「シャリーのアトリエ ~黄昏の海の錬金術士~」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら

シャリーのアトリエ ~黄昏の海の錬金術士~ - (2020/04/17 (金) 20:18:34) の1つ前との変更点

追加された行は緑色になります。

削除された行は赤色になります。

ここでは『シャリーのアトリエ ~黄昏の海の錬金術士~』(PS3)とそのリメイク版である『シャリーのアトリエPlus ~黄昏の海の錬金術士~』(PSV)について述べる。いずれも判定は「なし」。 ---- #contents() ---- *シャリーのアトリエ ~黄昏の海の錬金術士~ 【しゃりーのあとりえ たそがれのうみのれんきんじゅつし】 |ジャンル|旧約錬金術RPG|&amazon(B00J88WC7Y);| |対応機種|プレイステーション3|~| |メディア|BD-ROM 1枚|~| |発売・開発元|ガスト(コーエーテクモゲームス)|~| |発売日|2014年7月17日|~| |定価|通常版:6,800円&br;ダウンロード版:6,000円&br;プレミアムボックス:9,800円(全て税別)|~| |プレイ人数|1人|~| |レーティング|CERO:B(12歳以上対象)|~| |判定|なし|~| |ポイント|日数制限完全廃止による波紋&br;練りこみ不足でぶつ切りのシナリオ|~| |>|>|CENTER:''[[アトリエシリーズリンク>アトリエシリーズ]]''| **概要 -『アトリエシリーズ』のシリーズ内シリーズ『黄昏シリーズ』の3作目にあたる作品。岡村ディレクター曰く黄昏シリーズとしては一区切りとのこと。 -時系列は前作の延長戦終了から2年後。~ 「黄昏」で水が枯れていく大地に取り残された小さな村、ルギオンの期待と責任を背負った少女シャリステラと大地が荒廃していく中、なお水を湛えるオアシスの街ステラードに暮らす元気だけが取り柄の少女シャルロッテを主人公に据えて物語が動き出す。 **本作の特徴 //従来のアトリエシリーズでは、主人公は大まかな目標を抱えながらも周りの人物たちとともにファンタジックな世界でスローライフを送るという内容が主だった。~ //イベントフラグは仲間キャラの主人公キャラへの好感度、日数や時間の経過に管理されており、ニューゲームを繰り返すことでさまざまなイベントを見ることが可能になるというやりこみ要素があった。 -日数廃止・ライフタスク --アトリエシリーズ初の章によるシナリオ構成をしており、時間経過ではなく章の大きな目的をすべて達成することでストーリーが進められる。 --過去作にあった日数制限が廃止された。シナリオは章別時間の概念もゲームからは基本的に消失し、シナリオ上の関連で舞台が夜になることはあるが、基本的にプレイ中は街中を移動しようが採取地を変えようが昼間のまま。 --新しい目標システム「ライフタスク」が登場。シナリオの進行にかかわるメインタスクとサブタスクに分かれており、タスクに指定されている課題をクリアすることで「やる気(後述)」というパラメータが上昇する。 --章の冒頭はメインタスクとして必須のイベントをこなすことになり、一段落つくと行動達成期間と呼ばれる自由行動時間に入る。左上にある主人公の顔アイコンで目的の達成度合いがわかる。 -やる気 --「やる気」が高いほど歩行速度が増し、採取できるアイテムの質や量も良くなる。 --時間経過で減少し、サブタスクをこなすことで上昇していく。 --採取地の踏破もサブタスクのうちに含まれることが殆どであり、踏破によってさらに奥の採取地が解放されることもある。 --シナリオとは無関係だが、ライフタスクをクリアすることでボーナスの経験値を入手できこれによって大幅にキャラを強化できることも。 -探索・採集 --本作ではマップを移動しても日数や時間が経過しない。 --前作にあった採集ゲージを使った、分担・強敵遭遇などのシステムは続投。 ---確率で強いモンスターがいることもある。 --シャルロッテの場合のみ釣り、シャリステラの場合のみ発掘が可能。 -錬金 --錬金は前作をベースにしているが、新たにChainシステムが追加。 ---材料のアイテムと同じ属性の調合スキルを使用するとChain値が上昇する仕組み。~ 続けて同じ属性の調合スキルを使用するとChainが継続し、より多くのChain値を得られる。~ しかし、アイテムの属性と異なる調合スキルを使用するとChainは途切れてしまう。 ---なお、溜めたChain値は調合スキルにより属性値や効力に変換できる。 -戦闘 --本作からバトルのシステムが大幅に変化した。 -バトルメンバー --戦闘に参加できるのは前衛の3人、後衛にも最大3人控えさせることができる。(合計6人) --前衛と後衛の入れ替えはアシストゲージで管理されている。基本的に前衛が後衛にもどった直後のアシストゲージは0。 ---アシストゲージはターン経過で増加するほか、満タンになっている時のみ交代できる。前衛が敵から攻撃される直前及び前衛の攻撃の後に簡単なコマンド入力することで、それぞれ盾となる形で交代もしくは、ターンを消費せず追撃かつ交代をする。これは戦闘不能のキャラが含まれていても可能。 ---SPは後衛にいることで少しずつ回復していく。 ---アシストゲージは個人管理になりアシストを使えるのは後衛のみに変更など、よりマナケミアシリーズを意識した戦闘となった。 --全滅するとバトルメンバーの体力が1になった後にフィールドから出されるほか、最近に手に入れたアイテムも一部失う。 ---特殊な敵に限り全滅敗北するとGAME OVERになることがある。 -バトルシステムとアイテム --味方の誰か一人でも逃走に成功できれば、戦闘終了可能となる。逃走の成功確率はすばやさに依存する。 --本作では2人の主人公がアイテムを使用できる。物語が中盤に差し掛かれば2人同時に戦闘に出すことも可能に。 --パズル式に積みなおせるようになっている、シャリー2人分で共有な点は注意。 --アイテムは拠点の街であるステラードにもどれば補充が可能で1から作り直す必要はない。 -バーストモード --戦闘は味方側のダメージのボーナスタイムにあたるバーストモードが新たに追加。BURSTゲージが100%を超えると発動し、(敵の技による中断などの例外があるが、)BURSTゲージが0になるまで持続する。バーストモード中はBURSTゲージはターン経過で自動的に減少していく。 --BURSTゲージはバーストモードでない時は、敵にダメージを与えると増加し逆に敵に強襲されると減少する。不意打ちや攻撃アイテムの使用で特に上昇しやすい。またBURSTゲージの100%という基準は味方の連撃で大幅に超過することが可能で、その分長期的にバーストモードが維持されるようになる。 --特定条件でフィールドバーストという追加効果も発動する。~ キャラクターによって、攻撃が全てクリティカル、Chain数に応じて攻撃力上昇などの効果が得られる。 --アシスト攻撃を3回連続で連携させると、強力な攻撃「ヴァリアブルストライク」が発動できるようになった。 ---必殺技はバーストモード中のみ使用可能となった。 --アイテムの使用時、シャリステラは「コピー」、シャルロッテは「ミックス」というスキルが使用可能。 -難易度選択 --本作からの新要素のひとつ。クリアすると更に高難易度を追加できる。Ver1.03以降は更なる高難易度が追加。高難易度ほど敵を倒した時の入手金額やアイテムがよくなる。 --難易度はいつでも変えることが可能。高い難易度ほどアイテムによる補助が必要になってくる。 **評価点 -フィールドの快適性 --『[[テイルズ オブ エクシリア]]』『[[英雄伝説 閃の軌跡]]』等と同様にフィールド画面で視点変更が可能になった。 ---採集できるマップやアイテムの規模はアトリエシリーズにおいて最大級。 ---多彩なフィールドイベントも登場。釣りや掃除などでアイテムを得られることも。 --拠点の街のショートカット移動も健在であり、イベントが起こる区画や依頼に関連するロケーションを細かく表示してくれる。 --ゲージを消費する「手分け」は素材回収の手間を省くのにもってこい。慣れてくると欲しい特性や欲しい素材を多少は狙えるようになる。 -美術面 --左氏デザインのキャラクターや音楽は相変わらず良好。 --音楽は好きなものに変更可能 -錬金システム --最初は説明を読んでもいまいち仕組みが分かりにくいのだが、シナリオや錬金Lvの上昇につれてできることが増えていく。 --全く同じ素材を組み合わせても、錬金の仕方次第で出来が大幅に変化してしまうのでやりがいがある。時間に追われることが基本的にないので、試行錯誤を経て自分なりのやりかたを確立することが可能。 -W主人公制の改善 --前作に引き続きW主人公制が採用されているが、前半のシナリオや使えるスキルが異なるものになり、W主人公を活かしたものになった。 -序盤のシナリオ --全二作と比べて殺伐として困窮している環境におかれているためか、キャラ立ちは黄昏シリーズの中でもしっかりしている。 --具体的にはサンドドラゴンを討伐するまでのシナリオは良く練られている。干ばつに苦しむ街を治めるペリアンと、組合長、シャリステラの村陣営の3すくみによる対立は世界観をきちんと反映したものとなっている。 **賛否両論点 数々の新要素によって従来とはやや毛色が違う部分が多い。便利になった部分ももちろんあるのだが不満の声もまた多い。 -バーストシステム --全体的に敵のHPが高いなど、バーストの使用を前提として作られている側面もあり、バーストを使用しないと戦闘は長引き、逆にバーストに持ち込むとすぐ終わることが多い。 --強敵であっても、キャラの大技やアトリエならではのアイテムを使ってごっそり体力を削り勝利するといった戦術的快感が十分見いだせる。しかし終盤に登場するザコ敵はHPが高いことが多くなり、倒すためにバーストに持ち込む必要が出てくるため、サクサクやりたい人には少し気になるか。 ---もっともこちらに対して明らかに弱い雑魚敵は、フィールド上で先制攻撃を仕掛けることで戦闘せずに経験値とアイテムをくれるシステムもある。 --バーストになると、戦闘背景がどこかの特撮に出てきそうなギャラクシックな雰囲気を醸し出すようになる。戦闘が盛り上がると感じる人もいれば、緊張感がないと難色を示す人もいる。 -ゲームバランス --今作はパッチによってスキルやアイテムの弱体化が行われている。 ---ホムラの「ホム式乱れ剣閃」、シャルロッテの「ミックス」、エリキシル剤(MP回復・超→強)、フライングボード等は弱くし過ぎという声も。 --主人公専用スキルの露骨な格差。 ---シャルロッテの「ミックス」は待機時間400、威力低下なしなのに対し、シャリステラの「コピー」は待機時間800で、ダメージ5~20%減とコピーが弱過ぎるという指摘がある。 --全体的に売値が低下。例えば、序盤に水を汲んで売るといったプレイがやりにくくなっている。 -日数廃止による弊害 --日数経過がなくなったことは「日数を気にせずプレイできる」「日数はあったほうがいい」と賛否両論。 --従来のシステムそのままに日数経過だけをカットしたため、移動、素材の収集、討伐・納品依頼、辺境への買い物など日数経過ならではのシステムがただの作業になっている。 ---例えば素材の収集は従来のシリーズは「素材ポイントを調べるとランダムで素材を入手し時間が経過する」という運と取捨選択のシステムだったが、本作ではエリアを出入りすれば収集ポイントが幾らでもリセットされるため入手し放題になり、飛行船と素材ポイントを反復する作業と化している。 ---討伐や納品は従来は「よく考えて、今の自分が出来そうなものを選ぶ」というシステムだったのが何でも引き受けて、あとは放置なり好きにすればいいというものに。 ---辺境への希少素材の買い出しは長い日数を要するため仕事の期限や時限イベントを配慮してのリスクのある長旅であったが、本作ではただ移動の手間がかかる面倒なだけのものに。 --サブイベントも主人公固有のものを除けば1周でコンプリート出来てしまう。~ただし時間に追われながら常に何をするかの計画を立てたり、何周もプレイしてイベントを見尽くすのが煩わしいプレイヤーにとっては、アトリエ本来の特徴の一つである「ゆるさ」を存分に感じられるつくりでもある。 --会話イベントをこなすには結局日数を進めなければならず、それをこなしたらいつの間にかタスク完了していたこともある。気づかないうちにどんどんサブのライフタスクを達成していく様は、人によっては爽快にも映るし物足りなくも感じられる。 --次章進行の際のメッセージも条件を満たすとアトリエに入るたびに起こるようになるので、煩わしいという意見もある。 -エンディングの数も過去作より少なくなっている。 --各主人公に2つ、トゥルーエンドが1つとかなり少ない。好感度によるキャラ別EDは無くなり、EDに追加シーンがあるのみ。それも道端で該当キャラを見かける、といったもので主人公との絆を感じさせる内容ではない。 **問題点 -中盤以降のシナリオは評価が低い --これは日数制限を廃止しただけでなく、従来作とは打って変わったシリアス路線で荒涼とした世界観を描こうとした弊害も大きい。イベントそのものの数も今作では少なくなっている。 --フラグ管理の破綻 ---まずシステム面からいうと、イベントフラグのプログラミングにかなりの問題あり。本作はテストプレイをやってないとしか思えないレベルにおかしな発生の仕方をするイベントが複数存在する。 ---2人のシャリーが仲違いをするというメインのシナリオ展開があるのだが、サブイベントがこれに対応していない。 ---前述の喧嘩イベントが発生すると、その段階では険悪なのだが、直後に実行できるようになるサブイベントでは普通に仲良く行動し、次のストーリーイベントではすかさず険悪に戻る。日数概念がない以上逼迫している訳でもない本作なら、喧嘩イベントの間はイベントをロックするなり対策の取りようはあっただろうに、それを怠った結果展開がいびつになっている。 ---さらに喧嘩イベント後、愛称呼び((喧嘩前は互いをシャリー、後は互いをロッテ、ステラと呼び合う))になるのだが、その後のサブイベントはそれまでと同じ呼び方をするなどちぐはぐ。 ---シャリステラ編で言うと、序盤辺りに幼馴染と「水祭り」について話すシーンがある→後日、シャルロッテから水祭りの話題が出ると「''何ですか、それ?''」→終盤に水祭り発生、という流れが存在する。 ---ある人物の薬の作り方を聞きに行く→詳細が分からないとどうにもならないと言われる→''間髪を入れずに発生したイベントで、詳細を聞いてきたと言い出す→詳細を聞くイベント発生''。 ・唐突な展開、不必要な展開 --キャラクターが鬱になったり、別のキャラクターともめる展開がアトリエシリーズの中では多めなのだが、そうなるに至った過程や後への展開がちゃんと描き切れていないことが多く、唐突だったり無駄に感じられるイベントもちらほら。 ・W主人公関連の問題 --シャルロッテがぞんざいに扱われながらも健気に食いついていくイベントが多い一方で、シャリステラは積極的にステラードの復興のためのチャンスが与えられる、ペリアン会長からも力を評価されるなどされており、2人の立場があまり釣り合ってはいない。 --選ばなかった方のシャリ―が、作中で明確に錬金している描写が1回ほどしかない。 ---シャリステラの場合はシャルロッテの母親の薬を作るシーンで、シャルロッテの場合はステラードに不時着した船の部品の作成のみ。 ---中盤以降2人が合流するが、2人揃ったことを活かすようなシステムがないので、選ばなかった方が錬金のレシピを読むときに隣に座っている程度の活躍しかできない。 ・過去の黄昏シリーズ作も含めた設定の数々を料理しきれていない --次に黄昏にまつわる世界観についてだが、元々アトリエシリーズはシナリオや世界観を重視したシリーズではなく、キャラの掘り下げ以外はかなり薄味なシリーズであったが、その中でも黄昏シリーズは特別に世界観に重点が置かれたシリーズであり、本作はそのシリーズの完結編、移動式アトリエで大陸を超え世界を旅するという壮大な旅を彷彿させる事前情報もあって、シナリオが期待されていたタイトルであった。&br;ところが蓋を開けてみると従来のアトリエシリーズより更に薄味で、大陸を超えた旅も日数経過の廃止もあって近場の素材狩りと大差無い感覚になっている。 --結局、世界を一度終わらせるほどの何かがどういったものなのか全くわからずに終わっている。しかも、前作の内容を踏まえると依然世界を破滅に誘い続ける要素は絶賛稼働中の可能性が高い、と救われた感じが全くしない((まず、周辺の自然を回復させるために効果範囲外の大地の生命力を奪って砂漠化させる「ジェオシス」は結局稼働しっぱなしで対策する様子はなく、本作の事件の原因である某システムと同等のものがエスカ&ロジーでも暴走していた。そして、未だそういった暴走を孕む古代遺跡がまだ地下に相当数眠っている可能性が高いのである。))。 --黄昏に関する伏線も未回収。黄昏シリーズを通して語られてきた問題に一切の決着をつけることなく終わってしまう。 --相変わらずアーシャはお尋ね者の身で、アーシャの身を案じている妹のニオについてもどう なったのか殆ど不明なまま。 -雑な伏線回収 --シリーズを通して登場してきたリンカ姉妹の出生が明らかになるイベントがあるが、''劇中の人物だけが理解し、プレイヤー目線では詳細不明のまま終わってしまう。''&br;イベント内容はシャリーたちがとある施設を目撃する(1枚絵あり)というもので、シャリーも意味を理解していない状態のままその場のイベントは終わる。&br;ところがイベント後に街へ帰ると何時の間にか事態が進展しており、リンカ本人を含む関係者が詳細を認知した状態にあり勝手に話が進んでいる。プレイヤーには詳しい説明は一切されず置いてきぼりに。 --更に上記の発見に連鎖する形で、ホムンクルス族(黄昏シリーズでは独立した種族として登場していた)の秘密が明らかになっているが、やはりそこに至る経緯は一切語られず、劇中の人物だけが理解している状態。 --リンカ姉妹もホムンクルス族も正体については容易に推測可能なものであったが、結局それ以上の事は何もわからず、具体的な答え合わせの無いまま終ってしまう。 -『新・ロロナ』で搭載された便利要素がなぜか抜け落ちている。 --バックログの閲覧やイベントスキップなど、便利なのにどうして『シャリー』でできなくなったのかと不満を漏らすファンもいる。 -バグも目立つ。パッチ当てはほぼ必須。 --初期Verは''異常終了を引き起こす不具合があり、最悪セーブデータやPS3に破損が発生してしまう''。 ---修正されたのはVer1.03だが、この時に一部のトロフィーが取得できないバグも修正。 --ダメージを与えた敵の数に比例してMP消費と書かれていないのに消費する「ダブルアップ」や、~ 与えたダメージに比例してMP消費と書かれていないのに消費する「ファントムソード」など、スキルの設定ミスもちらほら。 --フリーズも存在する。 ---いくつかはパッチで修正されたが、まだ残っており再発したというケースも。 **総評 日数制限の廃止等、大胆に改革した結果、大きな波紋を巻き起こしてしまった本作。~ この改革のしわよせとしてシステムにもいくつかの粗が見られるほか、面倒なバグも多く存在しているため、歴代シリーズのファンから否定意見が増えたきらいがある。~ 特にシナリオはシリアスな世界観にもかかわらず、アトリエ従来作のスローライフな作風から脱し切れていない、結末がほとんど存在しないという問題がある。 一方ゲーム内容で見ればでシステムの改変により、錬金をはじめとした戦闘準備に時間をかけられるようになった。アトリエシリーズの時間に追われるような面が苦手な人にとって、特に純粋なRPGとしては遊びやすくなったといえる。 &br&br ---- &anchor(plus){} *シャリーのアトリエPlus ~黄昏の海の錬金術士~ 【しゃりーのあとりえぷらす たそがれのうみのれんきんじゅつし】 |ジャンル|旧約錬金術RPG|&amazon(B018I2LHXU);| |対応機種|プレイステーション・ヴィータ|~| |メディア|PSVカード1枚|~| |発売・開発元|ガスト(コーエーテクモゲームス)|~| |発売日|2016年3月3日|~| |定価|通常版:5,800円&br;ダウンロード版:5,143円&br;プレミアムボックス:8,800円(全て税別)|~| |プレイ人数|1人|~| |レーティング|CERO:B(12歳以上対象)|~| |判定|なし|~| |ポイント|従来キャラ参入で、黄昏と本格的に向き合う内容に&br;粗があるところは相変わらず|~| **無印版からの変更点 -過去作のロジー、アーシャが登場した。また事実上のぶつ切りENDとなっていたメインシナリオが大幅改善された。 -コンテナの容量の変更。 -ドロップアイテムの調整。 **評価点(Plus) -シナリオの改善 --「黄昏」を完全なる解決できなかったものの、登場人物が本格的に「黄昏」という現象と向き合い、不完全ながらも結果としてひとつの答えにたどり着いてはいる。 --PS3版では登場しなかったアーシャやロジーの登場により、キースグリフやエスカに関して掘り下げるイベントが追加され、彼らがゲーム内容により馴染むようになった。 -その他 --DLCが復活した。 --評価点に加えるほどではないかもしれないが、イベントスキップ、および読み上げ付きのバックログ機能が搭載された。 **問題点(Plus) -隠しダンジョンでの初見殺し --ボスは普通にラスボスよりも強いうえに敗れると’’GAME OVER’’。戦う際に警告をしてくれない。 -アーシャのバグ --従来のプログラムに無理やり新キャラを組み込んだせいなのか、アーシャに関するバグがやたらと多い。確実にアーシャの姿勢が硬直するイベントがあるほか、武器変更をしても反映されなかったり、戦闘に出すとアーシャそのものが消えてしまうことも。 ---現在パッチで修正済みではある。 -キャラバランス --アーシャの「ヒンメルシェイク」、エスカの「タウゼントフォース」はどちらもMPを多く使用するというデメリットはあるものの、直接バーストゲージの上昇に作用する。 ---MPの消費は終盤になれば錬金で作った装備によって大幅に抑えることができる。また後ろに控えることですぐ回復してしまうため、アーシャとエスカがいることで理屈上は敵に行動させない永久機関ができてしまう。 --ロジーのアシストアタックによる、「次のターンが早く来る」という効果。 ---アシスト攻撃はゲージ消費があるが、前衛・後衛をただ交代させるのにターンも何も消費しないので、好きなキャラを好きなタイミングで呼び出し行動させることもできる。 --上記性能が強すぎるので、その他キャラが使われにくくなっている。もっともこのようなプレイには「準備」が必要であり、序盤からすぐに使えるわけでもないが。 -フラグ管理 --相変わらずシャリーの呼び名関連など事の前後関係がおかしかったり、まったくフラグが立っていないながらも発生する超展開イベントが存在する。唐突に喧嘩して仲直りするような流れも健在。 **総評(Plus) ゲームの基本的な部分やシナリオの細部には未だ首を傾けたくなるような内容は残っている。新キャラ登場により、ゲームが進めやすくなった一方でキャラバランスが極端になった側面がある。 しかし「黄昏」という問題を解決していない、データ破損が起こりうるというPS3版での大きな問題点を、Vita版では部分的に解消している。RPGとしては十分に楽しめる出来であるため、機体による制約がないのであればこちらのプレイがおすすめ。
ここでは『シャリーのアトリエ ~黄昏の海の錬金術士~』(PS3)とそのリメイク版である『シャリーのアトリエPlus ~黄昏の海の錬金術士~』(PSV)について述べる。いずれも判定は「なし」。 ---- #contents() ---- *シャリーのアトリエ ~黄昏の海の錬金術士~ 【しゃりーのあとりえ たそがれのうみのれんきんじゅつし】 |ジャンル|旧約錬金術RPG|&amazon(B00J88WC7Y);| |対応機種|プレイステーション3|~| |メディア|BD-ROM 1枚|~| |発売・開発元|ガスト(コーエーテクモゲームス)|~| |発売日|2014年7月17日|~| |定価|通常版:6,800円&br;ダウンロード版:6,000円&br;プレミアムボックス:9,800円(全て税別)|~| |プレイ人数|1人|~| |レーティング|CERO:B(12歳以上対象)|~| |判定|なし|~| |ポイント|日数制限完全廃止による波紋&br;練りこみ不足でぶつ切りのシナリオ|~| |>|>|CENTER:''[[アトリエシリーズリンク>アトリエシリーズ]]''| **概要 -『アトリエシリーズ』のシリーズ内シリーズ『黄昏シリーズ』の3作目にあたる作品。岡村ディレクター曰く黄昏シリーズとしては一区切りとのこと。 -時系列は前作の延長戦終了から2年後。~ 「黄昏」で水が枯れていく大地に取り残された小さな村、ルギオンの期待と責任を背負った少女シャリステラと大地が荒廃していく中、なお水を湛えるオアシスの街ステラードに暮らす元気だけが取り柄の少女シャルロッテを主人公に据えて物語が動き出す。 **本作の特徴 //従来のアトリエシリーズでは、主人公は大まかな目標を抱えながらも周りの人物たちとともにファンタジックな世界でスローライフを送るという内容が主だった。~ //イベントフラグは仲間キャラの主人公キャラへの好感度、日数や時間の経過に管理されており、ニューゲームを繰り返すことでさまざまなイベントを見ることが可能になるというやりこみ要素があった。 -日数廃止・ライフタスク --アトリエシリーズ初の章によるシナリオ構成をしており、時間経過ではなく章の大きな目的をすべて達成することでストーリーが進められる。 --過去作にあった日数制限が廃止された。シナリオは章別時間の概念もゲームからは基本的に消失し、シナリオ上の関連で舞台が夜になることはあるが、基本的にプレイ中は街中を移動しようが採取地を変えようが昼間のまま。 --新しい目標システム「ライフタスク」が登場。シナリオの進行にかかわるメインタスクとサブタスクに分かれており、タスクに指定されている課題をクリアすることで「やる気(後述)」というパラメータが上昇する。 --章の冒頭はメインタスクとして必須のイベントをこなすことになり、一段落つくと行動達成期間と呼ばれる自由行動時間に入る。左上にある主人公の顔アイコンで目的の達成度合いがわかる。 -やる気 --「やる気」が高いほど歩行速度が増し、採取できるアイテムの質や量も良くなる。 --時間経過で減少し、サブタスクをこなすことで上昇していく。 --採取地の踏破もサブタスクのうちに含まれることが殆どであり、踏破によってさらに奥の採取地が解放されることもある。 --シナリオとは無関係だが、ライフタスクをクリアすることでボーナスの経験値を入手できこれによって大幅にキャラを強化できることも。 -探索・採集 --本作ではマップを移動しても日数や時間が経過しない。 --前作にあった採集ゲージを使った、分担・強敵遭遇などのシステムは続投。 ---確率で強いモンスターがいることもある。 --シャルロッテの場合のみ釣り、シャリステラの場合のみ発掘が可能。 -錬金 --錬金は前作をベースにしているが、新たにChainシステムが追加。 ---材料のアイテムと同じ属性の調合スキルを使用するとChain値が上昇する仕組み。~ 続けて同じ属性の調合スキルを使用するとChainが継続し、より多くのChain値を得られる。~ しかし、アイテムの属性と異なる調合スキルを使用するとChainは途切れてしまう。 ---なお、溜めたChain値は調合スキルにより属性値や効力に変換できる。 -戦闘 --本作からバトルのシステムが大幅に変化した。 -バトルメンバー --戦闘に参加できるのは前衛の3人、後衛にも最大3人控えさせることができる。(合計6人) --前衛と後衛の入れ替えはアシストゲージで管理されている。基本的に前衛が後衛にもどった直後のアシストゲージは0。 ---アシストゲージはターン経過で増加するほか、満タンになっている時のみ交代できる。前衛が敵から攻撃される直前及び前衛の攻撃の後に簡単なコマンド入力することで、それぞれ盾となる形で交代もしくは、ターンを消費せず追撃かつ交代をする。これは戦闘不能のキャラが含まれていても可能。 ---SPは後衛にいることで少しずつ回復していく。 ---アシストゲージは個人管理になりアシストを使えるのは後衛のみに変更など、よりマナケミアシリーズを意識した戦闘となった。 --全滅するとバトルメンバーの体力が1になった後にフィールドから出されるほか、最近に手に入れたアイテムも一部失う。 ---特殊な敵に限り全滅敗北するとGAME OVERになることがある。 -バトルシステムとアイテム --味方の誰か一人でも逃走に成功できれば、戦闘終了可能となる。逃走の成功確率はすばやさに依存する。 --本作では2人の主人公がアイテムを使用できる。物語が中盤に差し掛かれば2人同時に戦闘に出すことも可能に。 --パズル式に積みなおせるようになっている、シャリー2人分で共有な点は注意。 --アイテムは拠点の街であるステラードにもどれば補充が可能で1から作り直す必要はない。 -バーストモード --戦闘は味方側のダメージのボーナスタイムにあたるバーストモードが新たに追加。BURSTゲージが100%を超えると発動し、(敵の技による中断などの例外があるが、)BURSTゲージが0になるまで持続する。バーストモード中はBURSTゲージはターン経過で自動的に減少していく。 --BURSTゲージはバーストモードでない時は、敵にダメージを与えると増加し逆に敵に強襲されると減少する。不意打ちや攻撃アイテムの使用で特に上昇しやすい。またBURSTゲージの100%という基準は味方の連撃で大幅に超過することが可能で、その分長期的にバーストモードが維持されるようになる。 --特定条件でフィールドバーストという追加効果も発動する。~ キャラクターによって、攻撃が全てクリティカル、Chain数に応じて攻撃力上昇などの効果が得られる。 --アシスト攻撃を3回連続で連携させると、強力な攻撃「ヴァリアブルストライク」が発動できるようになった。 ---必殺技はバーストモード中のみ使用可能となった。 --アイテムの使用時、シャリステラは「コピー」、シャルロッテは「ミックス」というスキルが使用可能。 -難易度選択 --本作からの新要素のひとつ。クリアすると更に高難易度を追加できる。Ver1.03以降は更なる高難易度が追加。高難易度ほど敵を倒した時の入手金額やアイテムがよくなる。 --難易度はいつでも変えることが可能。高い難易度ほどアイテムによる補助が必要になってくる。 **評価点 -フィールドの快適性 --『[[テイルズ オブ エクシリア]]』『[[英雄伝説 閃の軌跡]]』等と同様にフィールド画面で視点変更が可能になった。 ---採集できるマップやアイテムの規模はアトリエシリーズにおいて最大級。 ---多彩なフィールドイベントも登場。釣りや掃除などでアイテムを得られることも。 --拠点の街のショートカット移動も健在であり、イベントが起こる区画や依頼に関連するロケーションを細かく表示してくれる。 --ゲージを消費する「手分け」は素材回収の手間を省くのにもってこい。慣れてくると欲しい特性や欲しい素材を多少は狙えるようになる。 -美術面 --左氏デザインのキャラクターや音楽は相変わらず良好。 --音楽は好きなものに変更可能 -錬金システム --最初は説明を読んでもいまいち仕組みが分かりにくいのだが、シナリオや錬金Lvの上昇につれてできることが増えていく。 --全く同じ素材を組み合わせても、錬金の仕方次第で出来が大幅に変化してしまうのでやりがいがある。時間に追われることが基本的にないので、試行錯誤を経て自分なりのやりかたを確立することが可能。 -W主人公制の改善 --前作に引き続きW主人公制が採用されているが、前半のシナリオや使えるスキルが異なるものになり、W主人公を活かしたものになった。 -序盤のシナリオ --全二作と比べて殺伐として困窮している環境におかれているためか、キャラ立ちは黄昏シリーズの中でもしっかりしている。 --具体的にはサンドドラゴンを討伐するまでのシナリオは良く練られている。干ばつに苦しむ街を治めるペリアンと、組合長、シャリステラの村陣営の3すくみによる対立は世界観をきちんと反映したものとなっている。 **賛否両論点 数々の新要素によって従来とはやや毛色が違う部分が多い。便利になった部分ももちろんあるのだが不満の声もまた多い。 -バーストシステム --全体的に敵のHPが高いなど、バーストの使用を前提として作られている側面もあり、バーストを使用しないと戦闘は長引き、逆にバーストに持ち込むとすぐ終わることが多い。 --強敵であっても、キャラの大技やアトリエならではのアイテムを使ってごっそり体力を削り勝利するといった戦術的快感が十分見いだせる。しかし終盤に登場するザコ敵はHPが高いことが多くなり、倒すためにバーストに持ち込む必要が出てくるため、サクサクやりたい人には少し気になるか。 ---もっともこちらに対して明らかに弱い雑魚敵は、フィールド上で先制攻撃を仕掛けることで戦闘せずに経験値とアイテムをくれるシステムもある。 --バーストになると、戦闘背景がどこかの特撮に出てきそうなギャラクシックな雰囲気を醸し出すようになる。戦闘が盛り上がると感じる人もいれば、緊張感がないと難色を示す人もいる。 -ゲームバランス --今作はパッチによってスキルやアイテムの弱体化が行われている。 ---ホムラの「ホム式乱れ剣閃」、シャルロッテの「ミックス」、エリキシル剤(MP回復・超→強)、フライングボード等は弱くし過ぎという声も。 --主人公専用スキルの露骨な格差。 ---シャルロッテの「ミックス」は待機時間400、威力低下なしなのに対し、シャリステラの「コピー」は待機時間800で、ダメージ5~20%減とコピーが弱過ぎるという指摘がある。 --全体的に売値が低下。例えば、序盤に水を汲んで売るといったプレイがやりにくくなっている。 -日数廃止による弊害 --日数経過がなくなったことは「日数を気にせずプレイできる」「日数はあったほうがいい」と賛否両論。 --従来のシステムそのままに日数経過だけをカットしたため、移動、素材の収集、討伐・納品依頼、辺境への買い物など日数経過ならではのシステムがただの作業になっている。 ---例えば素材の収集は従来のシリーズは「素材ポイントを調べるとランダムで素材を入手し時間が経過する」という運と取捨選択のシステムだったが、本作ではエリアを出入りすれば収集ポイントが幾らでもリセットされるため入手し放題になり、飛行船と素材ポイントを反復する作業と化している。 ---討伐や納品は従来は「よく考えて、今の自分が出来そうなものを選ぶ」というシステムだったのが何でも引き受けて、あとは放置なり好きにすればいいというものに。 ---辺境への希少素材の買い出しは長い日数を要するため仕事の期限や時限イベントを配慮してのリスクのある長旅であったが、本作ではただ移動の手間がかかる面倒なだけのものに。 --サブイベントも主人公固有のものを除けば1周でコンプリート出来てしまう。~ただし時間に追われながら常に何をするかの計画を立てたり、何周もプレイしてイベントを見尽くすのが煩わしいプレイヤーにとっては、アトリエ本来の特徴の一つである「ゆるさ」を存分に感じられるつくりでもある。 --会話イベントをこなすには結局日数を進めなければならず、それをこなしたらいつの間にかタスク完了していたこともある。気づかないうちにどんどんサブのライフタスクを達成していく様は、人によっては爽快にも映るし物足りなくも感じられる。 --次章進行の際のメッセージも条件を満たすとアトリエに入るたびに起こるようになるので、煩わしいという意見もある。 -エンディングの数も過去作より少なくなっている。 --各主人公に2つ、トゥルーエンドが1つとかなり少ない。好感度によるキャラ別EDは無くなり、EDに追加シーンがあるのみ。それも道端で該当キャラを見かける、といったもので主人公との絆を感じさせる内容ではない。 **問題点 -中盤以降のシナリオは評価が低い --これは日数制限を廃止しただけでなく、従来作とは打って変わったシリアス路線で荒涼とした世界観を描こうとした弊害も大きい。イベントそのものの数も今作では少なくなっている。 --フラグ管理の破綻 ---まずシステム面からいうと、イベントフラグのプログラミングにかなりの問題あり。本作はテストプレイをやってないとしか思えないレベルにおかしな発生の仕方をするイベントが複数存在する。 ---2人のシャリーが仲違いをするというメインのシナリオ展開があるのだが、サブイベントがこれに対応していない。 ---前述の喧嘩イベントが発生すると、その段階では険悪なのだが、直後に実行できるようになるサブイベントでは普通に仲良く行動し、次のストーリーイベントではすかさず険悪に戻る。日数概念がない以上逼迫している訳でもない本作なら、喧嘩イベントの間はイベントをロックするなり対策の取りようはあっただろうに、それを怠った結果展開がいびつになっている。 ---さらに喧嘩イベント後、愛称呼び((喧嘩前は互いをシャリー、後は互いをロッテ、ステラと呼び合う))になるのだが、その後のサブイベントはそれまでと同じ呼び方をするなどちぐはぐ。 ---シャリステラ編で言うと、序盤辺りに幼馴染と「水祭り」について話すシーンがある→後日、シャルロッテから水祭りの話題が出ると「''何ですか、それ?''」→終盤に水祭り発生、という流れが存在する。 ---ある人物の薬の作り方を聞きに行く→詳細が分からないとどうにもならないと言われる→''間髪を入れずに発生したイベントで、詳細を聞いてきたと言い出す→詳細を聞くイベント発生''。 ・唐突な展開、不必要な展開 --キャラクターが鬱になったり、別のキャラクターともめる展開がアトリエシリーズの中では多めなのだが、そうなるに至った過程や後への展開がちゃんと描き切れていないことが多く、唐突だったり無駄に感じられるイベントもちらほら。 ・W主人公関連の問題 --シャルロッテがぞんざいに扱われながらも健気に食いついていくイベントが多い一方で、シャリステラは積極的にステラードの復興のためのチャンスが与えられる、ペリアン会長からも力を評価されるなどされており、2人の立場があまり釣り合ってはいない。 --選ばなかった方のシャリ―が、作中で明確に錬金している描写が1回ほどしかない。 ---シャリステラの場合はシャルロッテの母親の薬を作るシーンで、シャルロッテの場合はステラードに不時着した船の部品の作成のみ。 ---中盤以降2人が合流するが、2人揃ったことを活かすようなシステムがないので、選ばなかった方が錬金のレシピを読むときに隣に座っている程度の活躍しかできない。 ・過去の黄昏シリーズ作も含めた設定の数々を料理しきれていない --次に黄昏にまつわる世界観についてだが、元々アトリエシリーズはシナリオや世界観を重視したシリーズではなく、キャラの掘り下げ以外はかなり薄味なシリーズであったが、その中でも黄昏シリーズは特別に世界観に重点が置かれたシリーズであり、本作はそのシリーズの完結編、移動式アトリエで大陸を超え世界を旅するという壮大な旅を彷彿させる事前情報もあって、シナリオが期待されていたタイトルであった。&br;ところが蓋を開けてみると従来のアトリエシリーズより更に薄味で、大陸を超えた旅も日数経過の廃止もあって近場の素材狩りと大差無い感覚になっている。 --結局、世界を一度終わらせるほどの何かがどういったものなのか全くわからずに終わっている。しかも、前作の内容を踏まえると依然世界を破滅に誘い続ける要素は絶賛稼働中の可能性が高い、と救われた感じが全くしない((まず、周辺の自然を回復させるために効果範囲外の大地の生命力を奪って砂漠化させる「ジェオシス」は結局稼働しっぱなしで対策する様子はなく、本作の事件の原因である某システムと同等のものがエスカ&ロジーでも暴走していた。そして、未だそういった暴走を孕む古代遺跡がまだ地下に相当数眠っている可能性が高いのである。))。 --黄昏に関する伏線も未回収。黄昏シリーズを通して語られてきた問題に一切の決着をつけることなく終わってしまう。 --相変わらずアーシャはお尋ね者の身で、アーシャの身を案じている妹のニオについてもどう なったのか殆ど不明なまま。 -雑な伏線回収 --シリーズを通して登場してきたリンカ姉妹の出生が明らかになるイベントがあるが、''劇中の人物だけが理解し、プレイヤー目線では詳細不明のまま終わってしまう。''&br;イベント内容はシャリーたちがとある施設を目撃する(1枚絵あり)というもので、シャリーも意味を理解していない状態のままその場のイベントは終わる。&br;ところがイベント後に街へ帰ると何時の間にか事態が進展しており、リンカ本人を含む関係者が詳細を認知した状態にあり勝手に話が進んでいる。プレイヤーには詳しい説明は一切されず置いてきぼりに。 --更に上記の発見に連鎖する形で、ホムンクルス族(黄昏シリーズでは独立した種族として登場していた)の秘密が明らかになっているが、やはりそこに至る経緯は一切語られず、劇中の人物だけが理解している状態。 --リンカ姉妹もホムンクルス族も正体については容易に推測可能なものであったが、結局それ以上の事は何もわからず、具体的な答え合わせの無いまま終ってしまう。 -『新・ロロナ』で搭載された便利要素がなぜか抜け落ちている。 --バックログの閲覧やイベントスキップなど、便利なのにどうして『シャリー』でできなくなったのかと不満を漏らすファンもいる。 -バグも目立つ。パッチ当てはほぼ必須。 --初期Verは''異常終了を引き起こす不具合があり、最悪セーブデータやPS3に破損が発生してしまう''。 ---修正されたのはVer1.03だが、この時に一部のトロフィーが取得できないバグも修正。 --ダメージを与えた敵の数に比例してMP消費と書かれていないのに消費する「ダブルアップ」や、~ 与えたダメージに比例してMP消費と書かれていないのに消費する「ファントムソード」など、スキルの設定ミスもちらほら。 --フリーズも存在する。 ---いくつかはパッチで修正されたが、まだ残っており再発したというケースも。 **総評 日数制限の廃止等、大胆に改革した結果、大きな波紋を巻き起こしてしまった本作。~ この改革のしわよせとしてシステムにもいくつかの粗が見られるほか、面倒なバグも多く存在しているため、歴代シリーズのファンから否定意見が増えたきらいがある。~ 特にシナリオはシリアスな世界観にもかかわらず、アトリエ従来作のスローライフな作風から脱し切れていない、結末がほとんど存在しないという問題がある。 一方ゲーム内容で見ればでシステムの改変により、錬金をはじめとした戦闘準備に時間をかけられるようになった。アトリエシリーズの時間に追われるような面が苦手な人にとって、特に純粋なRPGとしては遊びやすくなったといえる。 &br&br **余談 -コーエーテクモホールディングスの子会社として存続していたガストは本作の発売後、同年10月1日をもってコーエーテクモゲームスに吸収合併され、会社組織は解散となった。 --これに伴い、ガストはコーエーテクモゲームスの社内開発部門の1つである「ガスト長野開発部」となり、「ガスト」の名前自体はそのまま「コーエーテクモゲームス作品の1ブランド」として引き継がれた。 ---- &anchor(plus){} *シャリーのアトリエPlus ~黄昏の海の錬金術士~ 【しゃりーのあとりえぷらす たそがれのうみのれんきんじゅつし】 |ジャンル|旧約錬金術RPG|&amazon(B018I2LHXU);| |対応機種|プレイステーション・ヴィータ|~| |メディア|PSVカード1枚|~| |発売・開発元|ガスト(コーエーテクモゲームス)|~| |発売日|2016年3月3日|~| |定価|通常版:5,800円&br;ダウンロード版:5,143円&br;プレミアムボックス:8,800円(全て税別)|~| |プレイ人数|1人|~| |レーティング|CERO:B(12歳以上対象)|~| |判定|なし|~| |ポイント|従来キャラ参入で、黄昏と本格的に向き合う内容に&br;粗があるところは相変わらず|~| **無印版からの変更点 -過去作のロジー、アーシャが登場した。また事実上のぶつ切りENDとなっていたメインシナリオが大幅改善された。 -コンテナの容量の変更。 -ドロップアイテムの調整。 **評価点(Plus) -シナリオの改善 --「黄昏」を完全なる解決できなかったものの、登場人物が本格的に「黄昏」という現象と向き合い、不完全ながらも結果としてひとつの答えにたどり着いてはいる。 --PS3版では登場しなかったアーシャやロジーの登場により、キースグリフやエスカに関して掘り下げるイベントが追加され、彼らがゲーム内容により馴染むようになった。 -その他 --DLCが復活した。 --評価点に加えるほどではないかもしれないが、イベントスキップ、および読み上げ付きのバックログ機能が搭載された。 **問題点(Plus) -隠しダンジョンでの初見殺し --ボスは普通にラスボスよりも強いうえに敗れると’’GAME OVER’’。戦う際に警告をしてくれない。 -アーシャのバグ --従来のプログラムに無理やり新キャラを組み込んだせいなのか、アーシャに関するバグがやたらと多い。確実にアーシャの姿勢が硬直するイベントがあるほか、武器変更をしても反映されなかったり、戦闘に出すとアーシャそのものが消えてしまうことも。 ---現在パッチで修正済みではある。 -キャラバランス --アーシャの「ヒンメルシェイク」、エスカの「タウゼントフォース」はどちらもMPを多く使用するというデメリットはあるものの、直接バーストゲージの上昇に作用する。 ---MPの消費は終盤になれば錬金で作った装備によって大幅に抑えることができる。また後ろに控えることですぐ回復してしまうため、アーシャとエスカがいることで理屈上は敵に行動させない永久機関ができてしまう。 --ロジーのアシストアタックによる、「次のターンが早く来る」という効果。 ---アシスト攻撃はゲージ消費があるが、前衛・後衛をただ交代させるのにターンも何も消費しないので、好きなキャラを好きなタイミングで呼び出し行動させることもできる。 --上記性能が強すぎるので、その他キャラが使われにくくなっている。もっともこのようなプレイには「準備」が必要であり、序盤からすぐに使えるわけでもないが。 -フラグ管理 --相変わらずシャリーの呼び名関連など事の前後関係がおかしかったり、まったくフラグが立っていないながらも発生する超展開イベントが存在する。唐突に喧嘩して仲直りするような流れも健在。 **総評(Plus) ゲームの基本的な部分やシナリオの細部には未だ首を傾けたくなるような内容は残っている。新キャラ登場により、ゲームが進めやすくなった一方でキャラバランスが極端になった側面がある。 しかし「黄昏」という問題を解決していない、データ破損が起こりうるというPS3版での大きな問題点を、Vita版では部分的に解消している。RPGとしては十分に楽しめる出来であるため、機体による制約がないのであればこちらのプレイがおすすめ。

表示オプション

横に並べて表示:
変化行の前後のみ表示: