疾走感のある背景とマッチした選曲の為か人気が高い。
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2面の『MIDNIGHT INTERCEPT』は夜間都市上空で繰り広げられる戦いを彩る。ステージ途中で背後からいきなり現れる巨大戦艦も相まって、印象に残りやすい。
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4面の『NAVAL BATTLE』は海上での空中戦。激しい曲調ではないものの、ここから攻撃も厳しくなり、静かに戦いを盛り上げる曲。
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最終面の『ARMED SATELLITE』は成層圏から始まり、最初に曲が切り替わるタイミングで大気圏を離脱する演出は見事。ラストバトルに相応しい曲と言える。
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独特のシステム
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本作はSTGとしては珍しく経験値制によるレベルアップで自機が強化されていくシステムを取っているためか、道中では一切アイテムが出現しない。
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敵が一切アイテムを落とさない仕様の為、STG全般における事項である「苦手なアイテムを誤って取得してしまいパターンが崩れてしまう」というありがちなミステイクが起きにくいのはよいところ。
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あまりネタにされることはないが、ボスは4面のAB-1(名前の通り見たまんまエビの形をしている)が評判である。
問題点(AC)
全体的に地味な作風
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上記のようにBGMは評価が高いが、一部はシューティングゲームらしからぬ地味めな曲があって微妙。
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特に3面の洞窟ステージと5面の敵要塞ステージの2つは両者ともかなり暗く重い雰囲気で、本作の「地味」という評価を至らしめている一因ではある。
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5面は3面に比べてまだマシな方だが、シューティングゲームらしさは薄いと言わざるを得ない。
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一部からは、『サンダークロス』と間違われることがある。自機や背景などは確かに似ているが……。
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世界観はバリバリのSF。メタリックな敵が大量に出現するのだが、それだけに凡百のSTG作品の中に埋もれてしまい、印象は薄い。
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ゲームバランスは極普通の覚えゲー。自機の当たり判定がやや大きいのだが、的確にフォーメーションを切り替え、回避行動をとることで難なく進攻する事ができる。
その他の問題点
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装備のバランスも微妙。
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装備のうちバルカンは攻撃範囲が広い上、連射性能も良く密着で撃ち込んだ際の威力も高いため、オプション方式の仕様問わず使いやすい。最大レベル限定だがアトミックもサーチ型オプションと非常に相性が良く、最大レベルになった以降のステージではオプションを発動させた後は敵の攻撃をひたすら避け続けるだけ…という、作業気味なプレーになる。基本的にこの2つだけでクリアが成り立ってしまう。
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一方、残りのレーザーとホーミングについてはそれぞれ一長一短で癖が強く使われづらい。前者は貫通力重視という事から耐久力の低い雑魚を一掃しやすいものの、弾切れしやすい上に近距離で撃ち込んだ際のダメージ効率もバルカンやホーミングに劣る。後者はボスキャラや中型機といった耐久力の高い敵に対してのダメージが高めな一点集中型なのだが、その反面、画面内に出せる弾の量が少ない上、発射速度や弾速が遅いため、敵を撃ち漏らしやすく、耐久力の低い雑魚編隊との戦いに対して不利になりがち。どちらも今作のゲームシステム(後述)と上手く噛み合っておらず、正直言って別のゲームの方が活躍できるレベル。
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レベルアップ時に自機が強制停止。
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経験値を貯めてレベルが上昇するとパワーアップするのだが、何故かその際に自機が強制停止する為、ゲームテンポが妨げられてしまう。
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一応、レベルアップ時の停止中には自機が無敵化するのだが、それでも気になるプレイヤーは気になる点ではある。
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レベル5(MAX)以降に経験値ゲージを最大まで貯めるとライフが回復するのみとなる為か、後半戦以降はテンポを気にせずにゲームを進める事が出来るが、せめて前半戦でもテンポ良く進ませて欲しかった。
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評判が悪かったのか、SFC版ではレベルアップ時の強制停止は廃止された。
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ステージ中に武器を自由に切り替えられない。
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というのも、本作はステージ開始の際に武器を選択して出撃するという特異なシステムを採用している為。
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特に1コインクリアを目指してゲームを進めている場合は、ステージ開始前に上述の使いづらい武器をついうっかり装備してしまうとゲーム進行に支障が出てしまう。
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処理落ち時にBGMがスローテンポになる事がある。
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アーケードゲームにおいて、処理落ちが発生する点については当たり前の事なのだが、今作で処理落ちが発生した場合はBGMも合わせてもっさりなテンポになってしまう事がある。特にアトミックで進行していた場合は遭遇しやすい。
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今作のBGMは疾走感も評価されているのだが、処理落ち中にこの現象に発生した場合は違和感を感じる事がある。
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一方で地味な楽曲群も雰囲気自体は評価されているのだが、処理落ちの際には間抜けな印象になってしまう事も。
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敵編隊を全滅させても編隊ボーナスが入らない事がある。
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これに関しては様々な原因がある模様だが、高得点の編隊ボーナスが入らないとスコアアタックのみならずレベルアップにも大きく影響する為、非常に厄介である。
総評(AC)
身も蓋もないことを言ってしまえば、本作には特筆して語るべきところはない。
BGMもグラフィックも敵デザインも良いには良いのだが、飛びぬけて印象的と言う訳ではない。
ゲーム性の面で言えばつまらないわけではなく丁寧に作られており、面白い事は面白いのだが、相当な覚えゲーで人を選んでしまうため、良作かと問われれば決してそうとは言えない。
同年に『XEXEX』や『ストリートファイターII』と言ったシステム・グラフィック共にインパクトの強いゲームが出ていたため、そちらの影に隠れてしまい、印象が極めて薄いゲームのままに終わってしまった。
家庭用移植
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スーパーファミコン版(『スーパーE.D.F.』)
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アレンジ移植で移植版としては一番乗り。詳細は下記を参照。
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iOS版(2011年1月14日配信開始、DotEmu)
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初のアーケード版の完全移植。追加要素としてオンラインランキングとステージセレクト機能が実装された。現在は配信終了しているため購入不可。
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Switch/PS4版(2020年9月17日配信開始、ハムスター)
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アーケードアーカイブスシリーズとして配信。アーケード版の完全移植。
余談(AC)
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二面後半に出てくる巨大戦艦の外壁部やラスボスの下半身部分に「王」のマークが描かれているが、これは同社の『プラスアルファ』、『妖精物語ロッドランド』、『ソルダム』などに登場したセキーロ・パパのマークと同一の物。関連性は不明。
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時折本作がジャレコのACシステム基板である「メガシステム1」を使用しているという記載が見られるが、日本国内で実際に稼働した基板は「メガシステム1と同性能のオリジナル基板」であることが判明している。
スーパーE.D.F.
【すーぱーいーでぃーえふ】
ジャンル
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シューティング
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高解像度で見る 裏を見る
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対応機種
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スーパーファミコン
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メディア
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8MbitROMカートリッジ
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発売・開発元
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ジャレコ
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発売日
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1991年10月25日
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価格
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8,700円
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配信
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バーチャルコンソール 【Wii】2011年1月11日/800Wiiポイント(税5%込) 【WiiU】2015年8月26日/823円(税8%込)
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判定
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なし
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概要(SFC)
SFCでの変更点・評価点
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ACのショットはセミオートが標準設定だったが、SFC移植に伴いオート連射で固定される様になった。
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装備の追加及びバランス調整
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選択できる武器が4つ追加され計8種類になった。
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新たに追加された武装は「エクスプロード」「サーチレーザー」「フォトン」「グレネード」の4種類。癖こそ強いものの、いずれも強力でプレイヤーの助けになるだろう。
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AC版から続投した装備のうち「ホーミング」は発射速度上昇した事で性能が改善され使いやすい装備に変わった。
一方、他の続投装備はホーミングや新装備の強力さから、本作ではやや影が薄くなったと言える。
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コンティニューはステージの最初からやり直しになる、いわば「戻り復活」を採用。
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ノーダメージボーナスの追加
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SFCへの移植に伴い一切攻撃を食らわずにボスを撃破すると、リザルト画面にてノーダメージボーナスとして高得点を得る事が出来る様になった。加えて、経験値も追加で獲得出来る。
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ノーダメージボーナスの有無によって自機の成長スピードが左右される為か、本作は「いかに前半ステージを無傷でクリアできるか」というアーケード版には無かった戦略性も生まれる事に。
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一部ステージやBGMの差し替え。
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ステージは前半2ステージこそAC版と同様だが、以降のステージはSFCへの移植に伴い変更が行われている。
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3面…ACにおける3面(洞窟)及び4面に相当するステージだが、地底湖ステージに統合された。BGM、ボス共にACの4面の流用。
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4、5面…ACの5面は敵の要塞が舞台だったが、SFCでは2ステージ続けて宙域が舞台。4面後半で背景のコロニーが破壊される演出が光る。5面は破壊されたコロニーの残骸をバックに敵のいる月へ向かう。BGMはオリジナル。
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6面…ACにおける6面に相当するステージ。ACの前半に当たる宙域が4、5面に変更された為か、入れ替わりでACの5面の背景がステージ前半部分に登場。中ボスは新規だが、ACのラスボスを撃破すると……
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BGMに関しては、新曲が複数追加された。4曲ともオリジナルであり評価も高い。
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曲が入ったCDやサントラ等も存在する。Google playやAmazon musicでは700~1000円程で売っているので欲しい人は是非。
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各種ステージに登場する敵キャラの多くはSFCへの移植に伴いオリジナルの物に差し替えられた。
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評判が悪かった自機のレベルアップ時の強制停止は廃止され、前半ステージからテンポ良くゲームを進める事が出来る様になった。また、編隊ボーナスが入らないバグも修正されている。
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強力な裏技の存在
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本作は自機のシールド数やクレジット数を増やせたり無敵状態にさせたりと裏技自体も強力な物が揃っている。
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ただ、例によって裏技を使った途端にヌルゲー気味になるので、利用は計画的に。
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無敵コマンドのやり方は、ABXYLR↑↓←→である。ただし、三回の使用制限あり。
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シールド数、クレジット数の増やし方は、ネームエントリー画面で「DRAGONSV」と入力することである。
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レベルアップ寸前まで一瞬で経験値を溜める裏技もある。2PコンでLR↓同時押しで可能。
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これらの裏技は全てクリアしたい時にのみ使うことを推奨する。
問題点(SFC)
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やはり地味な作風。
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SFCシューティングとしては無難に遊べるゲームなのだが、地味さ加減もアーケード譲りであり、いまいち目立たない存在になってしまった感は否めない。
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アーケード版の演出などが一部カットされている。
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1面中ボスがレーザーを撃たない、2面道中に現れる巨大戦艦のカットなど。ハードや容量の都合上、仕方ないと言えば仕方ないが…。
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ステージが妙に長く冗長。
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地形の類もなく基本的に敵を撃つだけの作りと地味な作風もあって目に付きやすい。おそらく前述のカット要素なども原因なのだろうが。
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ステージクリア画面の仕様変更。
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AC版のステージクリア画面では、ボーナス点の精算と装備選択が同時に行われていたが、SFC版ではボーナス画面と装備選択がそれぞれ別の画面で行われる仕様に変更された為かステージ間のテンポが微妙な所ではあるが悪化してはいる。
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コンティニュー方式の変更について。
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AC版ではコンティニューにその場復活を採用していた為か、大量にコインを積めばEDまで必ず到達できる仕様になっていたのだが、SFC版はコンティニューすると必ずステージ冒頭に戻されてしまう事から、連コインによるごり押しが通用しなくなったのは否めない。
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加えて、コンティニューも通常では3回までしか出来ない仕様でもあるので、これに伴い覚えゲー色も強化されている。
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とはいえ、コンティニューすると武器選択画面が挿入される他、ステージ内で貯めた経験値もコンティニュー時に継承されるので、ある程度強化された状態で仕切り直しが出来るのは喜ばしい事である。
総評(SFC)
アーケードで地味だったSTGがSFCに移植されても地味さを払底できなかった事は否めない。
とはいえ、今ならバーチャルコンソール等のレトロゲーム配信サービスでダウンロードが出来るので、横スクロールSTGを手軽に遊びたいのなら手に取ってみるべきか。
余談(SFC)
Switchの『スーパーファミコン Nintendo Switch Online』において、2019年9月6日の配信開始と同時に収録された1本にラインナップされている。
2024年4月12日に『スーパーR-TYPE』が配信されるまで、ラインナップの中では唯一のSFC横STGであった。
最終更新:2025年03月25日 11:40