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*DEVIL'S THIRD 【でびるずさーど】 |ジャンル|シューティングアクション|&amazon(B00Z8NI4DO)| |対応機種|Wii U|~| |プレイ人数|1人|~| |開発元|ヴァルハラゲームスタジオ|~| |販売元|任天堂|~| |発売日|2015年8月4日|~| |定価|パッケージ版:7,236円&br()ダウンロード版:3,618円|~| |レーティング|CERO:D(17才以上対象)|~| |備考|パッケージ版はAmazonでのみ発売&br()オンラインモードは2016年12月29日にサービス終了|~| |判定|なし|~| |ポイント|TPSと『[[NINJA GAIDEN>忍者龍剣伝/NINJA GAIDENシリーズ]]』のチャンバラアクションが融合&br()『NINJA GAIDEN』譲りの高難度とハードな描写は賛否両論|~| ---- #contents(fromhere) ---- ~ #center(){{ &big(){''戦場のリアルがいま幕を開ける。''} }} ~ ---- **概要 かつてテクモ((現在はコーエーと合併し「コーエーテクモゲームス」となっている。))に在籍し、『NINJA GAIDEN』や『[[DEAD OR ALIVE>DEAD OR ALIVEシリーズ]]』等の名作を世に送り出して来た''板垣伴信''氏をはじめとした''元Team NINJAのスタッフ''で構成される「''ヴァルハラゲームスタジオ''」製作のソフト。~ 元はTHQよりPS3/360向けに製作されていたのだが、2012年にTHQが倒産し、ヴァルハラゲームスタジオが本作の著作権と販売権を取得。そして2014年6月のE3において任天堂よりWiiU専用ソフトとして発売されることが発表され、翌年の8月4日に発売となった。~ TPSのスタイルを踏襲していながらも刀や格闘などの近接攻撃のアクションにも比重がおかれたシステムになっており、遠距離では銃撃、近距離では格闘と状況に応じてシームレスに戦い方を切り替えることが出来るようになっている。~ ソロプレイとオンラインプレイの2つのモードからゲームを遊ぶことが出来るが、オンラインプレイはサービス終了済みとなるため、本項ではソロプレイモードに沿って解説を行う。 ---- **ストーリー >テロリスト「スクール・オブ・デモクラシー(SOD)」の攻撃によって大混乱に陥った世界。~ アメリカ政府は一人の男に事態の収集を依頼した。~ その男の名は"''アイヴァン・ザ・テリブル''"。~ かつてSODに所属していた、元テロリストだ。~ アイヴァンは世界の危機を救うため、かつての仲間たちに立ち向かう。~ その中で見えてくるこの戦争の真実とは…?~ そしてアイヴァンの過去とは…? (公式サイトより引用) ---- **評価点 -軽快なレスポンス --技のレスポンスは良好で、複雑なコマンドを入力しなくてもボタン連打で簡単にコンボを繋げることが出来る。上記した『NINJA GAIDEN』や『DEAD OR ALIVE』などアクション/格闘ゲームのノウハウが活きていると言えよう。 --銃撃/格闘の切り替えはそれぞれの攻撃ボタン((格闘は攻撃ボタン、銃撃は射撃ボタンで行う。))を押すだけでシームレスに切り替わるため、ここでは銃撃、ここでは格闘と目まぐるしく変わる戦況の中でも瞬時に戦闘スタイルを切り替えて攻略することが出来る。 --プレイヤーキャラとなるアイヴァンの機動力も高く、ダッシュやスライディングなどを駆使したハイスピードでテンポのいいアクションが楽しめる。 -高い戦略性 --上記したシステムもそうだが、武器自体の種類も銃器では連射速度の速いサブマシンガン系から射程範囲の長いスナイパーライフル/ミサイル系、近距離でも攻撃速度の速いククリナイフから一撃必殺のスレッジハンマーまで幅広いバリエーションが揃っており、カバーポジションを駆使して遠くから一体ずつ安全に処理していくスタイルと、思いきって敵陣に突っ込んでいわゆる「ランボープレイ」するスタイル、『NINJA GAIDEN』のように近距離攻撃メインで戦っていくスタイルと幅広いプレイスタイルで楽しむことが出来る。 ---クリア後に解放されるスコアアタックモードでもそれぞれのプレイスタイルに対応したボーナス点が用意されており、どのプレイスタイルでもハイスコアを目指すことが出来るようになっている。 -個性的なキャラクターと豪華な声優陣 --主人公アイヴァンは上記したように「''元テロリスト''」という肩書きと「''禁固850年''」という刑罰を受けているという設定に加えて''サングラスを掛けたスキンヘッドで全身に「耳なし芳一」を彷彿とさせる梵字のタトゥーを施した強烈なキャラクターデザイン''といかにも''アレ''な出で立ちをしているが、ゲームを進める事に彼の一人の弟子や仲間たちへの想い、そして彼自身の葛藤などアイヴァンの人間味が描かれるシーンが挟まれ、彼の本来の人間性を垣間見ることが出来る。 ---また、元ロックミュージシャンという設定でもあり、オープニングからドラム演奏を披露するも、牢獄の電源が非常用になったことで自慢のスピーカーの音が台無しになったことに不満を漏らしたり、道中手に入る報酬の楽器の説明文で楽器の音色などに深い興味を感じていると言う主旨が書かれていたりとサウンドにこだわりを持っている一面も描かれている。 --アイヴァン以外にも''いかにも肉体派なのに理系''な''ビッグマウス''、戦闘開始時に''着物姿からボンデージスタイルに早変わり''する''ジェーン・ドゥ''((いわゆるお色気キャラではあるが、『DEAD OR ALIVE』のかすみのような日本人に受けのいい美少女ではなく、どちらかと言えばアメコミの女ヴィランのような出で立ちである。))、アイヴァンに任務を依頼する「(いわゆる軍事ものにおける)いつもの上官キャラ」と思わせておいてゲーム後半にて''自ら空挺部隊の先陣を切って''アイヴァンをサポートする''キャラウェイ長官''等、ひと味違ったキャラクター達が揃っている。 --この個性的なキャラクター達を演じる声優陣もアイヴァン役の石塚運昇氏を始めとして、玄田哲章氏・田中敦子氏・三宅健太氏など実力派が揃っており、いずれもキャラクターの個性にマッチした快演ぶりでストーリーやゲームパートを盛り上げてくれる。 -収集要素 --各ミッションにはそれぞれ楽器・エンブレム・お酒・おみやげ・パンフレット・戦地の背景情報とそれぞれ1つづつ、計六つの戦利品が隠されている。 ---これらを集める事はもちろん、メニュー画面から見られる説明文もなかなか読みごたえがある。 -トライ&エラーのストレスが少ない --本作はチェックポイントが多く、死亡しても大抵倒れた地点の直前からのスタートになるため、ゲームオーバーに対するストレスやリスクが比較的少なくなっている。 --ロード時間もそこまで長くなく、ロードが完了したらすぐに動けるようになる。馴れないうちはよくゲームオーバーになりがちな本作では有難いシステムである。 ---- **賛否両論点 -高い難易度 --やはりこの部分のゲーム性も『NINJA GAIDEN』から引き継いでいるのか、難易度は総じて高い。 --道中は幅広い戦闘スタイルを駆使すればそうでもないのだが、問題はボス戦で、いずれのボスも攻撃力や機動力が高く((ただし一面ボスの「モロトフ」はチュートリアルということもあってかその限りではない。))、油断すれば本当に一瞬で沈められてしまう。 --道中は基本仲間と一緒に進むため危なくなったら安全なところに退避して攻撃を仲間に任せるという手法が通用するが、ボスは基本アイヴァン一人で戦う事になるため、その手法は通用しない。 ---とりわけ3面ボスの''グルンドラ・シャハ''は、アイヴァンの格闘面の師匠という設定に違わずすさまじいスピードの接近戦と巧みなククリナイフ捌きで多くのプレイヤーにとっての最初の壁になり得る強敵となっている。また最終ステージのボスの一人である''リュドミラ・カレーニナ''も姿を消しながら変則的かつ素早い動きでプレイヤーを翻弄する強敵になっている。 --ただいずれのボスも攻撃バターンと回避方法をしっかり頭に叩き込んでいれば割りとあっさり倒せるようになっている。ボスの中には「集団戦→一騎討ち」といくつかのフェイズを持ったボスも存在するが、フェイズが切り替わる事にチェックポイントが入るため、諦めずに戦えばいずれ勝機は掴めるだろう。つまるところ「''難しいのなら出来るようになるまで頑張れ''((かつて板垣氏が手掛けた『NINJA GAIDEN』が難しすぎると言う意見に対して板垣氏が返したコメントの要約。また板垣氏以外に『NINJA GAIDEN』のファンは初心者へのアドバイスとしてこの主旨のアドバイスをすることが多い。))」である。 -任天堂のソフトらしかぬ表現の数々 --(とりわけWii以降の)任天堂はいわゆる「ファミリー向け」だったり「万人向け」だったりというイメージが強く、そうした中での本作は同じWiiUにて新たに任天堂ファミリーの一員となった『[[BAYONETTA]]』と共にかなりの異彩を放っている。 --具体的には暴力・ゴア表現の多さ(海外版では欠損描写もある)、少なくとも任天堂キャラの中では類のない ((任天堂のキャラクターは『ファイアーエムブレム』『ゼルダの伝説』シリーズのような「美形キャラ」や、『カービィ』『ポケモン』シリーズのような「可愛い人外キャラ」に加え、『マリオ』シリーズのような「デフォルメされた人間キャラ」の他、数は少ないが『メトロイド』や『F-ZERO』シリーズが該当する「アメコミ風キャラ」が多いのだが、アイヴァンはおそらくそのいずれにも当てはまらない。人によってはイケメンに感じられるかもしれないが…。))主人公アイヴァンの強烈な容姿、テロリストに支配された銃弾飛び交う暴力的な世界観などが挙げられる。 ---またいわゆる「口の悪い」キャラクターも任天堂のゲームにしては多い。特に一面ボスの「モロトフ」が顕著。 --これを「新鮮」と肯定的に捉えるプレイヤーも居れば、「こんなの任天堂じゃない…」と拒否感を示すプレイヤーも居てまさに賛否両論。 --ただし、任天堂自身もこれまでの任天堂に染み付いていた固定概念を打ち破りたいという考えがあり、このような描写は''任天堂も割りと狙っていた''という背景が板垣氏への[[公式インタビュー>https://www.famitsu.com/news/201507/24084147.html]]にて語られている。 ---過去にも出血描写や切断表現を含む『[[斬撃のREGINLEIV]]』のような例も無かった訳ではない。 ---また、サードパーティー製ソフトで言えばPS2版よりも表現が過激なGC版『killer7((『killer7』発売当時のソニーハードでは、PSのブランドイメージにそぐわない過激な表現を独自に規制する「ソニーチェック」が行われており、数多くのゲームがPS版のみ表現が抑えられていた。ちなみに、このソニーチェックは日本独自のものだった為、これによりCEROレーティングに適合しても国内で発売されなかった作品が数多くある。))』や、ゴア表現満載だったWiiの『[[マッドワールド]]』に加え、麻薬取引やグロ演出もほぼ規制無しで発売したDSの『[[Grand Theft Auto: Chinatown Wars]]』等が任天堂ハードで発売されており、過激なソフトが自社ハードで出る事には寛容な任天堂の姿勢が窺える((Wiiがファミリー層に大きく普及した為、WiiUではハードコアなゲーマー層も取り込む戦略であることは当時の任天堂も公言していた。))。 ---- **問題点 -演出面 --本作はUnreal Engine 3を使用しているのだが、元々ベースが古い作品故か、グラフィックがWiiUソフトにしてはやや粗い。言うならばXbからPS3中期ぐらいまでの間と言った所か。 ---ただし主人公のアイヴァンをはじめとした主要人物のキャラグラフィックはなかなか綺麗に描かれている。 --効果音もそこそこ気持ちいいものの若干軽く、チープさが目立つ。 -不安定なフレームレート --最大60fpsなのだがかなり変動が大きい。爆発など派手なエフェクトが表示されたときはかなりガクガクになる。 ---恐らくミッションの途中でロードを挟まないように常に裏でロードを行っているためだと思われる。ちなみに処理落ちの割りにレスポンスの遅延はそこまで酷くない。 -ボリューム不足感 --ストーリーモードは普通にプレイして10時間程度。ただし本作は上記したように難易度が高いためアクションゲームが苦手な人はもう少しかかると思われる。 ---- **総評 ありそうでなかった「銃撃と近接攻撃を使い分けて戦う」というシステムはシューティングとしてもアクションとしても新鮮なプレイスタイルを実現している。~ 高い難易度や過激な表現など人を選ぶ部分も多く、下記する事情もあって色眼鏡に見られがちなソフトだが、ハイスピードで緊張感のあるアクションシューティングを楽しみたい人、『NINJA GAIDEN』のような苛烈な難易度を求めている人ならおすすめできるソフトである。 ---- **余談 -初めに断っておくと本作は''日本国内での評価及び海外の一般のゲーマーからの評価は概ね良い。'' --しかし、メタスコアをはじめとした海外のプロのゲーム評論家からはかなり手厳しい評価を下されており、「Atomix」に至っては''わざわざ「[[kusoge(クソゲー)>https://atomix.vg/review-devils-third/]]」と日本語で言い放っている。'' --恐らく粗いグラフィックとかつて板垣氏が手掛けた『NINJA GAIDEN』シリーズからの期待が影響しているのだと思われる。悲しきかなこの評論家達の影響力は国内外ともに大きく、[[ネガキャン記事>https://www.gamespark.jp/article/2015/09/02/59874.html]]も多数作られてしまう事態になってしまった。 ---ただ、あくまでゲームを始めとした娯楽作品は自分が面白いと感じられるかどうかが重要であり、良作・駄作問わず評論家のレビューだけで作品を評価するのは些か滑稽であるといえるだろう。 -板垣氏は本作発売の数年前から、ある意味伝説となっているゲームメーカー「カルチャーブレーン」のスレに頻繁に[[書き込んでおり>https://w.atwiki.jp/culturebrainwiki/pages/13.html#id_0ffc3db7]]、あろうことか&bold(){ゲーム内にも[[大量のカルブレネタ>https://w.atwiki.jp/culturebrainwiki/pages/25.html#id_fa3597bf]]が仕込まれている。}カルブレは本作の独特な世界観に大きな影響を与えてる…かもしれない。 --さらに、[[アナスタシア>https://w.atwiki.jp/culturebrainwiki/pages/13.html#id_e2a4531e]]の初出はなんとカルブレスレである。5ch(当時の2ch)の『DEVIL'S THIRD』本スレでもカルブレスレのネタが輸入されるほど影響を与えており、「カルチャーたなか」と名乗るトッププレイヤーもいた。 -主人公の「アイヴァン・ザ・テリブル (Ivan the Terrible)」のコードネームと同じ愛称を持つ人物が実在していた。 --その人物はかつてのロシアの君主・''イヴァン4世''(1530年-1584年)。日本でも「雷帝」と称される人物で、その極めて苛烈な性格から英語圏にて「''恐怖のイヴァン=Ivan the Terrible''」と呼ばれ恐れられていたとのことである。 -オープニングにてミッションの報酬としてこれまたアイヴァンと同名のアコースティックギター「''Ivan the Terrible''」が登場する。 --ギター演奏者及びマニアの間で有名な''Tony Zemaitis''氏が1969年に製作した12弦のアコースティックギターで、劇中でも見られるハート型のサウンドホールが特徴的である。 --世界3大ロック・ギタリストの1人である''エリック・クラプトン''氏が所有していたことでも知られ、オークションにておよそ''3,000万円''もの高値で取引された知る人ぞ知る伝説のギターである。 ---ドラムの演奏が上手くいかずイライラしていたアイヴァンも、このギターを目にした際に瞬時に笑顔になって「どんな手を使って手に入れたんだ?」とキャラウェイに聞き返している((キャラウェイは「君のヤル気の為なら何でもやる」と語るだけでどんな手段を使って手に入れたのかは明言されていない。))。 ---- **その後の展開 -2016年6月8日にネクソンから本作のオンラインモードのみが遊べる『Devil's Third Online』のサービスが開始された。 --しかし思うようにユーザーが集まらなかったのか、サービス開始から1年も経たない2017年3月29日にサービス終了してしまった。 --その後、同年8月24日に板垣氏がヴァルハラゲームスタジオの代表取締役と最高技術責任者を退任し、最高顧問に就任することが明らかとなった。 -2021年12月25日に本作の開発元であるヴァルハラゲームスタジオがソレイユ株式会社に吸収合併され解散した。
*DEVIL'S THIRD 【でびるずさーど】 |ジャンル|シューティングアクション|&amazon(B00Z8NI4DO)| |対応機種|Wii U|~| |プレイ人数|1人|~| |開発元|ヴァルハラゲームスタジオ|~| |販売元|任天堂|~| |発売日|2015年8月4日|~| |定価|パッケージ版:7,236円&br()ダウンロード版:3,618円|~| |レーティング|CERO:D(17才以上対象)|~| |備考|パッケージ版はAmazonでのみ発売&br()オンラインモードは2016年12月29日にサービス終了|~| |判定|なし|~| |ポイント|TPSと『[[NINJA GAIDEN>忍者龍剣伝/NINJA GAIDENシリーズ]]』のチャンバラアクションが融合&br()『NINJA GAIDEN』譲りの高難度とハードな描写は賛否両論|~| ---- #contents(fromhere) ---- ~ #center(){{ &big(){''戦場のリアルがいま幕を開ける。''} }} ~ ---- **概要 かつてテクモ((現在はコーエーと合併し「コーエーテクモゲームス」となっている。))に在籍し、『NINJA GAIDEN』や『[[DEAD OR ALIVE>DEAD OR ALIVEシリーズ]]』等の名作を世に送り出して来た''板垣伴信''氏をはじめとした''元Team NINJAのスタッフ''で構成される「''ヴァルハラゲームスタジオ''」製作のソフト。~ 元はTHQよりPS3/360向けに製作されていたのだが、2012年にTHQが倒産し、ヴァルハラゲームスタジオが本作の著作権と販売権を取得。そして2014年6月のE3において任天堂よりWiiU専用ソフトとして発売されることが発表され、翌年の8月4日に発売となった。~ TPSのスタイルを踏襲していながらも刀や格闘などの近接攻撃のアクションにも比重がおかれたシステムになっており、遠距離では銃撃、近距離では格闘と状況に応じてシームレスに戦い方を切り替えることが出来るようになっている。~ ソロプレイとオンラインプレイの2つのモードからゲームを遊ぶことが出来るが、オンラインプレイはサービス終了済みとなるため、本項ではソロプレイモードに沿って解説を行う。 ---- **ストーリー >テロリスト「スクール・オブ・デモクラシー(SOD)」の攻撃によって大混乱に陥った世界。~ アメリカ政府は一人の男に事態の収集を依頼した。~ その男の名は"''アイヴァン・ザ・テリブル''"。~ かつてSODに所属していた、元テロリストだ。~ アイヴァンは世界の危機を救うため、かつての仲間たちに立ち向かう。~ その中で見えてくるこの戦争の真実とは…?~ そしてアイヴァンの過去とは…? (公式サイトより引用) ---- **評価点 -軽快なレスポンス --技のレスポンスは良好で、複雑なコマンドを入力しなくてもボタン連打で簡単にコンボを繋げることが出来る。上記した『NINJA GAIDEN』や『DEAD OR ALIVE』などアクション/格闘ゲームのノウハウが活きていると言えよう。 --銃撃/格闘の切り替えはそれぞれの攻撃ボタン((格闘は攻撃ボタン、銃撃は射撃ボタンで行う。))を押すだけでシームレスに切り替わるため、ここでは銃撃、ここでは格闘と目まぐるしく変わる戦況の中でも瞬時に戦闘スタイルを切り替えて攻略することが出来る。 --プレイヤーキャラとなるアイヴァンの機動力も高く、ダッシュやスライディングなどを駆使したハイスピードでテンポのいいアクションが楽しめる。 -高い戦略性 --上記したシステムもそうだが、武器自体の種類も銃器では連射速度の速いサブマシンガン系から射程範囲の長いスナイパーライフル/ミサイル系、近距離でも攻撃速度の速いククリナイフから一撃必殺のスレッジハンマーまで幅広いバリエーションが揃っており、カバーポジションを駆使して遠くから一体ずつ安全に処理していくスタイルと、思いきって敵陣に突っ込んでいわゆる「ランボープレイ」するスタイル、『NINJA GAIDEN』のように近距離攻撃メインで戦っていくスタイルと幅広いプレイスタイルで楽しむことが出来る。 ---クリア後に解放されるスコアアタックモードでもそれぞれのプレイスタイルに対応したボーナス点が用意されており、どのプレイスタイルでもハイスコアを目指すことが出来るようになっている。 -個性的なキャラクターと豪華な声優陣 --主人公アイヴァンは上記したように「''元テロリスト''」という肩書きと「''禁固850年''」という刑罰を受けているという設定に加えて''サングラスを掛けたスキンヘッドで全身に「耳なし芳一」を彷彿とさせる梵字のタトゥーを施した強烈なキャラクターデザイン''といかにも''アレ''な出で立ちをしているが、ゲームを進める事に彼の一人の弟子や仲間たちへの想い、そして彼自身の葛藤などアイヴァンの人間味が描かれるシーンが挟まれ、彼の本来の人間性を垣間見ることが出来る。 ---また、元ロックミュージシャンという設定でもあり、オープニングからドラム演奏を披露するも、牢獄の電源が非常用になったことで自慢のスピーカーの音が台無しになったことに不満を漏らしたり、道中手に入る報酬の楽器の説明文で楽器の音色などに深い興味を感じていると言う主旨が書かれていたりとサウンドにこだわりを持っている一面も描かれている。 --アイヴァン以外にも''いかにも肉体派なのに理系''な''ビッグマウス''、戦闘開始時に''着物姿からボンデージスタイルに早変わり''する''ジェーン・ドゥ''((いわゆるお色気キャラではあるが、『DEAD OR ALIVE』のかすみのような日本人に受けのいい美少女ではなく、どちらかと言えばアメコミの女ヴィランのような出で立ちである。))、アイヴァンに任務を依頼する「(いわゆる軍事ものにおける)いつもの上官キャラ」と思わせておいてゲーム後半にて''自ら空挺部隊の先陣を切って''アイヴァンをサポートする''キャラウェイ長官''等、ひと味違ったキャラクター達が揃っている。 --この個性的なキャラクター達を演じる声優陣もアイヴァン役の石塚運昇氏を始めとして、玄田哲章氏・田中敦子氏・三宅健太氏など実力派が揃っており、いずれもキャラクターの個性にマッチした快演ぶりでストーリーやゲームパートを盛り上げてくれる。 -収集要素 --各ミッションにはそれぞれ楽器・エンブレム・お酒・おみやげ・パンフレット・戦地の背景情報とそれぞれ1つづつ、計六つの戦利品が隠されている。 ---これらを集める事はもちろん、メニュー画面から見られる説明文もなかなか読みごたえがある。 -トライ&エラーのストレスが少ない --本作はチェックポイントが多く、死亡しても大抵倒れた地点の直前からのスタートになるため、ゲームオーバーに対するストレスやリスクが比較的少なくなっている。 --ロード時間もそこまで長くなく、ロードが完了したらすぐに動けるようになる。馴れないうちはよくゲームオーバーになりがちな本作では有難いシステムである。 ---- **賛否両論点 -高い難易度 --やはりこの部分のゲーム性も『NINJA GAIDEN』から引き継いでいるのか、難易度は総じて高い。 --道中は幅広い戦闘スタイルを駆使すればそうでもないのだが、問題はボス戦で、いずれのボスも攻撃力や機動力が高く((ただし一面ボスの「モロトフ」はチュートリアルということもあってかその限りではない。))、油断すれば本当に一瞬で沈められてしまう。 --道中は基本仲間と一緒に進むため危なくなったら安全なところに退避して攻撃を仲間に任せるという手法が通用するが、ボスは基本アイヴァン一人で戦う事になるため、その手法は通用しない。 ---とりわけ3面ボスの''グルンドラ・シャハ''は、アイヴァンの格闘面の師匠という設定に違わずすさまじいスピードの接近戦と巧みなククリナイフ捌きで多くのプレイヤーにとっての最初の壁になり得る強敵となっている。また最終ステージのボスの一人である''リュドミラ・カレーニナ''も姿を消しながら変則的かつ素早い動きでプレイヤーを翻弄する強敵になっている。 --ただいずれのボスも攻撃バターンと回避方法をしっかり頭に叩き込んでいれば割りとあっさり倒せるようになっている。ボスの中には「集団戦→一騎討ち」といくつかのフェイズを持ったボスも存在するが、フェイズが切り替わる事にチェックポイントが入るため、諦めずに戦えばいずれ勝機は掴めるだろう。つまるところ「''難しいのなら出来るようになるまで頑張れ''((かつて板垣氏が手掛けた『NINJA GAIDEN』が難しすぎると言う意見に対して板垣氏が返したコメントの要約。また板垣氏以外に『NINJA GAIDEN』のファンは初心者へのアドバイスとしてこの主旨のアドバイスをすることが多い。))」である。 -任天堂のソフトらしかぬ表現の数々 --(とりわけWii以降の)任天堂はいわゆる「ファミリー向け」だったり「万人向け」だったりというイメージが強く、そうした中での本作は同じWiiUにて新たに任天堂ファミリーの一員となった『[[ベヨネッタ]]』と共にかなりの異彩を放っている。 --具体的には暴力・ゴア表現の多さ(海外版では欠損描写もある)、少なくとも任天堂キャラの中では類のない ((任天堂のキャラクターは『ファイアーエムブレム』『ゼルダの伝説』シリーズのような「美形キャラ」や、『カービィ』『ポケモン』シリーズのような「可愛い人外キャラ」に加え、『マリオ』シリーズのような「デフォルメされた人間キャラ」の他、数は少ないが『メトロイド』や『F-ZERO』シリーズが該当する「アメコミ風キャラ」が多いのだが、アイヴァンはおそらくそのいずれにも当てはまらない。人によってはイケメンに感じられるかもしれないが…。))主人公アイヴァンの強烈な容姿、テロリストに支配された銃弾飛び交う暴力的な世界観などが挙げられる。 ---またいわゆる「口の悪い」キャラクターも任天堂のゲームにしては多い。特に一面ボスの「モロトフ」が顕著。 --これを「新鮮」と肯定的に捉えるプレイヤーも居れば、「こんなの任天堂じゃない…」と拒否感を示すプレイヤーも居てまさに賛否両論。 --ただし、任天堂自身もこれまでの任天堂に染み付いていた固定観念を打ち破りたいという考えがあり、このような描写は''任天堂も割と狙っていた''という背景が板垣氏への[[公式インタビュー>https://www.famitsu.com/news/201507/24084147.html]]にて語られている。 ---過去にも出血描写や切断表現を含む『[[斬撃のREGINLEIV]]』のような例も無かった訳ではない。 ---また、サードパーティー製ソフトで言えばPS2版よりも表現が過激なGC版『killer7((『killer7』発売当時のソニーハードでは、PSのブランドイメージにそぐわない過激な表現を独自に規制する「ソニーチェック」が行われており、数多くのゲームがPS版のみ表現が抑えられていた。ちなみに、このソニーチェックは日本独自のものだった為、これによりCEROレーティングに適合しても国内で発売されなかった作品が数多くある。))』や、ゴア表現満載だったWiiの『[[マッドワールド]]』に加え、麻薬取引やグロ演出もほぼ規制無しで発売したDSの『[[Grand Theft Auto: Chinatown Wars]]』等が任天堂ハードで発売されており、過激なソフトが自社ハードで出る事には寛容な任天堂の姿勢が窺える((Wiiがファミリー層に大きく普及した為、WiiUではハードコアなゲーマー層も取り込む戦略であることは当時の任天堂も公言していた。))。 ---- **問題点 -演出面 --本作はUnreal Engine 3を使用しているのだが、元々ベースが古い作品故か、グラフィックがWiiUソフトにしてはやや粗い。言うならばXbからPS3中期ぐらいまでの間と言った所か。 ---ただし主人公のアイヴァンをはじめとした主要人物のキャラグラフィックはなかなか綺麗に描かれている。 --効果音もそこそこ気持ちいいものの若干軽く、チープさが目立つ。 -不安定なフレームレート --最大60fpsなのだがかなり変動が大きい。爆発など派手なエフェクトが表示されたときはかなりガクガクになる。 ---恐らくミッションの途中でロードを挟まないように常に裏でロードを行っているためだと思われる。ちなみに処理落ちの割りにレスポンスの遅延はそこまで酷くない。 -ボリューム不足感 --ストーリーモードは普通にプレイして10時間程度。ただし本作は上記したように難易度が高いためアクションゲームが苦手な人はもう少しかかると思われる。 ---- **総評 ありそうでなかった「銃撃と近接攻撃を使い分けて戦う」というシステムはシューティングとしてもアクションとしても新鮮なプレイスタイルを実現している。~ 高い難易度や過激な表現など人を選ぶ部分も多く、下記する事情もあって色眼鏡に見られがちなソフトだが、ハイスピードで緊張感のあるアクションシューティングを楽しみたい人、『NINJA GAIDEN』のような苛烈な難易度を求めている人ならおすすめできるソフトである。 ---- **余談 -初めに断っておくと本作は''日本国内での評価及び海外の一般のゲーマーからの評価は概ね良い。'' --しかし、メタスコアをはじめとした海外のプロのゲーム評論家からはかなり手厳しい評価を下されており、「Atomix」に至っては''わざわざ「[[kusoge(クソゲー)>https://atomix.vg/review-devils-third/]]」と日本語で言い放っている。'' --恐らく粗いグラフィックとかつて板垣氏が手掛けた『NINJA GAIDEN』シリーズからの期待が影響しているのだと思われる。悲しきかなこの評論家達の影響力は国内外ともに大きく、ネガキャン記事も多数作られてしまう事態になってしまった([[参照>https://www.gamespark.jp/article/2015/09/02/59874.html]])。 ---ただ、あくまでゲームを始めとした娯楽作品は自分が面白いと感じられるかどうかが重要であり、良作・駄作問わず評論家のレビューだけで作品を評価するのは些か滑稽であるといえるだろう。 -板垣氏は本作発売の数年前から、ある意味伝説となっているゲームメーカー「カルチャーブレーン」のスレに頻繁に書き込んでいる([[参照>https://w.atwiki.jp/culturebrainwiki/pages/13.html#id_0ffc3db7]])。 --加えて、''ゲーム内にも大量のカルブレネタが仕込まれている''為、カルブレは本作の独特な世界観に大きな影響を与えてる…かもしれない([[参照>https://w.atwiki.jp/culturebrainwiki/pages/25.html#id_fa3597bf]])。 --さらに、本作に登場する女性キャラクターの1人である「アナスタシア」の初出は、なんとカルブレスレである([[参照>https://w.atwiki.jp/culturebrainwiki/pages/13.html#id_e2a4531e]])。 ---5ch(当時の2ch)の『DEVIL'S THIRD』本スレでもカルブレスレのネタが輸入されるほど影響を与えており、「カルチャーたなか」と名乗るトッププレイヤーもいた。 -主人公の「アイヴァン・ザ・テリブル (Ivan the Terrible)」のコードネームと同じ愛称を持つ人物が実在していた。 --その人物はかつてのロシアの君主・''イヴァン4世''(1530年-1584年)。日本でも「雷帝」と称される人物で、その極めて苛烈な性格から英語圏にて「''恐怖のイヴァン=Ivan the Terrible''」と呼ばれ恐れられていたとのことである。 -オープニングにてミッションの報酬としてこれまたアイヴァンと同名のアコースティックギター「''Ivan the Terrible''」が登場する。 --ギター演奏者及びマニアの間で有名な''Tony Zemaitis''氏が1969年に製作した12弦のアコースティックギターで、劇中でも見られるハート型のサウンドホールが特徴的である。 --世界3大ロック・ギタリストの1人である''エリック・クラプトン''氏が所有していたことでも知られ、オークションにておよそ''3,000万円''もの高値で取引された知る人ぞ知る伝説のギターである。 ---ドラムの演奏が上手くいかずイライラしていたアイヴァンも、このギターを目にした際に瞬時に笑顔になって「どんな手を使って手に入れたんだ?」とキャラウェイに聞き返している((キャラウェイは「君のヤル気の為なら何でもやる」と語るだけでどんな手段を使って手に入れたのかは明言されていない。))。 ---- **その後の展開 -2016年6月8日にネクソンから本作のオンラインモードのみが遊べる『Devil's Third Online』のサービスが開始された。 --しかし思うようにユーザーが集まらなかったのか、サービス開始から1年も経たない2017年3月29日にサービス終了してしまった。 --その後、同年8月24日に板垣氏がヴァルハラゲームスタジオの代表取締役と最高技術責任者を退任し、最高顧問に就任することが明らかとなった((その後、板垣氏自身の表立った活動は鳴りを潜めていたが、2021年1月になって自身の会社である「板垣ゲームズ(Itagaki Games Studio)」を設立したとFacebook上で公表している。))。 -2021年12月25日に本作の開発元であるヴァルハラゲームスタジオはソレイユ株式会社に吸収合併される形で会社組織を解散した。 --なお、その後の2023年2月14日にソレイユは本作の流れを汲んだシューティングアクション『[[Wanted: Dead>https://soleilgamestudios.com/jp/games/22001/]]』をPS5/XSX/PS4/One/Winで発売している。

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