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モンスターを倒して強い剣や鎧を手にしなさい。死んでも諦めずに強くなりなさい。勇者隊が魔王を倒すその日を信じています。 - (2021/10/24 (日) 07:07:19) の1つ前との変更点

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--キャラメイク時には名前・外観・職業・ランダムで付与されるボーナスポイントを振り分けて初期ステータスを決定する。 --PTは6人制で前衛・後衛にそれぞれ3人ずつ分かれることになる。 ---この手のゲームで定番だが武器の射程やスキルの都合で前・後衛それぞれに向いてる武器や職業が存在する。 --7人以上キャラメイクすること自体はできるが一度のPTメンバーは6人までなのであふれたメンバーは補欠となる。メンバーの入れ替えは拠点に帰ってくることでいつでも可能。 -各キャラはレベルの他MPを消費して使うスキルがあり、職業ごとに異なるスキルを習得する。 --スキルを使うためには各スキルにポイントを振っておく必要があり、スキルの強化段階に応じて要求されるポイントは多くなっていく。 ---シナリオ後半になると職業のタイプを秩序・混沌の二系統から選べるようになる。各系統の傾向としては秩序はそのままに各職の特性を伸ばせるような一点特化タイプ、混沌は他の職業のスキルを習得できる幅広いタイプとなる。 --レベル・スキルポイントの上げ下げ・秩序と混沌の切り替えは非戦闘中ならいつでも行える。 -ダンジョンはオーソドックスな3Dダンジョンとなっており、各ダンジョンの最奥にいるボスを倒せば次のダンジョンに進めるようになる。 --シンボルエンカウント制となっており、動かない敵は赤・ランダムで動くものが緑・プレーヤーを追尾する敵が紫・プレーヤーから逃げる敵は青色のドクロマークで表現されている。 ---紫はやや強めの敵構成・青は経験値の多い敵や進行上必須のアイテムをドロップする敵になっている。 --ダンジョン内では拠点への帰還は戦闘中含めいつでも可能だが、セーブは非戦闘時のみにできるようになっている。 ---後述の体験版では入口地点以外からの途中離脱時にデメリットが存在したが、アップデート適応後の製品版では特にデメリットは存在しない。 --このジャンルのゲームだとキャラロストが発生する作品もあるが、本作は死亡した際のキャラロストは無い。 ---アップデート適応後の製品版においては全滅時のデメリットは一切なく、拠点に戻されると同時にHP・MPが若干上昇する((上昇回数は無限ではなく有限))ようになっている。 -評価システム --本作の独自要素で、各ダンジョンのボスの撃破時に撃破時のレベル・ボス撃破にかかったターン数・当該ダンジョンの踏破率を基にD~Sの5段階で評価がなされる。 ---B評価以上であれば次のダンジョンを攻略するまで戦闘後に入手できる宝箱のランクがアップする。また、S評価の場合に限り探索中のダンジョンでは通常入手できないより強力な武装が入った宝箱が出現するようになる。 --評価決定時、評価が不服であればボスと再戦し評価のし直しをすることができる。 -ボスを撃破して評価が確定した場合、レベルキャップが解放されレベルの限界値が上昇する。 --また、一部のボス撃破後は壁の破壊や穴を飛び越えたりとダンジョン内での行動範囲が広がる特殊能力や戦闘中の全体強化機能である「クラン」、商店で購入できる品物が追加される。 -難易度はタイプA・B・Cの3パターンの難易度が用意されており、Aが初心者・Bが中級者・Cが上級者向けに相当する。 --タイプAは最初からミニマップ・全体地図が解放されており、レベルキャップが高めになっている。 --タイプB・Cはダンジョン内にいる「地図の虫」を入手しないとそのマップの地図及び自動移動機能が解放されないようになっている。レベルキャップもタイプCが一番厳しく、タイプBは概ねAとCの中間値となっている。 ---また、タイプBは最初からミニマップが見えるようになっているが、タイプCはミニマップが開示されるのも「地図の虫」入手後となる。 --難易度に依存するシナリオの分岐などは存在せず、厳しいと思ったら拠点にていつでも下げることが可能。 **評価点 -DRPGとしての基礎は抑えている。 --システムやダンジョンのギミックなどはDRPGで定番の物が採用されており、いまいち新鮮味が欠けるが王道的なスタイルから逸脱してはいない。 -全体的なゲームテンポはよく、機能面も悪くない。 --前ターンでのコマンド記憶機能があり全員素殴りもワンボタンで出せるため基本的に雑魚戦はXボタンを連打してるだけで終わる。稼ぎ作業や以前訪れたダンジョンの取り残したアイテムを回収しに来た時などは非常に便利。 --ダンジョン内の高速移動機能が便利。 ---地図解放後は現在地から行きたいところを指定してオートで移動できるのだが、プレーヤーが移動するよりも早く進んでくれるため途中離脱しても到達地点までスムーズに戻れるようになっている。 ---また、終盤に外見からは判断できないワープ床が存在するマップがあるのが、このマップで自動移動を使うとワープ先込みで経路を自動的に判断して移動するためどこが繋がっているかを忘れてしまった場合でも不毛な総当たりをせずとも済むようになっている。 --各キャラの能力値及びスキルポイントはいつでも自由に振りなおせるため、実際の使い勝手を確かめた後に不便と感じたら戻したり、道中では雑魚をまとめて葬れるように全体攻撃スキルを上げておきボス戦では単体攻撃用のスキルをあげておくなどの細かいカスタマイズがしやすい。 -かわいらしいキャラクターデザイン。 --絵柄が大きく変わっているため分かりにくいがキャラクターデザインは初代『[[セブンスドラゴン]]』や『[[限界凸旗 セブンパイレーツ]]』などを担当したモタ氏が担当しており、とてもキュート。 **賛否両論点 -キャラ作成時のボーナスポイント --キャラの作成時にはランダムでパラメーターを強化できるボーナスポイントが得られる。これ自体は大昔のWizからの伝統と言えるのだが、ともすれば良いステータスで遊びたければ長時間厳選を強いられる。 ---「DRPGはそういうもの」ととるか「いくらWizリスペクトとはいえ2021年にもなってこれはない」と思うかは人によるだろう。 ---最少と最大で15ポイントほど差がつくのだが、高い数字となると小数点以下の確率となるため狙うのは骨が折れる。 --一応ゲーム終盤まで進めればパラメーター強化アイテムをお金で買えるので後天的にいくらでもドーピングすること自体はできる。もっとも買えるようになるのはラスダン直前でかなり高額。 -シナリオの序盤から終盤に至るまで人によっては悪趣味に感じる可能性がある天丼ネタが続く。 --開発としてはギャグのつもりと思われるし「勇者隊は実際そうなった場面を直接見ているわけではない」ため言い逃れできるようにはなっているが、文面通り受け取る場合やや人を選ぶブラックなネタと言える。 --CERO:Z級の作品やダークファンタジー染みた作品でやる分には構わないが、かわいらしい絵柄の本作にはいまいちあっていないかもしれない。 -エクスペリエンスの過去作と比較しての賛否両論点 --クリア後のエクストラダンジョンややり込み要素的な物が存在しない。 ---30~40時間程度は遊べるので極端なボリューム不足というわけではないがメーカー前作の『黄泉華』には存在したため比較するとボリュームダウンしたように感じてしまう。 --過去の武装の強化はやや手間やお金がかかるシステムが採用されている作品があったが、本作は武器防具にもレベルと経験値の概念が存在し「使い込めば強くなる」という簡素な物になった。 ---確かに開発や強化をプレイヤー自身がやらなくてもいいが、逆にそうした要素に楽しみを見出していたユーザーからは面白みが減ったとの声もある。 ---また、ボス戦の直前などに新しい武器を入手してしまうと使い込んだ育成済みの武装の方が部分的にパラメーターが高くなっていることがあり、こうした状況下ではボスを目の前にしてわざわざ稼ぎ作業をやるよりも単純にお金で解決できた方が手っ取り早かったという意見もある。 --常駐スキルがなくなった。このため常駐スキル前提でゲームバランスが組まれているため対応しないといけないという煩雑さはなくなったが、後列・全体攻撃や隊列破壊への事前の防御手段が減少・消滅したために過去作に比べ難易度が上昇している一因にもなっている。 **問題点 -''評価システムそのもの'' --バトルの一戦ごとに評価が出て報酬が変化するゲーム自体は枚挙に暇がないが、次のダンジョンの報酬が丸々変化してしまうという本作のシステムはたった一度の評価が影響を及ぼす期間が長すぎる。 ---高評価を諦めたゲーム初心者は結果的に敵のドロップが渋くなり進めにくくなってしまう。普通逆では。 --ボス撃破時のPTの平均レベル評価★5が習得できるレベルで各ボスに挑むのはかなり厳しく、各ボスの戦法を理解して適切にスキルやクランを使っていかないとS評価は取れない。 ---そもそも「低レベルで攻略」は本来ユーザー側が自発的にやる遊びであって、製作側が縛らせてくること自体に対して否定的な意見も少なくない。 ---一部のボスは能力の都合で特定の職業のキャラがほぼ使えない状況に陥ることがあり、PTの職構成によっては初見突破がまず無理なパターンが存在する。 --また、評価Sを取ったとしても問題がある。というのも「いいアイテムが出やすくなる」のは間違いないのだが、「弱いアイテムが出なくなる」わけではない。 ---本作はラストダンジョンの敵すらも序盤装備や初期装備をドロップすることがあるため、せっかく苦労して高評価を得ても報酬が向上していることが実感しにくい。 --さらに、せっかく新たな武器防具や補正値の大きい装備を入手したとしてもセット効果((一定のシリーズ装備を2ないし3種類以上装備していると能力値に補正がかかる要素))や相性の関係で特定の種族との戦闘に優れる場合以外は大半が次のダンジョンに到達次第型落ちする程度の性能しかない。 ---よって「評価Sを取ると進めやすい」というよりは「とっても旨味はそこそこだが低評価だと厳しくなってしまうのでなるべく高評価を取った方がいい」という消極的な理由で高評価を取り続けないといけない窮屈なゲームデザインとなっている。 --これに関して、公式生放送において開発スタッフの中には評価Bのまま進めてるという人もいるとフォローはしている。付け加えると評価要素のうち地図埋めに関しては初心者でも最高評価である★5を取ることは難しくないためよほど意図的にやらない限りは最低評価になること自体はまずない。 ---ただ、効率で大きく劣ることはどうしても否定できない。また、上述の通り本作はやり込み要素がなくプレーヤーの腕前が反映される数少ないポイントがこの評価システムなので、インタラクティブなチャレンジ要素として見た場合自由度が低い。 -ポートレート --各キャラの見た目となるポートレートだが、職ごとに対応する画像の枚数が均一化されておらず、イメージの合う見た目の選択肢が多い職と少ない職が混在している。 --ポートレートはアップデートで複数枚追加されたが、単純に追加順に並べているため同じ職の違う見た目を比較しようとした際にかなり離れた位置のところまでページを送る必要がある。 --発売後エクスペリエンスの過去作の担当デザイナーが描いたゲストキャラの配信も行われたが、正直モタ氏の絵柄と全くの別物で浮きまくっている。 -アイテムのソート機能が一種類しかなく不便。 --上述の通り終盤になってもゴミのようなアイテムが出てくるため、うっかり並べ替えてしまうと他のアイテムの中に混じってしまい処分する際に気をつけないとまともな武装も売ってしまいそうになる。 **総評 評価システムを抜きにすればDRPGとしての基礎自体からは外れてはおらず、公式の宣伝文句である「DRPGらしさを詰め込んだシンプルなゲーム」というのはあながち間違いではない。~ だが、その中身はコアユーザーには物足りず、DRPGをやったことが無い人にとっては薄味すぎると言った塩梅でどっちつかずな代物。~ そしてやはり本作の独自要素のはずの評価システムがユニークな遊びに繋がっていないのが痛く、他のDRPGを差し置いてわざわざ本作に手を伸ばす理由にまで昇華しきれていない。~ 難易度の高さが「戦略性のある敵や予想をいい意味で裏切るギミック」ではなく「プレイヤーに対するちゃちなリターンしかない制約」に原因がある作品でも息苦しくならないという人なら楽しめるかもしれない。 **余談 -発売一か月前に体験版が配信された。 --しかし、製品版に比べるとある程度前のバージョンが元になっていたのか1dayパッチまでに一気に修正したのかは不明((もっとも公式ではアップデートに際して「体験版の意見を受けて改良パッチを作成」という旨の発言もあるため、後者の比重の方が大きいとは思われる))だが、相違点が多い…というよりも製品版よりも融通が効かず難易度が更に高い代物であった。 --具体的には(細部のブラッシュアップなどを除くと)レベルダウン不可能、評価が一度確定したらボスに再挑戦できない、全滅すると評価ダウン、そもそも評価基準がクリアするまで確認できない、ダンジョンからの途中脱出時に所持金半額、回避率が高いタイプの敵のパラメーターが製品版より高め、と著しく厳しい仕様となっていた。 -本作のタイトルは発表当初は『モンスターを倒して強い剣や鎧を手にしなさい。勇者隊が魔王を倒すその日を信じています。(仮)』だった。 --本来は開発中においても製品版と同様の『モンスターを倒して強い剣や鎧を手にしなさい。死んでも諦めずに強くなりなさい。勇者隊が魔王を倒すその日を信じています。』になる予定だったのだが、スタッフ曰く難易度が高いと思われて敬遠されたくないと思い『死んでも諦めずに強くなりなさい。』が削られたとのこと。 --その後、テストプレイの結果「やはり難易度が高くて死にやすい」という事情から仮題の『モンスターを倒して強い剣や鎧を手にしなさい。勇者隊が魔王を倒すその日を信じています。』に『死んでも諦めずに強くなりなさい。』が追加し直され、最終的に製品版は『モンスターを倒して強い剣や鎧を手にしなさい。死んでも諦めずに強くなりなさい。勇者隊が魔王を倒すその日を信じています。』となった。 --こうした経緯からするとやはり製作陣としては「難しくて当然で道中何度も全滅したり評価が下がってもいいゲーム」という認識だったようだが、実際のところ評価システムや体験版の苛烈なゲームバランスが前評判を大きくマイナスしてしまっており、そういう意味でも開発スタッフのやりたいこととユーザー層が遊びたいゲームに齟齬があったのは否めない。 --前述されている通り本作のタイトルは「今や社会現象となってる某小説投稿サイトを思わせる」ものだが、その小説投稿サイトでは基本的に『作品スタート直後に主人公が最強になり、さして躓くことなく凄まじいスピードで栄達するサクセスストーリー』が好まれるため、本作がそういったプレイヤー無双出来る易しい難易度の作品だと勘違いされる一因となっている。
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--PTは6人制で前衛・後衛にそれぞれ3人ずつ分かれることになる。 ---この手のゲームで定番だが武器の射程やスキルの都合で前・後衛それぞれに向いてる武器や職業が存在する。 --7人以上キャラメイクすること自体はできるが一度のPTメンバーは6人までなのであふれたメンバーは補欠となる。メンバーの入れ替えは拠点に帰ってくることでいつでも可能。 -各キャラはレベルの他MPを消費して使うスキルがあり、職業ごとに異なるスキルを習得する。 --スキルを使うためには各スキルにポイントを振っておく必要があり、スキルの強化段階に応じて要求されるポイントは多くなっていく。 ---シナリオ後半になると職業のタイプを秩序・混沌の二系統から選べるようになる。各系統の傾向としては秩序はそのままに各職の特性を伸ばせるような一点特化タイプ、混沌は他の職業のスキルを習得できる幅広いタイプとなる。 --レベル・スキルポイントの上げ下げ・秩序と混沌の切り替えは非戦闘中ならいつでも行える。 -ダンジョンはオーソドックスな3Dダンジョンとなっており、各ダンジョンの最奥にいるボスを倒せば次のダンジョンに進めるようになる。 --シンボルエンカウント制となっており、動かない敵は赤・ランダムで動くものが緑・プレーヤーを追尾する敵が紫・プレーヤーから逃げる敵は青色のドクロマークで表現されている。 ---紫はやや強めの敵構成・青は経験値の多い敵や進行上必須のアイテムをドロップする敵になっている。 --ダンジョン内では拠点への帰還は戦闘中含めいつでも可能だが、セーブは非戦闘時のみにできるようになっている。 ---後述の体験版では入口地点以外からの途中離脱時にデメリットが存在したが、アップデート適応後の製品版では特にデメリットは存在しない。 --このジャンルのゲームだとキャラロストが発生する作品もあるが、本作は死亡した際のキャラロストは無い。 ---アップデート適応後の製品版においては全滅時のデメリットは一切なく、拠点に戻されると同時にHP・MPが若干上昇する((上昇回数は無限ではなく有限))ようになっている。 -評価システム --本作の独自要素で、各ダンジョンのボスの撃破時に撃破時のレベル・ボス撃破にかかったターン数・当該ダンジョンの踏破率を基にD~Sの5段階で評価がなされる。 ---B評価以上であれば次のダンジョンを攻略するまで戦闘後に入手できる宝箱のランクがアップする。また、S評価の場合に限り探索中のダンジョンでは通常入手できないより強力な武装が入った宝箱が出現するようになる。 --評価決定時、評価が不服であればボスと再戦し評価のし直しをすることができる。 -ボスを撃破して評価が確定した場合、レベルキャップが解放されレベルの限界値が上昇する。 --また、一部のボス撃破後は壁の破壊や穴を飛び越えたりとダンジョン内での行動範囲が広がる特殊能力や戦闘中の全体強化機能である「クラン」、商店で購入できる品物が追加される。 -難易度はタイプA・B・Cの3パターンの難易度が用意されており、Aが初心者・Bが中級者・Cが上級者向けに相当する。 --タイプAは最初からミニマップ・全体地図が解放されており、レベルキャップが高めになっている。 --タイプB・Cはダンジョン内にいる「地図の虫」を入手しないとそのマップの地図及び自動移動機能が解放されないようになっている。レベルキャップもタイプCが一番厳しく、タイプBは概ねAとCの中間値となっている。 ---また、タイプBは最初からミニマップが見えるようになっているが、タイプCはミニマップが開示されるのも「地図の虫」入手後となる。 --難易度に依存するシナリオの分岐などは存在せず、厳しいと思ったら拠点にていつでも下げることが可能。 **評価点 -DRPGとしての基礎は抑えている。 --システムやダンジョンのギミックなどはDRPGで定番の物が採用されており、いまいち新鮮味が欠けるが王道的なスタイルから逸脱してはいない。 -全体的なゲームテンポはよく、機能面も悪くない。 --前ターンでのコマンド記憶機能があり全員素殴りもワンボタンで出せるため基本的に雑魚戦はXボタンを連打してるだけで終わる。稼ぎ作業や以前訪れたダンジョンの取り残したアイテムを回収しに来た時などは非常に便利。 --ダンジョン内の高速移動機能が便利。 ---地図解放後は現在地から行きたいところを指定してオートで移動できるのだが、プレーヤーが移動するよりも早く進んでくれるため途中離脱しても到達地点までスムーズに戻れるようになっている。 ---また、終盤に外見からは判断できないワープ床が存在するマップがあるのが、このマップで自動移動を使うとワープ先込みで経路を自動的に判断して移動するためどこが繋がっているかを忘れてしまった場合でも不毛な総当たりをせずとも済むようになっている。 --各キャラの能力値及びスキルポイントはいつでも自由に振りなおせるため、実際の使い勝手を確かめた後に不便と感じたら戻したり、道中では雑魚をまとめて葬れるように全体攻撃スキルを上げておきボス戦では単体攻撃用のスキルをあげておくなどの細かいカスタマイズがしやすい。 -かわいらしいキャラクターデザイン。 --絵柄が大きく変わっているため分かりにくいがキャラクターデザインは初代『[[セブンスドラゴン]]』や『[[限界凸旗 セブンパイレーツ]]』などを担当したモタ氏が担当しており、とてもキュート。 **賛否両論点 -キャラ作成時のボーナスポイント --キャラの作成時にはランダムでパラメーターを強化できるボーナスポイントが得られる。これ自体は大昔のWizからの伝統と言えるのだが、ともすれば良いステータスで遊びたければ長時間厳選を強いられる。 ---「DRPGはそういうもの」ととるか「いくらWizリスペクトとはいえ2021年にもなってこれはない」と思うかは人によるだろう。 ---最少と最大で15ポイントほど差がつくのだが、高い数字となると小数点以下の確率となるため狙うのは骨が折れる。 --一応ゲーム終盤まで進めればパラメーター強化アイテムをお金で買えるので後天的にいくらでもドーピングすること自体はできる。もっとも買えるようになるのはラスダン直前でかなり高額。 -シナリオの序盤から終盤に至るまで人によっては悪趣味に感じる可能性がある天丼ネタが続く。 --開発としてはギャグのつもりと思われるし「勇者隊は実際そうなった場面を直接見ているわけではない」ため言い逃れできるようにはなっているが、文面通り受け取る場合やや人を選ぶブラックなネタと言える。 --CERO:Z級の作品やダークファンタジー染みた作品でやる分には構わないが、かわいらしい絵柄の本作にはいまいちあっていないかもしれない。 -エクスペリエンスの過去作と比較しての賛否両論点 --クリア後のエクストラダンジョンややり込み要素的な物が存在しない。 ---30~40時間程度は遊べるので極端なボリューム不足というわけではないがメーカー前作の『黄泉華』には存在したため比較するとボリュームダウンしたように感じてしまう。 --過去の武装の強化はやや手間やお金がかかるシステムが採用されている作品があったが、本作は武器防具にもレベルと経験値の概念が存在し「使い込めば強くなる」という簡素な物になった。 ---確かに開発や強化をプレイヤー自身がやらなくてもいいが、逆にそうした要素に楽しみを見出していたユーザーからは面白みが減ったとの声もある。 ---また、ボス戦の直前などに新しい武器を入手してしまうと使い込んだ育成済みの武装の方が部分的にパラメーターが高くなっていることがあり、こうした状況下ではボスを目の前にしてわざわざ稼ぎ作業をやるよりも単純にお金で解決できた方が手っ取り早かったという意見もある。 --常駐スキルがなくなった。このため常駐スキル前提でゲームバランスが組まれているため対応しないといけないという煩雑さはなくなったが、後列・全体攻撃や隊列破壊への事前の防御手段が減少・消滅したために過去作に比べ難易度が上昇している一因にもなっている。 **問題点 -''評価システムそのもの'' --バトルの一戦ごとに評価が出て報酬が変化するゲーム自体は枚挙に暇がないが、次のダンジョンの報酬が丸々変化してしまうという本作のシステムはたった一度の評価が影響を及ぼす期間が長すぎる。 ---高評価を諦めたゲーム初心者は結果的に敵のドロップが渋くなり進めにくくなってしまう。普通逆では。 --ボス撃破時のPTの平均レベル評価★5が習得できるレベルで各ボスに挑むのはかなり厳しく、各ボスの戦法を理解して適切にスキルやクランを使っていかないとS評価は取れない。 ---そもそも「低レベルで攻略」は本来ユーザー側が自発的にやる遊びであって、製作側が縛らせてくること自体に対して否定的な意見も少なくない。 ---一部のボスは能力の都合で特定の職業のキャラがほぼ使えない状況に陥ることがあり、PTの職構成によっては初見突破がまず無理なパターンが存在する。 --また、評価Sを取ったとしても問題がある。というのも「いいアイテムが出やすくなる」のは間違いないのだが、「弱いアイテムが出なくなる」わけではない。 ---本作はラストダンジョンの敵すらも序盤装備や初期装備をドロップすることがあるため、せっかく苦労して高評価を得ても報酬が向上していることが実感しにくい。 --さらに、せっかく新たな武器防具や補正値の大きい装備を入手したとしてもセット効果((一定のシリーズ装備を2ないし3種類以上装備していると能力値に補正がかかる要素))や相性の関係で特定の種族との戦闘に優れる場合以外は大半が次のダンジョンに到達次第型落ちする程度の性能しかない。 ---よって「評価Sを取ると進めやすい」というよりは「とっても旨味はそこそこだが低評価だと厳しくなってしまうのでなるべく高評価を取った方がいい」という消極的な理由で高評価を取り続けないといけない窮屈なゲームデザインとなっている。 --これに関して、公式生放送において開発スタッフの中には評価Bのまま進めてるという人もいるとフォローはしている。付け加えると評価要素のうち地図埋めに関しては初心者でも最高評価である★5を取ることは難しくないためよほど意図的にやらない限りは最低評価になること自体はまずない。 ---ただ、効率で大きく劣ることはどうしても否定できない。また、上述の通り本作はやり込み要素がなくプレーヤーの腕前が反映される数少ないポイントがこの評価システムなので、インタラクティブなチャレンジ要素として見た場合自由度が低い。 -ポートレート --各キャラの見た目となるポートレートだが、職ごとに対応する画像の枚数が均一化されておらず、イメージの合う見た目の選択肢が多い職と少ない職が混在している。 --ポートレートはアップデートで複数枚追加されたが、単純に追加順に並べているため同じ職の違う見た目を比較しようとした際にかなり離れた位置のところまでページを送る必要がある。 --発売後エクスペリエンスの過去作の担当デザイナーが描いたゲストキャラの配信も行われたが、正直モタ氏の絵柄と全くの別物で浮きまくっている。 -アイテムのソート機能が一種類しかなく不便。 --上述の通り終盤になってもゴミのようなアイテムが出てくるため、うっかり並べ替えてしまうと他のアイテムの中に混じってしまい処分する際に気をつけないとまともな武装も売ってしまいそうになる。 **総評 評価システムを抜きにすればDRPGとしての基礎自体からは外れてはおらず、公式の宣伝文句である「DRPGらしさを詰め込んだシンプルなゲーム」というのはあながち間違いではない。~ だが、その中身はコアユーザーには物足りず、DRPGをやったことが無い人にとっては薄味すぎると言った塩梅でどっちつかずな代物。~ そしてやはり本作の独自要素のはずの評価システムがユニークな遊びに繋がっていないのが痛く、他のDRPGを差し置いてわざわざ本作に手を伸ばす理由にまで昇華しきれていない。~ 難易度の高さが「戦略性のある敵や予想をいい意味で裏切るギミック」ではなく「プレイヤーに対するちゃちなリターンしかない制約」に原因がある作品でも息苦しくならないという人なら楽しめるかもしれない。 **余談 -発売一か月前に体験版が配信された。 --しかし、製品版に比べるとある程度前のバージョンが元になっていたのか1dayパッチまでに一気に修正したのかは不明((もっとも公式ではアップデートに際して「体験版の意見を受けて改良パッチを作成」という旨の発言もあるため、後者の比重の方が大きいとは思われる))だが、相違点が多い…というよりも製品版よりも融通が効かず難易度が更に高い代物であった。 --具体的には(細部のブラッシュアップなどを除くと)レベルダウン不可能、評価が一度確定したらボスに再挑戦できない、全滅すると評価ダウン、そもそも評価基準がクリアするまで確認できない、ダンジョンからの途中脱出時に所持金半額、回避率が高いタイプの敵のパラメーターが製品版より高め、と著しく厳しい仕様となっていた。 -本作のタイトルは発表当初は『モンスターを倒して強い剣や鎧を手にしなさい。勇者隊が魔王を倒すその日を信じています。(仮)』だった。 --本来は開発中においても製品版と同様の『モンスターを倒して強い剣や鎧を手にしなさい。死んでも諦めずに強くなりなさい。勇者隊が魔王を倒すその日を信じています。』になる予定だったのだが、スタッフ曰く難易度が高いと思われて敬遠されたくないと思い『死んでも諦めずに強くなりなさい。』が削られたとのこと。 --その後、テストプレイの結果「やはり難易度が高くて死にやすい」という事情から仮題の『モンスターを倒して強い剣や鎧を手にしなさい。勇者隊が魔王を倒すその日を信じています。』に『死んでも諦めずに強くなりなさい。』が追加し直され、最終的に製品版は『モンスターを倒して強い剣や鎧を手にしなさい。死んでも諦めずに強くなりなさい。勇者隊が魔王を倒すその日を信じています。』となった。 --こうした経緯からするとやはり製作陣としては「難しくて当然で道中何度も全滅したり評価が下がってもいいゲーム」という認識だったようだが、実際のところ評価システムや体験版の苛烈なゲームバランスが前評判を大きくマイナスしてしまっており、そういう意味でも開発スタッフのやりたいこととユーザー層が遊びたいゲームに齟齬があったのは否めない。

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