本稿では、オリジナルのアーケード版及びそのファミコン移植版を併せて解説する。
【ねっけつこうはくにおくん】
ジャンル | アクション |
![]() |
対応機種 | アーケード | |
販売元 | タイトー | |
開発元 | テクノスジャパン | |
稼働開始日 | 1986年5月 | |
配信 |
バーチャルコンソール 【Wii】2012年3月6日/823Wiiポイント(税8%込) アーケードアーカイブス 【PS4】2014年7月24日/838円(税10%込) 【Switch】2018年6月28日/838円(税10%込) |
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判定 | 良作 | |
くにおくんシリーズ |
なぜか色々な悪人たちに絡まれる難儀な友人「ひろし」の敵討ちのために、熱血高校の番長「くにお」が戦うアクションゲーム。
後に同社が出した『ダブルドラゴン』、カプコンの『ファイナルファイト』などに代表される「ベルトスクロールアクション」の始祖となったゲームである。
本作自体はある程度左右に幅のある固定画面方式で、横スクロールアクションの要素はないが、集団を相手に格闘を駆使して立ち回るという基礎的な部分は既に確立されている。
最初に前座のザコと戦い、人数が一定以下になると乱入してくるボスを倒せばクリアとなる。
ボスを倒すと残ったザコは逃げていくが、敵が画面内から全ていなくなる前に時間切れになるとアウトとなってしまう。
また、1面と2面のみリングアウトの概念があり、耐久値分の攻撃を当てなくても画面端に敵を突き落とせば倒した事になる。くにお自身が落下しても体力の有無に関わらず問答無用で即死となる。
+ | 各面の詳細 |
ボタンが3つあってやや操作が複雑なのと、立ち回りに工夫がいるのとで慣れが必要だが、思い通りに敵を捌けるようになるとスイスイ進めるだろう。
生身の人間同士が拳で殴りあって喧嘩する醍醐味をゲームに落とし込んで再現しつつ、80年代のツッパリ文化という独特な世界観をまぶした、まさに80年代ならではのノリとテイストに溢れる個性豊かな1作。
ボリュームがやや薄いのが残念なところであるが、本作が後のベルトスクロールアクションの原型となったことを鑑みるに、ゲーム史における1つの大きなターニングポイントとなった作品であるのは間違いないだろう。
その後「くにおくん」シリーズはテクノスジャパンを代表する人気シリーズとなる。
しかし「くにお」自身は喧嘩よりも専ら様々なスポーツにいそしむことになり、ドッジボール部の活動やダウンタウンの抗争を経て「熱血硬派の不良」と言うより「ハチャメチャなスポーツマン」というイメージが定着していった。
その理由は岸本によると、本作で大方の強敵に勝利してしまった為、喧嘩の相手がいなくなったからであるとの事。
これにより、くにおくんシリーズは本作の流れを汲む硬派な喧嘩アクション「熱血硬派シリーズ」、ドッジボールを始めとする様々なスポーツにいそしむ「スポーツシリーズ」、個性的でハチャメチャな学生達を描く「ダウンタウンシリーズ」に分岐していく事になる。
【ねっけつこうはくにおくん】
ジャンル | アクション | ![]() |
対応機種 | ファミリーコンピュータ | |
販売・開発元 | テクノスジャパン | |
発売日 | 1987年4月17日 | |
定価 | 5,300円 | |
配信 |
バーチャルコンソール 【Wii】2008年3月18日/514Wiiポイント(税8%込) 【3DS】2013年4月3日/524円(税10%込) 【WiiU】2014年1月15日/524円(税10%込) |
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判定 | 良作 | |
ポイント | さらにぶっとんだ展開 | |
くにおくんシリーズ |
ファミコンに移植された「熱血硬派くにおくん」。
アーケードとファミコンのスペックの差を考慮し、様々な追加要素が施されたアレンジ移植となっている。
熱血高校に通うヒロシは、いつもみんなにいじめられていた。
そんなある日、一人の男が転校してきた。
彼の名はくにお!!生まれながらの熱血硬派である。
見た目はこわいが、弱い者いじめが大キライな心やさしい男である。
いつのまにか二人は、親友となっていくのであった。
ところが、ある日ヒロシが何者かに誘拐されてしまったのだ。
くにおは、ヒロシを救いだすためたちあがった。
(FC版説明書より引用)
+ | 各面の変更点 |
アーケードとファミコンのスペックの差ゆえに完全移植は無理だったもののアーケード版の雰囲気を残しつつ、様々な追加要素で劣化部分を補っている。
ステージ後半の迷路要素などに若干の難はあるが、操作性、ゲーム性の両面で原作を著しく損ねてしまった部分もなく、ハードにあわせて程よいアレンジの効いた良移植といって差し支えないだろう。
特に今作でパワーアップしたぶっとんだノリは今後もシリーズの定番として受け継がれていく事になる。
*1 後のシリーズでは「ブルーエンペラー」に改名している
*2 後のシリーズでは総長
*3 一応女性なのだが、倒した時は何故か男声でダウンする。この仕様は後の作品である『くにおたちの挽歌』でも再現されている。
*4 後年のドラマ版、舞台版のどちらでも演じているのはやはり”男性”。因みに舞台版で演じてるのはあの芸人のデッカチャンである。
*5 彼曰く、集団で悪さをする族は嫌いだったので、たまにそれらを苛めていたとか…。
*6 80年代に活動したロックバンド。「暴走族」「ツッパリ」などの80年代当時の若者風俗の風潮に乗って大ブレイクした。
*7 小学館から出版されたSFC用ソフト『初代熱血硬派くにおくん』攻略本のインタビュー記事による。
*8 元の意味は「反教者」という意味だが、転じてスラングとしては「反逆者」「ならず者」「アウトロー」といった意味でも使われる
*9 海外版ではステージ開始前のデモが削除されている。
*10 髪型は2面ボスのしんじが近いが、こっちは水色の襟付き服を着ている。
*11 元々は『熱血高校ドッジボール部 サッカー編』のキャラだが、その後のシリーズでもちょくちょく登場し、『すぺしゃる』では本編のキャラとして追加。以降は熱血硬派シリーズのヒロイン的存在となっている。
*12 『新・熱血硬派くにおたちの挽歌』で初登場した、熱血硬派シリーズにおける「りき」の恋人。